(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジン(6)を搭載した走行機体(1)に、オペレータが腰掛ける操縦座席(12)と前記エンジン(6)に燃料を供給する燃料タンク(26)とが配置されている作業車両であって、
前記エンジン(6)は前記操縦座席(12)の前方に配置されている一方、前記操縦座席(12)はシートブラケット(16)で支持されており、かつ、前記燃料タンク(26)は、前記操縦座席(12)の後ろ及び左右一側方に位置するように配置されていて前記シートブラケット(16)で支持されており、前記操縦座席(12)と前記燃料タンク(26)と前記シートブラケット(16)とはユニット構造になっており、
前記燃料タンク(26)は、前記操縦座席(12)の後ろ側に位置する背部(26a)と、前記操縦座席(12)の左右いずれか一方に位置したサイド部(26b)とを有しており、
燃料タンク(26)のサイド部(26b)は背部(26a)よりも下方に突出していて、前記サイド部(26b)の下部後面側に設けたリブ(47)に、補助ブラケット(45)を介して、燃料フィルタ(43)及び燃料フィードポンプ(44)を取り付けている、
乗用型作業車両。
【背景技術】
【0002】
エンジンで駆動される乗用型作業車両は一般に操縦座席を有しており、オペレータは操縦座席に腰掛けて作業車両を操縦している。この操縦座席は、オペレータの体格や好み等に対応させるため前後位置を調節できるようになっている場合が多く、そこで、操縦座席はシートブラケットに前後動自在に取付けていることが多い。
【0003】
また、走行機体にはエンジンに燃料を供給する燃料タンクが搭載されている。トラクタの場合、エンジンを走行機体の前部に配置していることが殆どであり、例えば特許文献1には、燃料タンクを操縦座席の後ろ側に配置することが開示されている。そして、エンジンと燃料タンクとが操縦座席の前後に分かれて配置されている場合は、燃料タンクの燃料は燃料フィードポンプでエンジンに送られており、燃料フィードポンプの上流側に燃料フィルタを配置している。
【0004】
燃料タンクは安定した状態で走行機体に保持されておらねばならず、燃料タンクの保持手段として従来は、燃料タンクの外周部にフランジを形成してこのフランジを走行機体の機枠にボルトで固定したり、燃料タンクを走行機体の機枠にバンドで縛り固定したりしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、燃料タンクの固定方法としてフランジを形成してこれを機枠にボルトで固定するのは高い保持機能を有するが、機枠に燃料タンクの受け部を設けねばならないため構造が複雑化する等の問題が生じる可能性がある。他方、バンドで固定するのは簡便で作業も比較的簡単と言えるが、安定性に劣る問題がある。特に、燃料タンクが大型化すると信頼性に欠ける可能性が高い。
【0007】
他方、燃料は燃料フィルタと燃料フィードポンプとを経由してエンジンに送られることが多いが、従来は燃料フィルタと燃料フィードポンプとを機枠等に別々に取り付けていることが多かったため、作業に手間がかかるという問題がある。
【0008】
本願発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1の発明では、エンジン(6)を搭載した走行機体(1)に、オペレータが腰掛ける操縦座席(12)と前記エンジン(6)に燃料を供給する燃料タンク(26)とが配置されている作業車両であって、前記エンジン(6)は前記操縦座席(12)の前方に配置されている一方、前記操縦座席(12)はシートブラケット(16)で支持されており、かつ、前記燃料タンク(26)は、前記操縦座席(12)の後ろ
及び左右一側方に位置するように配置されていて前記シートブラケット(16)で支持されて
おり、前記操縦座席(12)と前記燃料タンク(26)と前記シートブラケット(16)とはユニット構造になっており、前記燃料タンク(26)は、前記操縦座席(12)の後ろ側に位置する背部(26a)と、前記操縦座席(12)の左右いずれか一方に位置したサイド部(26b)とを有しており、燃料タンク(26)のサイド部(26b)は背部(26a)よりも下方に突出していて、前記サイド部(26b)の下部後面側に設けたリブ(47)に、補助ブラケット(45)を介して、燃料フィルタ(43)及び燃料フィードポンプ(44)を取り付けているというものである。
【0010】
【0011】
