(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加温コイルは、所定の異なる時間に収集された前記磁気共鳴信号に対応する少なくとも2つの前記磁気共鳴像に基づいて、前記高周波電磁波の照射を停止する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気共鳴診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下実施態様について、図面を参照して説明する。
【0012】
(磁気共鳴診断装置1の構成)
図1は、実施態様に係る磁気共鳴診断装置1の構成を示したブロック図である。
図1に示すように磁気共鳴診断装置1は、制御部100、傾斜磁場電源201、高周波送信コイル制御部202、加温コイル制御部204、天板制御部205、静磁場磁石300、傾斜磁場コイル301、送信コイルRFシールド302、高周波送信コイル303、高周波受信コイル304、加温コイル400、加温コイルRFシールド401、及び天板500を組み合わせて構成される。なお、磁気共鳴診断装置1の構成はこれに限られるものではなく、適宣構成要素を追加し、あるいは省略しても構わない。
【0013】
なお、静磁場磁石300と、傾斜磁場コイル301と、送信コイルRFシールド302と、高周波送信コイル303と、高周波受信コイル304と、加温コイル400と、加温コイルRFシールド401は図示せぬ円筒状のコイル容器内に内蔵される。被検体Pの加温及び撮影を行う際には、被検体Pはこのコイル容器の開口部に収容されることとなる。以降、このコイル容器の開口部を患者ボアと記載する。
【0014】
また、
図1中のx軸は、後述する天板500の短手方向に対応する軸である。また、
図1中のy軸は、磁気共鳴診断装置1が配置される床面に対して垂直な方向に対応する軸である。また、
図1中のz軸は、天板500の長手方向、あるいは被検体Pの体軸方向に対応する軸である。以降の各図面及び実施態様の説明に対応するx軸、y軸、及びz軸の方向も同様のものとして扱う。
【0015】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などを組み合わせて構成される。制御部100に含まれる機能制御部には、インタフェース制御部101、画像処理部102、温度計測処理部103、体動計測処理部104、記憶部105、表示部106、及び入力部107などが含まれる。制御部100は各部から供給される信号を処理し、また種々の制御信号を生成して各部へ供給することで磁気共鳴診断装置1を統括的に制御する。
【0016】
インタフェース制御部101は、被検体Pに対する撮影及び加温の際に、制御部100に接続される傾斜磁場電源201、高周波送信コイル制御部202、加温コイル制御部204、及び天板制御部205を動作させるための制御信号を出力する。より具体的には、インタフェース制御部101は撮影の際に、後述する入力部107から入力された撮影パラメータに基づいて傾斜磁場電源201へ傾斜磁場発生信号を出力し、高周波送信コイル制御部202へ撮影RFパルス発生信号を出力する。また、インタフェース制御部101は加温の際に、入力部107から入力された加温パラメータに基づいて加温コイル制御部204へ加温パルス発生信号を出力する。また、インタフェース制御部101は入力部107から入力された天板パラメータに基づいて天板制御部205へ天板移動信号を出力する。
【0017】
画像処理部102は、後述する高周波受信コイル304から出力された磁気共鳴信号に基づいて、被検体Pの磁気共鳴像を生成する。画像処理部102は、磁気共鳴像として例えば被検体Pの任意の断面における断層像を生成する。画像処理部102による断層像の生成は、例えば磁気共鳴信号から収集された横緩和時間を断層像中の座標と対応付けてマッピングすることにより行われる。画像処理部102は断層像を生成して、温度計測処理部103及び体動計測処理部104、及び記憶部105へと出力する。
【0018】
温度計測処理部103は、画像処理部102から出力された断層像に基づいて、被検体P内部の温度分布を測定する。温度計測処理部103による温度分布の測定は、断層像中にマッピングされた横緩和時間の変化を検出することにより行われる。これは、被検体P体組織のプロトンスピンの横緩和時間が温度依存性を持つことによる。横緩和時間は予め既知の温度依存係数に従って、温度変化に比例して変化する。
【0019】
温度計測処理部103による温度計測をより具体的に説明する。温度計測処理部103による温度計測は、被検体Pの温度変化をマッピングした温度変化画像を生成することにより行われる。温度変化画像生成の前段として、まず温度計測処理部103は、後述する加温コイル400による加温を行っていない状態で画像処理部102から出力された被検体Pの断層像をリファレンス画像として設定する。リファレンス画像を生成した後に画像処理部102から被検体Pの断層像が出力されると、温度計測処理部103はリファレンス画像と現在の断層像について、画素毎の差分をマッピングしたサブトラクション像を生成する。このサブトラクション像の各画素には、リファレンス画像生成時の横緩和時間と、現在の横緩和時間との差分がマッピングされることとなる。温度計測処理部103は各画素について、この横緩和時間の差分を温度依存係数で除算する。これにより、サブトラクション像の各画素には、リファレンス画像生成時の現在の時刻との間の、被検体Pの体組織の温度変化がマッピングされる。以上の処理により、温度計測処理部103は温度変化画像を生成する。
【0020】
温度計測処理部103は温度変化画像を生成すると、これを表示部106あるいは記憶部105へと出力する。
【0021】
なお、本実施態様においては例として、横緩和時間を用いて温度変化を測定する例について述べる。しかし、横緩和時間に替えて縦緩和時間を用いて温度変化を測定しても構わない。これは、縦緩和時間も横緩和時間と同様に温度依存性を持つことによる。また、画像処理部102から出力された横緩和時間を強調した断層像における各画素の値は、横緩和時間だけでなく、被検体P体組織の水密度、縦緩和時間、あるいは自己拡散係数などの種々のパラメータに影響を受けて変化することが考えられる。これらのパラメータによる誤差を避けるため、温度計測処理部103は適宣校正処理や補正処理を行っても構わない。
【0022】
体動計測処理部104は、画像処理部102から出力された断層像に基づいて、被検体Pの体動を測定する。体動計測処理部104による体動の測定は、断層像から被検体Pの輪郭を抽出し、この輪郭の移動を検出することにより行われる。
【0023】
