(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光情報記録媒体に参照光と信号光を照射してホログラムを形成することで情報信号を記録し、あるいは光情報記録媒体のホログラムに参照光を照射することで情報信号を再生するホログラム用光ピックアップ装置において、
光ビームを出射する光源と、
該光源から出射した光ビームを信号光と参照光に分岐する分岐素子と、
前記参照光を伝搬方向が異なり偏光状態が略直交する2つの光ビームに分岐する光軸分岐素子と、
光情報記録媒体に照射する前記2つの光ビームに分岐された参照光の入射角度を変える第1の角度可変素子と、
前記信号光に情報信号を付加する空間光変調器と、
前記情報信号が付加された信号光を前記光情報記録媒体に照射する対物レンズと、
前記光情報記録媒体に前記2つの光ビームに分岐された参照光を照射したときに記録済領域から発生する回折光を検出し再生信号とする撮像素子と、
前記光情報記録媒体に前記2つの光ビームに分岐された参照光を照射したときに記録済領域から発生する回折光を検出する光検出器と、を備え、
該光検出器で検出した信号を用いて、前記角度可変素子を制御するための角度誤差信号が生成されることを特徴とするホログラム用光ピックアップ装置。
光情報記録媒体に参照光と信号光を照射してホログラムを形成することで情報信号を記録し、あるいは光情報記録媒体のホログラムに参照光を照射することで情報信号を再生するホログラム用光ピックアップ装置において、
光ビームを出射する光源と、
該光源から出射した光ビームを信号光と参照光に分岐する分岐素子と、
前記参照光を伝搬方向が異なり偏光状態が略直交する2つの光ビームに分岐する光軸分岐素子と、
光情報記録媒体に照射する前記2つの光ビームに分岐された参照光の入射角度を変える第1の角度可変素子と、
前記信号光に情報信号を付加する空間光変調器と、
前記情報信号が付加された信号光を前記光情報記録媒体に照射する対物レンズと、
前記光情報記録媒体を透過した前記参照光を反射し、該参照光と共役な共役光を前記光情報記録媒体に対し入射角度を変えて照射する第2の角度可変素子と、
該第2の角度可変素子から前記光情報記録媒体に前記共役光を照射したときに、記録済領域から発生する回折光を検出し再生信号とする撮像素子と、
前記光情報記録媒体に前記参照光または前記共役光を照射したときに記録済領域から発生する回折光を検出する光検出器と、を備え、
該光検出器で検出した信号を用いて、前記第1の角度可変素子を制御するための角度誤差信号が生成されることを特徴とするホログラム用光ピックアップ装置。
光情報記録媒体に参照光と信号光を照射してホログラムを形成することで情報信号を記録し、あるいは光情報記録媒体のホログラムに参照光を照射することで情報信号を再生するホログラム用光ピックアップ装置において、
光ビームを出射する光源と、
該光源から出射した光ビームを信号光と参照光に分岐する分岐素子と、
前記参照光を伝搬方向が異なり偏光状態が略直交する2つの光ビームに分岐する光軸分岐素子と、
光情報記録媒体に照射する前記2つの光ビームに分岐された参照光の入射角度を変える第1の角度可変素子と、
前記信号光に情報信号を付加する空間光変調器と、
前記情報信号が付加された信号光を前記光情報記録媒体に照射する対物レンズと、
前記光情報記録媒体を透過した前記参照光を反射し、該参照光と共役な共役光を前記光情報記録媒体に対し入射角度を変えて照射する第2の角度可変素子と、
該第2の角度可変素子から前記光情報記録媒体に前記共役光を照射したときに、記録済領域から発生する回折光を検出し再生信号とする撮像素子と、
前記第1の角度可変素子から前記光情報記録媒体に前記参照光を照射したときに、前記光情報記録媒体内の記録済領域から発生する回折光の第1の偏光成分を検出する第1の光検出器と、
前記第1の角度可変素子から前記光情報記録媒体に前記参照光を照射したときに、前記光情報記録媒体内の記録済領域から発生する回折光の第2の偏光成分を検出する第2の光検出器と、を備え、
該第1及び第2の光検出器で検出する回折光の前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分は略直交しており、
該第1及び第2の光検出器で検出した信号を用いて、前記第1の角度可変素子を制御するための角度誤差信号が生成されることを特徴とするホログラム用光ピックアップ装置。
光情報記録媒体に参照光と信号光を照射してホログラムを形成することで情報信号を記録し、あるいは光情報記録媒体のホログラムに参照光を照射することで情報信号を再生するホログラム用光ピックアップ装置において、
光ビームを出射する光源と、
該光源から出射した光ビームを信号光と参照光に分岐する分岐素子と、
前記参照光を伝搬方向が異なり偏光状態が略直交する2つの光ビームに分岐する光軸分岐素子と、
光情報記録媒体に照射する前記参照光の入射角度を変える第1の角度可変素子と、
前記信号光に情報信号を付加する空間光変調器と、
前記情報信号が付加された信号光を前記光情報記録媒体に照射する対物レンズと、
前記光情報記録媒体を透過した前記参照光を反射し、該参照光と共役な共役光を前記光情報記録媒体に対し入射角度を変えて照射する第2の角度可変素子と、
前記光情報記録媒体に前記参照光または前記共役光を照射したときに、記録済領域から発生する回折光を検出し再生信号とする撮像素子と、
前記光情報記録媒体に前記2つの光ビームに分岐された参照光を照射したときに記録済領域から発生する回折光を検出する第1の光検出器と、