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、操縦座席を支持するシートブラケットを利用して燃料タンクを支持するものであるため、燃料タンクを安定良く支持することができる。また、燃料タンクの支持にシートブラケットを兼用するものであるため、構造の簡単化に貢献することができる。
【0013】
また、燃料タンクは操縦座席の下ではなく周囲の部位に配置するものであるため、燃料タンクを配置したことに起因して操縦座席の高さが高くなることはない。従って、操縦座席の下方にデッドスペースがない作業車両についても支障なく適用できる(操縦座席が前後位置を調節可能である場合、操縦座席の前後スライド機能を損なうこともない。)。
【0014】
更に本願発明では、燃料タンクは操縦座席の周囲の部位に位置しているため、作業車両の重心をできるだけ後ろにずらして走行機体の前後重量バランスを向上できる。特に、請求項2のように燃料タンクが少なくとも操縦座席の後ろ側に位置する形態にすると、走行機体の重心を後ろにずらすことがより確実ならしめられるため、例えば走行機体の前端にドーザを取付けて土押し作業を行う場合、ドーザの回動支点を従来よりも後ろにずらしてブレードの反力を小さくでき、これにより、例えば走行機体にバランサを設けることなく前輪の浮きを防止することも可能になる。
【0015】
さて、作業車両には操作レバーを設けているのが通常であり、この場合、座席の左右両側の部位のうちいずれか一方にレバー群を配置していることが多く、他方の部位はデッドスペースになっていることがある。そして、
本願発明の構成を採用すると、座席の左側又は右側のデッドスペースを利用して燃料タンクを配置できるため、走行機体をコンパクト化しつつ燃料タンクの大容量化を促進できる。また、燃料タンクにサイド部を設けて、サイド部を肘当て支持部に兼用することも可能になる。
【0016】
本願発明の構成を採用すると、燃料タンクを操縦座席及びシートブラケットに予め組み込んでおけるため、作業車両の組み立て作業を能率良く行うことができる。また、作業車両を分解する場合の手間も省くことができる。
【0017】
本願発明の構成を採用すると、燃料フィルタと燃料フィードポンプとをユニット化することで組み立て能率を向上できる。また、補助ブラケットは燃料タンクに取付けられているため、燃料フィルタと燃料フィードポンプとはユニット化されており、このため作業車両の組み立て性を一層向上できる。
【0018】
そして、燃料フィルタや燃料フィードポンプは横から物が当たったり跳ね上がった小石が当たったりしないようにガードするのが好ましいが、
本願発明の構成
において、燃料タンクと補助ブラケットとロプスフレームとが燃料フィルタと燃料フィードポンプとのガード部材として機能
させると、燃料タンクと補助ブラケットとの安全性が構造の複雑化を招来することなく確保される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態はトラクタに適用している。以下の説明で方向を特定するため前後・左右の文言を使用するが、この前後・左右はオペレータの向きを基準にしている。
【0021】
(1).トラクタの概要
トラクタは走行機体1を有しており、走行機体1は左右の前輪2と左右の後輪3とを有している。
図2に示すように、走行機体1は前後に長い中空のシャーシ(ハウジング)4を有しており、シャーシ4の前端面にエンジン6の機関本体(シリンダブロック)を固定している。そして、エンジン6における機関本体の左右側面に前後長手の前部フレーム5を固定し、前部フレーム5にフロトアクスルやエンジンルームの床板等を固定している。エンジンはボンネット7で覆われている。
【0022】
エンジン6の下方にはミッションケース(図示せず)が配置されており、エンジンの動力はギアボックス(ミッションケース)に内蔵されたギア等で変速されて前輪2及び後輪3に伝達される。シャーシ4の内部には軸(例えば後輪駆動軸)やギアが配置されており、従って、シャーシ4はミッションケースを兼用している(シャーシ4の後部はリアアクスルケースの一部として機能していると言える。)。
【0023】
図2に示すように、シャーシ4の後部の左右側面にはリアアクスルケース8が固定されており、後輪はリアアクスルケース8に設けた車軸に取付けられている。走行機体1の後部には耕耘装置やベーラー等の様々な作業機を取り付けることができる。作業機は
図1に示すリンク9に連結される。敢えて述べるまでもないが、作業機にはPTO軸から動力伝達される。
【0024】
左右のリアアクスルケース8の上面には支柱状のロプスフレーム10が固定されている。左右ロプスフレーム10の上端部は、門型のアッパーフレーム10a(