体動計測処理部104による体動計測をより具体的に説明する。体動計測処理部104による体動計測は、被検体Pの体動を画像化した体動画像を生成することにより行われる。体動画像生成の前段として、まず体動計測処理部104は、温度計測処理部103が温度変化画像の生成に用いたリファレンス画像について、被検体Pの輪郭線を抽出する。輪郭線の抽出は、例えばリファレンス画像中の画素値が急激に遷移する場所(以下、単にエッジと記載する)を検出し、このエッジに対応する座標へ所定の画素値をマッピングすることにより行われる。画像処理部102が出力した断層像中で空気領域と被検体Pの体組織領域とでは画素値が大きく異なるため、エッジをマッピングした画像中(以下、単にエッジ画像と記載する)には、空気と被検体Pとの境界面、すなわち被検体Pの輪郭線が現れることとなる。リファレンス画像のエッジ画像を生成した後に画像処理部102から被検体Pの断層像が出力されると、体動計測処理部104は出力された断層像についてエッジ画像を生成し、リファレンス画像のエッジ画像との画素毎の差分をマッピングしたサブトラクション像を体動画像として生成する。この体動画像には、リファレンス画像生成時の被検体Pの輪郭と、現在の被検体Pの輪郭との差分がマッピングされる。リファレンス画像の生成時に比較して被検体Pに体動が生じている場合には2重の輪郭線が現れ、一方被検体Pに体動が生じていない場合には各画素の値が差分によって打ち消され画像中には何も現れないこととなる。つまり、体動画像に基づいて被検体Pの体動の度合いを測定することができる。体動計測処理部104は生成した体動画像を表示部106あるいは記憶部105へと出力する。
【0024】
なお、本実施態様においては被検体Pの輪郭線を検出したエッジ画像に基づいて被検体Pの体動を検出する例について述べた。しかし磁気共鳴診断装置1の校正はこれに限られず、エッジ画像に替えてエッジ内を塗りつぶした画像などの、様々な画像に基づいて被検体Pの体動を測定しても構わない。エッジ内を塗りつぶした画像同士の差分を取ることにより、生成されたサブトラクション像には被検体Pが動いた領域が塗りつぶされて現れることとなる。この領域の大きさを検出することにより、磁気共鳴診断装置1の使用者は被検体Pの動きの度合いをより視覚的に視認することができる。また、体動計測処理部104は体動画像を生成することにより体動を測定すると述べたが、体動画像の生成に替えて、2つのエッジ画像内の輪郭線について、輪郭線同士の距離を算出し、この距離を体動の度合いを示す指標値として表示部106あるいは記憶部105へと出力しても構わない。これは被検体Pの体動が大きいほど輪郭線の移動が大きくなるため、輪郭線同士の距離が大きくなることによる。すなわち、体動が大きいほどこの指標値の値は大きなものとして算出される。
【0025】
記憶部105は、例えばROM、RAMやHDD(Hard Disc Drive)などの記憶媒体を組み合わせて構成される。記憶部105は画像処理部102から出力された断層像、温度計測処理部103から出力された温度変化画像、体動計測処理部104から出力された体動画像などを記憶する。また、後述する入力部107から入力された、被検体Pの加温治療を行うべき領域(以下、単に治療領域Rと記載する)を指定する座標情報をを記憶する。
【0026】
表示部106は例えば液晶ディスプレイなどによって構成され、画像処理部102から出力された断層像、温度計測処理部103から出力された温度変化画像、あるいは体動計測処理部104から出力された体動画像を表示する。また、表示部106は磁気共鳴診断装置1を操作するための操作画面や、後述する入力部107を用いて入力された磁気共鳴診断装置1の撮影パラメータ、加温パラメータ、天板パラメータ、治療領域Rなどを表示する。
【0027】
入力部107は例えばタッチパネルディスプレイや機械的なボタンなどから構成され、使用者が入力部107へ行った入力を受け付ける。入力部107は入力に応じて、撮影パラメータ、加温パラメータ、天板パラメータ、治療領域Rの入力や、あるいは撮影及び加温の開始指示、停止指示をインタフェース制御部101へと出力する。
【0028】
静磁場磁石300は、超電導コイルあるいは常電導コイルとして用いられ、患者ボア内に一様の静磁場を発生させる。この静磁場磁石300は、例えば
図1中のz軸方向に磁場方向の向く静磁場を形成する。静磁場磁石300が超電導コイルとして用いられる場合には、静磁場磁石300を冷却するための図示せぬ冷却機構が静磁場磁石300に取り付けられる。冷却機構は静磁場磁石300を冷却することにより超電導状態に保つ。静磁場の均一性を高めるため、静磁場磁石300の周辺にシムコイルあるいは鉄シムなどが設けられても構わない。
【0029】
傾斜磁場コイル301は静磁場磁石300の内側に設けられ、傾斜磁場電源201から出力された電気信号を受けて、患者ボア内に傾斜磁場を発生させるコイルである。傾斜磁場コイル301は静磁場磁石300の内側に3対設けられ、3対のコイルは、
図1中のx軸、y軸、及びz軸の各軸に対応して設けられる。3対のコイルは、傾斜磁場電源201から出力された電気信号を受けて、それぞれx軸、y軸、z軸に沿った磁場を発生させる。傾斜磁場電源201は3対のコイルから磁場を発生させ、各軸に沿った磁場を組み合わせることで、任意の方向に沿った傾斜磁場を形成する。
【0030】
高周波送信コイル303は、傾斜磁場コイル301の内側に設けられ、高周波送信コイル制御部202から出力された電気信号を受けて、被検体PへRF(Radio Frequency)波を送信するコイルである。RF波によって被検体Pの体組織に核磁気共鳴を引き起こすため、高周波送信コイル制御部202はRF波の周波数がラーモア周波数に対応するよう周波数を制御して電気信号を印加する。RF波の周波数は静磁場磁石300が形成する静磁場の大きさによって変化し、例えば静磁場の大きさが3Tである場合には、RF波の周波数は128MHzが用いられる。また、静磁場の大きさが1.5Tである場合には、RF波の周波数は64MHzが用いられる。
【0031】
高周波受信コイル304は、高周波送信コイル303及び後述する加温コイル400の内側であって、被検体Pの近傍に設けられるコイルである。高周波受信コイルは、高周波送信コイル303から送信されたRF波に対応して被検体Pから送信される磁気共鳴信号を受信する。高周波受信コイル304は画像処理部102へと出力する。
【0032】
加温コイル400は、高周波送信コイル303と高周波受信コイル304との間に設けられたリング状のコイルである。加温コイル400は、例えば被検体Pを間にして対向するように1対設けられる。加温コイル400は被検体P中の加温領域Qへ後述する加温パルスを集中させて印加するため、その半径が小さな値となるように構成される。具体的には、高周波送信コイル303(又はコイル容器)の半径や、被検体Pの体軸方向の長さなどより小さな長さである、例えば10〜30cm程度が半径となるように設けられる。なお、本実施態様においては加温コイル400が単一のリングによって構成される例を示すが、バネ状の巻線コイルによって構成しても構わないし、リングを積層して構成しても構わない。加温コイル400の半径は本実施態様に例示した値の他にも、任意の値が用いられていても構わない。加温コイル400は、加温コイル制御部204から出力された電気信号を受けて、電気信号中に基づく周波数で被検体Pへ電磁波を照射する。被検体Pへ印加された電磁波は、被検体Pの体組織に対して誘電加熱を引き起こし、体組織の温度を上昇させる。加温コイル400を用いた体組織の加温については、後に詳しく述べる。
【0033】
天板500は、被検体Pを横たえて載置することが可能な板状の部材である。天板500には図示せぬモータが取り付けられる。天板500は天板制御部205から出力された電気信号に従って、その位置をx軸、y軸、及びz軸に沿って移動させる。
