(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
N末端抗hPGモノクローナル抗体が、DAPLG(配列番号28)、PDAPLG(配列番号29)、PRSQQPD(配列番号30)、WKPRSQQPD(配列番号31)及びWKPRSQQPDAPLG(配列番号32)からなる群より選択される配列を含むエピトープに結合する、請求項3記載の使用。
C末端抗hPGモノクローナル抗体が、FGRR(配列番号33)、MDFGR(配列番号34)及びGWMDFGRR(配列番号36)からなる群より選択される配列を含むエピトープに結合する、請求項8記載の使用。
C末端抗hPGモノクローナル抗体が、配列QGPWLEEEEEAYGWMDFGRRSAEDEN(配列番号27)を有するペプチドを含む免疫原に対して作られる、請求項8記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、ヒトプレプロガストリンのアミノ酸配列(配列番号100)(シグナルペプチド配列は、下線が付されている)、成熟ヒトプロガストリン(配列番号20)、並びにG34(配列番号102)、G34−Gly(配列番号103)、G17(配列番号104)、G17−Gly(配列番号105)及びCTFP(配列番号106)を含むプロガストリンプロセシングの特定の産物を提供する。
【
図2A】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Aは、マウス抗hPGMAb3のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号12)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号16)を提供する;
【
図2B】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Bは、マウス抗hPGMAb3のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号13)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号17)を提供する;
【
図2C】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Cは、マウス抗hPGMAb4のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号14)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号18)を提供する;
【
図2D】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Dは、マウス抗hPGMAb4のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号15)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号19)を提供する;
【
図2E】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Eは、マウス抗hPGMAb8のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号59)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号67)を提供する;
【
図2F】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Fは、マウス抗hPGMAb8のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号63)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号71)を提供する;
【
図2G】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Gは、マウス抗hPGMAb13のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号60)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号68)を提供する;
【
図2H】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Hは、マウス抗hPGMAb13のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号64)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号72)を提供する;
【
図2I】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Iは、マウス抗hPGMAb16のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号61)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号69)を提供する;
【
図2J】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Jは、マウス抗hPGMAb16のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号65)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号73)を提供する;
【
図2K】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Kは、マウス抗hPGMAb19のV
H鎖のポリペプチド配列(配列番号62)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号70)を提供する;及び
【
図2L】
図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド並びにアミノ酸配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図2Lは、マウス抗hPGMAb19のV
L鎖のポリペプチド配列(配列番号66)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号74)を提供する。
【
図3A】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Aは、ヒト化MAb3のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号21)を提供する;
【
図3B】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Bは、ヒト化MAb3のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号22)を提供する;
【
図3C】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Cは、ヒト化MAb4のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号23)を提供する;
【
図3D】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Dは、ヒト化MAb4のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号24)を提供する;
【
図3E】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Eは、ヒト化MAb8(a)のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号75)を提供する;
【
図3F】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Fは、ヒト化MAb8(a)のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号76)を提供する;
【
図3G】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Gは、ヒト化MAb8(b)のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号77)を提供する;
【
図3H】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Hは、ヒト化MAb8(b)のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号78)を提供する;
【
図3I】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Iは、ヒト化MAb8(c)のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号79)を提供する;
【
図3J】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Jは、ヒト化MAb8(c)のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号76)を提供する;
【
図3K】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Kは、ヒト化MAb13(a)のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号80)を提供する;
【
図3L】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Lは、ヒト化MAb13(a)のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号81)を提供する;
【
図3M】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Mは、ヒト化MAb13(b)のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号82)を提供する;
【
図3N】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Nは、ヒト化MAb13(b)のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号83)を提供する;
【
図3O】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Oは、ヒト化MAb16(a)のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号84)を提供する;
【
図3P】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Pは、ヒト化MAb16(a)のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号85)を提供する;
【
図3Q】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Qは、ヒト化MAb16(b)のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号86)を提供する;
【
図3R】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Rは、ヒト化MAb16(b)のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号87)を提供する;
【
図3S】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Sは、ヒト化MAb16(c)のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号88)を提供する;
【
図3T】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Tは、ヒト化MAb16(c)のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号89)を提供する;
【
図3U】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Uは、ヒト化MAb19(a)のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号90)を提供する;
【
図3V】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Vは、ヒト化MAb19(a)のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号91)を提供する;
【
図3W】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Wは、ヒト化MAb19(b)のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号92)を提供する;
【
図3X】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Xは、ヒト化MAb19(b)のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号93)を提供する;
【
図3Y】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Yは、ヒト化MAb19(c)のV
H鎖の推定アミノ酸配列(配列番号94)を提供する;及び
【
図3Z】
図3は、本明細書において記載される選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖の推定ポリペプチド配列を提供する。各事例において、3つのCDRを太字下線の文字で示す。具体的には:
図3Zは、ヒト化MAb19(c)のV
L鎖の推定アミノ酸配列(配列番号95)を提供する。
【
図4】
図4は、肝ガン(HCC)を有する個体14人から採取した健常肝組織において検出された平均レベルと比較した、腫瘍におけるGAST mRNAレベルの棒グラフを提供する。
【
図5A】
図5Aは、GAST発現が上昇していることが公知の結腸直腸ガン細胞株SW480において観察されたレベルと比較した、3つの肝ガン細胞株(PLC/PRF/5(
図5A)、Huh6(
図5B)及びHuh7(
図5B))におけるGAST mRNAレベルの棒グラフを提供する。
【
図5B】
図5Bは、GAST発現が上昇していることが公知の結腸直腸ガン細胞株SW480において観察されたレベルと比較した、3つの肝ガン細胞株(PLC/PRF/5(
図5A)、Huh6(
図5B)及びHuh7(
図5B))におけるGAST mRNAレベルの棒グラフを提供する。
【
図6A】
図6Aは、低接着培養条件下で成長させた非選択プールのHuh6又はHuh7細胞において観察されたレベルと比較した、Huh−6(
図6A)及びHuh7(
図6B)「サイドポピュレーション(side population)」(SP)細胞におけるGAST mRNAレベルの棒グラフを提供する。
【
図6B】
図6Bは、低接着培養条件下で成長させた非選択プールのHuh6又はHuh7細胞において観察されたレベルと比較した、Huh−6(
図6A)及びHuh7(
図6B)「サイドポピュレーション(side population)」(SP)細胞におけるGAST mRNAレベルの棒グラフを提供する。
【
図7】
図7は、例示的な抗PGモノクローナル抗体又はコントロール抗体の存在下、低接着培養条件下で成長させたPLC/PRL/5細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【
図8】
図8は、ドキソルビシン及びジメチルスルホキシド(DMSO)、DMSO単独、例示的な抗PGポリクローナル抗体、又はコントロールポリクローナル抗体の存在下、低接着成長条件下で成長させたHuh6「サイドポピュレーション」(SP)細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【
図9】
図9は、ドキソルビシン及びDMSO、DMSO単独、例示的な抗PGポリクローナル抗体又はコントロールポリクローナル抗体の存在下、低接着成長条件下で成長させたHuh7「サイドポピュレーション」細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【
図10】
図10は、単独培地(「コントロール」)、又は抗hPGMAb13若しくは抗hPGMAb19を含む培地中、低接着成長条件下で成長させたHuh6細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【
図11】
図11は、単独培地(「コントロール」)、又は抗hPGMAb8、若しくは抗hPGMAb13を含む培地中、通常接着条件下で成長させた後、低接着成長条件下で成長させたHuh6細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長平均数の棒グラフを提供する。
【
図12A】
図12Aは、低接着成長条件下で成長させたHuh7細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
図12Aは、単独培地(「コントロール」)中で成長させた細胞と、抗hPGMAb13で処置した細胞との対比を示す。
図12Bは、コントロールモノクローナル抗体(「コントロールMAb」)、抗hPGMAb13、及び抗hPGMAb16の中の1つで処置した細胞を示す。
【
図12B】
図12Bは、低接着成長条件下で成長させたHuh7細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
図12Aは、単独培地(「コントロール」)中で成長させた細胞と、抗hPGMAb13で処置した細胞との対比を示す。
図12Bは、コントロールモノクローナル抗体(「コントロールMAb」)、抗hPGMAb13、及び抗hPGMAb16の中の1つで処置した細胞を示す。
【
図13A】
図13Aは、コントロールモノクローナル抗体(「コントロールMAb」)と比較した、抗hPGMAb8(
図13A)又は抗hPGMAb16(
図13B)のいずれかと共に通常接着条件下で成長させた後、低接着成長条件下で成長させたHuh7細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【
図13B】
図13Bは、コントロールモノクローナル抗体(「コントロールMAb」)と比較した、抗hPGMAb8(
図13A)又は抗hPGMAb16(
図13B)のいずれかと共に通常接着条件下で成長させた後、低接着成長条件下で成長させたHuh7細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【
図14】
図14は、単独培地(「コントロール」)、又は抗hPGMAb8若しくは抗hPGMAb13を含む培地を用いて低接着成長条件下で成長させたHuh7「サイドポピュレーション」細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【
図15A】
図15Aは、コントロールモノクローナル抗体(「コントロールMAb」)と比較した、抗hPGMAb19(
図15A)、抗hPGMAb13(
