【実施例】
【0041】
以下に例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。なお、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0042】
<実施例1>
特開2003−238597号公報に記載の方法に準じて、魚皮に含まれるコラーゲンを抽出、低分子化処理して、コラーゲンペプチド含有エキスを調製した。そのコラーゲンペプチドの重量平均分子量(プルランを標準物質としたGPC法での測定)は、約3,000であった。これを固形分約60質量%まで濃縮し、その濃縮物をCVD(連続真空乾燥装置)により乾燥処理してフレーク状組成物を得、これをミルで粉砕して、コラーゲンペプチド粉体組成物を得た。
【0043】
得られたコラーゲンペプチド粉体組成物には着色はなく、その色調は白色から淡黄色であった。また、その粒度は、32メッシュ(開口504μm)をパスし、且つ、全体の50質量%以上が150メッシュ(開口104μm)にオンする粉体組成物であった。また、水分は常圧加熱乾燥法で約8質量%、嵩比重は100ml容のステンレス容器を用いた嵩比重測定法で約0.50g/cm
3であった。
【0044】
得られたコラーゲンペプチド粉体組成物について、その粉体化物の構造を走査型電子顕微鏡で観察した。
図1には、その電子顕微鏡写真を示す。その観察によれば、CVDにより真空乾燥したコラーゲンペプチドの粉体化物は、緻密な非中空構造を有する板状構造を形成していることが明らかとなった。
【0045】
<実施例2>
特開2003−238597号公報に記載の方法に準じて、魚皮に含まれるコラーゲンを抽出、低分子化処理して、コラーゲンペプチド含有エキスを調製した。そのコラーゲンペプチドの重量平均分子量(プルランを標準物質としたGPC法での測定)は、約3,000であった。これを固形分約70質量%まで濃縮し、その濃縮物をCVD(連続真空乾燥装置)により乾燥処理してフレーク状組成物を得、これをミルで粉砕して、コラーゲンペプチド粉体組成物を得た。
【0046】
得られたコラーゲンペプチド粉体組成物には着色はなく、その色調は白色から淡黄色であった。また、その粒度は、32メッシュ(開口504μm)をパスし、且つ、全体の50質量%以上が150メッシュ(開口104μm)にオンする粉体組成物であった。また、水分は常圧加熱乾燥法で約8質量%、嵩比重は100ml容のステンレス容器を用いた嵩比重測定法で約0.40g/cm
3であった。
【0047】
得られたコラーゲンペプチド粉体組成物について、その粉体化物の構造を走査型電子顕微鏡で観察したところ、実施例1のコラーゲンペプチド粉体組成物と同様に、緻密な非中空構造を有する板状構造を形成していた。
【0048】
<比較例1>
実施例1と同様に、魚皮から調製したコラーゲンペプチド含有エキスを用いて、噴霧乾燥装置により乾燥処理してコラーゲンペプチド噴霧乾燥粉体組成物を得た。
【0049】
得られたコラーゲンペプチド噴霧乾燥粉体組成物には着色はなく、その色調は白色から淡黄色であった。また、その粒度は、80メッシュ(開口182μm)をパスし、且つ、全体の50質量%以上が150メッシュ(開口104μm)にオンする粉体組成物であった。また、水分は常圧加熱乾燥法で約4質量%、嵩比重は100ml容のステンレス容器を用いた嵩比重測定法で約0.40g/cm
3であった。
【0050】
得られたコラーゲンペプチド噴霧乾燥粉体組成物について、その粉体化物の構造を走査型電子顕微鏡で観察した。
図2には、その電子顕微鏡写真を示す。その観察によれば、噴霧乾燥により乾燥したコラーゲンペプチドの粉体化物は、巨大な中空構造を有する粉粒や、表面に皺を有する粉粒が混在した粉粒構造を形成していた。
【0051】
<比較例2>
実施例1と同様に、魚皮から調製したコラーゲンペプチド含有エキスを用いて、ドラム乾燥装置により乾燥処理してコラーゲンペプチド・ドラム乾燥粉体組成物を得た。
【0052】
得られたコラーゲンペプチド・ドラム乾燥粉体組成物は着色し、その色調は黄色であった。また、その粒度は、60メッシュ(開口253μm)をパスし、且つ、全体の50質量%以上が150メッシュ(開口104μm)にオンする粉体組成物であった。また、水分は常圧加熱乾燥法で約4質量%、嵩比重は100ml容のステンレス容器を用いた嵩比重測定法で約0.37g/cm
3であった。
【0053】
得られたコラーゲンペプチド・ドラム乾燥粉体組成物について、その粉体化物の構造を走査型電子顕微鏡で観察した。
図3には、その電子顕微鏡写真を示す。その観察によれば、ドラム乾燥により乾燥したコラーゲンペプチドの粉体化物は、非中空構造を有する薄片状の構造を形成していた。
【0054】
<参考例1>
比較例1で得られたコラーゲンペプチド噴霧乾燥粉体組成物を用い、水を結着溶媒として用いて、常法に従い造粒加工して、コラーゲンペプチド顆粒を得た。
【0055】
得られたコラーゲンペプチド顆粒の粒度は、30メッシュ(開口577μm)をパスし、且つ、全体の50質量%以上が150メッシュ(開口104μm)にオンする粉体組成物であった。また、水分は常圧乾燥方法で約5質量%、嵩比重は100ml容のステンレス容器を用いた嵩比重測定法で約0.25g/mlであった。