【0034】
(被検体Pの加温)
以下、加温コイル400を用いた被検体Pの加温について詳述する。先述したように、加温コイル400は被検体Pへ向けて高周波の電磁波(以下、単に加温パルスと記載する)を照射する。この加温パルスの周波数は数MHzから数千MHzまでの任意の周波数を選ぶことができる。ただし、加温パルスの周波数は、高周波送信コイル303が送信するRF波の共振周波数を除く。この共振周波数による疎外されるべき周波数領域は、被検体Pの体組織がプロトンスピンを生じ磁気共鳴信号を送信する周波数であり、静磁場の大きさが3Tである場合には例えば127MHzから129MHzまでの周波数領域である。加温パルスがこの周波数領域にかかる場合には、電磁波によって被検体Pの体組織が磁気共鳴信号を生じ、この磁気共鳴信号は画像処理部102が生成する断層像にアーチファクトとして写り込んでしまう。
【0035】
さて、加温パルスが引き起こす被検体Pへの加温の過程について説明する。加温パルスは被検体Pの体組織へと到達する。ある時刻における加温パルスに注目すると、電磁波たる加温パルスに含まれる電界成分が、被検体Pの体組織に分極を生じさせる。この分極によって、即ち体組織内の電子、陽子、あるいはイオンからなる極性双極子を回転し、電界の方向へ分極の方向を揃える。加温パルスはその周波数に基づいて周期的に振動するため、ある時刻から僅かに進んだ別の時刻における加温パルスに注目すると、ある時刻に比べて電界の方向が変化することとなる。電界の方向の変化に合わせて、被検体Pの極性双極子も回転して、電界の方向へと分極の方向を揃える。
【0036】
極性双極子の経時変化を見ると、極性双極子は周波数に基づいて電界の向きを変化させる加温パルスに合わせて回転することとなる。ここで、加温パルスの周波数が数MHzを超える高周波である場合には、高速に変化する電界の向きに合わせて極性双極子も高速に回転する。この極性双極子の激しい運動によって双極子間に摩擦を生じ、この摩擦によって体組織に熱を生じる。以上の現象によって、加温パルスを照射された体組織が加温されることとなる。
【0037】
ところで、加温コイル400から照射された加温パルスは、まず空気中を伝播した後に被検体Pの体組織へと入射し、また空気中へと出射して、他端の加温コイル400へと入射する。空気と体組織との境界面に注目すると、空気中を伝搬する電磁波と体組織内を伝搬するとの間で境界条件が成り立つ。即ち、空気中から被検体へ向かって入射する電磁波を考えると、境界面において空気中から被検体組織へ入射する電界、被検体境界で反射し空気中へ出射する電界、被検体組織から空気中へ出射する電界とを足し合わせると、電界強度がゼロとなる。これは、空気と被検体との境界面を固定端として電磁波が伝搬するものとみなせる。被検体を伝搬して空気中へと出射する電磁波についても同様である。
【0038】
次に、1対の加温コイル400それぞれの中心を結ぶ軸Y−Y’(以降の説明においては、軸Y−Y’は
図1中のy軸に平行であるものとする)を考える。加温コイル400から照射された電磁波の一部は、この軸Y−Y’に沿って伝搬する。被検体Pの軸Y−Y’上の厚み(y軸上の距離)をP1とおくと、被検体P中の電磁波の半波長の整数倍がP1と一致する条件を満たす場合には、被検体P中で定在波が発振する。
図2に加温コイル400から照射した電磁波が定在波となって発振する様子を示す。
図2(a)では、軸Y−Y’上の被検体Pの厚みがP1であって、加温コイル400から被検体P内で波長2×P1となる加温パルスを照射した様子を示している。先述したように被検体Pの体組織と空気との境界面は固定端となるため、体組織内を伝搬する電磁波は境界面を節とし、軸Y−Y’上で被検体の中間点を腹とする基本モードの定在波として発振する。
【0039】
軸Y−Y’上の被検体P中で定在波を発振する電磁波の電界振幅に注目すると、この電界振幅が最大となるのは、定在波の腹である被検体Pの中点となる。体組織の加温が最大となる点は、この被検体Pの中点である。本実施態様においては、加温コイル制御部204が、電磁波を被検体P中で基本モード発振させるよう制御することにより、定在波の腹となる中点を加温する。加温治療においては、治療領域Rとなる腫瘍部分にのみ加温を集中させ、正常な組織へは加温の影響をできるだけ少なくすることが重要である。本実施態様においては被検体P中を伝搬する電磁波のエネルギを中点に集中(以下、電磁波のエネルギを集中させ加温を行う領域を、単に加温領域Qと記載する)させることにより、特定箇所の加温を効率良く行うことが可能である。
【0040】
さて、先の例では被検体Pの厚みがP1であり、加温パルスの波長が2×P1となる場合を述べたが、被検体Pの厚みは被検体の体格や性別などにより様々に変化する。被検体P中で定在波を発振するためには、加温コイル制御部204は種々の被検体Pの厚みに合わせて加温パルスの波長を変化させる必要がある。
図2(b)には、被検体Pの厚みが薄いP2である場合の加温の様子を示している。加温コイル制御部204は厚みP2である被検体に合わせて、体組織中で波長が2×P2となるように周波数を変化させて加温パルスを照射する。これにより、被検体PのY−Y’軸上で基本モードを発振させることができる。なお、被検体Pの厚みの測定方法については後に詳述する。
【0041】
(加温領域Qの位置制御)
先述した定在波の発振においては、被検体Pと空気との境界を節とした基本モード定在波を発振するため、加温領域Qが被検体Pの中点となっていた。治療領域Rが被検体Pの中点にある場合には加温治療を行えるが、治療領域Rが例えば被検体Pの表面近くにある場合には、加温領域Qと治療領域Rとが一致しないこととなる。加温領域Qと治療領域Rとを一致させるため、本実施態様においては被検体Pの実質的な厚みを調節するためのパッド600を被検体P上において加温パルスの照射を行う。
【0042】
パッド600は、被検体Pの体組織と誘電率の近い媒質で満たされた部材である。媒質としては例えばベビーオイルや、米などが用いられる。パッド600内の媒質と体組織との誘電率が十分近いため、パッド600から被検体Pへ入射する電磁波を考えると、パッド600と被検体Pの境界面では電磁波の反射などは生じず、境界面の影響が無視されてパッド600から被検体Pへと伝搬する。
図3は、被検体P上にパッド600を設置した際の加温の様子を示している。
図3(a)では、被検体PのY−Y’軸上で、被検体Pの底面(
図3(a)中のz−z’軸に一致する面)からy軸上でP3の距離にある体組織を加温する例を示している。なお、以降の説明では被検体Pの底面からy軸上の距離を単に高さと記載する。P3の高さにある体組織を加温するためには、P3の距離が中点となるような厚みのパッド600を被検体P上に設置すれば良い。即ち、被検体Pの厚みがP31とおくと、使用者はP3=P31+P32なる条件を満たす、厚みP32のパッド600を被検体Pの上に設置する。従って、加温パルスから見た被検体Pの実質的な厚みはP31+P32=2×P3となる。加温コイル制御部204は体組織中で波長が2×P3となるように周波数を変化させて加温パルスを照射する。これにより、Y−Y’軸に沿って、被検体Pの底面(
