特許第5726413号(P5726413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5726413
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/06 20100101AFI20150514BHJP
【FI】
   H01L33/00 112
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-259294(P2009-259294)
(22)【出願日】2009年11月12日
(65)【公開番号】特開2010-212657(P2010-212657A)
(43)【公開日】2010年9月24日
【審査請求日】2012年11月9日
(31)【優先権主張番号】61/158,184
(32)【優先日】2009年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509313865
【氏名又は名称】李 貞 勳
(73)【特許権者】
【識別番号】509313474
【氏名又は名称】金 大原
(73)【特許権者】
【識別番号】509313485
【氏名又は名称】▲葛▼ 大成
(73)【特許権者】
【識別番号】509313496
【氏名又は名称】南 基範
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】李 貞 勳
(72)【発明者】
【氏名】金 大 原
(72)【発明者】
【氏名】▲葛▼ 大 成
(72)【発明者】
【氏名】南 基 範
【審査官】 村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−126006(JP,A)
【文献】 特開2008−251605(JP,A)
【文献】 特開2003−046203(JP,A)
【文献】 特表2003−535453(JP,A)
【文献】 特開2004−207610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1半導体層と、
前記第1半導体層上に形成された第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に介された井戸層及びバリア層を含む多重量子井戸構造と、を備え、
前記多重量子井戸構造内の少なくとも一層にキャリアトラップ部が2以上集合したキャリアトラップクラスタを複数含み、前記キャリアトラップクラスタは、隣接する他のキャリアトラップクラスタと少なくとも20nm以上離隔していることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記キャリアトラップ部は、外周部から中心部に向かって、直線状にバンドギャップエネルギが減少することを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記キャリアトラップ部は、外周部から中心部に向かって、階段状にバンドギャップエネルギが減少することを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記キャリアトラップ部は、外周部から中心部に向かって、曲線状にバンドギャップエネルギが減少することを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
前記キャリアトラップ部は、外周部から中心部に向かって、バンドギャップエネルギが徐々に減少することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の発光素子。
【請求項6】
前記キャリアトラップ部は、前記多重量子井戸構造内の前記井戸層内に形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記キャリアトラップ部は、前記井戸層内に埋め込まれて形成されることを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
【請求項8】
前記キャリアトラップ部を含む層は、インジウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項9】
前記キャリアトラップ部を含む層は、AlInGaN系化合物半導体またはAlInGaP系化合物半導体からなることを特徴とする請求項8に記載の発光素子。
【請求項10】
前記キャリアトラップ部を含む層からのインジウムの蒸発を防止するインジウム蒸発防止層を、前記多重量子井戸構造内に更に含むことを特徴とする請求項8または9に記載の発光素子。
【請求項11】
前記キャリアトラップ部の外周部から中心部に向かって、インジウムの含有量が徐々に増加することを特徴とする請求項8または9に記載の発光素子。
【請求項12】
前記キャリアトラップ部の最外部のインジウム含有量より、前記キャリアトラップ部の中心部のインジウム含有量が少なくとも2%以上高いことを特徴とする請求項11に記載の発光素子。
