【文献】
Bin Zhen, Huan-Bang Li, Shinsuke Hara, Ryuji Kohno,Clear channel assessment in integrated medical environments,EURASIP Journal on Wireless Communications and Networking - Wireless Telemedicine and Applications,米国,ACM,2007年12月13日,Volume 2008,Article No.48
【文献】
Bin Zhen, Huan-Bang Li, Shinsuke Hara, Ryuji Kohno,Energy Based Carrier Sensing in Integrated Medical Environments,Communications, 2008. ICC '08. IEEE International Conference on,米国,IEEE explore,2008年 5月23日,p.3110-3114
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
他の無線通信装置から送信されるパケットと同一チャネルでパケットを送信する際、パケットの衝突を回避する制御を行う無線通信処理部と、前記他の無線通信装置がパケット送信を停止している状態における前記無線通信処理部のパケット送信処理の特徴量である第1の送信特徴量、ならびに自装置および前記他の無線通信装置がパケット送信を行う状態における前記無線通信処理部のパケット送信処理の特徴量である第2の送信特徴量を取得する送信特徴量測定部とを含む無線通信装置と、
前記無線通信装置と通信可能に接続され、該無線通信装置から受信する前記第1および前記第2の送信特徴量に基づいて、前記他の無線通信装置が該無線通信装置の信号検出圏内に位置しているが、該他の無線通信装置の信号検出圏外に該無線通信装置が位置する状態であるか否かを判定する非対称状態判定部を含むゲートウェイ装置と、
を有する通信システム。
他の無線通信装置から送信されるパケットと同一チャネルでパケットを送信する際、パケットの衝突を回避する制御を行う無線通信装置に実行させるためのプログラムであって、
前記他の無線通信装置がパケット送信を停止している状態における、自装置のパケット送信処理の特徴量である第1の送信特徴量を取得し、
自装置および前記他の無線通信装置がパケット送信を行う状態における、自装置のパケット送信処理の特徴量である第2の送信特徴量を取得し、
前記第1および前記第2の送信特徴量に基づいて、前記他の無線通信装置が自装置の信号検出圏内に位置しているが、該他の無線通信装置の信号検出圏外に自装置が位置する状態であるか否かを判定する処理を前記無線通信装置に実行させるためのプログラム。
【背景技術】
【0002】
現在、ISM(Industrial,Sience,Medical)帯と呼ばれる免許不要で利用可能な無線周波数帯を使用する、複数の無線方式が規格化されている。具体的には、無線LAN(Local Area Network)として一般的なIEEE 802.11や、センサーネットワークでの利用が有望視されているIEEE 802.15.4といった無線通信規格が存在し、これら無線通信規格は、今後も増加し、またそれを使用する無線端末の数も、爆発的に増加することが見込まれている。
【0003】
上記のような無線通信規格は、お互いの無線信号が衝突するのを回避するため、TDMA(Time Division Multiple Access)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)、CSMA/CA(Carrier Sense Mulitple Access with Collision Avoidance:衝突回避機能付き搬送波感知多重アクセス)などの多重チャネルアクセス方式を備えている。
【0004】
ISM帯を使用する代表的な通信方式であるIEEE 802.11や、省電力無線通信の代表例であるIEEE 802.15.4では、チャネルアクセス方式として、CSMA/CA方式を用いている。
【0005】
CSMA/CA方式とは、パケット送信に先立ち、バックオフと呼ばれるランダムな時間で送信を待機し、Preamble DetectionやEnergy Detectionといわれる手法で送信チャネルが使用されているか否かを確認するCCA(Channel Clear Assessment)を実施し、チャネルが未使用であればパケット送信を行う手法である。
【0006】
しかしながら、無線端末毎に、CCAによって他端末の送信を検出することができる範囲は異なる。
【0007】
1つ目の理由として、CSMA/CAの詳細な動作が無線通信規格毎に異なることが挙げられる。ここで言うCSMA/CAの詳細な動作とは、具体的には、CCAの実施タイミング、Energy Detectionの閾値やその実行時間、信号が検出された後のパケット送信待ちおよび再送の振る舞いである。
【0008】
2つ目の理由として、同一の無線通信規格を利用する端末同士であっても、信号受信性能の差が存在することが挙げられる。信号受信性能の差は、具体的には、無線通信アンテナの利得、無線通信装置自身のノイズ排除能力、端末の設置場所周囲の環境などにより生じる。
