(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排気エアを前記レシーバタンクに飽和状態となるまで回収した後、次に前記成形体のブロー成形が開始されるまでの間に、エア源から前記レシーバタンクにエアを圧縮供給して当該レシーバタンクの圧力を上昇させることを特徴とする請求項1に記載のブロー成形装置の作動方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような特許文献1に記載の装置では、排気エアを再利用して各種駆動装置を良好に作動させることはできるものの、成形サイクル毎に成形品の品質にバラツキが生じてしまう虞があった。
【0008】
本願発明者は、誠意研究を重ねた結果、この成形品の品質バラツキが、排気エア回収時の作動エアタンクの圧力に起因するとの知見を得た。具体的には、排気エア回収時のレシーバタンク(作動エアタンク)の圧力によって、成形後に単位時間あたりに排出される排気エアの量(排気エア率)が変動し、この排気エア率によって成形品の品質に違いが生じることを知見した。
【0009】
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、排気エアを作動エアとして有効に再利用することができ且つ最終成形品の品質バラツキを抑制することができるブロー成形装置の作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、樹脂材料からなる成形体をブロー型内でブロー成形して中空容器を成形
し、ブロー成形に関与する各種駆動装置を備えると共に該各種駆動装置の作動のための作動エアの消費量が各成形サイクルにおいて一定であるブロー成形装置の作動方法であって、
ブローエアタンクに蓄えられているブローエアを前記ブロー型に収容された前記成形体に供給して当該成形体を所定形状に膨張させた後、前記成形体から排出される排気エアをレシーバタンクに回収し、回収した排気エアを
前記各種駆動装置の作動のための作動エアとして再利用するに際し、
前記排気エアを前記レシーバタンクに回収することで前記レシーバタンクの圧力が予め設定された第1の設定値に達すると、前記レシーバタンクへの前記排気エアの回収を終了し、前記排気エアを前記レシーバタンクに飽和状態となるまで回収した時点で、前記レシーバタンクの圧力が
前記第1の設定値に達していない場合には、次に前記排気エアの回収が開始されるまでの間に、エア源から前記レシーバタンクにエアを圧縮供給して当該レシーバタンクの圧力を上昇させ、各成形サイクルにおける前記排気エアの回収開始時点の前記レシーバタンクの圧力が
一定となるようにしたことを特徴とするブロー成形装置の作動方法にある。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記排気エアを前記レシーバタンクに飽和状態となるまで回収した後、次に前記成形体のブロー成形が開始されるまでの間に、エア源から前記レシーバタンクにエアを圧縮供給して当該レシーバタンクの圧力を上昇させることを特徴とする第1の態様のブロー成形装置の作動方法にある。
本発明の第3の態様は、前記レシーバタンクの圧力を、エア源から前記レシーバタンクエアにエアを圧縮供給してから前記排気エアの回収開始までの期間に応じて設定された所定圧力に、上昇させることを特徴とする第2の態様のブロー成形装置の作動方法にある。
本発明の第4の態様は、前記所定圧力は、エア源から前記レシーバタンクエアにエアを圧縮供給してから前記排気エアの回収開始までの期間が長いほど高く設定することを特徴とする第3の態様のブロー成形装置の作動方法にある。
【0012】
本発明の第
5の態様は、前記排気エアをレシーバタンクに飽和状態となるまで回収した直後に、エア源から前記レシーバタンクにエアを圧縮供給して、前記レシーバタンクの圧力を前記第1の設定
値に達するまで上昇させることを特徴とする第
1〜4の何れか一つの態様のブロー成形装置の作動方法にある。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、排気エアを作動エアとして有効に再利用することができると共に、最終成形品の品質バラツキを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るブロー成形装置の側面図である。
【0017】
