特許第5725783号(P5725783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5725783
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/02 20060101AFI20150507BHJP
   F16K 51/02 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   F16K3/02 Z
   F16K51/02 B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-220106(P2010-220106)
(22)【出願日】2010年9月30日
(65)【公開番号】特開2012-72888(P2012-72888A)
(43)【公開日】2012年4月12日
【審査請求日】2013年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141347
【氏名又は名称】株式会社ブイテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100100000
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
(72)【発明者】
【氏名】永井 秀明
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 一男
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−035160(JP,A)
【文献】 特表2002−520811(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0083978(US,A1)
【文献】 特開2004−036762(JP,A)
【文献】 特表2011−505528(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/070824(WO,A1)
【文献】 特開平08−028750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00−3/36,
F16K 51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器側または管体側の接続部に取り付けられるバルブ装置であって、
上記接続部に対応する位置に取り付けられるとともに、四方の側壁部およびこれら側壁部の両端部を閉塞し得る端壁部から成り且つこれら側壁部のうち互いに対向する一対の側壁部に板状材を挿通し得る挿通穴が形成されたバルブ収納体と、
このバルブ収納体の内部に配置されるとともに中央に上記挿通穴に対応する位置で開口部が形成されたバルブシートと、
上記バルブ収納体の内部に且つ上記バルブシートに沿ってスライド可能に配置されてその開口部を開閉可能なバルブ本体と、
上記バルブ収納体の一方の端壁部側に設けられて上記バルブ本体をスライドさせて上記開口部を開閉駆動するバルブ駆動体とから構成し、
さらに上記バルブシートをバルブ駆動体の設置側とは反対側である他方の端壁部に固定し、
且つ上記バルブシートの端縁部に、その先端が細くなるように第1傾斜面を形成するとともに、上記バルブ収納体の内部に、上記第1傾斜面に対応する第2傾斜面を有して上記バルブシートを当該バルブ収納体内に挿入する際にその側壁部に押し付け得る縁部押圧部材を、配置したことを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
容器側または管体側の接続部に取り付けられるバルブ装置であって、
上記接続部に対応する位置に取り付けられるとともに、四方の側壁部およびこれら側壁部の両端部を閉塞し得る端壁部から成り且つこれら側壁部のうち互いに対向する一対の側壁部に板状材を挿通し得る挿通穴が形成されたバルブ収納体と、
このバルブ収納体の内部に配置されるとともに中央に上記挿通穴に対応する位置で開口部が形成されたバルブシートと、
上記バルブ収納体の内部に且つ上記バルブシートに沿ってスライド可能に配置されてその開口部を開閉可能なバルブ本体と、
上記バルブ収納体の一方の端壁部側に設けられて上記バルブ本体をスライドさせて上記開口部を開閉駆動するバルブ駆動体とから構成し、
