特許第5725807号(P5725807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5725807
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】サイレンサ及びエアドライヤ
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/10 20060101AFI20150507BHJP
   B60T 13/52 20060101ALI20150507BHJP
   F01N 1/08 20060101ALI20150507BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   F01N1/10 A
   B60T13/52
   F01N1/08 C
   B60T17/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-255286(P2010-255286)
(22)【出願日】2010年11月15日
(65)【公開番号】特開2012-107532(P2012-107532A)
(43)【公開日】2012年6月7日
【審査請求日】2013年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】510063502
【氏名又は名称】ナブテスコオートモーティブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】湊 一郎
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第00132696(EP,A2)
【文献】 特開2007−315209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00−13/74
B60T 17/00
F01N 1/00− 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮エアを乾燥処理するエアドライヤにおけるエキゾーストバルブからのドレン及びエア排出口である複数のスリットの、それぞれに対向する内壁を複数有する膨張室と、
前記膨張室に接続された、吸音材を収容する吸音材収容室と、
を備え
前記複数のスリットは、少なくとも一のスリットから前記膨張室と前記吸音材収容室とが接続された部分までの距離が、他のスリットから前記膨張室と前記吸音材収容室とが接続された部分までの距離と異なるように構成されており、
前記複数のスリットから排出されたエアが前記膨張室内において、当該複数のスリットのそれぞれに対向する前記内壁に当たる際の角度、距離の少なくともいずれかが異なる様に構成されている、
ことを特徴とするサイレンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のサイレンサにおいて、前記膨張室は方形の形状で形成され、
前記膨張室内には、前記複数のスリットを有する筒状体が設けられている、
ことを特徴とするサイレンサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のサイレンサにおいて、前記膨張室と前記吸音材収容室が接続された部分には、前記排出されたエアが前記膨張室から前記吸音材収容室へ流れるように構成された流路が設けられている、
ことを特徴とするサイレンサ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のサイレンサにおいて、前記吸音材が多孔質材である、
ことを特徴とするサイレンサ。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載のサイレンサにおいて、ドレン及びエアを外部に排出する最終排出口は、鉛直下方のみに向けて開口する形状を成している、
ことを特徴とするサイレンサ。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載のサイレンサにおいて、少なくとも前記スリットが形成されるエキゾーストバルブの排出口、前記膨張室、前記吸音材収容室、のこれらは、前記エアドライヤのベースを構成するベース部材に一体的に形成されている、
ことを特徴とするサイレンサ。
【請求項7】
圧縮エアを乾燥処理するエアドライヤであって、乾燥処理により生じるドレンを排出するエキゾーストバルブからのエア排出音を低減する、請求項1からのいずれか1項に記載されたサイレンサを備えている、
ことを特徴とするエアドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮エアを乾燥処理するエアドライヤにおけるエキゾーストバルブからのエア排出音を低減するサイレンサに関する。また本発明は、前記サイレンサを備えたエアドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば大型自動車用ブレーキ装置において、エアコンプレッサから送出された圧縮エア中の水分や油分を除去するエアドライヤが公知である。このエアドライヤは、エアコンプレッサからの圧縮エア(水分や油分の除去前の圧縮エア)を取り入れるエア取り入れ口と、水分や油分を除去処理した後の乾燥エアを送出する処理エア送出口とを備えるほか、除去した水分や油分等を含むドレンをエアとともに排出する為のドレン弁を備えている。尚、本明細書ではこのドレン弁を、エアを排出する観点からエキゾーストバルブと呼ぶこととする。
【0003】
