【実施例】
【0028】
以下、本発明を次の実施例および比較例に基づき説明するが、本発明は実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)
射出成型用の熱可塑性樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂、商品名:ジュラネックス600JP、ポリプラスチックス株式会社製)を、まず120℃で5時間、予備乾燥し、含まれる水分を除去した。
図1に示すように、竹集成材、ウォールナット、ナラ無垢材の各木材(厚さ3mm×長さ100mm×巾80mm)を加温した射出成形用の3次元形状の金型に配置した。
次いで、該金型内で、設置した各木材の裏面側に、射出成形用シリンダ温度を240℃に設定して、溶融させた上記熱可塑性樹脂を、まず射出1圧27MPaで射出し、次いで射出2圧19〜93MPaの射出圧力で射出して、前記木材を3次元形状に加熱圧縮成形すると同時に、該熱可塑性樹脂により各木材の裏面側に取付部材を成形して木材及び取り付け部を設けた。
その後、金型を水冷して、これを40℃以下となるまで冷却することによって、各木材と各熱可塑性樹脂とからなる取付部が一体となった複合成形品を製造した。
なお、射出成形は、日精樹脂工業株式会社製の射出成型機NS60−9Aを用い、下記表1の条件で射出成形を行った。
得られた各成形体の表面を構成する、3次元形状が賦形された木材は、実用上問題となる反りやひずみがない(0.5mm以下)。また木材表面も平滑性が高く光沢を有していた。
例えば、表1のタケNo4は、ハンディグロスチェッカー(株式会社堀場製作所製)で測定して、成形前は光沢値が2、成形後には光沢値が19となっていた。
【0029】
成形条件
・熱可塑性樹脂の予備乾燥:120℃、5時間
・シリンダ温度:240℃
・金型温度 :80℃
射出後水冷40℃以下
・射出1圧 :27MPa(15%)
・射出2圧 :19〜92MPa(約10〜50%の10%刻みの5水準)
(但し、%は、上記射出成型機の射出圧力184.7MPa
(100%)の出力%を示す)
・冷却時間(水冷):1分
・スクリュ回転数:100〜150rpm(上記射出成型機の押出用シリンダ)
【0030】
使用した木材の種類、射出2圧、厚さ方向圧縮率、表面硬度の測定結果を表1に示す。なお、本発明に用いた木材(無処理)の硬度も、表1に示す。
ここで、厚さ方向圧縮率(%)=(試験前木材の厚さ−試験後の木材の厚さ)/試験前の木材の厚さ×100である。
なお、表面硬度は、日本工業規格(JIS)の木材の試験方法 Z 2101の硬さ試験の試験方法に基づいて、得られた各圧密木材複合品の表面硬度を測定した値である。
また、タケ5及びウォールナット5を用いて得られた3次元形状が賦形されたエンボス仕上げの圧密木材複合成形品の写真を
図3(a)及び(b)に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
上記表1より、射出2圧の条件に応じて、得られた成形品の圧縮率と硬さが樹種により異なるが、各木材について木材細胞の空隙がなくなるまで圧縮することで、得られた成形品の硬度を1.1〜1.8倍にまで向上させることができる。
【0033】
また、下記表2に、表1で得られたウォールナット4(射出2圧が74MPaのもの)を用いた場合の成形前後の表面粗さの測定結果を示す。また、
図4に表面粗さを、カラー3Dレーザー顕微鏡(VK−8700;キーエンス株式会社製)を用い、100倍で測定した写真を示す。
図4(a)には、本実施例により得られた複合成形品のウォールナットの前記写真、
図4(b)には、無処理のウォールナットの前記写真を示す。
なお、表2中の最大深さ、最大粗さ、平均粗さ(JIS B 0601に準じる)は、上記カラーレーザー顕微鏡の解析ソフト(形状解析アプリケーションVK−H1A1)で演算処理した値である。
【0034】
【表2】
【0035】
上記表2及び
図4に示すように、得られた木材成形品の表面の平滑性は向上していることがわかる。
【0036】
(実施例2)
図2に示すように、木材としてウォールナット無垢材(厚さ3mm×長さ100mm×巾80mm)を、射出成形用金型の両側にそれぞれ配置し、両木材の間に、シリンダ温度240℃で設定、溶融したポリブチレンテレフタレート樹脂を射出2圧74MPaで射出成形した以外は、実施例1と同様の条件で、該木材とポリブチレンテレフタレート樹脂とが一体となった圧密木材複合成形品を製造した。
図5には、得られた複合成形品の側面からの写真図を示す。
得られた複合成形品の表面を構成する、3次元形状が賦形された木材は反りやひずみもなく、木材表面も平滑性が高く光沢を有していた。