図15B)、又は抗hPGMAb8及びMAb13(
図15C)で処置したPLC/PRL/5細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【
図15B】
図15Bは、コントロールモノクローナル抗体(「コントロールMAb」)と比較した、抗hPGMAb19(
図15A)、抗hPGMAb13(
図15B)、又は抗hPGMAb8及びMAb13(
図15C)で処置したPLC/PRL/5細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【
図15C】
図15Cは、コントロールモノクローナル抗体(「コントロールMAb」)と比較した、抗hPGMAb19(
図15A)、抗hPGMAb13(
図15B)、又は抗hPGMAb8及びMAb13(
図15C)で処置したPLC/PRL/5細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【
図16】
図16は、コントロールモノクローナル抗体(「CT MAb」)、抗hPGMAb8、又は抗hPGMAb16の中の1つと共に通常接着条件下で成長させた後、低接着成長条件下で成長させたPLC/PRL/5細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【
図17】
図17は、単独培地(「コントロール」)又は抗hPGMAb13、若しくは抗hPGMAb16を含む培地中、低接着成長条件下で成長させたPLC/PRL/5「サイドポピュレーション」細胞の1ウェルあたりのスフェロイド成長数のグラフを提供する。
【0015】
7.詳細な説明
7.1.肝ガン
肝ガンは、肝細胞ガン(HCC)、胆管ガン及び肝芽腫を含む。ほとんどの肝ガンはHCCであり、肝炎、肝硬変、及び/又はアフラトキシンB1中毒を含む他の基礎肝臓病変(これは、肝臓の炎症及び慢性傷害並びに肝細胞の再生を引き起こす)に罹患している個体において生じることが多い。現在、肝ガンの診断は、超音波検査、細針生検、及び特定のマーカータンパク質(例えば、αフェトプロテインを含む)の血中レベルの検出の組み合わせに基づいている。HCCは、腫瘍のサイズ、数及び形態(例えば、カプセル化又は浸潤性)、並びに肝機能に基づいて、早期、中間、進行、及び末期のガンに分類され得る。
【0016】
肝ガンの現在の処置は、肝臓移植、外科的切除、経皮的アブレーション、化学療法(化学塞栓術を含む)、放射線処置、抗体処置を含む。肝臓移植は、根治的であるが、患者の疾患の段階及び/又は移植に利用可能な臓器の不足の理由により、ほとんどの患者に利用可能ではない。移植のアベイラビリティは、B型及びC型肝炎ウイルスに感染している患者、及びアルコール依存症に罹患している患者にとっても制限され得る。外科的切除及び経皮的アブレーション(これは、ガン組織を除去するか、又は殺傷する手段である)は、予後が良好であり得るが、すべての患者には利用可能ではない。この手段に付随する臓器不全のリスクにより、腫瘍の位置又はサイズは、肝硬変又は他の肝機能障害と同様に、外科的切除を不可能にし得る。特に肝臓切除の場合、腫瘍の再発は、5年以内に症例の70%を悪化させる。経皮的アブレーションは、新生細胞を破壊し、3cmよりも小さい1つの腫瘍を有する個体であって、外科的切除の候補者ではない個体に適している。ガンがより進行しているか、又は肝機能が損なわれている個体において、標準的処置は、塞栓(動脈を閉鎖して腫瘍への血液供給を遮断し、腫瘍の死を誘導すること)を行うかにかかわらず、化学療法及び放射線療法である。現在利用可能な処置は、肝ガンを患っている個体の大多数を処置するのに使用され得る有効な治療のニーズに対応するのに不十分である。
【0017】
7.2.肝ガンの再発
再発は、肝ガンにおいて特に問題である。ガンの再発は、一般的には、処置後、及び早期ガンが検出され得ない期間後に、ガンが戻ってくることとして理解されている。肝ガンの高再発率に関して、外科手術中にすべてのガン細胞を除去することの失敗、経皮的アブレーション中の器具によるガン細胞の拡散、及び化学療法剤に対する抵抗性を含む様々な説明がなされている。再発を減少させるか、又は排除する肝ガン治療のニーズがある。
【0018】
7.3.ガン幹細胞
固形腫瘍は、必ずしも均質な組織ではない。むしろ、いくつかの腫瘍は、異なる表現型特性及び機能特性を有する複数の異常な細胞型を含む。この点において、このような腫瘍は、異常な臓器と類似している。固形腫瘍を含む細胞は、同じホストにおける新たな部位に移植されたか、又は同じ若しくは異なる種の新たなホストに移植された場合に、それらが新たな腫瘍の形成をイニシエーションできるその程度の点で異なる。この特性を有する細胞は、腫瘍又はガンイニシエーティング細胞、あるいは腫瘍又はガンの幹細胞として公知である。例えば、Chiba et al., 2009, "Cancer stem cells in hepatocellular carcinoma: Recent progress and perspective," Cancer Letters 286:145-153を参照のこと。このような細胞は、非選択プールの肝ガン細胞が免疫不全マウスにおいて腫瘍を形成するのに必要な数よりもずっと少ない数が免疫不全マウスに移植された場合に、腫瘍を形成する(「サイドポピュレーション」肝ガン細胞1000個に対して、非選別肝ガン細胞100万個)。Chiba et al(前掲)を参照のこと。
【0019】
一般的には、ガン幹細胞は、2つの特性によって定義される:自己複製する能力、及び非幹細胞に分化する娘細胞を生じさせる能力。自己複製は、細胞分裂を行う能力であり、それにより、一方又は両方の娘細胞は、依然として未分化のままであり、親細胞と類似の増殖能を有するさらに別のガン幹細胞を生じさせる能力を保持している。この特性により、ガン幹細胞は、最終的には、成長する腫瘍を含む多数の細胞を生じさせることができる。ガン幹細胞は、分化する娘細胞を生産する能力も有しており、多くの固形腫瘍において見られる、より分化した非腫瘍幹細胞又は巨大腫瘍細胞のスペクトルを生じさせる。従って、ガン幹細胞は、移植された場合に、複数回の連続移植の後であっても、それらが由来するタイプの腫瘍を再構成できる。さらに、ガン幹細胞は、変化した増殖パターン及び/又は低率のアポトーシスをもたらす遺伝子突然変異及び/又は後成的変化を持つと考えられる。
【0020】
ガン幹細胞は、それらを巨大腫瘍細胞と区別する多数の表現型の特徴に従って同定され得る。第1に、上記のように、肝ガン幹細胞は、新たなホストに移植された場合に、新たな腫瘍をイニシエーションする能力を有する。対照的に、巨大腫瘍細胞は、新たな腫瘍をイニシエーションできないか、又は新たな腫瘍を形成するのにガン幹細胞よりも多くの細胞を必要とする。Chiba et al., 2009, "Cancer stem cells in hepatocellular carcinoma: Recent progress and perspective," Cancer Letters 286:145-153を参照のこと。
【0021】
腫瘍又は細胞株がガン幹細胞を含むか否かを評価するのに有用な方法は、当業者によく知られている。非限定例な例として、ガン幹細胞を含むと疑われる腫瘍、又はその部分は、例えば、外科的切除によって単離する。その後、腫瘍組織を細分化し、効果的に酵素、又はいくつかの他の処置で処理して、腫瘍を分離してその構成細胞を放出させる。あるいは、細胞株が分析中である場合は、酵素的又は化学的な処理により、細胞を分離しさえすればよい。又は、細胞の亜集団は、1つ以上の本明細書において記載される表現型(例えば、マーカータンパク質、又は色素若しくは他の物質を排除する能力の有無)に基づいて、調製し、選択し得る。マーカープロファイル、色素排除、又はガン幹細胞に関連する他の特性を持たない細胞集団は、コントロールとして調製し得る。
【0022】
関連細胞亜集団を単離した後、次いで、所定数のこのような細胞を、レシピエント動物における1つ以上のターゲット組織又は臓器に移植する。いくつかの実施態様では、レシピエント動物は、ヌードマウス、重症複合免疫不全(SCID)を有するマウス、及び非肥満糖尿病SCID(NOD−SCID)マウスを含む免疫不全マウスであるが、これらに限定されない。当業者の知識に従って、他の種も使用し得る。
【0023】
細胞を皮下移植し得るか、又は肝臓に移植し得る。同様に、細胞を他の組織及び臓器に移植し得る。いくつかの実施態様では、ターゲット組織又は臓器を選択して、分析する腫瘍の起源の組織又は臓器を複製する。しかしながら、他の実施態様では、異なる組織又は臓器を選択して、そこに移植細胞をホストする。
【0024】
当業者によく知られている技術を使用して細胞を移植して、そのまま一定期間放置した後に、動物を評価して、新たな腫瘍が移植部位で成長したか否かを決定し得る。皮下移植した細胞の場合、移植部位の目視検査及び触診によって、腫瘍成長を評価し得る。腫瘍が検出可能である場合、キャリパーを使用して、そのサイズを経時的に測定し得る。内臓に移植した細胞の場合、移植後の所定時間に動物を屠殺して、1つ以上の腫瘍が存在するか否か、そして存在するならばこのような腫瘍の数及びサイズを決定し得る。あるいは、当業者の知識に従って、非侵襲技術を使用して、腫瘍成長を評価し得る。
【0025】
第2に、ガン幹細胞は、それらが特定のマーカーを発現しているか、又は発現していないかによっても同定可能であるのに対して、同じ腫瘍に由来する巨大腫瘍細胞は、異なるパターンのマーカー発現を有する。いくつかの実施態様では、マーカー発現の非存在は、ガン幹細胞表現型を示す。このようなマーカーは、細胞内、又は細胞表面上で発現されるタンパク質を含み、免疫組織化学、免疫蛍光、及びFACS分析を含む様々な技術を使用して検出し得るが、これらに限定されない。肝ガン幹細胞は、細胞表面マーカーによって同定された。CD133、CD90、及びCD44を含む1つ以上の細胞表面マーカーを持つ肝ガン細胞は、腫瘍をイニシエーションする特性が増大しており、肝ガン幹細胞と特徴付けられるようである。
【0026】
第3に、肝ガン幹細胞は、タンパク質トランスポーターを介して色素及び薬物を流出させるそれらの能力によっても同定された。腫瘍イニシエーティング肝ガン細胞は、ABCトランスポーターを介してHoechst33342色素を排除する能力に基づいて同定された。このような細胞は、それらを蛍光色素に曝露し、FACS分析を使用して、このような色素を取り込む細胞を、それらを排除する細胞から分離することによって同定し得る。これらの色素排除ガン細胞は、サイドポピュレーション(SP)細胞と称される。SP細胞は、わずか1000個の細胞から腫瘍をイニシエーションし得る(Chiba et al., 2006 "Side-population purified from hepatocellular carcinoma cells harbors cancer stem cell-like properties" Hepatology 44: 240-251)。当業者の知識に従って、肝ガン幹細胞を検出するための他の技術も可能である。
【0027】
in vivoで腫瘍をイニシエーションする能力に加えて(巨大腫瘍細胞は、そのようなことができないか、又はそのようなことをする能力が有意に低い)、ガン幹細胞は、巨大腫瘍細胞と比較して、無血清低接着培養条件下で成長する能力の増大も示し、ガンのタイプに応じて、低接着培養条件下でいわゆるスフェロイドを形成し得る。スフェロイドは、成分に分けられた懸濁液として播種された後に培養液中で一定の細胞成長を形成する細胞のコンパクトな球である。このようなスフェロイドの形成は、無血清培地中、一般的には特定の成長因子(上皮成長因子(EGF)及び塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含むが、これらに限定されない)の存在下、及び哺乳類細胞がほとんど接着しない表面を有する組織培養皿で細胞を成長させる場合に、促進される。正常組織に由来する幹細胞と同様に、ガン幹細胞は、適切な培養条件下でスフェロイドとして優先的に成長することが発見された。例えば、Rappa, G., et al., Exp. Cell Res., 314:2110 (2008); Singh, S.K., et al., Cancer Res., 63:5821 (2003); Fang, D., et al., Cancer Res., 65:9328 (2005)を参照のこと。低接着培養条件、又はスフェロイド成長条件下におけるスフェロイド成長のアッセイは、以下の実施例に記載されており、当業者の知識内でもある。
【0028】
7.4.肝ガンの再発におけるガン幹細胞の役割
ガン幹細胞の特性を有し、放射線及び/又は化学療法剤に対する耐性の増大を示す腫瘍細胞が同定された。Eyler, C.E., et al., 2008, J. Clin. Oncol., 26:2839-2845。放射線及び化学療法に対するガン幹細胞の耐性の増大は、このような治療の効果を減少させるだけでなく、腫瘍がもはや検出不可能になり、治療が成功した後であっても、このような細胞が生き残ることも可能にし得る。このような患者において、処置は、最初は有効であり、診断スキャンにおける腫瘍の縮小又は消失を引き起こすが、腫瘍は、処置中断後しばらくして再発する。そして、これにより、以前に肝ガンの処置を受けた個体における再発の現象を説明できる。Eyler(前掲)。従って、以前に肝ガンの処置を受けた被験体であって、肝ガンの兆候が存在しない被験体における肝ガン幹細胞の成長を阻害するか、又はそれを殺傷することにより、再発を予防し得る。
【0029】
7.5.抗PG抗体及び肝ガン幹細胞に対するそれらの効果
以下の実施例に示されるように、肝ガン腫瘍及びHCC細胞株は、プロガストリンをコードするガストリン遺伝子(GAST)の発現の増加を示す。この発現は、2つの異なる肝ガン細胞株の「サイドポピュレーション」細胞(これは、肝ガン幹細胞の特徴を持つ)においてさらにより上昇している。いかなる作用理論に拘束されることも意図しないが、初期又は再発性の肝ガンを処置する方法の1つは、肝ガン幹細胞の成長を阻害する薬剤、好ましくは、腫瘍をイニシエーションする細胞の腫瘍形成能力を阻害する薬剤を投与することであると考えられる。
【0030】
本出願人は、抗プロガストリン抗体がこのような薬剤であることを発見した。本明細書において開示されるように、驚くべきことに、ヒトプロガストリン(「hPG」)を特異的に認識する抗体による処置によって、肝ガン幹細胞の成長を阻害し得ることが発見された。これらの驚くべき結果に基づいて、治療有効量の抗hPG抗体を肝ガン幹細胞を含むガンを有する患者に投与することは、例えば、限定されないが、肝ガン又はその再発に寄与するこのような細胞の能力を減少させることによって、治療効果を有すると予想される。
【0031】
本開示の抗PG抗体は、プロガストリンに結合し、それにより、それがガン幹細胞上のその推定レセプター(たとえ未知であるとしても)と相互作用するのを阻害することによって、肝ガン幹細胞の成長を阻害するのに有効であると考えられる。従って、プロガストリンは、ガン幹細胞自体又は健常組織により産生されるかにかかわらず、このような細胞に対する生物学的効果を促進して、その成長を媒介することが妨げられる。その結果として、本開示の抗PG抗体のようにPGを中和することにより、PGとこのような細胞上のそのレセプターとの相互作用を遮断し、おそらくはアポトーシスの結果としての細胞死を引き起こし得るか、及び/又は細胞分裂の停止又は遅延を細胞に引き起こし得ると考えられる。抗PG抗体がガン幹細胞の生存及び/又は成長を妨げる他のメカニズムも可能であり、本明細書において開示される本発明の範囲を限定することを意図しない。in vitro細胞成長阻害アッセイ(例えば、以下の実施例に記載されるもの)を含む当業者に公知のアッセイを使用して、抗PG抗体がPGの活性を中和する能力を決定し得る。
【0032】
7.6.肝ガンを処置する方法
本開示は、治療効果を有する抗プロガストリン(「抗PG」)抗体の有効量を投与することによって、被験体における肝ガンを処置する方法を提供する。本開示の肝ガンを処置する方法は、以下のセクション7.11に詳細に記載されるPGを中和できる1つ以上の抗PG抗体を、肝ガンを有する個体に投与することによって達成される。本開示の方法において、ポリクローナル及びモノクローナル(例えば、キメラ、ヒト化、完全ヒト、全長、Fab、一本鎖)抗PG抗体を含む、PGを中和するあらゆる抗体を使用し得るが、これらに限定されない。適切な抗PG抗体は、in vitroで肝ガン細胞の成長を阻害できる。いくつかの実施態様では、抗PG抗体は、腫瘍をイニシエーションする特性を有する肝ガン細胞(肝ガン幹細胞、CD133、CD44、及びCD90からなる群より選択される1つ以上の細胞表面マーカーを持つ肝ガン細胞、及びHoechst33342色素を排出できる肝ガン細胞を含む)による低接着培養条件下におけるスフェロイド成長を阻害できる。
【0033】
肝ガンの処置を必要とする被験体は、肝ガンと診断された個体である。肝ガンは、最初の発症又は再発であり得る。適切な被験体は、血中PG濃度が上昇している個体、他の手段によって肝ガンを処置可能ではない個体(例えば、手術不可能な腫瘍を有する個体、又は他のタイプの治療が失敗した個体)、及び他の肝ガン処置(外科的切除、化学療法、化学塞栓術、放射線療法、又は本開示の抗PG抗体以外の抗体を用いる抗体治療を含む)を受けている個体を含む。適切な被験体は、以前に肝ガンの処置を受けた個体であって、寛解期後に再発性肝ガンを有する個体も含む。肝ガンは、あらゆる進行期であり得る。被験体は、ヒト又は非ヒト(家畜化又は非家畜動物を含む)であり得る。
【0034】
抗PG処置は、単剤療法として単独で、又は1つ以上の他の肝ガン処置と併用して、若しくはそれに対して補助的に施し得る。他の処置は、限定されないが、外科的切除、及び第2の治療剤(例えば、本明細書において記載される化学療法剤、放射線療法剤、又は抗体)を用いる処置を含む。本明細書において提供される併用処置は、少なくとも2つの処置(一方は、少なくとも1つの抗PG抗体を用いる抗PG処置であり、他方は、治療剤又は治療手段を用いる処置である)を患者に施すことを含む。
【0035】
抗PG処置は、外科的切除又は経皮的アブレーションなどの外科手術と併用し得る。抗PG抗体は、肝臓の罹患部分の外科的切除又は経皮的アブレーションと併用して、原発性又は再発性肝ガンを有する被験体に投与し得る。抗PG処置は、外科的切除の前に、外科的切除と同時に、又は外科的切除の後に開始し得る。
【0036】
抗PG処置は、放射線療法と併用し得る。放射線療法は、X線、γ線、中性子、プロトン、及び他のソースからの高エネルギー放射線を使用してガン細胞を殺傷し、腫瘍を縮小することである。放射線は、体外の機械によってもたらされ得るか(外照射療法)、又はそれは、ガン細胞付近の体内に設置された放射性物質によってもたらされ得る(内照射療法、又は近接照射療法)。例えば、肝ガンは、
131Iを用いる内部放射線によって処置し得る。全身放射線療法は、血中で体全体の組織に移動する放射性物質(例えば、放射性標識モノクローナル抗体)を使用する。放射線療法は、放射線照射及び放射線治療とも称され得る。他の放射線療法は、三次元原体照射法(3D−CRT)及び強度変調放射線治療(IMRT)を含む。他の放射線療法も可能である。
【0037】