図3(a)中でy座標が最大となる点)と、パッド600の上面(
図3(a)中でy座標が最小となる点)で基本モード定在波が発振する。基本モード定在波の腹はP3の高さにあるため、治療領域Rと加温領域Qとを一致させて加温を行うことができる。
【0043】
一方
図3(b)では、
図3(a)と同じ厚みP3を持つ被検体Pに対して、P4の高さにある体組織を加温する例を示している。P4の高さにある体組織を加温するためには、P4の距離が中点となるような厚みのパッド600を被検体P上に設置すれば良い。即ち、被検体Pの厚みをP31とおくと、使用者はP4=P31+P42なる条件を満たす、厚みP42のパッド600を被検体Pの上に設置する。加温コイル制御部204は体組織中で波長が2×P4となるように周波数を変化させて加温パルスを照射する。
【0044】
以上のように、被検体Pの治療領域Rの高さに合わせて、使用者は適切な厚みを持つパッド600を選んで被検体Pの上に設置する。加温コイル204は被検体Pの厚みとパッド600の厚みの合計に合わせて周波数を変化させて、加温パルスを照射する。この動作により、加温領域Qの高さを任意に変化させることができる。
【0045】
なお、本実施態様では例として、被検体Pの上面側(
図3で、P31/2より高い位置)に治療領域Rがある場合を用いて説明を行うが、被検体Pの仮面側(
図3で、P31/2より低い位置)に治療領域Rがあっても構わない。この場合には、被検体Pを載置する向きを例えば仰向きからうつ伏せに回転させ、回転させた被検体Pの上部にパッド600を設置することで、回転後の治療領域Rへの加温を行う。
【0046】
次に、
図1中のx軸方向及びz軸方向に対する加温領域の位置を制御する動作について述べる。
【0047】
図4(a)は、x軸上で加温領域Qと治療領域Rとの位置がずれた状態で加温を行う様子を示している。先述したように、加温パルスは加温コイル400の中心を結ぶY−Y’軸に沿って定在波を発振させ、Y−Y’軸の中点を加温領域Qとして加温する。従って、x軸上、あるいはz軸上で加温領域Qと治療領域Rとの位置がずれている場合には、効率良く治療領域Rを加温することができない。
【0048】
そこで、加温領域Qと治療領域Rとを一致させるため、本実施態様においては、天板制御部205が天板500を移動させることにより、被検体Pと加温コイル400との相対的な位置関係を変化させる。具体的には、加温領域Qと治療領域Rとのxz平面上の座標が一致するように、換言すれば
図4(b)に示すようにY−Y’軸と治療領域Rとのxz平面上の座標が一致するように、天板500をxz平面上で移動させる。
【0049】
xz平面上でY−Y’軸と治療領域Rとの座標が一致した状態で加温パルスを照射することにより、定在波が発振する位置と治療領域Rとが一致する。定在波の発振位置と治療領域Rが一致することで、電界の集中する加温領域Qと治療領域Rとが一致し、治療領域Rを集中して加温することができる。
【0050】
以上の処理により、本実施態様の磁気共鳴診断装置1は加温領域Qと治療領域Rとの空間上の位置を一致させた状態で、加温治療を行う。
【0051】
(加温治療の流れ)
次に、加温治療の流れについて述べる。
【0052】
まず加温の前段階として、制御部100は治療領域Rを設定し、加温領域Qと治療領域Rとを一致させるための前処理を行う。具体的にはまず、制御部100は被検体Pの断層像の撮影を行う。即ち、インタフェース制御部101は、傾斜磁場電源201及び高周波送信コイル制御部位202へ制御信号を出力する。傾斜磁場電源201は傾斜磁場コイル301から被検体Pへ傾斜磁場を印加させ、一方高周波送信コイル制御部202は送信コイル303から被検体PへRF波を送信させる。被検体Pから送信された磁気共鳴信号を高周波受信コイル304が受信すると、画像処理部102が磁気共鳴信号を受信する。画像処理部102は受信した磁気共鳴信号に基づいて被検体Pの任意の断面の断層像を生成し、これを表示部106へと出力する。
【0053】
使用者は画像処理部102から出力された断層像を視認することにより、被検体Pの形状及び加温治療を行うべき患部の位置を確認する。表示部106に表示された断層像に患部が写り込んでおらず、使用者が患部の位置が確認できない場合には、使用者は入力部107を操作して、断層像の生成位置を変化させる制御信号を画像処理部102へと出力する。画像処理部102は受信した制御信号に応じて断層像の生成位置を変化させ、制御信号で指定された断面についての被検体Pの断層像を再び生成して表示部106へと出力する。この断層像の生成位置の変更動作は、使用者が断層像中に患部の位置を確認するまで繰り返し行う。
【0054】
図5(a)に、撮影された被検体Pの断層像の例を示す。
図5では説明の簡単のため、加温コイル400を図中に書き入れて示す。使用者が表示部106に表示された断層像から患部の位置を確認すると入力部107を操作して、患部の位置を治療領域Rとして指定する。治療領域Rは、表示部106に表示された断層像上では患部を囲むような円形の領域となるように指定される。なお、本実施態様の構成はこれに限られず、例えば矩形形状の領域として治療領域Rを指定しても構わないし、奥行(
図5中のx軸方向)の深さ情報を持った球形の3次元領域として指定しても構わない。
【0055】
制御部100は治療領域Rが指定されると、xz平面における治療領域Rの座標情報を取得する。制御部100は治療領域Rのxz平面上の座標情報を取得すると、予め記憶部106に記憶されたY−Y’軸のxz平面上の座標情報と比較する。制御部100は治療領域Rのxz平面上の座標情報とY−Y’軸のxz平面上の座標情報との比較に基づいて、xz平面上で治療領域RをY−Y’軸に一致させるために必要な移動方向と移動距離とを算出する。インタフェース制御部101は算出したxz平面上の移動方向と移動距離とを天板制御部205へと出力する。天板制御部205はxz平面上で治療領域RとY−Y’軸とが一致するように天板500及び、天板500に載置された被検体Pを移動させる。以上の動作により被検体Pがxz平面上で移動し、xz平面上における治療領域RとY−Y’軸の座標が一致する。
【0056】
また、制御部100は治療領域Rが指定されると、治療領域Rが存在する場所の被検体Pの厚みを測定する。具体的には、制御部100は表示部106に表示された断層像上で、治療領域Rの中心部分を通り、且つ被検体Pの体組織の領域中に収まる直線の長さを測定する。なお、この直線は
図5(a)中のY−Y’軸、換言すれば
図5(a)中のy軸に平行になるよう設定される。
【0057】
制御部100は被検体Pの厚みを測定すると、これを設定された治療領域Rの中心の高さと比較する。
図5(a)では、被検体Pの厚みをP5、治療領域Rの中心の高さをP51と記載する。先述したように、加温領域Qの高さは定在波のy軸方向の中点になるため、治療領域Rを加温領域Qと一致させるためには、対応した厚みのパッド600を被検体P上に設置しなければならない。制御部100は被検体Pの厚みP5と治療領域Rの中心の高さP51に基づいて、設置すべきパッド600の厚みP61を算出して、これを表示部106に表示し、厚みP61のパッド600を被検体P上に設置するように使用者に促す。具体的には、パッド600の厚みP61は、被検体Pとパッド600との高さの合計の2分の1が治療領域Rの高さと一致するように算出される。即ち、厚みP61は2×P51=P5+P61なる条件式から算出される。
