特許第5726785号(P5726785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5726785
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】タイヤ状態監視装置
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   B60C23/04 N
   B60C23/04 G
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-39100(P2012-39100)
(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公開番号】特開2013-173434(P2013-173434A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2013年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】井深 隆司
【審査官】 柳楽 隆昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−278761(JP,A)
【文献】 特開2007−196834(JP,A)
【文献】 特開平07−149121(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0147063(US,A1)
【文献】 特開2004−294413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、前記車輪の前記タイヤ内に設けられる車輪側ユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備えるタイヤ状態監視装置であって、
前記車輪側ユニットは、
ケースと、
前記ケースの外面に設置され、パンク修理剤の使用を検出する検出用電極と、
前記ケース内に設置され、空気圧を検出する圧力センサと、
前記検出用電極との間に隙間が設けられ、電界を形成する導体と、
前記電界の形成に伴い前記検出用電極に発生する静電容量を検出する検出部と、
前記ケースの外面にパンク修理剤が付着すると共に前記隙間にパンク修理剤が侵入し、前記検出部によって検出された前記静電容量が前記パンク修理剤の付着前から変動すると、前記静電容量の変動を示す信号を前記受信機ユニットに向けて無線送信させる制御部と、を備えるタイヤ状態監視装置。
【請求項2】
前記導体は前記ケース内に設けられた電池である請求項1に記載のタイヤ状態監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、車輪のタイヤ内に設けられる車輪側ユニット、及び車両の車体に設置される受信機ユニットを備えるタイヤ状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられた複数のタイヤの状態を運転者が車室内で確認できるようにするための装置として、無線方式のタイヤ状態監視装置が提案されている。タイヤ状態監視装置は、車両の車輪それぞれのタイヤ内に装着される送信機(車輪側ユニット)と、車両の車体に搭載される受信機(受信機ユニット)とを備えている。各送信機は、タイヤの内部空間に設置されるとともに、ケースに内蔵された空気圧センサ等の検出部を備える。送信機は、タイヤの内部空間の空気を、ケースに形成された通気孔を介してケース内に導入し、検出部によりタイヤ内圧力等を検出するようになっている。そして、送信機は、検出されたタイヤの状態を示すデータを含む信号を受信機に無線送信する。受信機は、各送信機から送信されたデータ信号を受信して、タイヤの圧力に関する情報を車室内に設けられた表示器に必要に応じて表示させ、乗員にタイヤ内圧力等の異常を報知させる。
【0003】
ところで、タイヤがパンクした際、パンク修理剤を用いてタイヤの修理が行われる場合がある。このとき、タイヤ内のパンク修理剤により通気孔が塞がってしまうと、検出部によるタイヤ内圧力等の検出が不能になったり、検出値が正常な値を検出できなくなったりする場合がある。この場合、検出部によって実際のタイヤ内圧力等の低下を正確に検出できず、タイヤ内圧力等の低下を乗員に報知できなくなってしまう。そこで、パンク修理剤が使用されたときに、そのパンク修理剤の使用を報知するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1のタイヤ空気圧監視システムは、空気圧センサと送信機とを有するとともに各タイヤ内に設置されたセンサユニットと、このセンサユニットから送信された電波を受信する受信機とを有する。