(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弁座は、円形開口部の周囲に形成され、円板状弁体の縁部が前記弁座の円形開口部の縁部で該弁座に当接して該弁体が該弁座に着座することを特徴とする請求項1又は2に記載の三方電動弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の四方切換弁を一般的な冷暖房システムに用いた場合には、主弁部と副弁部の差圧は3MPa程度であるが、例えば二酸化炭素を冷媒として用いると、この差圧が10MPa程度に上昇する。主ポペット弁の切換により生ずるシステム内の圧力差で副ポペット弁が移動する構造であるため、その圧力差自体の安定性が副ポペット弁の切換動作の性能を左右するという問題があった。また、この四方切換弁では、主ポペット弁は大流量の冷媒を流す口径が必要であるため、ソレノイドコイルの大型化が不可欠であるという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、二酸化炭素等の高圧冷媒を用いた場合でも、冷媒の圧力差を必要とせずに冷媒流路を切り換えることができるとともに、アクチュエータの大型化を招くことなく大流量の冷媒を流すことも可能な三方電動弁及びヒートポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、1つの流入口と2つの流出口とを備える弁本体と、該弁本体内で前記流入口と前記2つの流出口の各々との間に位置する2つの弁座と、前記弁本体内で前記2つの弁座の間に位置する弁体と、該弁体に一体化された弁棒と、該弁棒にボールを介して当接する回転軸と、電動モータのロータが回転することで、前記回転軸を回転させながら軸方向に移動させるねじ機構と、前記弁体が前記2つの弁座のいずれか一方へ着座する際の衝撃を緩和する緩衝手段と、前記弁体を前記2つの弁座のいずれか他方へ弾性力によって付勢する付勢手段とを備え、前記電動モータのロータが回転して前記回転軸が前記ねじ機構を介して回転移動し、該回転軸の回転移動によって前記弁体が前記ボール及び前記弁棒を介して回転を伴わずに移動し、該弁体が前記緩衝手段によって弁座に着座する際の衝撃を緩和されながら、前記2つの弁座の一方へ着座し、前記電動モータのロータが前記とは逆方向に回転して前記回転軸が前記ねじ機構を介して前記とは逆方向に回転移動し、該回転軸の回転移動によって前記弁体が前記とは逆方向に移動し、該弁体が前記付勢手段によって弁座に着座する際の衝撃を緩和されながら、前記2つの弁座の他方へ着座し、その際に前記回転軸
の前記ボールと前記弁棒とが
離間することを特徴とする。
【0007】
そして、本発明にかかる三方電動弁によれば、ヒートポンプ装置等に用いて冷媒流路の切換えを行うことができ、電動モータとねじ機構によって弁体を移動させる電動弁を用いるため、アクチュエータの大型化を招くことなく弁体の移動量を大きくすることができ、大流量の冷媒を流すことも可能となる。これに加え、弁体が緩衝手段によって弁座に着座する際の衝撃を緩和されながら2つの弁座の一方へ着座し、弁体が付勢手段によって弁座に着座する際の衝撃を緩和されながら2つの弁座の他方へ着座し、その際に回転軸
のボールと弁棒とが
離間する構成であるため、弁体が弁座から離脱し難くなることを防止し、三方電動弁がロックすることを未然に防止することができる。
【0008】
また、本発明は、1つの流出口と2つの流入口とを備える弁本体と、該弁本体内で前記流出口と前記2つの流入口の各々との間に位置する2つの弁座と、前記弁本体内で前記2つの弁座を挟んで相対向する位置に配置され、一体化された2つの弁体と、該一体化された2つの弁体に一体化された弁棒と、該弁棒にボールを介して当接する回転軸と、電動モータのロータが回転することで、前記回転軸を回転させながら軸方向に移動させるねじ機構と、前記2つの弁体のいずれか一方が前記2つの弁座のいずれか一方へ着座する際の衝撃を緩和する緩衝手段と、前記2つの弁体のいずれか他方を、前記2つの弁座のいずれか他方へ弾性力によって付勢する付勢手段とを備え、前記電動モータのロータが回