(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5726382
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】通信ネットワークの動作方法及びネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/42 20060101AFI20150507BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20150507BHJP
G06F 11/18 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
H04L12/42 Z
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
G06F11/18 310C
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-531160(P2014-531160)
(86)(22)【出願日】2012年9月3日
(65)【公表番号】特表2014-533449(P2014-533449A)
(43)【公表日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】EP2012067110
(87)【国際公開番号】WO2013041351
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2014年3月19日
(31)【優先権主張番号】102011082969.5
(32)【優先日】2011年9月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル アームブルスター
(72)【発明者】
【氏名】ルートガー フィーゲ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス リードル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュミート
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ツィアクラー
【審査官】
安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/098616(WO,A1)
【文献】
国際公開第2004/029737(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/42
G06F 11/18
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワーク(6)に接続されているネットワーク装置(1)のための通信ネットワーク(101)の動作方法であって、
各ネットワーク装置(1)は切替装置(4)と、該切替装置(4)に接続されている第1の制御装置(2)及び第2の制御装置(3)とを含み、
前記切替装置(4)は、前記第1の制御装置(2)及び前記第2の制御装置(3)に対して、前記通信ネットワーク(6)を介してデータを受信及び送信するための受信ポート(10,14)及び送信ポート(9,13)をそれぞれ一つずつ有している、動作方法において、
前記第1の制御装置(2)によって第1のデータ(D1)を形成し、且つ、前記第2の制御装置(3)によって第2のデータ(D2)を形成するステップであって、但し、前記第1のデータ(D1)及び前記第2のデータ(D2)を所定のコーディングによって相互に関連付けるステップと、
前記第1の制御装置(2)から前記切替装置(4)を介して前記第2の制御装置(3)に前記第1のデータ(D1)を送信し、且つ、前記第2の制御装置(3)から前記切替装置(4)を介して前記第1の制御装置(2)に前記第2のデータ(D2)を送信するステップと、
前記第1のデータ(D1)及び前記第2のデータ(D2)を、第1の通信パス(CB1,CB2,CB3)を介して、前記第1の制御装置(2)のための前記切替装置(4)の前記送信ポート(9)から、前記第2の制御装置(3)のための前記切替装置(4)の前記受信ポート(14)へと送信するステップと、
前記第1のデータ(D1)及び前記第2のデータ(D2)を、第2の通信パス(CR1,CR2,CR3)を介して、前記第2の制御装置(3)のための前記切替装置(4)の前記送信ポート(13)から、前記第1の制御装置(3)のための前記切替装置(4)の前記受信ポート(10)へと送信するステップとを備えており、
前記第1の通信パス(CB1,CB2,CB3)のデータと、前記第2の通信パス(CR1,CR2,CR3)のデータとは同一のネットワーク装置(200,300)を反対方向に通過することを特徴とする、動作方法。
【請求項2】
更に、
前記第1のデータ(D1)及び前記第2のデータ(D2)を、前記第1の制御装置(2)のための前記切替装置(4)の前記送信ポート(9)を介して、前記第2の制御装置(3)のための前記切替装置(4)の前記受信ポート(14)へと、第1の制御装置(202)及び第2の制御装置(203)を備えている別のネットワーク装置(200)の少なくとも一つの別の切替装置(204)を介して送信するステップと、
前記第1のデータ(D1)及び前記第2のデータ(D2)を、前記第2の制御装置(3)のための前記切替装置(4)の前記送信ポート(13)を介して、前記第1の制御装置(2)のための前記切替装置(4)の前記受信ポート(10)へと、第1の制御装置(202)及び第2の制御装置(203)を備えている別のネットワーク装置(200)の少なくとも一つの別の切替装置(204)を介して送信するステップとを備えており、
別の切替装置(204)内では、前記別の切替装置(204)の前記第2の制御装置(203)のための受信ポート(214)において受信したデータを、前記別の切替装置(204)の前記第1の制御装置(202)のための送信ポート(209)に転送し、且つ、前記別の切替装置(204)の前記第1の制御装置(202)のための受信ポート(210)において受信したデータを、前記別の切替装置(204)の前記第2の制御装置(203)のための送信ポート(213)に転送する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に、
前記第1の制御装置(2)及び/又は前記第2の制御装置(3)において、前記第1のデータ(D1)と前記第2のデータ(D2)とを比較し、比較結果を形成するステップと、