【0009】
図15は、無線端末毎に他の無線端末が送信する信号を検出可能な範囲(信号検出圏)が異なることを示す一例である。
図15に示す破線の円は、その円内に他の無線端末が存在すれば、その無線信号を検出可能な範囲を示す。
図15では、送信端末Bは送信端末Aの検出圏内に位置しているが、送信端末Aは送信端末Bの検出圏外に位置しており、2つの端末間で信号検出圏が非対称な状態である。
【0010】
図15に示すように、送信端末Aおよび送信端末Bの信号検出圏が異なっていると、送信端末Aは送信端末Bが送信した信号を検出できるが、送信端末Bは送信端末Aが送信した信号を検出できなくなる状態がある。このような状態を、以下では「CCA非対称状態」と称する。CCA非対称状態において、
図15における送信端末Aに相当する端末を被干渉側端末と称し、
図15における送信端末Bに相当する端末を与干渉側端末と称する。
【0011】
CCA非対称状態では、与干渉側端末の送信量が増加した場合に、被干渉側端末の送信が一方的に抑えられるという問題がある。
【0012】
さらに、CCA非対称状態では、被干渉側端末が送信中に与干渉側端末が送信を行うことで、パケット衝突が発生するという問題がある。
【0013】
さらに、上記の問題から、通信効率が低下するという問題点がある。
【0014】
通信効率が低下した原因を判定する手法として、特許文献1では、送信間隔とRSS(Received Signal Strength:受信信号強度)を用いた手法を提案している。
【0015】
特許文献1に開示された技術では、自端末が送信したパケットの送信間隔と、相手端末から送信されたパケットのRSSを、事前に決定した閾値と比較し、その結果から通信効率の低下の原因を"送信端末数や送信パケット数の増加に伴う輻輳"または"電波伝搬環境の悪化による通信失敗"のどちらかであると判定する。
【0016】
原因が輻輳であると判定された場合は、自端末が送信するパケットの伝送レートを高くして短時間で送信することにより輻輳を回避し、電波環境の悪化が原因であると判定された場合、伝送レートを低くすることでノイズ耐性を向上させてパケットロスを回避する。
【0017】
また、非特許文献1では、「一方向隠れ端末問題」として、同一通信方式無線端末間でのCCA非対称状態の改善方法が論じられている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の無線通信装置の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態では、被干渉側となる無線通信装置がIEEE 802.11方式で通信を行い、与干渉側となる無線通信装置がIEEE 802.15.4方式で通信を行う場合で説明するが、通信端末同士が互いの無線信号が衝突するのを回避して通信を行う方法であれば、他の通信方法であってもよい。
【0033】
(第1の実施形態)
本実施形態の無線通信装置について説明する。本実施形態では、CSMA/CA方式でアクセス制御を行う無線通信装置をStation(STA)と表記する。
【0034】
図1は、本実施形態の無線通信装置が被干渉無線機に相当する場合における通信システムの一構成例を示すブロック図である。
【0035】
本実施形態において、STA111は、STA121が送信したパケットにより干渉を受け、CCA非対称状態を判定する被干渉無線機であるものとする。また、STA121は、STA111が送信したパケットをCCAにより検出することができず、CCA非対称状態になることで、STA111に対して干渉を与える与干渉無線機であるものとする。
【0036】
GW131は、STA111およびSTA121と通信可能であり、STA111とSTA121の間で通信を介助することが可能な無線通信ゲートウェイ装置である。
【0037】
なお、本実施形態では、GW131における、STA111と通信するための無線通信機能と、STA121と通信するための無線通信機能は、物理的に1つの装置の場合で説明する。他の実施形態として、STA111と通信するための無線通信機能と、STA121と通信するための無線通信機能を、物理的に別の装置とし、その両者を無線または有線にて接続するようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、同一の周波数帯を使用し、かつ、CSMA/CA方式によるチャネルアクセスを行うことを共通点とする、異なる無線通信方式を、STA111とSTA121のそれぞれが用いる場合で説明する。他の実施形態として、CSMA/CA方式によるチャネルアクセスを行う同一の無線通信方式を、STA111およびSTA121が用いる構成であってもよい。
【0039】
次に、CCA非対称状態の検出と改善を行う機能の構成について、
図2を参照して説明する。
図2は
図1に示したSTA111の一構成例を示すブロック図である。
【0040】
図2に示すように、STA111は、無線通信処理部15と、送信特徴量測定部11と、通信特徴量記憶部12と、CCA非対称状態判定部13と、送信パラメタ制御部14と、全体制御部16とを有する。
【0041】
送信特徴量測定部11は、自装置の無線通信処理部15の送信状態を測定し、パケット送信処理に関する特徴量である送信特徴量を取得する。
