【0009】
(1)ベルトコンベヤの支持面に支持されて搬送方向に搬送される回路基板に当接して停止させる基板停止装置であって、
前記搬送方向に直角な幅方向に平行なストッパ板と、
そのストッパ板の下端部を保持するとともに、前記搬送方向および前記幅方向と直交する昇降方向に昇降することにより、前記ストッパ板をそのストッパ板の上端が前記ベルトコンベヤの前記支持面より下に位置する退避位置と、前記支持面より上に位置する作用位置とに昇降させる昇降装置と、
前記ベルトコンベヤの前記支持面より上方に設けられ、前記作用位置へ上昇させられた前記ストッパ板の上端部に係合することにより、その上端部の前記搬送方向における少なくとも下流側への移動を阻止するストッパ板受け装置と
を含むことを特徴とする基板停止装置。
なお、基板停止装置は、ベルトコンベヤの搬送方向において下流側端、下流側端より上流側等、いずれの個所に設けてもよい。
(2)前記昇降装置が、
前記ストッパ板の下端部を保持する保持部材と、
その保持部材の昇降を案内する案内装置と、
前記保持部材を昇降させるアクチュエータと
を含む(1)項に記載の基板停止装置。
例えば、幅方向に延び、ストッパ板の下端部に固定された長手部材を保持部材とし、その長手部材に案内装置やアクチュエータを取り付けることが可能であるが、簡略な形態として、後述の実施形態におけるように、ストッパ板の下端部に直接案内装置やアクチュエータを取り付けることも可能である。後者の場合は、ストッパ板の下端部が、ストッパ板と一体の保持部材を構成することとなる。また、アクチュエータとしては、例えば、流体圧アクチュエータの一種である流体圧シリンダや、電動モータ等の採用が可能である。
(3)前記ストッパ板受け装置が、上部ほど前記搬送方向の上流側に位置する向きに傾斜し、前記作用位置へ上昇させられるストッパ板の上端を前記搬送方向の上流側へ案内する案内面を備えた(1)項または(2)項に記載の基板停止装置。
ストッパ板受け装置が後述の(5)項に記載の構造を有する場合は、ストッパ板の上端の搬送方向における上流側と下流側との両方における移動を阻止する機能(すなわち搬送方向位置決め機能)と、作用位置としての上昇端位置を規定する機能(すなわちアクチュエータの作動端位置規定機能)とが共にストッパ板受け装置によって果たされることとなり、構成の単純化により製造コスト低減効果が得られる。
しかし、不可欠ではない。ストッパ板受け装置を本項に記載の構造とすることがその一例である。その際に、ストッパ板の作用位置が、アクチュエータの作動端位置規定機能によって規定され、ストッパ板が作用位置へ達する瞬間あるいはその直前に、ストッパ板の上端が案内面に接触して、搬送方向における下流側への移動を阻止する状態となるようにすることが可能なのである。この態様においては、案内面のストッパ板の昇降方向に対する傾斜角度が、少なくとも作用位置近傍においては、比較的小さくされ、作用位置の変化に対する案内面の搬送方向に関する位置の変化が小さくて済むようにされることが望ましい。例えば、10°以下とされることが望ましく、5°以下、3°以下とされることがさらに望ましい。
ストッパ板受け装置を本項に記載の案内面である傾斜案内面に加えて、ストッパ板の昇降方向に平行な平行案内面を備えたものとすることも可能である。この態様においては、ストッパ板の作用位置への移動過程において、それの上端が傾斜案内面に接触し、その後は傾斜案内面の案内作用により僅かに搬送方向上流側へ移動させられつつ上昇し、続いて平行案内面に案内されつつ作用位置に達するようにすることが望ましい。なお、ストッパ板が傾斜案内面の案内作用により僅かに搬送方向上流側へ移動させられつつ上昇する運動は、案内装置が微小なクリアランスを有するものである場合に、そのクリアランスの存在による保持部材の傾きとストッパ板の弾性変形とにより許容されるようにすることが望ましい。案内装置を、クリアランスのないボールガイドとすることも可能であり、その場合には、上記運動がストッパ板の弾性変形により許容されるようにすればよい。
