(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1回転体(150)は、前記第1弁可動片および前記第2弁可動片(170、180)を完全に含むための弁可動片穴部(220)を含み、前記弁可動片穴部内に前記第1弁可動片および前記第2弁可動片(170、180)を含むときに、前記第1弁可動片および前記第2弁可動片(170、180)が前記第1回転体(150)の前記反対面(152)との連続的な表面を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のロータリーエンジン。
前記ハウジング本体(110)は隘路(190)を含み、前記第1回転体(150)が回転しているときに、前記第1回転体(150)の前記反対面(152)の領域が前記隘路(190)を通過するときに、前記第1回転室(120)の前記境界面(122)の領域と接触して、前記領域が前記隘路(190)内に配置され、
前記第1弁可動片および前記第2弁可動片(170、180)は、前記第1回転体(150)の回転に応じて前記隘路(190)を通過するときに前記弁可動片穴部(220)に含まれる、
ことを特徴とする請求項2に記載のロータリーエンジン。
前記エネルギー吸収室(130)は、第1通路(192)と第2通路(194)によって前記第1回転室(120)に接続され、これら第1通路(192)と第2通路(194)とは前記隘路(190)を取り囲んでおり、前記第1回転体(150)が回転しているときに、前記作動気体(196)は、前記第1回転室(120)内の前記一方の作動室(A)から前記第1通路(192)を通って前記エネルギー吸収室(130)に流れることができ、前記エネルギー吸収室(130)から前記第2通路(194)を通って前記第1回転室(120)内の2つの前記作動室のうち他方の作動室(B)に流れることができる、
ことを特徴とする請求項3に記載のロータリーエンジン。
前記第1回転体(150)が回転する際に前記第2回転体(160)が同じ向きに回転するように、前記第2回転体(160)は前記第1回転体(150)に駆動連結されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のロータリーエンジン。
第3弁可動片(170)と第4弁可動片(180)とを備えた第2の一対の弁可動片をさらに含み、前記第2の一対の弁可動片は、前記一対の弁可動片である第1の一対の弁可動片と対向して回転自在に配置されており、前記第2の一対の弁可動片は、許容範囲内で前記第1の一対の弁可動片と同一であり、
前記第2回転体(160)は、前記作動気体(196)を含むための第2穴部(162、162b)を備え、前記第2穴部は、前記第2回転体(160)の前記穴部である第1穴部(162、162a)と対向して配置されており、前記第2回転体(160)の長さに関してずれて配置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載のロータリーエンジン。
前記エネルギー吸収室(130)は、前記第2回転体(160)の前記第1穴部と前記第2穴部のうちの少なくとも一方(162、162a、162b)内に含まれる前記作動気体(196)に熱伝達させるように構成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のロータリーエンジン。
前記一対の弁可動片の前記第1弁可動片(170)と前記一対の弁可動片の前記第2弁可動片(180)との、前記第1回転体(150)の外周における間隔は、可能な程度に狭く設けられている、
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のロータリーエンジン。
前記第1弁可動片および前記第2弁可動片(170、180)は、三日月型をしており、前記第1弁可動片および前記第2弁可動片の端部のうちの1つに、前記第1回転体(150)に付着するための厚い部分を有する湾曲部を備えている、
ことを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載のロータリーエンジン。
前記ハウジング本体(110)は、2つの部分ハウジング本体から形成されており、その2つの部分ハウジング本体を構成する第1部分ハウジング本体は前記第1回転室(120)を含み、第2部分ハウジング本体は前記エネルギー吸収室(130)を含み、前記第1部分ハウジング本体は、流体密封する状態で前記第2部分ハウジング本体に接続されている、
ことを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載のロータリーエンジン。
前記第1弁可動片および前記第2弁可動片(170、180)は、前記第1回転体(150)が停止しているときに、前記第1弁可動片および前記第2弁可動片(170、180)が前記第1回転室(120)の前記境界面(122)と接触するように、前記第1弁可動片および前記第2弁可動片(170、180)を回転させるように構成されたばねを備えている、
ことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載のロータリーエンジン。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明について図面を参照しながら以下により詳細に説明する前に、図中の同一の部材には同一または同様の参照符号を充てており、上記部材を繰り返し説明することはしないということを、述べておく。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るロータリーエンジン100を示している。