図2参照)で連結されている。
図2に示すように、走行機体1はオペレータが腰掛ける操縦座席12を有しており、操縦座席12の前方に操縦ハンドル13を配置している。
【0025】
(2).操縦座席の支持構造
図3に示すように、操縦座席12は複数の部材から成る調節装置14で支持されており、調節装置14は前後長手で上向き開口溝型のシートレール15に前後動自在に取付けられている。従って、操縦座席12は前後位置を調節することができる。調節装置14に高さ調節機能を持たせることも可能である。
【0026】
シートレール15はシートブラケット16の一部を構成している。そして、例えば
図4(B)から容易に理解できるように、シートブラケット16は、シートレール15の他に前後長手の左右のメインサポート17を有している。メインサポート17は、鉛直姿勢の基板17aと、その上端に設けた左右外向きの上水平板17bと、基板17aの下端に曲げ形成した内向き及び外向きの下水平部17cとを有しており、下水平部17cがボルトでシャーシ4の上面に固定されている。
【0027】
左右のメインサポート17における上水平板17bの後端寄り部位は、上向きに開口したチャンネル状の後部ステー17dで連結されている。また、左右のメインサポート17における上水平板17bの後端部に、タンク受け部17eを上向き突設している。タンク受け部17dに例えばゴム等の軟質材を貼って緩衝機能を持たせることも可能である。後部ステー17dはメインサポート17の後端よりも手前に位置しており、このため、おおむねタンク受け部17eは後部ステー17dの後ろに張り出した状態になっている。
【0028】
左右のメインサポート17の上面は前後2本の上段ステー19で連結されており、シートレール15は上段ステー19の上面に固定されている。また、左右メインサポート17の基板17aは丸パイプ製の中段ステー20で連結されている。中段ステー20はメインサポート17に貫通して左右端部はメインサポート17の外側に突出しており、中段ステー20の左右両端部にはジョイント材21を介して側面視後傾姿勢の補強バー22が固定されており、補強バー22の上部は補助フレーム材23,24を介してロプスフレーム10に固定されている。
【0029】
左側のメインサポート17のうち中段ステー20の下方に部位には、メインサポート17の左側に突出した下段ステー25が固定されている。下段ステー25は下向き開口コの字形の形態になっているが、丸パイプを使用したり角パイプを使用したりすることもできる。本実施形態は、主としてメインサポート17、シートレール15、各段のステー19,20,25でシートブラケット16が構成されている。もとより、シートブラケット16として他の部材を付加したり、左右メインサポート17の連結構造を変えたりすることなど、様々の形態を採用できる。
【0030】
例えば
図2や
図3から理解できるように、操縦座席12の背面と左側面とを囲うように燃料タンク26が配置されている。すなわち、燃料タンク26は、座席12の後ろ側に位置した背部26aと操縦座席12の左側に位置したサイド部26bとを有して平面視略L字形に形成されており、背部36aの左端部には蓋27で開閉自在な注入口を設けている。また、燃料タンク26におけるサイド部26bは、操縦座席12における背部26aの上面から段落ちした状態になっている。
【0031】
走行機体1には、オペレータが載る操縦フロア28aを有する車体カバー28が取付けられている。操縦フロア28aの上面にマット29を張っている。なお、
図2ではマット29を操縦フロア28aを下方に配置した状態に描いているが、実際には、マット29は操縦フロア28aの上面に載る。
【0032】
図2に示すように、車体カバー28は樹脂製であり、操縦座席12の左右外側に位置した左サイド部28bと右サイド部28cとを有している。従って、車体カバー28はおおむねコ字状の形態を成している。車体カバー28の右サイド部28cからは操作レバー30が上向きに露出している一方、左サイド部28bには前後2つの凹部31を設けている。凹部31にペットボトルや小物を収納できる。車体カバー28の左サイド部28bで燃料タンク26のサイド部26bが上から覆われている(燃料タンク26のサイド部26bで車体カバー28の左サイド部28bが支持されている。)。
【0033】
(3).燃料タンクの詳細
次に、燃料タンク26の詳細(特に取付け構造)を説明する。燃料タンク26は樹脂を素材としてブロー成形で製造されている。
