特許第5726314号(P5726314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5726314ショットキーダイオードを備えた半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5726314
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】ショットキーダイオードを備えた半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/47 20060101AFI20150507BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   H01L29/48 F
【請求項の数】18
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-535329(P2013-535329)
(86)(22)【出願日】2011年9月9日
(65)【公表番号】特表2013-541218(P2013-541218A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】EP2011065614
(87)【国際公開番号】WO2012055627
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2013年4月26日
(31)【優先権主張番号】102010043088.9
(32)【優先日】2010年10月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ニン クゥ
(72)【発明者】
【氏名】アルフレート ゲアラッハ
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−116072(JP,A)
【文献】 特開2010−192555(JP,A)
【文献】 特開2000−052479(JP,A)
【文献】 特開2004−327824(JP,A)
【文献】 特開2003−298072(JP,A)
【文献】 特開2009−088019(JP,A)
【文献】 特開2005−285913(JP,A)
【文献】 特開2003−142698(JP,A)
【文献】 特開2008−235590(JP,A)
【文献】 特表2007−529115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/47
H01L 29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパートレンチショットキーバリアダイオード(Super−Trench−Schottky−Barrier−Diode:STSBD)の半導体装置であって、
基板(10)と、nエピ層(20)と、メサ領域(40)と、チップの表面に設けられている金属層(50)と、チップの背面に設けられている金属層(60)とを備え、
前記nエピ層(20)内にエッチングされた複数のトレンチ(30)は幅(Wt)と、前記n基板(10)への間隔(D_epi)とを有しており、
前記メサ領域(40)は、隣接する前記複数のトレンチ(30)の間にあり、幅(Wm)を有しており、
前記チップの表面に設けられている金属層(50)は、ショットキーコンタクトであり、アノード電極として用いられており、
前記チップの背面に設けられている金属層(60)は、オーミックコンタクトであり、カソード電極として用いられており、
前記トレンチ壁部には複数のショットキーコンタクト(70)が設けられており、当該トレンチ壁部のショットキーコンタクト(70)は、幅(D_sk)と、当該トレンチ壁部のショットキーコンタクト間の間隔(D_gap)と、前記アノード電極として用いられている前記金属層(50)と当該金属層(50)に前記トレンチ(30)の側壁方向において隣り合う前記トレンチ壁部のショットキーコンタクト(70)との間の間隔(D_gap)とを有している、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記トレンチ壁部のショットキーコンタクト(70)の電位は、フローティングされている、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
ショットキーコンタクトであり、アノード電極として用いられる、チップの表面にある前記金属層(50)は、前記トレンチ壁部を深さ(D_anode)まで覆っている、請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
チップの表面にある前記金属層(50)は、前記トレンチ(30)を深さ(D_anode)まで埋めている、請求項1から3までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記n基板(10)に対し垂直方向において最も低い位置にある前記トレンチ壁部のショットキーコンタクトは前記トレンチ底面を覆い、前記n基板(10)に対して間隔(D_epi)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記STSBD構造体は、前記トレンチ壁部のショットキーコンタクト(70)の均一な幅(D_sk)と、前記トレンチ壁部のショットキーコンタクト(70)間の均一な間隔(D_gap)と、前記アノード電極として用いられている前記金属層(50)と当該金属層(50)に前記トレンチ(30)の側壁方向において隣り合う前記トレンチ壁部のショットキーコンタクト(70)との間の均一な間隔(D_gap)とを有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項7】
