特許第5726750号(P5726750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5726750
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】モータ−ポンプ組立体
(51)【国際特許分類】
   F04B 45/04 20060101AFI20150514BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   F04B45/04 J
   F04B39/00 101E
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-541395(P2011-541395)
(86)(22)【出願日】2009年12月15日
(65)【公表番号】特表2012-512986(P2012-512986A)
(43)【公表日】2012年6月7日
(86)【国際出願番号】EP2009067204
(87)【国際公開番号】WO2010069965
(87)【国際公開日】20100624
【審査請求日】2012年11月29日
(31)【優先権主張番号】102008064151.0
(32)【優先日】2008年12月19日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102009054499.2
(32)【優先日】2009年12月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500030596
【氏名又は名称】コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】クレブス、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】リューファー、マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】バハー、イエンス
(72)【発明者】
【氏名】クレー、ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ミリジク、ラツァー
(72)【発明者】
【氏名】ザイツ、カールハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ケニヒ、ハラルト
(72)【発明者】
【氏名】コレルス、ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ゴンツァレツ、ヨゼ
(72)【発明者】
【氏名】ユルギンク、ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ニーペンベルク、マルセル
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/090764(WO,A1)
【文献】 特開2002−371961(JP,A)
【文献】 特開平07−091371(JP,A)
【文献】 特開昭62−157285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/04
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ(2)とこのポンプ(2)を駆動する電動モータ(3)とを備え、このポンプ(2)は、互いに対向配置されてそれぞれがポンプハウジング(5)と作動スペースカバー(6)との間に把持され、これにより、作動スペース(7)を区画し、偏心部材(9)と連接棒(10)とを有するクランク駆動装置(8)で移動可能な2つの作動ダイアフラム(4)を有するダブルダイアフラムポンプとして形成され、前記作動スペース(7)はそれぞれ入口弁(14)を有する入口ダクト(16)と出口弁(19)を有する出口ダクト(21)とを設けられ、前記出口ダクトは、作動スペースカバー(6)とポンプハウジング(5)とに、前記作動スペース(7)から放出された空気が、前記クランク駆動装置を囲む、前記ポンプハウジング(5)の内部スペース(22)に案内されるように、配置されて設けられ、更に、空気を逸らすことにより、内部スペース(22)から低騒音での空気の放出を可能とする空気出口ユニット(23,53)が設けられ、この空気出口ユニット(23,53)は、フィルタハウジング(32,54)とフィルタ(33,59)と空気出口カバー(34,56)と弁保持部(38,70)と弁ボディ(31)とを有する、特に負圧ブレーキブースタである空圧ブレーキブースタを有する自動車ブレーキシステムのブレーキ作動装置のための特に圧力を形成するモータ−ポンプ組立体であって、前記空気出口ユニット(23,53)内で内部スペース(22)から出た空気を逸らす中間フロア(37,55)が、前記フィルタハウジング(32,54)と空気出口カバー(34,56)との間に設けられ、弁保持部財(38,70)が前記中間フロア(37,55)に一体的に成型され、この中間フロア(37,55)は、前記空気入口ユニット(23,53)をシールするために、周部に成型されるシール形成部材(43,71)を有することを特徴とするモータ−ポンプ組立体。