前記第2の角度可変素子を反射した前記共役光を検出する第2の光検出器と、を備え、
該光検出器に光を照射するための検出レンズを有し、
前記第1の光検出器から得られた信号により前記第1の角度可変素子を制御するための角度誤差信号が生成され、
前記第2の光検出器から得られた信号により前記第2の角度可変素子を制御するための角度誤差信号が生成されることを特徴とするホログラム用光ピックアップ装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、第1の実施例に係るホログラム用ピックアップ装置の光学系を示す構成図である。ホログラム用ピックアップ装置100は、光情報記録媒体に参照光と信号光を照射してホログラムを形成することで情報信号を記録し、あるいは光情報記録媒体のホログラムに参照光を照射することで情報信号を再生する装置である。本実施例のホログラム用ピックアップ装置構成と動作を記録時と再生時に分けて説明する。
【0011】
<記録時>
まず、記録時の動作を説明する。光源11を出射した光ビームは、コリメートレンズ12で所望のビーム径に変換された後、シャッタ13を通り偏光可変素子14に入射する。偏光可変素子14は光ビームをP偏光とS偏光とを有した偏光に変換する。ここに偏光可変素子14は、記録/再生動作に応じて所定の偏光に変換する素子であり、ここでは記録時にはP偏光とS偏光、再生時にはS偏光に変換する。偏光可変素子14を通過した光ビームは偏光性分岐素子である偏光ビームスプリッタ(PBS)プリズム15に入射し、P偏光は透過、S偏光は反射することで光ビームが分岐される。ここで、PBSプリズム15を透過した光ビームを信号光、反射した光ビームを参照光と呼ぶ。
【0012】
PBSプリズム15を透過した信号光(P偏光)は、ビームエキスパンダ25によって所望のビーム径に変換され、位相マスク26、リレーレンズ27、PBSプリズム28を透過して空間光変調器29に入射する。空間光変調器29は信号光に2次元画像データなどの情報信号を付加するもので、例えば偏光変換(P偏光→S偏光)する微小素子を2次元配列し、記録する情報信号に応じて各素子を駆動する構成とする。情報信号が付加された信号光(S偏光)は、PBSプリズム28を反射し偏光可変素子33に入射する。偏光可変素子33は記録/再生動作に応じて所定の偏光に変換する素子であり、ここでは記録時にはS偏光をP偏光に変換し、再生時には入射偏光をそのまま出射する。P偏光に変換された信号光は、リレーレンズ30(空間フィルタ31を含む)、PBSプリズム61、対物レンズ32を経て、光情報記録媒体200内に集光する。
【0013】
一方、前記PBSプリズム15を反射した参照光(S偏光)は、ミラー34、波長板35、ロションプリズム36、ミラー37を経て、ガルバノミラー38に入射する。ここで波長板35とロションプリズム36は、再生動作で後述するように、入射する参照光を偏光状態の異なる2つのビームに分岐する光軸分岐素子である。記録動作では、分岐された一方のビームを参照光として用いる。ガルバノミラー38を反射した参照光はスキャナーレンズ39を経て光情報記録媒体200に入射する。ここでガルバノミラー38はミラーの角度を矢印方向に制御可能な角度可変素子であり、これにより参照光の光情報記録媒体200への入射角度を変えながら角度多重記録を実現する。このとき、光情報記録媒体200内に信号光と参照光(すなわち2光束)が互いに重ね合うように入射することで、光情報記録媒体200内には干渉縞パターンが形成される。そしてこの干渉縞パターンが記録媒体内にホログラムとして記録される。本実施例では、このホログラムのことを「ページ」と呼び、ページが角度多重化されている記録領域のことを「ブック」と呼ぶ。
【0014】
光情報記録媒体200に1ページ分の情報が記録された後、シャッタ13が閉じ、次に記録される1ページ分の情報が空間光変調器29によって表示される。同時に、ガルバノミラー38が微小量だけ回転して、光情報記録媒体200への参照光の入射角度がθだけ変更される。その後、シャッタ13が開くと次に記録される情報が光情報記録媒体200の同一ブックの新たなページとして多重角度で記録される。そしてページ数が所定の多重数に達すると、次の記録領域(ブック)への移動を行う。ブックの移動では対物レンズ32の位置を固定し、これに対し図示しない駆動手段により光情報記録媒体200を移動させる。これを繰り返して複数のブロックに角度多重記録を行なう。
【0015】
<再生時>
次に、再生時の動作を説明する。記録時と重複する説明は省略または簡単に行う。PBSプリズム15を反射した参照光(S偏光)は、ミラー34を反射し、波長板35に入射する。波長板35は、入射したS偏光をP偏光とS偏光からなる互いに直交する偏光成分に変換する素子である。そして、波長板35を透過した参照光は、ロションプリズム36に入射する。ロションプリズム36は、入射した光ビームの偏光状態に応じて伝搬方向が微小角度φだけ異なる2つのビームに分岐する光軸分岐素子である。このため、ロションプリズム36を透過した2つの光ビームは、偏光状態が略直交し伝搬方向が異なるという光学特性を有している。ここでは、分岐された2つビームのうちP偏光の光ビームを「第1の光ビーム(B1)」、S偏光の光ビームを「第2の光ビーム(B2)」とする。本実施例では、第1の光ビーム(B1)は光情報記録媒体200から再生信号を検出するための「参照用光ビーム」として、第2の光ビーム(B2)はガルバノミラー38の角度制御を行うための「制御用光ビーム」として使用する。
