【実施例1】
【0019】
図1〜
図5に示すように、本実施例の引き出し1は、底板2と、左右の側板3、3と、両側板3よりも上下寸法の大きな背板4と、左右の側板3及び背板4よりも上下寸法の大きな前板5とを備え、これら底板2、両側板3、背板4、及び前板5により囲まれた内方には、上方に開放する方形の収納部6が形成されている。
【0020】
図3に示すように、底板2は、その前端が前板5の下端部の背面より離間して配設され、底板2の前端と前板5の下端部の背面とは、それらの間の隙間を閉塞する左右方向に長い薄板状の連結部材7により連結されている。この連結部材7は、底板2の上面よりも下方において底板2と前板5とを連結する水平片7aと、その後端より起立する、左右寸法が左右の側板3の対向面間の寸法よりも若干短寸の起立片7bとからなり、側面形はほぼ前向L字状断面をなしている。
【0021】
起立片7bは、上記収納部6内を、前板5の背面側の小収納部8と、その後方の大収納部9とに区画する左右方向の仕切板を兼ねている。起立片7bの上下寸法は、側板3の上部に設けられる後記する補助側板14の高さよりも若干小とされている。
【0022】
小収納部8には、まな板や包丁等の調理用具を収納する複数(本実施例では3個)の収納体10が、取外し可能に収容されている。各収納体10の上面は、前上方に向かって凹曲面状になだらかに湾曲する傾斜面とされ、かつ上面同士は互いに同一面に整合している。なお、各収納体10の上面は、平坦面またはその他の形状としてもよい。
【0023】
図3に示すように、各収納体10の前後の上端には、それぞれ、前下向き鉤状の係止部11と、後下向き鉤状の係止部12とが連設され、前部の係止部11を、前板5の背面の上下方向の中間部に設けた、側面視上向きコ字状断面の左右方向を向くレール部材13に、後部の係止部12を、起立片7bの上端部に、それぞれ上方より着脱自在に係止することにより、各収納体10は、小収納部8に取外し可能に安定よく収容されている。なお、起立片7bの上端部は、若干前向きに折り曲げられて起立し、係止部12の後面と起立片7bの後面とが同一面をなすようにしてある。
【0024】
上記のように、前板5の背面と底板2とを離間させ、それらを、薄板状の連結部材7により連結するとともに、その水平片7aを底板2の下面よりも下方に位置させると、小収納部8の深さを大とすることができるので、その中に上下寸法の大きな収納体10を収容することができる。
【0025】
図4の拡大断面図にも示すように、左方の側板3の上部には、側板3の前後寸法とほぼ等しい長さの正面視または後面視下向きコ字状断面をなす合成樹脂等の補助側板14が、次のようにして取付けられている。
【0026】
すなわち、左方の側板3の上方において背板4の左側部の上端部と前板5との対向面間には、前後方向を向くガイドパイプ15が架設され、このガイドパイプ15に、補助側板14におけるガイドパイプ15の外径とほぼ等しいコ字状空間部を、その上端がガイドパイプ15の上面と当接するまで上方より嵌合するとともに、左右の垂下片14a、14aにより形成される下方に開口する下端部を、側板3の上端部に係止することにより、側板3の上部に、補助側板14が上向きとして取付けられている。なお、ガイドパイプ15は、前述したように、キッチンキャビネット用の引き出しに一般的に設けられているもので、本発明では、ガイドパイプ15を利用して、補助側板14を、既存の引き出しにも後から追加して装着しうるようにしてある。尚、補助側板14内のガイドパイプ15は、コ字状空間部の上部と当接させず、途中の位置で嵌合させてもよい。
【0027】
補助側板14の前端部には、内側面が収納体10の外側面と当接する幅広部16と、下向片17とが一体的に形成されている。この幅広部16と下向片17は、側板3の内側面が外側方に傾斜する傾斜面とされ、その内側面と収納体10の外側面との間に隙間が形成されるため、その隙間を体裁よく閉塞するためのものであり、側板3が垂直をなすものにおいては、それらは不要である。なお、補助側板14の前端部である幅広部16の上面は、収納体10の上面と同一面に整合する湾曲面とされ、収納体10の上面と幅広部16の上面とを連続させて、見栄えがよくなるようにしてある。
【0028】
大収納部9内において右方の側板3側には、第2収納体18が設けられている。
【0029】
この第2収納体18は、
図5の拡大断面図にも示すように、背板4と仕切板としての起立片7b間の大収納部9内において、底板2の右側部の上面に載置された、ボトル等の下端部が収納可能なトレー19と、その外側縁より側板3の上方に起立し、下端部の外側面が側板3の内側面に当接する補助側板20とからなり、補助側板20の前端には、内側面が収納体10の外側面に当接する幅広の延長部20aが連設されている。
【0030】
補助側板20の上端部には、その上端を外下向き鉤状に折曲することにより、後面視下向きコ字状断面の掛止部20bが形成されている。この掛止部20bのコ字状空間部を、右方の側板3の上方において背板4の右側部の上端部と前板5との対向面間に架設された前後方向を向くガイドパイプ15に、上方より着脱可能に嵌合することにより、第2収納体18は、大収納部9内の右側部に、右方の側板3の内側面と当接するようにして取外し可能に収容されている。
