(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板と前記ボトム・プレートとの間のインターフェースが、少なくとも1つのチャネルが中に画成されるチャネル・プレーン、基板の前記別のスルー・ホール、及び、少なくとも該チャネルと連通しているボトム・プレートの前記スルー・ホールを含み、
該チャネルが、所定の入口圧力範囲において、流体経路の他の部分の流体抵抗よりも、大きな流体抵抗を有する、
請求項3に記載のフローレギュレータ。
【背景技術】
【0002】
受動的薬物注入デバイスは、能動的なものとは対照的に、薬物送達のために、ポンプに頼らず、むしろ、加圧薬物リザーバに頼る。これらの受動的デバイスの既知の問題点は、例えば、患者の身体であり得る、送達場所への薬物流量が、リザーバ内の圧力がこの量によって決まる限り、リザーバ内に残存する薬物量の関数として、変わり得ることである。かかる受動的デバイスには、従って、薬物流量が、リザーバ内に残存する薬物量に対して、できる限り一定であることを確保するため、流体フローレギュレータが通常備えられている。
【0003】
かかる薬物フローレギュレータは、登録名「Chronoflow」のもと、出願人により市販されており、特許文献1に開示されている。このデバイスは、流体リザーバに連結されるように適合された流体入口、及び、患者身体に連結されるように適合された流体出口を含む。それは、それらの間にキャビティ(cavity)を画成するように、周辺リンキング・エリアに、一緒にしっかりと連接された剛体の基板と弾力性のある膜を含む。このキャビティは、流体出口に連結され、一方、膜は、流体入口に連結されるキャビティに逆向き第1の面を有する。膜は、流体入口から流体出口への流体のための経路を画成するため、キャビティに隣接する、中央スルー・ホールを有し、第1の所定の閾値より大きい圧力を、第1の面に加える場合に、基板と接触できるように、可撓性である。膜は、それの中央スルー・ホールの領域内基板と接触することになるので、これは、後者を塞ぎ、それを通過する流体の流れを妨げることとなる。
【0004】
このデバイスは、さらになお、膜の中央スルー・ホールに面している入口、及び、デバイスの出口に連結された出口を備えた基板にエッチング処理された、フローレギュレータ・オープン・チャネルを含む。このチャネルは、スパイラル曲線の形状であるので、膜に、より大きな圧力が加えられると、それはさらにチャネルを閉じ、従って、キャビティからの、それの流路を見つけるように、流体を、強引にそれの内部を流す。
【0005】
それ故に、膜に加えられる圧力が増える時、フローレギュレータ・チャネル内に位置する流体経路の長さは増え、デバイスの流体抵抗も増える。従って、流量を、リザーバ圧力に関して、所定の範囲内で、ほぼ一定に保つことができる。
【0006】
しかしながら、かかるデバイスの製造は、複雑であり、高価である。事実、基板は、流れ制御が正しく作動するために配慮する必要がある精度レベルの点で、かなり細心の注意を要する、特定パターンに従ってエッチング処理されねばならない。従って、基板の製造が特定の、余分な工程を必要とするばかりでなく、これらの工程は、さらになお、実行には、細心の注意を要する。デバイスの寸法によっては、SOIなどの特定材質を、基板の製造に使用しなければならず、これはさらに費用がかかることである。また、注意をしなくてはいけないことは、このデバイスは、粒子によって傷つきやすいことである。高圧での、膜と基板との間の大きな接触面積は、この面積内のいかなる粒子も漏れを生じさせるので、問題点である。
【0007】
さらにその上、このプロセスを経て製造されたデバイスは、次に、薬物の送達に関して、特定の一組のパラメータに、即ち、所定のリザーバ圧力範囲、及び、平均流量に、合わせて設計される。かかるデバイスの複雑な流体シミュレーションは、スパイラル状の形状を評価し、チャネル外側の流れの制約を考慮するために必要であり、このことは、いかなる設計変更をも難しくさせる。
【0008】
Parkは、水頭症治療のための、別の定流量マイクロ・バルブを報告している(非特許文献1)。バルブは、同様に、平らな基板を覆う、ダイアフラムで作られている;チャネル断面は、圧力の増加につれて、縮小し、従って、準定常流量へと導く。報告されている理論データと実験データの双方により、流れ抵抗は、直線的に、加えられる圧力と共に増え、チャネルの断面の変化は、極めて非線形であるので、完全な定常量は実現できないことが示されている。この非線形性は、スパイラル・チャネルを使用することによって、補償されない。特許文献1に記載の設計のため述べられた、全ての限界がここに存在する。
【0009】
Kartalovは、ニュートン流体の受動的流れ調節のためのPDMSに基づくデバイスを報告している(非特許文献2)。このデバイスは、重要なデッド・ボリューム(dead volume)を示す3次元構造からできている。自動調節デバイスは、供給源と排出との間に主チャネルを含む、プッシュアップ・バルブ(pushup valve)と呼ばれる可撓性膜を同様に含む、このチャネルに沿って流体が流れるにつれて、静圧が減少する。静圧は、バルブへつながる行き止りのあるう回路チャネル(dead-end detour channel)に沿って、一定を維持する。プッシュアップ・バルブは、バルブ上の、チャネル・スプリットと主チャネル・セグメントとの間の静圧降下に等しい有効圧力を受ける。圧力降下が増えるにつれ、バルブ膜は上方に変形し、主チャネルを制約し、加えられた圧力と共に流体抵抗の増加と、従って、ニュートン流体の非線形性を導く。かかるデバイスに対する行き止りの存在は、プライミングを難しくする。バルブの下に閉じ込められた空気は、ダンピング(damping)効果を引き起こす。しかし、かかるデバイスの主な欠点は、流量精度である。プラスチック部品を使用することは、コストに関して、大変魅力的であるが、一定の流量を得るために、バルブ偏向の制御を達成することは大変難しいであろう。高弾性率のプラスチックに対して、膜は非線形を起こし、従って、過度の圧力の間は、プラスチック偏向を起こし、元に戻せない損傷につながる。いかなる場合においても、チャネルの断面の変化は、強い非線形であり、デバイスは、設計によって、一定流量を実現することはできない。さらにその上、ポアズイユの法則により、プラスチック・マイクロ・チャネルと膜の製作公差を、薬物の医療注入に期待される流量精度に合わせることは難しい。
【0010】
濃縮された高分子溶液の非ニュートン性レオロジー特性を使用する、マイクロ流体の自動調節をGroismanが報告した(非特許文献3)。医療への応用に対して、かかるデバイスの主な限界の1つは、生体適合性のある高分子溶液の使用である。
【0011】
弾性重合体の大きなコンプライアンス(compliance)を利用する受動的フローレギュレータが、Yangにより提案された(非特許文献4)。そのデバイスは、薄いフラップ(flap)と堅いストッパ(stopper)を含む。フラップとストッパとの間のギャップは、加えられた圧力と共に変わり、結果として、非線形の抵抗をもたらす。100と200kPaの間で、0.21ml/minと1.2ml/minの定流量が、脱イオン水を使用して、2つの異なったデバイスで得られた。ここで再び、プラスチックの製作公差のゆえに、どのデバイスにも(from one device to another)、高い再現性と精度を期待することはできない。この制限は、低流量で、通常は1時間あたり1ml未満で、特に問題となる。
【0012】
Saaski et al. が、特許文献2において、キャビティと、スルー・ホールを有する中央ピラーを有する基板に、しっかりと取り付けられた膜とを有するデバイスを開示している。入口は、基板の側部上に位置している。流体は、この入口から、基板ピラーのスルー・ホールの後に位置した、出口方向に流れる。ピラーに向かい合っている、膜側面が、リザーバ圧力を受ける。ピラーの上部分と膜との間の小さいギャップは、大きな流体制約を形成する。リザーバ圧力を増やすことにより、膜は、ピラー方向に偏向し、ピラーと膜の間のギャップの高さを減らす。デバイスは、リザーバ圧力が増える時、即ち、ピラーと膜の間のギャップの高さがゼロに等しくなった時、遮断することができるバルブとして、見なすことができる。その場合、膜の両側面の圧力は、ピラー・エリアの上を除いて、等しい。チェック・バルブ機構、遮断機構、スルー・ホールを備えた膜と穴が開けられていないピラーを有するデバイスを含む、様々な構成が開示されている。各提案に対して、流量は、それゆえ、バルブの閉止まで、おおよそコントロールすることができるが、どの場合でも、ギャップ高さが変わるので、そのバルブの流体抵抗の非線形性のゆえに、一定流量が達成できる。さらにその上、リザーバ圧力が、膜の両側面に直接加えられるという事実が、どんな圧力でも、ピラーと膜の間の、小さなギャップの使用を必要にし、さもなければ、デバイスによって、流れは調節されない。僅か2.5ミクロンの開示されたギャップ48(