さらに上記バルブシートの互いに対称位置となる両端縁部にその先端が細くなるように第1傾斜面をそれぞれ形成するとともに、上記バルブ収納体の一方の端壁部および反対側の他方の端壁部に、上記各第1傾斜面に対応する第2傾斜面を有し且つ上記バルブシートを当該バルブ収納体内に挿入して他方の端壁部を側壁部に固定した際に当該バルブシートを上記側壁部に押し付け得る第1および第2縁部押圧部材を、それぞれ配置したことを特徴とするバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば真空容器の側壁部に設けられて当該真空容器内を外部から密閉するためのバルブ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空装置として、真空容器内で所定の処理(例えば、真空蒸着など)を施すものがあるとともに、その処理対象物として、ウエハ、ハードディスクにおける記録媒体としてのディスクなどの薄い板状材用のものがある。この場合、当然ながら、真空容器内に、板状材を案内する必要があるため、真空容器の側壁部には、横に細長い開口部を開閉し得るバルブ装置が設けられることになる。
【0003】
例えば、このようなバルブ装置として、板状材を案内し得る挿通穴が両端部に設けられた容器内にバルブ装置を配置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
このバルブ装置は、水平取付部とこの水平取付部に直交して設けられるとともに中央に開口部が形成された鉛直方向のシート部からなる断面L字形状のバルブシートと、このバルブシートの水平取付部に貫通するように設けられて上記シート部の開口部を開閉し得る板状のバルブ本体とから構成されており、上記バルブシートは、容器側に取付用ボルトを介して固定されたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4210391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したように、バルブシートが取付用ボルトにより容器に固定される構造の場合、当然ながら、バルブシートの容器への取付けおよび取外し時には、取付用ボルトの着脱作業が必要となり、そのため、バルブシートの交換作業が非常に面倒になるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、バルブシートの着脱作業を容易に行い得るバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係るバルブ装置は、容器側または管体側の接続部に取り付けられるバルブ装置であって、
上記接続部に対応する位置に取り付けられるとともに、四方の側壁部およびこれら側壁部の両端部を閉塞し得る端壁部から成り且つこれら側壁部のうち互いに対向する一対の側壁部に板状材を挿通し得る挿通穴が形成されたバルブ収納体と、
このバルブ収納体の内部に配置されるとともに中央に上記挿通穴に対応する位置で開口部が形成されたバルブシートと、
上記バルブ収納体の内部に且つ上記バルブシートに沿ってスライド可能に配置されてその開口部を開閉可能なバルブ本体と、
上記バルブ収納体の一方の端壁部側に設けられて上記バルブ本体をスライドさせて上記開口部を開閉駆動するバルブ駆動体とから構成し、
さらに上記バルブシートをバルブ駆動体の設置側とは反対側である他方の端壁部に固定し、
且つ上記バルブシートの端縁部に、その先端が細くなるように第1傾斜面を形成するとともに、上記バルブ収納体の内部に、上記第1傾斜面に対応する(と平行な)第2傾斜面を有して上記バルブシートを当該バルブ収納体内に挿入する際にその側壁部に押し付けて固定し得る縁部押圧部材を、配置したものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に係るバルブ装置は、容器側または管体側の接続部に取り付けられるバルブ装置であって、
上記接続部に対応する位置に取り付けられるとともに、四方の側壁部およびこれら側壁部の両端部を閉塞し得る端壁部から成り且つこれら側壁部のうち互いに対向する一対の側壁部に板状材を挿通し得る挿通穴が形成されたバルブ収納体と、
このバルブ収納体の内部に配置されるとともに中央に上記挿通穴に対応する位置で開口部が形成されたバルブシートと、
上記バルブ収納体の内部に且つ上記バルブシートに沿ってスライド可能に配置されてその開口部を開閉可能なバルブ本体と、
上記バルブ収納体の一方の端壁部側に設けられて上記バルブ本体をスライドさせて上記開口部を開閉駆動するバルブ駆動体とから構成し、