抗PG抗体処置は、化学療法剤とも併用し得る。化学療法は、ガン細胞を殺傷(細胞毒性又は細胞破壊性)するか、又はガン細胞の成長を防ぐ(細胞増殖抑制性)低分子薬物を使用することである。肝ガンの場合、化学療法剤は、塞栓処置と併用すること(例えば、塞栓用ゼラチンと、化学療法剤としてドキソルビシン、マイトマイシン、又はシスプラチンとを併用することなど)が多い。化学療法剤は、細胞の生存にとって有害なあらゆる薬剤を含む毒素(細胞毒素又は細胞毒性剤とも称される)、薬剤及び化学療法化合物を含むリポソーム又は他の小胞を含むが、これらに限定されない。適切な化学療法剤の例は、1−デヒドロテストステロン、5−フルオロウラシルデカルバジン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アルデスロイキン、アルキル化剤、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミフォスチン、アナストロゾール、アンスラマイシン(AMC)、細胞分裂抑制薬、cis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、ジアミノジクロロ白金、アントラサイクリン、抗生物質、代謝拮抗物質、アスパラギナーゼ、BCG生ワクチン(嚢内)、リン酸ベタメタゾンナトリウム及び酢酸ベタメタゾン、ビカルタミド、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、ロイクオリンカルシウム、カリケアマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、ロムスチン(CCNU)、カルムスチン(BSNU)、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、コルヒチン、コンジュゲートエストロゲン、シクロホスファミド、シクロトスファミド、シタラビン、シタラビン、サイトカラシンB、サイトキサン、デカルバジン、ダクチノマイシン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、塩酸ダウニルビシン、クエン酸ダウノルビシン、デニロイキンジフチトクス、デクサラゾキサン、ジブロモマンニトール、ジヒドロキシアントラシンジオン、ドセタキセル、メシル酸ドラステロン、塩酸ドキソルビシン、ドロナビノール、E. coliL−アスパラギナーゼ、エメチン、エポエチンα、ErwiniaL−アスパラギナーゼ、エステル化エストロゲン、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、臭化エチジウム、エチニルエストラジオール、エチドロネート、エトポシドシトロロルム因子、リン酸エトポシド、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルコナゾール、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォリン酸、塩酸ゲムシタビン、グルココルチコイド、酢酸ゴセレリン、グラミシジンD、塩酸グラニセトロン、ヒドロキシ尿素、塩酸イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンα−2b、塩酸イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、塩酸レバミソール、リドカイン、ロムスチン、メイタンシノイド、塩酸メクロレタミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、塩酸メルファラン、メルカプチプリン、メスナ、メトトレキセート、メチルテストステロン、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、酢酸オクトレオチド、塩酸オンダンセトロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、ペントスタチン、塩酸ピロカルピン、プリマイシン、カルムスチンインプラントを伴うポリフェプロサン20、ポルフィマーナトリウム、プロカイン、塩酸プロカルバジン、プロプラノロール、リツキシマブ、サルグラモスチム、ソラフェニブ、ストレプトゾトシン、タモキシフェン、タキソール、テガフル、テニポシド、テノポシド、テストラクトン、テトラカイン、チオエパクロラムブシル、チオグアニン、チオテパ、塩酸トポテカン、クエン酸トレミフェン、トラスツズマブ、トレチノイン、バルルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、及び酒石酸ビノレルビンを含むが、これらに限定されない。
【0038】
また、抗PG抗体は、化学療法剤の組み合わせと共に投与し得る。化学療法剤の例示的な組み合わせは、ロイコボリン(フォリン酸又はLV)と組み合わせた5−フルオロウラシル(5FU);ウラシル(UFT)及びロイコボリンと組み合わせたカペシタビン;ウラシル(UFT)及びロイコボリンと組み合わせたテガフル;5FUと組み合わせたか、又はカペシタビンと組み合わせたオキサリプラチン;カペシタビンと組み合わせたイリノテカン、5FU、イリノテカン又はカペシタビンと組み合わせたマイトマイシンCを含む。本明細書において開示される化学療法剤の他の組み合わせを使用することも可能である。
【0039】
肝ガンを有する患者に使用される化学療法剤の標準投与レジメンは、本開示の方法において使用し得る。関連分野において公知であるように、異なる化学療法剤の組み合わせを使用する肝ガンの化学療法レジメンは、臨床試験において統一されている。化学療法剤を使用する臨床試験の概要に関しては、Llovet et al(前掲)を参照のこと。
【0040】
抗PG抗体は、ガン細胞を直接的又は間接的に殺傷するか、又はガン細胞の成長を直接的若しくは間接的に遅延又は停止させるモノクローナル抗体を含む他の抗体とも併用し得るが、これに限定されない。このような抗体は、様々な異なるメカニズムによって機能し得る。例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)又は他のメカニズムを介した患者の免疫系による攻撃のために、ある抗体は、ガン細胞をマークし得る。B細胞上に見られるCD20抗原に結合するリツキシマブ(Rituxan(登録商標))、及び17−1A抗原に結合するエドレコロマブは、このようにして機能し得ると考えられる。他の抗体は結合して、ガン細胞が生存又は成長に必要とする抗原の機能を変化させるか、又は阻害する。例えば、それぞれがEGFレセプター(EGFR)に結合するセツキシマブ(Erbitux(登録商標))及びパニツムマブ(Vectibix(登録商標));並びに、成長因子VEGFに結合するベバシズマブ(Avastin(登録商標))を含む多数の抗体が、このようにして機能すると考えられる。他のメカニズムも可能であり、特定の抗体は、1つ以上の作用メカニズムを介して作用し得る。さらに他の抗体は、放射性又は化学毒性部分とコンジュゲーションされ、当該抗体によって特異的に認識される抗原を選択的に発現するガン細胞にそれらをターゲティングし得る。
【0041】
抗PG抗体及び第2の薬剤は、同時投与、連続投与又は個別投与し得る。本明細書において使用される抗PG抗体及び第2の薬剤は、それらを患者に同日に(例えば、同患者が来院している間に)投与する場合に、連続投与すると言われる。連続投与は、1、2、3、4、5、6、7又は8時間おいてなされ得る。対照的に、抗PG抗体及び第2の薬剤は、それらを患者に異なる日に投与する(例えば、抗PG抗体及び第2の治療剤を、1日、2日若しくは3日、1週間、2週間又は1ヶ月間隔で投与し得る)場合に、個別投与すると言われる。本開示の方法において、本開示の抗PG抗体の投与は、第2の薬剤の投与前であってもよいし、又は第2の薬剤の投与後であってもよい。非限定例な例として、抗PG抗体及び第2の薬剤を、一定期間に同時投与でき、その後の第2の期間に、抗PG抗体及び第2の薬剤の投与を入れ替える。
【0042】
7.7.肝ガンの再発を予防する方法
別の態様では、本開示は、肝ガンの再発を予防する方法であって、有効量の抗PG抗体を、予防を必要とする被験体に投与することを含む、方法を提供する。本開示の肝ガンの再発を予防する方法は、以下のセクション7.11に詳細に記載されるPGを中和できる1つ以上の抗PG抗体を、肝ガンの再発のリスクがある個体に投与することによって達成される。
【0043】
肝ガンの再発の予防を必要とする被験体は、以前に肝ガンの処置を受けた個体であって、肝ガンのリスクがあるが、肝ガンと再度診断されていない個体である。適切な被験体は、外科的切除、化学療法、又はあらゆる他の治療を含むあらゆる手段によって、以前に肝ガンの処置を受けた個体を含む。
【0044】
肝ガンの再発の有効な予防は、肝ガンの再発が全くないこと及び継続的にないことを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、有効な予防は、肝ガンの再発のリスクがある被験体から得られた肝ガン腫瘍又は肝ガン幹細胞の非存在によって評価する。いくつかの実施態様では、有効な予防は、肝ガンの再発のリスクがある被験体における血中PG濃度の増加がないことによって決定する。
【0045】
抗PG処置は、単剤療法として単独で、又は1つ以上の他の処置と併用して、若しくはそれに対して補助的に施し得る。他の処置は、限定されないが、外科的切除、及び第2の治療剤(例えば、本明細書において記載される化学療法剤、放射線療法剤、又は抗体)を用いる処置を含む。本明細書において提供される併用処置は、少なくとも2つの処置(一方は、少なくとも1つの抗PG抗体を用いる抗PG処置であり、他方は、治療剤又は治療手段を用いる処置である)を患者に施すことを含む。
【0046】
抗PG抗体及び第2の薬剤は、同時投与、連続投与、又は個別投与し得る。本明細書において使用される抗PG抗体及び第2の薬剤は、それらを患者に同日に(例えば、同患者が来院している間に)投与する場合に、連続投与すると言われる。連続投与は、1、2、3、4、5、6、7又は8時間おいてなされ得る。対照的に、抗PG抗体及び第2の薬剤は、それらを患者に異なる日に投与する(例えば、抗PG抗体及び第2の治療剤を、1日、2日若しくは3日、1週間、2週間又は1ヶ月間隔で投与し得る)場合に、個別投与すると言われる。本開示の方法において、本開示の抗PG抗体の投与は、第2の薬剤の投与前であってもよいし、又は第2の薬剤の投与後であってもよい。非限定例な例として、抗PG抗体及び第2の薬剤を、一定期間に同時投与でき、その後の第2の期間に、抗PG抗体及び第2の薬剤の投与を入れ替える。
【0047】
7.8.医薬組成物
本開示の方法において有用な抗PG抗体は、組成物中に製剤化し得る。場合により、組成物は、上記第2の薬剤などの1つ以上のさらなる薬剤を含み得る。組成物は、通常、医薬組成物(これは、滅菌されており、通常、薬学的に許容しうる担体を含むであろう)の一部として供給されるであろう。この医薬組成物は、(それを個体に投与する所望の方法に応じた)任意の適切な形態であり得る。
【0048】
抗PG抗体は、経口、経皮、皮下、鼻腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、眼内、局所、腔内及び脳室内などの様々な経路によって、個体に投与し得る。任意の特定の症例において最も適切な投与経路は、特定の抗体、被験体、並びに疾患の性質及び重症度、並びに患者の健康状態に依存するであろう。抗体は、水溶液として製剤化し、皮下注射によって投与し得る。本開示における使用のための薬学的に許容しうる担体は、例えば、処置されるべき病状又は投与経路に応じて、幅広い種類の形態をとり得る。
【0049】
医薬組成物は、投薬1回あたりの所定量の抗PG抗体を含む単位用量形態で、便利に提示し得る。このような単位は、例えば、単位用量あたり5mg〜5g、例えば10mg〜1g、又は20〜50mgの抗PG抗体を含み得る。医薬組成物は、2つ以上のPGエピトープに結合できる抗PG抗体を含み得る。あるいは、医薬組成物は、それぞれが異なるPGエピトープに結合できる抗PG抗体の組み合わせを含み得る。
【0050】
本開示の医薬組成物は、所望の程度の純度を有する抗体を、当技術分野において典型的に使用される任意の薬学的に許容しうる担体、賦形剤又は安定化剤(これらはすべて、本明細書において「担体」と称される)(すなわち、緩衝剤、安定化剤、保存剤、等張化剤、非イオン性洗浄剤、抗酸化剤、及び他の雑多な添加剤)と混合することによって、凍結乾燥製剤又は水溶液としての保存のために調製し得る。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition (Osol, ed. 1980)を参照のこと。このような添加剤は、使用される投与量及び濃度において、レシピエントに対して非毒性でなければならない。
【0051】
緩衝剤は、生理学的条件に近い範囲のpHを維持するのに役立つ。それらは、典型的には、約2mM〜約50mMの範囲の濃度で存在し得る。本開示での使用に好適な緩衝剤は、有機酸及び無機酸の両方並びにそれらの塩を含み、例えば、クエン酸緩衝液(例えば、クエン酸一ナトリウム−クエン酸二ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸一ナトリウム混合物など)、コハク酸緩衝液(例えば、コハク酸−コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸−水酸化ナトリウム混合物、コハク酸−コハク酸二ナトリウム混合物など)、酒石酸緩衝液(例えば、酒石酸−酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸−酒石酸カリウム混合物、酒石酸−水酸化ナトリウム混合物など)、フマル酸緩衝液(例えば、フマル酸−フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸−フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム−フマル酸二ナトリウム混合物など)、グルコン酸緩衝液(例えば、グルコン酸−グルコン酸ナトリウム混合物、グルコン酸−水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸−グルコン酸カリウム混合物など)、シュウ酸緩衝液(例えば、シュウ酸−シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸−水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸−シュウ酸カリウム混合物など)、乳酸緩衝液(例えば、乳酸−乳酸ナトリウム混合物、乳酸−水酸化ナトリウム混合物、乳酸−乳酸カリウム混合物など)、及び酢酸緩衝液(例えば、酢酸−酢酸ナトリウム混合物、酢酸−水酸化ナトリウム混合物など)である。加えて、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液及びトリメチルアミン塩(例えば、Tris)を使用し得る。
【0052】
保存剤を添加して、微生物増殖を遅らせることができ、0.2%〜1%(w/v)の範囲の量で添加し得る。本開示での使用に好適な保存剤は、フェノール、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ハロゲン化ベンザルコニウム(例えば、塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、塩化ヘキサメトニウム、及びアルキルパラベン(例えば、メチルパラベン又はプロピルパラベン)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、及び3−ペンタノールを含む。「安定化剤」として場合により公知の等張化剤を添加して、本開示の液体組成物の等張性を確保でき、多水酸基糖アルコール、例えば、三価又はより高次の糖アルコール(例えば、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトール)を含む。
【0053】
安定化剤は、機能において、充填剤から、治療剤を溶解させるか、又は変性若しくはコンテナの壁への接着を防ぐのに役立つ添加剤までの範囲であり得る幅広いカテゴリーの賦形剤を指す。典型的な安定化剤は、多水酸基糖アルコール(上記に列挙される);アミノ酸(例えば、アルギニン、リシン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニンなど)、有機糖又は糖アルコール(例えば、ラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイニシトール、ガラクチトール、グリセロールなど)(イノシトールなどのシクリトールを含む);ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;硫黄含有還元剤(例えば、尿素、グルタチオン、チオクト酸、ナトリウムチオグリコレート、チオグリセロール、α−モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウム);低分子量ポリペプチド(例えば、10残基以下のペプチド);タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);単糖(例えば、キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース);二糖(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース)及び三糖(例えば、ラフィノース);並びに多糖(例えば、デキストラン)であり得る。安定化剤は、活性タンパク質重量部あたり0.1〜10,000重量部の範囲で存在し得る。
【0054】
非イオン性界面活性剤又は洗浄剤(「湿潤剤」としても公知)を添加して、治療剤を溶解させるのを助けることができ、そして治療タンパク質を撹拌誘導凝集から保護することができ、これにより、タンパク質の変性を引き起こさずに、製剤を曝露して表面応力を剪断することも可能になる。適切な非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート(20、80など)、ポリオキサマー(184、188など)、プルロニックポリオール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)−20、TWEEN(登録商標)−80など)を含む。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/ml〜約1.0mg/ml、例えば約0.07mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲で存在し得る。
【0055】
さらなる雑多な賦形剤は、充填剤(例えば、デンプン)、キレート剤(例えば、EDTA)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)、及び共溶媒を含む。
【0056】
抗PG抗体は、1つ以上の抗PG抗体の混合物として単独で、肝ガンを処置するのに有用な他の薬剤と混合又は併用して、投与し得る。適切な併用療法及び補助療法の例は、上記に提供される。
【0057】
7.9.有効投与量
本開示の抗PG抗体又はその組成物は、一般的には、所望の結果を達成するのに有効な量(例えば、肝ガンを有する被験体における肝ガンを処置するのに有効な量、又は肝ガンの再発のリスクがある被験体における再発を予防するのに有効な量)で使用するであろう。有効量は、治療効果をもたらす量である。
【0058】
肝ガンを処置する方法の文脈において、治療効果は、肝ガンを部分的又は完全に処置するあらゆる傾向を意味する。治療効果は、以下のいずれかの単独又は組み合わせによって立証し得る:肝腫瘍のサイズ、数、又は形態(例えば、カプセル化と浸潤性との対比)を減少させること;肝腫瘍を排除すること;肝ガンの重症度を軽減すること;肝ガンの寛解を誘導すること;肝ガンに関連する症状若しくは兆候の悪化を停止又は遅延させること;患者の快適さを高めること、患者の痛みを軽減すること;サイドポピュレーション細胞、1つ以上の細胞表面マーカーCD133、CD44又はCD90を持つ肝ガン細胞、又は肝ガン幹細胞の数を減少させるか、又は排除すること;肝ガンを有する被験体における血中PG濃度を下げること。腫瘍のサイズ、数及び代謝は、CT、MRI、機能MRI、SPECT及びPETなどの様々なスキャン技術、並びに当業者に公知の他の方法を使用して測定し得るが、これらに限定されない。完全治癒は、望ましいが、治療効果が存在するのに必要とされない。
【0059】
