【実施例1】
【0015】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至
図4に示すように、インモールドラベル成形に使用するラベル1を切断するラベル切断装置3は、ラベルシート5を供給すると共にラベル1が切断されたスクラップシート5を巻き取るラベルシート供給巻取り手段7と、ラベルシート5からインモールド成形される所望形状のラベル1を切断するレーザ光出力手段9とから構成される。ラベル切断装置3により切断されたラベル1は、後述するラベル受渡し手段51の吸着部材63により吸着されてレーザ光出力手段9から取出された後、疑似コア(図示せず)の外周面に吸着保持される。該疑似コアは、インモールドラベル成形品の外形状に一致する形状で、ラベル切断装置3と樹脂成形機の間で移動制御され、外周面に吸着保持されたラベル1を樹脂成形機の金型内に装着する。
【0016】
ラベル切断装置3における本体フレーム11の下部には、長尺状のラベルシート5が巻き取られたシートロール13が回転可能に支持され、該シートロール13から導出されたラベルシート5は、上下一対のテンションロール15間を通過して本体フレーム11の上部に設けられたラベル切断手段9の下方にて水平状態に架け渡される。そして上記ラベル切断手段9によりラベル1が切断されたスクラップシート5bは、本体フレーム11下部に設けられた巻取りリール17にラベル1、1枚分の長さづつ巻き取られる。
【0017】
上記ラベルシート5は、合成樹脂シート等の表面に所望の図柄からなる多数のラベル地5aを上記移送直交方向に対して並行する複数列(図示の例では、2列とするが、3列、4列等であってもよい。)で、かつ上記移送方向へ所定の間隔をおいて印刷される。なお、図中の符号25は、ラベルシート5の経路をそれぞれ変更する転向ロールである。
【0018】
レーザ光出力手段9は、本体フレーム11における上部の転向ロール19間に配置され、本体フレーム11に対してラベルシート5の移送直交方向へ延出するガイドレール21に移動可能に支持される第1可動体23と、該第1可動体23の上記移送方向へ延出するガイドレール25に移動可能に支持される第2可動体27と、該第2可動体27の移送方向下手側に移動直交方向へラベル1の移送方向直交方向幅の間隔をおいて設けられる2個のレーザ光出力ヘッド29a・29bと、上記第1可動体23を上記移送直交方向へ往復移動する第1移動部材31と、上記第2可動体27を上記移送方向へ往復移動する第2移動部材33と、各レーザ光出力ヘッド29a・29bへレーザ光を出力するレーザ光発振部材35a・35bとから構成される。
【0019】
なお、上記したようにラベル地5aを3列で印刷したラベルシート5にあっては、3個のレーザ光出力ヘッドを、また4列に印刷したラベルシート5にあっては、4個のレーザ光出力ヘッドを配置すればよい。
【0020】
上記第1移動部材31及び第2移動部材33は、それぞれの移動方向に軸線を有し、対応する可動体23・27に設けられたナット部材(図示せず)に噛合う送りねじ31a・33a及びそれぞれの送りねじ31a・33aを数値制御可能に回転するサーボモータ等の第1電動モータ31b・33bにより構成される。なお、上記第1及び第2移動部材31・33としては、公知のベルト機構、平面リニアモータ等であってもよい。
【0021】
各レーザ光発振部材35a・35bは、例えばYAGレーザ発振器、エキシマレーザ発振器、CO2レーザ発振器、ファイバレーザ等のレーザ光発振器及び光学レンズ(いずれも図示せず)により構成され、対応するレーザ光出力ヘッド29a・29bへ所定波長及び出力のレーザ光を出力する。また、上記した各レーザ光出力ヘッド29a・29bは、入力されたレーザ光の光軸が上下方向を向き、かつレーザ光が内蔵された光学レンズにより移送された水平状態のラベルシート5上にて所要のビーム径に収斂させる。
【0022】
なお、レーザ光出力手段9としては、レーザ光発振部材を単一とし、該レーザ光発振部材から出力されるレーザ光を、分光部材、反射部材及び導光部材によりそれぞれのレーザ光出力ヘッド29a・29bへ出力する構成としてもよい。
【0023】
ラベル切断位置に応じた本体フレーム11には移送方向がラベル1の1枚分の幅及び移送直交方向がラベル1の2枚分の幅より幅広の開口部11aが形成され、該開口部11a内にはラベル支持手段の一部を構成する昇降テーブル37が出没するように遊嵌されている。該昇降テーブル37は昇降手段45により本体15のテーブル面と一致する下方位置と該テーブル面より若干上方の上方位置の間で昇降される。
【0024】
上記昇降テーブル37の上面には、移送方向がラベル1,1枚分の幅でかつ移送直交方向がラベル1,2枚分の大きさで、所要の深さの凹所37aが形成され、該凹所37a内にはラベル支持手段の一部を構成するラベル支持板41a・41bが設けられている。各ラベル支持板41a・41bはラベル1より若干小さい大きさの相似形で、ラベル1の外端縁を除いて支持する。各ラベル支持板41a・41bは、溶融切断されるラベル1毎に用意し、昇降テーブル37の凹所37a内に対して交換可能にされる。