そしてこのエキゾーストバルブは、開弁時に大きなエア排出音(破裂音)が生じることから、これを低減するために、エキゾーストバルブには特許文献1に示されるようなサイレンサが接続されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−315209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のサイレンサは、上記特許文献1に示される様にエキゾーストバルブから排出されたエアをフィルタ部材(吸音材)を通して排出し、所定の吸音効果を得る構成であったが、その消音効果は必ずしも十分ではなかった。また、独立体としてのサイレンサをエキゾーストバルブに接続する構成であったことから、占有容積が大きく必要であったという欠点も有していた。
【0006】
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その目的は、圧縮エアを乾燥処理するエアドライヤに設けられるサイレンサにおいてより一層の消音効果を得ることにあり、また更には占有容積を大きく確保する必要のないサイレンサを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための、本発明の第1の態様は、圧縮エアを乾燥処理するエアドライヤにおけるエキゾーストバルブからのドレン及びエア排出口である複数のスリットの、それぞれに対向する内壁を複数有する膨張室と、前記膨張室に接続された、吸音材を収容する吸音材収容室と、を備えたことを特徴とするサイレンサである。
【0008】
本態様によれば、圧縮エアを乾燥処理するエアドライヤにおけるエキゾーストバルブからのエア排出音を低減するサイレンサは、ドレン及びエアを排出するスリットから排出されたエアが、膨張室内において異なる内壁に当たる構成を備えている。即ち、エキゾーストバルブからの排出エアが、複数の流路に分岐しつつ、それぞれ異なる状況で膨張室内の内壁に当たることで、複数のスリットからエアが排出される際の「音域」を分散させることができ、これによってより一層の消音効果を得ることができる。
【0009】
尚、複数のスリットのそれぞれに対向する複数の内壁とは、必ずしも複数のスリットのそれぞれに対して異なる内壁が一対一で対応する形態のみを意味するものではなく、この様な形態に加えて、例えば一つの内壁に対して二つ以上のスリット(スリットの開口)が対向する様な形態をも含むものである。即ち、複数の内壁を有する膨張室があって、そして少なくとも二つの内壁に向けてエアを排出する複数のスリットが存在すれば良い。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記複数のスリットから排出されたエアが前記膨張室内において異なる内壁に当たる際の角度、距離の少なくともいずれかが異なる様に構成されていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記複数のスリットから排出された排出エアが前記膨張室内において異なる内壁に当たる際の角度、距離の少なくともいずれかが異なる様に構成されているので、上述した第2の態様の作用効果をより一層効果的に得ることができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記吸音材が多孔質材であることを特徴とする。
本態様によれば、前記吸音材が多孔質材であるので、無数の孔を排出エアが通ることによる消音効果によってより一層の消音効果を得ることができる。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、ドレン及びエアを外部に排出する最終排出口は、鉛直下方のみに向けて開口する形状を成していることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、ドレン及びエアを外部に排出する最終排出口は、鉛直下方のみに向けて開口する形状を成しているので、エア排出音が下向きに発せられることでエア排出音をより一層聴き取り難くすることができる。
【0015】
本発明の第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、少なくとも前記スリットが形成されるエキゾーストバルブの排出口、前記膨張室、前記吸音材収容室、のこれらは、前記エアドライヤのベースを構成するベース部材に一体的に形成されていることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、少なくとも前記スリットが形成されるエキゾーストバルブの排出口、前記膨張室、前記吸音材収容室、のこれらは、前記エアドライヤのベースを構成するベース部材に一体的に形成されているので、サイレンサ付きエアドライヤの低コスト化を図ることができるとともに、サイレンサの占有容積も少なくすることができる。
【0017】
また、エアドライヤのベースを構成するベース部材にサイレンサの構成要素を一体的に形成することで、強度を容易に確保することができるとともに、剛体に対して排出エアを当てることでより一層の消音効果を得ることができる。
【0018】
本発明の第6の態様は、圧縮エアを乾燥処理するエアドライヤであって、乾燥処理により生じるドレンを排出するエキゾーストバルブからのエア排出音を低減する、第1から第5の態様のいずれかに係るサイレンサを備えていることを特徴とする。本態様によれば、エアドライヤにおいて、上述した第1から第5の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るエアドライヤの一部及びサイレンサの断面図。
図2】(A)は本発明に係るサイレンサを下方から見た斜視図、(B)はサイレンサを構成する蓋部材を開放した状態の斜視図。