転して前記回転軸が前記ねじ機構を介して回転移動し、該回転軸の回転移動によって前記一体化された2つの弁体が前記ボール及び前記弁棒を介して回転を伴わずに移動し、前記2つの弁体の一方が前記緩衝手段によって前記2つの弁座の一方へ着座する際の衝撃を緩和されながら該弁座に着座し、前記電動モータのロータが前記とは逆方向に回転して前記回転軸が前記ねじ機構を介して前記とは逆方向に回転移動し、該回転軸の回転移動によって前記一体化された2つの弁体が前記とは逆方向に移動し、前記2つの弁体の他方が前記付勢手段によって弁座に着座する際の衝撃を緩和されながら、前記2つの弁座の他方へ着座し、その際に前記回転軸
の前記ボールと前記弁棒とが
離間することを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる三方電動弁
によれば、上記三方電動弁と同様に、ヒートポンプ装置等において冷媒流路の切換えなどを行うことができ
、アクチュエータの大型化を招くことなく弁体の移動量を大きくすることができて大流量の冷媒を流すことも可能で、弁体が弁座から離脱し難くなることを防止して三方電動弁がロックすることを未然に防止することもできる。
【0010】
上記各々の三方電動弁において、前記弁座は、円形開口部の周囲に形成され、円板状弁体の縁部が前記弁座の円形開口部の縁部で該弁座に当接して該弁体が該弁座に着座するように構成することができる。これにより、シール性のよい弁を構成しながら、弁がロックすることも未然に防止することができる。
【0011】
また、本発明は、ヒートポンプ装置であって、圧縮機の吐出口から室内側熱交換器又は室外側熱交換器への冷媒流路を切り換える第1の三方電動弁と、前記室内側熱交換器又は前記室外側熱交換器から前記圧縮機の吸入口への冷媒流路を切り換える第2の三方電動弁と、前記室内側熱交換器と前記室外側熱交換器とを接続する冷媒流路に配置された膨張弁とを備え、前記第1の三方電動弁は、前記圧縮機の吐出口に連通する流入口と、前記室内側熱交換器又は前記室外側熱交換器に接続された配管に連通する2つの流出口とを備える弁本体と、該弁本体内で前記流入口と前記2つの流出口の各々との間に位置する2つの弁座と、前記弁本体内で前記2つの弁座の間に位置する弁体と、該弁体に一体化された弁棒と、該弁棒にボールを介して当接する回転軸と、電動モータのロータが回転することで、前記回転軸を回転させながら軸方向に移動させるねじ機構と、前記弁体が前記2つの弁座のいずれか一方へ着座する際の衝撃を緩和する緩衝手段と、前記弁体を前記2つの弁座のいずれか他方へ弾性力によって付勢する付勢手段とを備え、前記電動モータのロータが回転して前記回転軸が前記ねじ機構を介して回転移動し、該回転軸の回転移動によって前記弁体が前記ボール及び前記弁棒を介して回転を伴わずに移動し、該弁体が前記緩衝手段によって弁座に着座する際の衝撃を緩和されながら、前記2つの弁座の一方へ着座し、前記電動モータのロータが前記とは逆方向に回転して前記回転軸が前記ねじ機構を介して前記とは逆方向に回転移動し、該回転軸の回転移動によって前記弁体が前記とは逆方向に移動し、該弁体が前記付勢手段によって弁座に着座する際の衝撃を緩和されながら、前記2つの弁座の他方へ着座し、その際に前記回転軸
の前記ボールと前記弁棒とが
離間し、前記第2の三方電動弁は、前記圧縮機の吸入口に連通する流出口と、前記室内側熱交換器又は前記室外側熱交換器に接続された配管に連通する2つの流入口とを備える弁本体と、該弁本体内で前記流出口と前記2つの流入口の各々との間に位置する2つの弁座と、前記弁本体内で前記2つの弁座を挟んで相対向する位置に配置され、一体化された2つの弁体と、該一体化された2つの弁体に一体化された弁棒と、該弁棒にボールを介して当接する回転軸と、電動モータのロータが回転することで、前記回転軸を回転させながら軸方向に移動させるねじ機構と、前記2つの弁体のいずれか一方が前記2つの弁座のいずれか一方へ着座する際の衝撃を緩和する緩衝手段と、前記2つの弁体のいずれか他方を、前記2つの弁座のいずれか他方へ弾性力によって付勢する付勢手段とを備え、前記電動モータのロータが回転して前記回転軸が前記ねじ機