前記比較結果に依存して前記ネットワーク装置(1)をパッシブ状態にするステップとを備えている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
更に、
前記第1の通信パス(CB1,CB2,CB3)及び前記第2の通信パス(CR1,CR2,CR3)を介して、前記第1のデータ(D1)及び前記第2のデータ(D2)を再び送信するステップを備えている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
更に、
別のネットワーク装置(200)における、異なる制御装置(202,203)のための受信ポート(210,214)において、前記第1のデータ(D1)及び前記第2のデータ(D2)を受信するステップと、
受信したデータを比較するステップとを備えている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
更に、
比較した第1のデータ(D1)及び第2のデータ(D2)が前記所定のコーディングによって相互に関連付けられていない場合には、エラー通知を表示するステップを備えている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法(1)。
【請求項7】
前記通信ネットワーク(6)はイーサネットネットワークである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法(1)。
【請求項8】
一つ又は複数のプログラム制御式の装置(1,100,200,300)において、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法を実行させることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項9】
一つ又は複数のプログラム制御式の装置(1,100,200,300)において、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を有しているコンピュータプログラムが記憶されていることを特徴とする、記憶媒体。
【請求項10】
通信ネットワーク(6)に接続されている複数のネットワーク装置(1,201,301)を含むネットワークシステム(101)において、各ネットワーク装置(1)は切替装置(4)と、該切替装置(4)に接続されている第1の制御装置(2)及び第2の制御装置(3)とを有し、前記切替装置(4)は、前記第1の制御装置(2)及び前記第2の制御装置(3)に対して、前記通信ネットワーク(6)を介してデータを受信及び送信するための受信ポート(10,14)及び送信ポート(9,13)をそれぞれ一つずつ有し、前記ネットワーク装置(1,100,200,300)は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法を実施するために構成されていることを特徴とする、ネットワークシステム(101)。
【請求項11】
前記ネットワークシステム(101)は車両の一部である、請求項10に記載のネットワークシステム(101)。
【請求項12】
ネットワーク装置(100)は車両を駆動させるためのセンサ装置又はアクチュエータ装置である、請求項10又は11に記載のネットワークシステム(101)。
【請求項13】
少なくとも一つのネットワーク装置(100)は第1の切替装置(4)及び第2の切替装置(5)を含み、前記第1の切替装置(4)は前記第1の制御装置(2)に対応付けられており、且つ、前記第2の切替装置(5)は前記第2の制御装置(3)に対応付けられており、前記第1の切替装置(4)及び前記第2の切替装置(5)はそれぞれ少なくとも二つのポート(7−18)を含み、
前記第1の切替装置(4)及び前記第2の切替装置(5)は通信を行うように相互に接続されている、請求項10乃至12のいずれか一項に記載のネットワークシステム(101)。
【請求項14】
少なくとも二つのリング状の部分ネットワークシステムが設けられており、
前記部分ネットワークシステムは、少なくとも二つの異なる個所において、切替装置によって相互に接続されている、請求項10乃至13のいずれか一項に記載のネットワークシステム(150)。
【請求項15】
制御装置及び切替装置をそれぞれ一つずつ有している簡易ネットワーク装置(400)が前記ネットワークシステム内に設けられている、請求項10乃至14のいずれか一項に記載のネットワークシステム(150)。
【請求項16】
簡易ネットワーク装置(400)が分岐線を介して、切替装置(404)によって前記リング状の部分ネットワーク装置に接続されている、請求項14又は15に記載のネットワークシステム(150)。
【請求項17】
前記ネットワーク装置はそれぞれ、別個のFPGA、ASIC、ICチップ又は固定配線の超小型回路として実施されている、請求項10乃至16のいずれか一項に記載のネットワークシステム(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークの動作方法と、当該方法によって動作するネットワークシステムに関する。動作方法を特にイーサネット環境において使用することができる。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークは、複雑な技術システムの測定、制御及び調整のために益々広範に使用されている。例えば、車両制御システムを構成するために自動車においてネットワークが益々使用されている。安全性が重要な相応に複雑な技術システムにおいては、ネットワーク装置として設けられている制御エレメントのアベイラビリティに対して高い要求が課される。例えばセンサ又は制御装置のような個々のコンポーネントが故障した際に、それによってシステム全体が故障することは許されない。ドライブ・バイ・ワイヤシステムでは安全性が極めて重要である。このドライブ・バイ・ワイヤシステムではネットワークを介して、センサ装置、制御装置及びアクチュエータ装置を接続することによって、ハンドル位置が電気モータにより車輪位置に変換される。
【0003】
以前は、非常にクリティカルなコンポーネントが冗長的に設計されており、それによって、エラー発生時には各バックアップ又は冗長的なコンポーネントが各タスクを担っていた。冗長的なコンポーネントが複数設けられている場合には、二つ以上の制御装置の内の一つだけが制御の主権を有していることが保証されなければならない。更には、同一の制御機能に対して矛盾する制御命令が発生してはならない。従って、全ての制御コンポーネントがネットワーク内で同一の情報又はデータを有していることが望ましい。
【0004】