図1に示すように、ブロー成形装置10は、搬送部材12上に倒立状態で保持された、例えば、PET樹脂等からなるプリフォーム(成形体)110を所定形状の中空容器100にブロー成形するものである。本実施形態に係るブロー成形装置10は、ブローキャビティ型14内に配されたプリフォーム110を、ブローエアと共に延伸ロッド16によって延伸させて所定形状の中空容器を形成する、いわゆる二軸延伸ブロー成形装置である。
【0018】
ブローキャビティ型14は、割型で構成され、図示しないブロー型締め装置により機台18上で型開閉、型締め可能にされている。また、ブローキャビティ型14の上部には、図示しない底型が組み合わされるようになっている。
【0019】
なお
図1では、左側のブローキャビティ型14が型閉、右側のブローキャビティ型14が型開状態で示され、右側のブローキャビティ型14の断面が省略されている。
【0020】
延伸ロッド16は、延伸ロッド昇降機構20に保持されており、延伸ロッド昇降機構20は、作動エアによって延伸ロッド16を昇降可能に構成されている。なお延伸ロッド昇降機構20の構成は、公知の構成であるため詳細な説明は省略する。
【0021】
また搬送部材12の下方位置には、延伸ロッド16を貫通させて延伸ロッド16の昇降時の案内を行う案内部材としてのシールピストン22が設けられている。このシールピストン22は、作動エアにて昇降可能にされ、載置台24の下端に上端のシール部をプリフォーム110の開口部に当接させてシール可能にすると共に、ブロー成形時に内部に形成したエア供給路よりブローキャビティ型14(プリフォーム110)内にブローエアを供給し得るようになっている。
【0022】
ここで、本実施形態に係るブロー成形装置10では、プリフォーム110をブロー成形する際に、使用済の高圧のブローエア(排気エア)を回収し、ブロー成形装置10が備える各種駆動装置、例えば、上述した延伸ロッド昇降機構20、シールピストン22等を作動させるための作動エアとして再利用している。このように排気エアを有効的に利用することで経済性を高めることができる。
【0023】
以下、ブロー成形装置10の作動方法、具体的には、ブロー成形装置10における排気エアの回収方法について説明する。
【0024】
本実施形態に係るブロー成形装置10は、
図2に示すように、上述した各種駆動装置を作動させるための低圧の作動エアが蓄えられたレシーバタンク30を備えている。すなわちレシーバタンク30は、供給管31を介して各種駆動装置に接続されており、これら各種駆動装置には、供給管31を介して適正圧力の作動エアが供給される。例えば、供給管31には、第1の減圧バルブ32およびリリーフバルブ33が設けられており、これら第1の減圧バルブ32およびリリーフバルブ33によってレシーバタンク30内の作動エアが設定圧力まで減圧されるようになっている。具体的には、レシーバタンク30から供給管31に供給される作動エアは、まずは第1の減圧バルブ32によって予め設定された設定圧力まで減圧される。このとき第1の減圧バルブ32によって作動エアが充分に減圧されていない場合には、作動エアの一部がリリーフバルブ33から外部に排出されて供給管31を流れる作動エアの圧力が設定圧力まで減圧される。
【0025】
なお本実施形態では、リリーフバルブ33の下流にあたる供給管31上に、第2の減圧バルブ34を設けている。この第2の減圧バルブ34は、作動エアが第1の減圧バルブ32およびリリーフバルブ33によって設定圧力まで減圧されなかった場合に機能する。すなわち第2の減圧バルブ34は、設定圧力までの減圧処理をより安全で確実なものにするために予備的に設けられている。したがって、第1の減圧バルブ32及びリリーフバルブ33によって作動エアを設定圧力まで確実に減圧することができれば、第2の減圧バルブ34は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0026】
またこのようなレシーバタンク30には、上述したブローキャビティ型14が回収管35を介して接続されている。図示は省略するがブローキャビティ型14は、本実施形態では4つ設けられており、これらの各ブローキャビティ型14が回収管35によってレシーバタンク30にそれぞれ接続されている。各回収管35には回収バルブ36と逆止バルブ37とが設けられている。逆止バルブ37は、回収管35の回収バルブ36よりも下流側(レシーバタンク30側)に設けられている。また回収管35の回収バルブ36と逆止バルブ37との間には、排気管38を介して排気バルブ39が接続されている。
【0027】
そして詳しくは後述するが、このような回収管35を介して使用済の高圧のブローエア(排気エア)をブローキャビティ型14からレシーバタンク30に回収することで、ブロー成形中に各種駆動装置で消費された作動エアの補給を行っている。