【0016】
ロションプリズム36を透過した第1、第2の光ビームは、ミラー37を反射し、ガルバノミラー38(第1の角度可変素子)に入射する。ガルバノミラー38はミラーの角度を制御可能な光学素子であり、参照用光ビーム(ここでは第1の光ビームが相当する)の光情報記録媒体200への入射角度をページ記録時の入射角度に一致させることで、角度多重記録された各ページからの再生を実現する。ガルバノミラー38を反射した第1、第2の光ビームは、スキャナーレンズ39を経て光情報記録媒体200に入射する。このとき、光情報記録媒体200内の記録領域(ページ)から、入射角度に応じた2つの回折光がレンズ51の方向に発生する。これらの回折光はレンズ51を透過し、偏光性分岐素子であるPBSプリズム52に入射する。ここで、光情報記録媒体200で発生する回折光は入射時と同じ偏光状態であるため、第1の光ビーム(参照用光ビーム)から発生した第1の回折光(P偏光)はPBSプリズム52を透過し、第2の光ビーム(制御用光ビーム)から発生した第2の回折光(S偏光)はPBSプリズム52を反射する。そして第1の回折光は、検出レンズ55を経て光検出器56の受光部に入射し、第2の回折光は、検出レンズ53を経て光検出器54の受光部に入射する。このうち第2の回折光は、ガルバノミラー38の角度誤差信号を生成するために用いる。
【0017】
一方、光情報記録媒体200を透過した第1、第2の光ビームは、ガルバノミラー40(第2の角度可変素子)に入射する。ガルバノミラー40は、第1の光ビーム(参照用光ビーム)がガルバノミラー40に対して略垂直に入射するように、ガルバノミラー38(第1の角度可変素子)の動作と連動させて制御する。つまり、ガルバノミラー38に入力した電圧値(または電流値)から換算される角度情報をもとにガルバノミラー40を制御する。これより、ガルバノミラー40に入射した第1の光ビームは略垂直方向(同一方向)に反射され、再度光情報記録媒体200に入射する。また、第2の光ビーム(制御用光ビーム)は垂直方向からずれた方向に反射され、再度光情報記録媒体200に入射する。その結果、光情報記録媒体200内の記録領域(ページ)から、2つの回折光が対物レンズ32方向に発生する。反射した第1の光ビーム(参照用光ビーム)から発生した回折光を第3の回折光とし、反射した第2の光ビーム(制御用光ビーム)から発生した回折光を第4の回折光とする。このうち第3の回折光は、光情報記録媒体200に記録された所定の情報を有した再生光となる。また第4の回折光は、ガルバノミラー38の角度誤差信号を生成するために用いる。第3、第4の回折光は、対物レンズ32を経て偏光性分岐素子であるPBSプリズム61に入射する。ここで、光情報記録媒体200で発生する回折光は入射時と同じ偏光状態であるため、第3の回折光(P偏光)はPBSプリズム61を透過し、第4の回折光(S偏光)はPBSプリズム61を反射する。
【0018】
PBSプリズム61を透過した第3の回折光(再生光)は、リレーレンズ30内の空間フィルタ31に入射する。空間フィルタ31は開口部を有し、記録領域(ページ)からの回折光のみを通過させそれ以外の回折光を遮断する。空間フィルタ51を通過した再生光は、リレーレンズ30を経て偏光可変素子33に入射する。偏光可変素子33は再生時には入射光をそのままの偏光状態(P偏光)で出射する。よって、P偏光である再生光はPBSプリズム28を透過し、撮像素子41に入射する。撮像素子41は入射した再生光を電気信号に変換し、これから再生信号(画像データなど)が生成される。1つのページの再生が終わると、ガルバノミラー38を微小量回転させて、光情報記録媒体200への参照用光ビームの入射角度を変更する。そして、光情報記録媒体200内の次のページを再生する。これを繰り返して角度多重された各ページの再生信号が生成される。
【0019】
一方、PBS61を反射した第4の回折光は、検出レンズ62を経て光検出器63の受光部に入射する。第4の回折光は前記第2の回折光と同様、第2の光ビーム(制御用光ビーム)により発生したものであるが、後述するように、入射する第2の光ビーム(制御用光ビーム)の方向は第1の光ビーム(参照用光ビーム)の方向に対し、微小角度φだけ逆方向にずれている。
【0020】
そこで本実施例では、第2の回折光と第4の回折光との差分信号から、ガルバノミラー38の角度誤差信号を生成する。第2の回折光が入射して光検出器54で得られた信号をS1、第4の回折光が入射して光検出器63で得られた信号をS2とした場合、ガルバノミラー38の角度誤差信号(AES)は(1)式で表わされる。
AES=S1−S2 (1)
なお、信号S1、信号S2はそれぞれの第2、第4の回折光の全光量(または一部の光量)を検出した総和信号である。その際、光検出器54と光検出器63では、角度誤差以外の要因、例えば検出感度の差や回折光の光路長の差により信号S1と信号S2とに出力レベル差が発生することがある。よってこれらの影響については予め補正しておくものとする。こうして得られた角度誤差信号(AES)に基づいてガルバノミラー38を駆動し、角度誤差信号がゼロとなるように制御する。
【0021】
ここで、本実施例における角度誤差信号の検出方法について説明する。