図6)は、この機構の図である。デバイスは、それゆえ、粒子によって傷つき易い。このギャップのための、相対的加工公差も、実現が難しい。
【0013】
特許文献3が、数個の層でできており、側部ポート、可撓性膜、及び、穴を備えたピラーを有する基板を含んでなる、容量型流体バルブを開示している。流体圧力を変えることにより、膜はピラー方向に偏向し、バルブの流体抵抗を増す。膜の片側面のみが、流体に接触している。流体は、基板プレートに直接、機械加工された、又は、形成されたチャネルを連通して、バルブまで流れる。これらのチャネルは、バルブ自体の流体抵抗と同じ桁の大きさの流体抵抗を示さず、さもなければ、膜偏向によるダンピング効果は、もはや効果的でない。流体圧力による、膜偏向の非線形性によって、所定の範囲の圧力にわたって、一定流量、又は、特定のプロファイルを有する流量に至る可能性が阻まれる。
【0014】
特許文献4が、側部流体ポートと、1つのスルー・ホールを有す1つのピラーを含む、1つの可撓性膜を有するデバイスを開示している。作動原理は、フローレギュレータの前の例に極めて類似しており、それゆえ、デバイスは、精度に関して、同じ限界を示す。
【0015】
特許文献5は、リザーバの部分として、及び、バルブ、又は、リザーバとバルブのための2つの分離した弾力性のある膜の部分として、弾力性のある膜、穴を有する基板、並びに、ポンプ・メカニズムを有するデバイスを開示している。弾力性のある膜には、開口部が示されていない。その文書に開示されたバルブは、抗フリー(anti-free)流れ機能を有し、それゆえ、膜は、密閉性を確かにするために、バルブ・シートに適合(comply with)しなければならない。この適合性(compliance)は、硬い膜が必要であるので、特定のプロファイルに従った、流れ調節の可能性とは両立しない。
【0016】
最新技術を要約すると、全てのデバイスは、製作公差と設計自体が、流量精度を強く制限するので、時間あたり1mlより小さい流量には適応しないと指摘することができ、このことにより、そのデバイスは医療用途には好適でなくなる。特許文献6、及び、特許文献7に開示されている、受動的レギュレータは、好ましくは、シリコンで作られる。設計は、弾性膜の非線形な変形に基づいていて、それゆえ、シリコンが、それの高い降伏強さと低い内部応力のおかげで、膜として使用される。
【0017】
膜として、プラスチックなどの他の材料の使用に適応される新しい設計が望まれる。
【0018】
受動的フローレギュレータが、好都合なことに、水頭症治療に使用することができる。水頭症は、通常、脳を覆う、脳室、又は、くも膜下腔内のCSFの流出の閉塞によるものである。水頭症の治療は外科的である:それは、流れの閉塞/機能不全のくも膜顆粒をバイパスするため、脳室カテーテル(例えば、シリコン剤(silastic)で作られたチューブ)の脳室内部への留置、及び、該液体が再吸収することができる他の体腔内への過剰液体の排出を含む。大部分のCSFシャント(shunt)は、CSFの流量にかかわらず、頭蓋内圧(ICP)を一定に保つという原理に基づいてきた。CSFシャントは、CSFシャントの入口と出口との間の差圧が、シャントの開口部圧力と呼ばれる、宿命的レベルまで下った時、CSF流を遮断するように作られてきた。
【0019】
ICPシャントの例が、Hakimによる特許文献8に示されており、これは、患者の体の異なった部分間の流体排出をコントロールするために、とりわけ、脳室から血流内へ脳脊髄液を排出する(いわゆる、開脳室心房フィステル形成術)ため使用される、外科的排出バルブ・デバイスである。
【0020】
臨床経験によれば、シャント術の原理は、理想的解決ではないことが証明された。例えば、位置の変化、運動、又は、病的な圧力波による、ICPの急上昇は、過剰なCSF排出をもたらす。文献(非特許文献5)内のいくつかのレポートは、この過剰排出による問題点を指摘しており、とりわけ、脳室の著しい狭窄が、埋め込まれたシャント装置の故障を導く主因であると指摘している。その理由は、脳室壁が脳室CSFシャント・デバイスの周りで崩壊し、粒子(細胞、残屑)がシャント・デバイスに侵入する可能性があるからである。
【0021】
Drake他による、特許文献9は、ガスで充たされたチャンバ内の圧力をコントロールし、流れが調節されるメイン・チャンバの1つの可撓性のある壁と圧力コミュニケーションをとることにより、流れに対する抵抗を経皮的に選択することができる、かなり複雑なアンチサイフォン・デバイスを提案することにより、上述の問題点を克服しようとする、シャントの例を記述している。
【0022】
プログラム可能なバルブの使用は、近位閉塞とシャントの全修正のリスクの減少に関連していた。観察された2つの集団での違いに対する、1つの考えられる説明によれば、プログラム可能なバルブにより、医者は、臨床的兆候と症状、及び/又は、過剰排出の放射線学的証拠に気付いた後、バルブ圧力の設定を増やすことにより、かかる脳室崩壊を避けることができる。このように、近位閉塞は防止され、シャント修正手術は回避される。1つの、かかる調整可能なバルブが、Hakimによる特許文献10に記述されている。しかし、ダイアフラム材料の弾性特性により、埋め込まれたバルブの保守が必要となる可能性がある。さらに、埋め込み後の、この調整可能バルブの流量調整には、外科的処置が必要となる可能性がある。
【0023】
Watanabeによる特許文献11に記述されている、別の調整可能バルブ機構には、各々の通路が流量レギュレータとオン−オフ・バルブを含む、2つの平行な流体流れの通路が含まれる。通路を通過する流体流れは、頭皮を通じて、オン−オフ・バルブを触知的に操作することにより、手動でコントロールされる。Watanabeデバイスは、頭皮を通じて、触知的に、流量コントロールが可能であるが、このように、外科的処置なしで、患者、及び/又は、医者のバルブ設定値への注意が必要である。
【0024】
Nisselsによる特許文献12に記述されている、1つのシステムは、双方の経路が一致して機能する、二重の経路のアンチサイフォン、及び、流れコントロール・デバイスを記述している。正常な流れの間は、第1と第2の経路の双方が開である。過剰の流れが検知されたとき、第1の経路が閉じ、流れは高抵抗の第2の経路に転換される。第2の経路は、生理学的な範囲内で、排出量を維持しながら、流量を90%だけ減らし、これにより、過剰排出による、有害な合併症を防ぐ。しかし、このデバイスは、流量をコントロールするためのバルブを含む、シャント・システムと共に使用されるよう意図されており、埋め込まれるべき追加の材料の故に、厄介な処置を誘発するバルブに対して、遠位に置かれなければならない。システムは、低圧の流れコントロール・バルブのためにだけ、スタンドアロンとして使用することができる。
【0025】
受動的フローレギュレータの別の応用は、薬物の注入である。疼痛管理のための、現在の埋め込み可能なポンプは、1日あたり、数ミリリッタを送達する(Codman
(R)3000、IsoMed
(R))。システムを、ライタのように、ガスにより加圧することができる。ガスが薬物をキャピラリに押し込み、流量は、ガス蒸気圧と大気圧との差に直接的に比例する。大気圧のいかなる変化にもよらないようにするために、ガスの蒸気圧力は、通常は、2barより高く、これにより、再充填処置がかなり難しくなる。
【0026】
それゆえ、一日あたり4ml、又は、これより低い、超低流量専用の、使い安い、効率的な、フローレギュレータが望まれる。
【0027】
現在の埋め込み可能なポンプの流量絞り弁(flow restrictor)を、フローレギュレータで置き換えることにより、ガスの蒸気圧力を10分の1以下に、十分に下げることが可能になる。この特徴により、ポンプ充填が容易になる。同様に、ガス・プロペラ・システム、フローレギュレータを通じて液体を押す、弾性リザーバ、軟質のリザーバ、及び、ポンプの充填中圧縮されているバネなどを、言うまでも無く含む、大規模な加圧システムを使用することも可能である。最終的に、フローレギュレータの使用によって、衝撃による、摂取過剰の危険性が大幅に低下する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の第1の実施態様に記載の、デバイスの原理