肝ガンの再発を予防する文脈において、治療効果は、ガンが検出不可能になった後しばらくした被験体におけるガンの再発若しくは再成長を部分的又は完全に予防するあらゆる傾向を意味する。治療効果は、以下のいずれかの単独又は組み合わせによって立証し得る;肝ガンからの寛解を維持すること;被験体の平均寿命を増加させること;肝腫瘍の成長を遅延させること;肝ガン幹細胞、サイドポピュレーション細胞、又は1つ以上の細胞表面マーカーCD133、CD44、又はCD90を持つ肝ガン細胞の成長を阻害すること;サイドポピュレーション細胞、1つ以上の細胞表面マーカーCD133、CD44、又はCD90を持つ肝ガン細胞、又は肝ガン幹細胞の数を減少させるか、又は排除すること。
【0060】
いくつかの文脈において、治療効果は、当業者の知識に従って、1つ以上の代わりの評価項目と相関させ得る。例として、限定されないが、血漿中及び/又は血清中PG濃度は、被験体において経時的に測定でき、PGレベルの減少、又は閾値レベル未満(例えば、約50pM、40pM、30pM、20pM、10pM又は5pM未満)のレベルは、治療効果を示す。
【0061】
他の実施態様では、抗PG抗体組成物の治療効果は、ガン幹細胞を殺傷するか、ガン幹細胞の成長又は増殖を阻害するか、又はガン幹細胞のアポトーシスを増加させるその能力によって決定し得る。本開示における他の部分で考察されるように、肝ガン幹細胞は、ガン幹細胞に関連する1つ以上の表現型の特徴(特定の細胞マーカーの発現、低接着培養条件下でスフェロイドとして成長する能力、及び移植後に新たな腫瘍成長を誘導する能力を含むが、これらに限定されない)を有すると同定し得る。
【0062】
すべての遊離PGへの結合は、治療効果を達成するのに必要とされない。遊離PGは、抗PG抗体によって結合されるのに利用可能であるPGを意味する。むしろ、腫瘍内、特に体液の遊離PG濃度をより限定された程度に全身的に減少させることも、有効であり得る。本明細書において記載される抗PG抗体組成物の投与によって遊離PG濃度を減少し得る例示的な組織及び体液は、患者から取り出されたガン生検、腹水、胸水に由来する液体、脳脊髄液、リンパ液、血液、血漿、血清などを含むが、これらに限定されない。1つ以上のこれらの組織又は体液中のPG濃度は、ELISA技術、又は当業者によく知られている他の技術を使用して、定量化し得る。
【0063】
当業者の知識に従って、患者において抗PG抗体の用量を漸増して、投与後所定時間の関心対象の組織又は体液中の遊離PG濃度を、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90、又は100%、又は約5%〜10%、約10%〜15%、約15%〜20%、約20%〜25%、約25%〜30%、約30%〜35%、約35%〜40%、約40%〜45%、約45%〜50%、約50%〜55%、約55%〜60%、約60%〜65%、約65%〜70%、約70%〜75%、約75%〜80%、約80%〜85%、約85%〜90%、又は約90%〜95%、又は遊離PG濃度において前記値のいずれかの間の範囲にある減少率分、減少させ得る。
【0064】
抗PG抗体を含む組成物は、有効投与量で個体(例えば、ヒト被験体)に投与し得る。投与される抗PG抗体の量は、処置されるべき患者のサイズ及び体重、投与形態、投与経路及び投与部位、処置レジメン(例えば、第2の治療剤を使用するか否か)、処置を受けている特定の被験体の年齢及び状態、抗PG抗体に対する個体の感受性を含む様々な要因に依存するであろう。当業者であれば、適切な投与量を容易に決定できる。最終的には、医師が、使用されるべき適切な投与量を決定するであろう。投与量は、適切な回数だけ反復し得る。副作用が起こる場合、投与量の量及び/又は回数は、通常の臨床診療に従って、変化又は減少させ得る。適切な投与量及び処置レジメンは、当業者に公知の従来の技術を使用して、処置の進行をモニタリングすることによって確立し得る。
【0065】
有効投与量は、in vitroアッセイから最初は評価し得る。例えば、動物における使用のための初回用量は、in vitroで測定されるプロガストリンに対する抗体の結合親和性以上である循環血中又は血清中抗PG抗体濃度を達成するために製剤化し得る。特定の抗体のバイオアベイラビリティを考慮して、このような循環血中又は血清中濃度を達成するための投与量を計算することは、十分に当業者の能力内である。ガイダンスのために、読者は、Fingl & Woodbury, "General Principles" in Goodman and Gilman's The Pharmaceutical Basis of Therapeutics, Chapter 1, latest edition, Pagamonon Press及びそこに引用されている参考文献を参照する。
【0066】
初回投与量は、例えば、動物モデルからのin vivoデータから評価し得る。肝ガンを処置するための化合物の有効性及び安全性を試験するのに有用な動物モデルは、当技術分野において公知であり、例えば、マウス又は他の動物におけるヒト肝細胞ガン細胞の異種移植片であるが、これらに限定されない。当業者であれば、通常、このような情報を適合して、ヒトの投与に適切な投与量を決定できる。
【0067】
具体的な実施態様では、個々の被験体に関する静脈内用量は、個体の血清中又は血漿中PG濃度を処置前数日から数週間に数回測定し、抗PG抗体の飽和量(すなわち、すべてのPGに結合するのに十分な量)を計算することによって、決定し得る。当業者であれば理解するように、所定の血清中又は血漿中PG濃度の飽和を達成するのに必要な任意の特異的抗体の量は、部分的には、特定の抗体の親和性定数に依存するであろう。関心対象の特異的抗PG抗体の飽和量を計算するための方法は、周知である。
【0068】
飽和を確実にするために、計算された飽和量よりも多くの量を投与し得、例えば、計算された飽和量よりも少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9あるいは10倍多くを投与し得る。静脈内以外の投与方法の場合、この量は、当技術分野において周知であるように、薬物動態及びバイオアベイラビリティに基づいて、調整し得る。
【0069】
本開示の抗PG抗体の有効用量は、単回(例えば、ボーラス)投与、複数回投与又は連続(例えば、注入)投与あたり約0.001〜約250mg/kgの範囲であり得るか、単回投与、複数回投与又は連続投与あたり0.01〜5000μg/ml血清中濃度の血清中濃度を達成するためであり得るか、又は処置されている病状、投与経路並びに被験体の年齢、体重及び状態に応じた上に含まれる任意の有効範囲又は値であり得る。ある実施態様では、各用量は、約0.1mg/kg〜約0.5mg/kg;約0.25mg/kg〜約0.75mg/kg;約0.5mg/kg〜約1mg/kg;約1mg/kg〜約2mg/kg;約1.5mg/kg〜約2.5mg/kg;約2mg/kg〜約3mg/kg;約2.5mg/kg〜約3.5mg/kg;約3mg/kg〜約4mg/kg;約3.5mg/kg〜約4.5mg/kg;約4mg/kg〜約5mg/kg;約5mg/kg〜約7mg/kg;約6mg/kg〜約8mg/kg;約7mg/kg〜約9mg/kg;約8mg/kg〜約10mg/kg;約10mg/kg〜約15mg/kg;約12.5mg/kg〜約17.5mg/kg;約15mg/kg〜約20mg/kg;約17.5mg/kg〜約22.5mg/kg;約20mg/kg〜約25mg/kg;約22.5mg/kg〜約27.5mg/kg;約25mg/kg〜約30mg/kg;約30mg/kg〜約40mg/kg;約35mg/kg〜約45mg/kg;約40mg/kg〜約50mg/kg;約45mg/kg〜約55mg/kg;約50mg/kg〜約60mg/kg;約55mg/kg〜約65mg/kg;約60mg/kg〜約70mg/kg;約65mg/kg〜約75mg/kgの範囲であり得る。他の投与量範囲も可能である。
【0070】
投与量、投与回数、及び投与期間は、個体の年齢、体重、及び疾患状態などの様々な要因に依存するであろう。抗PG処置は、原発性又は再発性のいずれかのHCC及び肝芽腫を含む肝ガンを有する被験体において示される。処置は、特に、移植若しくは外科的切除が利用可能ではないか、又は禁忌である個体におけるあらゆる段階の肝ガンにおいて示される。
【0071】
投与のための処置レジメンは、1日間以上、2日間以上、3日間以上、4日間以上、5日間以上、6日間以上、1週間以上、2週間〜無期限、2週間〜6ヶ月間、3ヶ月間〜5年間、6ヶ月間〜1又は2年間、8ヶ月間〜18ヶ月間など継続し得る。場合により、処置レジメンは、反復投与(例えば、1日に1回、1日に2回、2日、3日、5日、1週間、2週間、又は1ヶ月毎)を提供する。反復投与は、同じ用量又は異なる用量であり得る。投与は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、又はそれ以上反復し得る。抗PG抗体の治療有効量は、単回用量として投与し得るか、又は治療レジメンのコースにわたって(例えば、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間、又はそれより長いコースにわたって)投与し得る。
【0072】
7.10.処置の有効性をモニタリングする方法
本開示は、抗PG抗体による処置を受けている被験体をモニタリングして、処置が有効であるか否かを決定する方法も提供する。PGのレベルは、抗PG処置を受けている患者において測定し、測定されたレベルがベースラインPGレベルを超えるか、又はそれ未満であるかに基づいて、処置が有効であるか否かの指標として使用し得る。例えば、2010年1月8日に出願された「PROGASTRIN AND LIVER PATHOLOGIES」と題される米国仮特許出願第61/293,557号及び2011年1月4日に出願された「PROGASTRIN AND LIVER PATHOLOGIES」と題される米国特許出願第12/984,507号(それぞれの全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。医療供給業者は、この情報を使用して、抗PG抗体の投与を継続するか、又は処置を改変するかを決定し得る。これらの方法を使用して、上記のように単独で使用されるか、又は他の処置と併用される抗PG処置をモニタリングし得る。
【0073】
治療の有効性をモニタリングする目的のために、特定の時点において、血中、血漿中又は血清中PGレベルを測定し得る。特定の時点における濃度の経時的な減少、及び/又は閾値未満の測定されたレベルは、有効性を示す。閾値は、上記のものであり得るか、又は治療開始前、若しくはラウンド治療初期のある時点において処置を受けている被験体から得られた被験体特異的な値であり得る。
【0074】
いかなる特定の作用理論に拘束されることも望まないが、患者における腫瘍の数及び/又はサイズは、治療ラウンドの結果として軽減されるので、腫瘍によって産生されるPGの総量も減少すると考えられる。対照的に、治療ラウンドが終了した後のPGレベルに実質的な変化がないこと、又はその上昇は、治療が有効ではなかったことを示し得る。医療供給業者は、この情報を使用して、新たな治療ラウンドを開始するべきか否かを決定し得る。
【0075】
PGレベルは、当業者によく知られている技術(例えば、限定されないが、RIA及びELISA)を使用して、測定し得る。ヒト被験体のPGレベルを測定するのに有用な抗hPG抗体は、後のセクションに記載される。PGレベルを測定するためのアッセイの例は、米国仮特許出願第61/293,557号(前掲)、実施例1〜2に記載されている。
【0076】
具体的な実施態様では、PGレベルは、プロガストリンのN末端をターゲティングする一次抗PG抗体、及びプロガストリンのC末端をターゲティングする二次抗PG抗体を用いるサンドイッチELISAを使用して、測定し得る。このようなサンドイッチアッセイに有用な例示的なN及びC末端抗PG抗体は、後のセクションに記載される。このようなアッセイにおいて、既知量の一次「捕捉」N末端又はC末端抗PG抗体が結合する表面(例えば、96ウェルプレートのウェル)を調製する。次いで、試験サンプルを表面に適用し、その後、インキュベーション期間を設ける。次いで、表面を洗浄し、二次「検出」抗PG抗体を含む溶液を適用すると、検出抗体は、PGの異なるエピトープに結合する(例えば、捕捉抗体がC末端抗PG抗体である場合、N末端抗PG抗体を検出抗体として使用し、その逆の場合も同様である)。次いで、PGレベルを直接的(例えば、検出抗体が検出可能なラベルにコンジュゲーションされる場合)又は間接的(検出抗PG抗体に結合するラベル化二次抗体によって)に測定する。このアッセイの場合、すべてのPGが結合され、定量化されるように、抗体を過度に使用するべきである。血漿中及び/又は血清中PGレベルを測定するための特異的サンドイッチアッセイは、実施例1において提供される。
【0077】
異なる間隔の多重測定を行い、次いで、グラフ化して、傾向が存在するかを決定し得る。いくつかの実施態様では、血中PG濃度の時間依存的な減少は、肝ガンの処置が有効であることを示す。非限定例な例では、PGレベルは、患者が抗PG抗体の投与を受けている間、週1回、月1回、又は年1回の間隔で決定し得る。他の間隔も可能である。
【0078】
抗PG抗体を使用する治療ラウンドを含む実施態様では、PGレベルに対する抗体の効果を評価し得るように、治療コースの間に1つ以上の測定も行い得る。他のこのような実施態様では、サンプリングの間に残りの抗PG抗体が患者中に存在する場合、データは、PGレベルが抗体によるPGの隔離によって減少し、その後、この効果は弱まるので上昇し、その後、処置が有効であった場合は低下を示し得る。さらに他の実施態様では、抗PG抗体によるPGの結合がPG濃度の測定精度に影響を与えないように、抗PG抗体が患者から除去されたことを評価した後に、治療後の測定を行い得る。
【0079】
この方法のいくつかの実施態様では、1つ以上の体液(例えば、抗PG抗体処置を受けている被験体の全血、血漿、血清)中のPGレベルを評価して、次いで、ベースラインレベルと比較し得る。典型的には、PGレベルは、サンプル中のPG濃度であり、モル(M)量又はモル/リットル(mol/リットル)で表される。上記ベースラインPGレベルは、処置有効性の欠如を示す。対照的に、ベースラインレベル以下のPGレベルは、処置有効性を示す。
【0080】
患者において検出されたPGレベルと比較するのに、異なるベースラインを使用し得る。ベースラインレベルは、1つの数値又は数値範囲であり得る。ベースラインは、患者から取られた1つ以上の測定結果に基づき得るか、又は個体集団からのサンプル中のPGの測定結果に基づき得る。この方法のいくつかの実施態様では、ベースラインは、1つ以上の間隔(例えば、抗PG抗体処置の開始前、処置コースの間、又は処置を中止した後)で取られた、同じ患者からのPGレベルである。いくつかの実施態様では、ベースラインは、モニタリングを受けている個体集団と類似の特徴を有する個体集団における平均PGレベルであり得る。このような特徴は、性別、年齢、肝ガンのタイプ及び段階、手術、抗PG処置、又は他の処置の経歴を含み得るが、必ずしもこれらに限定されない。いくつかの実施態様では、ベースラインは、例えば、約50pM、約40pM、約30pM、約20pM、約10pM、約5pM、約2pM、約1pMあるいはそれよりも低い特定のPGレベルである。いくつかの実施態様では、ベースラインは、範囲である。
【0081】
他の実施態様では、ベースラインは、モニタリングを受けている患者集団と類似の特徴を有する患者集団における平均PGレベルから確立し得る。このような特徴は、性別、年齢、原発性ガンのタイプ、特定のタイプの処置への曝露、これらの任意の組み合わせなどを含み得るが、必ずしもこれらに限定されない。さらに他の実施態様では、特定の患者のモニタリングにおいて、2つ以上のベースラインを使用し得る。例えば、患者特異的なベースライン、及び集団に由来するベースラインの両方を使用し得る。
【0082】
いくつかの実施態様では、過去に処置を受けたガン患者における平均PG濃度が、当該患者が比較される関連集団にとっては正常範囲内であり、一定に保たれている場合、当該患者は、再発していないとスコア化され得るため、新たな処置を必要としない。対照的に、ある実施態様では、PG濃度が、過去に処置を受けたガン患者において一定期間にわたって、集団データに由来する閾値を超えて上昇すると見なされる場合、当該患者は、おそらくは再発しているとスコア化され得るため、ガンの再発に対する新たな処置の候補であり得る。
【0083】
食事は、通常、ガストリンの合成及び分泌を増加させるので、血中PGレベルの一時的な増加も引き起こし得、これが、モニタリングされている患者におけるPGレベルの正確な測定を妨げ得る。この影響を回避するために、特に、血液サンプル中のPG濃度を決定しようとする場合、絶食後、又はPG濃度に対するあらゆる一時的な影響がなくなる食後十分な長さの時間後に、患者からサンプルを取り得る。
【0084】
7.11.抗PG抗体
本明細書において開示される方法において有用な抗体は、ガストリン遺伝子の他の産物よりもヒトプロガストリンに特異的に結合するものである。
図1を参照すると、ガストリン遺伝子は、シグナル配列(下線部)を含む101アミノ酸のポリペプチド(プレプロガストリンと称される)に翻訳され、これが切断されて、プロガストリン(80アミノ酸のポリペプチド)が生じる。次いで、プロガストリンは切断されて、配列においてプロガストリンの残基38〜71に対応する34アミノ酸の産物が生じ、次いで、これがそのカルボキシ末端においてグリシン残基で延長され、グリシン延長G34(「G34−Gly」)が生じる。この切断の副産物は、配列においてプロガストリンの残基75〜80に対応する6アミノ酸のペプチド(C末端隣接ペプチド、又はCTFPと称される)である。次いで、G34−Glyはさらに切断されて、配列においてプロガストリンの残基55〜71に対応し、G17−Glyと称される17残基のポリペプチドが生じる。G34−Gly及びG17−GlyのC末端グリシンを除去し、その後、C末端をアミド化することにより、G34及びG17がそれぞれ生じ、これらは両方ともC末端がアミド化されている。
【0085】
本明細書において使用される抗体は、それが、全長プロガストリンに結合するが、CTFP、アミド化ガストリン、又はグリシン延長ガストリンに全く結合しない場合、hPGに対して「高度に特異的」であるか、又はhPGに「高度に特異的に結合」し、それが、標準結合アッセイにおける測定で、CTFP及びガストリン遺伝子の他の産物よりも少なくとも約5倍多いhPGへの結合を示す場合、hPGに対して「特異的」であるか、又はhPGに「特異的に結合」する。特定の抗hPG抗体の特異性を評価するのに使用され得る具体的なELISAアッセイは、実施例2において提供される。
【0086】
このような高度に特異的な及び/又は特異的な抗hPG抗体(本明細書において「抗hPG抗体」と称される)は、ポリクローナル(「抗hPGPAb」)又はモノクローナル(「抗hPGMAb」)であり得るが、治療用途、及び場合により診断又は他のin vitro用途に関しては、モノクローナル抗体が好ましい。
【0087】
抗hPG抗体によって結合されるエピトープは、重要ではない。有用な抗hPG抗体は、hPGのN末端領域、hPGのC末端領域、又はhPGの異なる領域に結合し得る。最近、少なくともモノクローナル抗hPG抗体に関しては、抗hPG抗体を生産するのに使用される抗原の選択が重要であり得ることが発見された(2010年10月15日に出願された国際出願第PCT/EP2010/006329号及び2010年10月15日に出願された米国出願第12/906,041号(これらの開示及び具体的に開示されている抗hPG抗体は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと;以下、それぞれ‘329及び‘041出願と称される)。‘329及び‘041出願に開示されているように、hPGに由来するすべての抗原が、生理学的条件下でhPGに特異的に結合するモノクローナル抗体の産生を刺激するわけではない。実際、使用してポリクローナル抗hPG抗体を生産するのに成功した特定の抗原、例えば全長リコンビナントhPG(例えば、SinghのWO08/076454を参照のこと)及びhPGのC末端終端における最後の10アミノ酸に対応するペプチド(Hollande et alのWO07/135542を参照のこと)は、モノクローナル抗体を生じさせるのに失敗した。‘329及び‘041出願に記載されているように、hPG配列内の抗原性N末端及びC末端配列は、hPGに特異的に結合するモノクローナル抗体を作製するのに使用し得ると同定された。興味深いことに、抗原性配列は、それに固有のhPG配列の領域に限定される必要がない。ガストリン遺伝子の他の産物と共通の配列領域(例えば、G17、G34及びCTFP)を有するペプチド抗原は、hPGに結合するだけではなく、それに特異的に結合するモノクローナル抗体を生じさせる。