構を介して回転移動し、該回転軸の回転移動によって前記一体化された2つの弁体が前記ボール及び前記弁棒を介して回転を伴わずに移動し、前記2つの弁体の一方が前記緩衝手段によって前記2つの弁座の一方へ着座する際の衝撃を緩和されながら該弁座に着座し、前記電動モータのロータが前記とは逆方向に回転して前記回転軸が前記ねじ機構を介して前記とは逆方向に回転移動し、該回転軸の回転移動によって前記一体化された2つの弁体が前記とは逆方向に移動し、前記2つの弁体の他方が前記付勢手段によって弁座に着座する際の衝撃を緩和されながら、前記2つの弁座の他方へ着座し、その際に前記回転軸
の前記ボールと前記弁棒とが
離間することを特徴とする。
【0012】
このヒートポンプ装置によれば、第1及び第2の三方電動弁の各々が独立して開閉動作を行うことができるため、システム内の冷媒圧力が安定しない状態においても、冷媒流路の切換えを円滑に行うことができる。また、電動モータとねじ機構によって弁体を移動させる電動弁を用いるため、アクチュエータの大型化を招くことなく各々の弁の弁体の移動量を大きくすることができ、大流量の冷媒を流すことも可能となる。これに加え、第1及び第2の三方電動弁の各々は、弁体(又は一体化された2つの弁体)が緩衝手段によって弁座に着座する際の衝撃を緩和されながら2つの弁座の一方へ着座し、弁体が付勢手段によって弁座に着座する際の衝撃を緩和されながら2つの弁座の他方へ着座し、その際に回転軸
のボールと弁棒とが
離間する構成であるため、弁体が弁座から離脱し難くなることを防止し、三方電動弁がロックすることを未然に防止し、ヒートポンプ装置の安定運転を確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、二酸化炭素等の高圧冷媒を用いた場合でも、冷媒の圧力差を必要とせず冷媒流路を切り換えることができるとともに、アクチュエータの大型化を招くことなく大流量の冷媒を流すことも可能
で、三方電動弁がロックすることを未然に防止することもできる三方電動弁及びヒートポンプ装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明にかかるヒートポンプ装置を利用した冷暖房システムの一例を示す。この冷暖房システム1は、冷媒としてCO
2を用い、圧縮機2の吐出口から室内側熱交換器3又は室外側熱交換器4への冷媒流路を切り換える第1の三方電動弁11と、室内側熱交換器3又は室外側熱交換器4から圧縮機2の吸入口への冷媒流路を切り換える第2の三方電動弁12と、室内側熱交換器3と室外側熱交換器4とを接続する冷媒流路に配置された膨張弁5とを備える。圧縮機2、室内側熱交換器3、室外側熱交換器4及び膨張弁5は、一般的な冷暖房システムに用いられるものである。
【0017】
第1の三方電動弁11は、
図2に示すように、弁本体21内の弁室24に、弁体22と、弁体22を挟んで相対向する位置に配置された2つの弁座26、27とを備え、弁体22が電動弁アクチュエータ41によって上下方向に移動し、弁座26、27のいずれか一方に着座することにより冷媒流路を切り換える。
【0018】
弁本体21は、圧縮機2の吐出口に連通する入口配管28が接続される流入口21aと、室内側熱交換器3又は室外側熱交換器4に接続された2つの出口配管29、30が接続される流出口21b、21cと、内部の弁室24に、弁体22を一体化した弁棒25と、弁体22を上方に付勢するコイルばね23を備え、弁本体21の上面開口を塞ぐように、蓋体31が弁本体21に固定されている。弁棒25は、その上端部において、回転軸32の下端部に溶接等で固着されたボール33に当接し、回転軸32の回転下降時には、弁棒25がボール33によって下方に押圧されて下降し、回転軸32の回転上昇時には、弁体22が弁座26に着座するまでは、コイルばね23の弾性力により、弁棒25は回転軸32の上昇に追従して上昇し、弁体22が弁座26に着座した後は、ボール33が弁棒25の上端部から離れ、回転軸32のみが上昇するように構成される。
【0019】
電動弁アクチュエータ41は、
