(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記リムがリムドロップ部とその軸方向両端に形成されたリムフランジ部とを有し、上記ロータは、少なくともこのリムドロップ部の両端部内周に接していることを特徴とする請求項2に記載のモータ内蔵型ホイール装置。
上記ロータが、その軸方向一端部を上記ディスクの周縁部に当接させた状態で、当該周縁部に固定されていることを特徴とする請求項2または3に記載のモータ内蔵型ホイール装置。
上記ステータ側サブアッセンブリのハブには、上記位置決め部の内側にねじ穴を形成しておき、このねじ穴に、上記主ガイドロッドの基端部を螺合することを特徴とする請求項7に記載のモータ内蔵型ホイール装置の組立方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
モータ内蔵型ホイール装置では、バネ下重量が増加するため、乗り心地が悪化したり、タイヤ接地性低下に伴い走行安定性も悪化する。そのため、軽量化が厳しく求められる。
しかし、上記特許文献1、2のホイールアセンブリでは軽量化に限界がある。モータがユニット化されていて部品点数が多いからである。具体的には、ロータをハブに固定するための第2支持板が必要となるからである。
【0008】
特許文献2に上述したようにモータユニットの組立方法が開示されているが、この組立方法では、使用される装置が複雑で部品点数が多く、組立作業の効率が悪い。また、このモータユニットの組み立て後にホイールをモータユニットに固定する作業も必要であり、手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、円筒状のステータの径方向外側に円筒状のロータを同軸に配置してなるモータ内蔵型ホイール装置において、
上記ロータが、上記ホイールのリムとこのリムに隣接するディスクの周縁部のうちの少なくとも一方に固定されていることを特徴とする。
上記構成によれば、ロータを支持する役割をホイールが担うので、ロータ支持のための部品を省くことができ、これにより部品点数を削減でき、ホイール装置を軽量化することができる。
【0010】
好ましくは、上記ロータが上記リムの内周に接している。
これによれば、ロータの径を最大限大きくすることができるので、回転トルクを大きくすることができる。また、ホイールの内部空間を広くすることができ、例えばブレーキスペースを十分に確保できるので、ホイール径を増大させずに済み、この点からも軽量化を図ることができる。しかも、ロータがリムからの荷重を負担しリムを補強できるので、リムの減肉が可能となり、この点からも軽量化を図ることができる。
【0011】
好ましくは、上記リムがリムドロップ部とその軸方向両端に形成されたリムフランジ部とを有し、上記ロータは、少なくともこのリムドロップ部の両端部内周に接している。
これによれば、ロータによるリムの補強を良好に行うことができる。
【0012】
好ましくは、上記ロータが、その軸方向一端部を上記ディスクの周縁部に当接させた状態で、当該周縁部に固定されている。
これによれば、ロータをホイールに強固に固定できる。
【0013】
好ましくは、上記ロータの軸方向他端部が、上記リムの上記ディスクから離れた箇所に固定されている。
これによれば、ロータをホイールにより一層強固に固定できる。
【0014】
好ましくは、上記ステータは、ステータ素子と,このステータ素子の上記ディスクから遠い方の端に配置されステータ素子の外周面から径方向外方向に突出する環状の第1ラビリンス部と、上記ステータ素子の上記ディスクに近い方の端に配置され上記ステータ素子の外周面より径方向内側に位置する環状の第2ラビリンス部とを有し、
上記第1、第2ラビリンス部は、上記ディスクに向かって突出する環状突起と上記ディスクに向かって開口する環状の凹溝の少なくとも一方を含み、
上記ロータは、ロータ素子と、このロータ素子の上記ディスクに近い方の端に配置されロータ素子の内周面から径方向内方向に突出する環状の第3ラビリンス部と、上記ロータ素子の上記ディスクから遠い方の端に配置され上記ロータ素子の内周面より径方向外側に位置する環状の第4ラビリンス部を有し、