【0028】
またレシーバタンク30には、プリフォーム110をブロー成形するための高圧のブローエアが蓄えられたブローエアタンク40が連通管41によって接続されている。なおブローエアタンク40には、例えば、コンプレッサ等の供給手段が接続されており、ブローエアタンクの圧力は、常に所定範囲内に保持されている。例えば、本実施形態では、ブローエアタンク内の圧力は、3.0MPa〜3.5MPaの範囲内に保持されている。
【0029】
またレシーバタンク30とブローエアタンク40とを接続する連通管41には供給バルブ42が設けられており、この供給バルブ42の開閉によってレシーバタンク30へのエアの供給が制御されている。供給バルブ42の開閉は、後述するように基本的には排気エアの回収状況に応じて制御されている。ただしレシーバタンク30内の圧力が下限値を下回った場合には、供給バルブ42を強制作動させてレシーバタンク30内の圧力が所定の範囲となるようにしている。具体的には、レシーバタンク30には、レシーバタンク30内の圧力を検出する圧力計43と、圧力計43が示すレシーバタンク30の値に応じて作動するスイッチ44が接続されており、このスイッチ44に連動して供給バルブ42が強制作動されるようになっている。例えば、本実施形態では、スイッチ44は、レシーバタンク30の圧力が下限値(本実施形態では1.0MPa)を下回ると供給バルブ42をONさせるための信号を出力する。これにより供給バルブ42が開かれて連通管41を介してブローエアタンク40とレシーバタンク30とが連通された状態となる。その後スイッチ44は、レシーバタンク30の圧力が上限値(本実施形態では2.3MPa)に達すると供給バルブ42をOFFさせるための信号を出力する。これにより供給バルブ42が閉じられてブローエアタンク40とレシーバタンク30との連通が遮断される。このように供給バルブ42がスイッチ44と連動することで、レシーバタンク30の圧力が、下限値と上限値との間に保持されている。
【0030】
なおレシーバタンク30には、内部の圧力が所定値(例えば、上記上限値)を超えると開くように構成されたリリーフバルブ45が設けられている。このため、レシーバタンク30の圧力がたとえ上限値を超えてしまった場合でも、圧力の大幅な上昇は抑えられる。したがって、レシーバタンク30の圧力がより確実に所定範囲内に保持される。
【0031】
以下、
図3のフローチャートを参照し、このようなブロー成形装置10の作動方法について説明する。
【0032】
射出成形等によって形成されたプリフォーム110がブローキャビティ型14内に配置されると、
図3に示すように、まずステップS1でブローが開始される。すなわちブローエアタンク40からブローキャビティ型14(プリフォーム110)に高圧のブローエアが供給され始める。このとき、回収バルブ36、排気バルブ39及び供給バルブ42は閉じた状態となっている。その後、プリフォーム110が所定形状の中空容器100に形成されるとブローが終了する(ステップS2)。つまりブローエアタンク40からブローキャビティ型14へのブローエアの供給が停止される。
【0033】
次いでステップS3で回収バルブ36がONにされる。すなわち図示しない開閉バルブ等によってブローキャビティ型14へのブローエアの供給が停止されるのと同時に回収バルブ36が開かれて、ブローキャビティ型14(中空容器100)から排出される排気エアが回収管35を介してレシーバタンク30に回収される。
【0034】
ステップS4では、排気エアの回収によりレシーバタンク30の圧力が第1の設定値P1以上であるか否かが判定される。ここで、レシーバタンク30の圧力が第1の設定値P1以上である場合には(ステップS4:Yes)、ステップS5で回収バルブ36がOFFにされて排気エアのレシーバタンク30への回収が停止される。なお回収バルブ36がOFFにされる際には、同時に排気バルブ39がONにされ、ブローキャビティ型14に残っているブローエアが外部に排出された後、ブローキャビティ型14が開かれて中空容器100が回収される。その後は、ステップS6に進み、次に処理する対象がある場合(次のブローがある場合)には(ステップS6:No)、ステップS1に戻り、次に処理する対象がない場合には(ステップS6:Yes)、一連の処理を終了する。
【0035】
ここで、ブロー成形装置10の動作方法を
図4のグラフを参照して説明する。まず時刻T1でブローエアタンク40からブローキャビティ型14へのブローエアの供給が開始されると、