【0042】
通信特徴量記憶部12は、送信特徴量測定部11にて取得された送信特徴量を記憶する。通信特徴量記憶部12は、例えば、不揮発性メモリである。
【0043】
CCA非対称状態判定部13は、通信特徴量記憶部12に保存された送信特徴量から、送信状態の測定を実施した装置がCCA非対称状態であるか否かを判定する。
【0044】
送信パラメタ制御部14は、CCA非対称状態判定部13が出力した判定結果と、状態が判定されたSTA111(送信状態の測定を行った無線通信装置に相当)の通信状態、それ以外の無線通信装置に相当するSTA121の通信状態、またはその両方から、状態が判定されたSTA111、STA121、またはその両方の送信制御に係わる諸パラメタを変更する。
【0045】
無線通信処理部15は、パケット送信を行う前に、CCAを行って送信チャネルが使用されているか否かを確認し、送信チャネルが未使用であれば、パケット送信を行う。また、無線通信処理部15は、送信特徴量測定部11が要求する送信状態情報を取得し、送信パラメタ制御部14の制御にしたがって送信パラメタを変更する。ここで、送信状態情報とは、無線通信処理部15がパケット送信を行う際の状態を示す情報を意味し、
図5を参照して説明するパケット送信間隔の情報を含む。
【0046】
全体制御部16は、CCA非対称状態の検出および改善を実行するために、送信特徴量測定部11、通信特徴量記憶部12、および送信パラメタ制御部14を制御する。
【0047】
なお、無線通信処理部15、送信特徴量測定部11、CCA非対称状態判定部13、送信パラメタ制御部14および全体制御部16の各部の構成は、例えば、それぞれの機能を実行するための回路が設けられた専用の半導体集積回路である。また、別の一例として、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)およびプログラムを保存するメモリを有する制御部(不図示)がSTA111に予め設けられ、CPUがプログラムを実行することで、無線通信処理部15、送信特徴量測定部11、CCA非対称状態判定部13、送信パラメタ制御部14および全体制御部16が仮想的に構成されてもよい。さらに、CPUがプログラムを実行することで仮想的に構成される対象は、無線通信処理部15、送信特徴量測定部11、CCA非対称状態判定部13、送信パラメタ制御部14および全体制御部16に限らず、これらのうちの一部であってもよい。
【0048】
次に、
図1に示したGW131の構成を、
図3を参照して説明する。
図3はGW131の一構成例を示すブロック図である。本実施形態では、CCA非対称状態の検出および改善に関連する構成について説明し、一般的な無線通信ゲートウェイとしての機能についての詳細な説明を省略する。
【0049】
図3に示すように、GW131は、制御部31および記憶部32を有する。制御部31は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(不図示)と、プログラムを記憶するメモリ(不図示)とを有する。制御部31は、STA111およびSTA121のうち、一方の無線機がテストパケットをGW131に送信し、他方の無線機がパケットの送信を停止している基準状態で、一方の無線機から受信するテストパケットについて、テストパケット信号の長さ、平均送信待ち時間、および単位時間当たりの送信パケット数を含むテストパケット情報を記憶部32に記録する。制御部31は、STA111およびSTA121の無線機毎にテストパケット情報を記憶部32に保存する。そして、制御部31は、STA111およびSTA121のうち、一方の無線機から他方の無線機のテストパケット情報についての問い合わせがあると、他方の無線機のテストパケット情報を記憶部32から読み出し、読み出したテストパケット情報を問い合わせ元の無線機に通知する。
【0050】
なお、本実施形態では、
図2に示すように、STA111が送信特徴量測定部11〜全体制御部16を有する構成の場合で説明するが、通信特徴量記憶部12、CCA非対称状態判定部13、送信パラメタ制御部14および全体制御部16は必ずしもSTA111に設けられている必要はなく、これらの構成が物理的に他の無線通信装置に設けられ、STA111が他の無線通信装置と何らかの通信回線で接続される構成であってもよい。
【0051】
例えば、STA111が送信特徴量測定部11および無線通信処理部15を備え、GW131が通信特徴量記憶部12、CCA非対称状態判定部13、送信パラメタ制御部14および全体制御部16を備えている場合が考えられる。また、STA111が送信特徴量測定部11、通信特徴量記憶部12および無線通信処理部15を備え、GW131がCCA非対称状態判定部13、送信パラメタ制御部14および全体制御部16を備えている場合が考えられる。さらに、STA111が送信特徴量測定部11、通信特徴量記憶部12、CCA非対称状態判定部13および無線通信処理部15を備え、GW131が送信パラメタ制御部14および全体制御部16を備えている場合が考えられる。
【0052】
また、STA121がSTA111と同様な構成であってもよい。
【0053】
次に、STA111が実行する、CCA非対称状態の検出と改善のための動作を説明する。