上記第3ラビリンス部は上記第2ラビリンス部と相補的な形状をなし、上記第4ラビリンス部は上記第1ラビリンス部と相補的な形状をなし、これら第3、第4ラビリンス部は、上記ディスクの反対側に向かって突出する環状突起と上記ディスクの反対側に向かって開口する環状の凹溝の少なくとも一方を含み、
上記第1、第4ラビリンス部同士が僅かな隙間を介して噛み合うことにより一方のラビリンスシールが形成され、上記第2、第3ラビリンス部が僅かな隙間を介して噛み合うことにより他方のラビリンスシールが形成されている。
この構成によれば、ステータに対してロータを軸方向に移動するだけで、両者の間をシールするための一対のラビリンスシールを形成することができる。
【0015】
本発明の他の態様は、上記モータ内蔵型ホイール装置を組み立てる方法において、
支持体にハブを回転可能に取り付けてなる車両側支持手段と、この車両側支持手段の支持体に固定された上記ステータと、を備えたステータ側サブアッセンブリを作る工程と、
上記ホイールと、このホイールに固定された上記ロータと、を備えたロータ側サブアッセンブリを作る工程と、
上記ロータ側サブアッセンブリを上記ステータ側サブアッセンブリに対して同軸に維持しながら軸方向に移動させることにより、上記ディスクのハブ穴を上記ハブの位置決め部に嵌め、上記ハブのハブボルトを上記ディスクのボルト穴に挿入し、上記ロータを上記ステータと径方向に対向させる移動工程と、
上記ハブボルトにナットを螺合して締め付けることにより、上記ディスクを上記ハブに固定する固定工程と、
を備えたことを特徴とする。
この方法によれば、モータ内蔵型ホイール装置を作業性良く組み立てることができ、これと同時にホイールを車両支持手段に装着できる。
【0016】
好ましくは、上記移動工程において、主ガイドロッドの小径の基端部を、上記ハブの位置決め部の内側に着脱可能に連結することにより、この主ガイドロッドを上記位置決め部と同軸にするとともにその外周面を上記位置決め部の外周面と同一円筒面上に位置させ、上記主ガイドロッドに上記ロータ側サブアッセンブリのディスクのハブ穴を嵌めた状態で、上記ロータ側サブアッセンブリを軸方向に移動させ、上記ハブ穴を上記主ガイドロッドから上記位置決め部へと移す。
これによれば、主ガイドロッドの案内作用により、ロータ側サブアッセンブリをステータ側サブアッセンブリに対して軸振れすることなく安定して移動させることができ、途中でステータとロータが吸着して移動不能となるような不都合を確実に防止することができる。
上記ステータ側サブアッセンブリのハブには、上記位置決め部の内側にねじ穴を形成しておき、このねじ穴に、上記主ガイドロッドの基端部を螺合する。
【0017】
好ましくは、上記主ガイドロッドにその軸線に沿ってねじ穴を形成しておき、上記移動工程において、上記主ガイドロッドのねじ穴にねじ棒を螺合させ、このねじ棒に回動可能に支持された移動規制手段を上記ロータ側サブアッセンブリのホイールに着脱可能に連結することにより、上記ロータとステータとの間の磁力に抗してロータ側サブアッセンブリの移動を規制し、この移動規制状態で上記ねじ棒を回すことにより、上記ロータ側サブアッセンブリを上記ステータ側サブアッセンブリに向けて軸方向に移動させる。
これによれば、移動規制手段でロータ側サブアッセンブリの移動を規制するので、ロータとステータとの間の磁力により、ロータ側サブアッセンブリがステータ側サブアッセンブリに衝突するのを回避することができる。
【0018】
好ましくは、上記移動工程において、上記ハブボルトに、上記主ガイドロッドと平行をなして副ガイドロッドを螺合させ、この副ガイドロッドを上記ホイールのボルト穴に差し込んだ状態で、上記ロータ側サブアッセンブリの軸方向移動を行う。
これによれば、副ガイドロッドの案内作用により、ロータ側サブアッセンブリを周方向の位置決めをした状態で軸方向に移動させることができる。
【0019】
本発明のさらに他の態様は、請求項1〜6のいずれかに記載のモータ内蔵型ホイール装置を組み立て及び/又は分解するために、
(ア)支持体にハブを回転可能に取り付けてなる車両側支持手段と、この車両側支持手段の支持体に固定された上記ステータとを備えたステータ側サブアッセンブリと、
(イ)上記ホイールとこのホイールに固定された上記ロータとを備えたロータ側サブアッセンブリと、
を組み立たり分解する装置であって、
軸線に沿って形成されたねじ穴を有する主ガイドロッドと、このねじ穴に螺合されるねじ棒と、このねじ棒に回転可能に支持される移動規制手段とを備え、