【0088】
hPGのN末端領域に対応する配列を有するペプチド抗原を使用して得られ、及び/又はhPGのN末端領域に結合する抗hPG抗体は、本明細書において「N末端抗hPG抗体」と称される。hPGに対して特異的なポリクローナル及びモノクローナル抗体の両方を得るのに適切な免疫原を構築するのに使用され得るhPGの具体的な例示的な抗原性領域は、hPGの残基1〜14:SWKPRSQQPDAPLG(配列番号25)に対応する。N末端抗hPG抗体を得るのに有用な例示的な免疫原、並びにこれらの例示的な免疫原を用いて得られたN末端抗hPGモノクローナル抗体のCDR及びV
H及びV
L配列は、以下の表1A及び実施例のセクションにおいて提供される:
【0089】
【表1】
【0090】
hPGのC末端領域に対応する配列を有するペプチド抗原を使用して得られ、及び/又はhPGのC末端領域に結合する抗hPG抗体は、本明細書において「C末端抗hPG抗体」と称される。ポリクローナル及びモノクローナルC末端抗hPG抗体の両方を得るのに有用な免疫原を構築するのに使用され得る具体的な例示的な抗原性領域は、hPGの残基55〜80:QGPWLEEEEEAYGWMDFGRRSAEDEN(配列番号27)に対応する。C末端抗hPG抗体を得るのに有用なこの抗原を含む例示的な免疫原、並びにこれらの例示的な免疫原を用いて得られたC末端抗hPGモノクローナル抗体のCDR及びV
H及びV
L配列は、以下の表1B及び実施例のセクションにおいて提供される。
【0091】
【表2】
【0092】
表1A及び1Bにおいて提供される例示的な抗hPGモノクローナル抗体MAb1〜MAb23によって結合される具体的なエピトープを、Laune et al., 2002, J. Immunol. Methods 267:53-70及びLaune, 1997, J. Biol. Chem. 272:30937-30944にそれぞれ記載されているように(‘329出願の実施例6も参照のこと)、SPOT技術及びアラニンスキャニングを使用してマッピングした。
【0093】
SPOT技術において、推定エピトープに及ぶ15アミノ酸のペプチド配列を作製し、ニトロセルロース膜にスポットし、次いで、これを試験抗体でプローブ化して、抗体によって認識される最小エピトープ配列を決定する。アラニンスキャニングを使用して、抗体結合に重要なエピトープ内の残基を決定する。推定エピトープ内の各残基をアラニンに1つずつ突然変異させ、次いで、アラニン含有ペプチドを試験抗体でプローブ化する。
【0094】
N末端抗hPGモノクローナル抗体MAb1〜4及び15〜20に関して、エピトープは、以下の表2Aに示されるように、少なくとも以下の配列を含む:DAPLG(配列番号28)、PDAPLG(配列番号29)、PRSQQPD(配列番号30)、WKPRSQQPD(配列番号31)、又はWKPRSQQPDAPLG(配列番号32)。
【0095】
【表3】
【0096】
C末端抗hPGモノクローナル抗体MAb5〜7、9〜12、14及び21〜23に関して、エピトープは、以下の表2Bに示されるように、少なくとも以下の配列を含む:FGRR(配列番号33)、MDFGR(配列番号34)、AEDEN(配列番号35)、及びGWMDFGRR(配列番号36)。
【0097】
【表4】
【0098】
エピトープマッピング実験は、抗hPGMAb2及びMAb4が、同じエピトープに結合すること;抗hPGMAb1及びMAb3が、ほぼ同じエピトープに結合すること;MAb17、MAb18、MAb19、及びMAb20が、ほぼ同じエピトープに結合すること;MAb15及びMAb16が、ほぼ同じエピトープに結合すること;抗hPGMAb5、MAb6、MAb7、MAb9、及びMAb12が、同じエピトープに結合し、抗hPGMAb10とほぼ同じエピトープに結合すること;及び抗hPGMAb11及びMAb14が、ほぼ同じエピトープに結合することを明らかにする。
【0099】
本明細書において記載される方法及びキットにおいて有用なN末端抗PG抗体の具体的な実施態様は、hPGの残基10〜14(配列番号28)、hPGの残基9〜14(配列番号29)、hPGの残基4〜10(配列番号30)、hPGの残基2〜10(配列番号31)、又はhPGの残基2〜14(配列番号32)を含むエピトープに結合する抗体を含む。
【0100】
本明細書において記載される方法及びキットにおいて有用なC末端抗PG抗体の具体的な実施態様は、hPGの残基71〜74(配列番号33)、hPGの残基69〜73(配列番号34)、hPGの残基76〜80(配列番号35)、又はhPGの残基67〜74(配列番号36)を含むエピトープに結合する抗体を含む。
【0101】
表1A及び1Bにおいて提供されるものに加えて、本明細書において開示される方法及びキットにおいて有用なN末端及びC末端抗hPG抗体は、後のセクションにおいてより詳細に記載されるように、例示的なMAb1〜23を用いるか、又はN若しくはC末端エピトープに結合する他の参照抗体を用いる競合結合アッセイで同定し得る。
【0102】
‘329及び‘041出願でも報告されているように、すべての抗hPG抗体、hPGに対する高度の特異性及び親和性を示すものでさえ、hPGの生物学的活性を中和し得るわけではない。例えば、抗hPGMAb14は、約6pMのK
DでhPGに結合するが、in vitroアッセイにおいて結腸直腸ガン細胞の成長を阻害しなかったのに対して、他の抗hPGモノクローナル抗体は、有意な阻害活性を示した(例えば、‘329出願の実施例7を参照のこと)。hPGに特異的に結合する非中和及び中和抗体は両方とも、本明細書において記載される様々な診断及びモニタリング方法に有用であるが、治療方法に有用な抗hPG抗体は、中和活性を示すべきである。
【0103】
本明細書において使用される「中和抗hPG抗体」は、非特異的抗体で処置されたコントロールサンプルと比較して、抗hPG抗体で処置された試験サンプル中の生存するHuh7細胞数の統計的に有意な減少をもたらす抗hPG抗体である。任意の特定の抗hPG抗体がhPGを中和する能力を評価するための具体的なアッセイは、実施例3に記載される。このアッセイにおいて生細胞数の少なくとも約50%の減少を示す抗hPG抗体は、肝ガンをターゲティングするのに特に有用であると考えられるが、より低レベルの中和活性(例えば、このアッセイにおいて生細胞数の40%、30%、20%、15%、あるいは10%の統計的に有意な減少)を示す抗hPG抗体は、治療効果を提供すると予想される。
【0104】
従って、いくつかの実施態様、例えば治療的な実施態様では、有用な抗hPG抗体は、中和性である。‘329及び‘041出願に開示されているように、抗hPGモノクローナル抗体の能力は、N末端及びC末端抗hPGモノクローナル抗体が両方とも肝ガン細胞を用いるアッセイにおいて中和活性を示したように、エピトープ依存性ではない。従って、いくつかの具体的な実施態様では、中和抗hPG抗体は、N末端中和抗hPG抗体である。他の実施態様では、中和抗hPG抗体は、C末端中和抗hPG抗体である。
【0105】
いかなる具体的な抗hPG抗体の親和性も、重要ではない。しかしながら、いくつかの用途に関しては、少なくとも約1μMの親和性を示す抗体が好ましいかもしれない。治療用途に関しては、少なくとも約90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、15nM、10nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.1nM、0.01nM、あるいはそれよりも大きい親和性が望ましいかもしれない。以下の表3に記載されるように、表1A及び1Bにおいて同定される抗hPGモノクローナル抗体の測定した親和性は、10
−6〜10
−12Mの範囲である:
【0106】
【表5】
【0107】
特定の所望の用途に特に適した親和性を有する抗PGモノクローナル抗体は、これらの中から容易に選択し得るか、又は本明細書において記載される抗hPG抗体の様々な免疫原、相補性決定領域(CDR)配列、可変重(V
H)鎖及び可変軽(V
L)鎖配列を使用して、作製若しくは設計し得る。あらゆる特定の抗PGモノクローナル抗体の親和性は、当技術分野において周知であるか、又は本明細書において記載される技術(例えば、ELISA、等温滴定熱量計(ITC)、BIAcore、又は蛍光偏光アッセイなど)を使用して決定し得る。具体的なアッセイは、実施例4において提供される。
【0108】
表1A及び1Bに記載されるように、いくつかのN末端及びC末端モノクローナル抗hPG抗体を同定した。これらの抗体のすべては、実施例2に記載されるアッセイによって測定するとhPGに対して特異的であり、MAb14を除くすべてが、結腸直腸ガン細胞を用いる試験において中和活性を示した。肝ガン細胞を用いて試験した抗体のすべて(MAb3、8、13、16及び19)が、中和活性を示した。当該抗体を得るのに有用なハイブリドーマのいくつかを、ブタペスト条約に従って、2010年10月6日にCollection Nationale de Cultures de Microorganisms (CNCM, Institut Pasteur, 25 rue du Docteur Roux, F-75724 Paris Cedex 15, France)に寄託した。抗hPGMAb1〜23を産生するハイブリドーマの指定名称、及び寄託したそれらのハイブリドーマの寄託登録番号は、表1A及び1Bにおいて提供される。加えて、抗体のいくつかに関しては、可変重鎖(V
H)、可変軽鎖(V
L)、V
L相補性決定領域(CDR)及びV
HCDRのアミノ酸配列を決定した。これらのアミノ酸配列、及び本開示を通してそれらを参照するのに使用される略称も、表1A及び1Bにおいて提供される。つまり、マウス重鎖及び軽鎖可変ドメインは、本明細書においてmV
H及びmV
Lと称され、対応するモノクローナル抗体の番号がその後ろにある(例えば、mV
H.3及びmV
L.3は、それぞれ抗hPGMAb3の可変軽鎖及び可変重鎖)。同様に、ヒト重鎖及び軽鎖可変ドメインは、本明細書においてhV
H及びhV
Lと称され、対応するモノクローナル抗体の番号がその後ろにある。3つの可変重鎖CDR及び3つの可変軽鎖CDRは、V
HCDR1、2、又は3、及びV
LCDR1、2、又は3とそれぞれ称され、具体的な抗hPGモノクローナル抗体の番号がその後ろにある。例えば、MAb3のV
HCDR1は、V
HCDR1.3で表示され、MAb3のV
LCDR1は、V
LCDR1.3で表示される。MAb3のV
HCDR2は、V
HCDR2.3で表示され、MAb3のV
LCDR2は、V
LCDR2.3で表示される。
【0109】
ほぼ同じエピトープに結合する抗hPGモノクローナル抗体の対応するCDR並びに/又はV
H及びV
L鎖を交換して、本明細書において記載される方法及びキットにおいて有用な新たな抗hPGモノクローナル抗体を生産し得ると予想される。例えば、上記のように、例示的な抗hPGモノクローナル抗体MAb5及びMAb6は、同じエピトープに結合する。これらの2つの抗体のV
LCDRの様々な組み合わせをそのV
L鎖中に含み、及び/又はこれらの2つの抗体のV
HCDRの様々な組み合わせをそのV
H鎖中に含む抗hPGモノクローナル抗体を設計し得る。様々な可能な組み合わせを例示するための非限定例な具体例として、このような抗体は、MAb5のCDR1及び2(それぞれ、V
LCDR1.5及びV
LCDR2.5)並びにMAb6のCDR3(V
LCDR3.6)をそのV
L鎖中に含み、MAb6のCDR1(V
HCDR1.6)並びにMAb5のCDR2及び3(それぞれ、V
HCDR2.5及びV
HCDR3.5)をそのV
H鎖中に含み得る。寄託したハイブリドーマによって産生される抗体のCDR(超可変領域としても公知である)のアミノ酸配列は、従来の手段を使用して得ることができる。
【0110】
当技術分野において公知であるように、抗体の超可変領域を表すアミノ酸位置/境界は、文脈及び当技術分野において公知の様々な定義に応じて変化し得る。可変ドメイン内のいくつかの位置は、あるセットの基準の下では、これらの位置が超可変領域内にあると見なされ得るという点でハイブリッド超可変位置と見なされ得るが、異なるセットの基準の下では、超可変領域外にあると見なされ得る。これらの位置の1つ以上は、拡張超可変領域においても見出され得る。本明細書において記載される抗PG抗体は、これらのハイブリッド超可変位置における改変を含み得る。ネイティブな重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、主にβシート構造をとり3つのCDRにより連結された4つのFR領域をそれぞれ含み、これらのCDRは、βシート構造を連結し、場合によりその一部を形成するループを形成する。各鎖におけるCDRは、FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4の順で、FR領域により密接に近接して保持され、他の鎖からのCDRと共に、抗体のターゲット結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., 1987, Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institute of Health, Bethesda, Md.を参照のこと)。本明細書において使用される免疫グロブリンアミノ酸残基のナンバリングは、特に指定しない限り、Kabat et alの免疫グロブリンアミノ酸残基ナンバリングシステムに従って行われる。
【0111】
表1Aに関して、本明細書において記載される方法及びキットにおいて有用なN末端抗hPG抗体の具体的な実施態様は、以下を含むが、これらに限定されない:
(a)配列においてMAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19又はMAb20のV
LCDRに対応するV
LCDRと、配列においてMAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19又はMAb20のV
HCDRに対応するV
HCDRとを有する抗体;
(b)配列においてMAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19又はMAb20のV
L及びV
HCDRに対応するV
LCDR及びV
HCDRを有する抗体;
(c)抗体であって:
(i)V
LCDR1が、QSIVHSNGNTY(「V
LCDR1.3」;配列番号4)、QSLVHSSGVTY(「V
LCDR1.4」;配列番号10)、QSLLDSDGKTY(「V
LCDR1.16」;配列番号50)、及びSQHRTYT(「V
LCDR1.19」;配列番号51)から選択され;
(ii)V
LCDR2が、KVS(「V
LCDR2.3」又は「V
LCDR2.4」;配列番号5)、LVS(「V
LCDR2.16」;配列番号53)、及びVKKDGSH(「V
LCDR2.19」;配列番号54)から選択され;
(iii)V
LCDR3が、FQGSHVPFT(「V
LCDR3.3」;配列番号6)、SQSTHVPPT(「V
LCDR3.4」;配列番号11)、WQGTHSPYT(「V
LCDR3.16」;配列番号57)、及びGVGDAIKGQSVFV(「V
LCDR3.19」;配列番号58)から選択され;
(iv)V
HCDR1が、GYIFTSYW(「V
HCDR1.3」;配列番号1)、GYTFSSSW(「V
HCDR1.4」;配列番号7)、GYTFTSYY(「V
HCDR1.16」;配列番号39)、及びGYSITSDYA(「V
HCDR1.19」;配列番号40)から選択され;
(v)V
HCDR2が、FYPGNSDS(「V
HCDR2.3」;配列番号2)、FLPGSGST(「V
HCDR2.4」;配列番号8)、INPSNGGT(「V
HCDR2.16」;配列番号43)、及びISFSGYT(「V
HCDR2.19」;配列番号44)から選択され;並びに
(vi)V
HCDR3が、TRRDSPQY(「V
HCDR3.3」;配列番号3)、ATDGNYDWFAY(「V
HCDR3.4」配列番号9)、TRGGYYPFDY(「V
HCDR3.16」;配列番号47)、及びAREVNYGDSYHFDY(「V
HCDR3.19」;配列番号48)から選択される、抗体;
(d)配列においてMAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19又はMAb20のV
Lに対応するV
Lと、配列においてMAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19又はMAb20のV
Hに対応するV
Hとを有する抗体;並びに
(e)配列においてMAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19又はMAb20のV
L及びV
Hに対応するV
L及びV
Hを有する抗体。
【0112】
表1Bに関して、本明細書において記載される方法及びキットにおいて有用なC末端抗hPG抗体の具体的な実施態様は、以下を含むが、これらに限定されない:
(a)配列においてMAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22又はMAb23のV
LCDRに対応するV
LCDRと、配列においてMAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22又はMAb23のV
HCDRに対応するV
HCDRとを有する抗体;
(b)配列においてMAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22又はMAb23のV
L及びV
HCDRに対応するV
LCDR及びV
HCDRを有する抗体;
(c)抗体であって:
(i)V
LCDR1が、KSLRHTKGITF(「V
LCDR1.8」;配列番号49)及びQSLLDSDGKTY(「V
LCDR1.13」;配列番号50)から選択され;
(ii)V
LCDR2が、QMS(「V
LCDR2.8」;配列番号52)及びLVS(「V
LCDR2.13」;配列番号53)から選択され;
(iii)V
LCDR3が、AQNLELPLT(「V
LCDR3.8」;配列番号55)及びWQGTHFPQT(「V
LCDR3.13」;配列番号56)から選択され;
(iv)V
HCDR1が、GFTFTTYA(「V
HCDR1.8」;配列番号37)及びGFIFSSYG(「V
HCDR1.13」;配列番号38)から選択され;
(v)V
HCDR2が、ISSGGTYT(「V
HCDR2.8」;配列番号41)及びINTFGDRT(「V
HCDR2.13」;配列番号42)から選択され;並びに
(vi)V
HCDR3が、ATQGNYSLDF(「V
HCDR3.8」;配列番号45)及びARGTGTY(「V
HCDR3.13」;配列番号46)から選択される、抗体;
(d)配列においてMAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22又はMAb23のV
Lに対応するV
Lと、配列においてMAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22又はMAb23のV
Hに対応するV
Hとを有する抗体;並びに
(e)配列においてMAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22又はMAb23のV