その限りにおいて、例えば使用されるネットワークを介するデータ伝送時に壊れた可能性がある一貫性のないデータの形態のエラーが識別されなければならない。広く普及している標準ネットワーク環境はイーサネットプロトコルを基礎としている。イーサネットインフラストラクチャの使用は、標準化されたネットワーク装置及び方法を使用することができるので有利である。しかしながら以前は、内部的な冗長性を備えている、つまり二重に設計されている機能を備えている制御コンポーネントを相互に結合させるためにプロプラエタリデータバスも使用されていた。
【0005】
例えば、DE 102 43 713 A1には冗長的な制御機器システムが開示されている。この制御機器システムではデータバスを介してネットワーク化された複数の制御機器が設けられており、それらの制御機器は冗長的な制御機能を備えている。冗長的な制御機器は遮断スイッチを介してデータバスに接続されており、それにより所定の評価状態に応じて各制御装置が接続又は分離される。DE 102 43 713 A1においては冗長的なデータバスシステムが設けられており、また各ネットワーク装置における冗長的な制御コンポーネントがオリジナルデータ及びバックアップデータを例えばビット反転によって形成し、それらのデータが別個のバスシステムを介して送信される。類似のアプローチはWO2006/002695 A1に開示されている。その限りにおいて、従来技術によれば、ある加入者から供給された情報が全ての加入者によって受信される、二重に実施されている通信システムが使用されている。その場合の欠点は、二重に実施されているデータバス、例えばFlex-Ray 又はCANが使用されることである。公知の通信ネットワークプロトコル又は標準通信ネットワークプロトコルが使用され、データ通信時のエラーを迅速且つ確実に識別できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の課題は、改善された方法及び/又はネットワークシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、ネットワーク装置に接続されている通信ネットワークの動作方法が提案される。各ネットワーク装置は切替装置と、この切替装置に接続されている第1及び第2の制御装置とを含む。切替装置は、第1及び第2の制御装置に対して、通信ネットワークを介してデータを受信及び送信するための受信ポート及び送信ポートをそれぞれ一つずつ有している。
【0008】
本方法は以下のステップを備えている:
第1の制御装置によって第1のデータを形成し、且つ、前記第2の制御装置によって第2のデータを形成するステップ。但し、第1のデータ及び第2のデータは所定のコーディングによって相互に関連付けられている;
第1の制御装置から切替装置を介して第2の制御装置に第1のデータを送信し、且つ、第2の制御装置から切替装置を介して第1の制御装置に第2のデータを送信するステップ;
第1のデータ及び第2のデータを、第1の通信パスを介して、第1の制御装置のための切替装置の送信ポートから、第2の制御装置のための切替装置の受信ポートへと送信するステップ;
第1のデータ及び第2のデータを、第2の通信パスを介して、第2の制御装置のための切替装置の送信ポートから、第1の制御装置のための切替装置の受信ポートへと送信するステップ。
【0009】
第1の通信パスのデータと、第2の通信パスのデータとは同一のネットワーク装置を反対方向に通過する。
【0010】
通信ネットワーク自体はイーサネットインフラストラクチャを含むことができる。切替装置をブリッジ装置又はルータ装置と称することもできる。ネットワーク装置は、ネットワークノード、ネットワークコンポーネント又はネットワークエレメントとも称する。
【0011】
ネットワーク装置に設けられている制御装置として、例えばCPU、マイクロプロセッサ又は他のプログラミング可能な回路が該当する。更に、制御装置とはセンサ装置又はアクチュエータ装置であると解することができる。
【0012】
通信ネットワーク又はネットワークプロトコルは有利には、一方の加入者又はネットワーク装置から他方の加入者又はネットワーク装置へのポイント・ツー・ポイントコネクションを予定している。この場合、双方向通信又は二重通信を実現することができる。
【0013】
所定のコーディングを介して相互に関連付けられている第1のデータ及び第2のデータを例えばビット反転によって形成することができる。所定のコーディングは、二つのデータ相互の一貫性検査を実現する。例えば、ネットワークを介するデータ伝送によってデータ(データパケット)の内の一方が壊れた場合、このことを、各コーディングを考慮して、他方のデータ(データパケット)との比較によって識別することができる。
【0014】
特に、イーサネットを基礎とする通信ネットワークにおいては、双方向通信(いわゆる多重通信)が実現される。その限りにおいて、第1の通信パスは第1の制御機器の切替装置の送信ポートから、第2の制御機器の切替装置の受信ポートへと延びており、また、第2の通信パスは第2の制御機器の切替装置の送信ポートから、第1の制御機器の切替装置の受信ポートへと延びている。第1の通信パスは例えば、別の切替装置又は別のネットワーク装置を介して通信ネットワークにわたりリング状に延びている。第2の通信パスは、反対方向においてネットワーク装置を通過する。その限りにおいて、冗長的な送信及び関与する全てのネットワーク装置の機能の検査が実現される。有利には、第1のデータ及び第2のデータが第1の制御装置から第2の制御装置へと、又はその逆に第2の制御装置から第1の制御装置へと、専らネットワーク装置内の切替装置を介して案内される。
【0015】
特にイーサネットを基礎とする通信ネットワークの動作方ではリング構造が得られ、それにより得られるイーサネットリングの通信装置が使用される。制御ユニットと接続されている、ネットワーク装置の切替装置の内の一つにエラーが生じた場合には、そのエラーは両方向の内の一方向にのみ関与していると考えられ、それによって、従前通り、一貫性のある一つ又は複数のデータが伝送される。種々の通信パスにおいて送信される、特にコーディングを介して相互に関連付けられているデータを比較することによって、フレキシブルで信頼性の高いエラー分析を実施することができる。エラーを生じさせた制御コンポーネント又は装置を簡単に発見することができる。そのような制御コンポーネント又は装置は有利にはパッシブ状態にされるか、又は遮断される。
【0016】
本方法の実施の形態において、本方法は更に以下のステップを備えている:
第1のデータ及び第2のデータを、第1の制御装置のための切替装置の送信ポートを介して、第2の制御装置のための切替装置の受信ポートへと、第1の制御装置及び第2の制御装置を備えている別のネットワーク装置の少なくとも一つの別の切替装置を介して送信するステップ;