図1に示すロータリーエンジン100は、第1回転室120と第2回転室130とを備えたハウジング本体110を含んでいる。第1回転体150は、第1回転室120内に配置されている。第2回転体160は、第2回転室130内に配置されている。第1回転体150は、自身の中に回転自在に配置された第1弁可動片170および第2弁可動片180を含む一対の弁可動片を備えている。
【0014】
第1弁可動片170と第2弁可動片180との開口部は、反対方向を向いている。第1回転室120の境界面122からの間隔、すなわち、ハウジング本体の内壁と第1回転体150の反対面152との間隔は変化し、隘路(bottleneck)190が面152とハウジング内壁または第1回転室120の境界面122との間に形成されるようになっている。第1回転室120は、例えば第1通路192および第2通路194を介して、第2回転室130に接続されている。これらの通路は、隘路190に配置されている。第2回転室130内に配置された回転体160は、第2回転室130の境界面に封止接続されている。さらに、回転体160は、例えば1つまたは複数の穴部162を含んでいてもよい。気体などの媒体196が、第1回転室120および第2回転室130内に含まれていてもよい。
【0015】
弁可動片を、以下では、弁可動片ブレードまたは弁ブレードと呼ぶこともある。
【0016】
弁可動片170、180の双方は、隘路190と共に、第1回転室120内に2つの別々の作動室A、Bを形成する。例えば、媒体196として空気を使用するが、当然ながら、他の任意の気体混合物を使用してもよい。例えば圧縮空気または電気始動機によって引き起こされる第1回転体150の回転のために、第1弁可動片170および第2弁可動片180は、第1回転体150から離れて回転し、これにより、ハウジング本体110のハウジング内壁および/または第1回転室120の境界面122と流体密封するように接触する。それゆえに、第1回転体150が回転しているときに、作動室A内に含まれる空気は、第1弁可動片170によって圧縮される。弁可動片170の形状のために、作動室A内の空気の圧縮は、第1弁可動片170に対して加えられる逆圧を上昇させ、それによって、第1回転室120の境界面122に対する第1弁可動片170の気密性はさらに上がる。
【0017】
隘路190は、空気を浸透させないか、あるいは、空気に対してほんの少ししか浸透性を有さないように構成されており、これにより、作動室A内で圧縮された空気は、第1弁可動片170によって、通路192を通っておよび第2回転室130へ押し通される。第2回転室130内に配置された第2回転体160は、例えばはめ歯ベルトを使用して、第1回転体150に結合されていることが好ましく、これにより、第1回転体150の回転は、第2回転体160の回転を同じ向とし、両回転体の角速度は同一となる。
【0018】
第2回転体160を第2回転室130のハウジング内壁と流体密封接続しているので、第1弁可動片ブレード170によって圧縮されて作動室Aから来る空気を、第2回転体160の穴部162にのみ移すことができる。圧縮空気を穴部162に移すことができるように、穴部162の開口部は、第1弁可動片ブレード170が通路192を通過する直前には通路192に面している。第1弁可動片ブレード170が通路192を通過している間、第2回転体160は、穴部162内に含まれる圧縮空気が穴部162の表面と第2回転室130の境界面との間にしっかりと封入されるようにすでに回転している。つまり、空気は通路192を介して第2回転室130へと逆流できない。
【0019】
穴部162内に封入され、圧力の上昇および体積の減少によって加熱された空気は、今や、例えば熱エネルギーなどのエネルギーを供給することによってさらに一段と加熱される。つまり、第2回転室130内の封入された空気は、この回転室130に供給される他のエネルギーを有していてもよい。したがって、第2回転室130は、エネルギー吸収室130とも呼ばれる。
【0020】
ここに示すロータリーエンジン100の利点は、すでに知られている可能性のあるロータリーエンジンと比べて、第2回転体160の回転の少なくとも半分または半分よりも多くの回転が、エネルギー吸収室130および/または第2回転室130内のエネルギーの吸収に使用可能であるという点である。穴部162内に封入された空気に熱を放出するために、第2回転室130またはエネルギー吸収室130は、暖房装置を備えていてもよい。一定量の封入された空気に熱を供給することで、封入された空気の圧力はまた、熱力学的プロセスのゆえに上昇する。
【0021】
第2弁可動片ブレード180が通路194を通過すると、穴部162は、第2回転体160の回転のゆえに通路194に達する。非常に高い圧力下で穴部162内に封入された空気は、そのときに急に漏れる可能性があり、したがって、第2弁可動片ブレード180に圧力を加えることによって第1回転体150を動作させるように作用する。第1弁可動片ブレード170と向かい合ってその向きに配置された第2弁可動片ブレード180は、強く加圧されて漏れる空気によって、圧力の増加にさらされる。この空気は、第1弁可動片170から類推すると、ハウジング内壁または第1回転室120の境界面122に、この弁可動片ブレードの形状のゆえにさらに強い力でこの第2弁可動片ブレードを押圧する。これにより、その気密性はさらにもっと上昇する。気体の膨張および作動が、これにより第1回転室120の作動室B内において生じる。作動室B内の空気が膨張するので、空気は作動室A内で自動的に圧縮され、その結果、循環プロセスが再び始まる。
【0022】