【0054】
図4は本実施形態の通信処理方法の手順を示すフローチャートである。
図5は送信パケットを説明するための図である。
図6は本実施形態における、CCA非対称状態の検出方法を説明するためのヒストグラムである。
【0055】
第1の処理として、CCA非対称状態でない場合における送信状態の特徴量を、基準状態の送信特徴量として取得する処理を実行する(ステップ201)。以下に、第1の処理について詳しく説明する。
【0056】
なお、本実施形態では、CCA非対称状態の判定精度向上のため、基準状態の送信特徴量を取得するために、パケットを実際に送信する場合で説明するが、パケット送信を実際に行わずに、基準状態の送信特徴量を理論値から求めるなどしてもよい。
【0057】
まず、STA121のパケット送信による測定への影響を防止するため、全体制御部16は、STA121に対して送信を禁止するように指示する。続いて、全体制御部16が、送信特徴量測定部11に対し、後述する送信特徴量の測定を実行させる。送信特徴量の測定が完了したら、全体制御部16はSTA121に対してパケット送信禁止の解除を通知する。
【0058】
続いて、送信特徴量測定部11の測定動作を、
図5を参照して説明する。
【0059】
送信特徴量測定部11は、パケット長Ltpl[byte]のテストパケットを、送信処理アイドル時間Tspid[s]の間隔を空けて送信時間Ttrt[s]の間、送信するよう、無線通信処理部15に指示する。
【0060】
なお、
図5中のパケット送信待機区間は、バックオフ時間およびチャネルビジーによる送信開始待ちを含む、無線通信処理部15がパケット送信処理を開始した時間から、実際に無線信号の送信が開始される時間までの区間である。
【0061】
このとき、STA111が送信するテストパケットのパケット長Ltpl[byte]および送信処理アイドル時間Tspid[s]は、送信時間Ttrt[s]の間、一定の値であればよいが、本実施形態では、測定精度を高めるため、パケット長Ltplは、無線通信処理部15が許す最大長とし、送信処理アイドル時間Tspidは無線通信処理部15が許す最小値とする。
【0062】
全体制御部16より指示を受けた送信特徴量測定部11は、前回のパケット送信終了時間から送信処理アイドル時間Tspid[s]の間隔をおいて、繰り返しテストパケットを生成し、無線通信処理部15にGW131宛てにテストパケットを送信させる。無線通信処理部15はパケット送信の都度、パケット送信間隔の情報を送信特徴量測定部11に出力するので、送信特徴量測定部11はこれを保存する。
【0063】
ここで、パケット送信間隔とは、
図5に示すように、今回のパケット送信開始時間から、前回パケット送信開始時間を引いたものである。
【0064】
このとき、無線通信処理部15が送信したテストパケットに対してGW131からACKパケット(受信応答パケット)が送信されてしまうと、CCA非対称状態判定の精度が悪化するため、本実施形態においては、GW131からACKパケットが送信されないようにする。具体的には、送信するテストパケットの制御フィールドを、ACKパケットの送信を要求しないことを示す値に設定する。
【0065】
最初のテストパケット送信開始から送信時間Ttrtだけ経過すると、送信特徴量測定部11はテストパケットの送信を停止し、取得したパケット送信間隔群を、パケット送信間隔分類単位幅Lpicwで分類し、パケット送信間隔分布を生成し、パケット送信間隔分布を通信特徴量記憶部12に記憶させる。
【0066】
このとき、CSMA/CA方式が有するランダムバックオフ機能により、
図5に示すパケット送信待機時間がパケット送信の都度変化するため、必ずパケット送信間隔に分布が生じる。
図6(a)は基準状態での送信間隔分布の一例を示す。
【0067】
第2の処理として、CCA非対称状態の判定対象である、STA111とSTA121が共に送信を行う共存状態において、送信状態特徴量を取得する処理を実行する(ステップ202)。以下に、第2の処理について詳しく説明する。
【0068】
先ず、全体制御部16がSTA121に対し、GW131宛てにテストパケットの送信を開始するよう指示する。
【0069】
このとき、STA121が送信するテストパケットのパケット長Ltpl[byte]および送信処理アイドル時間Tspid[s]は、送信時間Ttrt[s]の間、一定の値であればよいが、本実施形態では、測定精度を高めるため、パケット長Ltplは、STA121が許す最大長とし、送信処理アイドル時間Tspid[s]はSTA121が許す最小値とする(
図5参照)。
【0070】
このとき、STA121が送信したテストパケットに対してGW131からACKパケット(受信応答パケット)が送信されてしまうと、CCA非対称状態判定の精度が悪化するため、本実施形態においては、GW131からACKパケットが送信されないようにする。具体的には、送信するテストパケットの制御フィールドを、ACKパケットの送信を要求しないことを示す値に設定する。
【0071】
続いて、全体制御部16が、送信特徴量測定部11に対し、前述の送信特徴量の測定を実行させ、共存状態でのパケット送信間隔分布を取得する。
図6(b)は共存状態での送信間隔分布の一例を示す。
【0072】