【0058】
また、制御部100はパッド600の厚みP61を算出するとともに、被検体Pへ照射すべき加温パルスの波長を算出する。具体的には、加温パルスの被検体Pの体組織内における波長λが、被検体Pとパッド600との高さの合計の2倍と一致するように算出される。即ち、被検体Pの体組織内における波長λは、λ=(P5+P61)×2なる条件式から算出される。
【0059】
図5(b)に、移動した被検体P上にパッド600を設置した様子を示す。治療領域Rが設定されると、天板制御部205は天板500を移動させてxz平面上で治療領域Rの座標とY−Y’軸が一致するように被検体Pを移動させる。更に、制御部100はy軸上で加温領域Qと治療領域Rとの座標が一致させるため、表示部106にパッド600の厚みを表示してパッド600の設置を促し、また照射する加温パルスの波長を算出する。
【0060】
図5(b)に示すような状態となり、加温領域Qと治療領域Rとが一致すると、制御部100は表示部106に加温領域Qと治療領域Rとが一致し、加温治療の開始を促す旨を表示する。使用者は表示部106の表示を確認して、加温治療の開始を入力部107から入力する。
【0061】
入力部107から加温治療の開始を示す旨が入力されると、制御部100は被検体Pの加温と共に温度測定と体動測定を開始する。具体的には、インタフェース制御部101が加温コイル制御部204と、傾斜磁場電源201と、高周波送信コイル制御部202へそれぞれ制御信号を出力する。加温コイル制御部204は加温コイル400から被検体Pへ加温パルスを照射させる。一方、傾斜磁場電源201は傾斜磁場コイル301から被検体Pへ傾斜磁場を印加させ、一方高周波送信コイル制御部202は送信コイル303から被検体PへRF波を送信させる。画像処理部102は被検体Pから磁気共鳴信号を受信し、横緩和時間強調画像である断層像を生成し、これを温度計測処理部103及び体動計測処理部104へと出力する。温度計測処理部103は加温パルスを照射する直前に撮影された断層像をリファレンス画像として設定し、画像処理部102から出力された断層像とリファレンス画像に基づいて温度変化画像を生成し、記憶部105あるいは表示部106へと出力する。体動計測処理部104は温度計測処理部103と同じリファレンス画像として設定し、画像処理部102から出力された断層像とリファレンス画像に基づいて体動画像を生成し、記憶部105あるいは表示部106へと出力する。
【0062】
なお、加温コイル400が加温パルス照射を開始する直前に、制御部100は被検体Pの断層像を1枚以上生成する。これは、加温パルス照射直前に生成した断層像を元に温度計測処理部103及び体動計測処理部104がリファレンス画像を生成するためである。
【0063】
図6に、温度計測処理部103が生成した温度変化画像と体動計測処理部104が生成した体動画像の経時変化を示す。
図6(a1)(a2)(a3)は温度変化画像の時間的変化を、一方
図6(b1)(b2)(b3)は体動画像の時間的変化をそれぞれ示している。
図6を用いた説明の簡単のため、加温パルスを照射しない状態で被検体Pの体組織及びパッド600の温度は一様であるものとし、また時刻t1〜t3の間で被検体Pの体動は生じないものとする。
【0064】
加温領域Qと治療領域Rとの位置関係をわかりやすく示すため、制御部100は
図6に示すように温度変化画像と体動画像に加温領域Qと治療領域Rの位置を示すマーカを重畳して表示部106に表示させる。この場合、制御部100は加温領域Qの表示位置を、例えば天板500と加温コイル400との相対的な位置関係と、断層像を撮影した断面の位置情報に基づいて算出して表示する。制御部100は、治療領域Rの表示位置を、入力部107によって設定された領域に表示する。制御部100は体動画像に基づいて体動量と体動方向を算出して、体動量と体動方向に応じて治療領域Rを移動させて表示しても構わない。
【0065】
また、制御部100は、
図6(a1)に示すように、温度変化画像中に画素値と体組織の濃度とを関連付けるバーを表示する。
【0066】
また、制御部100は、
図6(b1)に示すように、体動画像中に体動量を示す指標値を表示する。体動量を示す指標値の例としては、例えばリファレンス画像と現在の断層像との相関の値を用いることができる。
【0067】
また、体動画像の表示をわかりやすくするため、制御部100は体動画像中には現在時刻で収集された断層像におけるエッジを点線で重畳して示す。
【0068】
加温パルス照射直前の時刻(
図6中の時刻t1)においては、温度変化を生じないため加温領域Qの体組織の温度は他の体組織と同様である。加温パルスの照射が開始され時間が経過すると(
図6中の時刻t2)、照射された加温パルスは被検体Pの加温領域Qを中心として加温し、体組織の温度を上昇させる。温度変化画像中では、例えば温度が上昇した領域の濃度を濃くすることで温度上昇を表示する。加温パルスが照射された状態で更に時間が経過すると(
図6中の時刻t3)、照射された加温パルスは被検体Pの加温領域Qの温度を更に上昇させる。一方、被検体Pの体動が生じない場合には被検体Pの輪郭が変化しないため、体動画像中ではリファレンス画像におけるエッジと現在時刻の断層像におけるエッジとはサブトラクションされて表示されないこととなる。
【0069】
使用者は時刻とともに変化する温度変化画像を監視して、治療領域R及び治療領域R周辺の体組織の温度変化を確認する。また、使用者は時刻とともに変化する体動画像を監視して、被検体Pの体動の様子を確認する。なお、温度変化画像と体動画像とは表示部106中で並べて同時に表示させても構わないし、温度変化画像と体動画像との表示の切り替えを入力部107による入力に基づいて行っても構わない。あるいは、温度変化画像あるいは体動画像の画像表示を省略し、替わりに治療領域Rの温度あるいは体動量を示す指標量の値を表示部106に表示させても構わない。
【0070】
(被検体体動の検知)
先の説明においては被検体Pが体動を生じないものと仮定して説明を行ったが、実際の加温治療中には体動を生じ被検体Pが移動してしまう場合が考えられる。
図7(a)(b)に被検体Pが時刻t3’で体動を生じた際の温度変化画像及び体動画像を示す。
図7においては被検体Pが
図7中の+z方向へ移動したものとする。
【0071】
被検体Pが+z方向へと移動すると、移動の影響は体動画像中に現れる。即ち、リファレンス画像生成時のエッジと現在の画像のエッジとの位置がずれるためサブトラクションによる画素値の打ち消しが行われず、体動画像中でエッジが2重に表示される。これに伴い、体動画像中に表示された体動の指標値も変化して表示される。指標値が相関値である場合には、体動量が大きくなるほど相関値も小さい値となって表示される。
【0072】
制御部100は被検体Pの移動量と移動方向を算出して、温度変化画像及び体動画像に表示された治療領域Rを示すマーカを移動させる。これにより、両画像中では治療領域Rを示すマーカと、加温領域Qを示すマーカとの位置がずれて表示されることとなる。