図4(B)を引用して説明したように、シートブラケット16を構成する左右メインサポート17の後端部には左右のタンク受け部17eが形成されており、例えば
図5(A)に示すように、左右のタンク受け部17eで燃料タンク26の背部26aを下方から支持している。
【0034】
この場合、
図6(A)から容易に理解できるように、燃料タンク26における背部26aの下端に、左右メインサポート17の間に位置した下向きストッパー部34を形成しており、下向きストッパー部34を左右タンク受け部17eの間に嵌め込むことにより、燃料タンク26を左右方向にずれないように保持している。
【0035】
図5(A)から容易に把握できるように、燃料タンク26のサイド部26bは背部26aよりも下方に突出している。そして、
図6(A)に示すように、燃料タンク26におけるサイド部26bの前端部が、シートブラケット16を構成する下段ステー25で支持されている。従って、燃料タンク26は三点支持の状態で支持されており、安定性が非常に高い。このため、燃料タンク26は大型のブロー成形品でありながら、応力集中を防止して高い耐久性を確保できる。
【0036】
図6(A)に示すように、燃料タンク26を構成するサイド部26bの前端には、位置決め用ストッパー手段の一例として、中段ステー20が上から当接し得る段部32を形成している。中段ステー20が段部32に当たることにより、燃料タンク26の前部が上向きに移動することと前向きに移動することとが阻止されている。換言すると、中段ステー20が、燃料タンク26の上向き移動阻止ストッパーと前進移動阻止ストッパーとに兼用されている。燃料タンク26におけるサイド部26bの下端面には、下段ステー25の後面に近接したリブ(フランジ)33によっても前向き移動が阻止されている。
【0037】
他方、
図5(A)から理解できるように、燃料タンク26における背部26aの下端に設けたストッパー部34が後部ステー17dに後ろから当接又は近接しており、これによっても燃料タンク26の前向き移動が阻止されている。すなわち、燃料タンク26は、背部26aの下端に設けたストッパー部34によって左右のずれ移動と前向き移動とが阻止されている。
【0038】
図6(B)に示すように、右側のメインサポート17の後端には、燃料タンク26の背面に沿って延びるバックフレーム35がブラケット板36を介して固定されている。燃料タンク26の背面は側面視で後ろ向き凸状に屈曲しており、そこで、バックフレーム35を側面視でくの字形に屈曲している。このバックフレーム35により、燃料タンク26は後ろ向き移動不能に保持されている。
【0039】
そして、バックフレーム35の上端に、燃料タンク26における背部26aに上から重なる押さえ板37を固定し、これによって燃料タンク26の後部が上向き移動不能に保持されている。また、燃料タンク26の背面には、バックフレーム35の左側において後ろ向き突出した後ろ向きストッパー部38を形成し、後ろ向きストッパー部38の右側面をバックフレーム35に当接又は近接させることにより、燃料タンク26が右向き移動を阻止している。
【0040】
図6(B)に示すように、左側メインサポート17の後端には燃料タンク26の背面に重なるストッパー板39を固定している。ストッパー板39は燃料タンク26の背面に重なるように側面視で後傾姿勢になっており、かつ、上端部を上向きに屈曲している。そして、燃料タンク26の背面には、ストッパー板39の上端部が入る凹部40が形成されており、このストッパー板39の存在により、燃料タンク26はより的確に後ろ向き移動が阻止されている。
【0041】
(4).燃料タンク支持構造のまとめ
以上のとおり、燃料タンク26はシートブラケット16を構成するメインサポート17と下段ステー25によって三点支持の状態で支持されており、このため、高い安定性が確保されている。また、シートブラケット16と操縦座席12と燃料タンク26とが一つのユニットに構成されているため、走行機体1の組み立てに際しては、シートブラケット16をシャーシ4に固定することで操縦座席12と燃料タンク26の組み付けも行われることになり、このため組み立て作業性に優れている。
【0042】
シートブラケット16への燃料タンク26の組み付けは次の手順で行われる。すなわち、まず、燃料タンク26を所定位置よりも少し後ろにずらした状態でシートブラケット16に載せ、次いで、燃料タンク26を前に押して前進位置を規定する。この状態では、燃料タンク26におけるサイド部26bの段部32に中段ステー20が嵌まると共に、下向きストッパー部34が左右のタンク受け部17eの間に入り込む。これにより、燃料タンク26は前向き動と左右動とが阻止されるように位置決めされると共に、前部の浮きも中段ステー20で阻止される。