気密性の上昇と、このように現在まで知られているロータリーエンジンと比べた場合のロータリーエンジン100の有効性および効率化する要素に加えて、回転体150、160の互いに向かい合った直接の接触を、第1回転室120から離して第2回転室130内に第2回転体160を配置することによって回避してもよい。その結果、回転体150、160のすり減りに起因する磨耗(消耗)を幾度も最小限に抑えることができ、したがって、回転体150、160の高価な対摩耗性の被覆剤を使用しなくてもよい。さらに、回転体150、160は、シリンダ形(円筒形;cylindrical)の回転体150、160として構成されていてもよい。これにより、これらの回転体は、実現可能性のある楕円形の形状をした回転体150、160と比べて、より安価に製造でき、不平衡ではないので回転体150、160の回転の振動をより抑えることができる。
【0023】
図1に示すロータリーエンジン100は、このように、メンテナンスをあまり必要とせず、知られているロータリーエンジンよりもコストを低く抑えられ、とりわけ、向かい合う弁可動片170、180を使用することによって、その動作モードは、すでに知られているロータリーエンジンよりもより効率的である。
【0024】
他の実施形態では、第1回転体150は、さらに、弁可動片170、180を完全に含むための弁可動片穴部250を含んでいてもよい。上記弁可動片は、折り畳まれて第1回転体150に向かって内側へ回転するとき、第1回転体150の表面と共に完全な表面を形成する。
【0025】
ロータリーエンジン100で示されている第2回転体160は穴部162を有しているが、他の複数の実施形態では、回転体160は、第2回転体160に互いに離れて分散された複数の穴部162を含むこともできる。
【0026】
図1に示す実施形態では、単一の一対の弁可動片が、第1回転体150において第1弁可動片170および第2弁可動片180として配置されているが、本発明の他の複数の実施形態では、複数対の弁可動片が第1回転体150に配置されていてもよい。第2回転体160に配置された複数の穴部162と組み合わせて、熱力学的循環プロセスが、したがって、2つの回転体150および160が回転している間に数回実行される場合がある。
【0027】
図1に示すロータリーエンジン100は、中に第2回転体160が配置された単一の第2回転室130を含んでいるが、中に回転体160が配置された他の第2回転室130を含む他の複数の実施形態を使用してもよい。
【0028】
さらに、第2回転体160が熱伝導の低い材料から形成されることが好ましく、例えばここではセラミックが使用されてもよい、ということに言及するべきである。
【0029】
本発明の複数の実施形態では、一対の弁可動片の2つの弁可動片170、180の、第1回転体150の外周における間隔をできるだけ狭くする必要がある(例えば、30°よりも狭く、または、10°よりも狭く、または、2°よりもさらに狭くする)。さらに、第2回転体160の穴部162と第1通路192との接続を、第1弁可動片ブレード170が通路192を通過するときに終端させることが好ましく、これにより、可能な限り小型化を実現することができる。したがって、膨張の経路をできるだけ大きくするために、第2弁可動片ブレード180が第2通路194を通過した直後に、穴部162を通路194に接続することも好ましい。
【0030】
本発明の他の複数の実施形態では、第1回転体および/または第2回転体は、シリンダ形(円筒形;cylindrical)の回転体として構成されていてもよい。これにより、回転体の製造を簡略化し、したがって、ロータリーエンジン全体の製造コストを低減することができる。
【0031】
好ましくは、第1弁可動片170および第2弁可動片180は、耐摩耗性の高い被覆剤(例えばチタン)を有していてもよく、これにより、弁可動片の寿命周期が長くなり、メンテナンスにかかる費用を低減することができる。概して、潤滑剤を用いない適用例が想定される。
【0032】
第1回転室120の境界面122の方への弁可動片170、180の接触圧力をさらに上げるために、弁可動片170、180は、三日月形状に構成されていてもよい。例えば、弁可動片170、180に圧力が加えられる間、そのために境界面122に対するこれらの弁可動片の接触圧力がさらに上がり、したがって、よりいっそう高いレベルの気密性が得られる。
【0033】
図1に示すロータリーエンジン100では、ハウジング本体110が1つの部分、例えば鋳造部分から形成されるが、他の実施形態では、ハウジング本体110は、回転室内に含まれる媒体196に関して流体密封するように相互接続された、いくつかの一部の(部分的な)ハウジング、例えば2つのハウジングを備えていてもよい。
【0034】
さらに、
図1に示すロータリーエンジン100は、始動装置(starter)を備えていてもよい。この始動装置は、第1回転体150およびそれに接続されている第2回転体160を動かすことができるものである。始動装置は、例えば自動車における内燃機関の始動装置と同様に、バッテリーを接続した電気始動機の原理に基づいていてもよい。
【0035】
また一方で、ロータリーエンジン100が外部の圧縮空気貯蔵装置を備えていることも可能である。この貯蔵装置から、エンジンを始動するために、圧縮空気が第1回転室120に向かって導入され、これにより、エンジンが始動される。圧縮空気貯蔵装置内の高く圧縮された空気は、例えばロータリーエンジン100の前の作動プロセスを介して、ロータリーエンジン100によって圧縮空気貯蔵装置へと強制的に導入されてもよい。
【0036】
本発明の複数の実施形態は、さらに、弁可動片170、180に、弁可動片170、180を付勢するばねを含んでいてもよい。これにより、弁可動片170、180は、第1回転体150の停止時にできるだけ早く第1回転室120の境界面122と係合するようになる。
【0037】
他の複数の実施形態では、回転体150を備えた、弁ブレード170と弁ブレード180の長さは、回転体150の回転軸240の軸方向の長さと同じであってもよい。
【0038】