【0056】
<試験例1>(コラーゲンペプチドの真密度の測定)
実施例1、2及び比較例1,2で得られたコラーゲンペプチド組成物の真密度を気相置換法によって測定した。気相置換法は、具体的には、予め重量を計測した試料を装置内に設置し、一定温度下でヘリウムガスを充填、開放することにより、装置内の圧力から試料の体積を計測し、計測した重量と体積の値から真密度を求めるという方法である。その結果、実施例1、2のコラーゲンペプチド粉体組成物の真密度は1.3g/cm
3であり、また、比較例2のコラーゲンペプチド・ドラム乾燥粉体組成物の真密度は1.3g/cm
3であった。一方、比較例1のコラーゲンペプチド噴霧乾燥粉体組成物の真密度は1.0g/cm
3であった。
【0057】
<試験例2>(コラーゲンペプチドの沈降性)
実施例1、2、比較例1、2及び参考例1で得られたコラーゲンペプチド組成物の各5gを水(25℃)95mlが入った200ml容ビーカーにそれぞれ添加し、その全部が沈降するまでの時間を測定した。その結果、実施例1、2のCVDにより真空乾燥したコラーゲンペプチドは5秒でその全部が沈降した。また、比較例2のコラーゲンペプチド組成物は30秒でその約半分が沈降した。一方、比較例1及び参考例1のコラーゲンペプチド組成物は30秒でそのほとんどが沈降しなかった。
【0058】
<試験例3>(コラーゲンペプチドの溶解性 その1)
実施例1、2、比較例1、2及び参考例1で得られたコラーゲンペプチド組成物の各5gを水(25℃)95mlが入った200ml容ビーカーにそれぞれ添加し、同一の条件で攪拌を行いその全部が溶解するまでの時間を測定した。その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
その結果、実施例1、2、比較例2及び参考例1のコラーゲンペプチド組成物は約1.5分、比較例1のコラーゲンペプチド組成物は約3.0分の溶解時間を要した。
【0061】
<試験例4>(コラーゲンペプチドの泡立ち性)
実施例1、2、比較例1、2及び参考例1で得られたコラーゲンペプチド組成物の各10gと水(25℃)10mlをそれぞれ試験管内に入れ、ボルテックスミキサーにて攪拌・溶解し、その後、泡の消失までの時間を測定した。その結果、実施例1、2のコラーゲンペプチド組成物は、30分で泡が消失した。また、比較例2のコラーゲンペプチド組成物は、60分で約半分の泡が消失した。一方、比較例1及び参考例1のコラーゲンペプチド組成物は、60分でも泡が消失しなかった。
【0062】
<試験例5>(コラーゲンペプチドの低臭気性)
実施例1及び比較例1,2のコラーゲンペプチド組成物について、コラーゲンペプチドに含まれる揮発性成分をガスクロマトグラフィーにより分析し、内部標準物質で補正したピーク全体の面積を香気成分量として比較した。その結果、実施例1のコラーゲンペプチド粉体組成物の香気成分量は、比較例1のコラーゲンペプチド噴霧乾燥粉体組成物、及び比較例2のコラーゲンペプチド・ドラム乾燥粉体組成物の香気成分量に対して、それぞれ約50%及び約25%まで低減していた。また、官能評価でも同様に、実施例1のコラーゲンペプチド粉体組成物の臭いは、比較例1,2のコラーゲンペプチド組成物に比べて、明らかに弱く感じられた。
【0063】
<試験例6>(コラーゲンペプチドの溶解性 その2)
実施例1で得られたコラーゲンペプチド粉体組成物、及び比較例1で得られたコラーゲンペプチド噴霧乾燥粉体組成物を、表2に示す配合で、それぞれ水(25℃)95mlが入った200ml容ビーカーに添加し、同一の条件で攪拌を行いその全部が溶解するまでの時間を測定した。その結果を、参考例1で得られたコラーゲンペプチド顆粒の溶解時間と併せて表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
その結果、実施例1で得られたコラーゲンペプチド粉体組成物、及び比較例1で得られたコラーゲンペプチド噴霧乾燥粉体組成物を、それぞれ単独で溶解するよりも、それぞれを混在させて溶解したほうが、溶解時間が短くなることが明らかとなった。
<試験例7>(コラーゲンペプチド溶液の着色度)
実施例1、比較例1、2及び参考例1で得られたコラーゲンペプチド組成物の各10gと水(25℃)10mlをそれぞれ試験管内に入れ、ボルテックスミキサーにて攪拌・溶解し、着色度の指標として、420nmの吸光度を測定した。その結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
【0067】
その結果、実施例1、比較例1、参考例1で得られたコラーゲンペプチド組成物についてはやや黄色味がかった溶液であり、比較的低い吸光度であった。一方、比較例2で得られたコラーゲンペプチドについては黄色に呈した溶液で、吸光度は他のものと比較して高い値であった。
【0068】
<実施例3>
実施例1で得られたコラーゲンペプチド粉体組成物を用いて、表4に示す配合により各原料を調合して、常法に従って、飲料を製造した。
【0069】
【表4】
【0070】
その結果、コラーゲンペプチドの水への溶解工程において、ダマの発生、気泡による白濁等の不具合は発生せずに、製造は円滑に行われた。また、この飲料はコラーゲンペプチド特有の臭いもなく、非常に飲みやすい飲料であった。