(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5725522
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】ハイパワーLEDの放熱構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/64 20100101AFI20150507BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20150507BHJP
【FI】
H01L33/00 450
H01L33/00 H
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-552828(P2013-552828)
(86)(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公表番号】特表2014-505373(P2014-505373A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】CN2012080761
(87)【国際公開番号】WO2013067840
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2013年8月8日
(31)【優先権主張番号】201110351439.5
(32)【優先日】2011年11月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513201756
【氏名又は名称】東莞勤上光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】畢 暁峰
【審査官】
佐藤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−017918(JP,A)
【文献】
特開2006−303191(JP,A)
【文献】
特開2008−277817(JP,A)
【文献】
特開2005−136224(JP,A)
【文献】
特開2008−028377(JP,A)
【文献】
特開2011−165867(JP,A)
【文献】
特開2003−120644(JP,A)
【文献】
特開平10−172632(JP,A)
【文献】
特開2004−232656(JP,A)
【文献】
特開2009−59794(JP,A)
【文献】
特開2005−51233(JP,A)
【文献】
特開2003−17740(JP,A)
【文献】
特開2011−139059(JP,A)
【文献】
特表2009−502024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイパワーLEDの放熱構造の製造方法であって、
PCBプレート(4)と、一方の側に熱伝導柱(8)が設けられた熱伝導プレート(6)と、放熱プレート(9)とを用意するステップ(1)と、
前記PCBプレート(4)に両側を貫通する位置決め孔(7)を設け、PCBプレート(4)の一方の側面に銅プレート層(5)を溶接し、PCBプレート(4)の他方の側面に電極隅肉(3)を溶接し、銅プレート層(5)の表面にはんだペーストを塗布するステップ(2)と、
熱伝導柱(8)をPCBプレート(4)の銅プレート層(5)が設けられた側から位置決め孔(7)の内に設置し、且つリフローはんだ付けによって、銅プレート層(5)と熱伝導プレート(6)を溶接し、熱伝導プレート(6)とPCBプレート(4)を一体部材として固定接合し、前記熱伝導柱(8)の高さを銅プレート層(5)とPCBプレート(4)と電極隅肉(3)という三者の厚さの和よりも大きくするステップ(3)と、
ステップ(3)で得られた熱伝導プレート(6)とPCBプレート(4)の一体部材をスタンピング設備に置き、スタンピング設備が熱伝導柱(8)の上端面に対してスタンピングを行うことで、熱伝導柱(8)の上端面と電極隅肉(3)の上表面を同一の平面内に位置させるように熱伝導柱(8)の高さを調整するステップ(4)と、
放熱プレート(9)の内側面を熱伝導プレート(6)の他方の側面に固定密着するステップ(5)と
を含むことを特徴とするハイパワーLEDの放熱構造の製造方法。
【請求項2】
ステップ(5)において、前記放熱プレート(9)の外側面に複数のフイン(10)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のハイパワーLEDの放熱構造の製造方法。
【請求項3】
ステップ(1)において、前記熱伝導柱(8)と熱伝導プレート(6)が一体成形で設置されていることを特徴とする請求項1に記載のハイパワーLEDの放熱構造の製造方法。
【請求項4】
ステップ(1)において、前記熱伝導柱(8)と熱伝導プレート(6)が溶接して固定設置されていることを特徴とする請求項1に記載のハイパワーLEDの放熱構造の製造方法。
【請求項5】
ステップ(1)において、前記熱伝導柱(8)と位置決め孔(7)がネジ接続されていることを特徴とする請求項1に記載のハイパワーLEDの放熱構造の製造方法。
【請求項6】
ステップ(1)において、前記熱伝導プレート(6)が純銅材料で製造されることを特徴とする請求項1に記載のハイパワーLEDの放熱構造の製造方法。
【請求項7】