他の複数の実施形態では、弁可動片ブレード170、180が弁可動片穴部220によって回転体150に挿入されていてもよい。これにより、一方では、これらの弁可動片ブレードは、回転体150と、内部シリンダ形状、すなわち作動室120の境界面122との隘路190を、外部回転部の外形と共に完全なようにいかなる抵抗もなく通過でき、他方では、可動片ブレード170、180の自由端が、遠心力によって、または、ばね力の支持によって、シリンダ管ジャケット110の内部形状122の上を軽く動くように、これらの弁可動片ブレードは、回転部外周において旋回する。
【0039】
図2aは、本発明の一実施形態に係るロータリーエンジン200の平面図である。
【0040】
図2bは、
図2aに示すロータリーエンジン200の断面図である。ロータリーエンジン200について、ここでは、その設計および動作モードに関して
図2aおよび
図2bを参照して記載する。
【0041】
ここではシリンダ管ジャケット110として構成されているハウジング本体110は、偏心的に配置された第1回転体150と共に、第1回転室120を形成する。この第1回転室120は、ここでは端面において封止つば部210によって封止された穴部120として構成されている。この第1回転体150は、ここでは、シリンダ管ジャケット110のシリンダの内側122にほぼ接触して境を接しているので、直径が特により小さい回転体150として構成されている。以下で場合によっては作動室120とも呼ぶ穴部120は、順に、回転角を介して、弁可動片170、180によっていくつかの作動室A、B、C、Dに分割される。これらの弁可動片170、180は、対で、鏡面反転するように配置され、ここでは弁可動片ブレード170、180として構成されている。
【0042】
上記弁可動片ブレード170、180は、弁可動片穴部220を用いて、回転体150に挿入される。これにより、一方では、これらの弁可動片ブレード170、180は、回転体150と、内部シリンダ形状、すなわち作動室120の境界面122との隘路190を、外部回転部の外形と共に完全なようにいかなる抵抗もなく通過でき、他方では、可動片ブレード170、180の自由端が、遠心力によって、または、ばね力の支持によって、シリンダ管ジャケット110の内部形状122の上を軽く動くように、これらの弁可動片ブレードは、回転部外周において旋回する。
【0043】
回転部が回転している間、絶え間なく変化するが非常に気密性の高い部分的な作動室A、B、C、Dが、これらの中に含まれる媒体196用に形成される。ここで、媒体196は、(回転体150とシリンダ管ジャケット110と)の隘路190と、隘路190にそれぞれが面している弁可動片ブレード170、180との間で、作動気体196または気体混合物196として構成されている。隘路190から離れたところに向いた2つの弁可動片ブレード170、180間の空間は、上記原理の機能に対してはたいして重要ではない。
【0044】
好ましくは、できる限り隘路190に近接して、他の第2回転室130が配置されている。この回転室は、ここでは、シリンダ形(円筒形)の穴部130として構成されており、その直径は、シリンダ管ジャケット110よりも明らかに小さい。隘路190の両側では、シリンダ形の穴部130は、以下で開口部192、194とも呼ばれる、最適化された角度配置に形成されると共に作動室AおよびBを含んだ細い通路192、194に接続されている。小さい穴部130は、ロータリーエンジン200が動力装置(motor)であるならば、エネルギー吸収室130の機能を有し、ロータリーエンジン200が一種の熱ポンプであるならば、エネルギー出力室130の機能を有している。
【0045】
小さい穴部を、以下では、エネルギー吸収室またはエネルギー出力室と呼ぶこともある。
【0046】
エネルギー吸収室130は、回転可能な第2回転体160を含んでいる。この第2回転体160は、十分に密封しており、ここでは、ボルト160として構成されており、特定の穴部162a、162bを備えている。これらの穴部162a、162bは、初めに、エネルギー吸収室130を2つの等しい半分に分割しており、エネルギー吸収室の半分のうちの1つを作動室120から隔て、適用例に応じて、回転体150との同期回転によって、もう一方の半分を部分作動室A、B、C、Dのうちの1つに代わる代わる連結する。これにより、当該エネルギー吸収室の半分は、作動気体196によって満たされているか、あるいは、空である。
【0047】
1つのエネルギー吸収室の半分が作動室120から隔てられている段階の間においては、エネルギー吸収は、基本的に、圧縮された小空間内、すなわち穴部162a、162b内で生じ、あるいは、エネルギー出力もまたそうである。エネルギー吸収は、例えばロータリーエンジン200が動力装置(motor)として使用されるときに生じ、エネルギー出力は、例えばロータリーエンジン200が熱ポンプとして使用されるときに生じる。
【0048】
基本的には、動力装置(motor)の原理は、任意の回転方向に作動することができる。詳述するために、反時計回りの動きを仮定する。
【0049】
回転体を、以下では略して回転部と呼ぶ。
【0050】
回転部150は、通路192と通路194との間の隘路190においてハウジング本体110にほぼ接するように、特定の穴部120を有するハウジング本体110内で旋回される。隘路190は、例えば下部隘路190として構成されていてもよい。充填した気体の交換および/または媒体196の交換が、ここでは動力装置(motor)として構成されているロータリーエンジン200の構造の種類に応じて、動作モードに必要であるとき、この隘路190と向かい合って他の隘路を配置してもよい。すでに上述したように、回転部150は、その外周に、2つの向かい合う対の弁ブレード170、180を含んでいる。これらの弁ブレード170、180は、同一の形状をしており、互いに向かい合い、それぞれ、曲げられた厚い端部において、回転部150内にピボット軸受けを有し、遠心力によって、および/または、ばね仕掛けで、対の自由端によって穴部120の内面122に沿って滑るように動く。