図4に示すように、蓋体31から上方に突出するキャン42と、キャン42の内部に設けられ、回転軸32を上下方向に駆動する駆動機構43と、キャン42の外周部に装着され、駆動機構43を駆動する電磁力を発生させるコイルモールド体44と、コイルモールド体44を蓋体31に固定する固定部材46とを備える。
【0020】
有蓋円筒状のキャン42の下端部は、蓋体31の上部の段部に突き合わせ溶接され、キャン42の内部には、回転軸32を上下方向に駆動する駆動機構43として、ロータ(永久磁石)47、雄ねじ管48、弁軸ホルダ49等が配置される。
【0021】
ロータ47は、弁軸ホルダ49に止環50を介して結合される。止環50の内周孔部に弁軸ホルダ49の上部突部が嵌合され、この突部の外周をかしめ固定して、ロータ47、止環50及び弁軸ホルダ49が一体的に結合される。
【0022】
弁軸ホルダ49は、雄ねじ管48の外側に位置する下方開口の円筒形状に形成され、その内周面に、雄ねじ管48の雄ねじ部48aと螺合する雌ねじ部49aが螺設される。弁軸ホルダ49の上部には、回転軸32の段部を介して形成された上部縮径部32aが上下動可能に挿通され、該上部縮径部32aはプッシュナット51と圧入等により連結される。
【0023】
回転軸32は、その下端部にボール33が溶接固定され、弁軸ホルダ49の中心に上下動可能に嵌挿される。回転軸32は、弁軸ホルダ49内の上部縮径部32aと雄ねじ管48の上部内壁との間に縮装されたコイルばね53によって常時下方に付勢される。尚、コイルばね53の弾性力は、コイルばね23の弾性力よりも大きい。
【0024】
雄ねじ管48は、その外周面に、雄ねじ部48aが螺設され、雄ねじ管48には、ストッパ機構の一方を構成する下ストッパ体54が固着される。一方、弁軸ホルダ49には、ストッパ機構の他方を構成する上ストッパ体55が固着され、下ストッパ体54と当接可能に構成される。
【0025】
回転軸32の上端部には、動作時に回転軸32が上方に移動し過ぎて雄ねじ管48の雄ねじ部48aと弁軸ホルダ49の雌ねじ部49aとの螺合が外れたときに、弁軸ホルダ49を雄ねじ管48側に付勢する復帰ばね52が設けられる。
【0026】
コイルモールド体44は、ステータ56を備え、ステータ56は、磁性材により構成されるヨークと、ヨークにボビンを介して巻回されるコイルとを上下2段にわたって配置して構成され、このステータ56とロータ47とでステッピングモータを構成する。また、コイルモールド体44から、ステータ56のコイルに接続された複数のリード端子57が突出し、このリード端子57に基板58を介して複数のリード線59が接続される。
【0027】
上記構成を有する第1の三方電動弁11は、ステータ56のコイルに一方向の通電を行い励磁すると、ロータ47が回転し、これに伴い、弁軸ホルダ49が雄ねじ管48に対して相対的に回転する。ここで、雄ねじ管48の下部が蓋体31に固定されているため、雄ねじ管48の雄ねじ部48aと、弁軸ホルダ49の雌ねじ部49aとのねじ送り機構により、例えば、回転軸32が下降し、弁棒25と一体の弁体22が下降して弁座27に着座し、流出口21cへの流路を閉じて
図2に示す状態となる。この着座により、弁体22は停止するが、ロータ47は回転(下降)を続け、コイルばね53はさらに圧縮される。その後、ストッパ機構の下ストッパ体54と上ストッパ体55とが当接することで、ロータ47の回転は停止する。
【0028】
次に、
図2に示す状態でステータ56のコイルに他方向の通電を行い励磁すると、蓋体31に固着された雄ねじ管48に対し、ロータ47が前記と逆方向に相対的に回転し、前記ねじ送り機構により、回転軸32が上昇し、弁棒25と一体の弁体22が上昇して弁座26に着座し、流出口21bへの流路を閉じて
図3に示す状態となる。
【0029】
上記第1の三方電動弁11の流路の切換動作において、回転軸32が下降し、弁体22が弁座27に当接する際には(
図2参照)、弁体22の着座後は、ロータ47が回転を続けてもロータ47の回転力は直接弁体22へは伝わらず、弁体22はコイルばね53のさらなる圧縮による弾発力を受けるのみとなる。コイルばね53によって弁体22が弁座27に当接した際の衝撃を緩和するとともに、ストッパ機構によりロータ47の回転が制限され、また弁体22を下方からコイルばね23によって付勢しているため、弁体22が弁座27から離脱し難くなることはない。