ステップ(1)において、前記放熱プレート(9)がアルミニウム又は銅材料で製造されることを特徴とする請求項1に記載のハイパワーLEDの放熱構造の製造方法。
【請求項8】
ステップ(1)において、前記熱伝導柱(8)が純銅材料で製造されることを特徴とする請求項1に記載のハイパワーLEDの放熱構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放熱装置の技術分野に関し、特にハイパワーLEDの放熱構造の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDは理論寿命が長く、低エネルギー消耗、環境にやさしいなどの特性により、指示、室内外の照明など各分野で広く応用されている。周知のように、LEDの放熱問題は、LED、特にハイパワーLEDの使用寿命に影響する最も肝心な要因となる。従来のハイパワーLEDの放熱構造の製造方法は主にヒートシンク、アルミニウム基板、熱伝導性シリコーングリース、放熱プレート等を順次に接続して構成され、LEDはヒートシンクを介してアルミニウム基板に接続され、このような製造方法はプロセスが簡単であるが、製造して得られた放熱構造は熱伝導性、放熱性が劣るなどの欠点と不足が存在したため、LEDの応用分野と応用範囲に大いに影響し、その熱伝導性、放熱性が劣る主な原因はアルミニウム基板の構造設置にある。アルミニウム基板は一般的に、保護オイル層、銅箔層、絶縁層及びアルミニウムプレート層を順次に積層してなり、絶縁層は絶縁の面で良好且つ有効で積極的な役割を果たす一方、断熱のマイナス効果も出て、LEDが発生した熱量を迅速且つタイムリーに導出できないことから、LEDの使用寿命に大いに影響した。それゆえに、従来の製造方法を革新し、放熱構造の差別化を実現し、LEDの放熱問題を有効に解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は従来の技術の欠点と不足に鑑みて、得られた放熱構造は構造が簡単、コンパクトであり、放熱効果が優れるなどのメリットを有し、プロセスが簡単で、生産効率が高いハイパワーLEDの放熱構造の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を実現するために、本発明は以下の技術案を採用する。
本発明に係るハイパワーLEDの放熱構造の製造方法は、
PCBプレートと、一方の側に熱伝導柱が設けられた熱伝導プレートと、放熱プレートとを用意するステップ(1)と、
前記PCBプレートに両側を貫通する位置決め孔を設け、PCBプレートの一方の側面に銅プレート層を溶接し、PCBプレートの他方の側面に電極隅肉を溶接し、銅プレート層の表面にはんだペーストを塗布するステップ(2)と、
熱伝導柱をPCBプレートの銅プレート層が設けられた側から位置決め孔の内に設置し、且つリフローはんだ付けによって、銅プレート層と熱伝導プレートを溶接し、熱伝導プレートとPCBプレートを一体部材として固定接合し、前記熱伝導柱の高さを銅プレート層とPCBプレートと電極隅肉という三者の厚さの和よりも大きくするステップ(3)と、
ステップ(3)で得られた熱伝導プレートとPCBプレートの一体部材をスタンピング設備に置き、スタンピング設備が熱伝導柱の上端面に対してスタンピングを行うことで、熱伝導柱の上端面と電極隅肉の上表面を同一の平面内に位置させるように熱伝導柱の高さを調整するステップ(4)と、
放熱プレートの内側面を熱伝導プレートの他方の側面に固定密着するステップ(5)と、を含む。
【0005】
ステップ(5)において、前記放熱プレートの外側面に複数のフインが設けられる。
【0006】
ステップ(1)において、前記熱伝導柱と熱伝導プレートが一体成形で設置される。勿論、ステップ(1)において、前記熱伝導柱と熱伝導プレートがスプリット溶接して固定設置されてもよい。
【0007】
ステップ(1)において、前記熱伝導柱と位置決め孔がネジ接続される。
【0008】
ステップ(1)において、前記熱伝導プレートが純銅材料で製造される。
【0009】
ステップ(1)において、前記放熱プレートがアルミニウムまたは銅材料で製造される。
【0010】
ステップ(1)において、前記熱伝導柱が純銅材料で製造される。
【発明の効果】
【0011】
上記製造方法によれば、本発明の有益的な効果は以下の通りである。本発明の製造方法は、電極隅肉の上表面と熱伝導柱の上端面を同一の平面内に調整するため、LEDの台座底面を電極隅肉と熱伝導柱に密着させる時、LEDの台座底面と電極隅肉との電気接続に影響することなく、LEDの台座底面と熱伝導柱の上端面が十分に接触された溶接接合を実現でき、LEDの台座底面の熱伝導部と熱伝導柱の上端面との接触面積が有効に増加し、このように本発明の製造方法で得られた放熱構造は、LEDの発生した熱量を熱伝導柱と熱伝導プレートを介して迅速に導出でき、その熱伝導、放熱機能が大いに強化された。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明により製造される放熱構造の全体断面構造の模式図である。
【
図2】本発明により製造される放熱構造の分解構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1、