【0051】
弁ブレード170と弁ブレード180とが回転部150において隣接し、上述のように弁可動片穴部220に向かって内側へ回転するとき、弁ブレード170、180は、回転部150と共に、閉じた丸い外形を形成する。弁ブレード170と弁ブレード180との長さは、回転体150の長さと共に、回転体150の回転軸240の軸方向の長さと同じである。回転軸240の軸方向において、穴部120は、いずれの場合にもつば部板210によって閉じている。回転部150が回転しているので、回転方向に応じて大きさを小さくするか大きくしている部分作動室A、B、C、Dに区分けされている穴部または作動室120の細分化は、ここでは穴部表面122として構成されている外部境界面122に沿って滑動する弁ブレード170、180と共に、交互に形成される。
【0052】
部分作動室を、以下では略して部分室と呼んでもよい。
【0053】
大きさを縮小するので、例えば部分室A内が圧縮され、その結果、部分室Bは膨張に用いられ、そのときに、上部隘路、すなわち隘路190と向かい合う隘路が存在しない場合には、部分室C、Dは、1つの共有する室を形成する。部分室CおよびD内に含まれる気体は、移動するだけである。
【0054】
ここで留意するべきは、他の実施形態では、第1隘路190は、ロータリーエンジン200の軸方向の下の領域に配置された下部隘路190として構成されていてもよく、第1隘路190と向かい合う第2隘路は、ロータリーエンジン200の軸方向の上部領域に配置された上部隘路として構成されていてもよいということである。
【0055】
上部隘路が求められる適用例では、上記上部隘路は、その周辺に配置された2つの外部開口部を有している。これらの開口部は、燃焼空気を(部分室Cから)例えば上部開口部を通って排出して、例えば下部開口部を通って(部分室Bに)外気を引き込むためのものである。部分室C、Dは、この場合、1つの共有する室を形成できない。
【0056】
図3aおよび
図3bは、例えばロータリーエンジン200のエネルギー吸収室130として構成されていてもよい、本発明の一実施形態において使用するための回転室の断面図である。弁ボルト160とも呼ばれる回転可能なボルト160が装填された下方に配置されたシリンダ形(円筒形)の室130、すなわちエネルギー吸収室130への幅の狭い複数の通路192、194は、ロータリーエンジン200の下部隘路190の非常に近くに配置されている。弁ボルト160は、例えば、
図2bに示す鋸歯状のベルト駆動部230および鋸歯状のベルト232を介して回転部150と同調して回転し、さらに、反時計回り方向に回転している。
【0057】
上記適用例に応じて、弁ボルト160およびこのボルトを取り囲むシリンダ室またはエネルギー吸収室130は、体積が異なるように形成された穴部162a、162bを含んでいる。しかしながら、これらの穴部162a、162bは、ボルト160の長さに対して、例えば2つの同一の形に分けられているが、ボルト160の外周において互いに正確に向かい合って配置されている。
【0058】
すでに上述したように、2つのエネルギー室の半分が生じ、したがって、2つの圧縮周期、2つの膨張周期、および回転当たりの2つのエネルギー吸収周期も生じる。第1隘路190とは反対側の第2隘路を含む適用例では、例えば、2つの排気ガスを排出する周期および2つの外気取り入れ周期もある。エネルギー室の半分内でのエネルギー吸収周期における熱伝達を改善するために、エネルギー吸収室130は、
図3aにさらに示す溝穴部310を有していてもよい。これらの溝穴部310は、エネルギー吸収室130の熱伝導率をさらに高めるものである。特に、溝穴部310は、ボルト160の一部においてのみ外周と合っており、すなわち、ボルト160の全体の周りには伸びていない。
【0059】
図4は、ロータリーエンジン200の動作モードを説明するための、
図2aに示すロータリーエンジン200の平面図である。それぞれの穴部162aが通路192を通過するとき、穴部162aは、第1の一対の弁可動片の弁可動片ブレード170によって、部分室Aからの圧縮空気で一杯に満たされる。弁ボルト160がさらに回転すると、穴部162aは、部分室Aから離れて、約半回転の間、(体積が一定の大きさである)封鎖室を形成する。続いて、この封鎖室へとエネルギーが取り込まれ、そのプロセスにおいて、非常に高い圧力が生じる。
【0060】
穴部162aが通路194に到達するとき、一対の弁ブレード(この場合、第2の一対の弁ブレード)170、180を備えた回転部150が、回転方向において通路194の後方に配置される。高温の作動気体は、この穴部162aから例えば作動室Bに流れて作用する。つまり、高圧のゆえに、高圧の作動気体は作動室120に逆流する。ここで、この気体は、第2の一対の弁可動片の弁ブレード180に圧力を加え、上記弁ブレード180は、回転部150に押し力を加え、動作を行う。同様に、この原理はまた、穴部162bに適用され、第2の一対の弁可動片の弁可動片ブレード170からの空気は、穴部162bに導入され、この空気は、第2の一対の弁可動片の弁可動片ブレード180に圧力を加える穴部162bから流出する。
【0061】
図2aから
図4に記載されたロータリーエンジン200は、例えば、高温ガス動力装置(motor)または高温ガスエンジンとして構成されていてもよい。ここでは、エネルギー、すなわち例えば熱は、熱伝導によってエネルギー吸収室130を外部から加熱することによって、作動媒体196に供給されてもよい。(化石または再生可能な原料源から生じる)知られている燃料、または集光された太陽熱、原子力によって生じた熱、または、プロセス熱(廃熱)からのほぼ全ての実現可能な熱源を使用してもよい。この場合、作動室120およびエネルギー吸収室130内には、同じ作動気体196または作動媒体196が常に得られる。
【0062】
