特許第5726512号(P5726512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5726512コンタクト装置、測定システムおよび検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5726512
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】コンタクト装置、測定システムおよび検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20150514BHJP
   G01R 31/02 20060101ALI20150514BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   G01R1/073 F
   G01R31/02
   H05K3/00 T
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2010-292101(P2010-292101)
(22)【出願日】2010年12月28日
(65)【公開番号】特開2012-141148(P2012-141148A)
(43)【公開日】2012年7月26日
【審査請求日】2013年11月22日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】吉池 達悦
(72)【発明者】
【氏名】細谷 和俊
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 浩一
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−063788(JP,A)
【文献】 特開2000−338166(JP,A)
【文献】 特開2004−333459(JP,A)
【文献】 特開2000−227451(JP,A)
【文献】 特開平06−258374(JP,A)
【文献】 特開2001−033515(JP,A)
【文献】 特開昭59−075163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
G01R 31/02
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部の一面に複数の接触子が配列された測定用治具と、複数の測定点が規定された測定対象体および前記測定用治具の少なくとも一方を他方に対して移動させる移動機構と、前記各測定点のうちの任意の2つの間についての電気的パラメータを測定する測定装置に対する前記各接触子の接続態様を切り替える接続切替え部と、前記移動機構を制御して前記少なくとも一方を前記他方に対して移動させて前記各測定点のうちの少なくとも一部に対して前記各接触子のうちの一部をコンタクトさせると共に前記接続切替え部を制御して当該一部の接触子のうちのいずれかを前記測定装置に接続させる制御部とを備えたコンタクト装置であって、
前記測定用治具は、複数の接触子が相互に電気的に接続された状態で前記ベース部の一面に第1の向きに沿って配列された接触子列を複数有する接触子群を複数備えて当該各接触子群毎に当該各接触子列が当該第1の向きと交差する第2の向きに沿って並んで配置され、かつ当該各接触子群毎の前記第2の向きが互いに交差するように前記各接触子が配列されると共に、異なる前記各接触子群に属する前記各接触子が前記第1の向きおよび前記第2の向きにおいて交互に並ぶように前記各接触子列が配列され、
前記接続切替え部は、前記各接触子列を前記接続態様の切替え単位として当該各接触子列のうちの任意の2列を前記測定装置に接続可能に構成され、
前記移動機構は、前記測定対象体および前記測定用治具の少なくとも一方を他方に対する接近方向および離間方向に移動させる接離動機構と、前記測定対象体および前記測定用治具の少なくとも一方を他方における当該一方に対する対向面に沿って回転させる回転機構とを備えて構成され、
前記制御部は、前記測定装置が前記電気的パラメータを測定する前記任意の2つの測定点のうちの一方に対して前記各接触子列のうちの1つにおける前記各接触子のうちの少なくとも1個がコンタクトする第1の条件、前記任意の2つの測定点のうちの他方に対して前記各接触子列のうちの他の1つにおける前記各接触子のうちの少なくとも1個がコンタクトする第2の条件、および前記任意の2つの測定点に対して同じ前記接触子列に属する前記接触子がコンタクトしない第3の条件を前記少なくとも一方を前記接近方向に移動させたときにすべて満たす位置関係で前記測定対象体および前記測定用治具が対向するように前記移動機構を制御可能な制御データが予め記録された測定手順データに基づき、前記回転機構を制御して前記少なくとも一方を前記対向面に沿って回転させると共に、前記接離動機構を制御して前記少なくとも一方を前記前記接近方向に移動させ、かつ前記接続切替え部を制御して、前記1つの接触子列における前記各接触子、および前記他の1つの接触子列における前記各接触子を前記測定装置に接続させるコンタクト装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記測定対象体および前記測定用治具の少なくとも一方を他方における当該一方に対する対向面に沿って移動させる平行移動機構を備えて構成されている請求項1記載のコンタクト装置。
【請求項3】
前記測定対象体における一方の面に規定された前記各測定点にコンタクトさせる前記各接触子を有する前記測定用治具としての第1の測定用治具と、前記測定対象体における他方の面に規定された前記各測定点にコンタクトさせる前記各接触子を有する前記測定用治具としての第2の測定用治具と、前記第1の測定用治具および前記測定対象体の少なくとも一方を他方に対して移動させる前記移動機構としての第1の移動機構と、前記第2の測定用治具および前記測定対象体の少なくとも一方を他方に対して移動させる前記移動機構としての第2の移動機構とを備え、
前記第1の移動機構および前記第2の移動機構における前記回転機構は、前記測定対象体に対する前記第1の測定用治具の相対的な回転角と、前記測定対象体に対する前記第2の測定用治具の相対的な回転角とをそれぞれ独立して前記少なくとも一方を前記対向面に沿って回転可能に構成されている請求項1または2記載のコンタクト装置。
【請求項4】
前記測定用治具は、前記各接触端子列が互いに平行となるように前記各接触子が配列されている請求項1から3のいずれかに記載のコンタクト装置。
【請求項5】
前記測定用治具は、前記接触子と、前記測定点に対するコンタクト時に前記接触子を当該測定点に対して付勢する付勢部材とを備えて、前記接触子が前記付勢部材を介して前記ベース部に取り付けられている請求項1からのいずれかに記載のコンタクト装置。
【請求項6】
前記測定用治具は、前記接触子および前記付勢部材が導電性樹脂材料で一体成形されている請求項記載のコンタクト装置。
【請求項7】
前記測定用治具は、前記接触子としてのピンプローブが前記ベース部に植設されている請求項1からのいずれかに記載のコンタクト装置。
【請求項8】
前記測定用治具は、前記ベース部としてのプリント基板を備えて構成され、
前記プリント基板には、前記複数の接触子を相互に電気的に接続するための導体パターンが形成されている請求項1からのいずれかに記載のコンタクト装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれかに記載のコンタクト装置と、前記測定装置とを備えて、前記測定用治具の前記各接触子を介して前記各測定点のうちの任意の2点間の電気的パラメータを測定可能に構成されている測定システム。
【請求項10】
請求項記載の測定システムと、前記測定装置によって測定された前記電気的パラメータに基づいて前記測定対象体の良否を検査する検査部とを備えている検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定用治具に配列された複数の接触子を測定対象体の各測定点にコンタクトさせるコンタクト装置、およびそのコンタクト装置を備えて構成された測定システム、並びに、その測定システムを備えて構成された検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のコンタクト装置を備えた測定システムを有する検査システムとして、出願人は、プリント配線基板検査装置(以下、単に「検査装置」ともいう)を特開2002−189048号公報において開示している。出願人が開示している検査装置は、上側フィクスチャおよび下側フィクスチャを備えると共に、上側フィクスチャを昇降させる機構、および下側フィクスチャを昇降させる機構(以下、これらを「昇降機構」ともいう)を備えて構成されている。この場合、上側フィクスチャには、被検査基板(以下、「検査対象基板」ともいう)の一方の面(上面)に規定された複数の測定点(検査点)の位置や数に対応して複数のプローブピンが配設されている。また、下側フィクスチャには、検査対象基板の他方の面(下面)に規定された複数の測定点(検査点)の位置や数に対応して複数のプローブピンが配設されている。
【0003】
この検査装置による検査対象基板の検査に際しては、まず、両フィクスチャの間に検査対象基板を配置した状態において、両昇降機構によって両フィクスチャを検査対象基板に向けて昇降させる。この際には、検査対象基板における一方の面(上面)の各測定点に上側フィクスチャの各プローブピンがコンタクトさせられると共に、検査対象基板における他方の面(下面)の各測定点に下側フィクスチャの各プローブピンがコンタクトさせられる。次いで、両フィクスチャの各プローブピンを介して検査対象基板の任意の測定点間の電気的パラメータを順次測定し、その測定結果に基づいて測定点間に短絡や断線が生じているか否かが検査される。なお、出願人が開示している検査装置では、上側フィクスチャに設けられた切欠部を挿通可能に配設された導通部材を備え、検査対象基板の検査に際しては、この導通部材を利用した電気的検査が実施されるが、検査装置の構成および動作原理についての理解を容易とするために、この導通部材に関連する事項についての説明を省略する。
【0004】
一方、特開2003−207546号公報には、複数のセンサ要素が相互にシールドされた状態でマトリクス状に等間隔で配置されると共に、検査対象の基板(以下、「検査対象基板」ともいう)に検査信号を供給するための複数のコンタクトプローブ(検査プローブ)が配設されたセンサプローブボードと、任意の検査プローブを発振器に接続するマトリクスボードと、センサプローブボードからの信号に基づいて検査対象基板を電気的に検査するコントローラとを備えた検査システムが開示されている。この場合、上記のセンサプローブボードにおける各センサ要素は、配線パターン、ボンディング用パッドおよびケーブルを介して、上記のコントローラにそれぞれ接続されている。また、上記のマトリクスボードは、各検査プローブにつき1つのアナログスイッチ(または、リレー)を備え、各アナログスイッチの一方の端子がグラインド(アース)に接続されると共に、他方の端子が発振器に接続されている。