さらに上記バルブシートの互いに対称位置(反対位置)となる両端縁部にその先端が細くなるように第1傾斜面をそれぞれ形成するとともに、上記バルブ収納体の一方の端壁部および反対側の他方の端壁部に、上記各第1傾斜面に対応する(と平行な)第2傾斜面を有し且つ上記バルブシートを当該バルブ収納体内に挿入して他方の端壁部を側壁部に固定した際に当該バルブシートを上記側壁部に押し付けて固定し得る第1および第2縁部押圧部材を、それぞれ配置したものである。
【発明の効果】
【0009】
上記各構成によると、バルブ装置を組み立てる際、またはバルブシートを交換する際に、バルブシートを端壁部に保持させた状態で、バルブ収納体に挿入させるとともに、その下縁部に形成された第1傾斜面を、バルブ収納体に設けられた縁部押圧部材の第2傾斜面に接触させてバルブシートをバルブ収納体の側壁部に押し付けて固定するようにしたので、従来のように、バルブシートを側壁部にボルトなどにより固定する場合に比べて、その組み立て作業はもとより、バルブシートの保守点検作業および着脱作業を極めて容易に行うことができる。より具体的に言えば、バルブシートと側壁部との間にシール材を配置する場合に、当該シール材を押し潰すような付勢力を発生させることができるので、ボルトを用いてバルブシートを側壁部に押し付けてシール材を押し潰す必要がなくなり、したがってバルブシートの前後面に壁面材が位置してボルトを用いることができないような場合でも、容易にシール材を押し潰すことができるとともに、バルブシートのメンテナンスも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係るバルブ装置の断面図である。
図2】同バルブ装置の要部切欠正面図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4】同バルブ装置における要部の分解斜視図である。
図5】同バルブ装置におけるシール用溝部の拡大断面図である。
図6】同バルブ装置におけるシール面の隙間を説明する要部拡大図である。
図7】本発明の実施例2に係るバルブ装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係るバルブ装置を具体的に示した実施例に基づき説明する。
ところで、このバルブ装置は、例えば、真空容器内で板状材の表面に真空蒸着を行った後、他の真空容器内に移送して所定の表面処理を行う真空処理設備における板状材の移送通路の途中に配置されて、真空容器同士を遮断して各真空容器での密閉を確保するものとして説明する。
[実施例1]
まず、実施例1に係るバルブ装置を、図1図6に基づき説明する。
【0012】
このバルブ装置は、図1に示すように、大きく分けて、板状材Aの移送通路である移送用管体1の途中に設けられた一対のフランジ部(壁体部の一例)2(2A,2B)同士間にボルト(図示せず)などにより取り付けられるバルブ収納体3と、このバルブ収納体3の内部に配置されて当該バルブ収納体3の前側と後側とを遮断し両側を密閉するためのバルブシート(所謂、弁座である)4およびバルブ本体5と、同じくバルブ収納体3側に設けられて上記バルブ本体5を開閉駆動するバルブ駆動体6とから構成されている。
【0013】
勿論、移送用管体1の横断面形状およびバルブ収納体3側に設けられる板状材Aの挿通用案内部の形状は、当該板状材Aを挿通し得るような横に細長い形状にされている。
なお、以下においては、板状材Aの引き出し方向(図1の矢印方向a)を「前側」として、またその逆方向を「後側」として説明する。
【0014】
上記バルブ収納体3は箱型形状にされており、内部には、バルブシート4およびバルブ本体5を収納し得る空間室が設けられている。
このバルブ収納体3は、前後一対の第1側壁部11(11F,11B)と、これら第1側壁部11の両側縁部に配置された左右一対の第2側壁部12(12L,12R)と、これら4つの側壁部11,12で囲まれた空間部分の上下を覆うように配置された上下一対の端壁部(以下、上側を上端壁部および下側を下端壁部と称す)13(13U,13D)とから構成されており、また下端壁部13D側には、バルブシート4の先端である下縁部を押さえて固定するための縁部押圧部材15が設けられている。さらに、この縁部押圧部材15の前面側には上端に行くほど後方に傾斜する固定側傾斜面(第2傾斜面)15iが設けられている。なお、この縁部押圧部材15は固定部材(図1にだけ示す)16により下端壁部13D側に固定されている。
【0015】
そして、上記両第1側壁部11(11F,11B)には、板状材Aを挿通し得る細長い挿通穴14(14F,14B)がそれぞれ同一位置(同一高さおよび同一水平位置)にて形成されている。