すでに知られている高温ガスエンジンと同様に、作動気体196は、エネルギー密度をさらに上げるためのより高い基準作動圧力を有していてもよい。最後に取り込まれる熱のエネルギー変換が生じることで、上記エネルギー吸収室130内の作動気体196の膨張圧力が明らかに上昇し、膨張作動室120を空にする間に機械的な動作が行われる。レシプロエンジンとは違って、レバー動作、圧縮力、回転角といったものは、ほぼ一定のレバー動作が膨張の開始時にできるだけ早く作用するように使用できるので、実質的にはより有効である。レシプロエンジンおよび内燃機関とは違って、作動室120が空にするときに、より少ない損失熱が失われるが、この損失熱は、循環プロセスにおいて保持される。
【0063】
したがって、エンジンまたはロータリーエンジンから最良の効率が得られるように、エンジンまたはロータリーエンジンに最適なように機械的に負荷をかける必要がある。ロータリーエンジンの外部ハウジングにおいて変換されない熱エネルギー量を、加熱に使用してもよい。記載した原理は、熱エネルギーが外側から熱交換器を介してエネルギー吸収室130内の作動気体媒体196に取り込まれるので、高温ガスエンジンと呼ばれる。しかし、この点において、この原理がさらにスターリングエンジンには決して関連していないということに、留意されたい。なぜなら、スターリングエンジンの場合とは違って、内部熱交換器がなく、相互作用するパワーシリンダもないからである。
【0064】
図5aは、本発明の一実施形態にかかるロータリーエンジン500の平面図である。ロータリーエンジン500は、ここに記載される特定の実施形態において内燃機関として構成されている。ロータリーエンジン500には、ロータリーエンジン200と比べて、本質的な相違点がある。第1の相違点は、ロータリーエンジン500が、第2隘路510を含んでいることである。この第2隘路510は、第1隘路190の反対側に配置され、気体注入開口部520および気体放出開口部530を有している。ロータリーエンジン500とロータリーエンジン200との第2の相違点は、ロータリーエンジン500が、弁ボルト160の穴部162a、162bに燃料を注入するように構成された燃料注入部540を含んでいることである。ロータリーエンジン500とロータリーエンジン200との第3の本質的な相違点は、弁ボルト160内の穴部162a、162bの体積がより大きいが、エネルギー吸収室130のシリンダ表面(すなわち筐体の表面)に溝穴部が形成されていないことである。
【0065】
つまり、ロータリーエンジン500は、揮発性または気体状の燃料がエネルギー室の半分の内部で燃え尽きる場合は、内燃機関として構成されていてもよい。上記燃料は、それぞれのエネルギー室の半分が作動室120から離れる段階において、測定された状態で取り込まれる。作動室の半分、すなわち部分作動室と、エネルギー室の半分との圧縮比率を適切に選択することによって、例えば点火プラグなどの着火手段を用いなくてもよい。(例えば非常に低いオクタン価の燃料を使用するときに)例えば知られている内燃機関に生じるノック問題を、ロータリーエンジン500では上述の機能によって回避できる。
【0066】
作動室220内において、第1隘路190の反対側に配置された第2隘路510は、気体放出開口部530を通って除去される燃焼空気と、気体注入開口部520を通って取り入れられる外気とを分離するために用いられる。この第2隘路510の近傍に配置された、対応する空気放出開口部530および空気入口開口部520は、シリンダジャケット110か、またはつば部210内に配置されている。
図5aに示すロータリーエンジン500では、空気が空気入口開口部520を介して引き込まれ、(回転方向において前に位置する)弁可動片170のうちの1つの弁可動片によって圧縮され、通路192を通って弁ボルト160の穴部162のうちの1つの穴部に強制的に導入される。引き込んだ外気または気体を圧縮している間、外気または気体の温度は、圧力の上昇および体積の減少によって上昇する。
【0067】
弁可動片170が通路192を通過するとき、圧縮された外気または気体は、弁ボルト160の穴部162内に含まれる。燃料供給部540を使用して、燃料がこの穴部162に注入される。この燃料は、圧縮された気体の温度が高いので、直ちに着火し、それによって、穴部162またはエネルギー室の半分内に、非常に高い圧力が生じる。弁可動片180のうちの1つの弁可動片(一対の弁可動片のうち回転方向において最後に通過する弁可動片)が、その後、通路194を通過する場合、回転部本体150と弁ボルト160とが対になっているので、穴部162は通路194に面している。非常に高い圧力下にある気体は、続いて、直ちに膨張し、それによって、弁可動片ブレード180に圧力を加え、動作を行い、したがって、回転部本体150を回転させる。弁可動片ブレードが三日月形状であるために、弁可動片ブレード180は、それに作用する圧力によって、作動室の外部境界面122に押しつけられ、それにより、その部分的な作動室の気密性を上げる。
弁可動片ブレード180が気体放出開口部530を通過するとき、膨張した気体または燃焼空気は、ロータリーエンジン500から流出する。この周期は、その後再び始まる。
【0068】
内燃機関として
図5aおよび
図5bに示すロータリーエンジン500とともに、弁ボルト160内の穴部162が特に深く構成されているということに再度言及したい。したがって、燃焼は、規定の空間、すなわち穴部162内で起こる。
【0069】