図2は本発明により製造される放熱構造の全体及び分解構造の模式図である。以下、図面を参照して本発明の具体的なステップを更に説明して記述する。
【0014】
本発明に係るハイパワーLEDの放熱構造の製造方法は、以下のステップ(1)〜(5)を含む。
【0015】
(1)PCBプレート4、一方の側に熱伝導柱8が設けられた熱伝導プレート6及び放熱プレート9などの部材又は材料を用意し、前記熱伝導プレート6は純銅及びアルミニウムなどの材料で製造され、前記熱伝導柱8は純銅材料で製造され、前記放熱プレート9はアルミニウム又は銅材料で製造される。純銅及びアルミニウムなどの材料はいずれも良好な熱伝導、放熱機能を有し、本発明に係る熱伝導プレート6及び放熱プレート9は純銅及びアルミニウム材料を採用して製造され、本発明の目的の実現に有利である。勿論、上記構造主体は他の良好な熱伝導、放熱機能を有する金属材料で製造してもよい。前記熱伝導柱8と熱伝導プレート6は一体成形で設置されてもよく、スプリット溶接して固定設置されてもよい。
【0016】
(2)前記PCBプレート4に両側を貫通する位置決め孔7を設け、PCBプレート4の一方の側面に銅プレート層5を溶接し、熱伝導プレート6を溶接して固定するために銅プレート層5の表面にはんだペーストを塗布し、LED1の台座2の底面における電極部を接続するためにPCBプレート4の他方の側面に電極隅肉3を溶接する。
【0017】
(3)熱伝導柱8をPCBプレート4の銅プレート層5が設けられた側から位置決め孔7の内に設置し、リフローはんだ付けによって銅プレート層5と熱伝導プレート6を溶接し、熱伝導プレート6とPCBプレート4を一体部材として固定接合する。前記熱伝導柱8の形状・大きさは位置決め孔7の形状・大きさとマッチングし、具体的には、熱伝導柱8の横断面は円形、楕円形、三角形又は正六角形に設置されてもよく、熱伝導柱8の横断面が円形に設置された時、前記位置決め孔7の内壁に雌ねじが設けられ、前記熱伝導柱8の側壁に雄ねじが設けられ、前記熱伝導柱8と位置決め孔7がネジ接続される。熱伝導柱8と位置決め孔7がネジ接続されることにより、本発明の構造の緊密さを向上させ、熱伝導、放熱機能を間接的に向上させることができる。また、前記熱伝導柱8は高さが銅プレート層5とPCBプレート4と電極隅肉3という三者の厚さの和よりも大きいものである。
【0018】
(4)ステップ(3)で得られた熱伝導プレート6とPCBプレート4の一体部材をスタンピング設備に置き、スタンピング設備が熱伝導柱8の上端面に対してスタンピングを行って熱伝導柱8の高さを調整することにより、熱伝導柱8の上端面と電極隅肉3の上表面を同一の平面内に位置させる。このステップは本発明の製造方法のキーとなるステップであり、上記のように、前記熱伝導柱8は高さが銅プレート層5とPCBプレート4と電極隅肉3という三者の厚さの和よりも大きく、スタンピング設備で熱伝導柱8をスタンピングし、前記熱伝導柱8の高さが銅プレート層5とPCBプレート4と電極隅肉3という三者の厚さの和と等しくなるまで、熱伝導柱8の高さ及び上端面に対してスタンピング調整を行う。スタンピングした後、熱伝導柱8の横断面が大きくなり、位置決め孔7と締りばめを形成することにより、台座2の底面の熱伝導部との接触面が大きくなって熱伝導しやすくなる。同時に、熱伝導柱8の上端面を電極隅肉3の上表面と同一の平面に位置させたため、台座2の底面が熱伝導柱8の上端面及び電極隅肉3の上表面と同時に十分密着でき、即ち、台座2の底面の電極部が電極隅肉3と十分接触して溶接するとともに、台座2の底面の熱伝導部が熱伝導柱8の上端面と十分に接触して溶接することを実現でき、台座2の底面の熱伝導部と熱伝導柱8の上端面との接触面積をできる限り大きくすることにより、LED1の発生した熱量を熱伝導柱8、熱伝導プレート6を経由して放熱プレート9にタイムリー且つ迅速に伝導し、且つ放熱プレート9を経て放熱することを確保する。
【0019】
(5)放熱プレート9が熱伝導プレート6の熱量をタイムリーに放熱するように放熱プレート9の内側面を熱伝導プレート6の他方の側面に固定密着させる。前記放熱プレート9の外側面に複数のフイン10が設けられていることにより、放熱プレート9の放熱面積が増加し、更に放熱プレート9の放熱効果を強化する。
【0020】
本発明の製造方法で得られた放熱構造はLEDの発生した熱量を迅速に導出することができ、その熱伝導、放熱効果は従来の技術より大幅に強化された。
【0022】
上記表から分かるように、新放熱構造と旧放熱構造をそれぞれ採用するハイパワーLEDに対し、同一の電流を通電し、且つ新放熱構造の環境温度が比較的に高い状況で、新放熱構造の熱伝導柱の温度は旧放熱構造のヒートシンク温度より明らかに低いが、新放熱構造の熱伝導プレート及び放熱プレートの温度が旧放熱構造のアルミニウム基板及び放熱プレートの温度より明らかに高く、これは本発明の製造方法で得られた新放熱構造の放熱効果が旧放熱構造の放熱効果より一層良いことを十分に証明した。
【0023】
以上は、本発明の好ましい実施の形態に過ぎないため、本発明の特許請求の範囲に記載の構造、特徴及び原理に基づく等価変化や修飾などは、いずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0024】
1:LED、2:台座、3:電極隅肉、4:PCBプレート、5:銅プレート層、6:熱伝導プレート、7:位置決め孔、8:熱伝導柱、9:放熱プレート、10:フイン。