ピラー・プレート2は、所定のリンキング・エリア16内で、膜1に、しっかりと連接されている。膜1は、2つの面を有する:膜70の前面(上面)は、
図1aに表わされていない、流体リザーバの圧力を受け、一方、膜71の裏面は、ピラー・プレートの正面の凹部21内に位置している。膜の凹部21は、ピラー・プレート2内のキャビティ5に結合されている。ピラー・プレート2は、スルー・ホール11を有するピラー4を含み、該ピラーは、穴60から大きな出口と出口ポート10に結合されている、キャビティ5に囲まれている。キャビティ5は、それゆえ、ピラーの正面を除いて、出口圧力を受ける。設計によっては、ピラー・エリア4は、キャビティ5のエリアより、少なくとも、10分の1より小さくてよい。
【0038】
膜が静止位置にある時、即ち、流体に圧力がない時、ピラー4の正面の膜裏面71は、初期ギャップ7を有するバルブ6を形成する。膜裏面71とピラー4の上端の間の、環状流体制約から作られている、バルブ6は、入口(スルー・ホール11)、及び、出口(キャビティ5)を有す。
【0039】
図1aは、入口ポート9、ピラー・プレート2内のスルー・ホール11、バルブ6、キャビティ5、出口スルー・ホール60、及び、最後に出口ポート10から作られている、流体経路(灰色の矢印)を示す。
【0040】
入口ポート9は、圧力P
reservoirでリザーバに結合されていて、出口スルー・ホール60と出口ポート10は、圧力P
outで、送達位置に結合されている。
【0041】
圧力リザーバは、上記流体経路に従う、流れを引き起こす。バルブ6の開口部(圧力なしの初期ギャップに等しい)は、リザーバ圧力によって決まるので、リザーバ圧力を増やすことによって、膜1は、ピラー・プレート2のピラー4の方向に動き、ピラー4のスルー・ホール11を徐々に塞ぎ、それゆえ、バルブ6を次第に閉じ、バルブの流体抵抗は、圧力によって決まる。
【0042】
同様に圧力によって決まるキャビティの流体抵抗を除いて、それの高さは、膜の偏向によって、及び、それ故リザーバ圧力によって決まるので、流体経路のすべての他の部分は、一定の流体抵抗を示す。
【0043】
デバイスの作動原理は、流体経路の内方向部分(個々に、入口ポート9とバルブ6の間)の流体抵抗は、少なくとも、(キャビティ、出口スルー・ホール60、及び、出口ポート10を含む)流体経路の下方向部分の流体抵抗の10倍大きいことを強いる。当然の結果として、リザーバ圧力によって決まる、キャビティの流体抵抗は、どんなリザーバ圧力でも、内方向流体経路の流体抵抗の、少なくとも、10分の1より小さくなければならない。
【0044】
第1近似において、膜の可撓性部分は、それゆえ、リザーバ圧力と出口圧力の間の差に等しい、圧力勾配を受ける。
【0045】
リザーバ圧力のいかなる変化も、バルブ開度の変化を引き起こし、それゆえ、それらの流体抵抗の変化を引き起こす。かかる環状バルブに関して、最新技術の議論によると、かかるバルブの流体抵抗は線形ではなく、それらの開口部高さのマイナス3乗によって変わる。1つのみのバルブの使用は、リザーバ圧力が変化する時、一定流量、又は、任意の特定流れプロファイルを実現するのには、十分ではない。
【0046】
所定の圧力範囲にわたって、一定流量を得るため、リザーバ圧力が増える時に、同じ速度ではなく、徐々に閉止する、少なくとも、2つのバルブを与えることが必要である。実際には、膜1の中央近くに位置しているバルブは、最初に閉止し、一方、膜の端部近くに位置しているバルブは、遮断するために、より高い圧力を必要とする。スルー・ホール11の直径、ピラー4の位置、膜1の直径と厚さ、及び、最後に、キャビティ21の高さは、特定の圧力範囲にわたって、一定の流量を得るために選択される。
【0047】
一般的傾向として、バルブの数が多ければ多いほど、流れ精度はより高い。
【0048】
本発明の第2の好ましい実施態様において、デバイスは、積み重ねた、2枚のプレートから作られている:
⇒ スルー・ホール208を有する可撓性の膜1を備えた上端層
⇒ フル・ピラー(full pillar)4、キャビティ5、入口ポート9、及び、出口ポート10を備えたミドル・プレート2
⇒
【0049】
デバイスの簡易化された側面図が
図1bに示されている(縮尺は合っていない)。
リザーバの流体は、膜1の上面70と接触している。リザーバ内圧力は、スルー・ホール208、バルブ6、キャビティ5、並びに、最後に、出口スルー・ホール60、及び、出口ポート10を通る流れを引き起こす。作動原理は、本発明の第1の好ましい実施態様に極めて類似している:リザーバ圧力の任意の変化によって、バルブ6の開度が変更され、それゆえ、それらの流体抵抗が変更される。膜内の穴は、膜が静止位置(リザーバに圧力なし)の時、流体経路のどの他の部分よりも、少なくとも、10倍大きい、流体抵抗を有する。デバイスは、特定の圧力範囲にわたって、流体抵抗が一定のままであることを確保するように、設計されてもよい。
【0050】
バルブ6を形成するため、フル・ピラー4は、膜1のスルー・ホール208の正面で機械加工される。望ましい調節プロファイル次第で、通常、高い圧力で自由流れが必要ならば、1個、又は、数個のスルー・ホール208が、ピラーが無い、キャビティ5の正面に位置してもよい。ピラーは、通常、高圧で、膜へのサポートが必要である時、又は、デバイスのデッド・ボリュームを最適化する必要がある時、体系的に穴の正面に、体系的に、置かれるのではない、
【0051】
極く低流量の調節を、通常は、1日あたり数ミリリッター以下を、確かにするため、ピラー4内スルー・ホール11、又は、膜1内スルー・ホール208は、数ミクロンの直径を有する必要がある。かかる小さな穴に対する相対機械加工公差は、MEMSプロセス、又は、プラスチック・インジェクションを使用する時、大きいので、デバイスの最終精度は悪い。低流量調節のための、別のレギュレータ設計が必要である。今後の設計は、本発明の第1の好ましい実施態様に基づくであろう。
【0052】
本発明の別の実施態様において、低流量専用のデバイスは、積み重ねた3枚のプレートから作られている:
⇒ 可撓性の膜1を備えた上端層
⇒ ピラー4、スルー・ホール11、及び、最終的に、チャネル8を備えたミドル・プレート2
⇒ 流体ポート9、及び、10、並びに、最終的に、チャネル8を備えたボトム基板3(以下、ボトム基板と呼ばれている)。
【0053】
デバイスの簡易化された側面図が
図2aに示されている(縮尺は合っていない)。
【0054】
低流量専用の、本発明のこの別の実施態様に記載のデバイスの原理
ピラー・プレート2は、膜1、及び、ボトム・プレート3に、それぞれ、所定のリンキング・エリア16と17において、しっかりと連接されている。膜とピラー・プレートの間のキャビティ5は、キャビティ内部の圧力が、確実に、出口圧力に大変近いようにするため、他のスルー・ホールと比較して、大きな出口スルー・ホール60を有する。
【0055】
膜1は2つの面を有する:膜80の前面(上面)は、
図2aに表わされていない、流体リザーバの圧力を受け、一方、膜81の裏面(キャビティ5とピラー4の正面のより低い面)は、ピラーの正面を除いて、出口圧力を受ける。設計によっては、ピラー・エリア4は、キャビティ5のエリアより、少なくとも、10分の1より小さい必要がある。
【0056】
膜が静止位置にある時、即ち、流体に圧力がない時、ピラー正面の膜裏面81は初期ギャップ7を有するバルブ6を形成する。81と4との間の環状流体制約で作られているバルブ6は、入口(スルー・ホール11)と、出口(キャビティ5)を有する。
【0057】
図2aは、入口ポート9、ボトム・プレート内スルー・ホール11、ボトム・プレートとピラー・プレートの間のチャネル8、ピラー・プレート内スルー・ホール11、バルブ6、キャビティ5、出口スルー・ホール60、及び、最後に、出口ポート10から作られている、流体経路(灰色矢印)を示している。
【0058】
入口ポート9は、圧力P
reservoirでリザーバに結合されていて、出口スルー・ホール60と出口ポート10は、圧力P
outで、送達位置に結合されている。
【0059】
圧力リザーバは、上記流体経路に記載の流れを引き起こす。リザーバ圧力を高めることにより、膜1は、ミドル・プレート2のピラー方向に動き、ピラー4のスルー・ホール11を徐々に塞ぎ、それ故、バルブ6を徐々に閉じるので、バルブ6の開度は、リザーバ圧力によって決まるので、バルブの流体抵抗は、圧力によって決まる。それの高さは、膜の偏向によって、それゆえ、リザーバ圧力によって決まるので、同様に圧力によって決まる、キャビティの流体抵抗を除いて、流体経路の、他のすべての部分は、一定流体抵抗を示す。