【請求項2】
前記弁ボディ(31)は、弁保持部材(38,70)に一体的に成型されることを特徴とする請求項1に記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項3】
前記中間フロア(37,55)は、エチレン プロピレン ジエン ゴムから製造されることを特徴とする請求項1からのいずれか1に記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項4】
前記フィルタ(33,59)が、フィルタハウジング(32,54)と中間フロア(37,55)との間に配置され、他のフィルタ(42,60)が空気出口カバー(34,56)と中間フロア(37,55)との間に設けられていることを特徴とする請求項に記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項5】
前記フィルタハウジング(54)および空気出口カバー(56)内にリブ(57,58)が設けられ、これらのリブ(57,58)は、前記中間フロア(55)の開口(61)内にフィルタ(59,60)を位置させることを特徴とする請求項に記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項6】
前記空気出口カバー(56)は、少なくとも1つのサージ保護壁(62)を有することを特徴とする請求項に記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項7】
前記ポンプハウジング(5)はプラスチックから形成され、モータ積層板(44)がポンプハウジング(5)とモータ(3)との間に取り付けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項8】
前記モータ積層板(44)は、モータ−ポンプ組立体(1)を取付けるための保持部材を有することを特徴とする請求項に記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項9】
前記作動スペースカバー(6)が、互いにシールを形成する態様で接続された上カバー(11)と下カバー(12)とを有し、前記弁(14,19)が上カバー(11)と下カバー(12)との間に設けられている請求項1からのいずれか1つに記載のモータ−ポンプ組立体であって、前記上カバー(11)はプラスチックで成型され、下カバー(12)は、穴開け部材又は焼結部材として形成され又はアルミニュームダイカストで製造されることを特徴とするモータ−ポンプ組立体。
【請求項10】
前記作動スペースカバー(6)は、ポンプハウジング(5)に溶接されて設けられることを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項11】
前記上カバー(11)は、ポンプハウジング(5)内の対応する凹部(52)に隆起距離(U)が係合する、複数の溶接突起(51)を有し、前記上カバー(11)とポンプハウジング(5)とは超音波溶接により互いに溶着されることを特徴とする請求項又は10に記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項12】
前記上カバー(11)と下カバー(12)とをシールするために、複数のシール形成部材(25,26,27,65,66,67)を有する成型されたシール(24,64)が設けられることを特徴とする請求項から11のいずれか1つに記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項13】
前記入口弁および出口弁(14,19)の弁ディスク(68,69)が、成型されたシール(64)上に成型されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項14】
前記出口弁(14)の弁ディスク(15)のための保持部材(29)が設けられ、この保持部材(29)は、下カバー(12)と上カバー(11)との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項15】
偏心部材(9)が焼結部材として設けられ、これらの偏心部材のそれぞれは、偏心部材(9)に一体的に成型されたアンバランスウェイト(72)を有することを特徴とする請求項1から1のいずれか1つに記載のモータ−ポンプ組立体。
【請求項16】