上記主ガイドロッドは、上記ディスクのハブ穴に嵌るべき上記ハブの位置決め部の外径と等しい外径を有し、小径の基端部を上記ハブの位置決め部の内側に着脱可能に連結することにより、その外周面が上記位置決め部の外周面と同一円筒面上に位置し、このハブへの連結状態で、上記ロータ側サブアッセンブリのディスクのハブ穴に挿入されて上記ロータ側サブアッセンブリの上記ステータ側サブアッセンブリに対する軸方向移動を案内し、
上記移動規制手段は、上記ロータ側サブアッセンブリのホイールに着脱可能に連結することにより、上記ロータとステータとの間の磁力に抗してロータ側サブアッセンブリの移動を規制することを特徴とする。
この構成によれば、比較的簡単な構成で作業性良くステータ側サブアッセンブリとロータ側サブアッセンブリの組立、分解を行うことができる。しかも途中でステータとロータが吸着して移動不能となるような不都合を防止でき、ロータ側サブアッセンブリがステータ側サブアッセンブリに衝突するのを回避することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、モータ内蔵型のホイール装置の軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1実施形態に係わるモータ内蔵型ホイール装置について、
図1〜
図4を参照しながら説明する。
図1には、車両側支持手段1と、この車両側支持手段1に組みつけられた本実施形態のホイール装置2が示されている。車両側支持手段1は、支持体10とこの支持体10に回転可能に支持されたハブ20とを備えている。ホイール装置2は、上記ハブ20に固定されたホイール30と、ホイール30に内蔵されたモータMおよびブレーキBとを備えている。
【0023】
図1、
図2に示すように、上記支持体10は、車両にサスペンション機構を介して支持され車両から突出したシャフト11と、このシャフト11の鍔部11aに固定された円盤形状の支持板12とを有している。この支持板12は、後述するようにステータ支持部として提供される。
【0024】
上記シャフト11は上記鍔部12の先端側(車両の反対側)に小径部11b(ハブ支持部)を有しており、この小径部11bの外周にはベアリング15を介してハブ20の筒状ボス部21(回転支持部)が回転可能に支持されている。シャフト11の軸線Lは、ハブ20の回転軸線となり、ひいてはホイール30の回転軸線となる。
上記小径部11bの先端には雄ねじ部11cが形成されており、この雄ねじ部11cには、上記ベアリング15を押さえるためのナット16が螺合されている。
【0025】
上記ハブ20は、上記ボス部21と、このボス部21の先端(車両の反対側の端)に連なる円盤形状の取付フランジ部22と、この取付フランジ部22から上記回転軸線Lと同軸をなして突出する円筒形状の位置決め部23とを備えている。
【0026】
上記ハブ20の先端面(車両の反対側の端面)にはねじ穴24(凹部)が形成されている。このねじ穴24は上記位置決め部23の内部空間を含んで深く形成されている。このねじ穴24の底部に、上記ナット16が収容されている。ねじ穴24にはキャップ25が螺合されており、このキャップ25によりねじ穴24が塞がれている。
【0027】
上記ハブ20の取付フランジ部22には複数のハブボルト26が、位置決め部23を囲むように周方向に等間隔をなして固定されている。このハブボルト26は、取付フランジ部22から車両の反対側に突出している。
【0028】
図1、
図3に示すように、上記ホイール30は、例えばアルミ合金(軽金属)の鋳造品からなり、ディスク31と、このディスク31の周縁に連なるほぼ円筒状のリム35とを有している。このディスク31は、中央の円盤形状の取付部32と、環状の周縁部33と、これら取付部32と周縁部33とを連ねるようにして放射状に延びるスポーク部34とを有している。周縁部33の車両側の面(
図3にのみ符号33aを付す)は上記回転軸線Lと直交する平坦面となっており、後述するように当接面として提供される。
【0029】
上記ディスク31の取付部32の中央にはハブ穴32aが形成されており、このハブ穴32aを囲むように周方向に等間隔をなしてボルト穴32bが形成されている。
【0030】