【0073】
加温領域Qと治療領域Rとの位置がずれると、患部以外の体組織、即ち正常な体組織が加温されてしまうこととなる。使用者は温度変化画像あるいは体動画像中で治療領域Rと加温領域Qとを示すマーカがずれていることを確認すると、入力部107を用いて加温を停止する制御信号を入力する。制御部100は加温を停止する制御信号を受信すると、インタフェース制御部101から加温コイル制御部204へ出力されていた加温パルス照射のための制御信号の出力を停止する。この動作により、加温コイル400から被検体Pへの加温パルスの照射が停止し、体組織への加温が停止される。
【0074】
なお、加温パルス照射停止の動作は、使用者による入力部107の入力を契機とする意外にも、制御部100が体動画像あるいは温度変化画像に基づいて被検体Pの体動を検出し、自動的に行うものであっても構わない。
【0075】
体動画像を用いて被検体Pの体動を検出するためには、制御部100は体動を示す指標量を監視する。体動を示す指標量が予め定められた閾値を超えて変化したと判断すると、被検体Pが大きな体動を生じたと判断して加温パルスの照射を停止する。
【0076】
温度変化画像を用いて被検体Pの体動を検出するためには、制御部100は被検体Pの体組織の温度を監視する。治療領域R以外の体組織の温度が予め定められた閾値を超えたと判断すると、被検体Pが体動を生じ加温領域Qが治療領域Rと異なる位置へ移動し、正常な組織へ加温を行っているものと判断して加温パルスの照射を停止する。
【0077】
また、以上の方法の他にも、制御部100が体動画像あるいは温度変化画像に表示される加温領域Qを示すマーカと治療領域Rを示すマーカとの相対的な位置関係を監視しても構わない。両マーカの距離が予め定められた閾値を超えると、制御部100は被検体Pに体動が生じ治療領域Rが移動したものと判断して加温パルスの照射を停止する。
【0078】
以上の動作により、制御部100は温度変化画像及び体動画像を表示して被検体Pの体動を監視可能に表示する。被検体Pの体動に応じて加温パルスの照射を停止することで、被検体Pの正常な体組織への加温を防止することができる。
【0079】
(呼吸同期による加温パルス照射タイミングの制御)
先の説明では被検体Pの体動に応じて加温パルスの照射を停止する動作について述べた。しかし、被検体Pの体動は一時的に発生するものだけではなく、例えば呼吸や脈動に付随する体動のように、周期的に発生するものも考えられる。
【0080】
図8に、周期的な体動を生じる被検体Pの様子を示す。例えばxy平面について見ると、被検体Pの胸部などは呼吸に合わせて上下に移動することとなる。呼吸の周期はほぼ一定であるために、被検体Pの胸部が落ち込んだ状態(
図8(a1)及び(a3))と膨らんだ状態(
図8(a2)(a4))とが周期的に現れる。具体的には、
図8(a1)と
図8(a3)との時間間隔(t7−t5)と、
図8(a2)と
図8(a4)との時間間隔(t8−t6)との時間間隔はほぼ同じとなる。
【0081】
先述したように、被検体Pの体動に応じて治療領域Rの位置は移動する。被検体Pの体動が周期的に行われ、且つ加温領域Qと治療領域Rの位置がこの周期運動のある時刻で一致するように定められている場合には、加温領域Qと治療領域Rの一致する時刻が周期的に現れることとなる。そこで、本実施態様の磁気共鳴診断装置1においては、制御部100が、周期的に現れる加温領域Qと治療領域Rとが一致するタイミングに合わせて加温パルスを照射するよう制御する。具体的には、制御部100は治療領域Rの設定が終了し、加温パルスを照射する間での間に、被検体Pの断層像を一定時間の間、連続的に生成するよう制御する。画像処理部102は一定時間の間に収集された複数の断層像のうち断層像を一枚選び、この断層像と各断層像の相関を取る。被検体Pの形状が周期的に変化する場合には、得られた相関値と断層像との収集時刻とを関連付けると、この周期に合わせて相関値が上下することとなる。制御部100はこの相関値の変動周期に基づいて被検体Pの体動の時間間隔ΔTを算出する。
【0082】
制御部100は体動の変動周期を算出すると、次に加温領域Qと治療領域Rとが重なる時間領域Δtを算出する。具体的には、制御部100は、治療領域Rを設定するのに用いた断層像と相関が高い、即ち被検体Pの形状が同じとなる画像1枚を収集された複数の断層像の中から選び出す。制御部100は断層像を選び出すと、この断層像の収集時刻(以下、単に中心時刻と記載する)と収集時刻の近い断層像を複数抽出し、表示部106に並べて表示する。画像処理部102は抽出した断層像を表示する際に、各断層像に加温領域Qと治療領域Rを示すマーカをそれぞれ付加する。
図9に、表示部106上の断層像の表示例を示す。
図9においては、中心時刻をt12として、治療領域Rを設定するのに用いた断層像を
図9(a3)に示す。なお
図9に示すように、制御部100は表示される断層像と併せて算出された相関値を表示しても構わない。
【0083】
抽出された複数の断層像の収集時刻が中心時刻t12に十分近い場合には、断層像の収集時刻が中心時刻t12から離れるに従って、
図9(a3)に比する体動の量が大きくなる。体動の量が大きくなるにつれ、加温領域Qと治療領域Rとのずれ量も次第に大きいものとなる。使用者は並べて表示された断層像のうち幾つかを選択することで、加温領域Qと治療領域Rとのずれが許容できる時間領域Δtを設定する。具体的には、使用者が
図9(a2)(a3)(a4)の断層像では加温領域Qと治療領域Rとが重なっているものと判断すると、入力部107を用いて
図9(a2)(a3)(a4)の断層像を選択する。制御部100は入力を受けると、
図9(a2)(a3)(a4)の収集時刻に基づいて、加温領域Qと治療領域Rとが重なっていると判断された時間領域Δtを算出する。
図9の場合においては、t13−t11=ΔtとしてΔtが算出される。
【0084】
なお、本実施態様においては入力部107の入力に基づいて断層像を選択して時間領域Δtを算出する例について述べる。しかしΔtの算出方法はこれに限られるものではなく、例えば使用者が入力部107を用いて相関値の閾値を予め定めておき、制御部100が中心時刻を中心として相関値が一定以上となる時間領域を算出し、この時間領域をΔtとして定めても構わない。あるいは、使用者が入力部107を用いてΔtの値を直接指定するものであっても構わない。
【0085】
制御部100は被検体の体動の時間間隔ΔTと、加温領域Qと治療領域Rが重なる時間領域Δtを算出すると、ΔTとΔtに基づいて加温領域Qと治療領域Rが重なる時間を予測する。即ち、ある時刻t12で加温領域Qと治療領域Rとが重なっていたとすると、制御部100は、次に加温領域Qと治療領域Rとが重なる時刻t15がt12+ΔTで得られると予測する。
【0086】
制御部100は加温領域Qと治療領域Rとが重なる時刻を予測すると、この予測した時間を中心としてΔtの時間領域だけ加温パルスを照射するように加温コイル制御部204を制御する。