接続ロッド(10)の接続アイレット(73)が焼結部材として設けられ、プラスチック製の連接棒シャンク(74)が設けられ、前記接続アイレット(73)に対する連接棒シャンク(74)の取付けが、接続アイレット(73)の延長部(75)を射出成型により封入することで設けられることを特徴とする請求項1から1のいずれか1つに記載のモータ−ポンプ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分によるモータ−ポンプ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つの負圧チャンバと1つの作動チャンバとに内部が分割される空圧ブレーキブースタのための真空圧を利用可能とするために、負圧チャンバから残留する空気を吸引し、これを大気中に排出する真空圧ポンプが用いられている。自動車産業界では、一般にベーンタイプのポンプまたは回転ベーンポンプがこのために使用されている。このようなポンプは、内包する原理により、大きな摩擦が発生し、使用寿命を容認可能なものとするために、潤滑することが必要である。自動車の内燃機関で駆動され、ベーンを有する真空圧ポンプは、したがって、内燃機関の潤滑油回路に接続される。しかし、内燃機関による出力される動力のかなりの部分がこのポンプを駆動するために使用することが必要である。排気すべきチャンバ内の真空圧が完全に形成されている場合でも同様である。この理由により、真空圧ポンプを電気エネルギで作動し、負圧チャンバ内の絶対圧力が所定の値より上昇したときにのみ、これを作動することが適切である。
【0003】
更に、電気駆動又はハイブリッド駆動の車両では、内燃機関により真空ポンプを駆動することができないか、又は、特定のときに駆動できない。このため、電気的に駆動される真空ポンプがこのような車両に用いられている。
【0004】
このような電動駆動ポンプに潤滑回路を設け、又は、このようなポンプにこのような回路を接続することは、容認できないほどの高い費用を意味する。このため、乾式作動(dry-running)の真空ポンプだけが、電動真空ポンプを有するブレーキシステムを備えた自動車に使用することが可能である。ベーンタイプのポンプでは、自己潤滑性の材料であるグラファイトがこのために使用されており、これらのベーンは、高コストで必要な精度を持ってグラファイトで製造されている。このために、制動用の真空圧を電気的に得ることを可能とするため、ダイアフラムポンプを使用することの努力が行われている。
【0005】
一般的な形式のモータ−ポンプ組立体は、例えば特許文献1で知られており、このモータ−ポンプ組立体の出口ダクトは作動スペースカバー内かつポンプハウジング内で、作動スペースから排出された空気が、ポンプハウジングのクランクドライブを囲む内部スペース内に案内されるように配置され、空気を逸らす(deflect)ことにより、内部スペースからの空気の低騒音放出を可能とする空気出口ユニットが設けられている。内部スペースはクランクスペースとも称され、したがって、排出された空気は直接大気に案内されないため、消音スペースとして作用する。空気出口ユニット内で空気を逸らすことは騒音レベルを更に大きく減少することを可能とし、この結果、騒音の放出は実質的に完全に防止される。空気出口ユニットは、フィルタハウジングと、少なくとも1つのフィルタと、空気出口カバーと、弁保持部材と、弁ボディとを備え、事前装着可能な組立体として設けられる。排出された空気は、フィルハウジング、弁保持部材及び弁ボディが逆止弁を形成するという事実により、逆流が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許公報DE10 2007 005 223A1
【発明の概要】
【0007】
製造コストおよび装着費用を低減するための努力が常に行われている。このため、本発明の目的は、一般的なタイプの従来の組立体に比較して装着費用が削減された、低騒音で、コスト削減したモータ−ポンプ組立体を提供可能とすることである。更に、部材の数が減少されるべきである。
【0008】
本発明によりこの目的が達成され、空気出口ユニット内の内部スペースから出た空気を逸らせる中間フロアがフィルタハウジングと空気出口カバーとの間に設けられ、弁保持部材はこの中間フロアに一体的に成形される。この結果、空気出口ユニットの装着は極めて簡略化され、多数の部材を削減することができる。
【0009】
本発明の他の特徴、利点および適用可能性は、以下の例示的な実施例の説明および図面から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明によるモータ−ポンプ組立体を立体的に示す。
図2図2は、図1のモータ−ポンプ組立体を、第1平面を通る長手方向断面で示す。
図3図3は、図1の作動スペースカバーを、第2平面を通る長手方向断面で示す。