図3】本発明に係るサイレンサを構成する蓋部材を開放した状態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。尚、以下に説明する実施形態はあくまで本発明の一実施形態であり、本発明を限定するものでないことを前提にして、以下の実施形態を説明する。
【0021】
図1は本発明に係るエアドライヤ1の一部分及び本発明に係るサイレンサ30の断面図であり、図2(A)はサイレンサ30を下方から見た斜視図、同(B)はサイレンサ30を構成する蓋部材40を開放した状態の斜視図であり、図3は蓋部材40を開放した状態のサイレンサ30の平面図である。尚、各図においては図面の煩雑化を防ぐために、適宜必要なラインを省略して描いている。
【0022】
エアドライヤ1は、そのベースとなるベース部材2(一例として、アルミニウム或いは合金などからなる金属成形品)の上部に乾燥部3を備えている。図示しないエアコンプレッサから吐出された圧縮エアは、ベース部材2に形成された第1エア取り入れポート4(図2(A))からエアドライヤ1の内部に取り入れられる。尚、図示しないエアコンプレッサから吐出された圧縮エアは、第1エア取り入れポート4に加えて、第2エア取り入れポート5からも取り入れられ、後述するエキゾーストバルブ9へと導かれる様になっている。
【0023】
エアドライヤ1の内部に取り入れられた圧縮エアは、乾燥部3において水分や油分が除去され、出力ポート7(図2(A))から出力されて、図示しない外部のエアタンクに貯えられ、必要に応じてエアブレーキなどのエア駆動装置の駆動に供される。尚、乾燥部3の構成については公知のものと同様であるため、内部の詳細構成の図示、およびその説明は省略する。
【0024】
また、エアドライヤ1において水分や油分が除去された圧縮エアの一部は、エアドライヤ1に内蔵されたプレッシャガバナ(不図示)にも供給される。この図示しないプレッシャガバナは、エアドライヤ1に供給されたコンプレッサからの圧縮エアが所定の上限圧に達すると、エアドライヤ1の下部に設けられたエキゾーストバルブ9を開放するための制御指令圧を制御室6に出力する。
【0025】
エキゾーストバルブ9が開くと、乾燥部3内のエアが、後述する膨張室32と吸音材収容室36とを経て最終排出口(微細孔41)から外部に排出される。このときの排気は急激なものであり、その急激な排気は乾燥部3内のオイルフィルタ(不図示)を洗浄し、そしてエキゾーストバルブ9の弁体12の上部に溜まっていた水分や油分等を含むドレンも外部へ排出する。
【0026】
また、乾燥部3内の乾燥処理済みエアが、乾燥部3内の乾燥処理流通路(不図示)を逆流することで、乾燥部3内の乾燥剤(不図示)から水分を奪いながら外部へ排出され、これによって乾燥剤の再生が図られる様になっている。そしてプレッシャガバナからの制御圧が低下し、制御室6内の圧力が低下することでエキゾーストバルブ9が閉じると、乾燥部3内での圧縮エア乾燥処理状態に戻る様になっている。
【0027】
続いてエキゾーストバルブ9、及び当該エキゾーストバルブ9から排気流路下流側の構成(本発明の要部)について説明する。エキゾーストバルブ9は、金属材料によって形成されるピストン10と、弾性材料によって形成される弁体12と、がモールド成形によって一体的に形成されて成る弁本体を備える。尚、符号11はシールの為のOリングを示している。
【0028】
また、符号17は弁座を示しており、ピストン10の上下動によって弁体12が弁座17と圧接する状態および弁座17から離間する状態を切り換え、これによってエキゾーストバルブ9の開閉が行われる。
【0029】
符号15はピストン10及び弁体12から成る弁本体を閉方向に付勢するリターンスプリングを示しており、これによりエアコンプレッサのロード状態では弁本体が閉弁状態に維持される。尚、符号20はリターンスプリング15の台座を示し、符号19は台座20を固定する為のCリングを示している。
【0030】
ここで、図示しないエアタンクに貯えられた乾燥エアが所定圧に達するまで、即ち図示しないプレッシャガバナからの制御指令圧(制御室6内の圧力)が所定圧に達するまでは、エキゾーストバルブ9は閉弁状態を維持する必要がある。また、図示しないプレッシャガバナからの制御指令圧(制御室6内の圧力)が所定圧に達した際には、エキゾーストバルブ9は確実に開弁状態となる必要がある。
【0031】
この様な観点で、プレッシャガバナからの制御圧(制御室6内の圧力)によるエキゾーストバルブ9の受圧面積と、第2エア取り入れポート5からも取り入れられた圧縮エアによるエキゾーストバルブ9の受圧面積と、リターンスプリング15によるピストン10を付勢する付勢力と、が設計されている。
【0032】
次に、エキゾーストバルブ9からの排気エアの一次排出口は、筒状体24に形成されたスリット25A〜25Cにより形成されている。即ち、筒状体24はベース部材2と一体的に形成されているとともに、円周方向に沿って所定の間隔を空けて、円筒軸線方向(図1において上下方向)に延びるスリット(25A〜25C)が複数形成され、このスリット25A〜25Cからドレン及びエアが一旦排出される。
【0033】
この筒状体24は、サイレンサ30を構成するサイレンサケース部31によって周囲が囲われるように構成されており、そしてこのサイレンサケース部31の内側が、膨張室32として画設されている。即ち、エキゾーストバルブ9からエア(及びドレン)を一旦排出する一次排出口に、膨張室32が接続された状態となっている。
【0034】
本実施形態では、膨張室32を画設するサイレンサケース部31も、筒状体24と同様にベース部材2と一体的に形成されているとともに、サイレンサケース部31(膨張室32及び後述する吸音材収容室36)は方形の形状を成す様に形成されている。