【0030】
一方、回転軸32が上昇し、弁体22が弁座26に当接する際には(
図3参照)、上述のような緩衝機構やストッパ機構が存在しないため、ロータ47の回転に伴って回転軸32が上昇し続ける。そのため、弁棒25と回転軸32とが一体に構成されていると、駆動機構43のねじ推力による増し締めにより、弁体22が弁座26から離脱し難くなり、第1の三方電動弁11がロックする懸念がある。
【0031】
そこで、第1の三方電動弁11では、上述のように、ボール33を介して回転軸32と弁棒25とを当接させ、弁体22が弁座26に当接すると、回転軸32のみが上昇して弁棒25が回転軸32に追従して上昇することなく、コイルばね23の弾性力のみによって弁体22を弁座26に当接させることで、弁体22が弁座26から離脱し難くなることを防止し、第1の三方電動弁11がロックすることを未然に防いでいる。特に、
図5に示すように、シール性を向上させるため、弁座26が上面視円形の開口部26aの周囲に形成され、上面視円板状の弁体22の縁部が弁座26の開口部26aの縁部で当接する場合には、弁体22の縁部が弁座26に当接して押圧された後、楔効果により弁体22が弁座26からさらに離脱し難くなるため、上記構成による効果が大きい。
【0032】
上記第1の三方電動弁11の動作により、
図2の状態では、弁体22が弁座27に当接し、入口配管28から出口配管30への冷媒の流れが妨げられ、入口配管28から弁室24に導入された圧縮機2からの高圧の冷媒は、出口配管29を介して室内側熱交換器3へ流入する。
【0033】
図2の状態において、電動弁アクチュエータ41のステッピングモータに、回転軸32の下降時とは逆位相でパルス供給を行い、回転軸32を上昇させ、弁体22を弁座26に着座させると、
図3に示すように、入口配管28から弁室24に導入された圧縮機2からの高圧の冷媒は、出口配管30を介して室外側熱交換器4へ流入する。
【0034】
次に、第2の三方電動弁12の構成及び動作について、
図6及び
図7を中心に参照しながら説明する。
【0035】
この第2の三方電動弁12は、
図6に示すように、弁本体61内の弁室67に、2つの弁座65、66と、これらの弁座65、66を挟んで相対向する位置に配置された弁体62、63とを備え、弁体62、63が電動弁アクチュエータ41によって上下方向に移動し、弁体62、63のいずれか一方が弁座65、66のいずれか一方に着座することにより冷媒流路を切り換える。
【0036】
弁本体61は、圧縮機2の吸入口に連通する出口配管71が接続される流出口61aと、室内側熱交換器3又は室外側熱交換器4に接続された2つの入口配管69、70が接続される流入口61b、61cと、内部の弁室67に、弁体62、63を一体化した弁棒68と、弁体63を上方に付勢するコイルばね75を備え、弁本体61の上面及び下面開口を塞ぐように、蓋体72、73が各々弁本体61に固定されている。弁棒68は、その上端部において、回転軸74の下端部に溶接等で固着されたボール76に当接し、回転軸74の回転下降時には、弁棒68がボール76によって下方に押圧されて下降し、回転軸74の回転上昇時には、弁体63が弁座66に着座するまでは、コイルばね75の弾性力により、弁棒68は回転軸74の上昇に追従して上昇し、弁体63が弁座66に着座した後は、ボール76が弁棒68の上端部から離れ、回転軸74のみが上昇するように構成される。
【0037】
電動弁アクチュエータ41は、第1の三方電動弁11に付設された物と同一の構成を有し、電動弁アクチュエータ41の駆動機構43によって回転軸74が上下方向に移動し、これに伴い弁棒68と一体となった弁体62、63が上下方向に移動する。尚、
図6等において、
図3に示した電動弁アクチュエータ41の構成要素と同一の構成要素については、同一の参照番号を付して詳細説明を省略する。
【0038】
回転軸74は、その下端部にボール76が溶接固定され、弁軸ホルダ49の中心に上下動可能に嵌挿される。回転軸74は、弁軸ホルダ49内に縮装されたコイルばね53によって常時下方に付勢される。尚、コイルばね53の弾性力は、コイルばね75の弾性力よりも大きい。