第1のデータ及び第2のデータを、第2の制御装置のための切替装置の送信ポートを介して、第1の制御装置のための切替装置の受信ポートへと、第1の制御装置及び第2の制御装置を備えている別のネットワーク装置の少なくとも一つの別の切替装置を介して送信するステップ。
【0017】
この際、各別の切替装置内では、別の切替装置の第2の制御装置のための受信ポートにおいて受信されたデータが、別の切替装置の第1の制御装置のための送信ポートに転送される。別の切替装置の第1の制御装置のための受信ポートにおいて受信されたデータは、別の切替装置の第2の制御装置のための送信ポートに転送される。
【0018】
従って、コーディングされていないデータ又はコーディングされたデータが、第1の制御装置に由来する第1のチャネルから、第2の制御装置に対応付けられているチャネルへと送信される。このことは逆方向においても行われ、これによって、送信側の制御コンポーネントは、第2の(冗長的な)制御装置に対応付けられている他方の各チャネルが同一のデータ結果を有しているか否かを確認することができる。その限りにおいて、対応付けられているイーサネットスイッチ又は切替装置は確実に機能しているか否かを確認することができる。制御装置に対応付けられている切替装置にエラーがあることが識別されると、有利には送信側の制御装置がパッシブ状態にされる。
【0019】
本方法は更に以下のステップを備えている:
第1の制御装置及び/又は第2の制御装置において、第1のデータと第2のデータとを比較し、比較結果を形成するステップ;
比較結果に依存してネットワーク装置をパッシブ状態にするステップ。
【0020】
第1のデータ及び第2のデータに相互に一貫性がないことが識別されると、即ち、所定のコーディングによって相互に関連付けられていないことが識別されると、エラーをデータ伝送時又はデータ形成時に識別することができる。
【0021】
本方法は更に以下のステップを備えている:
第1の通信パス及び第2の通信パスを介して、第1のデータ及び第2のデータを再び送信するステップ。
【0022】
例えば、データが一つの通信サイクルにおいて送信側の制御装置によって再び識別されない、又は受信されない場合には、適切に受信したデータを何度も送信し、そのデータを検査することによって、通信パス内に存在するエラーを有するネットワークコンポーネントを推定することができる。
【0023】
更に本方法においては、別のネットワーク装置において第1のデータ及び第2のデータを、異なる制御装置のための受信ポートにおいて受信することができ、また受信したデータを相互に比較することができる。
【0024】
有利には、ネットワークシステムの動作方法は、更に、比較した第1のデータ及び第2のデータが所定のコーディングによって相互に関連付けられていない場合には、エラー通知を表示するステップを備えている。
【0025】
最後に、複数のネットワーク装置を備えているネットワークシステムが提案される。ネットワーク装置は通信ネットワーク、特にイーサネットインフラストラクチャに接続されており、各ネットワーク装置は切替装置、第1の制御装置及び第2の制御装置を含む。切替装置は制御装置に接続されており、また切替装置は、通信ネットワークを介してデータを送受信するために、第1の制御装置及び第2の制御装置のための受信ポート及び送信ポートをそれぞれ一つずつ含む。ネットワーク装置は、上述のような方法を実施するために構成されている。
【0026】
ネットワークシステムは特に車両の一部である。
【0027】
ネットワーク装置としてセンサ装置又はアクチュエータ装置が考えられる。センサ装置として回転数センサ、ブレーキセンサ又は切換制御装置が考えられる。例えばドライブ・バイ・ワイヤを実現する制御装置も使用することができる。例えばハンドル衝撃又は加速衝撃が電子的にネットワークを介して相応のアクチュエータに伝送され、それにより車両の所望の応答が使用される。
【0028】
総じて、通信チャネルに障害が発生した場合であっても確実に機能する、非常に信頼性の高いネットワークシステムが得られる。冗長的なリング状の通信パス装置は、一貫性のある制御機器通信及びコスト的に有利なエラー分析及びエラー修正を実現する。
【0029】
ネットワークシステムの実施の形態においては、少なくとも一つのネットワーク装置に第1の切替装置及び第2の切替装置が設けられている。第1の切替装置は第1の制御装置に対応付けられており、第2の切替装置は第2の制御装置に対応付けられている。切替装置はそれぞれ少なくとも二つのポートを含み、また切替装置は通信を行うように相互に接続されている。この接続をネットワーク装置内部で行なうことができるが、しかしながら切替装置の送信ポート及び受信ポートを用いて行うこともできる。
【0030】
ネットワークシステムの別の実施の形態においては、更に、制御装置及び切替装置をそれぞれ一つずつ有している簡易ネットワーク装置をネットワークシステム内に設けることができる。簡易ネットワーク装置は冗長的な制御装置は有しておらず、また安全性が余り重要ではない機能のために設けることができる。
【0031】
各ネットワーク装置は有利には別個のFPGA、ASIC、ICチップ又は固定配線の超小型回路として実施されている。
【0032】
更に、一つ又は複数のプログラム制御式の装置において、上述のネットワークシステムの動作方法を実行させるコンピュータプログラム製品が提案される。
【0033】
コンピュータプログラム媒体のようなコンピュータプログラム製品を、例えば、メモリカード、USBスティック、CD−ROM、DVDのような記憶媒体として提供又は供給することができるか、又はサーバからネットワークにダウンロード可能なファイルの形態で提供又は供給することができる。このことは、例えば無線通信ネットワークにおいて、コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラム媒体を有する相応のファイルの伝送によって行なうことができる。プログラム制御式の装置として、特に上記のようなネットワーク装置が該当する。
【0034】
本発明の考えられる別の実施の形態は、種々の実施例に関して上記において説明した、又は下記において説明する方法ステップ、特徴の明示的には挙げていない組み合わせ、若しくは、方法、ネットワークシステム、ネットワーク装置又はネットワークノードの組み合わせも含む。その場合、当業者は個々の態様も、本発明の各基本形態についての改善形態又は補完形態として追加又は変更することができる。
【0035】