【0025】
なお、上記ラベル支持手段は、
図4に示すように昇降テーブル37の上面に上記ラベル支持板41a・41bの外形状に沿った溝37bを形成し、該溝37bにより囲まれたラベル支持突面41c・41dによりラベル地5aを外端縁が非支持状態で支持する構成としてもよい。
【0026】
上記昇降手段45は開口部15aの下方に応じた本体15内にて上下方向へ延びるように固定されるガイドレール43と、該ガイドレール43に上下方向へ移動されるように支持される昇降体45と、該昇降体45に連結されて昇降作動するエアーシリンダ等の昇降作動部材47とから構成される。そして昇降体45には上下方向に軸線を有したガイド軸45aが摺動するように支持され、該ガイド軸45aはコイルスプリング等の弾性部材45bが装着された状態で上端部が昇降テーブル37の下面に固着される。
【0027】
また、開口部15aに応じた本体15には移送直交方向へ延出する図示する左右一対の規制板49が、その下面とテーブル面の間に若干の間隙を有するように固着されている。該規制板49は昇降テーブル37が上方位置へ移動した際に、該規制板49とテーブル面の間を通過するように架け渡されたラベルシート5を挟持して位置ずれを規制する。
【0028】
昇降テーブル37の上方に応じた本体15には、ラベル受渡し手段51が配置される。該ラベル受渡し手段51は、昇降テーブル37の前後側端部にて軸53を中心に搖動するように支持される前後一対の揺動板55と、上記軸53に連結され、各揺動板55を下方位置と疑似コアの待機位置の間で揺動するエアーシリンダ、電動モータ等の揺動部材57と、各揺動板55間の下部に設けられた取付け板59に移送直交方向へ所要の間隔をおいて取り付けられたエアーシリンダ等の作動部材61と、各作動部材61の作動軸に設けられた吸着部材63とから構成される。
【0029】
該ラベル受渡し手段51は、揺動部材61の作動により揺動板55を下方位置へ揺動して吸着部材63を切断されてラベル支持板41a・41bに支持されたラベル1に所要の間隔をおいて相対させて後、作動部材61を作動して吸着部材63を下方へ移動してラベル1を吸着して保持させる。
【0030】
次に、ラベル切断装置3によるラベル打ち抜き作用及び方法を説明する。
先ず、レーザ光によるラベル1の溶融切断の概略を説明すると、シートロール13から導出されたラベルシート5は、それぞれの転向ロール19により本体フレーム11上面の昇降テーブル37と規制板49の間を通過して巻取りリール17に巻き取られるように張設される。上記状態にて本体フレーム11の上部に位置するラベルシート5は、レーザ光出力手段9に対し、各レーザ光出力ヘッド29a・29bから出力されるレーザ光が所要のビーム径に収斂する所定の間隔をおいて水平状態に張設される。
【0031】
上記状態にてラベルシート5に印刷されたラベル地5aがレーザ光出力手段9下方の所定位置へ移送されると、第1電動モータ37b及び第2電動モータ39bを駆動制御して第1可動体23及び第2可動体27を移動してレーザ光出力ヘッド29a・29bを移送直交方向及び移送方向の二次元方向へ移動させながら各レーザ光発振部材35a・35bから出力されるレーザ光をラベル地5aの外形に沿って照射して溶融切断する。(
図5参照)
【0032】
上記切断時においてラベルシート5のラベル地5aがレーザ光出力手段9の下方位置に移送されたか否かは、光学的検出手段(図示せず)によりラベルシート5のラベル地5aやマークを光学的に検出して位置決めする方法、光学検出手段によりラベル地5a個所に対応してラベルシート5に予め形成された位置検出孔を検出して位置決めする方法、撮像手段(図示せず)により移送されるラベルシート5のラベル個所を撮像して形状認識して位置決めする方法のいずれであってもよい。
【0033】
次に、ラベルシート5からラベル1が溶融切断されると、揺動部材57を作動して揺動板55を疑似コアの待機位置から切断されたラベル1上方の取出し位置へ揺動した後、作動部材61を作動して吸着部材63を下方へ移動してラベル1を吸着保持させる。上記動作後、作動部材61を復動してラベル1を吸着保持した吸着部材63を上方へ移動して昇降テーブル37上から取り出した後、揺動部材57を復動して揺動板55を待機位置へ揺動して吸着部材63に保持されたラベル1を疑似コアへ受け渡し可能にさせる。(
図6参照)
【0034】
上記動作後、巻取りリール17を間欠回転してラベル1が溶融切断されたスクラップシート5bをラベル1、1枚分の量で巻き取ることにより次にレーザ光により溶融切断されるラベル地5aをレーザ光出力手段9の下方に位置させた後、上記動作と同様にしてラベルシート5におけるラベル地5aの外形に沿ってレーザ光を出力走査してラベル1を溶融切断する。
【0035】