図4中に点線で示すようにブローキャビティ型14(プリフォーム110)内の圧力が徐々に上昇する。ブローキャビティ型14の圧力が所定圧力Pmに達すると、この圧力が一定時間保持されてプリフォーム110が所定形状の中空容器100に成形される。ブロー成形中、レシーバタンク30の圧力は、延伸ロッド昇降機構20等の各種駆動装置を作動させることによって徐々に減少する(
図4中実線参照)。ブロー成形が終了すると(時刻T2)、ブローエアの供給が停止されると共に回収バルブ36がONにされ、ブローキャビティ型14(中空容器100)内の圧力は急激に減少する。一方、レシーバタンク30の圧力は、排気エアが回収されることで急激に上昇する。そして、排気エアの回収が終了し(時刻T3)、回収バルブ36がOFFにされて次の成形サイクルに移行すると、レシーバタンク30の圧力は、次のブロー成形が終了するまで(排気エアの回収が開始されるまで)、各種駆動装置の作動によって再び徐々に減少する。
【0036】
なお各種駆動装置の作動エアの消費量は、各成形サイクルにおいて略一定である。すなわちレシーバタンクの圧力の減少量は、各成形サイクルにおいて略一定である。したがって各成形サイクルにおいて、排気エア回収後のレシーバタンク30の圧力が一定であれば、排気エアの回収開始時におけるレシーバタンク30の圧力も略一定となる。
【0037】
例えば、
図4に示すように、排気エアの回収後(時刻T3)にレシーバタンク30の圧力が略一定の値(第1の設定値P1)に達している場合、次に排気エアの回収が開始される時点(時刻T4)には、レシーバタンク30の圧力は略一定の値(第2の設定値P2)となる。
【0038】
これにより、各成形サイクルにおいてブローキャビティ型14(中空容器100)のブローエアが排出される際には、ブローキャビティ型14内の圧力と、レシーバタンク30内の圧力との差圧は略一定となる。すなわち、ブローキャビティ型14から単位時間あたりに排出される排気エアの量(排気エア率)は各成形サイクルにおいて略一定となる。したがって、中空容器100の品質バラツキが抑えられる。また排気エアも作動エアとして有効に利用することができる。
【0039】
なお第1の設定値P1の値は、特に限定されないが、1成形サイクル中に各種駆動装置の作動に必要なエア量に応じて適宜設定されればよい。
【0040】
また、中空容器の大きさや、一度に成形する数等にもよるが、排気エアの回収のみによってはレシーバタンク30の圧力が第1の設定値P1まで上昇しない場合がある。レシーバタンクの圧力が第1の設定値P1まで上昇していなくても、各種駆動装置の作動に支障はない。つまりレシーバタンク30の圧力が上述した上限値と下限値との間となっていれば、各種駆動装置の作動に支障はない。なお下限値は、例えば、第2の設定値P2よりも若干低い値に設定され、上限値は、例えば、第1の設定値P1よりも若干高い値に設定されている。
【0041】
しかしながら、レシーバタンク30の圧力が第1の設定値P1まで上昇していない場合、排気エアの回収が開始される時点(時刻T2)におけるレシーバタンク30の圧力が、成形サイクル毎に低下することになる。すなわち排気エアの回収が開始される時点におけるレシーバタンク30の圧力が、各成形サイクルにおいて略一定の値(第2の設定値P2)にはならない。このため、各成形サイクルで成形される中空容器の品質にバラツキが生じてしまう虞がある。
【0042】
そこで本発明では、排気エアをレシーバタンク30に飽和状態となるまで回収した時点、つまり排気エアの回収終了時点(時刻T3)において、レシーバタンク30の圧力が第1の設定値P1まで上昇していない場合には、次に排気エアの回収が開始されるまでの間に、エア源からレシーバタンク30にエアを圧縮供給してレシーバタンク30の圧力を所定値に達するまで上昇させ、次の排気エアの回収開始時点(時刻T4)におけるレシーバタンク30の圧力が、各成形サイクルにおいて略一定(第2の設定値P2)となるようにしている。
【0043】
図3のフローチャートに示すように、ステップS4において排気エアの回収によってもレシーバタンクの圧力が第1の設定値P1未満である場合(ステップS4:No)、ステップS7に進み、排気エアの回収開始(時刻T2)からの経過時間TMが所定時間を超えたか否かを判定する。このステップS7では、経過時間TMに基づいてレシーバタンク30に飽和状態となるまで排気エアが回収されたか否かを判定している。経過時間TMが所定時間を超えている場合には、レシーバタンク30に飽和状態となるまで排気エアが回収されたと判定され(ステップS7:Yes)、ステップS8に進む。ステップS8では、次に排気エアの回収が開始されるまでの間に、所定のタイミングでレシーバタンク30の圧力を所定値以上に上昇させる。すなわち、上記所定のタイミングにおけるレシーバタンクの圧力が、