本発明の上述の特性、特徴及び利点、並びにどのようにしてそれらが達成されるかは、図面と関連させて詳細に説明する実施例についての下記の説明との関係においてより明瞭且つ明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】ネットワークシステムの第1の実施の形態の概略図を示す。
【
図2】ネットワークシステムの第2の実施の形態の概略図を示す。
【
図3】ネットワークシステムの第3の実施の形態の概略図を示す。
【
図4】エラー分析に関する方法の態様を説明するための、ネットワークシステムの第2の実施の形態及び通信プロセスの概略図を示す。
【
図5】エラー分析に関する方法の態様を説明するための、ネットワークシステムの第2の実施の形態及び通信プロセスの概略図を示す。
【
図6】エラー分析に関する方法の態様を説明するための、ネットワークシステムの第2の実施の形態及び通信プロセスの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図中、別個の記載が無い限りは、同一の構成要素又は機能的に等しい構成要素には同一の参照番号を付している。
【0038】
図1には、ネットワークシステムの第1の実施の形態の概略図が示されている。図面は更に、ネットワークシステムの動作方法を説明するために使用される。
【0039】
図1には、例えばイーサネットネットワークとして車両において使用することができるネットワークシステム101が示されている。ここでは例示的に三つのネットワーク装置1,201,301が示されている。ネットワーク装置として例えば制御コンポーネントが考えられる。以下ではネットワークノード又は制御コンポーネントとも称するネットワーク装置1,201,301はそれぞれ冗長的な制御装置2,3,202,203,302,303を有している。ネットワーク装置1,201,301をネットワークの加入者と称することもできる。
【0040】
制御装置2,3,202,203,302,303は所定のタスク又は機能を実行するように適合されている。制御装置は例えばセンサ検出部又はアクチュエータであると考えられる。それらをCPU又はマイクロプロセッサとして実施することもできる。例えば、制御コンポーネント1は車両内のペダル状態又はハンドル移動を検出するために構成されていると考えられる。ネットワーク装置1,201,301はそれぞれ内部切替装置4,204,304を有している。各制御装置2,3,202,203,302,303は、イーサネットスイッチ4,204,304として構成されている各切替装置の送信ポート8,12,208,212,308,312に接続されている。
【0041】
その限りにおいて、CPU又はプロセッサとも称される各冗長的な制御装置2,3,202,203,302,303は、データをネットワーク6から各切替装置4,204,304を介して受信及び評価することができる。ネットワークインフラストラクチャ又は本来の通信ネットワーク6に接続するために、切替装置4,204,304には送信ポート9,13,209,213,309,313及び受信ポート10,14,210,214,310,314が設けられている。
【0042】
制御コンポーネント又はネットワーク装置1は切替装置4を含み、この切替装置4は、それぞれがCPU2,3の内の一方に対応付けられている別の受信ポート7,11を備えている。例えば、制御コンポーネント又はネットワーク装置1が制御信号又は制御データをネットワーク内の別の制御コンポーネントに送信することが考えられる。その場合、特に自動車における安全性が重要な用途、例えばドライブ・バイ・ワイヤでは、全てのネットワークノードにおける制御データが一貫性のあるものとして存在していることを保証しなければならない。
【0043】
既に種々のネットワークコンポーネント内部において、冗長的に形成された制御データD1及びD2の照合が行われる。CPU2はデータD1を供給し、CPU3はデータD2を供給する。その場合、それらのデータはコーディングによって相互に関連付けられている。つまり、データD1はデータD2から得られ、また反対に算術的な演算を介して得られる。例えば、簡単なビット反転が考えられ、その場合、データD1はデータD2が反転されたものであり、またデータD2はデータD1が反転されたものである。
【0044】
切替装置4を介してデータD1はCPU2からCPU3に伝送される。これは、データD1が切替装置4の受信ポート7に伝送され、切替装置4が送信ポート12を介してデータをCPU3に転送することによって行われる。同様に、データD2はCPU3から所属の受信ポート11に伝送され、切替装置4は送信ポート8を介してデータをCPU2に転送する。各CPU2及びCPU3においてデータD1及びデータD2を相互に比較することによって、一貫性検査を実施することができる。データが相互に一貫性のあるものである限り、即ち、所定のコーディングのモジュロが一致する限り、例えばビット反転が一致する限り、ポート7及び11を介するデータ受信、ポート8及び12を介するデータ送信、それらのポート間のデータ交換のための切替装置4並びにCPU2,3も適切に機能しているとみなされる。これに対して、比較結果がデータD1とデータD2は相互に一貫性がないことを示す場合、このことはCPU2,3又は切替装置におけるエラーを示唆し、それに対するデータの一貫性を保証するための考えられる応答として、制御コンポーネント1をパッシブ状態にすること、即ち制御コンポーネント1のデアクティブ化が挙げられる。
【0045】
ネットワーク装置101は更にリング状の通信パスのために設計されている。特にイーサネットインフラストラクチャにおいては、加入者又はネットワーク装置相互のポイント・ツー・ポイントコネクションが実現されることによって、相互に分離された二つの通信リングを形成することができ、それらの通信リングは各切替装置だけを共有し、受信側及び送信側においては共通のポートを使用しない。
図1の実施例においては、セグメントCB1,CB2,CB3から構成されている第1の通信パスが形成されている。それらのセグメントCB1,CB2及びCB3を介してデータD1及びD2が供給され、このことは矢印D1B及びD2Bによって示唆されている。ここではサフィックスBが通信経路Bを表している。
【0046】
更に、反対の通信方向においては、セグメントCR1,CR2及びCR3から構成されている通信パスが延びている。このパスを介して、同様にデータD1及びD2が送信され、このことは矢印D2R及びD1Rによって示唆されている。ここではサフィックスRが通信パスRを表している。
【0047】