図10に、制御部100が被検体Pの周期的な体動に合わせて加温パルスの照射時間を制御する様子を示す。制御部100が次に加温領域Qと治療領域Rの重なる時間が時刻t15であると予測すると、加温コイル制御部204はt15−Δt=t15’で得られる時刻t15’までは加温パルスの照射を停止する。時刻t15’になると、加温コイル制御部204はt15+Δt=t15’’で得られる時刻t15’’まで加温パルスの照射を継続し、時刻t15’’になると加温パルスの照射を再び停止する。次に、制御部100は次に加温領域Qと治療領域Rとが重なる時刻であるt17をt15+ΔT=t17として算出し、加温コイル制御部204はt17を基準としてt17’からt17’’の時間領域だけ加温パルスの照射を行う。
【0087】
以上の制御により、制御部100は被検体Pの周期的な体動を検出し、その体動周期を算出する。また、制御部100は加温領域Qと治療領域Rとが重なる時間領域を設定する。加温コイル制御部204は加温領域Qと治療領域Rとが重なる時刻を予測して加温パルスを照射する。これにより、被検体Pの体動が生じる場合であっても治療領域Rの移動を予測し、治療領域Rを加温できる時刻にのみ加温パルスを照射し加温を行うことができる。
【0088】
(RFシールドの配置)
先述したように、被検体Pの断層像を撮影する際には、高周波送信コイル303は被検体Pへ向かって電磁波を照射する。高周波送信コイル303から照射される電磁波は相反する成分を持ち、一方は高周波送信コイル303から患者ボアの内側へ、もう一方は患者ボアの外側へ向かって伝搬する。ここで、患者ボアの外側に向かって伝搬する電磁波に注目すると、漏洩磁場(以下、患者ボアの外側に伝搬する電磁波の磁界成分を単に漏洩磁場と記載する)は高周波送信コイル303の外側にある傾斜磁場コイル301や静磁場コイル300、あるいは静磁場コイル300を遮蔽する熱シールドなどの導体に渦電流を生じる。渦電流は患者ボアの内側へ向かう電磁波の磁界成分を打ち消す方向の磁束を生じるため、結果として被検体Pへ十分な磁界成分の印加が行われなくなってしまう。
【0089】
このような漏洩磁場の影響を防ぐために、高周波送信コイル303と傾斜磁場コイル301との間には送信コイルRFシールド302が設けられる。
図11に送信コイルRFシールド302の構成の例を示す。送信コイルRFシールド302は例えば銅やアルミニウムなどの導電体が用いられ、高周波送信コイル303を囲うような円筒状に設けられる。また、高周波送信コイル303には円状のスリット3021が設けられる。スリット3021は例えばz軸に垂直な任意の軸、換言すれば高周波送信コイル303が送信するRFパルスの照射軸に対して垂直な軸を中心として、円を描くように設けられる。高周波送信コイル303が送信するRFパルスの漏洩磁場は、導電体たる送信コイルRFシールド302上で、z軸に垂直な軸を中心とする円状の渦電流を発生させるが、このz軸に垂直な方向に設けられた円状のスリット3021はこの渦電流のパスを妨げない。高周波送信コイル303のRFパルスが生じる渦電流は漏洩磁場を打ち消す方向の磁束を生じるため、結果として漏洩磁場が打ち消され、磁界成分は被検体Pへと向かうこととなる。
【0090】
次に加温コイル400が生じる漏洩磁場について注目する。被検体Pへ加温を行う際には、加温コイル400は被検体Pへ向かって加温パルスを照射する。加温コイル400から照射される加温パルスは相反する成分を持ち、一方は加温コイル400から患者ボアの内側へ向かって伝搬し、もう一方は加温コイル400から患者ボアの外側へ向かって伝搬するため、高周波送信コイル303と同様に漏洩磁場を生じる。加温パルスによる漏洩磁場の影響を防ぐために、加温コイル400と高周波送信コイル303との間には、加温コイルRFシールド401が設けられる。
図11に加温コイルRFシールド401の構成の例を示す。加温コイルRFシールド401は送信コイルRFシールド302と同様に銅やアルミニウムなどの導電体によって構成される。加温コイルRFシールド401は、加温コイル400が生じる漏洩磁場を受信するため、例えば加温コイル400より面積の大きな矩形形状の板状部材を、送信コイルRFシールド302と高周波送信コイル303との間に挿入できるように
図11中のx軸に対して湾曲させた形状として設けられる。
【0091】
また、加温コイルRFシールド401には円状のスリット4011が設けられる。スリット4011は例えばy軸に対して垂直な軸、換言すれば加温パルスの照射方向に対して垂直な軸を中心として、円を描く用に設けられる。加温パルスが生じる漏洩磁場は加温コイルRFシールド401上で、y軸に垂直な軸を中心とする円状に流れる渦電流を発生させるが、このy軸に垂直な方向に設けられた円状のスリット4011は、この渦電流のパスを妨げない。加温コイルRFシールド401上で流れる渦電流は加温パルスが生じる漏洩磁場を打ち消す方向の磁束を生じるため、結果として漏洩磁場が打ち消され、磁界成分は被検体Pへと向かうこととなる。
【0092】
加温コイルRFシールド401を設けることにより、加温パルスが生じる漏洩磁場を打ち消し、被検体Pへ電磁波のエネルギを集中させ、より効率良く被検体Pを加温することが可能となる。更に、漏洩磁場が加温コイルRFシールド401の外側にある傾斜磁場コイル301、静磁場コイル300、及び熱シールドなどが渦電流を生じる事態を避けることができる。
【0093】
一方、高周波送信コイル303から送信されたRFパルスの漏洩磁場も加温コイルRFシールド401へと流入する。高周波送信コイル303から送信されたRFパルスの漏洩磁場は加温コイルRFシールド401上でz軸に垂直な軸を中心とする円状の渦電流を発生させるが、この渦電流の流れる向きはy軸に垂直な軸を中心として設けられたスリット4011により妨げられる。つまり、加温コイルRFシールド401上では、高周波送信コイル303から送信されたRFパルスによっては渦電流を生じないこととなる。渦電流による影響を生じないため、高周波送信コイル303から見ると実質的に加温コイルRFシールド401を無視することができる。
【0094】
以上述べたように、高周波送信コイル303と傾斜磁場コイル301との間に送信コイルRFシールド302及び加温コイルRFシールド401を設ける。送信コイルRFシールド301は高周波送信コイル303が送信するRFパルスによる漏洩磁場を打ち消すことができる。一方加温コイルRFシールド401は加温パルスによる漏洩磁場を打ち消すことができる。更に、スリット3021とスリット4011はそれぞれ直交する向きに設けられるため、高周波送信コイル303から送信されたRFパルスの漏洩磁場が加温コイルRFシールド401へ及ぼす影響を低減することができる。
【0095】
(加温コイル400の別の構成)
先の実施態様では、
図1に示すように高周波送信コイル303と高周波受信コイル304との間であって、加温領域Qの上下(同一のy軸上の異なる位置)に加温コイル400を配置する例を述べた。しかし加温コイル400の構成はこれに限られるものではない。以下に、加温コイル400の別の構成について示す。
【0096】
図12に、加温コイル400の一方を天板500の内部に配置する例を示す。加温コイル400は例えば高周波受信コイル304の内側に設けられる図示せぬ内壁に固定されて取り付けられる。