図2は、ガルバノミラー38の回転角度と各光検出器での検出信号強度の関係を示す図である。第1の回折光を受け光検出器56で得られる信号をS0、第2の回折光を受け光検出器54で得られる信号をS1、第3の回折光(再生光)を受け撮像素子41で得られる再生信号をS0’、第4の回折光を受け光検出器63で得られる信号をS2とする。それぞれの信号強度は最大値で正規化している。各光検出器の信号強度(各回折光の強度)は、光情報記録媒体200に記録されているページの角度(記録時の参照光の入射角度)と再生時に入射する光ビームの入射角度が一致するときに最大となる。ここでは、各ページは所定の角度θだけずらして角度多重記録されているので、信号強度の最大点は角度θごとに現れる。
【0022】
光検出器56で得られる信号S0と撮像素子41で得られる再生信号S0’は、いずれも第1の光ビーム(参照用光ビーム)をもとに発生するので、ガルバノミラー38の回転角度に対し同様に変化し、両者の正規化曲線は一致している。これに対し、光検出器54で得られる信号S1と光検出器63で得られる信号S2は、信号S0(再生信号S0’)の曲線に対して、回転角度方向に+φ及び−φだけずらした曲線となっている。その理由は、信号S1と信号S2は、第1の光ビームとは伝搬方向が角度φだけ異なる第2の光ビーム(制御用光ビーム)をもとに発生すること、さらに第2の光ビームはガルバノミラー40での反射により伝搬角度が反転すること(+φ→−φ)による。本実施例ではこの性質を利用し、式(1)により信号S1と信号S2の差動信号(S1−S2)を演算することで、角度誤差信号を得るようにしている。
【0023】
ここで、信号S0(再生信号S0’)が得られる入射角度範囲(回転角度の幅)をAと置いたとき、ロションプリズム36で分岐した第1、第2の光ビームの相対角度ずれφはA/2以内とするのが望ましい。もしも2つの光ビームの相対角度ずれφがA/2より大きいと、信号S0(再生信号S0’)が最大となる入射角度位置では、十分なレベルの信号S1と信号S2が得られなくなってしまうからである。
【0024】
図3は、ガルバノミラー38の回転角度と角度誤差信号の関係を示す図である。角度誤差信号(実線)は、
図2における信号S1と信号S2の差動信号(S1−S2)から求めている。再生信号(破線)S0’が最大となる角度位置では角度誤差信号はゼロとなり、再生信号が最大点からずれると角度誤差信号は正または負の信号となる。これにより、再生信号を最大とするためのガルバノミラー38の駆動条件(回転角度の大きさと方向)が精度良く分かり、これに基づいてガルバノミラー38を制御することで、安定した再生を行うことが可能となる。このような角度誤差信号を検出できるのは、再生信号S0’(または信号S0)が最大となるガルバノミラー38の回転角度に対して、信号S1と信号S2が最大となる回転角度が常に角度±φだけずれるようにしたからである。ここで、信号S1と信号S2の最大点が角度±φだけずれる理由について説明する。
【0025】
まず、光検出器56での信号S0に対し光検出器54での信号S1がずれる理由を説明する。本実施例ではロションプリズム36を設け、伝搬方向が微小角度φだけ異なる第1の光ビーム(参照用光ビーム)と第2の光ビーム(制御用光ビーム)に分岐させて光情報記録媒体200に入射させる。このため、第1の光ビームから生じる信号S0と第2の光ビームから生じる信号S1とでは、信号強度が最大となるガルバノミラー38の回転角度が微小角度φだけずれることになる。なお、第1の光ビーム(参照用光ビーム)はその後ガルバノミラー40により反射されて光情報記録媒体200に再度入射し、再生光(再生信号S0’)を発生させることになるが、ガルバノミラー40では垂直に反射されるので、第1の光ビームの方向は変わらない。よって再生信号S0’と信号S0の最大点は同じ位置となり、光検出器54の信号S1は再生信号S0’に対しても微小角度φだけずれることになる。
【0026】
次に、光検出器63での信号S2が検出器54での信号S1に対して反対方向にずれる理由を説明する。
図4は、ガルバノミラー40に入射する2つの光ビームの光路を示す図である。
(a)は、参照用光ビーム(第1の光ビーム)の入射光B1と反射光B1’、制御用光ビーム(第2の光ビーム)の入射光B2と反射光B2’を示す。参照用光ビームの入射光B1はガルバノミラー40に垂直に入射するので、その反射光B1’は同じ光路を戻ることになる。それに対し制御用光ビームの入射光B2は、ガルバノミラー40に対し垂直方向から角度φだけ傾いて入射するため、その反射光B2’は垂直方向から反対側に角度φだけ傾いて出射することになる。
【0027】
(b)は、入射光と反射光において、参照用光ビームに対する制御用光ビームの相対角度を示す。入射光では、参照用光ビームB1に対し制御用光ビームB2は図面下側方向に角度φだけ傾いている。これに対し反射光では、参照用光ビームB1’に対し制御用光ビームB2’は図面上側方向に角度φだけ傾いている。このように制御用光ビームの伝搬方向は、ガルバノミラー40を反射することで相対角度が反転する。
信号S1と信号S2は、それぞれ制御用光ビームB2と制御用光ビームB2’から生じる。このため、信号S1と信号S2の最大点は、再生信号S0’の最大点に対して互いに反対側に±φだけずれることになる。
【0028】
このようにして、信号S1と信号S2の差動演算からガルバノミラー38の角度誤差信号を検出し、誤差信号をゼロとなるよう制御することで安定した再生を行うことが可能となる。その際、撮像素子41からの画像信号をもとに制御する方式と比較し、光量のみを検出する光検出器54,63は高周波で駆動可能なため、高速制御が容易である。また、ガルバノミラー38の回転角度を再生光量が最大点となるよう制御するために、常に最良の再生信号S0’を得ることができる。
【0029】