【0005】
この検査システムによる検査対象基板の検査に際しては、まず、センサプローブボードの各検査プローブを検査対象基板の配線パターンに接触させると共に各センサ要素を検査対象のパターンに対して対向配置させる。次いで、コントローラがマトリクスボードを制御することにより、任意の検査プローブに接続されているスイッチを接地させると共に、他のスイッチをオープン状態とさせる。これにより、接地されたスイッチに接続されている検査プローブを介して検査対象基板の配線パターンに発振器から検査信号が供給される。次いで、コントローラは、センサプローブボードの各センサ要素からの出力信号を順次A/D変換してメモリに記憶させた後に、記憶させたデジタルデータを、そのデジタルデータの基となる信号を出力したセンサ要素の位置に応じて配置することで画像データを生成する(画像処理の実行)。これにより、各検査プローブを介して配線パターンに検査信号を供給したことで検査対象のパターンから輻射(放射)された電界の強度分布を特定可能な画像がCRTに表示される。この後、検査対象基板の設計データと、CRTに表示された画像とに基づき、オペレータによって検査対象基板のパターン(配線パターン)の良否が検査される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−189048号公報(第3−5頁、第1−5図)
【特許文献2】特開2003−207546号公報(第3−11頁、第1−33図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、出願人が開示している検査装置、および従来の検査システムには、以下の解決すべき課題や問題点が存在する。すなわち、出願人が開示している検査装置では、検査対象基板における各測定点の位置や数に対応して複数のプローブピンを配設した上側フィクスチャおよび下側フィクスチャを使用して検査対象基板を検査する構成(各測定点間の電気的パラメータを測定する構成)が採用されている。したがって、出願人が開示している検査装置では、各測定点の位置や数が相違する検査対象基板を検査する際に、その検査対象基板における各測定点の位置や数に対応して複数のプローブピンを配設した上側フィクスチャおよび下側フィクスチャを別途用意する必要がある。また、出願人が開示している検査装置では、測定点の数と同数のプローブピンを配設すると共に、接続用配線を介してこれらすべてのプローブピンをスキャナ(接続切替え機)に対して個別に接続する必要がある。したがって、測定点の数が多い検査対象基板を検査するには、各プローブピンをスキャナに対して接続するための接続用配線の本数も多数となるため、この接続用配線の配線作業が煩雑となっている。
【0008】
さらに、測定点の数が多い検査対象基板を検査するには、多数のプローブピンを測定回路に対して個別的に接続/切断可能な大型のスキャナ(接続ポートやスイッチ等の数が多数のスキャナ)を搭載する必要がある。このように、出願人が開示している検査装置では、検査対象基板の種類毎に専用のフィクスチャを用意する必要性があり、また、各プローブピンのスキャナに対する配線作業が煩雑であると共に、大型のスキャナを搭載する必要があることから、検査装置の製造コストの低減が困難となっており、これに起因して、検査対象基板の検査に要するコストを低減するのが困難となっている。このため、この点を改善するのが好ましい。
【0009】
一方、従来の検査システムでは、複数のセンサ要素をマトリクス状に等間隔で配置したセンサプローブボードを使用して検査対象基板を検査するための画像データを取得する構成が採用されている。この従来の検査システムでは、種類が異なる検査対象基板毎にセンサプローブボードを用意する必要がないため、この点においては、検査システムの製造コストを低減できる可能性がある。しかしながら、従来の検査システムでは、センサプローブボードにおいて検査対象基板と対向する部位の全域に各センサ要素をマトリクス状に配置しているため、検査対象基板における各測定点の数と同数のピンプローブを配設した(測定点が存在しない部位にはピンプローブを配設していない)上記のフィクスチャにおけるピンプローブの数よりも、そのセンサ要素の数が非常に多くなっている。
【0010】
したがって、従来の検査システムでは、各センサ要素をスキャナ(各センサ要素からの出力信号を順次A/D変換器等に順次入力するための接続切替え機)に対して接続するための接続用配線の本数も多数となっており、この接続用配線の配線作業が、出願人が開示している検査装置における上記の配線作業よりも一層煩雑となっている。また、従来の検査システムでは、出願人が開示している検査装置のフィクスチャにおけるプローブピンの数よりも多数のセンサ要素をA/D変換器等に対して個別的に接続/切断可能とするために一層大型のスキャナを搭載する必要もある。このように、従来の検査システムでは、出願人が開示している検査装置と比較して、各センサ要素のスキャナに対する配線作業が一層煩雑であると共に、一層大型のスキャナを搭載する必要があることから、検査システムの製造コストを低減するのが困難となっており、これに起因して、検査対象基板の検査に要するコストを低減するのが困難となっているという問題点がある。
【0011】
本発明は、かかる解決すべき課題および問題点に鑑みてなされたものであり、測定や検査に要するコストを十分に低減し得るコンタクト装置、測定システムおよび検査システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すべく請求項1記載のコンタクト装置は、ベース部の一面に複数の接触子が配列された測定用治具と、複数の測定点が規定された測定対象体および前記測定用治具の少なくとも一方を他方に対して移動させる移動機構と、前記各測定点のうちの任意の2つの間についての電気的パラメータを測定する測定装置に対する前記各接触子の接続態様を切り替える接続切替え部と、前記移動機構を制御して前記少なくとも一方を前記他方に対して移動させて前記各測定点のうちの少なくとも一部に対して前記各接触子のうちの一部をコンタクトさせると共に前記接続切替え部を制御して当該一部の接触子のうちのいずれかを前記測定装置に接続させる制御部とを備えたコンタクト装置であって、前記測定用治具は、複数の接触子が相互に電気的に接続された状態で前記ベース部の一面に第1の向きに沿って配列された接触子列を複数有する接触子群を複数備えて当該各接触子群毎に当該各接触子列が当該第1の向きと交差する第2の向きに沿って並んで配置され、かつ当該各接触子群毎の前記第2の向きが互いに交差するように前記各接触子が配列されると共に、異なる前記各接触子群に属する前記各接触子が前記第1の向きおよび前記第2の向きにおいて交互に並ぶように前記各接触子列が配列され、前記接続切替え部は、前記各接触子列を前記接続態様の切替え単位として当該各接触子列のうちの任意の2列を前記測定装置に接続可能に構成され、前記移動機構は、前記測定対象体および前記測定用治具の少なくとも一方を他方に対する接近方向および離間方向に移動させる接離動機構と、前記測定対象体および前記測定用治具の少なくとも一方を他方における当該一方に対する対向面に沿って回転させる回転機構とを備えて構成され、前記制御部は、前記測定装置が前記電気的パラメータを測定する前記任意の2つの測定点のうちの一方に対して前記各接触子列のうちの1つにおける前記各接触子のうちの少なくとも1個がコンタクトする第1の条件、前記任意の2つの測定点のうちの他方に対して前記各接触子列のうちの他の1つにおける前記各接触子のうちの少なくとも1個がコンタクトする第2の条件、および前記任意の2つの測定点に対して同じ前記接触子列に属する前記接触子がコンタクトしない第3の条件を前記少なくとも一方を前記接近方向に移動させたときにすべて満たす位置関係で前記測定対象体および前記測定用治具が対向するように前記移動機構を制御可能な制御データが予め記録された測定手順データに基づき、前記回転機構を制御して前記少なくとも一方を前記対向面に沿って回転させると共に、前記接離動機構を制御して前記少なくとも一方を前記前記接近方向に移動させ、かつ前記接続切替え部を制御して、前記1つの接触子列における前記各接触子、および前記他の1つの接触子列における前記各接触子を前記測定装置に接続させる。この場合、「所定の向き(第1の向きおよび第2の向き)において交互に並ぶ」との状態には、「所定の向きに沿った直線上において交互に並ぶ」との状態だけでなく、「所定の向きに沿って千鳥足状に交互に並ぶ」との状態がこれに含まれる。
【0013】
請求項2記載のコンタクト装置は、請求項1記載のコンタクト装置において、前記移動機構は、前記測定対象体および前記測定用治具の少なくとも一方を他方における当該一方に対する対向面に沿って移動させる平行移動機構を備えて構成されている。
【0014】
請求項3記載のコンタクト装置は、請求項1または2記載のコンタクト装置において、前記測定対象体における一方の面に規定された前記各測定点にコンタクトさせる前記各接触子を有する前記測定用治具としての第1の測定用治具と、前記測定対象体における他方の面に規定された前記各測定点にコンタクトさせる前記各接触子を有する前記測定用治具としての第2の測定用治具と、前記第1の測定用治具および前記測定対象体の少なくとも一方を他方に対して移動させる前記移動機構としての第1の移動機構と、前記第2の測定用治具および前記測定対象体の少なくとも一方を他方に対して移動させる前記移動機構としての第2の移動機構とを備え、前記第1の移動機構および前記第2の移動機構における前記回転機構は、前記測定対象体に対する前記第1の測定用治具の相対的な回転角と、前記測定対象体に対する前記第2の測定用治具の相対的な回転角とをそれぞれ独立して前記少なくとも一方を前記対向面に沿って回転可能に構成されている。
【0015】
請求項4記載のコンタクト装置は、請求項1から3のいずれかに記載のコンタクト装置において、前記測定用治具は、前記各接触端子列が互いに平行となるように前記各接触子が配列されている。
【0018】
請求項記載のコンタクト装置は、請求項1からのいずれかに記載のコンタクト装置において、前記測定用治具は、前記接触子と、前記測定点に対するコンタクト時に前記接触子を当該測定点に対して付勢する付勢部材とを備えて、前記接触子が前記付勢部材を介して前記ベース部に取り付けられている。
【0019】
請求項記載のコンタクト装置は、請求項記載のコンタクト装置において、前記測定用治具は、前記接触子および前記付勢部材が導電性樹脂材料で一体成形されている。
【0020】
請求項記載のコンタクト装置は、請求項1からのいずれかに記載のコンタクト装置において、前記測定用治具は、前記接触子としてのピンプローブが前記ベース部に植設されている。