また、特許文献1のタイヤ空気圧監視システムは、各タイヤ内圧力が閾値以下となった場合、警報を出す制御ECUと、各タイヤのパンクを判定するパンク判定手段と、パンクと判定された後、パンク修理剤を使用してパンクを修理したか否かを判定するパンク修理剤使用判定手段と、を備える。そして、制御ECUは、タイヤがパンク修理剤を使用して修理したと判定されると、空気圧センサによって検出されたタイヤ内圧力が正常値であっても警報を出し続ける。その結果、乗員は、パンク修理剤が使用されたことを認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−196834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のタイヤ空気圧監視システムにおいては、パンクか否かの判定を行い、パンクと判定されるとパンク修理剤が使用されたか否の判定を行っている。このため、タイヤがパンクしていないと判定されると、パンク修理剤が使用されていても、使用されていないと判定されてしまう場合がある。
【0007】
本発明の目的は、パンク修理剤が使用されたことを正確に検出することができる車輪位置判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、前記車輪の前記タイヤ内に設けられる車輪側ユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備えるタイヤ状態監視装置であって、前記車輪側ユニットは、ケースと、前記ケースの外面に設置され、パンク修理剤の使用を検出する検出用電極と、前記ケース内に設置され、空気圧を検出する圧力センサと、前記検出用電極との間に隙間が設けられ、電界を形成する導体と、前記電界の形成に伴い前記検出用電極に発生する静電容量を検出する検出部と、前記ケースの外面にパンク修理剤が付着すると共に前記隙間にパンク修理剤が侵入し、前記検出部によって検出された前記静電容量が前記パンク修理剤の付着前から変動すると、前記静電容量の変動を示す信号を前記受信機ユニットに向けて無線送信させる制御部と、を備える。
【0009】
これによれば、ケースにパンク修理剤が付着し、検出用電極と導体との間にパンク修理剤が侵入すると、検出用電極の静電容量が変動する。この静電容量の変動を検出回路で検出することによって、パンク修理剤が使用されたことを検出することができる。すなわち、静電容量の変動という物理的な変動でパンク修理剤が使用されたことを直接的に検出することができる。したがって、背景技術のようにパンクか否かの判定後に、パンク修理剤が使用されたか否かの判定を行う場合と異なり、タイヤ修理剤が使用されたことを直接的に検出することができ、タイヤ修理剤が使用されたことを正確に検出することができる。
【0010】
また、前記導体は前記ケース内に設けられた電池である。
これによれば、車輪側ユニットに予め設けられた部品を用いることで、検出用電極との間に電界を形成することができるため、検出用電極及び検出部の他に部品点数を増やすことなく、パンク修理剤の使用を検出することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パンク修理剤が使用されたことを正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】タイヤ状態監視装置が搭載された車両を示す概略構成図。
図2】タイヤセンサユニットの回路構成を示すブロック図。
図3】タイヤセンサユニットを模式的に示す斜視図。
図4】タイヤセンサユニットの別例を模式的に示す斜視図。
図5】タイヤセンサユニットの別例を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明のタイヤ状態監視装置を具体化した一実施形態について、図1図3を参照して説明する。
図1に示すように、タイヤ状態監視装置は、車両1の4つの車輪2にそれぞれ取り付けられる4つのタイヤセンサユニット3と、車両1の車体に設置される受信機ユニット4とを備えている。各車輪2は、ホイール部5と、このホイール部5に装着されるタイヤ6とを含む。
【0014】
車輪側ユニットとしての各タイヤセンサユニット3は、タイヤ6の内部空間に配置されるように、そのタイヤ6が装着されたホイール部5に対して取り付けられている。各タイヤセンサユニット3は、対応するタイヤ6の状態(タイヤ内圧力、タイヤ内温度)を検出して、検出されたタイヤ状態を示すデータを含む信号、即ちタイヤ状態データ信号(以下、データ信号と称する)を無線送信する。
【0015】
図2に示すように、各タイヤセンサユニット3は、箱状のケース20を備えるとともに、このケース20内には制御基板21及び電池22が内蔵されている。ケース20は合成樹脂材料によって形成されている。また、タイヤセンサユニット3は、電池22からの電力によって動作する。制御基板21には、圧力センサ11、温度センサ12、センサユニットコントローラ14、及び、RF送信回路16が信号接続されている。また、図3に示すように、ケース20には、タイヤ6内の空気をケース20内に導入するための通気孔20aが形成されている。