【0060】
デバイスの作動原理は、流体経路の内側向き部分(入口ポート9とバルブ6の間の各々)の流体抵抗は、流体経路の下側向き部分(キャビティ、出口スルー・ホール60、及び、出口ポート10を含む)の流体抵抗の、少なくとも、10倍大きいことを課している。当然の結果として、リザーバ圧力によって決まる、キャビティの流体抵抗は、どんなリザーバ圧力でも、内方向流体経路の流体抵抗の、少なくとも、10分の1より小さくなければならない。
【0061】
第1の近似において、膜の可撓性部分は、それゆえ、リザーバ圧力と出口圧力の間の差に等しい圧力勾配を受ける。
【0062】
リザーバ圧力のいかなる変化も、バルブ開口部の変化を引き起こし、それゆえ、それらの流体抵抗に変化を引き起こす。かかる環状バルブに対して、最新技術の議論によると、かかるバルブの流体抵抗は線形ではなく、それらの開口部高さのマイナス3乗によって変わる。1つのバルブのみを使用することは、リザーバ圧力が変化する時、一定流量、又は、任意の特定流れプロファイルの可能性を提供するには、十分ではない。
【0063】
所定の圧力範囲にわたって、一定流量を得るため、リザーバ圧力が増える時に、同じ速度ではなく、徐々に閉止する、少なくとも2つのバルブを与えることが必要である。実際には、膜の中央近くに位置しているバルブは、最初に閉止し、一方、膜の端部近くに位置しているバルブは、遮断するために、より高い圧力を必要とする。
【0064】
リザーバ圧力が変わるにつれて、可変の流体抵抗を有する、少なくとも2つの受動的バルブの存在は、本発明の主要な特徴である。本発明の第1と第2の、好ましい実施態様は、かかる受動的バルブを得るための、2つの異なった方法を示している。
【0065】
デバイスの圧力調節範囲は、バルブの動き具合とそれらの圧力に対する感度で、画成される。
流量範囲は、リザーバとバルブ6の間の内方向流体経路の流体抵抗によって決まる。大きな流体抵抗が、低流量を得るために必要である。
【0066】
チャネル8は、
図2aに示されているように、本発明の第2の主要な特徴である:これらのチャネルは、バルブ本体とは切り離されているので、それらは、大きな流体抵抗に達するために必要なだけ長く、又は、狭くてよい。
【0067】
応力・リミッタ130、及び/又は、131は、
図10、及び、12に示されているように、本発明の第3の主要な特徴である:膜内の応力は、高圧で限定されるので、シリコンのような、十分に高い降伏強度を有する材料のみを使用する必要はない:金属、又は、硬質プラスチックの使用は、これらの応力・リミッタによって、可能となり、デバイスのコストを大きく削減することとなる。
【0068】
本発明の2つの好ましい実施態様において、入口ポート9と出口ポート10内の流れの方向は、
図1bに示されるように、膜平面に垂直である。
【0069】
図2bに示されるように、チャネル18は、ピラー・プレート14内に作ることができ、その場合、ボトム基板3は、スルー・ホール12を備えた平板から容易に作られている。
【0070】
図2cに示されるように、チャネル19は、ピラー・プレート2、及び、ボトム・プレート3の双方の内に作ることができる。
【0071】
凹部キャビティ21は、
図1aと1bに示されるように、膜1内にエッチング加工されており、一方、凹部キャビティ20は、
図2aと2bに示されるように、ピラー・プレート2内にエッチング加工によって作られる。
凹部キャビティ20、又は、21の高さが、ギャップ7を画成する。
【0072】
出口を除いて、デバイス全体は、加圧流体に連結できる。薄い保護膜34(
図4a参照)、通常は、高分子フィルムを、膜の破れの後、自由流れを防ぐため、膜1の上端面上に付着させることができる。
【0073】
ピラー・プレート2、及び、ボトム・プレート3は、パイレックス(登録商標)(Pyrex
(R))、又は、シリコン、又は、セラミック、プラスチック、又は、金属などの他の材料で作ることができる。
【0074】
チャネル8、及び/又は、18、及び/又は、19は、通常は、シリコン基板のKOHエッチングによって得られる、V溝から作られる。
【0075】
チャネル8、及び/又は、18、及び/又は、19は、機械加工でき、又は、エンボス加工、若しくは、インジェクション中に得ることができる。
【0076】
チャネル8、及び/又は、18、及び/又は、19は、1つの通りに限定されるものではない。
【0077】
スルー・ホール208、11、12、及び、60は、乾式エッチング、サンドブラスティング、超音波ドリル法、又は、いかなる、他の適切な技術によって、得ることができる。
【0078】
デバイスには、通常は、ホイートストン・ブリッジ構成で、シリコン膜内に歪ゲージを埋め込むことによる、膜1の偏向を測定する手段が含まれる。
【0079】
機械加工公差に関して、特別の配慮を払う必要がある、重要な部分は、膜1の厚さと平面度、スルー・ホール208の直径、ギャップ7、並びに、チャネル深さ8、18、及び、19である。
【0080】
ピラー・キャビティ4内圧力は、出口圧力に極めて近くなくてはならないので、最終のチュービング、又は、カテーテルを含む出口の流体抵抗は、理想的には、少なくとも、デバイスの他の部分よりも、一桁低くなくてはならない。
【0081】
チャネル8、18、及び、19の断面は、使用されるプロセスによるが、通常、三角形、長方形、又は、台形である、しかし、断面形状には、実際、なんら制約はない。
【0083】
各ピラー4・スルー・ホールを、同一のチャネル8,18、及び、19に連結することができる。
【0084】
代表的なデバイスは、各ピラー4に対して、少なくとも、1つのチャネル8,18、及び、19を有する。
【0085】
チャネル8,18、及び、19は、膜1が偏向していない時、デバイスの主な流体制約を示さなければならない。膜1上の圧力を増すことにより、各バルブ6の抵抗は、各バルブ6に対する所定の圧力値で、チャネル8,18、及び、19の抵抗よりも大きくなるまで増える。
【0086】
ピラー基板31は、通常は、
図4aに示すように、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)を使用することにより、1つ、又は、複数のチャネル34を含んでもよい。酸化物32が、SOI層33内チャネルを機械加工する間、エッチング停止材として、使用される。
ピラー基板に対して、SOIを使用することは、酸化物は極めて効率的なエッチング停止材であるので、チャネル深さの機械加工精度を改善するために、望ましいこととなり得る。
【0087】
図4aは、SOIピラー・プレート31に基づいた、フローレギュレータの第3の実施態様の、第1の簡易化された図を示す。
【0088】
プロセス収率次第にもよるが、すべての、非常に重要な部分は、
図4bに示すように、ピラー・プレート36内に含まれる(例えば、ピラー・プレート36内にエッチング加工された凹部20付きで、今後示されるSOI設計)。膜1は、なんら機械加工されていない単純な平板であり、一方、ボトム・プレート3は、入口スルー・ホール12を作るため、穴が開けられただけの別の単純な平板である。出口ポート10は、ボトム・プレート3に接着することなどの、任意の手段によって、取り付けられたコネクタであってよい。
【0089】
図4cは、本発明の第3の実施態様の、第3の、簡易化された図を示し、ここで膜38とピラー・プレート36の双方は、ギャップ7をつくるため、機械加工される。
【0090】
ピラー・プレート37は、
図4dに示す様に、非常に重要な部分を含まなくてもよい。 チャネルは、ボトム・プレート39のため、SOIウエハーを、再び、使用することにより、得られてもよい。
【0091】
別の実施態様においては、デバイスは、2つのプレート、膜1とピラー・プレート2からのみ作られていて、流量絞り弁46(例えば、チャネル)が、チュービング44、コネクタ47、又は、他の流体経路を使用して、ピラー・プレート2に連結された、専用チップ内に置かれている。この、別の実施態様は、デッド・ボリューム(及び、それゆえ、プライミング時間)と組立体の複雑さを増す可能性がある。主な効果は、組立前に、容易にテストすることができる、市販の、即納のリストリクタを使用することができることである。各リストリクタは、小さな内径48を有するチュービングから、簡単に作ることができる。各リストリクタは、目標とした抵抗を得るため、単に、それの長さを調整することによって、同一の内径のチュービングを使用して、作ることができる。