【0035】
以上のように構成されたことにより、スリット25A〜25Cから排出される排気エアは、膨張室32に入り、特に膨張室32の内壁33A〜33Cに当たる様になっている(図3において矢印a、b、cでこのときの排気エアの流れを示す)。
【0036】
ここで、各スリット25A〜25Cは、膨張室32の内壁33A〜33Cにそれぞれ対向しており、これにより各スリット25A〜25Cから排出されたエアが、それぞれ膨張室32内において異なる内壁33A〜33Cに当たる様になっている。
【0037】
即ち、エキゾーストバルブ9からの排出エアが複数の流路に分岐しつつ、それぞれ異なる状況で膨張室32内の内壁に当たることで、複数のスリット25A〜25Cからエアが排出される際の「音域」を分散させることができ、これによってより一層の消音効果を得ることができる様になっている。
【0038】
尚、複数のスリット25A〜25Cから排出された排出エアがそれぞれ膨張室32内において異なる内壁33A〜33Cに当たる際の角度、距離の少なくともいずれかが異なる様に構成すれば、より一層の消音効果を得ることができる。また、各スリット25A〜25Cのスリット幅を異なる様に形成しても良い。
【0039】
但し、各スリット25A〜25Cのトータルでのエア排出能力が、エキゾーストバルブ9からのエア排出能力より低いと、エア排出に悪影響を及ぼすので、少なくともエキゾーストバルブ9からのエア排出能力を妨げない様にスリットの数及び開口の大きさを設定することが望ましい。
【0040】
尚、本実施形態ではスリットを3つ(スリット25A〜25C)形成しているが、スリット数がこれに限定されないことは言うまでもない。また、図3に示す各スリットの形成位置も、一例であってこれに限定されないことは言うまでもない。また、本実施形態では、各スリット25A〜25Cに対し、それぞれ内壁33A〜33Cが一対一で対応する様に構成されているが、これに限られず、例えば複数のスリットに対し一つの内壁が対応する様に構成しても良い。
【0041】
次に、膨張室32には吸音材収容室36が接続されている。吸音材収容室36は、膨張室32と同様にサイレンサケース部31によって画設されており、排気エアは膨張室32吸音材収容室36との間に形成されたスリット34を通る様に構成されている(図3において矢印dでこのときの排気エアの流れを示す)。
【0042】
吸音材収容室36には、吸音材37(図1においてハッチングで図示し、図2及び図3では図面の簡略化の為に図示を省略している)が設けられ、この吸音材37によってエア排出音の一層の低減が図られる様になっている。
【0043】
この様な吸音材37としては、種々の材料を用いることができ、本実施形態ではスポンジなどの多孔質材を用いている。スポンジなどの多孔質材を用いれば、多数の孔を排出エアが通ることによってより一層の消音効果を得ることができる。但しこれは一例であり、その他の種々の吸音材を用いることができ、例えばクラッシュドアルミニウムなどを用いることもできる。
【0044】
次に、膨張室32及び吸音材収容室36は、蓋部材40によって閉空間に形成され、蓋部材40において吸音材収容室36に対応する位置には、ドレン及びエアを外部に排出する最終排出口を形成する多数の微細孔41が、その開口が鉛直下方を向くように形成されている。
【0045】
この様に、本実施形態ではエアを最終的に外部に排出する多数の微細孔41が、全て鉛直下方のみに向けて開口する形状を成していることから、エア排出音が下向きに発せられることでエア排出音を聴き取り難くすることができる。尚、符号42は蓋部材40をベース部材2に固定する為のボルトを示し、符号43はそのボルト孔を示している。
【0046】
以上説明した様に本実施形態に係るサイレンサ30よれば、エキゾーストバルブ9からの排出エアが膨張室32内の内壁33A〜33Cに当たることによるエア排出音の減衰効果と、吸音材37による吸音効果との相乗効果によって、高い消音効果を得ることができる。
【0047】
また、本実施形態では一次排出口(スリット25A〜25C)を形成する筒状体24、膨張室32、吸音材収容室36、のこれらは、エアドライヤ1のベースを構成するベース部材2に一体的に形成されているので、サイレンサ付きエアドライヤの低コスト化を図ることができるとともに、サイレンサ30それ自体による占有容積も少なくすることができる。
【0048】
また、エアドライヤ1のベースを構成するベース部材2にサイレンサ30の構成要素を一体的に形成することで、強度を容易に確保することができるとともに、剛体に対して排出エアを当てることでより一層の消音効果を得ている。しかし、この様な形態に限らず、サイレンサ30の各構成がベース部材2と別体に構成され、サイレンサ30が独立体として構成された上でベース部材2に取り付けられる様に構成されていても勿論構わない。このとき、本実施形態で示したスリット25A〜25Cについても、ベース部材2ではなくサイレンサ30側に形成されていても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 エアドライヤ
2 ベース部材
3 乾燥部
4 第1エア取り入れポート
5 第2エア取り入れポート
6 制御室
7 出力ポート
9 エキゾーストバルブ
10 ピストン
11 Oリング
12 弁体
15 リターンスプリング
17 弁座
18 シール
19 Cリング
20 台座
24 筒状体
25A〜25C スリット
30 サイレンサ
31 サイレンサケース部
32 膨張室
33A〜33C 内壁
34 スリット
36 吸音材収容室
37 吸音材
40 蓋部材
41 微細孔(最終排出口)
42 ボルト
43 ボルト孔
図1
図2
図3