メサ領域における電界分布は、幅(D_sk)+間隔(D_gap)に従って、周期的に繰り返される、請求項1から6までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項8】
メサ領域における電圧分布は線形である、請求項1から7までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項9】
前記トレンチ壁部のショットキーコンタクト(70)は、それぞれ、前記トレンチ領域全体を覆い、前記トレンチ壁部のショットキーコンタクトの間には誘電層が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項10】
前記トレンチ壁部のショットキーコンタクト(70)は、それぞれ、前記トレンチ領域全体を覆い、前記トレンチ壁部のショットキーコンタクトの間には、シリコンまたはポリシリコンが設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項11】
前記エピ層(20)のドーピング濃度は、1×1016/cmである、請求項1から10までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項12】
前記装置は、200V超の領域の降伏電圧を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項13】
前記トレンチ(30)は、長方形の形状またはU字形の形状または類似の形状を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項14】
前記トレンチ(30)は、ストリップアレイでまたはアイランドとして配置されており、ここで前記アイランドは円形または六角形に構成されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項15】
前記トレンチ(30)は、エッチングによって前記nエピ層内に作成されている、請求項1から14までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項16】
デバイスとして構成されており、はんだ付け可能な表面金属化部および背面金属化部を有している、請求項1から15までのいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項17】
前記デバイスは圧入ダイオードとして構成されており、圧入ダイオードケーシング内に取り付けられている、請求項16記載の半導体装置。
【請求項18】
前記圧入ダイオードは自動車用発電器の整流器内に入れられている、請求項1から17までのいずれか1項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、高電圧用途に適しており、同時に低い順方向電圧と小さいスイッチング損失出力とを有しているショットキーダイオードに関する。
【0002】
高電圧用途に対しては、通常は、高電圧PNダイオードが使用される。高電圧PNダイオードの利点は、低い逆電流と高い頑強性である。欠点は、高い順方向電圧UFと、高いスイッチング損失出力である。
【0003】
高電圧PNダイオード内では、電圧は主に、弱くドーピングされた領域によって担われる。すなわち、空間電荷領域は主に、弱くドーピングされた領域内で膨張する。この弱くドーピングされた領域のドーピング濃度と厚さは、所定の降伏電圧によって決まる。高い降伏電圧は、弱くドーピングされたこの領域の低いドーピング濃度と、太い厚さを意味する。
【0004】
順方向での高い電流密度での動作時には、高電圧PNダイオード内では、高注入が占領する。すなわち、電子とホールが、弱くドーピングされた領域内に注入される。高注入時には、その濃度は、弱くドーピングされた領域のドーピング濃度よりも高い。これによって、弱くドーピングされた領域の導電性が修正される。すなわち、導電性が高まる。これは、順方向電圧を有利には低減させる。しかし、高電圧PNダイオードの電流は、室温では、約順方向電圧UF=0.7Vから流れ始める。通常の動作条件下、例えば電流密度>100A/cmでは、UFは、1Vを超える値まで上昇する。これによって、相応に高い、不所望のパワー損失が生じる。高電圧PNダイオードは厚い、弱くドーピングされた領域を必要とするので、電圧降下は順方向において、弱くドーピングされた領域を介して、導電性の変更にかかわらず、比較的大きい。
【0005】
電荷担体である、順方向において動作中に弱くドーピングされた領域に注入され、そこに蓄積される電子およびホールは、シャットダウンの際、例えば突然の電流整流時に初めて、高電圧PNダイオードが完全に、再びカットオフ電圧を担うことができる状態になる前に解体される。従って電流は突然の電流整流時にまずは、逆方向で流れ続ける。これは、蓄積された電荷が解体される、ないしは排除されるまで行われる。従ってこの電流はドレイン電流または逆回復電流とも称される。この経過、すなわちドレイン電流のレベルおよび持続時間はまずは、弱くドーピングされた領域内に蓄積されている電荷担体の量によって決まる。電荷担体が多く存在するほど、ドレイン電流は高くなる。高いドレイン電流は、高いシャットダウン損失出力も意味する。時間にわたってカットオフ電流を積分すること、蓄積電荷Qrr(逆回復電荷)が得られる。これは、シャットダウン損失出力を表す重要なパラメータであり、できるだけ小さくあるべきである。