【0016】
さらに、上端壁部13Uの下面(内面)には、中央に上記挿通穴14と略同一形状の開口部17およびバルブ本体5が接触するシート部分(後述する)が形成された上記バルブシート4が垂下して取り付けられて(固定されて)おり、このバルブシート4の下縁部(端縁部)の後面側には、下端に行くほど細くなる、つまり前方に傾斜するシート側傾斜面(第1傾斜面)4iが形成されている。このシート側傾斜面4iは上記縁部押圧部材15の固定側傾斜面15iと同一(略同一も含む)の傾斜角度にされており、このバルブ装置の組立時に、両者は互いに接触して、バルブシート4をバルブ収納体3につまり前側壁部11F側に押圧して固定することになる。
【0017】
詳しく説明すれば、バルブ収納体3の組立時に、上端壁部13Uを第1側壁部11および第2側壁部12が一体化された四角枠状部材の上端部に載置するが、このとき、バルブシート4の下縁部のシート側傾斜面4iが縁部押圧部材15の固定側傾斜面15iに接触するように挿入させると、バルブシート4の下縁部が前方に押し付けられるため、当該バルブシート4は前側壁部11Fに押し付けられて固定される。
【0018】
なお、前側壁部11Fとバルブシート4との間にはパッキンなどのシール材18が設けられており、また上下の端壁部13と第1側壁部11および第2側壁部12との間にもシール材(図1では上側だけを示している)19が設けられている。
【0019】
次に、図2図4に基づき、バルブ本体5により開閉が行われる部分、つまりシール部分について説明する。
まず、バルブシート4の概略構成について説明すると、所定厚さの板体の一方の表面に、例えば後面側に2つの段部が形成されている。
【0020】
このバルブシート4は、所定厚さの上側部分である厚板部4aと、これよりも薄くされた中間部分である中間板厚部4bと、さらに薄くされた薄板部4cとから構成されており、また上記中間板厚部4bに開口部17が形成されている。したがって、この中間板厚部4bの表面が仕切面Sにされるとともに、この仕切面Sの正面視が台形状と逆台形状とが合体されてなる(その底辺同士が合わせられている)六角形状にされており、しかもこの仕切面Sの周囲がシール部分に、つまりシール面にされている。
【0021】
すなわち、バルブシート4には、開口部17の周囲に形成された正面視が六角形状の仕切面Sの上側を所定厚さでもって後方に突出させて台形状の第1凹状シール面21を有する凹状シート部(厚板部である)4aが形成されるとともに上記仕切面Sの下側を所定厚さでもって前方に凹ませて逆台形状の第1凸状シール面22および上記仕切面Sを有する凸状シート部(中間板厚部である)4bが形成され、且つ凸状シート部である中間板厚部4bと薄板部4cとの間には、第1凹状シール面21と第1凸状シール面22とを接続する左右の第1接続シール面23が形成されている。
【0022】
一方、バルブ本体5には、所定厚さの板体の一方の表面、例えば前面側に1つの段部が形成されている。すなわち、所定厚さの板体の下側部分である厚板部5aと、これよりも薄くされた薄板部5bとから構成されており、この薄板部5bは、バルブシート4の仕切面Sつまり凸状シート部である中間板厚部4bに対応して設けられるとともに当然ながらその正面視は台形状と逆台形状とからなる六角形状にされている。つまり、薄板部5bの下半分には、バルブシート4側の中間板厚部4bの下半分を案内し得るように逆台形状の凹状部5cが形成されている。
【0023】
詳しく説明すると、バルブ本体5の薄板部5b側には、上記第1凹状シール面21に対応する正面視形状が台形状の第2凸状シール面26が設けられるとともに、厚板部5a側には、上記第1凸状シール面22に対応する正面視形状が逆台形状の第2凹状シール面27が形成されており、また上記第1接続シール面23に対応されて第2凸状シール面26と第2凹状シール面27とを接続する左右の第2接続シール面28が設けられている。
【0024】
そして、バルブ本体5側には、対向するシール面同士を密閉し得る断面が円形のシール材(パッキンともいう)32が配置され、またバルブ本体5側の各シール面26〜28には、図4および図5に示すように、シール材32を配置し得る断面が円形(半径=r)のシール材に対応して円形状にされるとともにその外周から中心に向かって所定高さ(突出高さともいう)dだけ切除された(この切除する部分は、円弧および弦からなる割円でもある)残りの内面がC字形状(実軸の側部を所定高さでもって軸心に沿って削り落とした形状である)のシール用溝部[深さD(=2r−d:但し、円の半径をrとする)以下、単に、溝部と称す]31がそれぞれ形成され且つこれら各溝部31はそれぞれ接続されて無端状(エンドレス)にされている。