【請求項13】
前記キャリアトラップ部を含む層は前記井戸層であり、前記バリア層はアルミニウムを含むことを特徴とする請求項8または9に記載の発光素子。
【請求項14】
前記バリア層のAl含有量は、前記キャリアトラップ部を含む層に発生する圧縮応力を相殺可能な引張応力を発生させる含有量に調整されることを特徴とする請求項13に記載の発光素子。
【請求項15】
前記バリア層は、AlGaInN系化合物半導体またはAlGaInP系化合物半導体からなることを特徴とする請求項13に記載の発光素子。
【請求項16】
前記キャリアトラップ部は、前記層が成長される間に前記キャリアトラップ部を含む層と同時に形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項17】
前記キャリアトラップ部は、前記キャリアトラップ部を含む層に形成された転位の密度より高い密度で分布されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項18】
前記キャリアトラップ部は、1〜10nmの大きさで形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項19】
前記キャリアトラップ部は、2〜5nmの大きさで形成されることを特徴とする請求項18に記載の発光素子。
【請求項20】
前記キャリアトラップクラスタは、隣接する他のキャリアトラップクラスタと少なくとも40〜120nm離隔して形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)などに用いられる発光素子に関するもので、より詳細には、多重量子井戸構造内の少なくとも一層に少なくとも一つのキャリアトラップ部を含む発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)などのようなIII族元素の窒化物は、優れた熱的安定性及び直接遷移型のエネルギーバンド構造を有しており、最近、青色及び紫外線領域の発光ダイオード用及びレーザーダイオード用物質として脚光を浴びている。このうち、特に、窒化インジウムガリウム(InGaN)化合物半導体は、狭いバンドギャップに起因して多くの注目を受けている。このような窒化ガリウム系列の化合物半導体を用いた発光ダイオードは、大型のフルカラー・フラットパネルディスプレイ、バックライト光源、信号灯、室内照明、高密度光源、高解像度出力システム及び光通信などの多様な応用分野に活用されている。
【0003】
一般的に、発光ダイオードは、n型半導体層及びp型半導体層を含み、前記n型及びp型半導体層の間に活性領域が介される。前記n型半導体層及びp型半導体は、III族元素の窒化物半導体層、例えば、(Al,In,Ga)N系列の化合物半導体層で形成される。一方、活性領域は、一つの井戸層を有する単一の量子井戸構造であるか、複数個の井戸層及びバリア層を含む多重量子井戸構造である。前記多重量子井戸構造は、InGaN井戸層とGaNバリア層とが交互に積層されて形成され、前記InGaN井戸層がバリア層に比べてバンドギャップの小さいn型及びp型半導体層で形成されることで、電子と正孔とが再び結合される量子井戸層を形成することができる。
【0004】
このようなIII族元素の窒化物半導体層は、六方晶系の構造を有するサファイアまたはシリコンカーバイド(SiC)などの異種基板上に有機金属気相成長法などの工程を通して成長される。しかしながら、このようにIII族元素の窒化物半導体層が異種基板上に形成される場合、半導体層と基板との間の格子常数及び熱膨張係数の差に起因して半導体層内にクラックまたは反りが発生し、転位が生成される。
【0005】
この問題を防止するために、基板上にバッファ層を形成した後、半導体層を成長させることで、バッファ層上に成長させた半導体層内の結晶欠陥を相当部分除去することができる。しかしながら、それにもかかわらず、活性領域内の結晶欠陥密度は相変らず高い方であり、これは、III族元素の化合物半導体層を用いるのに大きな障害となる。また、このように活性領域内に形成された転位などの結晶欠陥は、活性領域に流入するキャリアをトラップするが、光を発しないので、非発光中心(non−radiative center)として作用するようになり、これは、発光ダイオードの内部量子効率を著しく低下させる原因になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、多重量子井戸構造内の少なくとも一層にキャリアトラップ部を含むことで、活性領域内に形成される転位などの結晶欠陥による内部量子効率が低下する問題を解決することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、多重量子井戸構造内に発生する圧縮応力を相殺可能な引張応力を発生させることで、多重量子井戸構造内の結晶品質を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した本発明の目的を達成するための本発明は、基板と、前記基板上に形成された第1半導体層と、前記第1半導体層上に形成された第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に介された井戸層及びバリア層を含む多重量子井戸構造と、を備え、前記多重量子井戸構造内の少なくとも一層キャリアトラップ部が少なくとも2以上集合したキャリアトラップクラスタを複数含み、キャリアトラップクラスタは、隣接する他のキャリアトラップクラスタと少なくとも20nm以上離隔している発光素子を提供することで、転位などの結晶欠陥による内部量子効率低下問題を解決することができる。