【0021】
請求項記載のコンタクト装置は、請求項1からのいずれかに記載のコンタクト装置において、前記測定用治具は、前記ベース部としてのプリント基板を備えて構成され、前記プリント基板には、前記複数の接触子を相互に電気的に接続するための導体パターンが形成されている。
【0022】
請求項記載の測定システムは、請求項1からのいずれかに記載のコンタクト装置と、前記測定装置とを備えて、前記測定用治具の前記各接触子を介して前記各測定点のうちの任意の2点間の電気的パラメータを測定可能に構成されている。
【0023】
請求項10記載の検査システムは、請求項記載の測定システムと、前記測定装置によって測定された前記電気的パラメータに基づいて前記測定対象体の良否を検査する検査部とを備えている。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載のコンタクト装置では、複数の接触子が相互に電気的に接続された状態でベース部の一面に第1の向きに沿って配列された接触子列を複数備えると共に各接触子列が第1の向きと交差する第2の向きに沿って並んで配置された測定用治具を用いる。この際に、測定装置が電気的パラメータを測定する任意の2つの測定点のうちの一方に対して各接触子列のうちの1つにおける各接触子のうちの少なくとも1個がコンタクトする第1の条件、任意の2つの測定点のうちの他方に対して各接触子列のうちの他の1つにおける各接触子のうちの少なくとも1個がコンタクトする第2の条件、および任意の2つの測定点に対して同じ接触子列に属する接触子がコンタクトしない第3の条件を測定対象体および測定用治具の少なくとも一方を他方に対する接近方向に移動させたときにすべて満たす位置関係で測定対象体および測定用治具が対向するように移動機構を制御可能な制御データが予め記録された測定手順データに基づき、制御部が、測定対象体および測定用治具の少なくとも一方を回転機構によって他方における一方に対する対向面に沿って回転させると共に、測定対象体および測定用治具の少なくとも一方を接離動機構によって他方に対する接近方向に移動させ、かつ、1つの接触子列における各接触子、および他の1つの接触子列における各接触子を接続切替え部によって測定装置に接続させる。
【0025】
したがって、請求項1記載のコンタクト装置によれば、移動機構(回転機構)によって測定用治具および測定対象体の少なくとも一方を他方における一方に対向する対向面に沿って回転させることで測定対象体の各測定点に対する各接触子の相対的な位置を容易に変更することができるため、各測定点の規定位置が相違する複数種類の測定対象体に対して測定用治具の各接触子を確実かつ容易にコンタクトさせることができる。このため、種類が相違する測定対象体毎に専用の測定用治具を製造するのと比較して、コンタクト装置の製造コストを低減することができる結果、測定装置による電気的パラメータの測定に要するコストを十分に低減することができる。また、このコンタクト装置によれば、複数の接触子を相互に接続した接触子列毎に接続切替え部に対して接続する構成を採用したことで、各センサ要素を個別的にスキャナに接続する必要がある従来の検査システムと比較して、測定用治具と接続切替え部との間を接続する接続用配線の本数を少数とすることができる結果、配線作業が容易になるだけでなく、接続ポートの数が少ない接続切替え部を採用してコンタクト装置を構成することができるため、これら点においてもコンタクト装置の製造コストを低減することができる結果、測定装置による電気的パラメータの測定に要するコストを十分に低減することができる。
また、このコンタクト装置によれば、複数の接触子列を有する接触子群を複数備えると共に、各接触子群毎の第2の向きが互いに交差するように各接触子を配列させて測定用治具を構成したことにより、1つの接触子群だけを有する測定用治具と比較して、より多くの測定点について「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たす位置関係となるように測定用治具および測定対象体を対向させることができるだけでなく、各接触子群毎に各接触子列における各接触子の配列方向(第1の向き)が相違する状態となっているため、各接触子の配列方向における端部において接続切替え部に対する接続用配線を引き出す場合には、この接続用配線の引き出し部の位置が各接触子群毎に大きく離間した状態となる結果、接続用配線の接続作業を一層容易とすることができる。
さらに、このコンタクト装置によれば、異なる各接触子群に属する各接触子が第1の向きおよび第2の向きにおいて交互に並ぶように各接触子列を配列させて測定用治具を構成したことにより、相互に絶縁された状態の「異なる接触子群に属する接触子」が測定用治具の一面における極く狭い領域内に隣接しているため、測定対象体の極く狭い領域内に複数の測定点が存在する場合においても、より多くの測定点に対して「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たすように相互に絶縁された状態の各接触子をコンタクトさせることができる。
【0026】
また、請求項2記載のコンタクト装置によれば、測定対象体および測定用治具の少なくとも一方を他方における一方に対する対向面に沿って移動させる平行移動機構を備えて移動機構を構成したことにより、回転機構による回転だけでは「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たす位置関係で測定用治具および測定対象体を対向させるのが困難な測定点が存在する場合においても、平行移動機構によって測定対象体および測定用治具の少なくとも一方を対向面に沿って平行移動させることで、より多くの測定点について「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たす位置関係となるように測定用治具および測定対象体を対向させることができる。
【0027】
また、請求項3記載のコンタクト装置によれば、測定対象体における一方の面に規定された各測定点にコンタクトさせる各接触子を有する第1の測定用治具および測定対象体の少なくとも一方を他方に対して移動させる第1の移動機構と、測定対象体における他方の面に規定された各測定点にコンタクトさせる各接触子を有する第2の測定用治具および測定対象体の少なくとも一方を他方に対して移動させる第2の移動機構とを備えると共に、測定対象体に対する第1の測定用治具の相対的な回転角と、測定対象体に対する第2の測定用治具の相対的な回転角とをそれぞれ独立して上記の少なくとも一方を他方における対向面に沿って回転可能に両移動機構における回転機構を構成したことにより、一方の面および他方の面において測定点の規定位置が相違する測定対象体に対しても、測定対象体に対する第1の測定用治具の相対的な回転角と、測定対象体に対する第2の測定用治具の相対的な回転角とを互いに相違させるように回転させることができるため、より多くの測定点について「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たす位置関係となるように測定用治具および測定対象体を対向させることができる。
【0028】
さらに、請求項4記載のコンタクト装置によれば、各接触端子列が互いに平行となるように各接触子を配列させて測定用治具を構成したことにより、各接触子列が互いに非平行の測定用治具と比較して、測定用治具を容易に設計、製造することができるため、コンタクト装置の製造コストを一層低減することができる結果、測定装置による電気的パラメータの測定に要するコストを一層低減することができる。
【0031】
また、請求項記載のコンタクト装置によれば、測定点に対するコンタクト時に接触子を測定点に対して付勢する付勢部材を介して接触子をベース部に取り付けて測定用治具を構成したことにより、測定対象体に反りや変形が生じている場合や、高さが相違する測定点に対しても、各測定点に対して各接触子を確実にコンタクトさせることができる。
【0032】
さらに、請求項記載のコンタクト装置によれば、接触子および付勢部材を導電性樹脂材料で一体成形して測定用治具を構成したことにより、接触子と付勢部材とを別個に形成して一体化させる作業が不要となる分だけ、測定用治具の製造コストを十分に低減することができる。
【0033】
また、請求項記載のコンタクト装置によれば、接触子としてのピンプローブをベース部に植設して測定用治具を構成したことにより、各接触子が伸縮するため、測定対象体に反りや変形が生じている場合や、高さが相違する測定点に対しても、各測定点に対して各接触子を確実にコンタクトさせることができる。
【0034】
さらに、請求項記載のコンタクト装置によれば、複数の接触子を相互に電気的に接続するための導体パターンを有するベース部としてのプリント基板を備えて測定用治具を構成したことにより、各接触子列に属する各接触子を、接続用配線を用いて相互に接続する配線作業を不要にできるため、測定用治具の製造コストを一層低減することができる。
【0035】
また、請求項記載の測定システムによれば、請求項1からのいずれかに記載のコンタクト装置と、測定装置とを備えて、測定用治具の各接触子を介して各測定点のうちの任意の2点間の電気的パラメータを測定可能に構成したことにより、測定対象体の種類毎に専用の測定用治具を使用する構成と比較して、1つの測定用治具によって種類が相違する各種の測定対象体における測定点に各接触子をコンタクトさせることができるため、電気的パラメータの測定に要するコストを十分に低減することができるだけでなく、種類が相違する測定対象体についての電気的パラメータを測定する都度、測定用治具を交換する作業が不要となるため、複数種類の測定対象体についての電気的パラメータを短時間でしかも容易に測定することができる。
【0036】
また、請求項1記載の検査システムによれば、請求項記載の測定システムと、測定装置によって測定された電気的パラメータに基づいて測定対象体の良否を検査する検査部とを備えて構成したことにより、測定対象体の種類毎に専用の測定用治具を使用する構成と比較して、1つの測定用治具によって種類が相違する各種の測定対象体における各測定点に各接触子をコンタクトさせることができるため、測定点の良否の検査に要するコストを十分に低減することができるだけでなく、種類が相違する測定対象体を検査する都度、測定用治具を交換する作業が不要となるため、複数種類の測定対象体(検査対象体)を短時間でしかも容易に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】基板検査装置1の構成を示す構成図である。
図2】測定用治具20における各接触子Pa1〜Paj,Pb1〜PbNの配列状態について説明するための平面図である。
図3】測定用治具20の断面図である。
図4】検査対象基板100の一例について説明するための平面図である。
図5】検査対象基板100の各測定点P1,P2・・と測定用治具20における各接触子Pa1〜PaN,Pb1〜PbNとの位置関係について説明するための説明図である。