【0092】
本発明の第2の好ましい実施態様に関して、ピラー・プレート内スルー・ホール11の流体抵抗は、予期された圧力範囲内で、流れ調節を確実にするように、調整することもできる。
【0093】
図5は、本発明のこの別の実施態様に記載の、凹部21、スルー・ホール11を備えたピラー・プレート2、及び、入口コネクタ47を有する膜1を含んでなる、デバイスの断面を表わす。3つの異なった種類の流量絞り弁、それぞれ、チュービング44を使用している、ピラー・プレート2のスルー・ホール11と連通している流量絞り弁46、ピラー・プレート内に直接作られた流量絞り弁(スルー・ホール11自体)、及び、最後に、小さい内径のチュービング48から作られている流量絞り弁が、同様に、
図5に示されている。
【0094】
プレートは、特定のリンキング・エリア16と17にて、通常は、陽極ボンディング(パイレックス(登録商標)とシリコン・プレートに対して)、直接ボンディング(シリコン・プレートに対して)、Au−Au熱圧着、又は、任意の他の適切なボンディング技術によって、一緒につながれている。
【0095】
反結合性の層51は、リンキング・エリアの外側に、膜1の裏面上に、付着させ、又は、増やされてもよい。反結合性の層52は、同様に、ピラー・プレート2の正面に作られてもよい。
図6aは、本発明の好ましい実施態様に記載の、バルブ6を示し、ここで、反結合性の層は、膜1の裏面上にある。反結合性の層51の形状は、2つの平らな面が接触して行く時に起こる、スクイーズ・フィルム効果を制約するために、作られる。反結合性の層51は、好ましくは、(
図6aに示すように)膜1、又は、(
図6bに示すように)ピラー・プレート2、又は、双方の、全面にわたって、均等に分布された、寸法の小さいパッドから作られている。特定の反結合性の形状53は、バルブ・シート全体を覆うために、バルブ6に対して作られねばならない。
【0096】
フローレギュレータの、いくつかの前述の実施態様の別の特徴は:
・酸性、又は、アルカリ性溶液による、どんな腐食をも防止するための、液体と接触している面の、通常は、膜面80と81、又は、70と71、キャビティ5、より一般的には、流体経路全体の、特定のコーティング(例えば、TiO
2など)。
・デバイスのプライミングを改善し、面汚染を少なくするため、液体と接触している、すべての面上に親水性物質のコーティング(例えば、PEGなど)。
・バルブ漏えいの防止のための粒子フィルタ。
【0097】
本発明の好ましい実施態様のチャネル8の代表的正面図が、
図7aに示されている。この正面図は、
図2aに示されたボトム・プレート3の正面、又は、
図2bに示されたピラー・プレート2の裏面に相当することができる。
【0098】
入口ポート55と出口ポート56は、チャネル8、又は、18を、それぞれ、ピラーとボトム・プレートのスルー・ホール11と12に連結するために使用される。ポート55と56の寸法は、主として、ボンディング・プロセスの位置合わせ公差によって決定される。しっかりとした連結を確保しなければならず、位置合わせは、チャネル8、又は、18の流体抵抗に影響を及ぼしてはならない。
【0099】
本発明の好ましい実施態様に記載のピラー・プレート正面
図2の例が、
図7bに示されている。ピラー4に対して、出口60の位置は、他の抵抗に対して小さくなくてはならない、ピラーと出口の間の流体経路の抵抗によって、主として決定される。この見解に従い、出口60は、理想的には、最も大きい流れ抵抗を示すチャネル8につながれている、ピラー4の近くに置かれるべきである。
【0100】
(スルー・ホール付きと無しの)各ピラー4間の最大距離は、高圧力での、それらピラー間での、膜1の独立部分の2次的変形効果によって決定される。この付加的変形は、デバイスの流体挙動を変更してはならない。
【0101】
図7bに示されている、ピラー・キャビティ5は、2つの前述の見解を考慮することにより、さらに、デバイスのプライミング能力を考慮することにより、設計しなければいけない。ピラー・キャビティ形状によって、理想的には、デッド・ボリュームを最小にし、主な流れがこのデッド・ボリュームの最も大きい部分を確実に進ませる。
【0102】
デバイスの外部形状には、なんらの制限もない。
【0103】
別の実施態様において、本発明は、流体リザーバに連結されるように適合された流体入口9、送達位置に連結されるように適合された流体出口10を含んでなる受動的な種類であるフローレギュレータに関わり、該レギュレータは、ピラー・プレート101、ボトム・プレート3、及び、可撓性膜110を画成する凹部104を有する膜プレート100を含んでなり、これらの3つのプレートは、所定のリンキング・エリア17と16内で、少なくとも1つのキャビティ5とチャネル8を、それらの間に画成するように、一緒にしっかりと連接され、該キャビティ5は、スルー・ホール60により上記流体出口10に連結されている。
【0104】
本発明の、この別の実施態様において、上記硬い基板101は、上記流体入口9に連結されている、上記キャビティ5と反対側に第1の面を有し、一方、上記膜100は、該キャビティ5と反対側に外面を有し、上記ピラー・プレート101は、なおその上、少なくともスルー・ホール11を有し、上記ボトム・プレートは、該流体入口9から上記流体出口10へ、流体のための経路を画成するため、該スルー・ホール11に隣接するチャネル8とスルー・ホール12を有し、上記可撓性膜110は、上記キャビティ5内のピラー・プレート101の上記ピラー4、及び、上記スルー・ホール11を含み、第1の所定の閾値より大きい圧力を流体が上記外面に加える場合に、バルブ6を画成する部分と接触することが可能であり、これにより、上記スルー・ホール11と上記バルブ6を通る流体の流れを妨げることとなり、ここで、上記ピラー・プレートは、上記キャビティ5に隣接する別のキャビティ115内に、少なくとも1つの別のスルー・ホール114を含み、ここで、流体は、上記別のキャビティ115からキャビティ5の方向に開口部120を経て流れることができ、ここで、上記膜プレート100は、少なくとも別の可撓性膜111を含み、該別の可撓性膜は、上記別のキャビティ115内のピラー117上のピラー・プレート101、及び、上記別のスルー・ホール114を含み、流体が、第1の所定の閾値より大きいが、第2の所定の閾値より小さい圧力を、上記外部面に加える場合に、別のバルブ116を画成する部分と、接触することが可能であり、上記別の膜111、上記別のキャビティ115、及び、上記別のスルー・ホール114が、流体流量が、ほぼ、上記第1から、上記第2の所定の閾値に及ぶ範囲にて、上記外部面上に加えられた圧力の関数として、実質的に線形であるように、さらになお、配置されている。
【0105】
本発明のこの別の実施態様の、簡易化された側面図が、
図8aに図示されており、レギュレータは、第1の低い圧力を受ける。第2のより高い圧力を受ける、同じレギュレータが
図8bに示されている。
【0106】
第5の実施態様の1つの、簡易化された、ピラー・プレート正面図が、
図9aに示されている。
【0107】
この別の実施態様の膜裏面(エッチング加工された面)が、
図9bに示されている。使用されるプロセスによるが、凹部104、又は、105は、傾斜を示す凹部壁を有してよい。<100>シリコン・ウエハ上の、異方性ウェットエッチングを使用することにより、代表的凹部壁の角度は54.7°である。
【0108】
デバイス内の異なったキャビティは、
図9aに示すように、開口部120と相互に連結されねばならない。理想的には、これらの相互連結の流体抵抗は、すべてのキャビティ内の圧力が、出口圧力に極めて近いことを保証するように、設計される。
【0109】
膜プレート100は、正方形、長方形、楕円形、及び、円形の膜などの、任意の形状の膜を含むことができる。異なった形状の膜を、同じ膜プレート内に作ることができる。
【0110】
本発明の2つの、好ましい実施態様において、膜1のピラー・プレート2に対する変形が使用される。この効果は、強い非線形であり、結果として、圧力を増やすことにより、膜1を固くすることとなる。中央にはないバルブ6を閉じるため、大きな圧力、及び/又は、幅の広い、及び/又は、薄い膜1が必要である。バルブは、低圧、及び、高圧バルブとして、即ち、低圧(それぞれ、高圧)で閉じるバルブとして、分類することができる。
【0111】