本実施例は以下のような変形が可能である。
記録密度(ページの密度)が高い光情報記録媒体200の再生の場合には隣接した記録領域からの回折光が角度誤差信号用の光検出器に入射することを避けるため、各光検出器(光検出器54、光検出器56、光検出器63)の前に空間フィルタをそれぞれ配置しても良い。また、光検出器63の検出光学系(PBSプリズム61、検出レンズ62)については空間フィルタ31と撮像素子41の間に配置しても良い。
【0030】
参照光を伝搬方向と偏光状態が異なる2つの光ビームに分岐する光軸分岐素子としてロションプリズム36を用いたが、これには限定されず、例えばウォラストンプリズム、偏光回折素子、偏光位相板等を用いることができる。
角度可変素子としてガルバノミラー38,40を用いたが、これには限定されず、例えば音響光学素子や、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などを用いても良い。
【0031】
波長板35を偏光可変素子とし、記録/再生動作に応じて偏光状態を変えても良い。すなわち、再生時にのみP偏光とS偏光とを有した偏光に変換し、記録時にはそのままの偏光状態とする。その結果、再生時はロションプリズム36により2つの光ビームに分岐されるが、記録時には単一の光ビームで伝搬するので、光情報記録媒体200に入射する光量を増大することができる。
【0032】
以上のように、本実施例のホログラム用ピックアップ装置は、ロションプリズム等に代表される光軸分岐素子により、参照光を伝搬方向が異なり偏光状態が略直交する2つの光ビームに分岐することを特徴としている。
【0033】
また、ガルバノミラーに代表される第1の角度可変素子(
図1の符号38)で反射された参照光が光情報記録媒体に入射したときに、光情報記録媒体内の記録領域から発生する回折光からPBSプリズムに代表される偏光性分岐素子を用いて第1の検出器(
図1の符号54)で所定の偏光成分の回折光を検出し、ガルバノミラーに代表される第2の角度可変素子(
図1の符号40)で反射された参照光が光情報記録媒体に入射したときに、光情報記録媒体内の記録領域から発生する回折光から偏光性分岐素子を用いて第2の検出器(
図1の符号63)で所定の偏光成分の回折光を検出することを特徴としている。
そして、第1の光検出器から得られる第1の信号S1と前記第2の光検出器から得られる第2の信号S2から、第1の角度可変素子の角度誤差信号を生成することを特徴としている。
【実施例2】
【0034】
図5は、第2の実施例に係るホログラム用ピックアップ装置の光学系を示す構成図である。本実施例では実施例1(
図1)の構成に対し、ガルバノミラー40(第2の角度可変素子)を制御するための検出光学系を付加したことを特徴とする。実施例2で追加した検出光学系は、PBSプリズム71、検出レンズ72、光検出器73を有し、検出器73から出力される信号を用いてガルバノミラー40(第2の角度可変素子)の角度制御を行う。以下、ガルバノミラー40の制御用の信号を第2角度誤差信号と呼ぶ。そして、ガルバノミラー38(第1の角度可変素子)の角度誤差信号を第1角度誤差信号と呼ぶ。
【0035】
実施例1におけるガルバノミラー40は、ガルバノミラー38(第1の角度可変素子)に対する制御条件(回転角度)をもとに、参照用光ビーム(第1の光ビーム)がガルバノミラー40に垂直に入射するための回転角度を求めて制御していた。その場合、温度変動などの外乱の影響によりガルバノミラー40は最適な回転角度より僅かにずれてしまうことがある。その結果、前記
図4において、参照用光ビーム(第1の光ビーム)の反射光B1’が入射光B1の方向と一致せず、制御用光ビーム(第2の光ビーム)の入射光B2と反射光B2’の角度が所定の角度±φからずれてアンバランスになる。つまり、信号S1と信号S2の差動信号から求めた角度誤差信号を用いても、再生信号S0’の最大点が得られないことになる。
【0036】
これに対し実施例2では、ガルバノミラー40から反射された第1の光ビームの伝搬方向を直接検出して、反射光が垂直方向、すなわち入射光と同じ方向に戻るよう制御するものである。これにより、外乱が生じても第1の光ビーム(参照用光ビーム)を常に垂直方向に反射させることができ、安定した再生信号を得ることができる。
【0037】
実施例2の動作を説明する。まず、ガルバノミラー38(第1の角度可変素子)の第1角度誤差信号については実施例1と同様に生成する。そして、ガルバノミラー40(第2の角度可変素子)を反射後、光情報記録媒体200を透過した第1の光ビーム(参照用光ビーム)を用いて第2角度誤差信号を生成する。
【0038】
光情報記録媒体200を透過した第1の光ビーム(参照用光ビーム)は、リレーレンズ39、ガルバノミラー38、ミラー37、ロションプリズム36、波長板35を経て、PBSプリズム71に入射する。ここで、参照用光ビームは波長板35を2度透過することで、P偏光とS偏光の両方の偏光成分を含み、参照用光ビームの一部(P偏光成分)はPBSプリズム71を透過する。PBSプリズム71を透過した参照用光ビームの一部は、検出レンズ72を経て光検出器73に入射する。光検出器73では、ガルバノミラー40(第2の角度可変素子)に対する第2角度誤差信号(SAES)を生成する。
【0039】
図6は光検出器73の受光部の構成を示す図である。光検出器73には、ガルバノミラー40の回転方向に少なくとも2分割された受光部(受光面D3、受光面D4)を有する。RBは入射する参照用光ビームのスポットを示す。ここで、受光面D3と受光面D4から得られる信号をそれぞれ信号S3、信号S4とした場合、第2角度誤差信号(SAES)は(2)式で表わされる。