図6図5に示す状態の検査対象基板100に対して回転中心Oを中心として測定用治具20を矢印Bの向きに回転させた状態における各測定点P1,P2・・と測定用治具20における各接触子Pa1〜PaN,Pb1〜PbNとの位置関係について説明するための説明図である。
図7図6に示す状態の検査対象基板100測定点P9と、接触子列Lb5の接触子Pb8,Pb9および接触子列La9の接触子Pa5,Pa6との位置関係について説明するための説明図である。
図8図6に示す状態の検査対象基板100に対して測定用治具20を矢印Cの向きに移動させた状態における各測定点P1,P2・・と測定用治具20における各接触子Pa1〜PaN,Pb1〜PbNとの位置関係について説明するための説明図である。
図9】測定用治具20Aの断面図である。
図10】測定用治具20Bにおける各接触子PBa1〜PBaN,PBb1〜PBbNの配列状態について説明するための平面図である。
図11】測定用治具20Cにおける各接触子群GCa,GCbの配置状態について説明するための平面図である。
図12】測定用治具20Dにおける各接触子群GDa,GDbの配置状態について説明するための平面図である。
図13】測定用治具20Eにおける各接触子群GEa(GEb)の配置状態について説明するための平面図である。
図14】測定用治具20Fにおける各接触子PFa,PFa・・,PFb,PFb・・,PFc,PFc・・の配列状態について説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、コンタクト装置、測定システムおよび検査システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0039】
最初に、基板検査装置1の構成について、添付図面を参照して説明する。
【0040】
図1に示す基板検査装置1は、「コンタクト装置」を備えて構成された「測定システム」を有する「検査システム」の一例であって、移動機構2a,2b、スキャナ3、測定部4、操作部5、データ入出力部6、表示部7、制御部8、記憶部9および測定用治具20,20を備えて、検査対象基板100を電気的に検査可能に構成されている。この場合、この基板検査装置1では、移動機構2a,2b、スキャナ3、制御部8および記憶部9が相まって「コンタクト装置」を構成する。また、この基板検査装置1では、上記の「コンタクト装置」を構成している要素と測定部4とが相まって「測定システム」を構成する。さらに、この基板検査装置1では、移動機構2aに取り付けられている測定用治具20が「第1の測定用治具」に相当し、移動機構2bに取り付けられている測定用治具20が「第2の測定用治具」に相当する。
【0041】
この場合、測定用治具20は、図2に示すように、接触子Pa1〜PaNのN個(以下、区別しないときには「接触子Pa」ともいう)をM列備えると共に、接触子Pb1〜PbNのN個(以下、区別しないときには「接触子Pb」ともいう)をM列備え(N,Mは、それぞれ2以上の自然数:一例として、「N=10」、「M=10」)、これらがベース基板21(「ベース部」の一例)の一面に規則的に配列されている。具体的には、測定用治具20は、N×M個の接触子Paからなる接触子群Ga、およびN×M個の接触子Pbからなる接触子群GbのL群の接触子群(Lは、2以上の自然数:この例では、「L=2」)を備えている。なお、図2では、各接触子Paを左下がりの斜線で塗り潰すと共に、各接触子Pbを右下がりの斜線で塗り潰して図示している。
【0042】
接触子群Gaは、N個の接触子Paが導体パターン22によって相互に電気的に接続された状態でベース基板21の一面に矢印Aaの向き(「第1の向き」の一例)に沿って配列されたM列の互いに平行な接触子列La1〜LaMを備えると共に、この接触子列La1〜LaMが矢印Aaの向きと交差する(この例では、直交する)矢印Abの向き(「第2の向き」の一例)に沿って並んで配置されている。また、接触子群Gbは、N個の接触子Pbが導体パターン22によって相互に電気的に接続された状態でベース基板21の一面に矢印Abの向き(「第1の向き」の一例)に沿って配列されたM列の互いに平行な接触子列Lb1〜LbMを備えると共に、この接触子列Lb1〜LbMが矢印Abの向きと交差する(この例では、直交する)矢印Aaの向き(「第2の向き」の一例)に沿って並んで配置されている(「各接触子群毎の第2の方向が互いに交差するように各接触子が配列されている」との構成の一例)。
【0043】
また、この測定用治具20では、上記の接触子群Gaに属する接触子列La1〜LaM(以下、区別しないときには「接触子列La」ともいう)の各接触子Paと、接触子群Gbに属する接触子列Lb1〜LbM(以下、区別しないときには「接触子列Lb」ともいう)の各接触子Pbとが矢印Aaの方向および矢印Abの方向において交互に並ぶように各接触子列La,Lbがベース基板21の一方の面に配列されている(「異なる各接触子群に属する各接触子が交互に並ぶように各接触子が配列されている」との構成の一例)。この場合、この測定用治具20では、各接触子列La同士が相互に絶縁されると共に、各接触子列Lb同士が相互に絶縁されている。また、この測定用治具20では、接触子群Gaに属する各接触子列Laと接触子群Gbに属する各接触子列Lbとが相互に絶縁されている。したがって、各接触子列Laの各接触子Paと各接触子列Lbの各接触子Pbとが相互に絶縁されている。
【0044】
さらに、この測定用治具20では、図3に示すように、一例として、多層基板(「プリント基板」の一例)によってベース基板21が構成されている。この場合、このベース基板21における導体パターン22の一端部には、各接触子Pa,Pbを取り付けるための取付用パッド22aが形成され、導体パターン22の他端部には、各導体パターン22(各接触子Pa,Pb)をスキャナ3に接続するための接続用配線を接続するための接続用パッド22bが形成されている。
【0045】
また、この測定用治具20では、ベース基板21に取り付けるための基部31と、基部31と相まって「付勢部材」を構成する弾性変形部32と、「接触子」に相当する接触子本体33とが導電性樹脂材料で一体成形されて各接触子Pa,Pbが構成されている。この場合、各接触子Pa,Pbは、一例として、上記のベース基板21における導体パターン22の各取付用パッド22aに対して基部31が導電性接着剤で接着されて取り付けられている(「接触子が付勢部材を介してベース部に取り付けられている」との構成の一例)。
【0046】
一方、移動機構2aは、「第1の移動機構」に相当し、図1に示すように、X−Y−Z移動機構11aおよび回転機構12aを備えて構成されている。また、移動機構2bは、「第2の移動機構」に相当し、X−Y−Z移動機構11bおよび回転機構12bを備えて構成されている。なお、以下の説明において移動機構2a,2bを区別しないときには移動機構2といい、X−Y−Z移動機構11a,11bを区別しないときにはX−Y−Z移動機構11といい、回転機構12a,12bを区別しないときには回転機構12という。
【0047】
X−Y−Z移動機構11は、「接離動機構」および「平行移動機構」に相当し、後述するようにして、制御部8からの制御信号S11a,S11b(以下、区別しないときには「制御信号S11」ともいう)に従い、回転機構12に取り付けられている測定用治具20を、検査位置に保持されている検査対象基板100に対する接近方向および離間方向(Z方向)に移動させる(接離させる)と共に、測定用治具20を検査対象基板100の表面(「他方における一方に対する対向面」の一例)に沿って平行移動(X方向およびY方向に移動)させる(「測定対象体および測定用治具の少なくとも一方」が「測定用治具」の構成の例)。
【0048】
回転機構12は、制御部8からの制御信号S12a,S12b(以下、区別しないときには「制御信号S12」ともいう)に従い、検査位置に保持されている検査対象基板100の表面(「他方における一方に対する対向面」の一例)に沿って測定用治具20を回転させる(「測定対象体および測定用治具の少なくとも一方」が「測定用治具」の構成の例)。この場合、この基板検査装置1では、「第1の移動機構」に相当する移動機構2aにおける回転機構12aの検査対象基板100に対する測定用治具20の相対的な回転角と、「第2の移動機構」に相当する移動機構2bにおける回転機構12bの検査対象基板100に対する測定用治具20の相対的な回転角とをそれぞれ独立して両測定用治具20を検査対象基板100の表面に沿って回転可能に構成されている。
【0049】
スキャナ3は、「接続切替え部」に相当し、制御部8からの制御信号S3に従い、両測定用治具20における各接触子Pa,Pbの測定部4に対する接続態様を切り替える。この場合、この基板検査装置1では、前述したように、1つの接触子列Laに属する各接触子Paが導体パターン22によって相互に接続されると共に、1つの接触子列Lbに属する各接触子Pbが導体パターン22によって相互に接続されて測定用治具20が構成されている。したがって、この基板検査装置1では、スキャナ3が、両測定用治具20における上記の各接触子列La,Lbを「接続態様の切替え単位」として各接触子列La,Lbのうちの任意の2列を測定部4に接続する(「接続態様を切り替える」との処理の一例)。
【0050】
測定部4は、制御部8からの制御信号S4に従い、スキャナ3によって接続された接触子列La,Lbに属する接触子Pa,Pbを介して、検査対象基板100における一対の測定点間の電気的パラメータ(電圧値、電流値、抵抗値および容量値等)を測定して測定結果データDsを出力する。操作部5は、複数の操作スイッチ(図示せず)を備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部8に出力する。データ入出力部6は、一例として、USB接続用コネクタを備えて構成され、各種データが記録された記憶装置(USBメモリ等)を接続可能に構成されている。なお、USB接続用コネクタに代えて、各種メモリカードを装着可能なメモリカードスロットを設けたり、CD,DVD等の光ディスクや、MO等の光磁気ディスクから各種データを読み出し可能なドライブ装置を配設したりしてデータ入出力部6を構成することもできる。表示部7は、制御部8の制御に従って検査結果等を表示する。
【0051】
制御部8は、基板検査装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部8は、データ入出力部6に接続された記憶装置から測定手順データD1および検査用基準データD2等を読み出して記憶部9に記憶させる。また、制御部8は、移動機構2のX−Y−Z移動機構11や回転機構12に制御信号S11,S12を出力して測定用治具20を検査対象基板100に対して移動させる。さらに、制御部8は、スキャナ3に対して制御信号S3を出力して、測定部4に電気的パラメータを測定させるべき測定点にコンタクトされている接触子Pa,Pbの接触子列La,Lbを測定部4に接続させる(「接続態様」を切り替えさせる)。また、制御部8は、測定部4に対して制御信号S4を出力して電気的パラメータを測定させる。さらに、制御部8は、「検査部」として機能して、測定部4から出力された測定結果データDsおよび検査用基準データD2に基づき、その測定結果データDsを取得した測定点の良否を検査すると共に、その検査結果を表示部7に表示させる。