【0009】
本発明の発光素子において、前記キャリアトラップ部は、外周部から中心部に向かって、バンドギャップエネルギが直線状に、階段状に、または曲線状に徐々に減少するようにしてもよい。
【0010】
本発明の発光素子において、前記キャリアトラップ部は、前記多重量子井戸構造内の井戸層に形成されるか、井戸層内に埋め込まれて形成されてもよい。
【0011】
また、本発明の発光素子は、前記キャリアトラップ部を含む層は、インジウムを含んでもよく、例えば、AlInGaN系化合物半導体またはAlInGaP系化合物半導体から構成されことが好ましい。
【0012】
また、本発明の発光素子は、前記キャリアトラップ部を含む層は、インジウムの蒸発を防止可能なインジウム蒸発防止層を、前記多重量子井戸構造内に更に含めてもよい。
【0013】
本発明の発光素子において、前記キャリアトリップ部は、外周部から中心部に向かってインジウムの含有量が徐々に増加してもよく、このとき、前記キャリアトラップ部の最外部のインジウム含有量より、前記キャリアトラップ部の中心部のインジウム含有量が少なくとも2%以上高いことが好ましい。
【0014】
また、前記キャリアトラップ部を含む層が井戸層である場合、バリア層はアルミニウムを含んで形成され、このとき、前記アルミニウムを含むバリア層のアルミニウム含有量は、前記キャリアトラップ部を含む層に発生する圧縮応力を相殺可能な引張応力を発生させる含有量に調整されることが好ましい。さらに、前記アルミニウムを含むバリア層は、AlGaInN系化合物半導体またはAlGaInP系化合物半導体から構成されることが好ましい。
【0015】
本発明に係る発光素子において、前記キャリアトラップ部は、層が成長される間に前記キャリアトラップ部を含む層と同時に形成されてもよく、前記キャリアトラップ部は、前記キャリアトラップ部を含む層に形成された転位の密度より高い密度で分布されることが好ましい。
【0016】
前記キャリアトラップ部は、1〜10nmの大きさで形成されことが好ましく、2〜5nmの大きさで形成されることがより好ましい。
【0017】
また、本発明の発光素子は、前記キャリアトラップ部が少なくとも2個集合して形成されたキャリアトラップクラスタを更に含んでもよく、この場合、前記キャリアトラップクラスタは、隣接する他のキャリアトラップクラスタと少なくとも40〜120nm離隔して形成されることがより好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の発光素子によると、多重量子井戸構造内の少なくとも一層にキャリアトラップ部を含むことで、活性領域内に形成される転位などの結晶欠陥による内部量子効率が低下する問題を解決することができる。また、多重量子井戸構造内に発生する圧縮応力を相殺可能な引張応力を発生させることで、発光素子の多重量子井戸構造内の結晶品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る発光素子の積層構造を例示する断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るキャリアトラップ部を有する多重量子井戸(MQW)のTEM結果を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るキャリアトラップ部を有するMQWの模式図である。
図4】(a)は、図3のI(a)−I(b)及びII(a)−II(b)線に沿う厚さ−量子エネルギの関係を示すエネルギバンドダイアグラムであり、(b)及び(c)は、図3のI(a)−I(b)線に沿う他の可能な厚さ−量子エネルギの関係を示すエネルギバンドダイアグラムである。
図5】本発明の他の実施形態に係るキャリアトラップクラスタを有する多重量子井戸(MQW)のTEM結果を示す図である。
図6】本発明の他の実施形態に係るキャリアトラップクラスタを有する多重量子井戸(MQW)のAPT結果を示す図である。
図7】キャリアトラップ部に発生する圧縮応力及びこれを相殺するためにバリア層に発生する引張応力を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付された各図面を参照して、本発明の各実施形態をより詳細に説明する。次に紹介される各実施形態は、当業者に本発明の思想を充分に伝達させるための例として提供されるものである。したがって、本発明は、以下で説明される各実施形態に限定されるものでなく、他の形態にも具体化される。そして、各図面において、構成要素の幅、長さ及び厚さなどは、当業者の理解を助けるためにより誇張されて表現される。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る発光素子の積層構造を例示する概略図である。