SAES=S3−S4 (2)
なお、本実施例では受光面D3と受光面D4の間を両方の受光面に信号が検出されるような暗線で示したが、例えば、参照用光ビームのビーム径を大きくし、単純な分割線の受光部で検出しても良い。
【0040】
このような演算で第2角度誤差信号が検出できるのは以下の理由による。まず、第1の光ビーム(参照用光ビーム)のガルバノミラー40(第2の角度可変素子)への入射角度が垂直方向からずれると、ガルバノミラー40で反射された参照用光ビームの伝搬方向がずれる。これに伴い、光検出器73へ入射する参照用光ビームの位置がずれ、
図6に示すように、受光部のスポットRBは上下方向に移動する。これを2分割した受光部(受光面D3と受光面D4)で検出することで、その差分からガルバノミラー40の角度誤差を求めることができる。本実施例では、検出レンズ72を通してビーム径を小さくすることで位置ずれに対する光量変化を大きくしている。
【0041】
本実施例は以下のような変形が可能である。
図7は、光検出器73の受光部の他の構成例を示す。
図6では光検出器73の受光部をガルバノミラー40の回転方向に2分割したが、これには限定されず、例えば、
図7に示すように4分割しても良い。4個の受光面De,Df,Dg,Dhを用いることで、ガルバノミラー40の回転方向だけでなく、それに垂直な方向の角度誤差信号も生成することが可能となる。
【0042】
また、ガルバノミラー40を制御するための検出光学系は、参照用光ビームの光路中であればどこに配置しても良い。本実施例のガルバノミラー40の制御用の検出光学系および検出方法は、ガルバノミラー38の制御用光学系には依存しない。よって、ガルバノミラー38の制御光学系が異なる構成の場合でも、上記したガルバノミラー40の制御光学系をそのまま適用することができる。
【0043】
本実施例では、2分割された受光部を有する光検出器73を用いたが、例えば位置検出素子などの位置を検出するセンサであっても良い。また、ガルバノミラー40の制御は、ロションプリズム36がなくとも実現できるため、ガルバノミラー38の制御方法には依存しない。
【0044】
以上のように、本実施例のホログラム用ピックアップ装置は、光情報記録媒体を再生するときに参照光と共役な光ビームを生成するための第2の角度可変素子(
図5の符号40)の反射光を検出する光学系を有することを特徴としている。この光学系は、少なくとも光検出器(
図5の符号73)を有しており、光検出器は少なくとも2分割された受光部を少なくとも1つ有することを特徴としている。
【0045】
実施例1と実施例2において、光検出器56の信号S0を用いて、ガルバノミラーの角度制御以外の制御が可能である。例えば、光検出器56の信号S0の強度を用いて、信号S1の信号増幅率を制御しても良い。さらに、光検出器56、光検出器54または光検出器63などから、記録領域に対する位置誤差信号やフォーカス誤差信号を生成することもできる。
【0046】
図8は、光検出器56(または54,63)の受光部の他の構成例を示す。受光部を受光面Da、Db、Dc、Ddに4分割し、それらの信号を演算することで光情報記録媒体200の記録領域の位置誤差信号を検出できる。これは、回折光が発生する媒体上の位置がずれると、光検出器56に入射する回折光(ここではS0)の位置もずれることを利用している。受光面Da、Db、Dc、Ddから得られる信号をSa、Sb、Sc、Sdとした場合、光情報記録媒体上の位置誤差信号(XPES、YPES)は、(3x)(3y)式で表わすことができる。
XPES=(Sa+Sb)−(Sc+Sd) (3x)
YPES=(Sa+Sd)−(Sb+Sc) (3y)
この構成によれば、ガルバノミラー38の角度制御だけでなく、光情報記録媒体200とホログラム用光ピックアップ装置の相対位置を制御することが可能となる。
【実施例3】
【0047】
図9は、第3の実施例に係るホログラム用ピックアップ装置の光学系を示す構成図である。本実施例では、実施例1(
図1)の構成に対し、対物レンズ32とリレーレンズ30の間に配置していたPBSプリズム61、レンズ62、光検出器63をの光学系を削除したことを特徴としている。なお、実施例1における光学部品51〜56は、符号を変えて光学部品81〜86として示している。このような構成でガルバノミラー38に対する角度制御を可能とし、実施例1に比較して小型化、低コスト化を実現するものである。ここでは、再生動作について実施例1と相違する点を説明する。
【0048】
実施例1と同様に、ミラー34を反射した参照光は、波長板35とロションプリズム36により偏光状態と伝搬方向(角度差φ)が異なる2つビームに分岐される。このうち、P偏光の光ビームを第1の光ビーム(B1)、S偏光の光ビームを第2の光ビーム(B2)とするが、実施例3ではいずれもガルバノミラー38の角度制御を行うための制御用光ビームとして使用する。そして、光情報記録媒体200から再生信号を検出するための参照用光ビームには、光情報記録媒体200を透過しガルバノミラー40(第2の角度可変素子)を反射した第1の光ビーム(B1’)を使用する。
【0049】