上記いずれの場合でも、ストッパ板上端部の搬送方向下流側への移動が阻止されることにより、案内装置の案内機能によってのみストッパ板の下流側への移動が抑制される場合に比較して、ベルトコンベヤに搬送される回路基板がストッパ板に当接した際のストッパ板の下流側への移動量が少なくて済み、回路基板の停止位置精度を向上させ得る効果が得られる。特に、ストッパ板は、その上端部が案内面に接触して搬送方向下流側への移動が阻止された状態で回路基板に当接することができるため、回路基板を位置精度良く、停止させることができる。ストッパ板受け装置を、昇降方向に平行な受け面を備え、その受け面によってストッパ板の上端部を受けるものとすることも可能であるが、その場合のように、ストッパ板と受け面との間の、ストッパ板が受け面に対して搬送方向上流側に位置するようにするための隙間分の撓みがストッパ板に生じることがなく、回路基板の停止位置精度が良いのである。
また、ストッパ板受け装置を、回路基板の搬送方向に平行な当接面を備えたものとし、その当接面とストッパ板の上端との摩擦力(この摩擦力を大きくするめに、当接面とストッパ板の上端との少なくとも一方を、ストッパ板受け装置とストッパ板との他の部分より摩擦係数の大きい材料により形成することが望ましい)によりストッパ板の搬送方向の移動を阻止するものとすることも可能であるが、その場合に比較して、より確実にストッパ板の搬送方向下流側への移動を阻止することができる。
(4)前記ストッパ板受け装置が、第1案内面としての前記案内面に加えて、上部ほど前記搬送方向の下流側に位置する向きに傾斜し、前記作用位置へ上昇させられるストッパ板の上端を前記搬送方向の下流側へ案内する第2案内面を備えた(3)項に記載の基板停止装置。
本項に記載のストッパ板受け装置に関しても、第1案内面の案内機能に加えて第2案内面の案内機能が得られる点以外は上記(3)項に関する説明が殆どそのまま当てはまる。
ストッパ板の上端部の回路基板の搬送方向における位置が予め設定された位置より、搬送方向において上流側にずれていても、第2案内面により案内されて設定位置側へ移動させられる。そのため、ストッパ板の上端部と第1案内面との間の隙間が低減され、あるいはなくされ、回路基板の位置決め精度が向上する。
(5)前記ストッパ板受け装置の前記第1案内面と前記第2案内面との前記搬送方向における最小の間隔が前記ストッパ板の厚さより小さく、それら第1案内面と第2案内面との両方が前記ストッパ板の上端の角部に係合することにより、そのストッパ板の上昇限度を規定する上昇端位置規定部材としても機能する(4)項に記載の基板停止装置。
本項に記載の構造のストッパ板受け装置においては、一般に、第1案内面および第2案内面のストッパ板の昇降方向に対する傾斜角度が上記(3)項および(4)項に記載のストッパ板受け装置の案内面の傾斜角度に比較して大きくされることが望ましく、第1案内面と第2案内面との成す角度が30°以上、60°以上あるいは90°以上とされることが望ましい。なお、第1案内面および第2案内面の搬送方向に関する位置決め機能の観点からは傾斜角度が小さいことが望ましく、上昇端位置規定部材としての機能の観点、あるいは、ストッパ板およびストッパ板受け装置の互いに係合する部分の摩耗低減の観点からは傾斜角度が大きいことが望ましいのであり、傾斜角度はストッパ板あるいはストッパ板受け装置の材料(特に耐摩耗性)やアクチュエータの作動力との兼ね合いで選定されるべきものである。
(6)前記第1案内面の前記ストッパ板の昇降方向に対する傾斜角度が、前記第2案内面の前記ストッパ板の昇降方向に対する傾斜角度より小さくされた(5)項に記載の基板停止装置。
本態様の基板停止装置においては、第1案内面が主としてストッパ板の搬送方向に関する位置決め機能を果たし、第2案内面が主としてストッパ板の上昇端位置を規定する機能を果たす。
第1案内面の傾斜角度は、例えば、20°以下とされることが望ましく、15°以下、10°以下、5°以下とされることがさらに望ましい。
(7)前記ストッパ板が、前記幅方向における寸法である幅が前記昇降方向における寸法である高さより大きい矩形状をなす(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の基板停止装置。
回路基板をストッパ板に幅方向において広く当接させることができ、回路基板が、その表面に直角な軸線のまわりにおいて傾くことなく、安定して停止させられる。
(8)前記ベルトコンベヤが、搬送すべき回路基板の幅方向の両側縁部をそれぞれ支持する1対のコンベヤベルトを含み、前記ストッパ板が、その1対のコンベヤベルトの前記幅方向において互いに反対側である2つの縁の間隔より広い幅を有する(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の基板停止装置。