上記ディスク31のハブ穴32aを上記ハブ20の位置決め部23に嵌め、ボルト穴32bをハブボルト26に挿入した状態で、上記ハブボルト26にナット27を螺合して締め付けることにより、ホイール30がハブ20に固定される。
【0031】
上記ホイール30のリム35は、一般的なホイールのリムと同様に、リムドロップ部36と、その軸方向両端部のリムフランジ部37とを有している。リムドロップ部36の軸方向両端部の内周(
図3にのみ符号36aを付す)は、回転軸線Lと同軸の円筒面となっている。
【0032】
図1に示すように、上記モータMは、円筒形状をなすステータ40とロータ50とを有している。ステータ40は車両側支持手段1の支持体10に固定され、ロータ50はホイール30に固定されている。
【0033】
まず上記ステータ40について、
図1、
図2、特に
図2を参照しながら詳しく説明する。上記ステータ40は、ホルダ41と、このホルダ41に周方向に等間隔をおいて保持された多数のステータ要素45とを有している。各ステータ要素45は、周知のようにコアにコイルを巻いてなる。
【0034】
上記ホルダ41は、円筒形状をなすホルダ本体42と、このホルダ本体42の軸方向両端に多数のボルト46,47でそれぞれ固定された一対の環状の端部材43,44とを有している。上記ホルダ本体42の外周に上記ステータ素子45が支持されている。
【0035】
上記ボルト47は、ホルダ本体42を軸方向に貫通し端部材44にねじ込まれており、その中間部がステータ要素45のコアの内周に形成された溝に入り込むことにより、ステータ要素45をホルダ41に対して回り止めしている。
上記ホルダ本体42の車両側の一端が上記支持体10の支持板12の周縁部に多数のボルト48で固定されることにより、ステータ40が支持体10に固定されている。
【0036】
上記ステータ40の軸方向一端側(車両側)に位置する上記端部材43は、ステータ素子45の外周から径方向外方向に突出する環状の遮蔽鍔部43aと、この遮蔽鍔部43aにおいて車両と反対側の面に形成された第1ラビリンス部43bとを有している。
上記第1ラビリンス部43bは、車両の反対側(ホイール30のディスク31側)に向けて軸方向に突出する環状突起43xと、この環状突起43xに隣接して車両の反対側に開口する凹溝43yとを有している。
【0037】
上記ステータ40の軸方向他端側(車両の反対側)に位置する端部材44は、車両の反対側の面に、ステータ要素45の外周より径方向内側に位置する第2ラビリンス部44bを有している。この第2ラビリンス部44bも、車両の反対側(ホイール30のディスク31側)に向けて軸方向に突出する環状突起44xと、この環状突起44xに隣接して車両の反対側に開口する凹溝44yとを有している。
【0038】
次に上記ロータ50について、
図1、
図3、特に
図3を参照しながら説明する。上記ロータ50は、ホルダ51と、このホルダ51に保持されたロータ要素55とを備えている。ロータ要素55は例えば、円筒形状のコアの内周に回転軸線Lと平行をなす多数の細長い永久磁石を周方向に等間隔をおいて配置することにより構成されている。
【0039】
上記ホルダ51は、円筒形状をなすホルダ本体52と、このホルダ本体52の車両側の一端に、多数のボルト56により固定された環状の端部材53とを有している。
上記ホルダ本体52の内周には、上記ロータ素子55がホルダ本体52と端部材53で挟まれるようにして取り付けられている。
上記ボルト56は、軸方向に長く延び、ホルダ本体52を貫通して端部材53にねじ込まれており、その中間部がロータ要素55のコアの外周に形成された溝に入り込むことにより、ロータ要素55をホルダ51に対して回り止めしている。
【0040】
上記ホルダ本体52は、車両の反対側端部においてロータ要素55の内周から径方向、内方向に突出する環状の遮蔽鍔部52aを有しており、この遮蔽鍔部52aにおける車両側の面には、第3ラビリンス部52bが形成されている。この第3ラビリンス部52bは、上記ステータ40の第2ラビリンス部44bと相補的な形状をなし、車両側に向かって軸方向に突出する環状突起52xと、この環状突起52xに隣接し車両側が開口した環状の凹溝52yとを有している。
【0041】