図12に示すように、加温コイル400は加温領域Qに対して非対称な位置に取り付けられていても構わない。下方の加温コイル400が被検体Pに対して接近することにより、加温パルスは拡散する前に被検体Pの体組織へと照射される。空気中へ拡散する加温パルスが減少するため、少ない加温パルスのエネルギで効率良く被検体Pを加温することができる。
【0097】
図13に、加温コイル400を円筒状に設ける例を示す。
図13(a)は加温コイル400を被検体Pの体軸に対して垂直な面に向かって示した図を、
図13(b)は加温コイル400及び加温コイルRFシールド401を被検体Pの側面から示した図を表している。加温コイル400は
図13に示すように、被検体の体軸を取り囲むような円筒形状に設けられても構わない。この場合、加温コイル400は高周波送信コイル303と高周波受信コイル304との間に設けられる。但し、加温コイル400の長さは
図13(b)に示すように、高周波送信コイル303や被検体Pに比べz軸方向の長さが短くなるように設けられる。具体的には、加温パルス400のz軸方向の長さが10−30cm程度となるように構成される。加温コイル400が円筒状に構成される場合、加温コイル400が発生させる漏洩磁場を吸収する加温パルスRFシールド401の形状は、加温コイル400を取り囲むような円筒状に設けられる。本実施態様では例として加温コイルRFシールド401のz軸方向の長さが高周波送信コイル303より短くなる例を示すが、より漏洩磁場を吸収する構成とするためにz軸方向の長さを長くして、高周波送信コイル303と同等の長さか、更に長い長さを有するようにしても構わない。加温コイル400を円筒状に設けることにより伝導体はyz平面状で均等に配置されるため、静磁場コイル300が生じる磁場をより均一に発生させることができる。
【0098】
ここで、加温コイル400を被検体の体軸を取り囲むような円筒形状に設ける場合も、加温コイル400は、加温コイル制御部204から出力された電気信号を受けて、被検体Pへ電磁波を照射する。もっとも、この場合、加温コイル制御部204は、被検体P中の加温領域Qに電磁波のエネルギを集束させるように、加温コイル400に供給する加温パルスの位相及び振幅を多チャンネルで制御する。
【0099】
次に、
図14及び15に、加温コイルを寝台に設ける例を示す。
図14に示す磁気共鳴診断装置は、天板500と、寝台501と、加温コイル600と、架台装置700とを備える。架台装置700は、上述の実施態様において説明した、静磁場磁石300、傾斜磁場コイル301、高周波送信コイル303、高周波受信コイル304等を備える。
【0100】
図14に示す加温コイル600は、被検体Pの体軸を取り囲むような円筒形状であり、寝台501に設けられる。この場合、天板500は、天板制御部205によって制御されることで、被検体Pが載置された状態で、架台装置700の患者ボア内へ挿入されたり、患者ボア外へ送出されたりする。すなわち、
図14に示す磁気共鳴診断装置は、天板500が架台装置700の患者ボア内へ挿入されている間は、高周波送信コイル303によって被検体PへRF波を送信し、天板500が架台装置700の患者ボア外へ送出されている間は、加温コイル600によって被検体Pへ電磁波を照射する。この実施態様によれば、例えば、まず、加温コイル600によって被検体Pへ電磁波を照射し加温を行った後に、天板500を架台装置700の患者ボア内へ挿入すれば、温度を測定することができる。また、天板500の挿入と送出とを繰り返せば、加温と温度測定とを繰り返すことができる。なお、
図14に示す加温コイル600は、被検体Pが天板500上に載置される際の便宜上、例えば
図15に示すように開口してもよい。
【0101】
次に、
図16に、加温コイルを寝台に設ける別の例を示す。
図16に示す磁気共鳴診断装置は、天板500と、寝台501と、加温コイル610と、架台装置700とを備える。
【0102】
図16に示す加温コイル610は、被検体Pを間にして少なくとも一対設けられ、寝台501に設けられる。ここで、例えば
図16に示すように、加温コイル支持部620が寝台501に取り付けられ、一対のうちの一方の加温コイル610は、加温コイル支持部620内に設けられ、他方の加温コイル610は、加温コイル支持部620内に設けられた加温コイル610と対向するように、寝台501内に設けられる。
【0103】
この場合も同様に、天板500は、天板制御部205によって制御されることで、被検体Pが載置された状態で、架台装置700の患者ボア内へ挿入されたり、架台装置700の患者ボア外へ送出されたりする。すなわち、
図16に示す磁気共鳴診断装置は、天板500が架台装置700の患者ボア内へ挿入されている間は、高周波送信コイル303によって被検体PへRF波を送信し、天板500が架台装置700の患者ボア外へ送出されている間は、一対の加温コイル610によって被検体Pへ電磁波を照射する。この実施態様によれば、例えば、まず、一対の加温コイル610によって被検体Pへ電磁波を照射し加温を行った後に、天板500を架台装置700の患者ボア内へ挿入すれば、温度を測定することができる。また、天板500の挿入と送出とを繰り返せば、加温と温度測定とを繰り返すことができる。なお、
図16に示す加温コイル支持部620は、被検体Pが天板500上に載置される際の便宜上、例えば
図16に示すような開口部を設けてもよい。
【0104】
以上の構成により、本実施態様の磁気共鳴診断装置1は、加温コイル400から照射した加温パルスによって加温領域Qを加熱すると共に、断層像を元に被検体Pの温度変化を測定する。これにより、被検体Pの患部の温度変化を観察しながら加温を行うことができ、加温治療をより効率良く行うことができる。
【0105】
また、本実施態様の磁気共鳴診断装置1は、撮影された断層像と指定された治療領域Rとを元に、適切な加温パルスの波長及び被検体Pに設置すべきパッド600の厚みを算出する。被検体Pの厚みが変化した場合であっても正しい波長及びパッド600の厚みを表示することで、効率良く加温治療を勧めることができる。
【0106】
また、本実施態様の磁気共鳴診断装置1は、撮影された断層像を元に被検体Pの動きを検知し、治療領域Rと加温領域Qとの位置がずれを表示する。これにより被検体Pの正常な組織が加温されてしまう事態を未然に防ぐことができる。
【0107】
また、本実施態様の磁気共鳴診断装置1は、被検体Pの呼吸などの周期的な体動を検知して、加温パルスの照射時刻を制御する。これにより、治療領域Rと加温領域Qとが一致した時刻にのみ加温を行い、治療領域Rの加温をより効率良く行うことができる。
【0108】
また、本実施態様の磁気共鳴診断装置1は、加温コイル400の外側に加温コイルRFシールド401を設ける。加温コイルRFシールド401にスリット4011を設けることにより、加温コイルRFシールド401が高周波送信コイル303へ与える影響を抑えつつ、加温コイル400が生じる漏洩磁場を遮蔽することができる。
【0109】
本実施態様に開示されている複数の構成要素の適宣な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。あるいは、異なる実施例にわたる構成要素を適宣組み合わせても構わない。
【0110】
すなわち、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。