【0052】
記憶部9は、測定手順データD1および検査用基準データD2や、制御部8の動作プログラムなどを記憶する。この場合、測定手順データD1は、一例として、パーソナルコンピュータ等の外部装置において生成されて、USBメモリ等の記憶装置を介して基板検査装置1に供給される。また、検査用基準データD2は、上記の測定手順データD1と共にUSBメモリ等の記憶装置を介して基板検査装置1に供給される。
【0053】
次に、基板検査装置1による検査対象基板100の検査方法について、添付図面を参照して説明する。なお、測定手順データD1や検査用基準データD2については、既に記憶部9に記憶されているものとする。
【0054】
基板検査装置1による検査対象基板100の検査に際しては、図1に示すように、まず、移動機構2a,2bに測定用治具20をそれぞれ取り付けて各接触子列La,Lbをスキャナ3にそれぞれ接続する。この際には、従来の検査システムと比較して、スキャナ3に接続すべき接続用配線(ケーブル)の本数が少数本のため、短時間でしかも容易に接続作業が完了する。次いで、検査対象基板100を図示しない保持具によって保持して両測定用治具20,20の間にセットした後に、操作部5の検査開始スイッチを操作する。この場合、図4に示すように、検査対象基板100には、複数の導体パターンが形成されると共に、一例として、各導体パターンの良否を検査するための複数の測定点(検査点)P1〜P10の10箇所が規定されている。
【0055】
なお、基板検査装置1の構成および動作原理についての理解を容易とするために、測定点P1〜P10の10箇所(以下、区別しないときには「測定点P」ともいう)が一方の面に規定された検査対象基板100を対象とし、主として、この一方の面の測定点P1〜P10に関する検査を実行する例について説明するが、実際には、一方の面および他方の面(図示せず)の双方に数百から数千箇所の測定点Pが規定された検査対象基板100を対象とする検査処理が実行される。また、検査対象基板100における各導体パターンの上記の測定点P以外の部位については、絶縁膜によって覆われているものとする。
【0056】
この場合、検査開始にあたって、両測定用治具20,20間に検査対象基板100をセットした状態においては、図5に示すように、例えば、測定点P1に対して検査対象基板100の厚み方向で重なる位置に測定用治具20における接触子列La2の接触子Pa3が位置しているため、この状態において測定用治具20を検査対象基板100に接近させることで、接触子列La2の接触子Pa3を測定点P1にコンタクトさせることができる。しかしながら、この状態において接触子列La2の接触子Pa3を測定点P1にコンタクトさせた場合には、導体パターン22によって測定点P1に対して接続されている測定点P2に接触子列La2の接触子Pa5がコンタクトさせられる。
【0057】
この場合、接触子列La2の接触子Pa3,Pa5は、接触子列La2の他の接触子Paと共に導体パターン22によって相互に接続されている。したがって、この状態においては、接触子列La2の接触子Pa3,Pa5を利用して測定点P1,P2の間についての電気的パラメータを測定することができないだけでなく、この測定点P1,P2には、接触子列La2以外の接触子列Laの接触子Paや接触子列Lbの接触子Pb(接触子列La2の接触子Pa3,Pa5とは電気的に接続されていない接触子Pa,Pb)がコンタクトしないため、測定点P1,P2の間についての電気的パラメータを測定することができなくなっている。
【0058】
また、仮に、測定点P1,P2のいずれかに接触子列La2以外の接触子列Laの接触子Pa、または、接触子列Lbの接触子Pbがコンタクトされる状態(接触子列La2の接触子Pa3,Pa5とは電気的に接続されていない接触子Pa,Pbがコンタクトされる状態)であったとしても、接触子列La2の接触子Pa3,Pa5を測定点P1,P2にコンタクトさせた際には、この接触子列La2の接触子Pa3,Pa5および導体パターン22を介して測定点P1,P2が電気的に接続される。このため、測定点P1,P2の間についての電気的パラメータを正しく測定することができず、この測定点P1,P2の間の導体パターンに断線が生じていたとしても正常であると誤って検査される。
【0059】
また、上記の状態においては、相互に絶縁されているべき測定点P6,P9に対して厚み方向で重なる位置に、接触子列La7の接触子Pa4、および接触子列La9の接触子Pa4が位置している。しかしながら、接触子列La7の接触子Pa4と接触子列La9の接触子Pa4を測定点P6,P9にコンタクトさせた場合には、接触子列Lb4の接触子Pb7,Pb8が測定点P6,P9にそれぞれコンタクトさせられる。この場合、接触子列Lb4の接触子Pb7,Pb8が導体パターン22によって相互に接続されているため、測定点P6,P9が正常に絶縁されていたとしても、接触子列Lb4の接触子Pb7,Pb8および導体パターン22を介して測定点P6,P9が短絡された状態となる。このため、測定点P6,P9の間についての電気的パラメータを正しく測定することができず、測定点P6,P9間に短絡が生じていると誤って検査される。
【0060】
したがって、制御部8は、測定手順データD1に基づき、X−Y−Z移動機構11が測定用治具20を検査対象基板100に対する接近方向に移動させたときに、「測定部4が電気的パラメータを測定する任意の2つの測定点のうちの一方(例えば、測定点P1や測定点P6)に対して各接触子列La,Lbのうちの1つにおける各接触子Pa,Pbのうちの少なくとも1個がコンタクトする」との第1の条件、「測定部4が電気的パラメータを測定する任意の2つの測定点のうちの他方(例えば、測定点P2や測定点P9)に対して各接触子列La,Lbのうちの他の1つにおける各接触子Pa,Pbのうちの少なくとも1個がコンタクトする」との第2の条件、および「測定部4が電気的パラメータを測定する任意の2つの測定点(例えば、測定点P1,P2や測定点P6,P9)に対して同じ接触子列La,Lbに属する接触子Pa,Pbがコンタクトしない」との第3の条件のすべて満たす位置関係で検査対象基板100および測定用治具20が対向するように、回転機構12に制御信号S12を出力して、検査対象基板100の表面に沿って測定用治具20を回転させる。なお、測定手順データD1には、上記の3つの条件を満たす位置関係となるように移動機構2(回転機構12)を制御する制御データが記録されている。
【0061】
具体的には、制御部8は、一例として、まず、回転機構12に対して制御信号S12を出力することにより、図6に示すように、回転中心O(一例として、測定用治具20の中心)を中心として、検査対象基板100の表面に沿って測定用治具20を矢印Bの向きに回転させる。次いで、制御部8は、X−Y−Z移動機構11に対して制御信号S11を出力することにより、図8に示すように、検査対象基板100の表面に沿って測定用治具20を矢印Cの向きに移動させる。続いて、制御部8は、X−Y−Z移動機構11に対して制御信号S11を出力することにより、検査対象基板100に対する接近方向に測定用治具20を移動させて、測定用治具20の各接触子Pa,Pbのうちの一部を測定点P1〜P10にそれぞれコンタクトさせる(「複数の測定点のうちの少なくとも一部」が「複数の測定点のすべて」の例)。
【0062】
この場合、図6に示すように、回転機構12によって測定用治具20を検査対象基板100の表面に沿って回転させた状態においては、測定点P1に対して検査対象基板100の厚み方向で重なる位置に接触子列Lb1の接触子Pb3が位置すると共に、測定点P2に対して検査対象基板100の厚み方向で重なる位置に接触子列Lb3の接触子Pb2が位置した状態となり、かつ、測定点P1,P2に対してコンタクト可能な位置には、接触子列Lb1の接触子Pb3および接触子列Lb3の接触子Pb2以外の接触子Pa,Pbが存在しない状態となる。したがって、この状態において検査対象基板100に対する接近方向に測定用治具20を移動させることで、接触子列Lb1の接触子Pb3、および接触子列Lb3の接触子Pb2を測定点P1,P2にそれぞれコンタクトさせて測定点P1,P2の間についての電気的パラメータを測定することができる。しかしながら、図7に示すように、この状態では、検査対象基板100の測定点P9に対して検査対象基板100の厚み方向で重なる位置に、いずれの測定点Pa,Pbも位置していない。このため、測定点P9にコンタクトさせ得る接触子Pa,Pbが存在せず、測定点P9,P10の間の電気的パラメータを測定することができなくなっている。
【0063】
これに対して、図8に示すように、回転機構12による回転の後にX−Y−Z移動機構11によって測定用治具20を検査対象基板100の表面に沿って矢印Cの向きに移動させた状態においては、測定点P1に対して検査対象基板100の厚み方向で重なる位置に接触子列La4の接触子Pa2が位置し、測定点P2に対して厚み方向で重なる位置に接触子列La3の接触子Pa4が位置し、測定点P3に対して厚み方向で重なる位置に接触子列Lb4の接触子Pb4が位置し、測定点P4に対して厚み方向で重なる位置に接触子列Lb2の接触子Pb6が位置し、測定点P5に対して厚み方向で重なる位置に接触子列La5の接触子Pa6が位置し、測定点P6に対して厚み方向で重なる位置に接触子列La8の接触子Pa5が位置し、測定点P7に対して厚み方向で重なる位置に接触子列Lb6の接触子Pb3が位置し、測定点P8に対して厚み方向で重なる位置に接触子列Lb7の接触子Pb6が位置し、測定点P9に対して厚み方向で重なる位置に接触子列Lb5の接触子Pb9が位置し、測定点P10に対して厚み方向で重なる位置に接触子列Lb10の接触子Pb7が位置した状態となる(前述した「第1の条件」および「第2の条件」が満たされた位置関係の一例)。
【0064】
また、図8に示す状態では、相互に接続されている測定点P1〜P3に対して厚み方向で重なる位置に1つの接触子列Laに属する複数の接触子Paや1つの接触子列Lbに属する複数の接触子Pbが位置することがなく、相互に接続されている測定点P4〜P6に対して厚み方向で重なる位置に1つの接触子列Laに属する複数の接触子Paや1つの接触子列Lbに属する複数の接触子Pbが位置することがなく、相互に接続されている測定点P7,P8に対して厚み方向で重なる位置に1つの接触子列Laに属する複数の接触子Paや1つの接触子列Lbに属する複数の接触子Pbが位置することがなく、相互に接続されている測定点P9,P10に対して厚み方向で重なる位置に1つの接触子列Laに属する複数の接触子Paや1つの接触子列Lbに属する複数の接触子Pbが位置することがない状態となっている(前述した「第3の条件」が満たされた位置関係の一例)。