上記端部材53の車両側の面には、ロータ要素55の内周より径方向外側に位置する第4ラビリンス部53bが形成されている。この第4ラビリンス部53bは上記ステータ40の第1ラビリンス部43bと相補的な形状をなし、車両側(ディスク31の反対側)に向けて軸方向に突出する環状突起53xと、この環状突起53xに隣接して車両側に開口する凹溝53yとを有している。
【0042】
上記ロータ50のホルダ本体52は、ホイール30のディスク31の周縁部33を軸方向に貫通してホルダ本体52にねじ込まれるボルト57により、当該周縁部33に直接固定されている。以下、この特徴について詳述する。
ホルダ本体52の両端部の外周52cは回転軸線Lと同軸の円筒面をなしており、リム35の内周36aの径と高精度で一致している。また、ホルダ本体52のディスク31側の端面52dは回転軸線Lと直交した平坦面となっている。
【0043】
上記ロータ50は、その端面52dがディスク31の周縁部33の当接面33aに当たるまでホイール30に対して軸方向に移動されることにより、リム35に嵌め込まれ、この状態で上記ボルト57によってディスク31の周縁部33に固定される。
【0044】
上述したように、ホルダ本体52の外径がリム35の内径と高精度で一致するので、ホルダ本体52の外周52cがリム35の内周36aに全周にわたって面接触している。
【0045】
なお、上記ホルダ本体52の軸方向中央部の外周には多数の環状の放熱フィン52eが形成されており、これに対向するリムドロップ部36の中央部内周には浅い環状の凹部36bが形成されている。
【0046】
上記モータMにおいて、ロータ要素55はステータ要素45の径方向外側に隙間を介して対向配置されている。ステータ40の第1ラビリンス部43bと、ロータ50の第4ラビリンス部53bが僅かな隙間を介して噛み合うことにより、車両側のラビリンスシールが構成され、ステータ40の第2ラビリンス部44bと、ロータ50の第3ラビリンス部52bが僅かな隙間を介して噛み合うことにより、車両の反対側のラビリンスシールが構成され、これら一対のラビリンスシールにより、上記ステータ要素45とロータ要素55の間の隙間がシールされている。
【0047】
車両側のラビリンスシールでは、ステータ40の第1ラビリンス部43bの環状突起43xがロータ50の第4ラビリンス部53bの凹溝53yに入り込み、第1ラビリンス部43bの凹溝43yに第4ラビリンス部53bの環状突起53xが入り込んでいる。
同様に、ステータ40の第2ラビリンス部44bの環状突起44xがロータ50の第3ラビリンス部52bの凹溝52yに入り込み、第2ラビリンス部44bの凹溝44yに第3ラビリンス部52bの環状突起52xが入り込んでいる。
【0048】
上記ブレーキBは、ハブ20の取付フランジ部22に固定されたブレーキディスク60(ブレーキロータ)と、支持板12に固定され、この支持板12とホイール30のディスク31との間に配置されるブレーキキャリパ(図示しない)とを備えている。ブレーキキャリパは、例えば、図示しないブラケットを介して上記支持板12に支持された一対の油圧シリンダと、これら油圧シリンダの動作によりブレーキディスク60を挟む一対のパッドとを有している。
【0049】
上記構成において、ステータ要素45のコイルに高周波電流を供給してステータ要素45とロータ要素55との間に磁力を発生させ、これにより、ロータ50に回転トルクを付与し、ひいてはこのロータ50に固定されたホイール30に回転トルクを付与する。
【0050】
上記構成のホイール装置2では、ロータ50が支持板を介してハブ20に固定される構成を採用せず、ロータ50がホイール30に直接的に固定されるため、支持板が不要となり、その分だけ部品点数を削減できるとともにホイール装置2の重量を軽減できる。
【0051】
また、ロータ50がリム35の内周36aに接するように配置したことにより、ロータ50の径を最大限にすることができるので、ロータ50に大きな回転トルクを付与することができる。
さらに、ロータ50の径を最大限にすることに伴ってステータ40の径も増大するので、ホイール装置2の内部空間を広くすることができ、これにより、ホイール30の径を増大することなく、十分なブレーキスペースを確保することができる。
【0052】