【0039】
上記構成を有する第2の三方電動弁12は、ステータ56のコイルに一方向の通電を行い励磁すると、ロータ47が回転し、これに伴い、弁軸ホルダ49が雄ねじ管48に対して相対的に回転する。ここで、雄ねじ管48の下部が蓋体72に固定されているため、雄ねじ管48の雄ねじ部48a(
図4参照)と、弁軸ホルダ49の雌ねじ部49aとのねじ送り機構により、例えば、回転軸74が下降し、弁棒68と一体の弁体62が下降して弁座65に着座し、流出口61bへの流路を閉じて
図6に示す状態となる。この着座により弁体62は停止するが、ロータ47は回転(下降)を続け、コイルばね53はさらに圧縮される。その後、ストッパ機構の下ストッパ体54と上ストッパ体55とが当接することで、ロータ47の回転は停止する。
【0040】
次に、
図6に示す状態でステータ56のコイルに他方向の通電を行い励磁すると、蓋体72に固着された雄ねじ管48に対し、ロータ47が前記と逆方向に相対的に回転し、前記ねじ送り機構により、回転軸74が上昇し、弁棒68と一体の弁体63が上昇して弁座66に着座し、流出口61cへの流路を閉じて
図7に示す状態となる。
【0041】
上記第2の三方電動弁12の流路の切換動作において、回転軸74が下降し、弁体62が弁座65に着座する際には(
図6参照)、弁体62の着座後は、ロータ47が回転を続けてもロータ47の回転力は直接弁体62へは伝わらず、弁体62はコイルばね53のさらなる圧縮による弾発力を受けるのみとなる。このように、コイルばね53によって弁体62が弁座65に当接した際の衝撃を緩和するとともに、ストッパ機構によりロータ47の回転が制限され、また弁体62を下方からコイルばね75によって付勢しているため、弁体62が弁座65から離脱し難くなることはない。
【0042】
一方、回転軸74が上昇し、弁体63が弁座66に着座する際には(
図7参照)、上述のような緩衝機構やストッパ機構が存在しないため、ロータ47の回転に伴って回転軸74が上昇し続ける。そのため、弁棒68と回転軸74とが一体に構成されていると、駆動機構43のねじ推力による増し締めにより、弁体63が弁座66から離脱し難くなり、第2の三方電動弁12がロックする懸念がある。
【0043】
そこで、第2の三方電動弁12では、上述のように、ボール76を介して回転軸74と弁棒68とを当接させ、弁体63が弁座66に着座すると、回転軸74のみが上昇して弁棒68が回転軸74に追従して上昇することはなく、コイルばね75の弾性力のみによって弁体63を弁座66に着座させることで、弁体63が弁座66から離脱し難くなることを防止し、第2の三方電動弁12がロックすることを未然に防いでいる。特に、シール性を向上させるため、弁座66が、
図5に示した弁座26の場合と同様、弁座66が上面視円形の開口部の周囲に形成され、上面視円板状の弁体63の縁部が弁座66の開口部の縁部で当接する場合には、弁体63の縁部が弁座66に当接して押圧された後、楔効果により弁体63が弁座66からさらに離脱し難くなるため、上記構成による効果が大きい。
【0044】
上記第2の三方電動弁12の動作により、
図6の状態では、弁体62が弁座65に当接し、入口配管69から出口配管71への冷媒の流れが妨げられ、入口配管70から弁室67に導入された冷媒は、出口配管71を介して圧縮機2の吸入口へ流入する。
【0045】
図6の状態において、電動弁アクチュエータ41のステッピングモータに、回転軸74の下降時とは逆位相でパルス供給を行い、回転軸74を上昇させ、弁体63を弁座66に着座させると、
図7に示すように、入口配管69から弁室67に導入された冷媒は、出口配管71を介して圧縮機2の吸入口へ流入する。
【0046】
次に、上記構成を有する第1及び第2の三方電動弁11、12を用いた冷暖房システム1の動作について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。
【0047】
まず、冷房時の動作について