【0043】
次いで、右メインサポート17にバックフレーム35を取付けると共に、左メインサポート17にストッパー板39を取り付ける。これにより、燃料タンク26は後ろ向き移動が阻止されると共に、後部の浮きが阻止される。従って、燃料タンク26はボルト等のファスナー類やバンド類で固定しなくても、シートブラケット16に安定良くしかもずれ不能に保持される。なお、燃料タンク26にフランジを形成して、このフランジをシートブラケット16の適当な部材にボルト等で固定することは可能であり、このようにボルト(ねじ)で固定すると安定性と位置決めとが一層確実になる。
【0044】
(5).送油ユニット
例えば
図7に示すように、燃料タンク26の出口ポート42はサイド部26bの左下端部に設けている。そして、出口ポート42の近くには、燃料フィルタ43と燃料フィードポンプ44とを補助ブラケット45に取付けて成る送油ユニット46が配置されている。補助ブラケット45は燃料タンク26のサイド部26bに設けたリブ47にボルト及びナットで固定されている。符号48は燃料管を示す。
【0045】
このように送油ユニット46が燃料タンク26に一体に取付けられているため、燃料フィルタ43と燃料フィードポンプ44も燃料タンク26と一体化された状態になっており、このため走行機体1の組み立て性が向上する。
【0046】
図5(B)に示すように、補助ブラケット45は底面視(或いは平面視)で後ろ向きに延びている、燃料フィルタ43と燃料フィードポンプ44とは補助ブラケット45とロプスフレーム10との間に位置している。また、補助ブラケット45には燃料フィルタ43及び燃料フィードポンプ44を後ろから覆うような背面部45aが折り曲げ形成されている。
【0047】
そして、燃料フィルタ43と燃料フィードポンプ44とは燃料タンク26と補助ブラケット45とロプスフレーム10とで囲われた状態になっており、このため、物が横から当たることを防止して安全性を向上できる。なお、
図5(B)に符号18で示す部材は、
図1に表示した中空シャーシ4の上面に固定されているアッパーギアボックスであり、アッパーギアボックス18は、シートブラケット16を構成する左右のメインサポート17の間に配置されている。
【0048】
また、
図6(B)から理解できるように、送油ユニット46はシートブラケット16を構成するメインサポート17によっても保護されており、かつ、メインサポート17の下方にはシャーシ4が存在するため、例えば小石が跳ね上がって送油ユニット46に当たることはシャーシ4によって阻止される。ロプスフレーム10は中空の角形に形成されている。
【0049】
(6).その他
さて、従来、例えば
図8に模式的に示すように、燃料タンク26′を操縦フロアの下方に配置していることがあった。他方、走行機体1にはドーザ51をアーム52で上下回動自在に取付けことがある。アーム52の回動支点はピン53で構成されている。そして、ドーザ51による土押し作業では、走行機体1はその前部が上向きに起きるような反力を受ける。このため、従来は走行機体1の前端部にバランスウエイトを設けて重量バランスを保持していた。
【0050】
他方、本実施形態では、燃料タンク26を走行機体1の後部に配置したことで走行機体1の重心が従来よりも後ろに移動するため、アーム52の回動支点53を従来よりも後ろに移動させることにより、後輪3の接地抵抗を確保しつつ前輪2の浮きを防止できる。
【0051】
すなわち、前輪2の浮き防止のためにはアーム52の回動支点をできるだけ後ろにずらすのが有効であるが、従来の燃料タンク26′の配置構造では、アーム52の回動中心を後ろにずらすと後輪3の接地抵抗が小さくなって後輪が空回りするおそれがある。これに対して本実施形態では、燃料タンク26を大容量化しつつできるだけ後ろにずらしたことで走行機体1の重心を後ろにずらせるため、後輪3の空回りを阻止しつつ前輪2の浮きを防止できるのである。
【0052】
本願発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば操縦座席の形態や支持構造、シートブラケットの具体的な構造などは必要に応じて任意に設計できる。シートブラケットを単一部品で構成することも可能である。また、本願発明はトラクタに限らず他の作業車両にも適用できる。走行機体の走行手段と車輪には限らず、クローラ方式や車輪とクローラとの併用方式も採用できる。