得られた圧密木材複合成形品の光沢を、ハンディグロスチェッカー(株式会社堀場製作所製)で測定したところ、ウォールナット無垢材(成形前)は光沢値3であったが、成形後は20であった。
【0037】
(実施例3)
木粉を含む熱可塑性樹脂(木粉樹脂;ファルパックW−3501KA、日本油脂株式会社製、木粉50重量%、ポリプロピレン重量50%)を120℃で5時間、予備乾燥して、含まれる水分を除去した。
タケ無垢集成材(厚さ3mm×長さ100mm×巾100mm)を、80℃に加温した射出成形用の3次元形状の金型に配置した。
次いで、該金型内で、設置した木材の裏面側に、射出成形用シリンダ温度を200℃に設定して溶融させた木粉樹脂を射出1圧27MPa、射出2圧110MPaの射出圧力で射出して、前記木材を3次元形状に加熱圧縮成型すると同時に、木材の裏面側に取付部材を成形して木材及び取り付け部を設けた。
その後、金型を水冷して、これを40℃以下となるまで冷却することによって、木材と木粉樹脂とが一体となった複合成形品を製造した。
なお、射出成形は、日精樹脂工業株式会社製の射出成型機NS60−9Aを用い、下記の条件で射出成形を行った。
得られた複合成形品の表面を構成する、3次元形状が賦形された木材は反りやひずみもなく、木材表面も平滑性が高く光沢を有していた。
得られた3次元形状が賦形された竹の表皮仕上げの圧密木材複合成形品の写真を
図3(c)に示す。
得られた圧密木材複合成形品の光沢を、ハンディグロスチェッカー(株式会社堀場製作所製)で測定したところ、タケ無垢集成材(成形前)は光沢値2であったが、成形後は19であった。
なお、得られた複合成形品は50重量%以上が木材で構成されているため、木製品表示が可能である。
【0038】
成形条件
・予備乾燥 :120℃、5時間
・シリンダ温度:200℃
・金型温度 :80℃
射出後水冷40℃以下
・射出1圧 :27MPa(15%)
・射出2圧 :110MPa(60%))
(但し、%は、上記射出成型機の射出圧力184.7MPa
(100%)の出力%を示す)
・冷却時間(水冷):1分
・スクリュ回転数:100〜150rpm(上記射出成型機の押出用シリンダ)
【0039】
(実施例4)
ウォールナット無垢材(厚さ3mm×長さ100mm×巾80mm)の表面(3次元複合成形品の表面側)に紫外線硬化樹脂であるUVオイル(商品名;UFO、大谷塗料株式会社製)を塗布し、乾燥機により、40℃で2時間、べたつきがない状態に乾燥させた木材を用いた以外は、実施例1と同様にして、該木材とポリブチレンテレフタレート樹脂とが一体となった複合成形品を製造した。
得られた複合成形品を構成する木材の、予め塗布されているUVオイル塗布面にUV照射装置を用い、80W/cmランプ1灯、コンベアスピード5m/分で4回パスさせ、トータル光量1200mj/cm
2の条件で、UVオイルを硬化させた。
得られた各複合成形品の表面を構成する、3次元形状が賦形された木材は、実用的に問題となる反りやひずみもなく(0.5mm以下)、木材表面も非常にすべらかで平滑性が高く光沢を有していた。
得られた圧密木材複合成形品の光沢を、ハンディグロスチェッカー(株式会社堀場製作所製)で測定したところ、ウォールナット無垢材(成形前)は光沢値3であったが、成形後は39であった。
【0040】
(実施例5)
ウォールナット無垢材(厚さ33mm×巾240mm×長さ2000mm)を耐圧容器中で160℃の飽和蒸気を吹き込み、8時間熱処理し、この熱処理材を乾燥させた後、厚さ3mm×長さ100mm×巾80mmに木取りした木材を成形金型に設置して用いた以外は、実施例3と同様にして、該木材と木粉樹脂とが一体となった複合成形品を製造した。
得られた各複合成形品の表面を構成する、3次元形状が賦形された木材は、反りやひずみもなく木材表面も平滑性が高く光沢を有していた。
なお、得られた複合成形品は50重量%以上が木材で構成されているため、木製品表示が可能である。
【0041】
上記実施例1(ウォールナット、射出2圧が110MPaのもの)、実施例3、実施例5の木材表面全体にウレタン塗装を4回行った。乾燥後各成形品の変形(反り)を、以下の加湿試験または乾燥試験を行って24時間ごとにそれぞれ測定した。なお、反り量は、
図6のようにして測定した。
加湿試験:50℃、95%RH×48時間
乾燥試験:80℃×48時間
その結果を
図7及び
図8にそれぞれ示す。
【0042】
実施例5のものは、熱可塑性樹脂と木材との剥離や反り、変形はほとんど観察されなかった。一方、上記実施例1や3で得られた複合成形品は、上記加湿試験と乾燥試験を行うことにより、熱可塑性樹脂と木材との間に若干反り、変形が若干観察されたが、実用的には全く問題がない程度である。