【0022】
図1を参照すると、基板11上に第1半導体層15が配置される。このとき、基板11と第1半導体層15との間の格子不一致を緩和させるために、前記基板11と第1半導体層15との間にバッファ層13が形成される。例えば、前記バッファ層13はGaNまたはAlNから構成される。前記基板11は、特に限定されるものでないが、サファイア、スピネル及び炭化シリコン(SiC)により構成されてもよい。また、前記第1半導体層15は、n型不純物がドーピングされたGaN層でもよい。
【0023】
前記第1半導体層15の上部に第2半導体層19が配置され、前記第1半導体層15と前記第2半導体層19との間に活性領域17が介挿される。前記活性領域17は、少なくとも一つ以上の井戸層17bと少なくとも一つ以上のバリア層17aとが交互に積層された多重量子井戸構造(MQW)であり、このとき、前記井戸層17bのバンドギャップエネルギは、バリア層17aのバンドギャップエネルギより小さくなる。前記井戸層17bとバリア層17aは、AlInGaN系化合物半導体から構成されてもよく、例えば、前記井戸層17bは、不純物がドーピングされるか、不純物がドーピングされていないInGaNであり、前記バリア層17aは、不純物がドーピングされるか、不純物がドーピングされていないInGaNまたはGaNであってもよい。また、前記第2半導体層19は、p型不純物がドーピングされたGaNであってもよい。
【0024】
前記第2半導体層19上には第2電極21が形成され、このような第2電極21は、上部に光を透過可能な透明電極であることが好ましい。前記透明電極21は、ITOから構成されることが好ましい。このような透明電極21上には、外部接続のためのボンディングパッド23が形成される。このようなボンディングパッド23としては、特に限定することはないが、Cr/AuまたはNi/Auなどが用いられる。また、前記第2半導体層19及び多重量子井戸構造17の少なくとも一部が除去されて露出された第1半導体層15上には第1電極25が形成される。このような第1電極25としては、特に限定することはないが、Cr/AuまたはNi/Auなどが用いられる。
【0025】
本発明の一実施形態によると、発光素子は、前記多重量子井戸構造17内の少なくとも一層に少なくとも一つのキャリアトラップ部27を含み、前記キャリアトラップ部27は、多重量子井戸構造17内に形成された転位の代わりにキャリアをトラップする役割をする。このために、本発明のキャリアトラップ部27は、図3及び図4に示すように、外周部から中心部に向かってバンドギャップエネルギが徐々に減少する構成を有する。図4(a)は、図3のI(a)−I(b)及びII(a)−II(b)線に沿う厚さとエネルギの関係を示すエネルギバンドダイアグラムを示した図である。II(a)−II(b)線に沿うエネルギダイアグラムは、一般的な井戸層及びバリア層からなる多重量子井戸構造とほぼ同一の形態のエネルギダイアグラムを有する。しかしながら、I(a)−I(b)線に沿うエネルギダイアグラムは、井戸層17b内のキャリアトラップ部27の中心部に向かってバンドギャップエネルギが徐々に減少する(狭くなる)形状になる。このとき、図4(a)では、バンドギャップエネルギが減少する形状が直線的に表わされているが、これは、井戸層17bの成長時のチャンバ内の温度、圧力及びソースガスの流量を制御することで、図4(b)に示すように階段状にバンドギャップエネルギを減少させるか、図4(c)に示すように曲線状にバンドギャップエネルギを減少させることも可能である。例えば、前記キャリアトラップ部27を含む層がInを含む層からなる場合、前記キャリアトラップ部27は、外周部から中心部に行くほどInの含有量が徐々に増加するように構成してもよい。このとき、キャリアトラップ部27の最外部のIn含有量と中心部のIn含有量との差は少なくとも2%以上である。
【0026】
本発明に係るキャリアトラップ部27は、転位によってトラップされて消滅されるキャリアを効率的に用いることができる構造であり、このような構造は、必ずしも物理的な形状を限定するものではない。すなわち、本発明に係るキャリアトラップ部27は、転位によってトラップされて消滅されるキャリアを効率的に用いることができる物理的形状または量子力学的エネルギ状態を全て含むことができる。
【0027】
上述したように、本発明のキャリアトラップ部27は、多重量子井戸構造17に注入されるキャリアをトラップして発光させる発光中心として作用するので、多重量子井戸構造17内の井戸層17bに形成されることが好ましい。このとき、井戸層17bに形成されるキャリアトラップ部27の構造は限定するものではなく、図2または図3に示すように、キャリアトラップ部27が井戸層17bに埋め込まれて形成されることが好ましい。