【0016】
そして、圧力センサ11は、通気孔20aを介してケース20内に導入された空気の圧力を検出することにより、タイヤ6内の圧力を検出して、その検出によって得られたタイヤ内圧力データをセンサユニットコントローラ14に出力する。温度センサ12は、通気孔20aを介してケース20内に導入された空気の温度を検出することにより、対応するタイヤ6内の温度を検出して、その検出によって得られたタイヤ内温度データをセンサユニットコントローラ14に出力する。
【0017】
図2に示すように、センサユニットコントローラ14は、CPU及び記憶部14a(RAMやROM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、記憶部14aには各タイヤセンサユニット3に固有の識別情報であるIDコードが登録されている。このIDコードは、各タイヤセンサユニット3を受信機ユニット4において識別するために使用される情報であり、センサユニットコントローラ14からの送信信号に含められる。センサユニットコントローラ14は、タイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ及びIDコードを含むデータを、RF送信回路16に出力する。RF送信回路16は、センサユニットコントローラ14からのデータを変調して変調信号としたデータ信号を生成し、そのデータ信号を送信アンテナ18から無線送信する。
【0018】
各タイヤセンサユニット3は、例えば、タイヤ状態の計測動作を第1の所定時間間隔(例えば、1〜15秒間隔)で定期的に行う一方、データ信号の送信動作を、第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔(例えば、1分間隔)で定期的に行う。但し、計測されたタイヤ状態が異常を示す場合(例えば、タイヤ内圧力の異常低下、タイヤ内圧力の急変、タイヤ内温度の急変等)、タイヤセンサユニット3は定期的な送信動作とは関係無く、直ちに送信動作を行う。
【0019】
図1に示すように、受信機ユニット4は、車体の所定箇所に設置され、例えば車両1のバッテリ(図示せず)からの電力によって動作する。受信機ユニット4は、車体の任意の箇所に配置された受信アンテナ32を備えている。そして、受信機ユニット4は、各タイヤセンサユニット3から送信されたデータ信号を受信アンテナ32を通じて受信して、その受信した信号を処理する。受信機ユニット4は、受信機ユニットコントローラ33を備えるとともに、RF受信回路35を備え、さらに、表示器38を備えている。
【0020】
受信機ユニットコントローラ33はCPU及び記憶部(ROMやRAM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、受信機ユニット4の動作を統括的に制御する。RF受信回路35は、各タイヤセンサユニット3から受信アンテナ32を通じて受信されたデータ信号(変調信号)を復調して、受信機ユニットコントローラ33に送る。受信機ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からのタイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ及びIDコード(データ信号)に基づき、発信元のタイヤセンサユニット3に対応するタイヤ6のタイヤ内圧力及びタイヤ内温度を把握する。受信機ユニットコントローラ33は、タイヤ内圧力及びタイヤ内温度に関する情報等を表示器38に表示させる。表示器38は、車室内等、車両1の搭乗者の視認範囲に配置される。
【0021】
次に、タイヤセンサユニット3の詳細な構成について説明する。
図3に示すように、タイヤセンサユニット3のケース20の上面(外面)には、脚部23が立設されるとともに、この脚部23には、検出用電極24が支持されている。検出用電極24は、金属板により円板状に形成されている。そして、ケース20の上面と、検出用電極24との対向面の間には、若干の隙間が形成されている。また、図2に示すように、検出用電極24は、電極用接続線25を介して、静電容量の検出回路27に信号接続されるとともに、この検出回路27は、センサユニットコントローラ14に信号接続されている。図3に示すように、検出用電極24は、ケース20を挟んで電池22と対向する位置に配置されている。
【0022】
そして、電池22により、検出用電極24に対して電圧が印加されるとともに、検出用電極24にはプラスの電荷が生じている。このため、検出用電極24と電池22との間に電界が形成されるとともに、検出用電極24にプラスの電荷が生じている(静電容量が形成されている)。よって、本実施形態では、電池22が検出用電極24との間に電界を形成する導体として機能している。