【0025】
さらに、図6に示すように、バルブシート4側の台形状および逆台形状のシール面21〜23と、これに対向するバルブ本体5側の台形状および逆台形状のシール面26〜28との隙間が、その水平区間における高さよりも、両側の傾斜区間における水平方向の幅L[d+x(オフセット量)]が大きくなるようにされて、水平区間における第1凹状シール面21hと傾斜区間における第1凹状シール面21dとが、同時に、シール材32に接触するように考慮されている。
【0026】
また、上記バルブ駆動体6は、図2および図3に示すように、バルブ収納体3の下端壁部13Dに設けられた取付部材41と、この取付部材41に設けられるとともにそのロッド部42aが下壁面部13Dを挿通されてバルブシート4の下縁部にそれぞれ連結された左右一対のシリンダ装置42とから構成されている。勿論、ロッド部42aと下端壁部13Dとの間にはシール材(図示せず)が配置されている。
【0027】
したがって、これら両シリンダ装置42によりバルブ本体5が上下に移動されて、バルブシート4に形成された開口部17が開閉されることになる。
閉鎖時には、バルブ本体5の第2凸状シート面26がバルブシート4の第1凹状シート面21に、左右の第2接続シート面28が左右の第1接続シート面23に、第2凹状シート面27が第2凸状シート面22にそれぞれ接近されて、バルブ本体5側に取り付けられている環状のシール材32により、外部に対して遮断することができる。
【0028】
なお、図面においては、ロッド部42aを直接バルブ本体5に連結するように図示するとともに、縁部押圧部材15を支持する固定部材16を配置したが、通常は、ロッド部42aとバルブ本体5との間には連結用部材が設けられており、この連結用部材のガイド部分に固定部材16が支持されることになる。
【0029】
上述した構成によると、バルブ装置を組み立てる際、またはバルブシートを交換する際に、バルブシート4を上端壁部13Uに保持させた状態で、バルブ収納体3に挿入させるとともに、その下縁部に形成されたシール側傾斜面4iを、バルブ収納体3に設けられた縁部押圧部材15の固定側傾斜面15iに接触させてバルブシート4をバルブ収納体3の前側壁部11Fに押し付けて固定するようにしたので、従来のように、バルブシートを側壁部に取付用ボルトなどにより固定する場合に比べて、その組み立て作業はもとより、バルブシートの保守点検作業および着脱作業を極めて容易に行うことができる。より具体的に言えば、バルブシート4と前側壁部11Fとの間にシール材18を配置する場合に、当該シール材18を押し潰すような付勢力を発生させることができるので、ボルトを用いてバルブシート4を前側壁部11Fに押し付けてシール材18を押し潰す必要がなくなり、したがってバルブシート4の前後面に壁面材が位置してボルトを用いることができないような場合でも、容易にシール材18を押し潰すことができるとともに、バルブシート4のメンテナンスも容易に行うことができる。また、開口部の寸法が変更になった場合でも、板状のバルブシートを交換するだけで済み、従来におけるように、取付部も一体化された断面L字形状のバルブシートを交換する場合に比べて、安価に対処することができる。さらに、バルブシート4の着脱時に、上方向または下方向の2方向から行うことができる。但し、下方向から行う場合には、バルブシート4は上端壁部13Uには固定されていない。
【0030】
なお、ここで、本実施例1に係るバルブ装置の構成を概略的に説明すると、以下のようになる。
すなわち、このバルブ装置は、容器側または管体側の接続部に取り付けられるバルブ装置であって、
上記接続部に対応する位置に取り付けられるとともに、四方の側壁部およびこれら側壁部の両端部を閉塞し得る端壁部から成るバルブ収納体と、
このバルブ収納体の内部に配置されるとともに中央に開口部が形成されたバルブシートと、
上記バルブ収納体の内部に且つ上記バルブシートに沿ってスライド可能に配置されてその開口部を開閉可能なバルブ本体と、
上記バルブ収納体の一方の端壁部側に設けられて上記バルブ本体をスライドさせて上記開口部を開閉駆動するバルブ駆動体とから構成し、
さらに上記バルブシートをバルブ駆動体の設置側とは反対側である他方の端壁部に固定し、