偏光状態と伝搬方向が異なる第1、第2の光ビーム(いずれも制御用光ビーム)は、ガルバノミラー38(第1の角度可変素子)を反射しスキャナーレンズ39を経て光情報記録媒体200に入射する。このとき、光情報記録媒体200内の記録領域から、入射角度に応じた2つの回折光がレンズ81の方向に発生する。これらの回折光はレンズ81を透過し、PBSプリズム82に入射する。第1の光ビーム(B1)から発生した第1の回折光(P偏光)はPBSプリズム82を透過し、第2の光ビーム(B2)から発生した第2の回折光(S偏光)はPBSプリズム82を反射する。そして第1の回折光は、検出レンズ85を経て光検出器86の受光部に入射し、第2の回折光は、検出レンズ83を経て光検出器84の受光部に入射する。
【0050】
光検出器84で得られた信号をS5、光検出器86で得られた信号をS6とした場合、本実施例の角度誤差信号(AES)は(4)式で表わされる。
AES=S5−S6 (4)
なお、信号S5、信号S6はそれぞれ第1、第2の回折光の全光量(または一部の光量)を検出した総和信号である。その際光検出器84と光検出器86では、角度誤差以外の要因、例えば検出感度の差や回折光の偏光成分の差により信号S5と信号S6とに出力レベル差が発生することがある。これらの影響については予め補正しておくものとする。こうして得られた角度誤差信号(AES)に基づいてガルバノミラー38を駆動し、角度誤差信号がゼロとなるように制御する。
【0051】
一方、光情報記録媒体200を透過した第1、第2の光ビームは、ガルバノミラー40(第2の角度可変素子)に入射する。実施例3では、第1の光ビームがガルバノミラー40に垂直方向から所定の角度だけ傾いて入射するようにガルバノミラー40を制御する。そして、ガルバノミラー40を反射した第1の光ビームを光情報記録媒体200から再生信号を検出するための参照用光ビームとして使用する。
【0052】
ガルバノミラー40を反射した第1の光ビーム(参照用光ビーム)と第2の光ビームが再び光情報記録媒体200を透過することで、第1の光ビーム(参照用光ビーム)により記録領域から所定の情報を有した第3の回折光(再生光)が発生し、対物レンズ32の方向に向かう。再生光はリレーレンズ30、空間フィルタ31を経て、偏光可変素子33、PBSプリズム28を経て、撮像素子41に入射する。そして撮像素子41に入射した再生光に基づいて、再生画像データが生成される。
【0053】
ここで、第3の回折光(再生光)の最適条件が前記(4)式で生成した角度誤差信号に従って得られるための、ガルバノミラー40の傾斜角度について説明する。
図10は、ガルバノミラー38の回転角度に対する角度誤差信号と再生信号の関係を示す図である。比較のために、実施例1のように第1の光ビームをガルバノミラー40に垂直に入射させた場合を示す。実施例1では
図3に示したように、再生信号S0’の最大点は角度誤差信号(S1−S2)の最小点(ゼロ)と一致していた。これに対し
図10の場合には、再生信号S0’の最大点は角度誤差信号(S5−S6)の最小点(ゼロ)から角度φ/2だけずれてしまう。
【0054】
この角度ずれを解消するため、本実施例では、ガルバノミラー40に入射した第1の光ビームとガルバノミラー40を反射した第1の光ビームとに、伝搬方向の角度差φ/2が発生するようにガルバノミラー40を制御する。すなわち、ガルバノミラー40を入射する第1の光ビームに対して垂直となる姿勢からφ/4だけ傾けることで、再生信号S0’の最大点と角度誤差信号(S5−S6)の最小点(ゼロ)を一致させることができる。具体的には、ガルバノミラー38に対する駆動条件に連動させるとともに、さらにφ/4の角度を加算してガルバノミラー40を制御すれば良い。
【0055】
これに伴い、ロションプリズム36で分岐した2つの光ビームの相対角度φの条件が変更になる。再生光が得られる参照用光ビームの入射角度範囲をAと置いたとき、好ましい相対角度φはA以下となる。
【0056】
本実施例は、分岐した2つの光ビームから得られる信号S5と信号S6により角度誤差信号を生成してガルバノミラー38を制御している。そして、ガルバノミラー40により光ビームの伝搬方向をφ/2だけ変化させた参照用光ビームを用いることで、角度誤差信号の最小点と一致して再生信号が最大となるように制御することができる。これにより、実施例1に対し小型化、低コスト化が実現できる。
【0057】
以上のように、本実施例のホログラム用ピックアップ装置は、ガルバノミラーに代表される第1の角度可変素子(
図9の符号38)で反射された参照光が光情報記録媒体に入射したときに、光情報記録媒体内の記録領域から発生する回折光をPBSプリズムに代表される偏光性分岐素子を用いて分岐し、第1の偏光成分を第1の検出器(
図9の符号84)で検出し、第2の偏光成分を第2の検出器(
図9の符号86)で検出することを特徴としている。なお、第1の偏光成分と第2の偏光成分は直交している。そして、第1の光検出器から得られる第1の信号S5と前記第2の光検出器から得られる第2の信号S6から第1の角度可変素子の角度誤差信号を生成することを特徴としている。
【0058】
本実施例は以下のような変形が可能である。
図11は、
図9の構成に前記実施例2(
図5)の構成を組み合わせたホログラム用ピックアップ装置の光学系を示す構成図である。すなわちガルバノミラー40(第2の角度可変素子)を制御するための検出光学系として、PBSプリズム71、検出レンズ72、光検出器73を付加したものである。この場合、ガルバノミラー40に対する第1の光ビームの入射光と反射光とはφ/2だけ角度がずれるように制御する。そのために、光検出器73の受光部の位置を機械的に調整しても良いし、電気的なオフセットを付加して調整しても良い。
【0059】