【0023】
電荷量(静電容量)は、検出部としての検出回路27によって検出されるとともに、検出回路27による静電容量の検出値はセンサユニットコントローラ14に出力される。検出回路27は、タイヤ状態の計測動作に合わせて第1の所定時間間隔(例えば、1〜15秒間隔)で、静電容量の検出を定期的に行う。検出用電極24の静電容量の変化は、検出用電極24と電池22との間の電界に侵入する物体の大きさ、厚さ、誘電率に関係があり、物体の大きさが大きいほど、厚さが厚いほど、誘電率が大きいほど静電容量の変化は大きくなる。
【0024】
センサユニットコントローラ14の記憶部14aには、静電容量の基準値が予め記憶されている。この基準値は、検出用電極24と電池22との間の隙間にパンク修理剤が存在していないときに、検出回路27によって検出される静電容量の値であり、実験等により予め設定されている。また、記憶部14aには、各タイヤセンサユニット3にパンク修理剤が付着したことを検出する検出プログラムが記憶されている。具体的には、センサユニットコントローラ14は、検出回路27で検出された静電容量が基準値から変動していると、パンク修理剤が使用されたことを検出する。さらに、センサユニットコントローラ14は、パンク修理剤が使用されたことを検出すると、その検出信号をRF送信回路16に出力する。RF送信回路16は、センサユニットコントローラ14からの検出信号を変調して変調信号をIDコードと共に送信アンテナ18から無線送信する。
【0025】
受信機ユニット4においては、受信機ユニットコントローラ33は、記憶部33aを備え、この記憶部33aには、パンク修理剤が使用された旨の信号を受信すると、パンク修理剤が使用されたことを、その車輪2の位置とともに表示器38に表示させる制御を行うプログラムが記憶されている。
【0026】
次に、タイヤ状態監視装置の作用について説明する。
さて、タイヤ6がパンクすると、パンク修理剤がタイヤ6内に供給される。そして、車両1の走行に伴うタイヤ6の回転によって、パンク修理剤が遠心力によってタイヤ6の内面に向けて飛ばされるとともに、パンク箇所に付着し、タイヤ6のパンクが修理される。このとき、タイヤセンサユニット3にもパンク修理剤が付着し、ケース20と検出用電極24との隙間にパンク修理剤が侵入したとする。
【0027】
すると、検出用電極24と電池22との間の電界中に、パンク修理剤が存在することになり、静電誘導を受けてパンク修理剤における検出用電極24に近い側にマイナスの電荷が現れ、反対側にはプラスの電荷が現れる。その結果、パンク修理剤に生じたマイナスの電荷の誘導を受けて、検出用電極24側のプラスの電荷は増加する。すなわち、検出用電極24の静電容量が増加(変動)する。
【0028】
そして、センサユニットコントローラ14は、検出回路27によって検出された検出値が基準値から変動したことを検出すると、検出信号をRF送信回路16から受信機ユニット4に向けて無線送信する。受信機ユニット4では、受信機ユニットコントローラ33がタイヤセンサユニット3から受信アンテナ32を通じて検出信号を受信して、その受信した検出信号を処理する。そして、受信機ユニットコントローラ33は、検出信号に基づき、発信元のタイヤセンサユニット3に対応するタイヤ6で、パンク修理剤が使用されたことを表示器38に表示させる。
【0029】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)タイヤセンサユニット3のケース20の外面(上面)に検出用電極24を設け、この検出用電極24と電池22との間で電界を形成するとともに、検出用電極24に静電容量を発生させた。また、検出用電極24を検出回路27に信号接続した。そして、ケース20と検出用電極24との間にパンク修理剤が侵入すると、検出用電極24の静電容量が変動するため、この変動を検出回路27で検出するようにした。よって、パンク修理剤が使用されたことを、静電容量の変動という物理的な変動で検出することができる。したがって、タイヤ6のパンクを判定した後に、パンク修理剤が使用されたか否かを判定していた背景技術と異なり、タイヤ修理剤が使用されたことを直接的に検出することができ、タイヤ修理剤が使用されたことを正確に検出することができる。
【0030】
(2)パンク修理剤がケース20に付着すると、静電容量の変動に基づいてパンク修理剤が使用されたことを検出する。このため、背景技術にようにパンクか否かの判定を行った後に、パンク修理剤が使用されたか否かの判定を行う場合と異なり、パンク修理剤が使用されたことを直接的に検出することができる。
【0031】