従って、データD1及びD2は分離された通信パスを介して、ネットワーク内に存在する全ての制御コンポーネント201,301に伝送される。各CPU202,203,302,303はコーディングされたデータ並びにコーディングされていないデータD1,D2を異なる通信パスを介して、即ち、反対の通信方向を有している二つのリングを介して受信する。各CPU202,203,302,303は、通信経路又は通信パスを介して受信したデータD1,D2に関する値を比較する。
【0048】
例えば、CPU303は通信パスCB1を介してデータD1B及びD2Bを受信する。それらのデータは切替装置304の受信ポート314において受信される。切替装置304の送信ポート312においては、受信ポート314において受信されたデータD1B及びD2BがCPU303に転送される。CPU303ではデータD1BとD2Bの比較が行われる。それらのデータが相互に一貫性のあるものである場合、これはエラーのない通信パスCB1を意味する。
【0049】
CPU303は更に、セグメントCR1及びCR2から構成されている第2の通信パスを介して、データD1R及びD2Rを受信する。データD1R及びD2Rは切替装置304の受信ポート310において受信され、CPU303に対応付けられている送信ポート312へと出力される。一貫性検査を再び実施することができる。更には、CPU303はリングパスCB1を介して受信したデータ並びにリングパスCR1及びCR2を介して受信したデータの比較又は投票(Voting)を実施することができる。障害がない場合には、データD1RとD2Rは相互に一貫性があり、またデータD1BとD2Bも相互に一貫性があり、更には、CB1及びCR1−CR2を介して受信したデータと、既に一貫性がある確認された個々のデータも相互に一貫性がある。これにより、CPU2又は3によって形成された、基礎となるデータD1及びD2にエラーはないことが分かる。制御コンポーネント3又はCPU302,303における、CB1及びCR1−CR2を介して受信したデータと、既に一貫性があると確認された個々のデータの比較又は投票の際に一貫性がないことが判明した場合には、通信エラーを推定することができる。
【0050】
同様の一貫性検査は制御コンポーネント201又はCPU若しくは制御装置202,203においても行われる。関与する切替装置4,204,304の内の一つの動作にエラーがあると推定された場合、又は関与する切替装置4,204,304の内の一つが故障した場合、データD1,D2を再び送信した際に相応のネットワークエラーを識別することができる。通常の場合、複数の通信サイクルにおいて種々の制御装置の種々のデータがネットワーク6において送信される。
図1には図示していない他のデータに基づき、各制御コンポーネント201,301は、自身のスイッチ204,304に欠陥があるか否かを確認することができる。その限りにおいて、種々のエラーシナリオを識別し、また処理することができる。
【0051】
データパスCB1,CB2,CB3とデータパスCR1,CR2,CR3が分離されていることによって、伝送時のエラーは相互に独立的にしか生じない。ネットワークノード又はコンポーネント1,201,301をイーサネットリングとして構成することによって、特に冗長的な制御装置2,3を有している制御機器間の十分に一貫性のある通信が保証されている。
【0052】
図2には、提案される方法の実施にも適しているネットワークシステム110の第2の実施の形態が概略的に示されている。
【0053】
図2には、
図1に関連させて説明したものと実質的に同じ構成要素が示されている。もっとも、制御コンポーネント若しくはネットワークノード又はネットワーク装置100,200,300には冗長的なイーサネット切替装置4,5,204,205,304,305が設けられている。これによって、データ通信における付加的な信頼性を達成することができる。
【0054】
例えば、ネットワーク装置100はCPU2及び所属のイーサネット切替装置4を含む。イーサネット切替装置4は受信ポート7及び送信ポート8を有しており、それらのポートはCPU2と通信を行うように接続されている。別の送信ポート9及び受信ポート10はデータの送受信のためにネットワーク6に接続されている。同様に、CPU3はイーサネット切替装置5を有しており、このイーサネット切替装置5はCPU3に接続するための受信ポート11及び送信ポート12を有している。イーサネット切替装置5は更に、ネットワーク6に接続するための送信ポート13及び受信ポート14を有している。更には、イーサネット切替装置4,5においては、それら二つのイーサネット切替装置4,5を相互に接続するための送信ポート及び受信ポート15,16,17,18が設けられている。二つの切替装置4,5は別個の切替装置であり、例えばFPGA又はASIC又はマイクロチップとして製造されている。
【0055】
制御装置100における内部一貫性検査は、データD1の形成、データD1のイーサネットスイッチ4におけるポート7への転送、並びに、ポートペア16,17を介する、CPU3にデータD1を供給するイーサネットスイッチ5への転送によって行われる。同様に、データD2はポート11,18,15及び8を介してCPU2に伝送される。その限りにおいて、内部一貫性検査はデータD1及びD2相互の一貫性のあるコーディングによって行うことができる。
【0056】
同様に、制御コンポーネント200及び300は相互に分離された切替装置204,205,304,305を有している。二つのスイッチ204,205又は304,305間で伝送されるデータには
図2において参照符号を付していない。上から下に、それぞれポート218からポート207へとデータD2B及びD1Bが伝送され、またポート216からポート211へはデータD1R及びD2Rが伝送される。同様に、データD2B及びD1Bに対応する、ポート318からのデータがポート307によって受信され、またデータD1R及びD2Rに対応する、ポート316からのデータがポート311によって受信される。
【0057】
図1に示した実施の形態に関連させて既に説明したように、制御コンポーネント200,300又は内部CPU202,203,302,303においては、受信したデータD1RとD2Rの比較、又はデータD1BとD2Bの比較が行われる。それに続く投票と称される検査によって、既に
図1と関連させて説明したように、詳細且つ信頼性の高いエラー分析が実現され、また必要に応じて動作にエラーがあるネットワークコンポーネントをパッシブ状態にすることができる。
【0058】