送信特徴量の測定が完了したら、全体制御部16はSTA121に対してテストパケットの送信を停止するよう指示する。
【0073】
第3の処理として、CCA非対称状態判定部13において、基準状態の送信特徴量と、共存状態の送信特徴量を比較し、STA111とSTA121の間にCCA非対称状態が生じているかを判定する(ステップ203)。以下に、第3の処理について詳しく説明する。
【0074】
先ず、CCA非対称状態判定部13は、全体制御部16からCCA非対称状態判定実行の指示を受けると、通信特徴量記憶部12から、基準状態のパケット送信間隔分布と、共存状態でのパケット送信間隔分布を取得する。
【0075】
続いて、CCA非対称状態判定部13は、取得した共存状態でのパケット送信間隔分布と、基準状態のパケット送信間隔分布の差分を取り、その差分分布中に、CCA非対称状態により生じたピークが存在するか否かを判定する。
【0076】
本実施形態においては、CCA非対称状態判定部13は、
図6に示すように、まず、取得した共存状態でのパケット送信間隔分布(
図6(b))から、基準状態のパケット送信間隔分布(
図6(a))を、パケット送信間隔分類単位幅Lpicw[s]単位で減算し、パケット送信間隔分布差分を生成する(
図6(c)参照)。
【0077】
図7は
図6(c)に示したパケット送信間隔分布差分を拡大して示すものである。比較として、CCA非対称状態でない場合における、
図6(b)に相当する送信間隔分布の一例を
図8に示す。
【0078】
図7に示すように、パケット送信間隔分布差分のプラス側に、CCA非対称状態か否かの判定対象となる分布が現われる。CCA非対称状態である場合、与干渉側であるSTA121が待ち合わせずにパケットを送信する。他方、被干渉側であるSTA111では、STA121の送信パケットが送信される都度送信を待ち合わせるため、STA121の送信パケット長分、送信間隔が長くなるパケットが多く存在する。
【0079】
一方、CCA非対称状態ではない場合、STA121も、STA111が送信したパケットを検出して送信を待ち合わせる。そのため、
図8に示すように、STA111では、CCA非対称状態に比べて送信間隔が長いパケットの割合が低下する。
【0080】
CCA非対称状態判定部13は、生成したパケット送信間隔分布差分において、最大の値を持つ要素が対応する送信間隔区間が、送信間隔判定閾値Twithresh[s]以上であり、かつ、その最大の値を持つ要素を中心とするピーク幅Lwdistwidth[s]分の要素(
図7参照)の値の合計が存在比率閾値Pwwaitpkt以上であれば、CCA非対称状態に依る送信間隔分布のピークが存在すると判定する。
【0081】
このときに用いる送信間隔判定閾値Twithresh[s]、ピーク幅Lwdistwidth[s]、および存在比率閾値Pwwaitpktのそれぞれの決定方法の一例を、以下に説明するが、これらの決定方法に限定されるものではない。
【0082】
送信間隔判定閾値Twithresh[s]は、以下の式1から求められる。
【0084】
式1において、TwiaveはSTA111の基準状態での平均送信間隔であり、Tzplen[s]はSTA121が送信するテストパケット信号の長さである。
【0085】
ピーク幅Lwdistwidth[s]は、以下の式2から求められる。
【0087】
式2において、CWminはSTA111のCSMA/CAにおける送信1回目の最大バックオフスロット数であり、Twslotlen[s]はSTA111のバックオフスロット1つ分の時間長である。
【0088】
存在比率閾値Pwwaitpktは、以下の式3から求められる。
【0090】
式3において、Tzidleave[s]はSTA121の基準状態での平均送信待ち時間であり、Nztotalpkt[pkt/s]はSTA121の基準状態での単位時間送信パケット数である。
【0091】
上記の式中で使用するTzplen、Tzidleave、Nztotalpkt等のようなSTA121に係わる情報は、本実施形態においては、事前にSTA121が基準状態でテストパケットを送信した際の結果をGW131に保存し、その情報をSTA111がGW131に問い合わせてGW131から取得するものとする。STA121に係わる情報の取得方法は、この方法に限定されるものではなく、工場出荷時にSTA111の通信特徴量記憶部12に記憶させる等のように、事前にSTA111に記憶させておいてもよい。
【0092】
CCA非対称状態に依る送信間隔分布のピークが検出された場合、CCA非対称状態判定部13は、全体制御部16に対して、CCA非対称状態であることを通知する。一方、CCA非対称状態に依る送信間隔分布のピークが検出されない場合、CCA非対称状態判定部13は全体制御部16に対してCCA非対称状態ではないことを通知する。
【0093】
第4の処理として、送信パラメタ制御部14において、CCA非対称状態を解消するために、STA111、STA121、またはこれらの両方の送信パラメタを変更する(ステップ204)。以下に、第4の処理について詳しく説明する。
【0094】
全体制御部16は、判定結果がCCA非対称状態であれば、送信パラメタ制御部14に対して、送信パラメタ変更を指示する。
【0095】