本項に記載のストッパ板によれば、回路基板に、搬送方向において下流側の端面に開口する切欠が設けられていたり、搬送方向において下流側あるいは上流側に凸に湾曲させられていたりして、下流側端縁が幅方向に平行な一直線状を為さなくても、ストッパ板の搬送方向あるいは幅方向における位置を回路基板の形状に応じて変更することなく、搬送可能な全部の種類の回路基板をコンベヤから下流側へはみ出させることなく、停止させることができる。
(9)前記ストッパ板受け装置が1対、前記ストッパ板の幅方向に隔たった2部分の各々に係合可能な位置に設けられた(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の基板停止装置。
本項に記載の特徴は(7)項および(8)項に記載の態様において特に有効である。
1対のストッパ板受け装置がそれぞれ、ストッパ板の回路基板の幅方向に隔たった2部分を受け、ストッパ板当接時の衝撃に対してストッパ板を安定して受けることができる。そのため、回路基板が当接した際のストッパ板の下流側への移動が良好に防止され、より高い位置決め精度が得られる。
(10)前記ベルトコンベヤが、搬送すべき回路基板の幅方向の両側縁部をそれぞれ支持する1対のコンベヤベルトを含み、前記ストッパ板が、その1対のコンベヤベルトの前記幅方向において互いに反対側である2つの縁の間隔より広い幅を有し、かつ、前記1対のストッパ板受け装置が、前記2つの縁の間隔より広い間隔で配設された(9)項に記載の基板停止装置。
(11)前記ベルトコンベヤが、
搬送すべき回路基板の幅方向の両側縁部をそれぞれ支持する1対のコンベヤベルトと、 それら1対のコンベヤベルトの各々を支持する1対のサイドフレームと
を含み、かつ、前記1対のストッパ板受け装置が、前記サイドフレームの前記幅方向における外側面に固定された(10)項に記載の基板停止装置。
(12)前記ベルトコンベヤが、前記一対のサイドフレームの間隔を変更するフレーム間隔変更装置を含み、前記ストッパ板が前記1対のサイドフレームの間隔が最大の状態とされた状態における前記1対のコンベヤベルトの前記幅方向において互いに反対側である2つの縁の間隔より広い幅を有する(11)項に記載の基板停止装置。
本構成の基板停止装置においては、搬送すべき回路基板の幅に合わせてベルトコンベヤの幅が変更されるのに伴って、1対のストッパ板受け装置の間隔が変わり、ストッパ板の、回路基板の両側縁部に対応する2部分に係合することとなり、回路基板の、ストッパ板の当接部への当接時に、その当接部の搬送方向の下流側への変位が効果的に防止され、回路基板の停止位置精度が特に高くなる効果が得られる。
(13)前記ストッパ板の前記回路基板の下流側端に当接する部分に、複数の貫通孔が形成された(1)項ないし(12)項のいずれかに記載の基板停止装置。
本項に記載の基板停止装置によれば、回路基板をストッパ板に当接させて停止させることができる上、ストッパ板に対して搬送方向の下流側から貫通孔を通して回路基板の有無を目視により確認することができる。
本項において、貫通孔の数と内法寸法とは、回路基板の前端部に形成されることが予定されているあらゆる数および内法寸法の切欠の存在にもかかわらず、いずれかの貫通孔を通して回路基板の前端を視認可能な大きさに選定されることが望ましい。
本項に記載の特徴は、ストッパ板の幅が回路基板の幅以上である場合に特に有効である。この場合、回路基板はストッパ板からはみ出さず、ストッパ板が不透明な材料製であれば、回路基板がストッパ板に隠れて見えないからである。
貫通孔が設けられることによりストッパ板の剛性が低下するが、ストッパ板はストッパ板受け装置により受けられ、回路基板当接時の搬送方向下流側への移動が低減されるため、支障はない。したがって、ストッパ板に貫通孔が形成される場合、ストッパ板はストッパ板受け装置によって受けられることが望ましいが、不可欠ではなく、本項に記載の特徴は、(1)項に記載の特徴とは独立して採用可能である。(17)項に記載の基板停止装置についても同様である。
(14)さらに、
前記搬送方向において前記ストッパ板から設定距離上流側に配設され、前記ベルトコンベヤによって搬送される回路基板の下流側端を検出し、検出信号を発する下流側端検出装置と、
その下流側端検出装置からの前記検出信号に応じて前記ベルトコンベヤの駆動源への駆動エネルギを断つ駆動エネルギ遮断装置と
を含む(1)項ないし(13)項のいずれかに記載の基板停止装置。
「設定距離」は、例えば、駆動源への駆動エネルギが断たれた後、慣性によるコンベヤベルトの移動により、回路基板がストッパ板に当接する位置まで移動することが保証される距離とされる。