例えば、制御コンポーネント100において切替装置4が完全に故障している場合には、通信パスCB1を介してデータをもはや伝送することはできない。その場合には、オリジナルデータD1はもはや切替装置4からチャネルb又は切替装置305には到達しないので、反対方向の通信パスCRを介して、コーディングされたデータ情報D2のみが依然として受信される。このエラーパターンに基づき、受信CPUは、送信器にエラーがあること、この場合には制御コンポーネント1にエラーがあることを推定することができる。
【0059】
これに対して、受信スイッチ、例えば制御コンポーネント200内の切替装置204が故障した場合には、CPU202はチャネルaにおいてもはやデータを受信できないが、しかしながら全てのデータをチャネルbにおいて通信パスCB1及びCB2を介して受信することができる。このエラーパターンから、制御コンポーネント200は、制御コンポーネント200自体に欠陥があり、遮断されることを推定することができる。
【0060】
図3には、ネットワークシステム150の第3の実施の形態の概略図が示されている。ここでは、ネットワークにおいてセンサ及びアクチュエータを接続するための拡張形態が示唆されている。この
図3からは、イーサネットインフラストラクチャがやはりリング状に実施されていることが見て取れる。
図2に示されているように、同様に構成されている複数のネットワーク装置100,200,500,605,600が設けられている。
【0061】
更には、冗長的なスイッチ又はCPUを有していない簡易ネットワークコンポーネント400も設けられている。それらの簡略化ネットワークコンポーネントはシンプレックスとして参照番号400が付されている。
【0062】
更にネットワークシステム150にはイーサネット切替装置404が設けられている。
【0063】
車両における用途では、例えばブレーキアクチュエータ(BbB)又はステッチ・バイ・ワイヤアクチュエータ(SbW)が冗長的に設けられている。
図3には、対応するアクチュエータ500,600,605,505にそれぞれ「青」又は「赤」が記載されている。例えば、制御コンポーネント100はSbWコンポーネント505に制御データを供給するためにアクティブである。
【0064】
個々の二つのリングが異なる二つの個所においてイーサネット切替装置によって相互に接続されている二重リングシステムによって、分離された二つのデータバスが得られ、それらのデータバスはネットワークリング通信において異なる方向で動作する。このことは、通信パスセグメントにおける矢印によって示唆されている。制御コンポーネント1からイーサネットスイッチ404、BbW青500、イーサネットスイッチ404、BbW青500、更にはシンプレックス400を介してSbW青505へと到達するデータパケットDGが見て取れる。冗長的なデータパケットDBは制御コンポーネント100から制御コンポーネント200、イーサネットスイッチ404、シンプレックス400、SbW赤605、BbW赤600、シンプレックス400、BbW赤600を介して最終的にSbW青505へと到達する。DGA又はDBAでもって逆向きのデータパケットが表されている。
【0065】
図3に示したネットワーク装置150の構成では、アクチュエータ505,605が、冗長的に実施されているイーサネットスイッチ404を介して、一種の外側リングにおいて制御コンポーネント100,200及びイーサネットスイッチ404から成るリング構造に接続されている。各制御命令又はデータは、通信パスDGの方向又はDGAの方向(左回り)においてコーディングされて送信されるか、又はコーディングされずに送信され、また第2の通信パスDB又はDBA(右回り)を介して送信される。ステア・バイ・ワイヤ制御コンポーネント505内では、
図1及び
図2と関連させて説明したように、比較とそれに続く投票が行われる。従って、制御コンポーネント1からの制御命令又はデータにエラーがあるか否かを確実に識別することができる。
【0066】
制御コンポーネントSbW青505は同様に二つの通信パス又は通信方向を介してデータDGA及びDBAでもって応答する。二つの通信パスを介して各制御コンポーネントからネットワーク内に存在する全てのアクチュエータに到達することも可能である。パケットDG/DGA及びDB/DBAは共通のネットワークコンポーネントを利用していないので、部分ネットワークDG/DGA又はDB/DBA内のコンポーネントの内の一つが故障した場合でも、全てのコンポーネントが故障することはない。
【0067】
簡易ネットワーク装置400は例えば、各機能がクリティカルではないことから内部冗長性を有していないアクチュエータである。簡易ネットワーク装置400を、分岐線を介してイーサネットスイッチ404によってリング構造に接続することも可能である。このことは
図3において、例えば左側では、シンプレックス1及びシンプレックス2で表されている簡易ネットワーク装置400に関して示されている。その限りにおいて、自動車内のイーサネット分岐線とリング構造の組み合わせも考えられる。
【0068】
総じて、イーサネットリング構造を符号化通信と組み合わせることによって、即ち、所定のコーディングを介して相互に関連付けられているデータの形成によって、専用の二重インフラストラクチャを使用せずとも、例えばケーブル又は線路を使用せずとも、二重に実施されている通信トポロジが得られる。送信又は受信を行う制御コンポーネントにおけるエラーを十分高速に、且つ確実に識別することができる。総じて、提案される方法及びネットワークシステムによって、システム全体におけるデータの良好な一貫性を達成することができる。
【0069】
図4,5及び6において、
図2に示したようなネットワークシステムに関するエラーシナリオを詳細に説明する。種々の構成要素間のデータ伝送を表す矢印の内の幾つかには丸付き数字1〜4(以下(1)〜(4)と表す)が付されている。
【0070】
図4においては、殊に制御コンポーネント100をそのCPU2及び3並びにスイッチ装置4及び5と共に考察し、また切替装置5におけるエラーを前提とする。矢印(1)、(2)、(3)、(4)に関するデータ伝送にエラーが発生した場合には、それにも係わらずデータに一貫性があることが見て取れる。(1)から(4)が付されている矢印の内の一つ又は相応に伝送されるデータの内の一つにエラーがある場合、CPU2又は3における一貫性検査は失敗する。このことは、制御コンポーネント100がデアクティブ化されるか、パッシブ状態にされることを意味する。これによって、制御コンポーネント100はデータをもはや送信しなくなり、このことはネットワーク又はネットワークシステム110における他の制御コンポーネント200,300によっても相応に登録される。
【0071】