図8を参照しながら説明する。この場合には、第1の三方電動弁11において、出口配管29:閉状態、出口配管30:開状態、第2の三方電動弁12において、入口配管69:開状態、入口配管70:閉状態とする。これにより、圧縮機2より吐出した冷媒(CO
2)は、第1の三方電動弁11の入口配管28、出口配管30を経て室外側熱交換器4に至る。室外側熱交換器4から導出された冷媒は、膨張弁5を経て室内側熱交換器3に導入され、さらに冷媒は、第2の三方電動弁の入口配管69、出口配管71を経て圧縮機2に戻る。この場合、室内側熱交換器3は蒸発器として機能し、室外側熱交換器4は凝縮器として機能し、冷房運転となる。
【0048】
尚、この冷房運転において、圧縮機2より吐出され、第1の三方電動弁11の入口配管28、出口配管30を経て室外側熱交換器4に至る冷媒の一部は、破線で示す流路を経て第2の三方電動弁12の入口配管70に導入される。この入口配管70に導入された冷媒により、入口配管70内の圧力が弁室67側よりも高くなり、弁体63に対して該弁体63を弁座66の方向へ押圧する圧力がかかる。これにより、第2の三方電動弁12の開閉状態は安定する。同様に、第1の三方電動弁11の出口配管29の圧力は、出口配管30の圧力よりも低いため、第1の三方電動弁11の開閉状態は安定する。
【0049】
次に、冷房運転から暖房運転への切換動作について説明する。
図8の状態で、圧縮機2の運転を停止して第1の三方電動弁11への冷媒の導入を停止する。これにより、第1の三方電動弁11、第2の三方電動弁12の弁前後の差圧を低下させ、電動弁アクチュエータ41のステッピングモータにかかる負荷を低減し、第1の三方電動弁11の出口配管29、30の開閉と、第2の三方電動弁12の入口配管69、70の開閉を電動弁アクチュエータ41により切り換える。これにより、冷房運転から暖房運転への切換動作が終了する。
【0050】
次に、暖房時の動作について
図9を参照しながら説明する。この場合には、第1の三方電動弁11において、出口配管29:開状態、出口配管30:閉状態、第2の三方電動弁12において、入口配管69:閉状態、入口配管70:開状態とする。これにより、圧縮機2より吐出した冷媒(CO
2)は、第1の三方電動弁11の入口配管28、出口配管29を経て室内側熱交換器3に至る。室内側熱交換器3から導出された冷媒は、膨張弁5を経て室外側熱交換器4に導入され、さらに冷媒は、第2の三方電動弁12の入口配管70、出口配管71を経て圧縮機2に戻る。この場合、室内側熱交換器3は凝縮器として機能し、室外側熱交換器4は蒸発器として機能し、暖房運転となる。
【0051】
尚、この暖房運転においても、上記冷房運転の場合と同様に、圧縮機2より吐出され、第1の三方電動弁11の入口配管28、出口配管29を経て室内側熱交換器3に至る冷媒の一部が、破線で示す流路を経て第2の三方電動弁12の入口配管69に導入される。この入口配管69に導入された冷媒により、入口配管69内の圧力が弁室67側よりも高くなり、弁体62に対して該弁体62を弁座65の方向へ押圧する圧力がかかる。これにより、第2の三方電動弁12の開閉状態は安定する。同様に、第1の三方電動弁11の出口配管30の圧力は、出口配管29の圧力よりも低いため、第1の三方電動弁11の開閉状態は安定する。
【0052】
上記冷房運転から暖房運転への切換え、及び暖房運転から冷房運転への切換えの際には、第1及び第2の三方電動弁11、12が、電動弁アクチュエータ41により、各々独立して冷媒流路の切換を行うため、冷暖房システム1内の冷媒の圧力が安定していない状態においても第1及び第2の三方電動弁11、12の開閉の状態を維持することができ、冷暖房システム1の安定運転を維持することができる。
【0053】
また、本実施の形態では、第1及び第2の三方電動弁11、12の電動弁アクチュエータ41のステッピングモータの回転により弁体22、62、63を移動させるため、アクチュエータを大型化することなく、各々の弁11、12の弁体22、62、63の移動量を大きくすることができ、冷暖房システム1に大流量の冷媒を流すことも可能となる。尚、冷媒はCO
2であるものとしたが、いかなる冷媒にも適用可能であることは言うまでもない。