上記レーザ光によるラベル1の溶融切断時においては、切断位置においてラベル―シート5は、以下のように挟持されて固定される。即ち、ラベルシート5のラベル地5aが切断位置へ移送されると、昇降作動部材47を作動して昇降体45を上方へ移動して昇降テーブル37の上面に位置するラベルシート5を規制板49に押し付けて挟持して固定させる。一方、ラベル1の溶融切断後においては、昇降作動部材47を復動して昇降体45を下方へ移動して規制板49との間に間隙を形成してラベルシート5の移送を可能にさせる。(
図7参照)
【0036】
また、ラベルシート5の溶融切断時においては、ラベルシート5のラベル地5aは、昇降テーブル37の上面に形成された凹所37a内のラベル支持板1a・41b上にて支承されている。即ち、上記ラベル支持板1a・41bは、平面が溶融切断されるラベル1より一回り小さい大きさの相似形で、ラベル地5aをレーザ光が収斂して照射されるラベル地5aの外端縁が非支持状態になるように支持する。
【0037】
このため、ラベル地5aの外端に沿って照射されたレーザ光は、ラベルシート5を溶融して切断した後にラベル支持板1a・41bと間隙をおいた凹所37aの底面により上方へ反射されるが、反射されたラベルシートレーザ光は、ラベルシート5に対して収斂されることなく照射されるため、該反射レーザ光によりラベルシート5が溶融されるのを回避し、溶融切断されたラベル1の外端縁が反射レーザ光により再び、溶融されるのを防止して切断精度を良好にすることができる。(
図8参照)
【0038】
また、ラベルシート5の溶融切断時においては、レーザ光の熱により合成樹脂成分や印刷されたインキ成分が炭化し、ラベル1の外縁に付着する恐れがある。本例にあっては、上記したようにラベル支持板1a・41bに対してラベルシート5のラベル地5aの外端縁が非支持状態、従って凹所37a内に浮いた状態になるように支持されるため、上記レーザ光の熱で炭化した合成樹脂成分やインキ成分が凹所37a内に落下し、切断されたラベル1の外縁に付着するのを防止することができる。
【0039】
本実施例は、ラベルシート5からラベル1を切断する際に、ラベルシートに対して非接触状態でラベル地5aの外端に沿って走査されるレーザ光により溶融切断することによりラベルの高い精度で切断することができる。また、ラベルシート5の溶融切断時においては、ラベル支持板1a・41bによりラベル地5aを、その外端縁が非支持状態で支持し、走査出力されるレーザ光の反射光が溶融切断されたラベル1の外縁側に照射されて溶融するのを防止し、ラベル1の切断精度を良好にすることができる。更に、ラベルシート5の溶融切断時にレーザ光の熱で炭化した合成樹脂成分やインキ成分を凹所37a内へ落下させてラベル1の外縁に付着するのを防止し、切断精度が優れたラベル1を形成することができる。
【0040】
上記説明は、各レーザ光出力ヘッド29a・29b毎にレーザ光発振部材35a・35bを接続してラベルシート5に対してレーザ光をそれぞれ出力する構成としたが、単一のレーザ光発振部材から出力されるレーザ光を反射鏡、半透鏡等により分光してそれぞれのレーザ光出力ヘッド29a・29bへ導光してラベルシート5へレーザ光を照射する構成としてもよい。
【0041】
更に、レーザ光出力ヘッド29a・29bから出力されるレーザ光によりラベルシート5を溶融切断する際に、レーザ光出力ヘッド29a・29bと一体または別体に設けられたエアー噴射ノズル(図示せず)からラベルシート5に向かって圧縮空気を噴射して溶融したラベル1の外端を瞬時に硬化させる構成としてもよい。
【0042】
上記説明は、昇降テーブル37に凹所37aを形成し、該凹所37a内にラベル支持板41a・41bを凹所37aの底面に対して高さを設けて取付ける構成、又は昇降テーブル37におけるラベル支持突面41c・41dの外縁に溝37bを形成して凹所37aの底面又は溝37bの底面からの反射レーザ光が切断されたラベル1に対して収斂するのを回避する構成としたが、上記凹所37aの底面又は溝37bの底面を、レーザ光を吸収する色彩で着色処理してラベルシート5に照射されるレーザ光を吸収してラベル1への反射を規制する構成、又はラベル支持板41a・41bの外縁に応じた昇降テーブル37、ラベル支持突面41c・41dの外縁に応じた昇降テーブル37に開口を形成し、ラベルシート5に照射されてラベル1を切断したレーザ光を開口を介して昇降テーブル外へ透光してレーザ光の反射を回避する構成としてもよい。
【0043】
更に、昇降テーブル37には、凹所37a内又は溝37b内と連通して排気ダクトを設け、ラベルシート5からラベル1を切断する際にレーザ光の熱で炭化された構成樹脂成分、インキ成分を強制的に吸引して排出する構成としてもよい。
【0044】
また更に、上記ラベル支持板41a・41b又はラベル支持突面41c・41dに、負圧発生源に接続された吸引孔を形成し、レーザ光により切断されたラベル1を吸引してラベル支持板41a・41b又はラベル支持突面41c・41dに吸着保持させる構成としてもよい。