図4図4は、図3の作動スペースカバーの個々の部材を立体的に示す。
図5図5は、図3および図4の作動スペースカバーの成型シールを示す。
図6図6は、図1のモータ−ポンプ組立体の空気出口ユニットを長手方向断面で示す。
図7図7は、図6空気出口ユニットを分解組立図で示す。
図8図8は、図1のモータ−ポンプ組立体の運動積層板を立体図で示す。
図9図9は、図1のポンプの拡大詳細図を示す。
図10図10は、本発明のモータ−ポンプ組立体の第2の例示的実施形態を立体図で示す。
図11図11は、図10のモータ−ポンプ組立体の空気出口ユニットを分解組立図で示す。
図12図12は、図10のモータ−ポンプ組立体の成型シールを立体図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明によるモータ−ポンプ組立体1を分解組立体図で示し、このモータ−ポンプ組立体1は、ポンプハウジング5を有するポンプ2と、このポンプを駆動する電動モータ3とを備え、この電動モータ3は例えば直流モータとして具体化することができる。
【0012】
ポンプ2は、図2の断面図から明らかなように、2つの作動ダイアフラム4を有するダブルダイアフラムポンプとして形成されており、これらのダイアフラムは、互いに対向して配置されかつそれぞれがポンプハウジング5と作動スペースカバー6との間に把持され、これにより、作動スペース7を区画している。これらの作動ダイアフラム4は、クランク駆動装置8により、反対方向に移動することができ、このクランク駆動装置は、ダイアフラム4ごとに、偏心部材9と連接棒10とを備えている。
【0013】
図3に断面図で示す作動スペースカバー6は、上カバー11と下カバー12とを有し、これらのカバーは、互いに気密状態に、溶接され、リベット留めされ、又は、ねじ留めされる。コスト低減のために、上カバー11をプラスチック製で形成し、下カバー12は穴開け部材(punched part)として形成されている。これも費用効率の高い代替手段として、アルミニュームダイカストによる製品とすることも可能である。更に、焼結部材として下カバー12を形成することもできる。
【0014】
作動スペースカバー6のそれぞれには入口ダクト13が設けられており、この入口ダクト13は、上カバー11内に成型され(molded)、シール形成部材によりポンプハウジング5内の複数のダクトに気密状態で接続され、入口弁14に吸引された空気を送る。入口弁14は、プラスチック材料で形成された弁ディスク15を有する板バルブとして形成されている。この点、作動スペースカバー6の各部材を立体的に示す図4から明らかなように、エラストマー製の弁ディスク15で覆われる全通路面は、便宜的に分割されており、ここでは、それぞれが円形の断面形状を持つ多数の小さな通路面に分割されている。このため、上カバー11内の入口ダクト13は、個別ダクト16の数に対応した数に分岐しており、これらのダクト16は入口弁14の中心軸の回りで円形状に配置されている。入口弁14の通路面はこのために用いられる。
【0015】
吸引空気は入口弁14を通って流れた後、下カバー12の作動スペースカバー開口17を介して、ダイアフラム4と作動スペースカバー6との間の作動スペース7内に送られ、ここで圧縮され、他の作動スペースカバー開口18を介して出口弁19に導かれ、この出口弁19も、エラストマー材料で形成された弁ディスク20を有する板バルブとして形成されている。明らかなように、出口ダクト21は、上カバー11と下カバー12との間に成型されている。
【0016】
吐出された空気は出口弁19から作動スペースカバー6内の出口ダクト21を介してポンプハウジング5内の出口ダクト(図示しない)に導かれる。作動スペースカバー6およびポンプハウジング5内の出口ダクト21は、シール形成部材により、気密状態で接続されている。ポンプハウジング5内の2つの出口ダクトは、クランクスペースと称される、ポンプハウジング5の内部スペース22内に開口しており、このポンプハウジングはクランク駆動装置(crank drive)を囲んでいる。
【0017】
ポンプハウジング5内に設けられ、以下に詳細に説明する空気出口弁ユニット23は、内部スペース22からの空気の低騒音放出を可能とする。したがって、内部スペース22は、制音スペース(sound damping space)として作用する。
【0018】
シールを形成するため、成型されたシール(molded seal)24(図5に示す)が上カバー11と下カバー12との間に設けられ、この成型シール24は、2つの部材11,12間の複数の領域をシールするため複数のシール形成部材25,26,27を有し、上カバー11の対応する凹部28内に配置することができる。成型されたシール24に個々のシール形成部材25−27を接続することにより、製造コストを削減することができる。更に、個々の部材の数を減少することができる。