【0065】
したがって、図8に示す状態の測定用治具20を検査対象基板100に対する接近方向に移動させることにより、測定部4によって電気的パラメータを測定すべき測定点P,Pに同一の接触子列La,Lbに属する接触子Pa,Pb(導体パターン22によって相互に電気的に接続された接触子Pa,Pa、または、導体パターン22によって相互に電気的に接続された接触子Pb,Pb)がコンタクトすることなく、かつ、各測定点Pに対して各接触子列La,Lbのうちのいずれかに属する接触子Pa,Pbの少なくとも1つがコンタクトさせられる。この場合、制御部8が移動機構2(X−Y−Z移動機構11および回転機構12)を制御するための測定手順データD1は、移動機構2による測定用治具20の1回のコンタクト動作(測定用治具20の回転、平行移動および接近方向への移動)によって、できるだけ多くの測定点Pに対して上記の「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たした状態で接触子Pa,Pbがコンタクトするように生成されている。
【0066】
なお、実際には、検査対象基板100の一方の面だけでなく、他方の面に対しても、移動機構2b(X−Y−Z移動機構11bおよび回転機構12b)によって測定用治具20が移動させられて、一方の面に対する上記の測定用治具20における各接触子Pa,Pbのコンタクトと同様に、他方の面側の測定用治具20における各接触子Pa,Pbがコンタクトさせられる。この際に、この基板検査装置1では、移動機構2aのX−Y−Z移動機構11aおよび回転機構12aと、移動機構2bのX−Y−Z移動機構11bおよび回転機構12bとが、各測定用治具20,20を別個独立して移動させることができるように構成されている。したがって、検査対象基板100の一方の面および他方の面において各測定点Pの位置が相違する場合においても、測定点Pの配置に応じて、検査対象基板100に対する測定用治具20の相対的な回転角、回転方向、移動量および移動方向を異ならせることで、測定部4によって電気的パラメータを測定すべき測定点P,Pに同一の接触子列La,Lbに属する接触子Pa,Pbがコンタクトすることなく、かつ、各測定点Pに対して各接触子列La,Lbのうちのいずれかに属する接触子Pa,Pbの少なくとも1つがコンタクトさせられる。
【0067】
続いて、制御部8は、スキャナ3に対して制御信号S3を出力することにより、電気的パラメータを測定すべき測定点P,P(例えば、測定点P1,P2)に接触子Paまたは接触子Pbがコンタクトさせられている接触子列Laまたは接触子列Lb(この例では、接触子列La4,La3)を測定部4に接続させた後に、測定部4に対して制御信号S4を出力することにより、その測定点P,Pの間の電気的パラメータを測定させる。また、制御部8は、測定部4から出力される測定結果データDs、および記憶部9に記憶されている検査用基準データD2に基づき、測定点P,Pの間に、断線または短絡(この例では、断線)が生じているかを検査して、その検査結果を表示部7に表示させる。さらに、制御部8は、他の測定点P,P(例えば、測定点P6,P9)に接触子Paまたは接触子Pbがコンタクトさせられている接触子列Laまたは接触子列Lb(この例では、接触子列La8,Lb5)を測定部4に接続させた後に、測定部4に対して制御信号S4を出力することにより、その測定点P,Pの間の電気的パラメータを測定させる。また、制御部8は、測定部4から出力される測定結果データDs、および記憶部9に記憶されている検査用基準データD2に基づき、測定点P,Pの間に、断線または短絡(この例では、短絡)が生じているかを検査して、その検査結果を表示部7に表示させる。
【0068】
なお、上記の例では、X−Y−Z移動機構11や回転機構12による測定用治具20の移動によって、測定部4によって電気的パラメータを測定すべき測定点P,Pに同一の接触子列La,Lbに属する接触子Pa,Pbがコンタクトせず、かつ、各測定点P1〜P10のすべてに対して少なくとも1つの接触子Pa,Pbをコンタクトさせることができているが、測定部4によって電気的パラメータを測定すべきいずれかの測定点P,Pに同一の接触子列La,Lbに属する接触子Pa,Pbがコンタクトする場合(「第3の条件」が満たされない測定点Pが存在する場合)や、各測定点P1〜P10のいずれかに対して少なくとも1つの接触子Pa,Pbをコンタクトさせることができない場合(「第1の条件」および「第2の条件」が満たされない測定点Pが存在する場合)には、制御部8が、測定手順データD1に従い、検査対象基板100に対する測定用治具20の相対的な回転角や、ベース基板21に沿った移動量を変更して複数回に分けて上記の一連の処理を実行する。これにより、検査対象基板100の良否が検査される。
【0069】
このように、この基板検査装置1では、複数の接触子Pa,Pbが相互に電気的に接続された状態でベース基板21の一面に第1の向きに沿って配列された接触子列La,Lbを複数備えると共に各接触子列La,Lbが第1の向き(図2に示す矢印Aaの向き)と交差する第2の向き(図2に示す矢印Abの向き)に沿って並んで配置された測定用治具20を用いる。この際に、測定部4が電気的パラメータを測定する任意の2つの測定点P,Pのうちの一方に対して各接触子列La,Lbのうちの1つにおける各接触子Pa,Pbのうちの少なくとも1個がコンタクトする第1の条件、その任意の2つの測定点P,Pのうちの他方に対して各接触子列La,Lbのうちの他の1つにおける各接触子Pa,Pbのうちの少なくとも1個がコンタクトする第2の条件、およびその任意の2つの測定点P,Pに対して同じ接触子列La,Lbに属する接触子Pa,Pbがコンタクトしない第3の条件を、測定用治具20を検査対象基板100に対する接近方向に移動させたときにすべて満たす位置関係で検査対象基板100および測定用治具20が対向するように測定用治具20を回転機構12によって検査対象基板100における測定用治具20に対する対向面に沿って回転させると共に、「接離動機構」としてのX−Y−Z移動機構11によって測定用治具20を検査対象基板100に対する接近方向に移動させ、かつ、1つの接触子列La,Lbにおける各接触子Pa,Pb、および他の1つの接触子列La,Lbにおける各接触子Pa,Pbをスキャナ3によって測定部4に接続させる。
【0070】
したがって、この基板検査装置1によれば、移動機構2(回転機構12)によって測定用治具20を検査対象基板100の表面に沿って回転させることで検査対象基板100の各測定点Pに対する接触子Pa,Pbの相対的な位置を容易に変更することができるため、各測定点Pの規定位置が相違する複数種類の検査対象基板(検査対象基板100等)に対して測定用治具20の各接触子Pa,Pbを確実かつ容易にコンタクトさせることができる。このため、種類が相違する検査対象基板(測定対象体)毎に専用の測定用治具を製造するのと比較して、基板検査装置1の製造コストを低減することができる結果、その検査(測定)に要するコストを十分に低減することができる。また、この基板検査装置1によれば、複数の接触子Paを導体パターン22によって相互に接続した接触子列La、および複数の接触子Pbを導体パターン22によって相互に接続した接触子列Lb毎にスキャナ3に対して接続する構成を採用したことで、各センサ要素を個別的にスキャナに接続する必要がある従来の検査システムと比較して、測定用治具20とスキャナ3との間を接続する接続用配線の本数を少数とすることができる結果、配線作業が容易になるだけでなく、接続ポートの数が少ないスキャナ3を採用して基板検査装置1を構成することができるため、これら点においても基板検査装置1の製造コストを低減することができる結果、検査(測定)に要するコストを十分に低減することができる。
【0071】
また、この基板検査装置1によれば、測定用治具20を検査対象基板100における測定用治具20に対する対向面に沿って移動させる「平行移動機構」としてのX−Y−Z移動機構11を備えて移動機構2a,2bを構成したことにより、回転機構12による回転だけでは「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たす位置関係で測定用治具20および検査対象基板100を対向させるのが困難な測定点Pが存在する場合においても、X−Y−Z移動機構11によって測定用治具20を検査対象基板100の表面に沿って平行移動させることで、より多くの測定点Pについて「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たす位置関係となるように測定用治具20および検査対象基板100を対向させることができる。
【0072】
さらに、この基板検査装置1では、検査対象基板100における一方の面に規定された各測定点Pにコンタクトさせる各接触子Pa,Pbを有する「第1の測定用治具」としての測定用治具20および検査対象基板100の少なくとも一方(この例では、測定用治具20)を他方(この例では、検査対象基板100)に対して移動させる「第1の移動機構」としての移動機構2aと、検査対象基板100における他方の面に規定された各測定点Pにコンタクトさせる各接触子Pa,Pbを有する「第2の測定用治具」としての測定用治具20および検査対象基板100の少なくとも一方(この例では、測定用治具20)を他方(この例では、検査対象基板100)に対して移動させる「第2の移動機構」としての移動機構2bとを備えると共に、検査対象基板100に対する第1の測定用治具としての測定用治具20の相対的な回転角と、検査対象基板100に対する第2の測定用治具としての測定用治具20の相対的な回転角とをそれぞれ独立して少なくとも一方を他方における対向面に沿って回転可能に両移動機構2a,2bにおける回転機構12a,12bが構成されている。
【0073】
したがって、この基板検査装置1によれば、一方の面および他方の面において測定点Pの規定位置が相違する検査対象基板100に対しても、検査対象基板100に対する「第1の測定用治具」としての測定用治具20の相対的な回転角と、検査対象基板100に対する「第2の測定用治具」としての測定用治具20の相対的な回転角とを互いに相違させるように回転させることができるため、より多くの測定点Pについて「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たす位置関係となるように測定用治具20および検査対象基板100を対向させることができる。
【0074】