ロータ50の外周52cがリム35の内周36aに全周にわたって面接触するため、リム35に付与される荷重をロータ50で負担でき、リム35を補強できる。特にロータ50のコアは珪素鋼板を重ねることにより円筒形状をなしているので剛性が高く、リム35の補強に大きく寄与することができる。その結果、リムドロップ部36を減肉でき、さらにスポーク部34も減肉できる。なお、ディスク31側のリムフランジ部37には応力が集中するので逆に当該部位では増肉が必要となるが、トータルでは、ホイール重量を10〜20%低減することができる。
【0053】
本実施形態では、部品点数の削減やリム35の減肉等により、ホイール装置2全体で約15%軽量化できる。
【0054】
なお、本実施形態では、ロータ50の外径をリム35の内径と高精度に一致させたが、0.1mm以下の僅かな隙間であれば、リム35に荷重が付与された時にリム35の内周がロータ50の外周に接することにより、ロータ50がリム35を補強する役割を担うことができる。本願においては、このようにロータ50とリム35との間に僅かな隙間があっても、両者は「接する」と定義する。
【0055】
次に、上記構成をなすホイール装置2の組立方法について
図4を参照しながら説明する。この組立方法では、
図2のステータ側サブアッセンブリA1と、
図3のロータ側サブアッセンブリA2とを用意する。
【0056】
ステータ側サブアッセンブリA1は、車両側支持手段1の支持板12にステータ40を固定し、前述したようにブレーキBを取り付けることにより得られる。
ロータ側サブアッセンブリA2は、ホイール30にロータ50を固定することにより得られる。
【0057】
図4に示す組立装置70を用い、上記ロータ側サブアッセンブリA2を上記ステータ側サブアッセンブリA1に向けて軸方向に移動させて組み付ける。
この組立装置70は、中央の主ガイドロッド71と周辺の複数の副ガイドロッド72とを備えている。
【0058】
上記主ガイドロッド71は、上記ハブ20の位置決め部23と等しい外径を有して円筒形状をなし、その基端部が小径をなし、その先端部がテーパをなしており、軸線方向に延びるねじ穴71aを有している。
【0059】
上記主ガイドロッド71の基端部の外周には雄ねじが形成されており、この基端部をハブ20のねじ穴24にねじ込むことにより、主ガイドロッド71が位置決め部23と同軸をなして、ステータ側サブアッセンブリA1のハブ20に着脱可能に連結される。
【0060】
上記主ガイドロッド71の連結状態において、主ガイドロッド71の基端部に隣接する肩部が上記ハブ20の位置決め部23の先端面に当たり、主ガイドロッド71の外周と位置決め部23の外周が1つの円筒面をなすようにして実質的に連なっている。
【0061】
上記副ガイドロッド72は上記主ガイドロッド71より短く、先端部がテーパをなしており、基端部にはネジ穴72aが形成されている。このネジ穴72aをハブボルト26に螺合させて締め付けることにより、副ガイドロッド72は主ガイドロッド71と平行をなしてハブ20に着脱可能に連結される。
【0062】
上述したようにステータ側サブアッセンブリA1にガイドロッド71,72を固定した後、ロータ側サブアッセンブリA2のホイール30のハブ穴32aに主ガイドロッド71の先端部を嵌める。これにより、ステータ側サブアッセンブリA1に対してロータ側サブアッセンブリA2のセンター出しがなされ、両サブアッセンブリA1,A2の同軸状態が維持される。
【0063】
次に、主ガイドロッド71により案内しながら、ロータ側サブアセンブリA2をステータ側サブアッセンブリA1に近づけると、
図4に示すようにボルト穴32bに副ガイドロッド72の先端部が挿入される。これにより、ロータ側サブアッセンブリA2はステータ側サブアッセンブリA1に対して周方向に位置決めされるとともに回動を禁じられる。
【0064】
上記装置70はさらにねじ棒73と、このねじ棒73に取り付けられた移動規制手段74とを備えている。ねじ棒73の先端は断面多角形の工具掛け部73aとなっている。
上記移動規制手段74は、ねじ棒73の先端近傍に回転可能に取り付けられねじ棒73と直交する方向に延びる支持部材75と、引っ張り強度の大きいバンド76とを有している。この支持部材75の両端部にはリング75a(引っ掛け部)が設けられている。
【0065】
図4に示す状態において、ねじ棒73を主ガイドロッド71のねじ穴71aにねじ込む。そして、支持部材75のリング75aとホイール30のスポーク部34との間に上記バンド76を掛け渡し、その両端を図示しない留め具で連結する。