図4中に実線で示すレシーバタンクの圧力に達するまで上昇させる。例えば、
図5(a)に示すように、所定のタイミング(時刻T5)で実施する場合には、レシーバタンク30の圧力を所定値P3に達するまで上昇させる。また例えば、
図5(b)に示すように、所定のタイミング(時刻T6)で実施する場合には、レシーバタンク30の圧力を所定値P4に達するまで上昇させる。その後、ステップS6に進み、次に処理する対象がある場合(次のブローがある場合)には(ステップS6:No)、ステップS1に戻り、次に処理する対象がない場合には(ステップS6:Yes)、一連の処理を終了する。
【0044】
このようにレシーバタンク30の圧力を所定圧力まで上昇させることで、排気エアの回収が開始される時点におけるレシーバタンク30の圧力が、各成形サイクルで略一定の値(第2の設定値P2)となる。したがって、上述のように各成形サイクルで成形される中空容器100の品質バラツキを抑制することができる。
【0045】
なおステップS8においてレシーバタンク30の圧力を所定値まで上昇させる方法は特に限定されないが、例えば、本実施形態では、エア源であるブローエアタンク40からレシーバタンク30にエアを圧縮供給することでレシーバタンク30の圧力を所定値に達するまで上昇させている。具体的には、
図6のフローチャートに示すように、ステップS11で供給バルブ42がONにされる。これによりブローエアタンク40内の高圧のエアがレシーバタンク30に供給され、レシーバタンク30の圧力が上昇する。ステップS12では、レシーバタンク30の圧力が所定値まで上昇したか否かが判定され、レシーバタンク30の圧力が所定値まで上昇した時点で(ステップS12:Yes)、供給バルブ42がOFFにされる(ステップS13)。
【0046】
このようにステップS8でレシーバタンク30の圧力を上昇させるタイミングは、排気エアの回収が終了して次に排気エアの回収が開始されるまでであれば、特に限定されないが、プリフォーム110のブロー成形が開始されるまでに実施することが好ましい。特に、排気エアをレシーバタンク30に飽和状態となるまで回収した直後に実施して、レシーバタンク30の圧力を第1の設定値P1に達するまで上昇させることが好ましい。これにより、ブロー成形に影響を及ぼすことなくレシーバタンク30の圧力を良好に上昇させることができる。したがって中空容器100の品質バラツキを抑制することができ、且つ排気エアも作動エアとして有効に利用することができる。
【0047】
なお本実施形態では、ブローエアタンク40をエア源としてレシーバタンク30の圧力を上昇させるようにしているが、例えば、コンプレッサ等の供給手段をレシーバタンク30に接続しておき、供給手段をエア源としてレシーバタンク30の圧力を上昇させるようにしてもよい。
【0048】
(実施形態2)
実施形態1では、プリフォーム110をブロー成形することによって最終形状である中空容器100を形成するようにしたが、本実施形態は、プリフォーム110をブロー成形して中間成形品である一次ブロー成形品120を形成した後、この一次ブロー成形品120をさらにブロー成形することにより最終形状である中空容器100を形成するようにした例である。
【0049】
実施形態2に係るブロー成形装置10Aは、例えば、耐熱性を有する中空容器を製造するものであり、
図7に示すように、プリフォーム供給部50と、加熱部60と、一次ブロー成形部70と、最終ブロー成形部80とを備える。そして、このブロー成形装置10Aでは、
図8に示すように、プリフォーム110、一次ブロー成形品120を経て、最終成形品である中空容器100が成形される。なお特許請求の範囲でいう「成形体」には、プリフォーム110と一次ブロー成形品120とが含まれる。
【0050】
プリフォーム供給部50は、機外からのプリフォーム110の供給を受け、供給されたプリフォームを加熱部60に搬送する。加熱部60は、ヒータによりプリフォーム110を成形適温に加熱する。所定温度に加熱されたプリフォーム110は一次ブロー成形部70に搬送される。
【0051】
一次ブロー成形部70では、一次ブロー成形型内に配されたプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより、最終成形品である中空容器100よりも若干大きいサイズかほぼ同じサイズの一次ブロー成形品を形成する(一次ブロー成形工程)。具体的には、