【0006】
高電圧PNダイオードの設計時には、降伏電圧、順方向電圧およびシャットダウン損失出力の間で常に妥協をしなければならない。
【0007】
高電圧PNダイオードと比べて、高電圧ショットキーダイオードでのシャットダウン損失出力は格段に小さい。高電圧ショットキーダイオードは、いわゆる多数キャリヤーデバイスである。ここでは電流密度が高い場合であっても、動作時に、順方向において高注入は生じない。すなわち、動作中に順方向において電子およびホールは弱くドーピングされた領域内に注入されない。
【0008】
高電圧ショットキーダイオードでは、導電性変更を伴う高注入は生じないので、高い電流での動作時に、弱くドーピングされた領域で、高い電圧が降下する。これによってこれまで、高い遮断性のショットキーダイオードの使用は、非常に低い電流に制限されてきた。従って高い電流に対するシリコン技術における高電圧ショットキーダイオードは既知ではない。
【0009】
開示内容
低い順方向電圧を伴う、トレンチ技術における高電圧ショットキーダイオード(STSBD=uper−rench−chottky−arrier−iode)が提案される。これは高い電流密度で動作可能であり、小さいシャットダウン損失出力を有している。低い順方向電流へのこれまでの制限はこれによって廃棄される。
【0010】
発明の中心および利点
本発明のuper−rench−chottky−arrier−iode(STSBD)は、複数のフローティングショットキーコンタクトをトレンチ壁部に有しているトレンチ構造体である。これによってメサ領域内に、周期的に均一な電界分布およびほぼ線形の電圧分布が形成される。所定の降伏電圧に対するドーピング濃度は例えば、従来の高電圧PNダイオードまたは高電圧ショットキーダイオードよりも係数5乃至10まで高く選択可能である。これによって極めて有利な設計妥協が、降伏電圧と順方向電圧とシャットダウン損失出力との間で得られる。
【0011】
本発明の特別な利点
高電圧PNダイオードと比べて:高い電流密度のもとでの低いまたは比肩可能な順方向電圧、しかし格段に小さいシャットダウン損失出力
高電圧ショットキーダイオードと比べて:高い電流密度のもとでの格段に低い順方向電圧
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例としてのスーパートレンチショットキーバリアダイオード(uper−rench−chottky−arrier−iode:STSBD)の構造
図2】降伏時の本発明のSTSBDの電界分布(シミュレーション):トレンチ壁部に沿った切断。比較:高電圧PNダイオード、高電圧ショットキーダイオード
図3】降伏時の本発明のSTSBDの電圧分布(シミュレーション):トレンチ壁部に沿った切断
図4】本発明のSTSBDの順方向電圧VFと、高電圧PNダイオードおよび高電圧ショットキーダイオードとの比較、100A/cmまでの電流密度(シミュレーション)
図5】シャットダウン時の電圧および電流の時間経過特性、本発明のSTSBDと高電圧PNダイオードの比較(シミュレーション)
図6】本発明のスーパートレンチショットキーバリアダイオード(uper−rench−chottky−arrier−iode:STSBD)の別の実施形態の構造
図7】本発明のスーパートレンチショットキーバリアダイオード(uper−rench−chottky−arrier−iode:STSBD)の別の実施形態の構造
【実施例】
【0013】
可能な択一的な形態を伴う、本発明の構造および機能の詳細な説明
スーパートレンチショットキーバリアダイオード(uper−rench−chottky−arrier−iode:STSBD)の本発明に相応する実施例を図1に断面図で示す。STSBDは、n基板10と、nエピ層20と、メサ領域40と、ショットキーコンタクトとして作用する、チップの表面に設けられている金属層50(アノード電極)と、チップの背面に設けられている金属層60(カソード電極)とさらなるショットキーコンタクト70とから成る。ここでnエピ層20内にエッチングされた溝(トレンチ)30は幅Wtとn基板10への間隔D_epiを備えており、メサ領域40は幅Wmを備えて、隣接する溝の間にあり、さらなるショットキーコンタクト70は、幅ないしは間隔D_skおよびショットキーコンタクト間の間隔D_gapを備えて、トレンチ壁部に設けられている。金属層50は、トレンチ壁部を深さD_anodeまで覆い、第1のショットキーコンタクト70に対する間隔D_gapを有している。ショットキーコンタクト70は、トレンチ壁部でフローティングされている。最後のフローティングショットキーコンタクトはトレンチ底面を覆っている。
【0014】
本発明のSTSBDでは、電流は順方向において、アノード電極としてのショットキーコンタクト50から、メサ領域40、トレンチ底面とn基板10との間のエピ領域を通って、カソード電極としてのチップの背面60へと流れる。フローティングショットキーコンタクト70を介して、電流は先へと導かれるだけである。なぜならこれは低抵抗の電流経路だからである。
【0015】
背面コンタクトは、オーミックコンタクトである。全ての別の金属半導体コンタクトはショットキーコンタクトである。
【0016】