図8aに表されている、本発明の実施態様において、ピラー4は、膜110の中央の正面に置かれている。その今後の構成において、閾値は、膜の寸法と膜と基板の間の距離によって、同一の膜プレート100内のバルブ1つずつ調整される。第1の実施態様の高圧バルブは、例えば、より小さな膜面、及び/又は、より厚い膜を有するバルブによって、置き換えられる。低圧膜の寸法を減らすため、ギャップ7(膜プレート100内の、各凹状キャビティ104の深さ)は膜厚さより小さい。
【0112】
好ましい実施態様において、ギャップ7を減らすことにより、ピラー・プレート101上の膜1の接触角が、低圧で、極めて速やかに増え、それゆえ、膜1の中央部分は、低圧の狭い範囲を調節するためにのみ使用される。このことが、ピラー4が、設計によっては、大幅に偏心していることの理由を説明している。
【0113】
図8aに表されている実施態様の設計は、高圧と低圧のバルブが、同じデバイスに埋め込まれているので、作動圧力のより広い範囲と、範囲全体にわたってのより高い精度を可能にする。しかし、高いリザーバ圧力で、低圧の物理的完全性(integrity)に留意することは、重要である:材料の降伏強度に達してはならない、そうでなければ、塑性変形が観察され、デバイスの流体挙動の変化につながる。
【0114】
好ましい実施態様の膜は、まず第1に、大変高い降伏強度の理由で、それだけでなく、MEMS技術によって、スルー・ホールとチャネルに対して、良好な機械加工公差が可能になるので、好ましくは、シリコンで作られる。プラスチックの様な、より安価な膜材料を使用することに強い関心が持たれている:コストの理由だけでなく、プロセスの簡易化と、種々の厚さを有する膜と、種々の高さを有するギャップを、簡易化された方法で作ることを可能にするという理由からである。
【0115】
図8aに表された、プラスチックで作ることができる実施態様は、下記から作られている:
⇒ 穴が開けられていない膜プレート100
⇒ 高圧での、膜100の応力を制限するため、スルー・ホール11、ピラー130、及び、ステップ131を有する、ピラー・プレート101
⇒ スルー・ホール12とチャネル8を有するチャネル・プレート3
【0116】
本発明の好ましい実施態様に関して、バルブの数と寸法は、必要な精度と、流れを調節する圧力範囲とに合うように調整される。
【0117】
応力・リミッタ・ピラー130とステップ131のコンセプトが、本発明の第5の実施態様のバルブ6を示す
図10に示されている。バルブ6は、ここでは、双方の応力・リミッタを含むが、好ましい実施態様において、1種類のみの応力・リミッタが、通常は、ステップが、デバイスのデッド・ボリュームがより小さいので、使用される。明確さのために、1つのバルブ6のみ、
図10に示されている;デバイスは、圧力範囲によるが、数個のバルブを含むことができる。膜100の中央は、スルー・ホール11を備えたピラー4に、まず達し、バルブ6を閉じる。リザーバ圧力を増やすことにより、膜100は、応力・リミッタ・ステップ131、及び/又は、ピラー130、又は、双方に、接触する様に動く。膜の付加的曲げは、機械的サポートのおかげで制限される。ステップ131の代わりに、ピラー130を使用することにより、開口部135は、空気トラッピングを防ぐため含まれなければならない。SLPは、それゆえ、
図11に示すように、完全な円筒対称性を有する必要はない。
【0118】
SLP130、又は、SLS131、又は、双方は、デバイスの機能中、膜材料が降伏強度に達することがないように位置が決められ、設計される。数個のステップ、又は、ピラーが使用されてもよい。
【0119】
SLP130、又は、SLS131は、通常は、スルー・ホール11を有するピラー4より、大きな高さを有する。
【0120】
チャネル18は、好ましくは、ピラー・プレート内に含まれる。チャネル18、ピラー4と30、ステップ131、及び、全てのプラスチック・プレートの部品は、成形、又は、エンボス加工の標準的設計規定を守らねばならない(適合した逃げ角など)。
【0121】
本発明の別の実施態様において、SLP145、バルブ・ピラー145、及び、キャビティ150は、
図12に示すように、膜裏面140内に機械加工される。ピラー・プレート142は、ピラーをもはや有していないが、穴11(本文中では、スルー・ホールという名前でもある)をまだ有している。
【0122】
接着、はんだ付け、熱融着、又は、任意の、他のボンディング技術を、所定のリンキング・エリア16と17を使用して、種々のプレートを組み立てるために使用することができる。プレートは、種々の材料から作ることができる、例えば、膜1、又は、100、又は、140は、シリコンから作ることができ、一方、ピラー・プレート2、又は、101、又は、142、及び、ボトム・プレート3は、プラスチックから作られる。任意の材料の組み合わせを考慮することができる。これらの材料と注射される流体との間の相性を考慮しなければならない。通常、プラスチック材料を使用するならば、材料の水分吸収が、デバイスの流体挙動に影響を及ぼしてはならない。
【0123】
本発明の別の実施態様が、
図13aに表されている。この実施態様は、本発明の第2の、好ましい実施態様から、直接、得られており、ここには、別のステップ131がある。
【0124】
この別の実施態様は、それゆえ、少なくとも2枚のプレートを含む:
⇒ 少なくとも、2つのスルー・ホール208を有する膜プレート1。
⇒ 出口スルー・ホール60、ピラー4、及び、ステップ131を有するピラー・プレート2
【0125】
この別の実施態様のバルブ6の簡易化された図が、
図13aに示されている。
【0126】
穴が開けられた膜1の上に、別のピラー・プレート222を置くことにより、二方向性のフローレギュレータを作ることが可能である。
図13bに、2つのバルブ6と230から作られた二方向性バルブを示している。本発明の別の実施態様は、少なくとも、2つ二方向性バルブを含む。
【0127】
バルブの数は、デバイスの精度の割当額、圧力の範囲、デバイスの寸法に合うように、設計によって調整される。
図13bに示す、二方向性フローレギュレータは対称形である。
【0128】
図13cは、本発明の別の実施態様のエレメントとして、非対称形のバルブ6と237の簡易化された図を図示する。バルブ237は、プレート222内のスルー・ホール200を経て、加圧されたリザーバに連結されているキャビティ261内に置かれたピラー229を備えた、チェック・バルブである。反結合性の層233を有してもよいピラー229は、ここでは、リザーバが加圧されていない時、膜と接触している。
【0129】
ピラー223の高さと、反結合性の層の厚さによるが、チェック・バルブ237の閾値を調整することが可能である。
【0130】
前述の実施態様のいずれも、好都合なことに、流量を変えるために外部からチャンネル8の選択を可能にするスイッチを含むことができる。スイッチは、例えば、入口312のための開口部311と穴を備えた高分子層310から作ることができる。ボトム・プレート300に対して、フィルム310を回転し、押すことにより、いくつかのチャネル8は開となるが、一方、他のものが閉となる。
【0131】
図14aは、3連の一列に並んだスルー・ホール、それぞれ、302,303、及び、304を備えたボトム・プレートの対応する裏面を示す。3連のスルー・ホールの各々は、個別のレギュレータとして見ることができる。例えば、3連のスルー・ホール、302,303、及び、304は、それぞれ、時間あたり1,2、及び、4mlの公称流量を有する、3つのレギュレータに対応する。ボトム・プレート300の出口301は、対称性の証拠のために、好ましくは、フィルム310の中央に位置するであろう。チャネルは、ここでは、ピラー・プレート2とボトム・プレート3との間の接合部分に位置する。ボトム・プレートを有していない実施態様に対して、
図14aは、ピラー・プレート2の裏面に対応する。
【0132】
図14bは、半径方向開口部311(スリット)と、それの中央にある開口部312(穴)を備えた、フィルム310を示す。
【0133】
フィルム310を、機械的クランプ、ねじ、クリップ、又は、他の標準的組立手段を用いて、ボトム・プレート300上に組み立てることができる。膜とピラー・プレートからのみ作られている実施態様のために、フィルムは、ピラー・プレート上に、直接貼り付けられる。
【0134】
膜とピラー・プレートのみから作られている本発明の第4の実施態様のために、フィルムは、ピラー・プレート上に、直接貼り付けられる。
【0135】