また、この基板検査装置1によれば、各接触端子列Laが互いに平行となるように各接触子Paを配列させると共に、各接触端子列Lbが互いに平行となるように各接触子Pbを配列させて測定用治具20を構成したことにより、「各接触子列」が互いに非平行の「測定用治具」と比較して、測定用治具20を容易に設計、製造することができるため、基板検査装置1の製造コストを一層低減することができる結果、検査(測定)に要するコストを一層低減することができる。
【0075】
さらに、この基板検査装置1によれば、複数の接触子列Laを有する接触子群Ga、および複数の接触子列Lbを有する接触子群Gbの2群を備えると共に、各接触子群Ga,Gb毎の「第2の向き」が互いに交差するように各接触子Pa,Pbを配列させて測定用治具20を構成したことにより、1つの「接触子群」だけを有する「測定用治具」と比較して、より多くの測定点Pについて「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たす位置関係となるように測定用治具20および検査対象基板100を対向させることができるだけでなく、両接触子群Ga,Gb毎に各接触子列La,Lbにおける各接触子Pa,Pbの配列方向(第1の向き)が相違する状態となっているため、各接触子Pa,Pbの配列方向における端部においてスキャナ3に対する接続用配線を引き出す場合には、この接続用配線の引き出し部の位置が両接触子群Ga,Gb毎に大きく離間した状態となる結果、接続用配線の接続作業を一層容易とすることができる。
【0076】
また、この基板検査装置1によれば、異なる各接触子群Ga,Gbに属する各接触子Pa,Pbが「第1の向き」および「第2の向き」において交互に並ぶように各接触子列La,Lbを配列させて測定用治具20を構成したことにより、相互に絶縁された状態の接触子Pa,Pbが測定用治具20の一面における極く狭い領域内に隣接しているため、検査対象基板100の極く狭い領域内に複数の測定点Pが存在する場合においても、より多くの測定点Pに対して「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たすように各接触子Pa,Pbをコンタクトさせることができる。
【0077】
さらに、この基板検査装置1によれば、測定点Pに対するコンタクト時に、「接触子」としての接触子本体33を測定点Pに対して付勢する「付勢部材」としての基部31および弾性変形部32を介して接触子本体33をベース基板21に取り付けて測定用治具20を構成したことにより、検査対象基板100に反りや変形が生じている場合や、高さが相違する測定点Pに対しても、各測定点Pに対して接触子Pa,Pbを確実にコンタクトさせることができる。
【0078】
また、この基板検査装置1によれば、「接触子」としての接触子本体33および「付勢部材」としての基部31や弾性変形部32を導電性樹脂材料で一体成形して測定用治具20を構成したことにより、「接触子(上記の接触子Pa,Pbにおける接触子本体33)」と「付勢部材(上記の接触子Pa,Pbにおける基部31および弾性変形部32)」とを別個に形成して一体化させる作業が不要となる分だけ、測定用治具20の製造コストを十分に低減することができる。
【0079】
さらに、この基板検査装置1によれば、複数の接触子Pa,Pbを相互に電気的に接続するための導体パターン22を有する「ベース部」としてのプリント基板(ベース基板21)を備えて測定用治具20を構成したことにより、各接触子列Laに属する各接触子Paを、接続用配線を用いて相互に接続する配線作業や、各接触子列Lbに属する各接触子Pbを、接続用配線を用いて相互に接続する配線作業を不要にできるため、測定用治具20の製造コストを一層低減することができる。
【0080】
また、この基板検査装置1によれば、移動機構2a,2b、スキャナ3、制御部8および記憶部9で構成された「コンタクト装置」と測定部4とを備えて、測定用治具20の各接触子Pa,Pbを介して各測定点Pのうちの任意の2点間の電気的パラメータを測定可能に構成したことにより、「測定対象体」の種類毎に専用の「測定用治具」を使用する構成と比較して、1つの測定用治具20によって種類が相違する各種の「測定対象体(検査対象基板100等)」における測定点Pに接触子Pa,Pbをコンタクトさせることができるため、電気的パラメータの測定に要するコストを十分に低減することができるだけでなく、種類が相違する「測定対象体」についての電気的パラメータを測定する都度「測定用治具」を交換する作業が不要となるため、複数種類の「測定対象体」についての電気的パラメータを短時間でしかも容易に測定することができる。
【0081】
また、この基板検査装置1によれば、移動機構2a,2b、スキャナ3、測定部4、制御部8および記憶部9で構成された「測定システム」と、測定部4によって測定された電気的パラメータに基づいて検査対象基板100の良否を検査する「検査部」としての制御部8とを備えて構成したことにより、「測定対象体」の種類毎に専用の「測定用治具」を使用する構成と比較して、1つの測定用治具20によって種類が相違する各種の「測定対象体(検査対象基板100等)」における測定点Pに接触子Pa,Pbをコンタクトさせることができるため、測定点P,P間の良否の検査に要するコストを十分に低減することができるだけでなく、種類が相違する「測定対象体(検査対象体)」を検査する都度「測定用治具」を交換する作業が不要となるため、複数種類の「測定対象体(検査対象体)」を短時間でしかも容易に検査することができる。
【0082】
なお、「コンタクト装置」、「測定システム」および「検査システム」の構成は、上記の基板検査装置1の構成に限定されない。例えば、接触子群Gaに属する各接触子列La毎の接触子Paの数や、接触子群Gbに属する各接触子列Lb毎の接触子Pbの数を同数(この例では、それぞれN=10個)とした構成の測定用治具20を例に挙げて説明したが、「1つの接触子群」に属する「各接触子列」毎の「接触子」の数が「各接触子列」毎に相違する構成を採用することもできる。また、接触子群Gaに属する各接触子列Laの数と、接触子群Gbに属する各接触子列Lbの数とを同数(この例では、それぞれM=10列)とした構成の測定用治具20を例に挙げて説明したが、「各接触子群」に属する「各接触子列」の数を違いに相違する数とすることもできる。
【0083】
さらに、接触子本体33、および「付勢部材」としての基部31や弾性変形部32を導電性樹脂材料で一体成形した接触子Pa,Pbを有する測定用治具20を備えて構成した例について説明したが、一例として、板ばねやコイルスプリング(「付勢部材」の他の一例)を介して「接触子」を「ベース部」(例えばベース基板21)に取り付けて「測定用治具」を構成することもできる(図示せず)。また、「付勢部材」を介することなく、例えば、上記の測定用治具20における導体パターン22の取付用パッド22aに対して、「接触子」としての半田バンプを直接形成したり、導電性材料(例えば金属材料)で形成した半球状の接触子を接着したりして測定用治具を構成することもできる(図示せず)。
【0084】
また、図9に示す測定用治具20Aのように、「接触子」としての伸縮型のピンプローブで構成されたN個の接触子PAa1〜PAaN(以下、区別しないときには「接触子PAa」ともいう)を「第1の向き」に沿って並べてベース基板21に植設したM列の接触子列LAa1〜LAaM(以下、区別しないときには「接触子列LAa」ともいう)からなる接触子群GAaと、ピンプローブで構成されたN個の接触子PAb1〜PAbN(以下、区別しないときには「接触子PAb」ともいう)を「第1の向き」に沿って並べてベース基板21に植設したM列の接触子列LAb1〜LAbM(以下、区別しないときには「接触子列LAb」ともいう)からなる接触子群GAbとを備えて「測定用治具」を構成することもできる。なお、同図では、各接触子PAaを左下がりの斜線で塗り潰すと共に、各接触子PAbを右下がりの斜線で塗り潰して図示している。また、この測定用治具20Aや、後に説明する測定用治具20B〜20F(図10〜14参照)において、前述した基板検査装置1の測定用治具20と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0085】
この場合、測定用治具20Aにおける各接触子列LAa,LAb毎の各接触子PAa,PAbの配列や各接触子列LAa,LAbの配列については、前述した測定用治具20における各接触子列La,Lb毎の各接触子Pa,Pbの配列や各接触子列La,Lbの配列、または、後に説明する測定用治具20Bにおける各接触子列LBa,LBb毎の各接触子PBa,PBbの配列や各接触子列LBa,LBbの配列と同様であるため、詳細な説明を省略する。この測定用治具20Aのように、ピンプローブで構成した各接触子PAa,PAbを備えた「測定用治具」を使用することにより、前述した測定用治具20を備えた基板検査装置1と同様の効果を奏することができるだけでなく、接触子PAa,PAbが伸縮するため、検査対象基板100に反りや変形が生じている場合や、高さが相違する測定点Pに対しても、各測定点Pに対して接触子PAa,PAbを確実にコンタクトさせることができる。
【0086】
さらに、「複数の接触子群に属する各接触子」の配列は、上記の測定用治具20における接触子群Gaに属する各接触子Paおよび接触子群Gbに属する各接触子Pbの配列に限定されない。例えば、図10に示す測定用治具20Bは、接触子PBa1〜PBaNのN個(以下、区別しないときには「接触子PBa」ともいう)をM列備えると共に、接触子PBb1〜PBbNのN個(以下、区別しないときには「接触子Pb」ともいう)をM列備え(N,Mは、それぞれ2以上の自然数:一例として、「N=10」、「M=10」)、これらがベース基板21の一面に規則的に配列されている。具体的には、測定用治具20Bは、N×M個の接触子PBaからなる接触子群GBa、およびN×M個の接触子PBbからなる接触子群GBbのL群の接触子群(Lは、2以上の自然数:この例では、「L=2」)を備えている。なお、同図では、各接触子PBaを左下がりの斜線で塗り潰すと共に、各接触子PBbを右下がりの斜線で塗り潰して図示している。
【0087】
接触子群GBaは、N個の接触子PBaが導体パターン22によって相互に電気的に接続された状態でベース基板21の一面に矢印Aaの向き(「第1の向き」の他の一例)に沿って配列されたM列の互いに平行な接触子列LBa1〜LBaMを備えると共に、この接触子列LBa1〜LBaMが矢印Aaの向きと交差する(この例では、直交する)矢印Abの向き(「第2の向き」の他の一例)に沿って並んで配置されている。また、接触子群GBbは、N個の接触子PBbが導体パターン22によって相互に電気的に接続された状態でベース基板21の一面に矢印Abの向き(「第1の向き」の他の一例)に沿って配列されたM列の互いに平行な接触子列LBb1〜LBbMを備えると共に、この接触子列LBb1〜LBbMが矢印Abの向きと交差する(この例では、直交する)矢印Aaの向き(「第2の向き」の他の一例)に沿って並んで配置されている(「各接触子群毎の第2の方向が互いに交差するように各接触子が配列されている」との構成の他の一例)。