且つ上記バルブシートの端縁部に、その先端が細くなるように第1傾斜面を形成するとともに、上記バルブ収納体の内部に、上記第1傾斜面に対応する第2傾斜面を有して上記バルブシートを当該バルブ収納体内に挿入する際にその側壁部に押し付けて固定し得る縁部押圧部材を、配置したものである。
[実施例2]
次に、本発明の実施例2に係るバルブ装置を図7に基づき説明する。
【0031】
上記実施例1においては、バルブシートをバルブ収納体の上端壁部に取り付ける(保持させる)ようにしたが、本実施例2においては、バルブシートを上端壁部から切り離すとともに上側についても縁部押圧部材を用いて固定するようにしたものであり、本実施例2の説明においては、この部分に着目して説明するとともに、その他の同一の構成部材については、同一番号を付して簡単に説明する。
【0032】
すなわち、図7に示すように、バルブシート4′をバルブ収納体3の上端壁部13Uから切り離すとともに、上端壁部13Uにも、下端壁部13Dに設けた縁部押圧部材15と同様に、バルブシート4′の上縁部を押さえて固定するための上側の縁部押圧部材[第1縁部押圧部材であり、以下、上縁部押圧部材といい、実施例1で説明した下側の縁部押圧部材(第2縁部押圧部材)15を下縁部押圧部材といい、また下縁部押圧部材15に設けられる第2傾斜面を下固定側傾斜面15iという]51が設けられている。なお、この上縁部押圧部材51の前面側には下端に行くほど後方に傾斜する第2傾斜面である上固定側傾斜面51iが設けられている。そして、バルブシート4′の上縁部の後面側には、上端に行くほど細くなる、つまり後方に傾斜する第1傾斜面である上シート側傾斜面4′jが設けられている。この上シート側傾斜面4′jは上縁部押圧部材51の上固定側傾斜面51iと同一(略同一も含むものとする)の傾斜角度にされている。
【0033】
この構成によると、バルブ装置を組み立てる際に、バルブシート4′だけをバルブ収納体3に挿入させるとともに、まずその下縁部に形成された下シール側傾斜面4′iを、バルブ収納体3に設けられた下縁部押圧部材15の下固定側傾斜面15iに接触させてバルブシート4′をバルブ収納体3の前側壁部11Fに押し付けた後、上端壁部13Uを側壁部11,12の上端部に載置し、そしてその下面に設けられた上縁部押圧部材51の上固定側傾斜面51iを上シート側傾斜面4′jに接触させて、バルブシート4′の上縁部を固定するようにしたので、従来のように、バルブシートを側壁部に取付用ボルトなどにより固定する場合に比べて、その組み立て作業はもとより、バルブシートの保守点検作業および交換作業を極めて容易に行うことができる。
【0034】
ここで、本実施例2に係るバルブ装置の構成を概略的に説明すると、以下のようになる。
すなわち、このバルブ装置は、容器側または管体側の接続部に取り付けられるバルブ装置であって、
上記接続部に対応する位置に取り付けられるとともに、四方の側壁部およびこれら側壁部の両端部を閉塞し得る端壁部から成るバルブ収納体と、
このバルブ収納体の内部に配置されるとともに中央に開口部が形成されたバルブシートと、
上記バルブ収納体の内部に且つ上記バルブシートに沿ってスライド可能に配置されてその開口部を開閉可能なバルブ本体と、
上記バルブ収納体の一方の端壁部側に設けられて上記バルブ本体をスライドさせて上記開口部を開閉駆動するバルブ駆動体とから構成し、
さらに上記バルブシートの互いに対称位置となる両端縁部にその先端が細くなるように第1傾斜面をそれぞれ形成するとともに、上記バルブ収納体の一方の端壁部および反対側の他方の端壁部に、上記各第1傾斜面に対応する第2傾斜面を有し且つ上記バルブシートを当該バルブ収納体内に挿入して他方の端壁部を側壁部に固定した際に当該バルブシートを上記側壁部に押し付けて固定し得る第1および第2縁部押圧部材を、それぞれ配置したものである。
【0035】
ところで、上記各実施例においては、バルブ装置を、板状材の移送管体の途中に設けたものとして説明したが、例えば板状材の表面に真空蒸着を行うための真空容器の側壁部に設けることもできる。この場合、バルブ装置の前後の側壁部のいずれかが、真空容器における側壁部とすればよい。
【符号の説明】
【0036】
A 板状材
1 移送用管体
2 フランジ部
3 バルブ収納体
4 バルブシート
4′ バルブシート
4′i 下シート側傾斜面
4′j 上シート側傾斜面
5 バルブ本体
6 バルブ駆動体
11 第1側壁部
12 第2側壁部
13 端壁部
14 挿通穴
15 縁部押圧部材(下縁部押圧部材)
15i 固定側傾斜面(下固定側傾斜面)
51 上縁部押圧部材
51i 上固定側傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7