【0028】
このように層内にキャリアトラップ部27を形成する方法として、3次元成長方法を用いるようにしてもよい。このような3次元成長方法は、チャンバ内の圧力、温度及びソースガスの流量を制御し、3次元的に層を成長させる方法をいう。例えば、前記キャリアトラップ部27を含む層がInGaNからなる井戸層17bである場合、初期のInGaN成長時には2次元的な成長が起きるが、一定厚さ以上のInGaNが成長されると、3次元的な成長に転換される。また、このような厚さより厚いInGaNが成長されると、本発明の実施形態に係るキャリアトラップ部27を含む層を形成することが可能であり、これは、Inの相分離特性に起因したものと見なされる。また、Inの含有量が5%を超える場合と成長温度が600℃を超える場合にも、層内でInの相分離が起きて、本発明の実施形態に係るキャリアトラップ部27を形成する傾向が強くなる。このような方法で、本発明に係るキャリアトラップ部27は、キャリアトラップ部27を含む層が形成される間に同時に形成可能である。
【0029】
しかしながら、図6に示すように3次元的に形成されたキャリアトラップ部27は、井戸層内に圧縮応力を誘発し、これは、多重量子井戸構造17の結晶品質を低下させる原因として作用する。このとき、バリア層17aとしてAlを含む層(例えば、AlGaInN系またはAlGaInP系化合物半導体からなる層)を形成することで、このような圧縮応力を相殺することが可能になる引張応力を多重量子井戸構造17内に発生させると、圧縮応力による結晶品質が低下する問題を解消することができる。バリア層17a内のAlの含有量は、InGaN井戸層17bに発生される圧縮応力と同一の大きさの引張応力を発生可能な含有量に調整することがより好ましい。
【0030】
また、InGaN井戸層17bとGaNバリア層17aを用いる場合、本発明のようにInGaN井戸層17b内に、Inの含有量が外周部から中心部に向かって徐々に増加するキャリアトラップ部27を備えると、Gaバリア層17aに隣接したInGaN井戸層17bの格子常数がGaバリア層17aの格子常数と同等の値を有するので、InGaN井戸層17bとGaNバリア層17aとの間の格子常数の差による問題も解消することができる。
【0031】
また、上述したように、本発明の実施形態に係る発光素子の目的は、多重量子井戸構造17内に存在する転位による内部量子効率の低下を抑制することにある。このため、本実施形態に係るキャリアトラップ部27は、前記キャリアトラップ部27を含む層に形成された転位の密度より高い密度で分布されることが好ましい。
【0032】
前記キャリアトラップ部27は、1〜10nmの大きさで形成することが好ましく、2〜5nmの大きさで形成されることがより好ましい。
【0033】
また、本発明の多重量子井戸構造17がInを含む場合、Inの特性上、蒸発が発生するという問題点があり、前記キャリアトラップ部27を含む層からのInの蒸発を防止するために、インジウム蒸発防止層(図示せず)を多重量子井戸構造17内に更に含めるようにしてもよい。
【0034】
本発明の他の実施形態によると、前記キャリアトラップ部27が少なくとも2個以上集合して形成されたキャリアトラップクラスタを更に含むようにしてもよい。この構成は、図5の点線部分または図6から確認することができ、このようなキャリアトラップクラスタは、キャリアトラップ部27を含む層の3次元成長時のチャンバ内の圧力、温度及びソースガス流量を調整することで形成可能である。これに限定されることはないか、例えば、InGaNからなる井戸層17bを形成する場合、チャンバ内の圧力が300torr以上であると、キャリアトラップ部27が集合することでキャリアトラップクラスタを形成する傾向が強く表れる。
【0035】
このとき、前記キャリアトラップクラスタは、隣接する他のキャリアトラップクラスタと少なくとも20nm以上離隔して形成することが好ましく、少なくとも40〜120nm離隔して形成されることがより好ましい。
【0036】
本発明の各実施形態は、主にAlInGaN系化合物半導体を中心に説明したが、このような本発明の技術思想は、AlInGaP系を含む他の化合物半導体にも適用可能であることは当業者にとって自明な事実である。
【0037】
上述したように、本発明の実施形態によると、発光素子は、転位によってトラップされるキャリアを効率的にトラップして発光することができるキャリアトラップ部27及び/または多重量子井戸構造17内にキャリアトラップクラスタを備えることで、発光ダイオードまたはレーザーダイオードの内部量子効率を向上させることができる。
【0038】
また、本発明の他の実施形態によると、発光素子の多重量子井戸構造17は、多重量子井戸構造17内に発生する圧縮応力を相殺可能な引張応力を発生させるように構成することで、多重量子井戸構造17内の結晶品質を向上させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7