逆方向では、ショットキーコンタクト50の下方に位置するnエピ層20内に、空間電荷領域が形成される。この空間電荷領域は、電圧が上昇するとともに、トレンチ底面の方向において膨張する。空間電荷領域が、電圧V1のもとで、第1のフローティングショットキーコンタクトに達すると、この電圧V1は、第1のフローティングショットキーコンタクトによって担われる。空間電荷領域は、さらなる電圧上昇とともに、トレンチ底面の方向にさらに膨張する。第1のフローティングショットキーコンタクトでの電圧は変化しない。
【0017】
同様に空間電荷領域は、より高い電圧Vnのもとで、n番目のフローティングショットキーコンタクトに達する。この場合には、このn番目のフローティングショットキーコンタクトが電圧Vnを担う。同様に、電圧がさらに上昇する場合に、n番目のフローティングショットキーダイオードの電圧は変化しない。
【0018】
STSBD構造体内の幅D_skと間隔D_gapが、全てのショットキーコンタクト70に対して等しく選択される場合、メサ領域40内に周期的に均一な電界分布が存在する。この事実は、シミュレーション結果として図2に示されている。メサ領域内の電界分布は間隔D_sk+D_gapに従って常に繰り返される。これは最終的にトレンチ底面に達するまで続く。シミュレーション結果として図3に示されているメサ領域40内での電圧分布は、ほぼ線形である。その電界分布が、同様に図2において見て撮れる従来の高電圧PNダイオードまたは高電圧ショットキーダイオードと比較して、本発明STSBDでは、弱くドーピングされた領域の所定の厚さにおいて、格段に高い電圧が収容可能である。
【0019】
逆方向状態では、本発明のSTSBDは、電気的に、複数の低電圧ダイオードの直列接続として理解される。これに対して順方向動作時には、通常のダイオード直列接続とは異なり、順方向電圧のみが下降する。すなわちアノード金属50とnエピ層20とから成るショットキーダイオードの順方向電圧のみが下降する。従って、従来の高電圧PNダイオードまたは高電圧ショットキーダイオードと比べて、順方向電圧が比肩可能な場合、弱くドーピングされた領域20のドーピング濃度は、本発明のSTSBDでは、格段に高く選択することができる。これは例えば、係数5乃至10のぶんだけ高い。これによって、高抵抗のn領域20では、下降する電圧は格段に僅かである、ないしは、順方向電圧が比肩可能な場合、格段に高い順方向電流が流れる。
【0020】
従来の高電圧ショットキーダイオードに対しても、従来の高電圧PNダイオードに対しても、これは、この順方向電圧時の利点を生じさせる。図4では、シミュレーション結果に基づいてこのことが示されている。
【0021】
a)従来の高電圧ショットキーダイオードとの比較:
STSBDでは順方向電圧は、高い電流密度の領域において、格段に低い。なぜなら、弱くドーピングされている領域のダイオード濃度が格段に高いからである。
b)従来の高電圧PNダイオードとの比較:
バリヤ金属を適切に選択することによって、STSBDの順方向電圧(低い電圧密度のもとで測定された)を、PNダイオードの比較可能な順方向電圧よりも低く選択することができるので、順方向電圧は電流が高い場合にも低いままである。例えば約100A/cmの電流密度まで、順方向電圧は0.7を下回り、PN順方向電圧を下回る。
【0022】
従来の高電圧PNダイオードに対する本質的な利点は殊に、STSBDの迅速な、ローパワーのシャットダウン特性である。本発明のSTSBDはショットキーダイオードであり、その結果、多数キャリヤーデバイスであるので、シャットダウン損失出力は、高電圧PNダイオードのそれよりも格段に小さい。発明のSTSBDと高電圧PNダイオードとの比較の例は図5に示されている。
【0023】
設計考慮時に以下の構造パラメータが最適である:
D_anode(トレンチ壁部を覆う、アノード電極としてのショットキーコンタクト50の幅);リーク電流と順方向電圧との間のトレードオフ;
D_sk(トレンチ壁部でのフローティングショットキーコンタクト70の幅):メサにおける個々の周期的な領域の分断に影響を与える;
D_gap(トレンチ壁部でのフローティングショットキーコンタクト70間の間隔):メサ領域における電圧分布の線形性に影響を与える;
Wt(トレンチ領域30の幅)、順方向電圧に影響を与える;
Wm(メサ領域40の幅)、リーク電流と順方向電圧との間のトレードオフ
D_epi(トレンチ底面とn基板10との間の間隔)降伏時の全降伏電圧と最後のショットキーコンタクトの電圧のトレードオフ
【0024】
図2図5は、以下の構造パラメータおよびドーピング濃度を有している、12個のフローティングショットキーコンタクトを伴う200V−STSBDのシミュレーション結果を示している
ドーピング濃度:
nエピ層のドーピング濃度=1E16/cm
基板のドーピング濃度=1E19/cm
D_anode=4μm
D_sk=0.4μm
D_gap=1.0μm
Wt=Wm=0.8μm
D_epi=5μm
【0025】
図6には、本発明による装置の別の実施形態が示されている。図1に示された第1の装置とは異なり、フローティングショットキーコンタクト70はトレンチ領域30全体を覆う。ショットキーコンタクト70の間には、それぞれ誘電層80が存在する。従って個々のフローティングショットキーコンタクト70は電気的に相互に、ないしは、アノードコンタクト50から絶縁されている。誘電層としては有利には、酸化物層が使用される。
【0026】
第3の実施例が図7に示されている。図6に示された先行例の構造と類似している。図6の実施例とは異なり、誘電層80はnドーピングされたポリシリコンまたはシリコン90によって置換されている。有利には層90のドーピングは、nエピ層20のドーピングに相応する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7