【0066】
次に、上記ねじ棒73の工具掛け部73aに工具を掛けて回すことにより、ねじ棒73を主ガイドロッド71の奥へと移動させる。螺合の初期の段階ではステータ40とロータ50が離れており、磁力が作用しないので、ネジ棒73の前進に伴いロータ側サブアッセンブリA2をステータ側サブアッセンブリA1に向けて押す必要がある。
【0067】
さらにねじ棒73の螺合を進めて、ロータ側サブアッセンブリA2をステータ側サブアッセンブリA1に近づけると、ステータ40のコアとロータ50の永久磁石との間の磁力により、ロータ側サブアッセンブリA2がステータ側サブアッセンブリA1に引き寄せられる。
この際、ロータ側サブアッセンブリA2の移動を規制しないと磁力が急速に増大し、ロータ側サブアッセンブリA2が高速度でステータ側サブアッセンブリA1に衝突してしまう。しかし、本実施形態では、移動規制手段74によりロータ側サブアッセンブリA2の移動が規制され、このロータ側サブアッセンブリA2はねじ棒73の軸方向移動に伴って徐々に移動するので、衝突を回避することができる。
【0068】
上記ホイール30のハブ穴32aと主ガイドロッド71のガイド作用およびボルト穴32bと副ガイドロッド72のガイド作用により、ロータ側サブアッセンブリA2はステータ側サブアッセンブリA1と同軸をなしたまま回動せずに軸方向に移動することができる。そのため、移動の途中でロータ50とステータ40が片当たりし強い磁力によりロータ側サブアッセンブリA2の移動が不能になるような事態を回避することができる。
【0069】
さらにねじ棒73の螺合を進めると、やがて、ディスク31のハブ穴32aがハブ20の位置決め部23に嵌り、ディスク31の取付部32がハブ20の取付フランジ22に当たり、ロータ側サブアッセンブリA2の移動が完了する。なお、この移動完了の状態で、ハブボルト26が副ガイドロッド72を介してディスク31のボルト穴32bに挿入されている。
【0070】
上記ロータ側サブアッセンブリA2の移動完了時には、上述した一対のラビリンスシールが完成している。第1ラビリンス部43bと第4ラビリンス53bは軸方向移動によって噛み合うようになっており、第2ラビリンス部44bと第3ラビリンス部52bも軸方向移動によって噛み合うようになっているからである。
【0071】
最後にガイドロッド71,72を外し、ハブボルト26にナット27を螺合させて締め付けることによりホイール30をハブ20に固定し、ねじ穴24にキャップ25を装着することにより、サブアッセンブリA1,A2同士の組み付けが完了する。
図1参照。
上記サブアッセンブリA1,A2同士の組み付けにより、ホイール装置2の組立が完了するとともに、ホイール30の車両側支持手段1への装着も完了する。
【0072】
同じ装置70を用いて上記と逆の工程を実行すれば、修理や点検のために上記2つのサブアッセンブリA1,A2に分解することができる。すなわち、ナット27とキャップ25をハブから取り外し、ガイドピン71,72をハブ20にセットし、ねじ棒73を主ガイドピン71にねじ込み、移動規制手段74のバンド76をホイール30と支持部材75のリング75a間に掛け渡し、この状態でねじ棒73を回すことにより、ステータ40とロータ50との間の磁力に抗してロータ側サブアッセンブリA2を後退させる。
【0073】
ロータ側サブアッセンブリA2が上記磁力が効かない位置まで後退したら、バンド76をホイール30から外し、ねじ棒73を主ガイドピン71から外す。
次に、ロータ側サブアッセンブリA2をさらに後退させて、そのボルト穴32bを副ガイドロッド72から外し、ハブ穴32aから主ガイドロッド71を外す。
最後にガイドロッド71,72をハブ20から取り外す。
【0074】
次に、本発明の他の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態において先行する実施形態に対応する構成部には同番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0075】
図5に示す第2実施形態のロータ50Aは、円筒形状のロータ要素55Aと、その軸方向両端に配置された環状の端部材52A,53Aとで構成されている。本実施形態では、ロータ要素55Aの外周を覆うホルダ本体を備えておらず、端部材52A,53Aによりホルダが構成されている。