このとき、送信パラメタを変更する無線通信装置は、STA111、STA121、またはその両方が考えられるが、本実施形態においては、STA121の送信パラメタを変更する。
【0096】
全体制御部16から指示を受けた送信パラメタ制御部14は、GW131に対し、STA121から受信したパケットのRSSが、許容受信信号強度閾値Prsst[dBm]以上であるか否かを問い合わせる。
【0097】
このとき、本実施形態においては、許容受信信号強度閾値Prsst[dBm]は、以下の式4から決定される。
【0099】
式4において、Pnf[dBm]は受信側の無線機が持つノイズ電力値であり、Psn[dB]は、使用される無線通信方式に固有の変調信号を複合するために必要なSN比(Signal Noise 比)である。
【0100】
式4におけるPmargin[dB]は、無線信号伝送路などの影響による伝送損失の変動量である。例えば、Pmargin[dB]は、GW131において、STA121から受信したパケットのRSSの変動幅である。
【0101】
もしGW131がSTA121から受信したパケットのRSSが、許容受信信号強度閾値Prsst[dBm]以上であれば、送信パラメタ制御部14はSTA121の送信出力を低下させてもよいと判断し、STA121に対して送信出力を低下させるよう指示する。
【0102】
もしGW131がSTA121から受信したパケットのRSSが、許容受信信号強度閾値Prsst[dBm]よりも小さければ、送信パラメタ制御部14はSTA121に対してCCAにおける信号検出感度を高くさせるよう指示する。
【0103】
このとき、送信パラメタを変更させるか否か、および、どのパラメタをどの程度変更させるかの判断基準は、前述のRSSの他、端末自身の優先度や、STA121とGW131の間での通信におけるPER(Packet Error Rate)などであってもよい。
【0104】
また、変更する送信パラメタは、CW、端末間距離、使用チャネルなど、送信に係わるパラメタであれば他のものであってもよい。
【0105】
送信パラメタ制御部14から指示を受けたSTA121は、その指示に従い、送信パラメタを変更する。
【0106】
STA121の送信出力が低下したこと、もしくは信号検出感度が高くなったことで、STA121のパケット送信によりSTA111のパケット送信が妨害されることがなくなり、CCA非対称状態が解消され、その結果、STA111の通信効率が改善する。
【0107】
なお、第4の処理について、本実施形態においては、無線通信の物理層およびメディアアクセスコントロール層(MAC層)のパラメタを調整することでCCA非対称状態を改善するが、より上位の層(ネットワーク層など)において、与干渉側の単位時間当たり送信可能パケット数に制限を行う、などの対処を実施することで、CCA非対称状態のままで、干渉の発生を減少させるようにしてもよい。
【0108】
また、STA111の送信パラメタを変更する場合には、送信パラメタ制御部14は、無線通信処理部15に対して、例えば、パケット送信出力を高くするように指示すればよい。
【0109】
本実施形態では、上述のようにして、基準状態および共存状態のパケット送信特徴量の差分に基づいて、CCA非対称状態であるか否かを検出することが可能となり、次のような効果を奏する。
【0110】
第1の効果は、CCA非対称状態を回避することで、与干渉側の一方的な送信による被干渉側の送信待ちを改善できることである。
【0111】
第2の効果は、CCA非対称状態を回避することで、与干渉側のパケットが被干渉側のパケットに衝突する可能性を低下させることである。
【0112】
第3の効果は、上記の第1の効果および第2の効果により、被干渉側、与干渉側の両者の通信効率が改善することである。
【0113】
(第2の実施形態)
本実施形態は、CCA非対称状態の検出および改善の方法について、第1の実施形態で説明した方法とは異なる方法である。本実施形態においても、CSMA/CA方式でアクセス制御を行う無線通信装置の場合で説明し、無線通信装置をSTAと表記する。
【0114】
本実施形態の無線通信装置の構成を説明する。
図9は、本実施形態の無線通信装置が被干渉無線機に相当する場合において、与干渉無線機となる他の無線通信装置を含む構成を示す概略図である。
【0115】
本実施形態において、STA141は、STA151からの干渉を受け、CCA非対称状態を判定する被干渉無線機であるものとする。また、STA142は、STA141が送信したパケットを受信する無線機であるものとする。また、STA151は、ビーコンパケットのような、一定周期で固定長のパケットを送信し、STA141の送信パケットを検出することができずに、CCA非対称状態により干渉を与える与干渉無線機であるものとする。
【0116】
次に、CCA非対称状態の検出と改善を行う機能の構成について、
図10を参照して説明する。
図10は
図9に示したSTA141の一構成例を示すブロック図である。
【0117】
図10に示すように、STA141は、無線通信処理部15と、送信特徴量測定部11と、通信特徴量記憶部12と、CCA非対称状態判定部13と、状態表示部18と、全体制御部16と、アプリケーション部17とを有する。STA141は、第1の実施形態で説明した送信特徴量測定部11、通信特徴量記憶部12、無線通信処理部15および全体制御部16を有しているが、本実施形態では、これらの構成について、第1の実施形態と異なる点を詳細に説明し、第1の実施形態と同様な動作の説明を省略する。