L及びV
Hに対応するV
L及びV
Hに配列において対応するV
L及びV
Hを有する抗体。
【0113】
当業者によって理解されるように、診断方法において有用な抗hPG抗体は、例えば、哺乳類(例えば、ヒト、霊長類、齧歯類、ヤギ又はウサギ)、非哺乳類、又は天然キメラ(2つ以上の種の起源に由来する)を含む任意の起源であり得る。ヒトを含む動物における治療用途に適切な抗体は、好ましくは、処置しようとする同じ種に由来するか、又は処置を受けている動物において非免疫原性であるか、若しくは減少された免疫原性を有するように改変又は設計されたものである。以下でより詳細に考察されるように、ヒトにおける治療用途に有用な抗hPG抗体の具体的なクラスは、ヒト化抗体のクラスである。また、本明細書において記載される方法及びキットにおいて有用な抗hPG抗体は、例えば、IgA(例えば、IgA1又はIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)又はIgMを含む任意のアイソタイプであり得るか、又はそれらに由来し得る。治療用途のために設計される抗hPG抗体は、好ましくは、IgGアイソタイプである。
【0114】
いくつかの実施態様では、本明細書において記載される治療方法に有用な抗hPG抗体は、ヒト化される。一般的には、ヒト化抗体は、すべての又は実質的にすべてのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、すべての又は実質的にすべてのフレームワーク領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のフレームワーク領域に対応する、実質的にすべての、少なくとも1つの、及び典型的には2つの可変ドメインを含み、「CDR移植」と称され得る。ヒト化抗体は、少なくとも、免疫グロブリン定常領域(Fc)の部分、典型的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列の部分も含み得る。ヒト化抗体を設計するための方法を含む、抗体をヒト化する方法は、当技術分野において周知である。例えば、Lefranc et al., 2003, Dev. Comp. Immunol. 27:55-77; Lefranc et al., 2009, Nucl. Acids Res. 37:D1006-1012; Lefranc, 2008, Mol. Biotechnol. 40: 101-111; Riechmann et al., 1988, Nature 332:323-7; Queen et alの米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号及び第6,180,370号;EP239400;PCT公報WO91/09967;米国特許第5,225,539号;EP592106;EP519596;Padlan, 1991, Mol. Immunol. 28:489-498; Studnicka et al., 1994, Prot. Eng. 7:805-814; Roguska et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. 91:969-973;及び米国特許第5,565,332号(これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0115】
例として、限定されないが、表1Aにおいて提供される様々なN末端抗hPGモノクローナル抗体、及び表1Bにおいて提供される様々なC末端抗hPGモノクローナル抗体を含む、非ヒト抗hPG抗体のCDRに対応するCDR配列を有する抗体のヒト化型は、これらの周知の方法を使用して得ることができる。選択された抗hPG抗体のヒト化V
L及びV
H鎖の推定配列は、表1A及び1Bにおいて提供される。ヒト化抗体の具体例は、以下を含む抗体を含む:
(a)本明細書において開示される任意の3つのV
LCDR及び任意の3つのV
HCDR;
(b)配列番号21に対応するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号22に対応するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号23に対応するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号24に対応するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号75、77、及び79からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号76及び78からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号80及び82からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号81及び83からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(f)配列番号84、86、及び88からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号85、87、及び89からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;並びに
(g)配列番号90、92、及び94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号91、93、及び95からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0116】
当業者によって認識されるように、特異的結合特性(例えば、関心対象の特定のエピトープに結合する能力)を有する抗hPG抗体は、本明細書において記載される様々な抗原及び免疫源を使用し、hPGへの結合に関して関心対象の参照抗体と競合するそれらの能力を評価して、容易に得ることができる。本明細書において記載される抗hPG抗体のいずれも、このような競合アッセイにおいて、参照抗体として利用し得る。hPGへの結合に関して関心対象のビオチン化参照抗hPG抗体と競合する抗体の能力を評価するのに有用な具体的なアッセイは、実施例5において提供される。
【0117】
参照抗hPG抗体と任意の試験抗体(種又はアイソタイプに関係なく)との間の抗体競合研究の実施において、最初に、直接的に検出可能なラベル(例えば、放射性同位体又はフルオロフォアなど)、又は間接的に検出可能なラベル(例えば、ビオチン(蛍光ラベル化ストレプトアビジンとの結合により検出可能)又は酵素(酵素反応により検出可能)など)のいずれかで参照をラベルして、その後の同定を可能にし得る。この場合、ラベル化参照抗hPG抗体(一定濃度又は漸増濃度)を既知量のhPGと共にインキュベーションして、hPG:ラベル化抗hPG抗体複合体を形成させる。次いで、非ラベル化試験抗体を複合体に添加する。複合化ラベルの強度を測定する。試験抗体が、重複するエピトープに結合することによって、hPGに関してラベル化参照抗hPG抗体と競合する場合、複合化ラベルの強度は、試験抗体の非存在下で行われるコントロール実験と比較して、減少するであろう。
【0118】
結合競合アッセイを行うための多数の方法が公知であり、上記アッセイ及び実施例5に記載されるアッセイと同等の結果をもたらすように、それらを適合し得る。
【0119】
抗体は、hPGへの結合に関して参照抗hPG抗体と競合すると考えられ、従って、競合結合アッセイ(具体的には、実施例5の競合結合アッセイ)において、0.01〜100μg/mL(例えば、0.01μg/mL、0.08μg/mL、0.4μg/mL、2μg/mL、10μg/mL、50μg/mL又は100μg/mL又は前記範囲内の他の濃度)の範囲の試験抗体濃度で、それがhPGへの参照抗hPG抗体の結合を、より高レベルの減少(例えば、60%、70%、80%、90%あるいは100%)が望ましいかもしれないが、少なくとも50%減少させる場合、参照抗hPG抗体とほぼ同じ又は重複するhPGのエピトープに結合すると考えられる。
【0120】
当業者であれば、いくつかの文脈(例えば、診断及びモニタリングの文脈)において、抗PG抗体をラベルすることが望ましいかもしれないと理解するであろう。このようなラベルは、検出及び定量化に有用である。適切なラベルは、当技術分野において周知であり、それらが直接的に観察可能又は検出可能(例えば、フルオロフォア又は放射性同位体)である点において「直接的」であり得るか、又はそれらが観察可能又は検出可能なシグナル(例えば、基質に対して作用して検出可能なシグナルを産生する酵素、又はラベル化ストレプトアビジン分子に結合するビオチンなどの結合分子)を産生する何か他のものと相互作用する点において「間接的」であり得る。抗体をそれらでラベルするための多数のラベルシステム及び手段が、当技術分野において公知であり、本明細書における使用に企図される。
【0121】
本明細書において記載される方法において有用な様々な抗hPG抗体を全長抗体を用いて例示したが、当業者であれば、結合フラグメント、又は全長抗体若しくは結合フラグメントから設計されるか、若しくはそれらに由来する代わりの抗体も使用し得ると理解するであろう。適切なフラグメント、代理物などは、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fv、vIgG、scFvフラグメント及びスロボディ(surrobodies)を含むが、これらに限定されない。特に明記しない限り、本明細書において使用される「抗体」という用語は、すべての形態の抗体、並びに一本鎖抗体、スロボディ及び結合フラグメントを含む「抗体様」代理分子を含むことを意図する。天然に存在する抗体に典型的な構造を有する抗体は、本明細書において「ネイティブな抗体」と称される。
【0122】
7.12.抗PG抗体を製造する方法
本明細書において記載される方法において有用な抗PG抗体は、周知の標準方法を使用して得ることができる。本明細書において記載される方法において有用な抗PG抗体を発現させるために、軽鎖及び重鎖の、部分又は全長をコードするDNAを、遺伝子が転写及び翻訳コントロール配列に機能的に連結されるように発現ベクターに挿入する。この文脈において、「機能的に連結される」という用語は、ベクター内の転写及び翻訳コントロール配列が、抗体遺伝子の転写及び翻訳をレギュレーションする所望の機能を果たすように、抗体遺伝子がベクターにライゲーションされることを意味すると意図される。発現ベクター及び発現コントロール配列は、使用される発現ホスト細胞と適合するように選択する。抗体の軽鎖遺伝子及び抗体の重鎖遺伝子を別々のベクターに挿入し得るか、又はより典型的には、両遺伝子を同じ発現ベクターに挿入する。
【0123】
抗体遺伝子は、標準的な方法(例えば、抗体の遺伝子フラグメント及びベクターの相補的な制限部位のライゲーション、又は制限部位が存在しない場合は平滑末端ライゲーション)によって、発現ベクターに挿入する。抗PG抗体の軽鎖又は重鎖配列の挿入前に、発現ベクターは、抗体の定常領域配列を既に保有し得る。例えば、抗PG抗体のV
H及びV
L配列を全長抗体遺伝子に変換するアプローチの1つは、V
Hセグメントがベクター内のC
Hセグメントに機能的に連結され、V
Lセグメントがベクター内のC
Lセグメントに機能的に連結されるように、重鎖定常領域及び軽鎖定常領域をそれぞれ既にコードする発現ベクターにそれらを挿入することである。加えて又はあるいは、リコンビナント発現ベクターは、ホスト細胞から抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードし得る。シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで連結するように、抗体鎖遺伝子をベクターにクローニングし得る。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質に由来するシグナルペプチド)であり得る。
【0124】
抗体鎖遺伝子に加えて、本開示のリコンビナント発現ベクターは、ホスト細胞の抗体鎖遺伝子の発現をコントロールする調節配列を保有する。「調節配列」という用語は、抗体鎖遺伝子の転写又は翻訳をコントロールするプロモーター、エンハンサー、及び他の発現コントロール因子(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むと意図される。このような調節配列は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185 (Academic Press, San Diego, CA, 1990)に記載されている。
【0125】
当業者であれば、調節配列の選択を含む、発現ベクターの設計は、トランスフォーメーションされるホスト細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの要因に依存し得ることを理解するであろう。哺乳類ホスト細胞の発現に適切な調節配列は、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば、CMVプロモーター/エンハンサー)、シミアンウイルス40(SV40)(例えば、SV40プロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、及びポリオーマに由来するプロモーター及び/又はエンハンサーなどの哺乳類細胞で高レベルのタンパク質発現を指示するウイルス要素を含む。ウイルス性調節因子、及びその配列のさらなる説明に関しては、例えば、Stinskiによる米国特許第5,168,06号、Bell et alによる米国特許第4,510,245号、及びSchaffner et alによる米国特許第4,968,615号を参照のこと。
【0126】
抗体鎖遺伝子及び調節配列に加えて、リコンビナント発現ベクターは、ホスト細胞でベクターの複製をレギュレーションする配列(例えば、複製開始点)及び選択可能マーカー遺伝子などのさらなる配列を保有し得る。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入されるホスト細胞の選択を容易にする(例えば、すべてAxel et alによる米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017号を参照のこと)。例えば、典型的には、選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入されるホスト細胞に、G418、ピューロマイシン、ブラストサイジン、ハイグロマイシン、又はメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する。適切な選択可能マーカー遺伝子は、(メトトレキサート選択/増幅と共にDHFR
−ホスト細胞で使用するための)ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、及び(G418選択のための)neo遺伝子を含む。軽鎖及び重鎖を発現させるために、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターを、標準技術によって、ホスト細胞にトランスフェクションする。様々な形態の「トランスフェクション」という用語は、外因性DNAを原核生物又は真核生物のホスト細胞に導入するために通常使用される幅広い種類の技術(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿法、DEAE−デキストラントランスフェクションなど)を包含すると意図される。
【0127】
本明細書において記載される抗体を原核生物又は真核生物のいずれかのホスト細胞で発現させることが可能である。ある実施態様では、適切にフォールディングされ、免疫学的に活性な抗体の最適な選択のために、抗体の発現は、真核細胞(例えば、哺乳類ホスト細胞)において実施する。本開示のリコンビナント抗体を発現させるための例示的な哺乳類ホスト細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(例えば、Kaufman & Sharp, 1982, Mol. Biol. 159:601-621に記載されているようにDHFR選択可能マーカーと共に使用される、Urlaub & Chasin, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載されているDHFR
−CHO細胞を含む)、NS0ミエローマ細胞、COS細胞、293細胞、及びSP2/0細胞を含む。抗体遺伝子をコードするリコンビナント発現ベクターを、哺乳類ホスト細胞に導入する場合、抗体は、ホスト細胞を、ホスト細胞で抗体を発現させるのに十分な期間、又はホスト細胞を成長させる培養培地中に抗体を分泌させるのに十分な時間培養することによって産生される。抗体は、標準のタンパク質精製方法を使用して、培養培地から回収し得る。ホスト細胞を使用して、インタクトな抗体の部分(例えば、F
abフラグメント又はscF
v分子)を製造することもできる。上記手順を変化させることは、本開示の範囲内であると理解される。例えば、本明細書において記載される抗PG抗体の軽鎖又は重鎖のいずれか(両方ではなく)をコードするDNAでホスト細胞をトランスフェクションすることが望ましいかもしれない。
【0128】
リコンビナントDNA技術を使用して、PGに結合するのに必要ではない軽鎖及び重鎖のいずれか又は両方をコードするDNAの一部又は全部を除去することもできる。このようなトランケーションDNA分子から発現される分子も、本明細書において記載される方法において有用である。
【0129】
抗PG抗体のリコンビナント発現のために、2つの発現ベクター(重鎖に由来するポリペプチドをコードする第1のベクター、及び軽鎖に由来するポリペプチドをコードする第2のベクター)でホスト細胞を同時トランスフェクションし得る。典型的には、2つのベクターはそれぞれ、別々の選択可能マーカーを含む。あるいは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方をコードする単一のベクターを使用し得る。
【0130】
化学合成によって(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed., 1984 The Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.に記載されている方法によって)、抗PG抗体を製造することもできる。無細胞プラットホーム(例えば、Chu et al., 2001, Biochemia No. 2 (Roche Molecular Biologicals)を参照のこと)を使用して、変異体抗体を作製することもできる。
【0131】
リコンビナント発現又は合成手段によって抗PG抗体を製造するとすぐに、免疫グロブリン分子の精製に関して当技術分野において公知の任意の方法によって(例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、特にタンパク質A又はタンパク質G選択後のPGに対するアフィニティーにより、及びサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、ディファレンシャルな溶解度によって、又はタンパク質の精製に関する任意の他の標準技術によって)、それを精製し得る。さらに、抗PG抗体又はその結合フラグメントを、本明細書において記載されるか、さもなければ当技術分野において公知の異種ポリペプチド配列に融合させて、精製を容易にし得る。
【0132】
8.実施例
以下の実施例は例示的なものであり、限定的なものであることを意図しない。
【0133】
実施例1:血漿中又は血清中PGレベルの定量化