したがって、示した原理に関して決定的に重要なのは、エネルギー吸収が、封鎖されている別々の空間内、例えば作動室120の外側にあるエネルギー吸収室130内で起こるということであり、回転部150の回転の半分の持続期間のほとんどのうちの長い期間を、このために利用できるということである。これらのことは、ガスエンジン、ツーストロークエンジンおよびディーゼルエンジンなどの、従来のタイプのピストンエンジンと比較した場合、決定的な利点である。これらのタイプでは、ほんのわずかな角度を、上死点中心前後のエネルギー発生に利用できる。したがって、燃焼結果は、不十分となる。このことはまた、特にワンケルエンジンにも適用され、そのワンケルエンジンでの燃焼作用は、特に、圧縮性が高い状況下での、表面積と空間との比率が非常に好ましくないということによって低下する。作動気体の表面は、基本的に、金属の表面と、ピストンと、シリンダの断面との接触によって形成される。金属に近接している空気であって封入された空気のこれらの領域が、金属の熱伝導率が高いために燃料に望ましい燃焼状態になっていないということが、理解できる。
【0070】
このことは、既述のエネルギー吸収室130とは異なっている。このエネルギー吸収室の空間と表面との比率は、弁回転部ボルト160内の穴部162の形状によってのみ一定に定まり、回転しているときには変化しない。他方、このボルト160は、セラミックなどの熱伝導率の低い(できるだけ小さい)材料から、容易に製造されることが好ましい。
【0071】
図6aは、本発明の一実施形態に係るロータリーエンジン600の平面図である。
図6bは、ロータリーエンジン600のエネルギー吸収室130の断面図である。本実施形態では、ロータリーエンジン600は、ソーラーエンジンとして構成されている。ロータリーエンジン600の特徴は、ソーラーエンジンとしてのロータリーエンジンの適用例において、このロータリーエンジンが、内部断面が非常に小さいパイプ610へのエネルギー吸収室130の空間を拡張しているという点にある。好ましくはU状に湾曲した上記パイプ610の配置については、各U脚部は、放物面鏡の内側半分の焦線に配置されていてもよく、そのパイプ610は十分な表面領域に亘りソーラーエンジンの両側に対で広がっている。内部断面およびUパイプ610の長さによって形成される空間、すなわち拡張されたエネルギー吸収室130は、ロータリーエンジンまたはエンジン600の作動室120の大きさに伴い適切な圧縮比が形成されるようにサイズが定められていることが好ましい。他方では、パイプ610内の流体抵抗があまり高くならないことを保証することができる。そうでなければ、エネルギーの一部は、パイプ610すなわちエネルギー吸収室130を充填する間およびこれらを空にする間に失われてしまうからである。
【0072】
ロータリーエンジン600では、弁ボルト160の穴部162の大きさは、第1回転体150が回転しているときに、圧縮された気体が穴部162を介して通路192を通ってU状の湾曲したパイプ610に直接流れるように、決定されている。そしてU状の湾曲したパイプ610内に含まれる気体は、例えばソーラーエネルギーによって加熱され、U状の湾曲したパイプ610内の圧力が上昇する。この大きく加圧された気体は、次に、弁可動片ブレード180が通路194を通過した後直ぐに、湾曲したUパイプ610から穴部162および通路194を通って作動室120に逆流してもよく、そこで膨張し、それにより動作を行って、回転体150を駆動してもよい。
【0073】
図7は、本発明の一実施形態に係るロータリーエンジン700の、ある完全な回転中に存在する圧力を示す3つの線図である。そのデータを得るために使用するロータリーエンジン700は、作動室120を4つの部分作動室A、B、C、Dに細分化するための、2つの対の弁可動片を含んでいる。さらに、ロータリーエンジン700に用いられる弁ボルト160は、互いに独立した2つの穴部162a、162bを含んでいる。これらの穴部162a、162bは、例えば
図2bに示すように弁ボルト160の軸方向において異なる高さに配置されていてもよいし、あるいは、弁ボルト160の外周において弁ボルト160の全長まで伸びていると共に、互いに反対側に配置されていてもよい。
図7に示す線図の横座標は、2つの回転体の位置を角度で表したものである。この線図の縦座標は、上の2つの部分では圧力を、下の部分では制御状態を示している。部分的な作動室A、B、C、Dの圧力曲線は、明瞭化のために、上の線図および中央の線図で細分化されている。下の線図は、穴部162aまたは穴部162bが、通路192または194のどちらに接続されているかに関する情報を示している。
【0074】
段階Iでは、穴部162bは、通路194に接続されている。穴部162b内に含まれる圧縮されて大きく加圧された気体は、急激に部分的な作動領域Bに抜け、そこで作用する。このことは、部分的な作動領域Bの圧力が初めに急に上昇し、次に下降しているので、明らかに認められる。
【0075】
段階IIでは、穴部162bは、通路192に接続されている。そして、弁可動片ブレード170は、気体を部分的な作動領域A内で圧縮し、それを穴部162bに強制的に導入する。このことは、作動領域A内の圧力が上昇しているので、明らかに認められる。
【0076】
段階IIIでは、穴部162aは、通路194に接続されている。穴部162a内に含まれる加熱されて大きく加圧された気体は、通路194を通って、部分的な作動領域Dに、急激に抜ける。段階Iと同様に、このことは、気体が作用している間、部分作動領域Dにおいて圧力が上昇し、続いて圧力が下降しているので、明らかに認められる。気体が作用するのと同時に、段階IIにおいて穴部162bに強制的に導入された気体に、穴部162b内でエネルギー、例えば熱が与えられる。これにより、穴部162b内の圧力が上昇する。このことは、最も上の線図の点線から分かる。
【0077】
段階IVでは、穴部162aは、通路192に接続されている。気体が部分的な作動室C内で弁可動片ブレード170によって圧縮され、穴部162aに強制的に導入される。このプロセスと同時に、室162b内に含まれる気体は、エネルギー、例えば熱を与えられ続け、これにより、穴部162b内の圧力がさらに上昇する。このことは、最も上の線図の点線から分かる。