【0088】
また、この測定用治具20Bでは、上記の接触子群GBaに属する接触子列LBa1〜LBaM(以下、区別しないときには「接触子列LBa」ともいう)の各接触子PBaと、接触子群GBbに属する接触子列LBb1〜LBbM(以下、区別しないときには「接触子列LBb」ともいう)の各接触子PBbとが矢印Aaの方向および矢印Abの方向において千鳥足状に交互に並ぶように各接触子列LBa,LBbがベース基板21の一方の面に配列されている(「異なる各接触子群に属する各接触子が交互に並ぶように各接触子が配列されている」との構成の他の一例)。この場合、この測定用治具20Bでは、各接触子列LBa同士が相互に絶縁されると共に、各接触子列LBb同士が相互に絶縁されている。また、この測定用治具20Bでは、接触子群GBaに属する各接触子列LBaと接触子群GBbに属する各接触子列LBbとが相互に絶縁されている。したがって、各接触子列LBaの各接触子PBaと各接触子列LBbの各接触子PBbとが相互に絶縁されている。
【0089】
したがって、この測定用治具20Bを備えた「コンタクト装置」によれば、上記の測定用治具20,20Aを備えた「コンタクト装置」と同様にして、1つの「接触子群」だけを有する「測定用治具」と比較して、より多くの測定点Pについて「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たす位置関係となるように測定用治具20Bおよび検査対象基板100を対向させることができるだけでなく、両接触子群GBa,GBb毎に各接触子列LBa,LBbにおける各接触子PBa,PBbの配列方向(第1の向き)が相違する状態となっているため、各接触子PBa,PBbの配列方向における端部においてスキャナ3に対する接続用配線を引き出す場合には、この接続用配線の引き出し部の位置が両接触子群GBa,GBb毎に大きく離間した状態となる結果、接続用配線の接続作業を一層容易とすることができる。
【0090】
また、「複数の接触子群」としての接触子群Ga,Gbに属する接触子Pa,Pbや、接触子群GBa,GBbに属する接触子PBa,PBbが「第1の向き」および「第2の向き」において交互に並ぶようにこれらを混在させた(接触子群Ga,GBaに属する接触子Pa,PBaを配列させる範囲と、接触子群Gb,GBbに属する接触子Pb,PBbを配列させる範囲とがベース基板21の一面において重なるように規定した)測定用治具20,20Bを例に挙げて説明したが、図11に示す測定用治具20Cや、図12に示す測定用治具20Dのように、「複数の接触子群」のうちの1つに相当する接触子群GCa,GDaと、「複数の接触子群」のうちの他の1つに相当する接触子群GCb,GDbとを「ベース部」(この例では、ベース基板21)の一面において互いに重なることのない領域内にそれぞれ配置する構成を採用することもできる。
【0091】
なお、上記の接触子群GCa,GDaは、一例として、前述した測定用治具20,20Bにおける接触子群Ga,GBaに属する各接触子列La,LBaの各接触子Pa,PBaと同様に配列された「接触子」で構成され、上記の接触子群GCb,GDbは、前述した測定用治具20,20Bにおける接触子群Gb,GBbに属する各接触子列Lb,LBbの各接触子Pb,PBbと同様に配列された「接触子」で構成されている。したがって、接触子群GCa,GDa,Gb,GBb内の「各接触子」の図示を省略する。この測定用治具20C,20Dを備えて構成した「コンタクト装置」においても、「移動機構(回転機構)」によって「測定対象体」および「測定用治具20C,20D」の少なくとも一方を他方における一方に対する対向面に沿って回転させることにより、前述した測定用治具20を備えて構成した「コンタクト装置」と同様の効果を奏することができる。
【0092】
さらに、「複数の接触子群」を有する構成に限定されず、図13に示す測定用治具20Eのように、例えば前述した測定用治具20における接触子群Gaと同様にして各接触子列La(接触子Pa)が配列された接触子群GEa、および、測定用治具20における接触子群Gbと同様にして各接触子列Lb(接触子Pb)が配列された接触子群GEbのいずれか一方だけをベース基板21に配設して「測定用治具」を構成することもできる。この測定用治具20Eを備えて構成した「コンタクト装置」においても、「移動機構(回転機構)」によって「測定対象体」および「測定用治具20E」の少なくとも一方を他方における一方に対する対向面に沿って回転させることにより、前述した測定用治具20を備えて構成した「コンタクト装置」と同様の効果を奏することができる。
【0093】
また、図14に示す測定用治具20Fのように、「第1の向き」および「第2の向き」が互いに相違するL個の接触子群GFa,GFb,GFc(この例では、「L=3」)をベース基板21に配設して「測定用治具」を構成することもできる。この場合、接触子群GFaは、N個の接触子PFaが矢印A1の向き(「第1の向き」の一例)に沿って配列されたM列の接触子列LFaが矢印A1の向きと直交する向き(「第2の向き」の一例)に沿って並んで配列されている。また、接触子群GFbは、N個の接触子PFbが矢印A2の向き(「第1の向き」の一例)に沿って配列されたM列の接触子列LFbが矢印A2の向きと直交する向き(「第2の向き」の一例)に沿って並んで配列されている。さらに、接触子群GFcは、N個の接触子PFcが矢印A3の向き(「第1の向き」の一例)に沿って配列されたM列の接触子列LFcが矢印A3の向きと直交する向き(「第2の向き」の一例)に沿って並んで配列されている。この測定用治具20Fを備えて構成した「コンタクト装置」においても、「移動機構(回転機構)」によって「測定対象体」および「測定用治具20F」の少なくとも一方を他方における一方に対する対向面に沿って回転させることにより、前述した測定用治具20を備えて構成した「コンタクト装置」と同様の効果を奏することができる。
【0094】
さらに、「複数の接触子群」を有する測定用治具20,20A〜20D,20Fにおいて、「各接触子群」における「第2の向き」が互いに交差するように構成した例について説明したが、一例として、「2つの接触子群」における「第2の向き」を互いに平行とし、かつ、「異なる接触子群」に属する「接触子列」からの接続配線の引き出し方向を逆向きとする(例えば、前述した測定用治具20における接続用パッド22bに相当する要素の位置をベース基板21上の対向辺にそれぞれ形成する)こともできる。また、「1つの接触子群」を構成する「接触子列」が互いに平行となるように「複数の接触子」が配列された測定用治具20、20A〜20Fを例に挙げて説明したが、「1つの接触子群」を構成する「接触子列」が互いに非平行(一例として、「各接触子列」が「ベース部」上の任意の一点を中心として放射状に配置されて、その任意の一点を中心とする円周に沿った曲線状の向きを「第2の向き」として「各接触子列」が並んだ状態)となるように「N個の接触子」を配列させて「測定用治具」を構成することもできる(図示せず)。
【0095】
また、可撓性を有する部材で「測定用治具」の「ベース部」を構成すると共に、「ベース部」における任意の一部の領域を「接触子」の配設面の裏面側から局所的に押し出すことで、押し出した領域に配設されている「接触子」だけを測定点にコンタクトさせる構成を採用することもできる。また、可撓性を有する部材で「測定用治具」の「ベース部」を構成すると共に、「ベース部」における任意の一部の領域を「接触子」の配設面の裏面側に局所的に引き込むことで、引き込んだ領域に配設されている「接触子」を測定点にコンタクトさせず、引き込んでいない領域に配設されている「接触子」だけを測定点にコンタクトさせる構成を採用することもできる。これらの構成を採用することにより、「測定対象体」に対する「測定用治具」の回転や平行移動だけでは、前述した「第1の条件」、「第2の条件」および「第3の条件」を満たすコンタクトが困難な場合においても、これら各条件を満たす有効なコンタクトを容易に実現することができる。
【0096】
さらに、移動機構2a,2bによって測定用治具20を検査対象基板100に対して移動させる構成に代えて、所定の取り付け位置に取り付けられている測定用治具20に対して検査対象基板100を移動させる構成や(「少なくとも一方」が「測定対象体」の構成の例)、測定用治具20および検査対象基板100の双方を互いに移動させる構成(「少なくとも一方」が「測定用治具」および「測定対象体」の双方の構成の例)を採用することもできる。この場合、「接離動機構」によって接離動させる対象物、「回転機構」によって回転させる対象物、および「平行移動機構」によって平行移動させる対象物が、それぞれ相違する構成を採用することもできる。
【0097】
なお、前述した基板検査装置1のように、「測定対象体」の表裏両面に対して「接触子」をコンタクトさせる場合には、「測定対象体」の一方の面に対する「第1の測定用治具」の相対的な回転角と、「測定対象体」の他方の面に対する「第2の測定用治具」の相対的な回転角とを任意に変更するのが容易であることから、基板検査装置1における移動機構2a,2bのように、測定用治具20,20だけを検査対象基板100に対して移動させる構成を採用するのが好ましい。
【0098】
加えて、「コンタクト装置」等の構成や動作原理についての理解を容易とするために、各種部品が実装されていない検査対象基板100(ベアボード)を「測定対象(検査対象)」として、互いに接続されているべき測定点P,P間の断線の有無や、互いに絶縁されているべき測定点P,P間の短絡の有無を検査するために電気的パラメータを測定する例について説明したが、各種電子部品が実装されている基板等を「測定対象(検査対象)」とする場合には、任意の電子部品を挟んで規定された測定点P,P間のインピーダンスを測定して電子部品の実装不良や実装誤りの有無を検査することもできる。
【符号の説明】
【0099】
1 基板検査装置
2a,2b 移動機構
3 スキャナ
4 測定部
8 制御部
9 記憶部
11a,11b X−Y−Z移動機構
12a,12b 回転機構
20,20A〜20F 測定用治具
21 ベース基板
22 導体パターン
31 基部
32 弾性変形部
33 接触子本体
100 検査対象基板
Ga,GAa〜GFa,Gb,GAb〜GFb,GFc 接触子群
La1〜LaM,LAa1〜LAaM,LBa1〜LBaM,Lb1〜LbM,LAb1〜LAbM,LBb1〜LBbM 接触子列
O 回転中心
P1,P2・・ 測定点
Pa1〜PaN,PAa1〜PAaN,PBa1〜PBaN,PFa,Pb1〜PbN,PAb1〜PAbN,PBb1〜PBbN,PFb,PFc 接触子
S3,S4,S11a,S11b,S12a,S12b 制御信号
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