実施例3の場合にも、隣接した記録領域からの回折光が角度誤差信号用の光検出器に入射するような密度の高い記録状態の場合には、各光検出器(光検出器84、光検出器86)の前に空間フィルタを配置しても良い。
PBSプリズム82で分岐した回折光を異なる光検出器(光検出器84と光検出器86)で検出したが、例えば偏光回折素子や形状の異なるPBSプリズムを用いて1つの光検出器の異なる受光部で検出しても良い。
また、光検出器84または光検出器86の受光部を複数の受光面に分割し、それらの信号を演算することで位置誤差信号やフォーカス誤差信号を生成することもできる。
【0060】
さらに、実施例3の構成では、再生光を検出する撮像素子41を光情報記録媒体200に対して空間光変調器29と同じ側に配置したが、これには限定されない。例えば撮像素子41を、光情報記録媒体200に対して空間光変調器29と反対側に配置し、ガルバノミラー38の角度誤差信号検出用の光検出器84,86と兼用させる構成も可能である。この場合の利点としては、ガルバノミラー40(第2の角度可変素子)を搭載する必要なくなり、角度制御するのはガルバノミラー38(第1の角度可変素子)のみとなるため、制御が容易となる。
【実施例4】
【0061】
図12は、第4の実施例に係る光情報記録再生装置の構成図を示す。光情報記録再生装置は、光情報記録媒体にホログラムを形成して情報信号を記録および/または再生する。光情報記録再生装置の構成は、前記各実施例で示した光ピックアップ装置100の他に、機構・光学系として、光情報記録媒体駆動素子109、位相共役光学系111、光情報記録媒体Cure光学系112、光情報記録媒体位置検出光学系113を備えている。光情報記録媒体200は光ピックアップ装置100に対して、相対的な記録/再生位置を変えられるような構成となっている。なお、
図1、
図5、
図9、
図11に示した光ピックアップ装置100は、位相共役光学系111(ガルバノミラー40が相当する)を含んで示している。
【0062】
光ピックアップ装置100は、光情報記録媒体200に参照光と信号光を照射してホログラムを形成することで情報信号を記録し、あるいは光情報記録媒体200のホログラムに参照光を照射することで情報信号を再生する。その際、記録再生動作の制御系として次の回路を備え、各回路はコントローラ110によって制御される。
【0063】
記録する情報信号は、信号生成回路106を介して光ピックアップ装置100内の空間光変調器(
図1の符号29)に送られ、信号光は空間光変調器によって変調される。光情報記録媒体200に記録された情報信号を再生する場合は、光ピックアップ装置100から出射された参照光の位相共役光を位相共役光学系111によって生成する。ここで位相共役光とは、入力光と同一の波面を保ちながら逆方向に進む光波のことであり、
図1で言えばガルバノミラー40により反射された参照光である。位相共役光によって生じた回折光(再生光)は、光ピックアップ装置100内の撮像素子(
図1の符号41)によって検出し、信号処理回路105によって再生信号が生成される。
【0064】
光源駆動回路102は、光ピックアップ装置100、光情報記録媒体Cure光学系112、光情報記録媒体位置検出光学系113内の光源に所定の光源駆動電流を供給し、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光する。シャッタ制御回路107は、光ピックアップ装置100内のシャッタ(
図1の符号13)の開閉時間を制御することで、光情報記録媒体200に照射する参照光と信号光の照射時間を調整する。光情報記録媒体Cure光学系112は、光情報記録媒体200のプリキュアおよびポストキュアに用いる光ビームを生成する。プリキュアとは、光情報記録媒体200内の所望の位置に参照光と信号光を照射する前に、予め所定の光ビームを照射する前工程のことである。またポストキュアとは、光情報記録媒体200内の所望の位置に情報を記録した後、追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程のことである。光情報記録媒体位置検出光学系113は、光情報記録媒体200の大まかな位置を検出し、検出信号を用いて位置制御回路108により光情報記録媒体200の大まかな位置を調整する。
【0065】
ホログラムを利用した記録方式は、超高密度に情報を記録可能であるが、光情報記録媒体200に対する参照光の入射角の許容誤差が極めて小さくなる。それゆえ本実施例では、光ピックアップ装置100から出力される信号を用いて、ガルバノミラーに対する角度誤差信号を生成する。サーボ信号生成回路103は、光検出器54,56,84,86から出力される信号を用いて、サーボ制御用の角度誤差信号を生成し、サーボ制御回路104は、光ピックアップ装置100内のガルバノミラー38を駆動して参照用光ビームの角度ずれ量を補正する。
【0066】
光ピックアップ装置100、位相共役光学系111、光情報記録媒体Cure光学系112、光情報記録媒体位置検出光学系113は、一部または全ての光学系を1つの構成にまとめて簡素化しても良い。
【0067】
本実施例の光情報記録再生装置は、前記した実施例1〜3の光ピックアップ装置100を搭載し、光ピックアップ装置内の光検出器から出力された信号を用いて角度誤差信号を生成する。これより高速再生を実現可能とし、かつこのような角度誤差信号を用いることで最良の再生信号を得ることができる。
【0068】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。