穴が開けられた膜とピラー・プレートのみから作られている本発明の第7の実施態様のために、フィルムは、膜プレート上に直接、貼り付けられる。
【0136】
図14cは、すべてのスルー・ホール302,303、及び、304を開にするため、ボトム・プレート300と合わせられている、フィルム310を示す。今後の構成において、全流量は、3連のスルー・ホールの公称流量の和である。前記の例によると、流量は、それゆえ、時間あたり7mlである。フィルムを回転することにより、3つの公称流量の組み合わせにより、全流量を時間あたり1〜7mlに設定することができる。フィルムの周りの、矢印320は、必要な流量に導く、フィルムの位置を表示している。
【0137】
高圧で閉じるようには意図されていないピラー、又は、膜内の、少なくとも、1つの穴を含んでなる前述の実施態様のいずれかを考慮すると、出口は、まず、流体抵抗を減らすだけでなく、上記穴を遮断することになるどんな残存バブルの存在をも防ぐため、上記穴の極めて近くに位置しなければならない。
【0138】
デバイスの異なった実施態様は、かなり低い流量(通常は、時間あたり数ml)を調整する意図であるので、デバイスのプライミング能力は、重要な問題である。設計によっては、空気トラッピング・エリアが最小になり、その場合、流量が極めて小さい。デッド・ボリューム(通常は、キャビティ5)は、
図7bに示すように、同様に最適化され、ここで、キャビティ5は、流体経路の穴周りのエリアに限定される。
【0139】
デバイスは、好都合には、ライミング時間を減らすため、
図15a、及び、15bに表すように、保護キャップと流体スイッチを含むことができる。低流量の調節のための、好ましい実施態様の1つである
図2aに表されている実施態様は、これらの新しい特徴を示すため使用されてきた。
【0140】
硬い材料で、例えば、Pyrex
TM、又は、シリコンで作られた保護キャップ440は、リンキング・エリア16と同一のレイアウトを有する、所定のリンキング・エリア430において、膜1の面80にしっかりと連接されている。保護キャップ440は、ピラー443上を除く膜1の可撓性部分の上にキャビティ441を有し、ここで、反結合性の層442は、ピラーと膜1との間のいかなる結合をも防ぐために作られている。ピラーは、膜と接触をしていて、それゆえ、膜のピラー基板の方向への移動のみが可能である。保護キャップは、ピラー443は互いの間で接触していないので、キャビティ441に連結されている少なくとも1つの流体ポート444を有する。
図15aと15bには、2つのピラーだけが示されているが、ピラーの数、又は、形状、又は、配置には制限がない。
【0141】
流体ポート444は、流体ライン412、流体スイッチ420、及び、リザーバとスイッチの間の流体ライン411から作られている流体経路を経て、デバイスのリザーバに連結されている。
【0142】
デバイスの入口ポート9は、流体ライン413、流体スイッチ420、及び、リザーバとスイッチの間の流体ライン411から作られている別の流体経路を経て、デバイスのリザーバに連結されている。
【0143】
図15aにおいて、スイッチは、プライミング・ポジションに対応する、位置1に置かれている:リザーバは、満たされ、圧力はP
reserviorまで上昇する。流体は、リザーバから、ライン413を経て、デバイスに流れることができ、一方、ライン412と保護キャップのキャビティ441は、加圧されない。膜は、ピラー方向に偏向せず、すべてのバルブ6は、高圧でも開であり、デバイス内に大きな流量を引き起こし、それゆえ、より早く、プライミングを引き起こす。ピラー443は、スイッチが位置1にある時、リザーバ内に大き過ぎる圧力がかかる時の膜の破れを防ぐ。プライミングが終了した時(流体が出口10を流れる時)、スイッチは、
図15bに示すように、注入位置に対応する位置2に切り替えられる。リザーバ圧力は、入口ポート9とキャビティ441の双方にはなく、デバイスは、この時、それの意図する使用に従っての、流れ調節をすることはできない。
【0144】
プライミング時間を減らすために、注射器(ここには示されていない)を、高いプライミング圧力を発生するため、使用することができる:注射器は、位置1にある、スイッチの上に、直接、差し込むことができ、使用者は、次に、注射器プランジャを押しつけることにより、デバイスをプライミングすることができる。注射器は、次に、除去され、リザーバによって、置き換えられねばならない。
【0145】
スイッチは、他の位置を、例えば、ライン412、及び、143をベントする圧力放出位置、又は、リザーバを入口ポート9と保護キャップ440(
図15aと15bに表されていない)の双方から隔離する位置を含んでよい。
【0146】
前述の実施態様のいずれも、好都合なことに、少なくとも能動的バルブを含むことができる。能動的バルブは、恒久的に膜に、又は、作動中だけ膜に連接されたアクチュエータから作ることができる。バルブは、その端に、導電性の、又は、磁性の層を含んでもよい。様々な種類のアクチュエータが使用可能である:
⇒ 圧電型
⇒ 静電気型
⇒ 形状記憶合金
⇒ 形状記憶ポリマ
⇒ 電磁気型
など。
【0147】
能動的バルブは、流れ(デューティ・サイクル・モード(duty cycle mode))を調節するため、又は、単に、所定の条件の下、バルブを閉じる、又は、開く安全弁として使用することができる。その端に、能動的バルブを、好都合なことに、圧力、又は、流量センサーに連結してもよい。
【0148】
調節プロファイルの限定的ではない例が、好ましい実施態様に対して、以下に示されている:
⇒ 所定の圧力範囲で、一定流量
⇒ 低圧で開の閾値、圧力の中間範囲で一定流量、及び、高圧で遮断
⇒ 低圧で開の閾値、圧力の中間範囲で一定流量、及び、高圧で自由流れを有する、水頭症に似たプロファイル、
【0149】
本発明の好ましい実施態様は、可撓性膜の弾性変形に基づいている。FEMシミュレーションが、種々に機能する圧力での、膜形状を推定するために必要である。
【0150】
ピラー(穴開けされたもの、又は、穴開けなしのもの)は、偏向した膜を支える。ピラーの正しい分配によって、圧力を受けた膜が、確実に軸対称に変形する。
【0151】
本発明の好ましい実施態様のためのモデル
図2aに描かれたデバイスを検討する。基本的に、デバイスには、2つの主要な流体制約がある:
1.チャネル
2.バルブ
【0152】
すべての、他の流体経路は、設計によって、流体抵抗に関して、ごく僅かでなければならない。ピラー・キャビティは、それゆえ、スルー・ホールと出口直径と同様に、この要求に合うように、設計される。
【0153】
記号:
流体の動的粘度 η
流体体積質量 ρ
ヤング率 E
膜厚さ t
m
穴半径 R
h
穴深さ L
h
ピラー半径 R
p
ピラー iと膜との間の距離(バルブ開口部高さ): h
i
圧力勾配 ΔP=P
in−P
out
流体経路 iを通る流量 : Q
i
チャネル幅 w
c
チャネル高さ h
c
チャネル長さ L
c
流体抵抗 R
f
チャネルの流体抵抗 R
fc
バルブの流体抵抗 R
fv
出口の流体抵抗 Rf
out
【0154】
流れを、チャネルとバルブに関して直列の流体抵抗としてモデル化することができ、チャネルとバルブの組の各々は互いの間で平行に置かれている(同一入口、及び、同一出口)。流れは層流であると仮定する。
【0155】
本明細書では、長方形のチャネルが検討される。チャネルiの流体抵抗R
fiは:
【数1】
w
c >>h
c (平らなチャネル) に対して:
【数2】
【0156】
バルブiの流体抵抗Rfv
i :
【数3】
【0158】
もしも、レイノルズ数が、所定の圧力で、1より大きくなるなら、特異な水頭損失(head loss)が検討されるべきである。
【0159】
特異点の水頭損失は、流量の2乗に比例し、それゆえ、高圧でもそれらを検討しなければならない。流れの可逆性はもはや正当ではないことに留意することは重要である。流体経路を、両方向において、検討しなければならない。
【0160】
差圧ΔP=P
in−P
out は、以下のように、Q
iの関数として表わされる:
ΔP=α
iQ
i2+β
iQ
i
【0161】
iが1つの流体経路を示す場合、
【数5】
は、流体経路Iの流体抵抗の和であり、α
iは各特異点の面の関数である。
【0162】
ΔPの各値に対して、関数α
iQ
iを数値的に推定する:
【数6】
【0164】