以下のアッセイを使用して、血漿中及び/又は血清中PGレベルを便利に測定できる。96ウェルマイクロタイタープレートを、0.5〜10μg/mLのC末端抗hPG抗体(例えば、本明細書において記載されるウサギC末端抗hPGポリクローナル抗体、又はC末端抗hPG抗体)でコーティングし、次いで、一晩インキュベーションする。次いで、プレートをPBS−Tween(0.05%)中で3回洗浄し、PBS−Tween(0.05%)に溶解させた2%(w/v)スキムミルクでブロッキングする。別に、試験サンプル、コントロールサンプル(ブランク又はPGネガティブ血漿若しくは血清サンプル)、及び約5pM(0.5x10
−11M)〜約0.1nM(1x10
−10M)のhPG参照標準(PGネガティブ血漿又は血清中で希釈した凍結乾燥hPG)を、適切な希釈剤(例えば、PBS−Tween(0.05%))で調製する。コーティングしたプレート上で、サンプルを37℃で2〜4時間、あるいは21℃で12〜16時間インキュベーションする。インキュベーション後、プレートをPBS−Tween(0.05%)で3回洗浄し、0.001〜0.1μg/mLのN末端抗hPG抗体(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(Nakane et al., 1974, J. Histochem. Cytochem. 22(12):1084-1091を参照のこと)にカップリングした本明細書において記載されるポリクローナルN末端抗hPG抗体又はN末端モノクローナル抗hPG抗体)と共に、21℃で30分間インキュベーションする。次いで、プレートをPBS−Tween(0.05%)中で3回洗浄し、HRP基質を21℃で15分間添加する。100μLの0.5M硫酸を添加することによって反応を停止させ、405nmで光学密度測定を行う。hPG参照標準に由来する測定結果から作成した標準曲線との比較によって、試験サンプルのhPGレベルを決定する。
【0134】
実施例2:抗hPG抗体の特異性をアッセイするためのELISAアッセイ
以下のように、ELISAアッセイを使用して、抗hPG抗体の特異性を便利に決定できる。96ウェルプレートを、適切な濃度の試験ポリペプチド(例えば、25及び50ngのリコンビナントヒトPG、並びに50及び250ngのCTFP又はガストリンに由来する他の遺伝子産物)と共に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、4℃で一晩インキュベーションし、その後、ウェルを洗浄液(PBS及び0.1%Tween−20)で3回洗浄し、次いで、1ウェルあたり100μLのブロッキング溶液(PBS、0.1%Tween−20、0.1%ウシ血清アルブミン又はカゼイン加水分解物)と共に、22℃で2時間インキュベーションする。ブロッキング後、ウェルを3回洗浄し、アッセイするべき抗体(試験抗体)を添加する。PBS及び0.1%Tween−20に溶解させた100μLの試験抗体(0.3〜1ng/mL)を各ウェルに添加する。次いで、プレートを22℃で2時間インキュベーションし、その後、二次抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼにカップリングしたヤギ抗マウスIgG(Fc)抗体)を含むブロッキング溶液による洗浄工程(3X100μLの上記洗浄液)後に、試験抗体溶液を廃棄し、交換する。二次抗体と共に1時間インキュベーションした後、100μLの基質溶液(例えば、製造業者の指示に従って調製した、Sigma-Aldrich Co.から入手可能なFast OPD、又はO−フェニレンジアミン二塩酸塩)を各ウェルに添加し、暗所、22℃で20分間インキュベーションする。50μLの4N硫酸を添加することによって反応を停止させ、492nmの光学密度(O.D.)を測定することによって、触媒された基質の量を決定する。基質変換は、抗原に結合した一次(試験)抗体の量に比例する。二重測定で実験を行い、ODの測定結果を、抗原濃度の関数としてプロットする。測定したO.D.がhPGに関して0.2〜1.5であり、CTFP、又はガストリン遺伝子に由来する他のペプチドのいずれかを用いるバックグラウンド(バックグラウンドは、PBSのみを含むコントロールウェルからの平均シグナルである)を超える統計的に有意なシグナルがない場合、試験抗体を、PGに対して特異的であるとスコア化する。
【0135】
実施例3:抗hPG抗体の中和活性をアッセイするためのアッセイ
特定の抗hPG抗体が中和性であるか否かをアッセイするための具体的な試験を、以下のように実施できる。Huh7肝細胞ガン細胞を、無血清M11培地における超低接着24ウェルプレート(細胞500個/ウェル)に播種する。細胞を37℃で成長させ、約5μg/mLの抗体濃度の試験抗hPG抗体又はコントロールの非特異的モノクローナル抗体で、1日2回、7日間処置する。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、中央値及びパーセンタイル分布を計算する。1つの抗hPG抗体を試験する場合は対応のないt検定、又は複数の抗体を試験する場合はBonferroni事後検定を用いる一元ANOVAを使用して(差は、p<0.05の場合に有意であると考える)、低接着培養条件下でHuh7細胞によって形成されたスフェロイド数が、コントロール抗体で処置した細胞と比較して、少なくとも20%の統計的に有意な減少を示す場合、試験抗体を、アッセイにおいて中和性であると定義する。
【0136】
実施例4:抗hPG抗体の親和性をアッセイするためのアッセイ
Nahshol et al., 2008, Analytical Biochemistry 383:52-60(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に従って、Proteon Technique (BioRad)を使用して、抗hPG抗体の親和性定数を測定できる。つまり、マウス抗PG抗体の場合、最初に、抗マウスIgG抗体(50μg/ml)を、センサーチップ上にコーティングし、抗体の注射後にチップによって検出されたシグナルが、10,000〜11,500反応単位(RU)に収まることを確認する。次いで、関心対象のマウス抗hPG抗体(試験抗体)を注射(30μg/mlの典型的な濃度で)する。試験抗体が特異的に結合する場合、少なくとも500RUのさらなるシグナルが観察されるであろう。次いで、様々な濃度のhPG(例えば、200nM、100nM、50nM、25nM、及び12.5nM)を注射し、結合のレベルを検出することによって、試験抗体とhPGとの間の結合の経時変化を得る。典型的には、単一の実験において複数の抗体を並行して試験するのに、いくつかのチャンネルが利用可能であり、単一の試験抗体の結合を異なる濃度のhPGで並行してアッセイすることを可能にする。hPGに対して特異的ではないマウスモノクローナル抗体を、非特異的結合のコントロールとして1つのチャンネルに注射するべきであり、希釈バッファーを、バックグラウンドシグナルのベースラインとして別のチャンネルに単独で注射するべきである。一般的には、非特異的マウス抗体を注射したチャンネルにおいて結合は検出できない。この設定(これは、hPGによって捕捉されたモノクローナル抗体の飽和をもたらす可能性がある)で高レベルの結合を示す抗体を、より低いhPG濃度(50nM、25nM、12.5nM、6.25nM及び3.125nM)に対して試験して、より正確な測定をできる。
【0137】
解離定数(k
d)と結合定数(k
a)との間の比として、親和性定数(K
D)を計算する。結合測定結果に基づく実験曲線と、理論上のプロファイルとの間の統計的に関連する類似性を分析することによって、実験値が有効であることを確認できる。
【0138】
抗hPG試験抗体の起源の種に対して特異的なIgGを使用して、非マウス抗hPG抗体の親和性定数を、同様の形式で評価できる。
【0139】
実施例5:参照抗hPG抗体との競合的結合をアッセイするためのアッセイ
関心対象の抗体(試験抗体)が、hPGへの結合に関してビオチン化参照抗hPG抗体と競合するか否かを評価するための具体的なアッセイを、以下のように実施できる。1〜10μg/mlの範囲内で選択される濃度の捕捉抗hPG抗体(ビオチン化参照抗hPG抗体によって認識されるエピトープと異なるhPGのN又はC末端領域を認識するポリクローナル又はモノクローナル抗体)により、96ウェルプレートを4℃で一晩コーティングする(0.1〜1μg/ウェル)。ブロッキングバッファー(PBSに溶解させた0.1%Tween−20、0.1%BSA)により22℃で2時間ブロッキングした後、リコンビナントhPGを10pM〜1nM(10〜1000pg/ウェル)の濃度範囲で添加し、22℃で2時間インキュベーションする。その後、ビオチン化参照抗hPG抗体(又は、ビオチン化参照抗hPG抗体を含む混合物)を、漸増濃度の非ラベル化試験抗体と共に添加し、22℃で1時間インキュベーションする。洗浄して未結合の抗体を除去した後、この混合物を50ng/mlのストレプトアビジン−HRPと共に22℃で1時間インキュベーションすることによって、結合したラベル化参照抗hPG抗体の検出を実施し、続いて、西洋ワサビペルオキシダーゼ用の化学発光基質と共に22℃で5分間インキュベーションし、次いで、照度計で相対発光量(RLU)を定量化する。アッセイは二重測定で実施する。
【0140】
参照抗hPG抗体と競合する抗体は、hPGへの参照抗体の結合を阻害する。観察されたRLUの減少によって明らかなように、参照抗体と実質的に同じエピトープ、又は重複するエピトープに結合する抗体は、結合した参照抗hPG抗体の量を有意に減少(例えば、少なくとも50%)させる。
【0141】
試験抗体を用いずに、ラベル化参照抗体をリコンビナントhPGと共にインキュベーションすることによって行ったコントロール実験から、高いコントロール値を得る。過剰濃度の非ラベル化参照抗体(hPGへの結合に関して、ラベル化抗体と上記のように競合する非ラベル化参照抗体)の存在下で、ラベル化参照抗体をリコンビナントhPGと共にインキュベーションすることによって行ったコントロール実験から、低いコントロール値を得る。次いで、漸増濃度の非ラベル化試験抗体の存在下で、ラベル化参照抗体をリコンビナントhPGと共にインキュベーションすることによって、参照抗hPG抗体と競合する試験抗体の能力を決定する。
【0142】
試験アッセイにおいて、試験抗体の存在下で観察されたRLUの有意な減少は、試験抗体が参照抗hPG抗体と実質的に同じエピトープを認識することを示す。
【0143】
結合の阻害を、以下の式に従って計算される阻害定数又はK
iとして表すことができる:
K
i=IC
50/[1+(参照抗hPGAb濃度/K
D参照抗hPGAb)]
(式中、「IC
50」は、参照抗体の結合の50%減少をもたらす試験抗体の濃度であり、K
D参照抗hPGAbは、参照抗hPG抗体の解離定数(すなわち、hPGに対するその親和性の程度)である)。参照抗hPG抗体と競合する有用な試験抗体(例えば、本明細書において記載される抗hPG抗体の1つ)は、典型的には、本明細書において記載されるアッセイ条件下で、10pM〜100nMの範囲のK
iを有するであろう。
【0144】
実施例6:肝ガン腫瘍に由来する肝細胞ガンは、GAST遺伝子発現レベルの上昇を示す
本実施例は、肝細胞ガン(HCC)を有する患者に由来する肝腫瘍サンプルが、正常組織と比較して、高レベルのGAST遺伝子を発現するという観察結果を記載する。
【0145】
A.方法
原発性肝腫瘍及び正常コントロール組織を、14人の患者から外科的に切除した。腫瘍及び健常肝組織サンプルの両方からRNAを調製し、Agilent Bioanalyserを使用してmRNAの完全性をコントロールした。定量逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって、GAST mRNA発現を測定し、HPRT mRNA発現で標準化した。RT−PCRのために、FastRNA Pro Green Kit (MP BioMed)を使用して、製造業者のプロトコールに従って、HCCサンプルから全RNAを抽出した。ランダムプライマー(R&D Systems)の存在下で、Superscript II RT (Invitrogen)を使用して、RNAを逆転写した。Quantifast SYBR Green PCR kit (Qiagen)及びEppendorf Mastercycler ep realplex (Eppendorf)を使用して、リアルタイムRT−PCRを実施した。GAST及びHPRT遺伝子増幅用のプライマーを、Sigma Life Scienceから入手した。以下の条件を使用して、3つのウェルで各PCR増幅を実施した:95℃5分、続いて2つの温度サイクルを合計45サイクル(95℃10秒及び60℃30秒)。
【0146】
B.結果
図4に示されるように、肝ガンを有する患者14人中10人において、GAST mRNA発現は、正常肝組織と比較して、HCC腫瘍サンプルにおいて上昇していた。GAST mRNA発現が上昇していたサンプルでは、発現は、正常組織と比較して、2〜2800倍高い範囲に及んだ。
【0147】
実施例7:低接着培養条件下で成長させた肝ガン細胞株は、GAST遺伝子発現レベルの上昇を示す
本実施例は、低接着培養条件下で成長させた肝ガン細胞株が、結腸直腸ガン細胞株と比較して、高レベルのGAST遺伝子を発現するという観察結果を記載する。
【0148】
A.方法
2つの肝細胞ガン細胞株Huh7及びPLC/PRF/5、肝芽腫細胞株Huh6、並びに結腸直腸ガン細胞株SW480をそれぞれ、M11培地の超低接着フラスコに播種し、スフィア形成が達成されるまで成長させた。次いで、RNA抽出のために、スフィアをプロセシングした。QIAGEN Rneasy Mini-kitを使用して、製造業者のプロトコールに従って全RNAを抽出した点を除いて、実施例1に記載されるように、RT−PCRを実施した。次いで、肝ガン細胞株に由来するGAST mRNA発現レベルを、SW480細胞における発現(これは、ポジティブコントロールとして働いた)に対して標準化した。
【0149】
B.結果
図5A〜5Bに示されるように、試験したすべての肝細胞株(Huh6、Huh7及びPLC/PRF/5)は、低接着培養条件下で成長させた場合、結腸直腸腫瘍細胞株SW480と比較して、高レベルのGAST mRNAを発現していた。SW480細胞におけるガストリン遺伝子発現レベルと比較して、結果を表す。
【0150】
実施例8:肝ガン細胞株から単離し、低接着培養条件下で成長させたサイドポピュレーション細胞は、GAST遺伝子発現レベルの上昇を示す
本実施例は、2つの肝ガン細胞株Huh6及びHuh7に由来する色素排除「サイドポピュレーション」細胞が、低接着培養条件下で成長させたこのような細胞の一般集団(すなわち、サイドポピュレーション及び非サイドポピュレーション)と比較して、高レベルのGAST mRNAを発現するという観察結果を記載する。
【0151】
A.方法
FACSを使用して、Huh6及びHuh7肝ガン細胞株に由来する色素排除「サイドポピュレーション」細胞を、このような細胞の一般集団から単離した。具体的には、トリプシン及びEDTAによる処理によって、細胞を分離した。次いで、細胞を、1mlの染色培地(DMEM、2%ウシ胎仔血清、2mMEDTA)中、37℃で、10分間インキュベーションした。1μlの50mMベラパミル溶液(最終濃度50μM)を、ネイティブコントロールサンプルに添加した。次いで、コントロール及び試験サンプルを、37℃で10分間インキュベーションした。次いで、色素溶液を試験サンプル(2.5μlの2mg/mlHoechst33342;5μg/mlの最終色素濃度)に添加し、続いて、穏やかに混合した。次いで、すべてのサンプルを、一定に穏やかに混合しながら、37℃で50分間インキュベーションした。氷上で5〜10分間インキュベーションした後、次いで、サンプルを1000rpmで5分間遠心分離した。次いで、細胞ペレットを、M11培地において、25μg/mlヨウ化プロピジウム溶液の1:40希釈液1ml中に再懸濁した。5mlチューブ中で、篩に通してろ過することによって、凝集した細胞を除去した。次いで、450nm及び488nmのシグナル検出でFACSAria cytometerを使用してサイトメトリーを実施するまで、サンプルを氷上で保管した。次いで、実施例6及び7のように、RNAを精製し、GAST mRNA発現レベルを定量化し、次いで、低接着培養条件下でスフェロイドとして成長させたHuh6及びHuh7細胞、並びにSW480結腸直腸ガン細胞に由来するGAST遺伝子発現レベルに対して比較した。次いで、肝ガン細胞株に由来するGAST mRNA発現レベルを、SW480細胞における発現(これは、ポジティブコントロールとして働いた)に対して標準化した。
【0152】
B.結果
図6に示されるように、Huh6及びHuh7細胞の色素排除「サイドポピュレーション」は、低接着培養条件下でスフェロイドとして成長させたこのような細胞の一般集団と比較して、高レベルのGAST mRNAを発現していた(それぞれ
図6A及び6B)。Huh7細胞のサイドポピュレーションは、Huh6細胞のサイドポピュレーションと比較して、より多くのガストリンmRNAを発現していた。SW480細胞におけるGAST遺伝子発現レベルと比較して、結果を表す。
【0153】
実施例9:スフェロイド成長条件下で成長させたPLC/PRL/5肝細胞ガン細胞は、抗PG抗体で処置した場合、より少ないスフェロイドを形成する
本実施例は、低接着培養条件下におけるPLC/PRL/5肝ガン細胞のスフェロイド成長に対する、抗hPGモノクローナル抗体による処置の効果を示す。
【0154】
A.方法
PLC/PRL/5肝細胞ガン細胞を、無血清M11培地(20ng/mlEGF、10ng/mlFGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフロキサシン、5μg/mlゲンタマイシン及び3μg/mlグルコースを含むDMEM/F12)における超低接着24ウェルプレート(細胞220個/ウェル)に播種した。コントロール又は抗hPGMAb3モノクローナル抗体(1μg/ml)を毎日添加して、細胞を37℃で10日間成長させた。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、平均及び標準偏差を計算した。
【0155】
B.結果
図7に示されるように、抗hPGモノクローナル抗体によるPLC/PRL/5細胞の処置は、コントロールモノクローナル抗体と比較して、低接着培養条件下における成長中に形成したスフェロイド数を大幅に減少させた。
【0156】
実施例10:スフェロイド成長条件下で成長させたHuh6肝芽腫細胞株から精製したサイドポピュレーション細胞は、抗PG抗体で処置した場合、より少ないスフェロイドを形成する
本実施例は、低接着培養条件下におけるHuh6肝ガン細胞の色素排除サイドポピュレーションのスフェロイド成長に対する、抗hPGポリクローナル抗体による処置の効果を示す。
【0157】
A.方法
上記のように、Huh6細胞の色素排除サイドポピュレーション細胞を単離した。次いで、サイドポピュレーション細胞を、M11培地における超低接着96ウェルプレート(細胞200個/ウェル)に播種し、コントロール又は抗プロガストリンポリクローナル抗体(1μg/ml)、5nMドキソルビシン(特定の肝ガン治療において使用される化学療法剤)、又はDMSO(ドキソルビシンのビヒクル)の存在下、37℃で13日間成長させた(条件あたり15ウェル)。M11培地の組成は、以下の通りであった:DMEM/F12-Glutamax (カタログ#31331 Invitrogen);20ng/mlEGF(R&D systems);10ng/mlFGF(R&D systems);20μg/mlインスリン(Sigma);N2サプリメントの1/100希釈物(カタログ#P1510, Gibco);2μg/mlシプロフロキサシン、5μg/mlゲンタマイシン及び3μg/mlグルコース。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、平均及び標準偏差を計算した。
【0158】
B.結果