【0031】
上記実施例1の引き出し1においては、上方に開放された収納部6を、仕切板である起立片7bをもって、収納体10が収容される小収納部8と、その後方の大収納部9とに明確に区画してあるので、小収納部8と大収納部9に、それぞれ、収納体10と他の物品とを見栄えよく整理して収納することができる。
【0032】
また、左方の側板3の上部には、上方を向く補助側板14が設けられ、また、大収納部9の右側部に収容した第2収納体18には、右方の側板3の上方に起立する補助側板20が設けられているので、大収納部9に収納した物品が、上下寸法の小さな左右の側板3を乗り越えて外方に落下したり、飛び出したりする恐れを小さくすることができ、従って、引き出しの出し入れに支障を来すのを防止することができる。
【0033】
さらに、大収納部9の右側部に、トレー19を有する第2収納体18を収容してあるので、大収納部9に、物品を種類ごとに整理して見栄えよく収納することができる。すなわち、例えばトレー19に、調理油や調理酒等、液だれし易いボトルなどを、大収納部9の他の収納物品と区別して収納することができ、他の収納物品に垂れた液体が付着するのを防止することができる。トレー19が垂れた液体等により汚れたときには、第2収納体18を取り外して清掃することができる。
【0034】
補助側板14及び第2収納体18の取付けは、単にガイドパイプ15に上方より嵌合するだけの簡単な作業で済むので、作業性がよく、かつ不要時には容易に取り外すことができる。
【0035】
また、側板3の上方にガイドパイプ15を有する既存の引き出しにも、補助側板14や第2収納体18を後から追加して簡単に取付けることもできる。
【0036】
収納体10の前後の上端に、係止部11、12を設け、それらを、前板5の背面の左右方向を向くレール部材13と、仕切板である起立片7bの上端部とに上方より着脱自在に係止しているので、小収納部8内に、複数の収納体10を、安定して収容することができるとともに、各収納体10の左右位置を、収納物品毎に任意に変更することができる。
【0037】
また、収納体10の外側面に係止部を設けていないので、収納体10の外側面を補助側板14、20の内側面と当接させることができ、引き出し内の見栄えが向上する。なお、収納体10の係止部11、12のいずれか一方を省略してもよい。前側の係止部11を省略する際は、レール部材13も不要となる。
【実施例2】
【0038】
次に、実施例2に係る引き出しにつき、
図6及び
図7を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。上記実施例1の引き出し1と異なるのは、第2収納体21の形状のみである。
【0039】
本実施例の第2収納体21は、上方が開放されたケース状をなし、その前後寸法は、背板4と前板5の対向面間の寸法とほぼ等しく、かつ上下寸法は、収納体10の上面と同一面をなす寸法とされている。
【0040】
第2収納体21の外方の上向片21aにおける下半部の外側面は、側板3の内側面に当接するとともに、上向片21aの上半部は、側板3の上方に延出する補助側板22とされている。
【0041】
補助側板22の上端には、上記と同様に、後面視下向きコ字状断面の掛止部22aが形成され、この掛止部22aのコ字状空間部を、上記と同様のガイドパイプ15に、上方より着脱可能に嵌合することにより、第2収納体21は、起立片7bと収納体10の外側面に当接または近接するようにして、収納部9内の右側部に取外し可能に収容されている。
【0042】
第2収納体21の内部には、上方に開放する複数の収納ケース23が、取外し自在に収容されている。
【0043】
この実施例2の引き出し1においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができるとともに、第2収納体21には複数の収納ケース23を取外し自在に収容してあるので、収納ケース23に収納したボトル等より液だれして内部が汚れたとしても、収納ケース23のみを取り外して簡単に清掃することができる。
【0044】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0045】
例えば、上記実施例では、側板3の上部に、補助側板14や第2収納体18、21を、ガイドパイプ15を利用して取付けているが、ガイドパイプ15のない引き出しにおいては、補助側板14や第2収納体18、21を、側板3や底板2等に、ねじ等により固定するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施例においては、引き出しの右側部のみに第2収納体18、21を設けているが、それらを左側部にも設けてもよいことは勿論である。
【0047】
さらに、上記実施例においては、第2収納体18、21の補助側板20、22の上端部のみを下向きコ字状断面としているが、掛止部20b、22aの外方の下向片を、左方の補助側板14のように側板3の上端部と当接する長さとし、補助側板20、22全体を上下方向に長いコ字状断面としてもよい。