【0076】
第2実施形態では、軸方向に延びる多数の長いボルト58が、ホイール30のディスク31の周縁部33を貫通し、端部材
52Aおよびロータ要素55Aの外周に形成された溝を通り、端部材53Aにねじ込まれており、これにより、ロータ要素55Aおよび端部材52A,53Aが互いに連結されるとともに、ロータ50Aがホイール30のディスク31の周縁部33に固定されている。ロータ要素55Aは、端部材52A,53Aに挟まれた状態で保持され、ボルト58により回り止めされている。
【0077】
第2実施形態では、ロータ要素50Aの両端部および端部材52A,53Aの外周が、リム35の内周36aに接している。また、端部材53Aは、径方向、外方向に突出した環状の鍔部53fを有し、この鍔部53fがリム35の車両側端部、より具体的にはリムドロップ部36の車両側の面に当たった状態でボルト59により固定されている。
第2実施形態では、ホルダ本体を省いたので、ロータ要素55Aの径を更に大きくすることができ、第1実施形態より大きな回転トルクが得られる。また、ホイールアセンブリの内部空間をより一層広げることができる。
【0078】
図6に示す第3実施形態のロータ50Bも、第2実施形態と同様に、端部材52B,53Bによりホルダが構成されロータ要素55Bを挟んだ状態で、これら部材を貫通するボルト(図示しない)により互いに固定されている。なお、このボルトは一方の端部材52Bを貫通し、ロータ要素55Bの外周に形成された溝を通り、他方の端部材53Bにねじ込まれている。
【0079】
第3実施形態では、ホイール30とロータ50Bとを固定するためにボルトを用いず、その代わりに周方向に間隔をおいて配置された複数のボールプランジャ機構80を用いている。このボールプランジャ機構80は、ロータ要素55Bの外周に形成された穴81と、この穴81に収容されたバネ82と、このバネ82により径方向、外方向へ付勢されるボール83と、リム35のリムドロップ部36の内周に形成され上記ボール83の一部が嵌る凹球面84とを備えている。
【0080】
第3実施形態では、ロータ50Bをホイール30に固定するためのボルトおよびその締結作業を省くことができる。ロータ50Bを軸方向に移動させてホイール30のリム35に装着する際には、バネ82に抗してボール83が後退する。取り外しの場合も同様である。
【0081】
図7に示す第4実施形態では、スチール製のホイール30Cが用いられている。このホイール30Cは、ディスク31Cとリム35Cが別々に作られ、溶接されている。本実施形態では、リム35Cのリムドロップ部36Cの内周に、軸方向に離間した一対の環状の突起39が形成され、この突起39間にロータ50Cが保持されるようになっている。
【0082】
上記ロータ50Cのリム35Cへの取付工程について説明する。
図7(A)に示すように、ホイール30Cのリム35Cの初期形状は最終形状に比べて、車両側端部に向かうにしたがって広がるように径が大きくなっている。この初期形状ではリムドロップ部36Cはテーパをなしている。
【0083】
図7(A)に示すように、上記ロータ50Cをリム35Cに挿入し、その角部をディスク31側の突起39に当てる。
次に
図7(B)に示すように、リム35Cをプレス加工により縮径し、リムドロップ部36Cを円筒形状にし、これにより、一対の突起39間でロータ50Cを強固に挟むとともに、ロータ50Cの外周をリム35Cに接するようにする。
【0084】
なお、
図7においてロータ50Cを概略的に矩形断面で示したが、他の実施形態と同様にホルダとロータ要素と第3、第4のラビリンス部を有している。本実施形態では、ホルダがホルダ本体を有し、このホルダ本体が上記一対の突起39で保持されるようにするのが好ましい。ホルダ本体と突起39とを溶接してもよい。
【0085】
本発明は上記実施例に制約されず、種々の態様を採用することができる。例えば、
図5、
図6に示す実施形態においてもロータ50A,50Bの外側に筒状のホルダ本体を配置するようにしてもよい。
支持体におけるハブ支持部を筒形状にし、ハブのボス部を、このハブ支持部内に挿入して回転可能に支持するようにしてもよい。
ホイールのリムは、リムドロップが無い形状のものであってもよい。