【0078】
段階IVの次に、再び段階Iが続く。段階IIIおよび段階IV中での穴部162b内に含まれる気体へのエネルギー供給と同じことが、段階IおよびII中で穴部162a内に含まれる気体に対してなされる。このことは、最も上の線図と同様であり、中央の線図の点線から分かる。
【0079】
図8は、本発明の一実施形態に係るロータリーエンジン800を示している。ロータリーエンジン800は、ソーラーエンジンとして構成されている。ロータリーエンジン800は、放物面鏡の半分820の焦点面に配置され、放物面鏡の半分820に入射する光の焦点がロータリーエンジン800のエネルギー吸収室130に合うようになっている。熱吸収を改善するために、ハウジング本体110は、エネルギー吸収室130を取り囲む鋸歯状の表面輪郭810を有している。鋸歯状の表面輪郭形状810により、焦点が合った光が衝突する表面領域が明らかに増加し、したがって放物面鏡の半分820によって焦点の合った光からの熱吸収が改善されることによって、効率因子が改善される。
【0080】
上述したような、エネルギー吸収室130内に含まれる第2回転体160は、多数の穴部162を有していてもよく、これらの穴部は、第2回転体160の長さにわたって分散されているが相互接続されておらず、一方、第1回転室または回転空間120内に配置された、第1回転体150上に配置された弁可動片ブレード170、180の長さは、第1回転体150に沿って連続的に伸びる。ロータリーエンジン800のハウジング本体110を取り囲む発生器830は、ロータリーエンジン800内で生じる回転から、例えば電流および/または熱の状態でエネルギーを発生させてもよい。
【0081】
他の複数の実施形態では、ロータリーエンジン800内で発生した熱は、さらなる使用に供するために、ハウジング本体110の例えば冷却ホースを介して消散してもよい。
【0082】
ロータリーエンジン800の動作モードは、
図2aおよび
図2bに記載したロータリーエンジン200の動作モードと同じであり、エネルギー吸収室130(第2回転室)内のエネルギー吸収は、放物面鏡の半分820によって焦点の合った光によって生じる。焦点が合った光によって表面輪郭形状810に形成される熱は、穴部162内に含まれる媒体に移動し、この媒体を加熱することにより、上述したように穴部162内の圧力が上昇する。
【0083】
他の複数の実施形態は、ヒートポンプ(熱ポンプ)として構成されていてもよい。熱ポンプにおいては、生じている圧縮熱が、適切な熱交換器によって他の流れている媒体に移動してもよい。
図5に示すロータリーエンジン500の作動室120と同様に、作動室120には、向かい合う第2隘路が備えられている。この第2隘路は、エネルギーを吸収するために、作動気体を外部の熱交換器に送るためのものである。したがって、この原理を、熱ポンプまたは冷却システムとして使用してもよい。
【0084】
本発明の他の複数の実施形態は、得られた熱を加熱に使用するコンプレッサとして構成されていてもよい。
【0085】
他の複数の実施形態は、畜圧器を備えた圧縮空気機関として構成されていてもよい。圧縮空気機関は、例えばフォークリフト車に備えられてもよい。このフォークリフト車は、圧縮空気によって動作され、バッテリーを動力源としたものよりも動作時間が長いにもかかわらず、推進力が同一であり、ディーゼルエンジンまたはガスエンジンによって動作されるものと比べると必然的に排出がない。ここで、作動室120は、
図5に示すロータリーエンジン500の作動室120と同様に構成されていてもよい。
【0086】
エネルギー吸収室130は、動作が行われるときまたは、急速な減速が起こるときにのみ、作動室120と圧縮空気貯蔵器との間の弁として動作する。動作の段階中、圧縮の向きを、外気または依然として空のままの他の畜圧器へと変えてもよい。作動室の膨張した空気は、それにより、外気にのみ放出される。これは、ロータリーエンジン500の場合の廃棄された気体に相当するものである。圧縮が障害であるならば、ロータリーエンジンを改良して、取入口側を封鎖して膨張作用を妨げるほどに大きな圧縮が生じないようにしてもよい。
【0087】
要約して述べると、本発明の複数の実施形態を、例えば高温ガスエンジン、内燃機関、ソーラーエンジン、熱ポンプ、コンプレッサ、圧縮空気機関、または、他のロータリーエンジンとして使用してもよい。
【0088】
内燃機関としての適用例については、弁ボルト内の穴部は、特に深く構成されている。したがって、ここでいう燃焼は、規定の空間内、すなわちエネルギー吸収室内で起こる。高温ガスエンジン、ソーラーエンジン、熱ポンプ、コンプレッサ、または、圧縮空気機関としての適用例に関して、弁ボルト内の穴部は、非常に平坦に設計されていてもよく、部分的にシリンダ型の室内の弁ボルトの周りに配置される溝状の穴部に充填する気体の向きを変えるためにのみ使用される。この室を構成する材料は、例えば高温ガスエンジンの場合はエネルギーが外側から取り込まれ、および/または、例えば熱ポンプの場合はエネルギーが外側へ消散されるので、優れた熱導体である必要がある。
【0089】
要約して述べれば、本発明の複数の実施形態では、媒体を圧縮するための弁可動片を使用するゆえに、および、弁可動片の特定の形状および構成のゆえに、より高いレベルの気密性が得られ、これらの弁可動片は、したがって、ほぼ一定のレバー動作のゆえに、現在まで知られているロータリーエンジンよりも高い効率因子を得ることができる。
【0090】
さらに、設計が基本的に簡素であり、部品数がわずかであるので、現在まで知られているロータリーエンジンよりもコストを著しく低減できる。
【0091】
さらに、他の複数の実施形態は、2つの回転体をいずれも接触させることなく、互いに別々の回転室におけるシリンダ型の回転体を用いるゆえに、より安価に製造でき、メンテナンスにかかる費用が低い。