(1)から(4)が付された全ての矢印又は通信パスにエラーがない場合には、切替装置5が内部的にエラーを有していることが推定されなければならない。システム110のその他コンポーネントは、エラーのないものとみなすことができる(独立した二重エラーに関する確率は非常に低いとみなされるので、従って独立した二重エラーはこの関係において考察する必要はない)。つまり、CPU2,3及びスイッチ4はエラーなく動作していると推定される。このことは、通信パス又は通信セグメントCB1を介して伝送されるデータD1B及びD2Bは適切に制御コンポーネント200及び300へと伝送されることを意味している。その限りにおいて、制御コンポーネント100はイーサネットスイッチ5に障害があるにもかかわらず依然として機能しており、またその他の制御コンポーネント200,300によって相応に登録することができる。スイッチコンポーネント5においてエラーが示唆されるにもかかわらず、全てのデータはネットワーク内で一貫性のあるものとして呼び出すことができ、またネットワーク装置100,200,300において一貫性のあるものとして存在している。
【0072】
図5には、切替装置204における別のエラー状況が示されており、ここでもまた考察する通信パスには丸付きの数字(1)〜(6)が付されている。データD1B及びD2Bが位置(1)において適切である場合には、位置(2)及び(3)における対応するデータD1B,D2Bも適切である。同じことが位置(4)及び(5)における矢印についても当てはまる。つまり、ポート308及び312におけるデータD1B及びD2Bは一貫性がある。このことは、制御コンポーネント200並びに制御コンポーネント300における二つのチャネル(チャネルa及びチャネルb)が制御コンポーネント100からの一貫性のある状態情報を識別することを意味している。つまり、制御コンポーネント100は正常であって完全に機能するものとみなされ、CPU202,203,302,303には制御コンポーネント100からの一貫性のあるデータが存在している。
【0073】
位置(1)におけるデータD1B又はD2Bの内の一つにエラーがある場合には、以下のシナリオが生じる:
位置(6)においてデータD1R,D2Rに一貫性がない場合、CPU202は制御コンポーネント100から一貫性のある状態情報又はデータが得られないことを識別する。その限りにおいて、制御コンポーネント200におけるエラーが推定される。何故ならば、CPU203は一貫性のあるデータD1B及びD2Bを有しているからである。これによって、制御コンポーネント200がパッシブ状態にされる。これに対して、制御コンポーネント300が依然として完全に機能し、制御コンポーネント100から送信された一貫性のある状態情報を受け取る。
【0074】
位置(6)においてデータD1R及びD2Rにエラーがない場合には、CPU202は一貫性のあるデータD1R,D2Rを切替装置204のポート208から受信し、CPU203は一貫性のあるデータD1B,D2Bを切替装置205のポート212から受信する。制御コンポーネント300においては、少なくとも、ポート312におけるデータD1R,D2Rは一貫性があり、またポート308においても同様である。何故ならば、独立した二重エラーの発生は実質的に排除されているからである。その限りにおいて、一貫性のある状態データはネットワークにおける制御コンポーネント100から供給されている。
【0075】
最後に、
図6には、ネットワーク装置110におけるスイッチコンポーネント305の更に別の考えられるエラー状況が示されている。ここでもまた、考察する通信パスには丸付きの数字(1)〜(6)が付されている。位置(1)に示されている矢印DR1,DR2が適切なデータを供給する場合、二つの矢印に沿ったそれらのデータD1R,D2Rもそれぞれの位置(2)及び(3)において適切である。従って、制御コンポーネント200においては、CPU202及び203が制御コンポーネント100からの一貫性のある状態情報を識別する。二重エラーは排除されているので、データD1B,D2B及び二つのCPU302及び303は正常である。従って、制御コンポーネント300においては、CPU302及び303が制御コンポーネント100の一貫性のある状態情報を識別する。その限りにおいて、ネットワーク装置100又は制御コンポーネント100の全ての構成要素は機能している。
【0076】
位置(1)においてポート212を介してCPU203に供給されるデータD1R及びD2Rに一貫性がない場合、以下のエラーシナリオが生じる:
位置(6)においてデータD1B,D2Bに一貫性がない場合、CPU203は制御コンポーネント100から一貫性のある状態情報が得られないことを識別する。制御コンポーネント200は自身にエラーがあることを識別し、またパッシブ状態になる。何故ならば、CPU203はD1B、D2Bからも、D1R,D2Rからも一貫性のあるデータを取得していないが、二重エラーD1R、D2Rは排除されているので、一貫性のあるデータがCPU202に供給されるからである。これに対して、制御コンポーネント300は依然として完全に機能し、制御コンポーネント100から、ポート312においてデータD1B及びD2Bの形態で、一貫性のある状態情報を受け取る。
【0077】
位置(1)ではポート212においてデータD1R及びD2Rに一貫性がなく、また位置(6)ではポート212において二つのデータD1B及びD2Bが適切である場合、CPU203は一貫性のあるデータD1B及びD2Bを受信し、またCPU202は一貫性のあるデータD1R及びD2Rをポート208において受信する。制御コンポーネント300では、少なくともデータD1B,D2Bが、CPU302においてもCPU303においても一貫性がある。その限りにおいて、エラーがあるにもかかわらず、ネットワークシステム100,200,300の全ての制御コンポーネントには一貫性のあるデータが供給される。
【0078】
他の全てのエラーケースは対称性に基づき、既に上記において説明したケースでもってカバーされている。
【0079】
従って、提案される方法並びに、リング構造を備えている、提案されるネットワークシステムは最大限に一貫性のある制御機器通信を安全性が重要な用途において提供する。考えられる全ての個々のエラーによっても、一つ又は複数のネットワーク装置において一貫性のないデータが形成されることはなく、またそのような考えられる全ての個々のエラーを通信サイクル内で位置特定することができる。
【0080】
本発明を有利な実施例に基づき詳細に図示及び説明したが、本発明は開示されている例に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の権利範囲から逸脱することなく他のヴァリエーションにも想到しうる。