【0019】
入口弁14の領域内の保持部材29は、上カバー11に弁ディスク15を保持し、同時に、作動スペースのデッドスペースを確実に減少させる。この結果、ほぼ5%、真空度を増大することができる。
【0020】
図6に断面で示す空気出口ユニット23は、単一部材又は複数部材からなる弁ボディ31を有する逆止弁30を備え、既に吐出された空気の逆流を防止し、液体又はガス状物質が内部スペース22に侵入するのを防止する。
【0021】
更に、図7に分解組立図で示す空気出口ユニット23が、フィルタハウジング32内に配置されたフィルタ33を有することにより、空気が内部スペース22から出るときの空気伝播音が減少する。更に、空気出口ユニット23は空気出口カバー34と弁保持部材38と弁ボディ31とを有し、事前装着可能な組立体として設けることができる。空気出口カバー34とフィルタハウジング32とは、図1,2から明らかなように、ポンプハウジング5にねじ部材35で取付けることができる。フィルタハウジング32は、空気出口カバー34にリベット止めされている。このため、フィルタハウジング32は複数のピン36を有し、出口カバー34は対応したドリル孔(図で見えない)を有する。
【0022】
フィルタハウジング32と空気出口カバー34との間の中間フロア37は、図6に示すように、空気出口ユニット23内で空気流Lを逸らす作用をなす。
【0023】
ポンプ2の内部スペース22内の空気圧が、ポンプ2を囲む大気圧よりも高い場合は、弁ボディ31が少なくとも部分的にフィルタハウジング32内の開口39から上昇することで逆止弁30が開き、空気はフィルタ33を通って大気の方向に流れる。
【0024】
このため、中間フロア37は開口40を有する。空気は最初にフィルタハウジング32内の開口39を通る。中間フロア37の開口40は、空気が最初に90°、この後、空気出口カバー34の開口41を出るまで180°逸らされるように配置されている。この空気の向きの逸れ(deflection)は、騒音レベルを大きく減少することができる。
【0025】
中間フロア37は、空気出口ユニット23に容易に一体化することができ、事前装着可能な構造体ユニットの一部を形成する。フィルタ33は、フィルタハウジング32と中間フロア37との間に配置される。他のフィルタ42は、空気出口カバー34と中間フロア37との間に設けられる。これにより、空気伝播音は、空気出口ユニット23内で、逸らされる前およびその後の双方で減衰される。
【0026】
更に、図6から明らかに、弁保持部材38は中間フロア37に一体的に成型されており、この結果、部材の数および装着費用が更に大きく減少される。
【0027】
成型されたシール形成部材43が、空気出口ユニット23をシールするために中間フロア37に設けられ、部材数の減少効果を更に増大する。
【0028】
他の例示的な実施形態(図示しない)では、部材の数を更に減少するため、弁ボディ31も中間フロア37又は弁保持部材38に一体的に成型される。
【0029】
中間フロア37は、EPDM(エチレン−プロピレン ジエンゴム(ethylene propylene diene rubber))から費用効率が高くかつ簡単な方法で製造することができる点で有益である。
【0030】
ポンプハウジング5は、プラスチックで形成され、費用効率の高い製品とすることができる。図1および2から明らかなように、モータ積層板(motor laminate)44(図8に示す)がモータ3とポンプハウジング5との間に配置されており、ポンプハウジング5のモータフランジ側45に取付けられ、モータ3からの電磁放射(EMV-Strahlen;EMC radiation)を阻止する。
【0031】
モータ3およびモータ積層板44は、ポンプハウジング5内に直接螺合されるねじ部材46により、ポンプハウジング5に取付けられる。
【0032】
モータ−ポンプ組立体1を車両に取付けるため、モータ積層板44は保持部材(図示しない)を有することができる。
【0033】
更に、図2から明らかに、モータシャフト47は、この例示的な実施形態では同時に、偏心部材9および連接棒10を有するクランク駆動装置8として作用する、
しかし、モータシャフトおよび偏心軸を別個にした実施形態も可能である。
【0034】
上述の空気出口ユニット23は、ポンプハウジング5のモータ3に対して反対に面する壁部49の貫通孔48内に装着するために設けられる。これに関連して、貫通孔48は、空気出口ユニット23を装着する前、ポンプハウジング5の内部スペースにアクセス可能とする装着窓の機能をなす。
【0035】
更に、例えば、接続されたブレーキブースタを介して排気される接続部50(図1に示す)が、ポンプハウジング5に設けられる。
【0036】