(3)パンク修理剤は、一般にエチレングリコールを成分としており、このエチレングリコールは誘電率が30以上と高い物性を示す。このため、検出用電極24と電池22との間にケース20(誘電率5以下)が存在していても、パンク修理剤が隙間に侵入すれば、静電容量が大きく変動するため、パンク修理剤が使用されたことを確実に検出することができる。
【0032】
(4)パンク修理剤は、タイヤ6内に供給されると、車輪2の回転によってタイヤセンサユニット3のケース20に付着する可能性が高い。そして、パンク修理剤が使用されたことを正確かつ確実に検出し、表示器38に表示することができるため、車両1のユーザーにタイヤ6を交換することを促すことができる。
【0033】
(5)タイヤ6内にパンク修理剤が供給されると、ケース20の通気孔20aが塞がれてしまい、圧力センサ11によるタイヤ内圧力の検出が正確に行えなくなるだけでなく、タイヤ内圧力の異常を検出できなくなる恐れがある。したがって、本実施形態のように、静電容量の変動を検出することでパンク修理剤が使用されたことを速やか、かつ正確に検出することで、タイヤ内圧力の異常を検出できなくなることを回避することができる。
【0034】
(6)検出用電極24を平板状に形成した。このため、検出用電極24と電池22との間で対向する面積を稼ぎ、静電容量を大きくすることができる。
(7)タイヤセンサユニット3に内蔵された電池22を用いて検出用電極24との間に電界を形成するとともに、検出用電極24に静電容量を生じさせた。よって、電池22という既存の構成を用い、検出用電極24及び検出回路27を増やすだけでパンク修理剤の使用を正確に検出することができる。
【0035】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、検出用電極24を電池22と対向させて、検出用電極24と電池22の間に電界を形成するようにしたが、これに限らない。図4に示すように、ケース20内で制御基板21上に設けた別の電極28(導体)に対し、検出用電極24を対向させ、検出用電極24と電極28との間に電界を形成するようにしてもよい。
【0036】
○ 実施形態では、検出用電極24を電池22と対向させて、検出用電極24と電池22の間に電界を形成するようにしたが、これに限らない。図5に示すように、検出用電極24をケース20の外面(上面)に設けるとともに、凹凸形状に形成する。そして、ケース20の外面(上面)であり、検出用電極24が設けられた面と同一面に、別の電極29(導体)を設けるとともに、凹凸形状に形成する。検出用電極24の凹部には電極29の凸部が入り込み、検出用電極24の凸部が電極29の凹部に入り込むように、検出用電極24と電極29を互いに噛み合うように配置する。そして、ケース20の上面において、検出用電極24と電極29との間に電界を形成する。このように構成すると、検出用電極24と電極29との間で対向する面積を稼ぎ、さらに、検出用電極24と電極29の距離を近づけることができるため、静電容量を大きくすることができる。
【0037】
○ 実施形態では、検出用電極24をケース20の上面(外面)に設けたが、検出用電極24は、ケース20の上面に限らず、導体(電池22、電極28,29)との間に電界を形成し、静電容量を発生させることができるのであれば、検出用電極24はケース20の側面、下面等に設けられてもよい。
【0038】
○ 実施形態では、検出回路27によって検出された検出値(静電容量)が基準値から変動したことを検出すると、検出信号を受信機ユニット4に向けて無線送信し、パンク修理剤が使用されたことを表示器38に表示させるするようにしたが、検出信号を送信する基準を変更してもよい。例えば、検出回路27によって検出された検出値(静電容量)が、予め設定された閾値を越えると、検出信号を受信機ユニット4に向けて無線送信するようにしてもよい。
【0039】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記各車輪側ユニットは、前記車輪におけるタイヤの状態を検出するとともに検出したタイヤの状態を示すデータを含むデータ信号を無線送信するタイヤセンサユニットである請求項1又は請求項2に記載のタイヤ状態監視装置。
【0040】
(ロ)前記検出用電極は平板状に形成されている請求項1、請求項2、及び技術的思想(イ)のうちいずれか一項に記載のタイヤ状態監視装置。
(ハ)前記検出用電極と前記導体は、前記ケースの同一面で互いに噛み合うように凹凸に形成されている請求項1、請求項2、技術的思想(イ)、及び(ロ)のうちいずれか一項に記載のタイヤ状態監視装置。
【符号の説明】
【0041】
1…車両、2…車輪、3…タイヤセンサユニット(車輪側ユニット)、4…受信機ユニット、6…タイヤ、14…センサユニットコントローラ(制御部)、20…ケース、22…導体としての電池、24…検出用電極、27…検出回路(検出部)、28,29…導体としての電極。
図1
図2
図3
図4
図5