【0118】
送信特徴量測定部11は、自装置の無線通信処理部15の送信状態を測定し、送信特徴量を取得する。
【0119】
通信特徴量記憶部12は、送信特徴量測定部11にて取得された送信特徴量を記憶する。
【0120】
CCA非対称状態判定部13は、通信特徴量記憶部12に保存された送信特徴量から、送信状態の測定を実施した装置がCCA非対称状態であるか否かを判定し、全体制御部16にその結果を出力する。
【0121】
無線通信処理部15は、パケット送信を行う前に、CCAを行って送信チャネルが使用されているか否かを確認し、送信チャネルが未使用であれば、パケット送信を行う。また、無線通信処理部15は、送信特徴量測定部11が要求する送信状態情報を取得し、アプリケーション部17からの指示にしたがって送信パラメタを変更する。ここで、送信状態情報とは、無線通信処理部15がパケット送信を行う際の状態を示す情報を意味し、
図5を参照して説明したパケット送信待機時間の情報を含む。
【0122】
状態表示部18は、全体制御部16からの指示に基づき、状態判定結果を表示する。状態表示部18は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0123】
全体制御部16は、CCA非対称状態の検出および改善を実行するために、送信特徴量測定部11、通信特徴量記憶部12、および状態表示部18を制御する。
【0124】
アプリケーション部17は、パケットを生成し、無線通信処理部15を用いてパケットの送受信を行い、STA142と通信を行う。
【0125】
なお、無線通信処理部15、送信特徴量測定部11、CCA非対称状態判定部13、アプリケーション部17および全体制御部16の各部は、第1の実施形態と同様に、専用の半導体集積回路であってもよく、CPUがプログラムを実行することで仮想的に構成されるものであってもよい。また、STA151がSTA141と同様な構成であってもよい。
【0126】
次に、STA141が実行する、CCA非対称状態の検出と改善のための動作を説明する。
図11は本実施形態の通信処理方法の手順を示すフローチャートである。
図12は本実施形態における、CCA非対称状態の検出方法を説明するためのヒストグラムである。
【0127】
本実施形態では、STA151のビーコン送信によりSTA141のパケット送信待機時間が影響を受けることを利用してCCA非対称状態の検出を行う。
【0128】
第1の処理として、後述する第3の処理で用いられる、理論上での送信特徴量の設定を行う(ステップ211)。具体的には、全体制御部16は、通信特徴量記憶部12に対して、送信特徴量として理論上でのパケット送信待機時間分布を記憶させる。
図12(a)は理論上でのパケット送信待機時間分布の一例を示す。
【0129】
なお、第1の処理は、次に説明する第2の処理の直前に実施する必要はなく、工場出荷時に通信特徴量記憶部12に記憶させるなど、事前に実施してもよい。
【0130】
第2の処理として、実際の環境での送信特徴量を測定する(ステップ212)。以下に、第2の処理について詳しく説明する。
【0131】
先ず、全体制御部16が、送信特徴量測定部11に対し、無線通信処理部15がパケット送信を実施するたびに出力するパケット送信待機時間の取得、およびパケット送信待機時間分布の作成を開始するよう指示する。
【0132】
全体制御部16から指示を受けた送信特徴量測定部11は、アプリケーション部17が無線通信処理部15からパケットを送信する度に無線通信処理部15が送信特徴量測定部11に出力するパケット送信待機時間の情報を受け取る。取得したパケット送信待機時間は、パケット送信待機時間分類単位幅Lpswcw[s]単位で区分され、その区分ごとに計数を行い、パケット送信待機時間分布が作成される。
【0133】
パケット送信待機時間の測定が開始されてから、状態測定期間Tmt[s]が経過すると、全体制御部16は、送信特徴量測定部11に対し、パケット送信待機時間の取得、およびパケット送信待機時間分布の作成を終了するよう指示する。指示を受けた送信特徴量測定部11は、パケット送信待機時間分布の取得を終了し、作成したパケット送信待機時間分布を通信特徴量記憶部12に保存する。
図12(b)は測定したパケット送信待機時間分布の一例を示す。
【0134】
第3の処理として、CCA非対称状態判定部13において、測定されたパケット送信待機時間分布と、理論上でのパケット送信待機時間分布とを比較し、STA141とSTA151の間にCCA非対称状態が生じているかを判定する(ステップ213)。以下に、第3の処理について詳しく説明する。
【0135】
先ず、CCA非対称状態判定部13は、全体制御部16からCCA非対称状態判定実行の指示を受けると、通信特徴量記憶部12から、測定されたパケット送信待機時間分布と、理論上でのパケット送信待機時間分布を取得する。
【0136】
CCA非対称状態判定部13は、
図12に示すように、測定されたパケット送信待機時間分布(
図12(b))から、理論上でのパケット送信待機時間分布(
図12(a))を、パケット送信待機時間分類単位幅Lpswcw[s]単位で減算し、パケット送信待機時間分布差分を生成する(