(15)前記下流側端検出装置が、
互いに回路基板の幅方向に回路基板の幅より大きい距離を隔て、かつ、前記幅方向に平行な方向において互いに対向して設けられた投光器および受光器と、
前記投光器から前記受光器への光の少なくとも一部が回路基板の下流側端部により遮られることによって、前記受光器の出力信号が設定値以下に低下したとき、前記検出信号を発する電気回路と
を含む(14)項に記載の基板停止装置。
次項の態様においては、回路基板の下流側端に切欠があれば、光の少なくとも一部が回路基板によって遮られることなく切欠を通過し、回路基板の下流側端が検出されず、あるいは、検出の確実性が低くなる事態が生じる可能性がある。あるいは、その事態を避けるために投光器と受光器との少なくとも一方の位置を調節すること、あるいは電気回路における設定値を調節することが必要になる場合がある。それに対し、本項に記載の基板停止装置によれば、投光器および受光器の光軸が幅方向に平行とされているため、回路基板の下流側端の形状によらず、回路基板の下流側端により光が遮られ、検出装置の位置や設定値を調節することなく、回路基板を検出することができる。
(16)前記下流側端検出装置が、
互いに回路基板の幅方向に回路基板の幅より大きい距離を隔て、かつ、前記幅方向に対して光軸が傾斜した状態で互いに対向して設けられた投光器および受光器と、
前記投光器から前記受光器への光の少なくとも一部が回路基板の下流側端部により遮られることによって、前記受光器の出力信号が設定値以下に低下したとき、前記検出信号を発する電気回路と
を含む(14)項に記載の基板停止装置。
本項の態様においては、(15)項に関して説明した不利がある反面、回路基板に反りがある場合でも、それの下流側端を検出し得る利点がある。
(17)前記ストッパ板の前記回路基板の下流側端に当接する部分に、多数の小径貫通孔が形成された(15)項または(16)項に記載の基板停止装置。
本項において「小径貫通孔」とは、直径が5mm以下、望ましくは3mm以下、さらに望ましくは2mm以下の貫通孔を意味する。また、「多数の貫通孔」とは、回路基板の下流側端に当接する部分において、貫通孔の横断面積の和が全面積の30%以上、望ましくは40%以上、さらに望ましくは50%以上を占める結果となる数を意味する。直径の小さい貫通孔が多数形成されるほど、ストッパ板の表面の反射率を均一に低下させることができるのである。
本項において「前記ストッパ板の前記回路基板の下流側端に当接する部分」とは、現実に回路基板が当接する部分だけでなく、投光器から受光器に向かう光のストッパ板の昇降方向における高さより広い帯状の領域を意味する。
本項に記載の特徴によって、投光器から受光器に向かって放射された光がストッパ板の表面によって反射され、受光器に達する量が低減させられ、投光器から受光器への光と回路基板の下流側端との相対位置の変化に対する受光器の受光量の変化率が大きくなり、受光器の出力信号が設定値以下に低下したことがはっきりわかり、検出信号が発せられる回路基板の下流側端の位置のばらつきが小さくなる効果が得られる。
本項に記載の特徴は、ストッパ板が、表面に光沢がある(例えば、表面あらさが0.4mm以下であればよく、0.1mm以下が望ましく、0.05mm以下が最適である)ことと、表面の色が明色であることとの少なくとも一方の条件を満たす材料から成るものである場合に特に有効である。
本項に記載の多数の小径貫通孔に、(13)項に記載の複数の貫通孔を兼ねさせることができる。
本項が(16)項に従属する態様においては、小径貫通孔は、ストッパ板が作用位置へ上昇させられた状態において、その下流側端検出装置の幅方向に対して傾斜させられた光軸に対応する部分であって、投光器から放射される光の光軸に直角な方向の幅より広い幅の領域に形成されることが望ましい。但し、小径貫通孔を搬送方向に直角な幅方向に対して傾斜した領域に設けることは必ずしも必要ない。
(18)前記ストッパ板の前記回路基板の下流側端に当接する部分を暗色にすることと、つや消し剤を塗布する等により光沢のない表面とすることとの少なくとも一方が行われた(15)項ないし(17)項のいずれかに記載の基板停止装置。
本項が(17)項に従属する態様の基板停止装置によれば、(17)項に記載の基板停止装置における効果がさらに増し、(15)項または(16)項に従属する態様の基板停止装置によれば、(17)項に記載の基板停止装置における効果の代わりに、類似の効果が得られる。