図9(a)に示すように、所定の延伸適温に加熱されたプリフォーム110を、一次ブロー成形型71内に配置し、一次ブロー成形型71(プリフォーム110)内に高圧のブローエアを供給すると共に、延伸ロッド16によってプリフォーム110を縦軸方向に延伸させる。これにより最終成形品である中空容器100よりも若干大きいサイズかほぼ同じサイズの一次ブロー成形品120が形成される(
図8参照)。
【0052】
さらに一次ブロー成形部70では、一次ブロー成形型71を加熱しているので、成形された一次ブロー成形品120に加熱処理が施される(熱処理工程)。具体的には、一次ブロー成形品120に高圧のブローエアを供給した状態で一次ブロー成形型71を加熱し、一次ブロー成形型71内の内壁面に一次ブロー成形品120を所定時間接触させて加熱処理(ヒートセット処理)する。そして、一次ブロー成形品120内のブローエアを排気エアとして排気した後、一次ブロー成形品120を一次ブロー成形型71から取り出す。
【0053】
なお一次ブロー成形品120は、最終成形品である中空容器100よりも若干大きく膨らむ場合もあるが(
図8中に点線で示す)、上述のような加熱処理を受けた後、高圧のブローエアが排気された途端に内部応力に従って急速に収縮する(
図8中に実線で示す)。その結果、一次ブロー成形品120の全高は中空容器よりも低い高さに落ち着く。その後、一次ブロー成形品120は、最終ブロー成形部80に搬送される。
【0054】
最終ブロー成形部80では、加熱処理が施されて収縮した一次ブロー成形品120をブロー成形することにより最終成形品である中空容器100を形成する。具体的には、
図9(b)に示すように、最終ブロー成形型81内に一次ブロー成形品120を配置し、最終ブロー成形型81を所定温度に加熱した状態で、最終ブロー成形型81(一次ブロー成形品120)に高圧のブローエアを供給する。これにより一次ブロー成形品120が縦軸方向及び横軸方向に延伸され、最終ブロー成形型81の内壁面に押圧されて熱処理され、最終成形品である中空容器100が成形される(
図8参照)。
【0055】
このように最終ブロー成形部80で成形された中空容器100は、内部のブローエアが排気エアとして排気された後、最終ブロー成形型81から取り出され、例えば、ベルトコンベアー等の移動手段によって、所定の保管場所まで搬送される。
【0056】
そして、このような本実施形態のブロー成形装置10Aでは、一次ブロー成形部70、最終ブロー成形部80のそれぞれにおいて、実施形態1で説明したように排気エアの再利用を行っている。すなわち、排気エアを再利用する際に、一次ブロー成形部70及び最終ブロー成形部80のそれぞれで、排気エアの回収開始時点におけるレシーバタンク30の圧力が、各成形サイクルにおいて略一定(第2の設定値P2)となるようにしている。
【0057】
これにより、中空容器100の品質バラツキを抑制することができ、且つ排気エアも作動エアとして有効に利用することができる。特に熱処理工程後には、一次ブロー成形品120の品質バラツキが生じやすいため、熱処理工程を実施する場合には、最終成形品である中空容器の品質バラツキも生じやすい。しかしながら、本実施形態では、一次ブロー成形部70において、排気エアの回収時点のレシーバタンク30の圧力が各成形サイクルで一定となるようにしているため、中空容器100の品質バラツキを効果的に抑制することができる。
【0058】
(他の実施形態)
以上本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更が可能である。
【0059】
例えば、上述したブロー成形装置の構成は、あくまで一例であり、排気エアを回収可能な構成であれば、特に限定されるものではない。上述の実施形態では、いわゆる1ブロー及び2ブロー方式を採用したブロー成形装置を一例として本発明を説明したが、勿論、本発明は、いわゆる3ブロー方式を採用したブロー成形装置にも適用することができるものである。また上述の実施形態では、プリフォームを倒立状態で二軸延伸ブロー成形する装置について説明したが、この例に限らず、本発明は、プリフォームを成立状態でブロー成形する装置であっても勿論適用することができる。
【0060】
また実施形態2では、一次ブロー成形部70及び最終ブロー成形部80のそれぞれで、使用済の高圧のブローエア(排気エア)を回収するようにしたが、必要に応じて、一次ブロー成形部70又は最終ブロー成形部80の何れか一方で実施するようにしてもよい。