図8に示されるように、抗hPGポリクローナル抗体による、Huh6細胞株から精製したサイドポピュレーション細胞の処置は、コントロール抗体、ドキソルビシン及びDMSOコントロールと比較して、低接着培養条件下における成長中に形成したスフェロイド数を大幅に減少させた。
【0159】
実施例11:スフェロイド成長条件下で成長させたHuh7肝細胞細胞株から精製したサイドポピュレーション細胞は、抗hPG抗体で処置した場合、より少ないスフェロイドを形成する
本実施例は、低接着培養条件下におけるHuh7肝ガン細胞の色素排除サイドポピュレーションのスフェロイド成長に対する、抗hPGポリクローナル抗体による処置の効果を示す。
【0160】
A.方法
実施例8に記載されるように、Huh7細胞の色素排除サイドポピュレーション細胞を単離した。次いで、サイドポピュレーション細胞を、M11培地における超低接着96ウェルプレート(細胞200個/ウェル)に播種し、コントロール又は抗プロガストリンポリクローナル抗体(1μg/ml)、5nMドキソルビシン(特定の肝ガン治療において使用される化学療法剤)、又はDMSO(ドキソルビシンのビヒクル)の存在下、37℃で9日間成長させた(条件あたり15ウェル)。M11培地の組成は、以下の通りであった:DMEM/F12-Glutamax (カタログ#31331 Invitrogen);20ng/mlEGF(R&D systems);10ng/mlFGF(R&D systems);20μg/mlインスリン(Sigma);N2サプリメントの1/100希釈物(カタログ#P1510, Gibco);2μg/mlシプロフロキサシン、5μg/mlゲンタマイシン及び3μg/mlグルコース。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、平均及び標準偏差を計算した。
【0161】
B.結果
図9に示されるように、抗hPGポリクローナル抗体による、Huh7細胞株から精製したサイドポピュレーション細胞の処置は、コントロール抗体及びDMSOコントロールと比較して、低接着培養条件下における成長中に形成したスフェロイド数を大幅に減少させた。ドキソルビシンも、培養液中で形成したスフェロイド数を減少させることが分かった。
【0162】
実施例12:Huh6肝芽腫細胞は、抗hPGモノクローナル抗体で処置した場合、低接着成長条件下でより少ないスフェロイドを形成する
本実施例は、低接着成長条件下におけるHuh6のスフェロイド成長に対する、抗hPGモノクローナル抗体の効果を示す。
【0163】
A.方法
Huh−6肝芽腫細胞を、無血清M11培地(20ng/mlEGF、10ng/mlFGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフロキサシン、5μg/mlゲンタマイシン及び3μg/mlグルコースを含むDMEM/F12)における超低接着96ウェルプレート(細胞85個/ウェル)に播種した。細胞を、ビヒクル(PBS、コントロール)又は抗hPGMAb13若しくはMAb19モノクローナル抗体(3μg/ml)により37℃で毎日2回、7日間処置した。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフェロイド数をカウントし、中央値及びパーセンタイル分布を計算し、グラフ化した。
【0164】
B.結果
図10に示されるように、抗hPGモノクローナル抗体によるHuh6細胞の処置は、未処置コントロール細胞と比較して、低接着培養条件下における成長中に形成したスフェロイド数を大幅に減少させた。
【0165】
実施例13:抗hPGモノクローナル抗体で前処置したHuh6細胞は、低接着条件下で成長させた場合、より少ないスフェロイドを形成する
本実施例は、Huh6肝芽腫細胞が低接着培養条件下でスフェロイドとしてその後成長する能力に対する、抗hPGモノクローナル抗体による前処置の阻害効果を実証する。
【0166】
A.方法
最初に、Huh6肝芽腫細胞100,000個/ウェルを、10%FCS含有DMEMにおける6ウェルプレートに播種し、一晩血清飢餓させ、10μg/mL抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb8若しくはMAb13又はコントロールモノクローナル抗体(PCX63Ag8, ATCC, Ref TIB-9)の存在下、DMEM中で48時間成長させた。処置終了時に、各処置グループに関して、細胞500個/ウェルを、bFGF及びEGFを含む無血清M11培地500μlにおける超低接着24ウェルプレートのウェル8個にプレートし、処置せずにさらに5日間成長させた。この期間の終了時に、写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、スフィア表面を測定した。5日間の「ウォッシュアウト」期間(この期間に、すべてのオリジナル処置条件からのHuh−6細胞を同じM11培地中で成長させた)の終了時に、写真を撮影した。その後、すべてのウェルの正体を知らない操作者が、スフィアをカウントした。
【0167】
B.結果
図11に示されるように、プロガストリンに対するモノクローナル抗体による48時間前処置によって、Huh6肝芽腫細胞が低接着プレートでスフェロイドとして成長する能力は、有意に減少した。
【0168】
実施例14:スフェロイド成長条件下で成長させたHuh7肝細胞ガン細胞は、抗PGモノクローナル抗体で処置した場合、より少ないスフェロイドを形成する
本実施例は、低接着培養条件におけるHuh7細胞のスフェロイド形成に対する、抗hPGモノクローナル抗体の効果を示す。
【0169】
A.方法
第1の実験では、Huh7肝細胞ガン細胞を、無血清M11培地(20ng/mlEGF、10ng/mlFGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフロキサシン、5μg/mlゲンタマイシン及び3μg/mlグルコースを含むDMEM/F12)における超低接着24ウェルプレート(細胞500個/ウェル)に播種した。細胞を、ビヒクル(PBS、コントロール)又は3μg/ml抗hPGMAb13モノクローナル抗体(抗hPGMAb13)により37℃で毎日2回、7日間処置した。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、中央値及びパーセンタイル分布を計算した。
【0170】
第2の実験では、Huh7肝細胞ガン細胞を、無血清M11培地(20ng/mlEGF、10ng/mlFGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフロキサシン、5μg/mlゲンタマイシン及び3μg/mlグルコースを含むDMEM/F12)における超低接着24ウェルプレート(細胞500個/ウェル)に播種した。細胞を、コントロールモノクローナル抗体(コントロールMAb、(P3X63Ag8, ATCC, Ref TIB-9))、抗hPGMAb13、又は抗hPGMAb16モノクローナル抗体の中の1つ(6μg/ml)により37℃で毎日2回、7日間処置した。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、中央値及びパーセンタイル分布を計算した。
【0171】
B.結果
第1の実験では、
図12Aに示されるように、抗hPGモノクローナル抗体MAb13によるHuh7細胞の処置は、未処置コントロール細胞と比較して、低接着培養条件下における成長中に形成したスフェロイド数を大幅に減少させた。
【0172】
第2の実験では、
図12Bに示されるように、抗hPGモノクローナル抗体MAb13又は抗体MAb16によるHuh7細胞の処置は、コントロールモノクローナル抗体で処置した細胞と比較して、低接着培養条件下における成長中に形成したスフェロイド数を大幅に減少させた。
【0173】
実施例15:抗hPGモノクローナル抗体で前処置したHuh7肝細胞ガン細胞は、低接着条件下で成長させた場合、より少ないスフェロイドを形成する
本実施例は、Huh7肝細胞ガン細胞が低接着培養条件下でスフェロイドを形成する能力に対する、抗プロガストリンモノクローナル抗体による前処置の阻害効果を示す。
【0174】
A.方法
第1の実験では、最初に、Huh7肝細胞ガン細胞75,000個/ウェルを、10%FCS含有MEMαにおける6ウェルプレートに播種し、一晩血清飢餓させ、10μg/mL抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb8又はコントロールモノクローナル抗体(P3X63Ag8, ATCC, Ref TIB-9)の存在下、MEMα+0.5%パネキシンH中で60時間成長させた。処置終了時に、各処置グループに関して、細胞500個/ウェルを、bFGF及びEGFを含む無血清M11培地500μlにおける超低接着24ウェルプレートのウェル8個にプレートし、処置せずにさらに5日間成長させた。この期間の終了時に、写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、スフィア表面を測定した。5日間の「ウォッシュアウト」期間(この期間に、すべてのオリジナル処置条件からのHuh−7細胞を同じM11培地中で成長させた)の終了時に、写真を撮影した。その後、すべてのウェルの正体を知らない操作者が、スフェロイドをカウントした。
【0175】
第2の実験では、最初に、Huh7肝細胞ガン細胞75,000個/ウェルを、10%FCS含有MEMαにおける6ウェルプレートに播種し、一晩血清飢餓させ、10μg/mL抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb16又はコントロールモノクローナル抗体(P3X63Ag8, ATCC, Ref TIB-9)の存在下、MEMα+0.5%パネキシンH中で60時間成長させた。処置終了時に、各処置グループに関して、細胞500個/ウェルを、bFGF及びEGFを含む無血清M11培地500μlにおける超低接着24ウェルプレートのウェル8個にプレートし、処置せずにさらに5日間成長させた。この期間の終了時に、写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、スフィア表面を測定した。5日間の「ウォッシュアウト」期間(この期間に、すべてのオリジナル処置条件からのHuh−7細胞を同じM11培地中で成長させた)の終了時に、写真を撮影した。その後、すべてのウェルの正体を知らない操作者が、スフェロイドをカウントした。
【0176】
B.結果
結果を
図13A〜Bに示す。
図13Aに示されるように、抗hPGMAb8による48時間前処置によって、Huh7細胞が低接着プレートでスフェロイドとして成長する能力は、有意に減少した。
図13Bに示されるように、抗hPGMAb16による48時間前処置によって、Huh7細胞が低接着プレートでスフェロイドとして成長する能力は、有意に減少した。
【0177】
実施例16:Huh7肝細胞ガン「サイドポピュレーション」細胞は、抗PG抗体で処置した場合、低接着培養条件下でより少ないスフェロイドを形成する
本実施例は、低接着培養条件下におけるHuh7肝ガン細胞株に由来する色素排除「サイドポピュレーション」細胞のスフェロイド成長に対する、抗hPGモノクローナル抗体による処置の効果を示す。
【0178】
A.方法
実施例8に記載されるように、Huh7細胞の色素排除サイドポピュレーション細胞を単離した。次いで、サイドポピュレーション細胞を、M11培地における超低接着24ウェルプレート(細胞1000個/ウェル)に播種し、コントロール培地又は抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb8若しくはMAb13(6μg/ml)の存在下、37℃で7日間成長させた(条件あたり8ウェル)。M11培地の組成は、以下の通りであった:DMEM/F12-Glutamax (カタログ#31331 Invitrogen);20ng/mlEGF(R&D systems);10ng/mlFGF(R&D systems);20μg/mlインスリン(Sigma);N2サプリメントの1/100希釈物(カタログ#P1510, Gibco);2μg/mlシプロフロキサシン、5μg/mlゲンタマイシン及び3μg/mlグルコース。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、平均及び標準偏差を計算した。
【0179】
B.結果
図14に示されるように、抗hPGモノクローナル抗体による、Huh7細胞株から精製したサイドポピュレーション細胞の処置は、コントロール培地中で成長させた細胞と比較して、低接着培養条件下における成長中に形成したスフェロイド数を大幅に減少させた。
【0180】
実施例17:抗PG抗体で処置したPLC/PRL/5肝細胞ガン細胞は、低接着成長条件下でより少ないスフェロイドを形成する
本実施例は、低接着培養条件下におけるPLC/PRL/5細胞のスフェロイド形成に対する、抗hPGモノクローナル抗体の効果を示す。
【0181】
A.方法
一方の実験では、PLC/PRL/5肝細胞ガン細胞を、無血清M11培地(20ng/mlEGF、10ng/mlFGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフロキサシン、5μg/mlゲンタマイシン及び3μg/mlグルコースを含むDMEM/F12)における超低接着96ウェルプレート(細胞35個/ウェル)に播種した。細胞を、コントロールモノクローナル抗体(コントロールMAb、P3X63Ag8, ATCC, Ref TIB-9)又は抗hPGMAb19モノクローナル抗体のいずれか(3μg/ml)により37℃で毎日2回、8日間処置した。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、中央値及びパーセンタイル分布を計算した。
【0182】
別の実験では、PLC/PRL/5肝細胞ガン細胞を、無血清M11培地(20ng/mlEGF、10ng/mlFGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフロキサシン、5μg/mlゲンタマイシン及び3μg/mlグルコースを含むDMEM/F12)における超低接着24ウェルプレート(細胞200個/ウェル)に播種した。細胞を、コントロールMAb又は抗hPGMAb13モノクローナル抗体のいずれか(6μg/ml)により37℃で毎日2回、7日間処置した。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、中央値及びパーセンタイル分布を計算した。
【0183】
さらなる実験では、PLC/PRL/5肝細胞ガン細胞を、無血清M11培地(20ng/mlEGF、10ng/mlFGF、20μg/mlインスリン、N2サプリメント、2μg/mlシプロフロキサシン、5μg/mlゲンタマイシン及び3μg/mlグルコースを含むDMEM/F12)における超低接着24ウェルプレート(細胞200個/ウェル)に播種した。細胞を、コントロールMAb、抗hPGMAb8又は抗hPGMAb13モノクローナル抗体の中の1つ(6μg/ml)により37℃で毎日2回、7日間処置した。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、中央値及びパーセンタイル分布を計算した。
【0184】
B.結果
結果を
図15A〜Cに示す。
図15Aに示されるように、抗hPGMAb19による処置は、コントロールMAbで処置した細胞と比較して、低接着培養条件下における成長中にPLC/PRL/5細胞によって形成されたスフェロイド数を有意に減少させた。
図15Bに示されるように、抗hPGMAb13による処置は、コントロールMAbで処置した細胞と比較して、低接着培養条件下においてPLC/PRL/5細胞によって形成されたスフェロイド数を有意に減少させた。
図15Cに示されるように、抗hPGMAb8又はMAb13による処置は、コントロールMAbで処置した細胞と比較して、低接着培養条件下においてPLC/PRL/5細胞によって形成されたスフェロイド数を有意に減少させた。
【0185】
実施例18:抗hPGモノクローナル抗体で前処置したPLC/PRL/5細胞は、低接着条件下で成長させた場合、より少ないスフェロイドを形成する
本実施例は、肝細胞ガン細胞が低接着培養条件下でスフェロイドを形成する能力に対する、抗hPGモノクローナル抗体前処置の阻害効果を示す。
【0186】
A.方法
最初に、PLC/PRL/5肝細胞ガン細胞50,000個/ウェルを、10%FCS含有EMEMにおける6ウェルプレートに播種し、一晩血清飢餓させ、10μg/mL抗hPGMAb8、抗hPGMAb16又はコントロールモノクローナル抗体(コントロールMAb、P3X63Ag8, ATCC, Ref TIB-9)の存在下、EMEM+0.5%パネキシンH中で72時間成長させた。処置終了時に、各処置グループに関して、細胞200個/ウェルを、bFGF及びEGFを含む無血清M11培地500μlにおける超低接着24ウェルプレートのウェル8個にプレートし、処置せずにさらに5日間成長させた。この期間の終了時に、写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、スフィア表面を測定した。5日間の「ウォッシュアウト」期間(この期間に、すべてのオリジナル処置条件からのPLC/PRL/5細胞を同じM11培地中で成長させた)の終了時に、写真を撮影した。その後、すべてのウェルの正体を知らない操作者が、スフェロイドをカウントした。
【0187】
B.結果
図16に示されるように、プロガストリンに対する2つの異なるモノクローナル抗体による72時間前処置によって、PLC/PRL/5肝細胞ガン細胞が低接着プレートでスフェロイドを形成する能力は、コントロールMAbと比較して有意に減少した。
【0188】
実施例19:PLC/PRL/5肝細胞ガン「サイドポピュレーション」細胞は、抗PG抗体で処置した場合、低接着培養条件下でより少ないスフェロイドを形成する
本実施例は、PLC/PRL/5肝ガン細胞から単離した色素排除「サイドポピュレーション」細胞による低接着培養条件下におけるスフェロイド形成に対する、抗hPGモノクローナル抗体の効果を示す。
【0189】
A.方法
実施例8に記載されるように、PLC/PRL/5細胞の色素排除サイドポピュレーション細胞を単離した。次いで、サイドポピュレーション細胞を、M11培地における超低接着24ウェルプレート(細胞400個/ウェル)に播種し、コントロール培地又は抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb13(6μg/ml)若しくはMAb16(10μg/ml)の存在下、37℃で7日間成長させた(条件あたり6ウェル)。M11培地の組成は、以下の通りであった:DMEM/F12-Glutamax (カタログ#31331 Invitrogen);20ng/mlEGF(R&D systems);10ng/mlFGF(R&D systems);20μg/mlインスリン(Sigma);N2サプリメントの1/100希釈物(カタログ#P1510, Gibco);2μg/mlシプロフロキサシン、5μg/mlゲンタマイシン及び3μg/mlグルコース。実験終了時に、顕微鏡写真を撮影し、1ウェルあたりのスフィア数をカウントし、平均及び標準偏差を計算した。
【0190】
B.結果
図17に示されるように、抗hPGモノクローナル抗体による、PLC/PRL/5細胞株から単離した「サイドポピュレーション」細胞の処置は、単独培地中で成長させた細胞と比較して、低接着培養条件下で形成されたスフェロイド数を大幅に減少させた。
【0191】
本出願において引用されるすべての刊行物、特許、特許出願及び他の文献は、個々の各刊行物、特許、特許出願又は他の文献が、あらゆる目的で参照により組み込まれると個別に示されるのと同じ程度に、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0192】
様々な具体的な実施態様を例示及び記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができると理解される。