図9は、モータ−ポンプ組立体1のポンプ2の細部を断面で示す。明らかなように、作動スペースカバー6をポンプハウジング5に取付けるために、上カバー11は溶接突起51を有し、この溶接突起は、ポンプハウジング5の対応する凹部52に隆起距離Uが係合する。溶接突起51およびポンプハウジング5は、超音波により点状に軟化又は溶融され、この結果、2つの部材11,5間の確実な接続が形成される。
【0037】
図2から明らかに、振動を最適とするために、アンバランスウェイト72が偏心部材9のそれぞれに成型されており、ここでは偏心部材9は焼結部材として製造されている。この実施形態の偏心部材9は、一方において、偏心部材9へのアンバランスウェイト72の装着が、通しねじ(through screwing)、溶接等なしで可能であるため、費用効率が高くかつ簡単に装着可能な製品とし、他方において、上記実施形態の偏心部材9は、更に部材数を減少する。
【0038】
更にコストを最適にするために、連接棒10の接続アイレット73が焼結部材として設けられており、連接棒シャンク74がプラスチックで形成され、接続アイレット73に対する連接棒シャンク74の取り付けは、射出成形により、接続アイレット73の延長部75を封入(encapsulate)して行われる。作動ダイアフラム4は、摩擦溶接により、連接棒シャンク74に容易に取付けることができる。ボール軸受76は接続アイレット73内に圧入される。
【0039】
本発明の第2の例示的実施形態によるモータ−ポンプ組立体1を、図10に示す。機能および本質的デザインは第1の例示的実施形態と異なるものではないため、相違する部分のみ、以下に詳細に説明する。
【0040】
第2の例示的実施形態は、改善された空気出口ユニット53を有し、この空気出口ユニットも、第1の例示的実施形態についての上記説明と同様に、弁ボディ31を有する逆止弁を備える。更に、図11に分解組立図で示すように、この空気出口ユニット53も、フィルタハウジング54と、一体成形(molded-on)された弁保持部材70および一体成形されたシール形成部材71を有する中間フロア55と、空気出口カバー56とを備え、これらは、基本的に、第1の例示的実施形態におけるフィルタハウジング32と中間フロア37と出口カバー34とに対応する。
【0041】
これとは対照的に、中間フロア55内で開口61の領域にフィルタ59,60を位置決めするリブ57,58が、フィルタハウジング54およびフィルタ出口カバー56内に設けられている。これは、第1の例示的実施形態のフィルタ31,42とは対照的に、フィルタ59,60のサイズを極めて大きく減少することを可能とする。
【0042】
更に、サージ保護壁62が空気出口カバー56に設けられており、このサージ保護壁62は、流体が空気出口カバー56の開口63を通ってポンプ2に入るのを困難にする。
【0043】
他の相違は、成型されたシール64が、シール形成部材65,66,67だけでなく、入口および出口弁14,19用の弁ディスク68,69も有することであり、この成型されたシールは、上カバー11および下カバー12をシールするために設けられ、図12に示してあり、この結果、装着を更に簡単にすることができ、更に、部材の数も減少することができる。
【0044】
(符号の説明)
1 モータ−ポンプ組立体
2 ポンプ
3 モータ
4 作動ダイアフラム
5 ポンプハウジング
6 作動スペースカバー
7 作動スペース
8 クランク駆動装置
9 偏心部材
10 連接棒
11 上カバー
12 下カバー
13 入口ダクト
14 入口弁
15 弁ディスク
16 個別ダクト
17 作動スペースカバー開口
18 作動スペースカバー開口
19 出口弁
20 弁ディスク
21 出口ダクト
22 内部スペース
23 空気出口ユニット
24 成形シール
25 シール形成部材
26 シール形成部材
27 シール形成部材
28 凹部
29 保持部材
30 逆止弁
31 弁ボディ
32 フィルタハウジング
33 フィルタ
34 空気出口カバー
35 ねじ部材
36 ピン
37 中間フロア
38 弁保持部材
39 開口
40 開口
41 開口
42 フィルタ
43 シール形成部材
44 運動積層板
45 モータフランジ側
46 ねじ部材
47 モータシャフト
48 貫通孔
49 壁
50 接続部
51 溶接突起
52 凹部
53 空気出口ユニット
54 フィルタハウジング
55 中間フロア
56 空気出口カバー
57 リブ
58 リブ
59 フィルタ
60 フィルタ
61 開口
62 サージ保護へ着
63 開口
64 成形シール
65 シール形成部材
66 シール形成部材
67 シール形成部材
68 弁ディスク
69 弁ディスク
70 弁保持部材
71 シール形成部材
72 不平衡ウェイト
73 接続アイレット
74 連接棒シャンク
75 延長部
76 ボール軸受
U 隆起距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12