図12(c)参照)。
【0137】
図13は
図12(c)に示したパケット送信待機時間分布差分を拡大して示したものである。比較として、CCA非対称状態でない場合における、
図12(b)に相当する送信待機時間分布の一例を
図14に示す。
【0138】
図13に示すように、パケット送信待機時間分布差分のプラス側に、CCA非対称状態か否かの判定対象となる分布が現われる。CCA非対称状態である場合、与干渉側であるSTA151が待ち合わせずにパケットを送信する。他方、被干渉側であるSTA141では、STA151の送信パケットが送信される都度送信を待ち合わせるため、STA151の送信パケット長分、送信待機時間が長くなるパケットが多く存在する。
【0139】
一方、CCA非対称状態ではない場合、STA151も、STA141が送信したパケットを検出して送信を待ち合わせる。そのため、
図14に示すように、STA141では、CCA非対称状態に比べて送信待機時間が長いパケットの割合が低下する。
【0140】
CCA非対称状態判定部13は、
図13に示すように、生成したパケット送信待機時間分布差分において、平均被干渉パケット送信待機時間Tipsw[s]を中心とするピーク幅Ldw[s]分の要素(
図13参照)の値の合計が存在比率閾値Pwp以上であれば、CCA非対称状態に依るパケット送信待機時間分布のピークが存在すると判定する。
【0141】
このときに用いる平均被干渉パケット送信待機時間、ピーク幅、および存在比率閾値のそれぞれの決定方法の一例を、以下に説明するが、これらの決定方法に限定されるものではない。
【0142】
平均被干渉パケット送信待機時間Tipsw[s]は、以下の式5から求められる。
【0144】
式5において、Tpswave[s]はSTA141の通信規格に基づく理論上での平均パケット送信待機時間であり、Tbplen[s]はSTA151が送信するビーコンパケット信号の長さである。
【0145】
ピーク幅Ldw[s]は、以下の式6から求められる。
【0147】
式6において、CWminはSTA141のCSMA/CAにおける送信1回目の最大バックオフスロット数であり、Tsl[s]はSTA141のバックオフスロット1つ分の時間長である。
【0148】
存在比率閾値Pwpは、以下の式7から求められる。
【0150】
式7において、NspはSTA141が状態測定期間Tmt[s]中に送信したパケット数、NbpはSTA151が状態測定期間Tmt[s]中に送信したビーコンパケット数、Tbi[s]はSTA151のビーコンパケット送信間隔[s]である。
【0151】
上記の式中で使用するTmt[s]、Tbi[s]、Tbplen[s]等のようなSTA151に係わる情報は、本実施形態においては、工場出荷時にSTA141の通信特徴量記憶部12に記憶させる等のように、事前にSTA141に対して記憶させておいてもよい。
【0152】
第4の処理として、CCA非対称状態の改善を行う(ステップ214)。以下に、第4の処理について詳しく説明する。
【0153】
CCA非対称状態による送信間隔分布のピークが検出された場合、CCA非対称状態判定部13は全体制御部16に対してCCA非対称状態であることを通知し、CCA非対称状態に依る送信間隔分布のピークが検出されない場合、CCA非対称状態判定部13は全体制御部16に対してCCA非対称状態ではないことを通知する。
【0154】
全体制御部16は、CCA非対称状態判定部13から得た判定結果がCCA非対称状態を示すものであった場合、状態表示部18にCCA非対称状態であることを表示させる。状態表示部18がCCA非対称状態である旨を表示する場合、ユーザは、STA141の設置位置を変更し、CCA非対称状態とならないようにする。
【0155】
このとき、STA141とSTA151の距離を短くすれば、STA151がSTA141の送信を検出できるようになり、両者の間でCSMA/CAが良好に機能するようになる。また、STA141とSTA151の距離を離すことで、STA141がSTA151の送信を検出できなくなり、両者の間に影響関係はなくなる。その結果、CCA非対称状態が改善する。
【0156】
本実施形態では、上述のようにして、理論および実測のパケット送信特徴量の差分に基づいて、CCA非対称状態であるか否かを検出することが可能となり、次のような効果を奏する。
【0157】
第1の効果は、CCA非対称状態を回避することで、与干渉側の一方的な送信による被干渉側の送信待ちをなくし、チャネルアクセス性の悪化を改善できることである。
【0158】
第2の効果は、CCA非対称状態を回避することで、与干渉側のパケットが被干渉側のパケットに衝突する可能性を低下させることである。
【0159】
第3の効果は、上記第1の効果および第2の効果により、被干渉側、与干渉側の両者の通信効率が改善することである。
【0160】
なお、第1の実施形態で説明した無線通信装置に対して、状態表示部18を設け、第2の実施形態で説明した第4の処理を実行させてもよい。また、第2の実施形態で説明した無線通信装置に対して、送信パラメタ制御部14を設け、第1の実施形態で説明した第4の処理を実行させてもよい。
【0161】
さらに、本発明の通信処理方法の手順を記述したプログラムを無線通信装置に実行させてもよい。