式を簡易化するため、チャネル8が穴の形状を有すると見なす。一般的な場合、出口スルー・ホール60、及び、キャビティ5を含む、流体抵抗へのすべての寄与を検討する。圧力の正の勾配に対して、流体は、それゆえ、チャネル8(ここでは、穴)、バルブ6、流体チャネルに組み込まれているキャビティ5、及び、最終的には、出口スルー・ホール60(同様に、穴の形状を有する)を経て、流れる。パラメータα
iとβ
iは次の式となる:
【数8】
【0165】
負の圧力勾配に対して、即ち、流体が、出口スルー・ホール60、バルブ6までのキャビティ5(チャネル)、及び、最終的には、チャネル8(穴)を経て流れる時、パラメータαとβは次の式となる:
【数9】
【0166】
出口での流体抵抗Rf
out (例えば、注入ライン)を、同様に検討する。その場合、所定の圧力勾配ΔPに対して、流量Qを、既に示したように推定する。
Rf
outによる、別の圧力降下ΔP
out dは、この時:
ΔP
out=Rf
outQ
【0167】
流量Qを得るのに必要な、効果的圧力勾配は、それゆえ:
ΔP
eff=ΔP+ΔP
out
【0168】
関数hi(P) は、圧力の下、膜の偏向に対するFEMモデルを使用して、推定される。
【0169】
図9a(複数膜の設計)に表されている、実施態様の詳細な記述がここに提供される。ギャップは、膜の巾の0.4倍より大きくないと仮定する。その構成において、接触までの偏向は、圧力と共に、線形である。
デバイスの圧力特性に対しての流量推定のため、分析モデルが使用される。
圧力の下の膜偏向の式を簡易化するため、発明者は、円形の膜と円形の穴から作られている、ピラー・プレートと膜プレートを有する、デバイスを設計する。
【0170】
流れは、穴と、ピラーと膜の間の開口部部とを含む、一連の流体抵抗を、単純に使用して、モデル化することができる。
【0171】
圧力Pでの、膜中心iとピラーiとの間の距離hi(P)(バルブiの開口部高さ)は:
【数10】
ここで
【数11】
【0172】
P<P
contact iの場合、ここでP
contact iは、ピラーiに対する膜iの接触圧力、h(P
0)は、初期ギャップ高さ(=凹部高さ)、Dはプレート定数、r
mi は膜iの半径、t
m は膜厚さ、及び、νは膜材料のポアソン比である。
P>P
contact i, の場合に対しては、
h
i(P)=0
【0173】
4枚の膜のシリコン・レギュレータのための、4ml/日での流れ調節
フローレギュレータは、疼痛管理のために、使用することができる。より小さな流量が予期され、通常は、時間当たり1ml以下が予期される。摂取過剰を避けるため、デバイスは、高圧では閉止弁でなければならない。
【0174】
4枚の膜と4つのチャネルを有するシリコン・デバイスが、以下のシミュレーションのために使用された。機構130と131が付いていない、かかるバルブが、
図10に示されている。
図2a、又は、2b、又は、2cに表されている実施態様に従って、上記膜の下に、やはり、数個のチャネルと数個のピラーを備えた単一の膜を使用している、デバイスを、同様に得ることができる。すべての場合、膜の枚数、又は、同一の膜の下のピラーの数は、目標とする流量、及び、精度次第で変えられてもよい。
【0175】
デバイス・パラメータ:
⇒ シリコン膜
⇒ ヤング率 170GPa
⇒ ポアソン係数 0.262
⇒ 厚さ 50ミクロン
⇒ ギャップ 20ミクロン
【0176】
チャネル・パラメータ:
⇒ 深さ 2.5ミクロン
⇒ 巾 100ミクロン
【0177】
動的粘度は、37℃で、0.0007 Pa.s である。
【0178】
チャネル長さは、200と400mbarの間で、1日あたり、4mlの流量に合うように、調整された。表1は、デバイスの主要寸法をまとめている。
【0180】
図16は、流量と圧力との間の、シミュレーションした関係を示す。
【0181】
平らなチャネルに関する、流量精度に対しての主な誤差は、主として、深さの誤差による。シリコン・オン・インシュレータを使用して、チャネル深さに関して、1σで±0.05ミクロン(2.5ミクロンの深さに対して、±2%)の誤差を達成することができ、流量精度に対して、1σで±6%につながる。チャネルの横方向エッチングによる誤差は、およそ±0.33%(1σで100±0.33ミクロン)であり、無視することができる。
マイクロ・チャネルは、ここでは、流量精度に関して、1σで、±6%の誤差を示す。
【0182】
例えば、以下の仕様が、鎮痛薬送達のための、埋め込み可能なポンプ内に組み込まれる、本発明に従った、フローレギュレータに適用される:
a) 1ml/日の一定流量
b) 粘度に関しては、水に相当する液体
c) 温度=37℃
d) 圧力範囲=200から400mbar
【0183】
同一のデバイスを、
図1b、又は、13aに表されているように、ピラーの正面に穴を有する膜を使用して、作ることができる。2枚の同じ膜と20ミクロンのギャップを用いて、1日あたり4mlの流量に合うために、穴は、それぞれ、6.81um、3.3um、4.3um、及び、4.6umの直径を示す必要がある。穴の極めて小さい寸法は、穴の機械加工公差は、デバイスの流量精度を強く制限するので、この設計は、低流量には十分には適応していないことを示している。
【0184】
この例は、低流量の調節のために、小さな穴の代わりに、流れの制約を発生させるチャネル8、又は、18、又は、19を含む、本発明の実施態様の重要性(interest)を示す。
【0185】
以前は露出していたフローレギュレータを、以下を含む埋め込み可能なポンプ内に組み込むことができる:
・チタン・ハウジング
・薬物リザーバ
・薬物のための充填ポート
・カテーテル・ポート
・ボーラス注入のためのカテーテル・アクセス・ポート
・ポンプ駆動
・温度センサー
・フローレギュレータ
・フィルタ(例えば、0.22ミクロンの細孔径を有する細菌フィルタ)
・コントロール・バルブ
・バルブ、温度センサー、及び、圧力センサーに電力を供給するバッテリ
・圧力センサーと温度センサーに電力を供給する、ワイアレス・システム
・以下を指示するアラーム・システム
* 低バッテリ
* 薬物リザーバが空
* 圧力過剰、又は、圧力不足(調節される圧力の範囲外)
* 膜破れ
* 過熱
【0186】
本発明によるフローレギュレータは、特に、次の効果を提供する:
⇒ 圧力変化(登山、ダイビングなど)による、摂取過剰、及び、摂取不足のリスク低減
⇒ ガス・プロペラが使用されていないならば、爆発のリスクなし
⇒ 充填/再充填の処置中のリスク低減
⇒ ポンプ作動中、身体への衝撃の間、摂取過剰のリスクなし
【0187】
水頭症のためのフローレギュレータ
水頭症に専用のデバイスが、同様に、シリコン(170GPaのヤング率と0.262のポアソン比)とPMMA(3GPaのヤング率と0.35のポアソン比)にて設計された。
調節プロファイルが、15〜40mbarの間で、流量20ml/hを調節するように設定された。高流量によって、穴が開けられたピラーに連結されたチャネルの代わりに、可撓性膜内の穴の使用が可能となる。
【0188】
デバイスは、それゆえ、シリコン、又は、PMMAの、2枚のプレートから作られる:
⇒ それらの中央に1つの穴を有する、2枚の膜を有する膜プレート;1枚の膜は、膜の端近くに付加的穴を、同様に、有する。
⇒ 出口、及び、ピラーは、ボトム・プレート内に作られる。
【0189】
流体圧力は、膜の最上部の面に直接かかる。ピラーと膜は、ここで、双方の設計に対して同一の寸法を有する。
プラスチックデバイスに対して、これらの寸法は、同一のレギュレータ内部で可変であってよい。
灰色の矢印が、流れ方向を指示する。本発明の第7の実施態様に記載の後のデバイスのバルブが、
図13aに示されている。
【0190】
シリコン、及び、PMMAデバイスの重要な寸法が、表2と3に示されている。第3の穴は、膜の端部に位置し、一方、2つの他の膜の穴は、中央に位置する。
【0193】
PMMAデバイスの面は、シリコンの単一膜から作られた同様のデバイスの6分の1より小さい。
【0194】
流れ特性をシミュレーションし、シリコンとPMMAのデバイスに対して、グラフが、
図17と18に示されている。
【0195】
機械的、化学的、及び、生体適合性の要求にもよるが、SAN、COC、PCなどの、他のプラスチック材料を使用することができる。
【0196】
本発明は、いうまでもなく、上述の例、及び、関連する図面に制限されるものではない。例えば、バルブ、スルー・ホール、ピラー、及び、チャネルの数、及び、配分には、なんら限定はない。ピラー、応力・リミッタ機構、スルー・ホール、膜、及び、反結合性の層、又は、チャネルのためのパッドの形状は、前述の例に制限されるものではない。