特許第5727024号(P5727024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727024
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】照明付き化粧鏡セット
(51)【国際特許分類】
   A47G 1/02 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   A47G1/02 K
   A47G1/02 C
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-535777(P2013-535777)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2011072576
(87)【国際公開番号】WO2013046436
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 一文
(72)【発明者】
【氏名】井田 和長
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】中村 晴美
(72)【発明者】
【氏名】北村 明司
(72)【発明者】
【氏名】中村 毅
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】篠原 拓男
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−80009(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3147323(JP,U)
【文献】 特開2001−286373(JP,A)
【文献】 特開2008−18058(JP,A)
【文献】 実開昭64−27058(JP,U)
【文献】 特開2009−125114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡ユニットを備えた照明付き化粧鏡セットであって、
色調整可能な化粧対象者照明用の面光源と、
入力操作に応じて前記面光源の照明条件を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された前記照明条件に応じて前記面光源の色及び明るさを調整する調整部と、
スピーカと、
複数の楽曲音をデータとして備え、前記複数の楽曲音のうちから前記照明条件及び前記面光源による照明時間に応じて1の楽曲音を選択的に再生して前記スピーカから再生音として出力させる再生部と、を備えることを特徴とする照明付き化粧鏡セット。
【請求項2】
前記複数の楽曲音は前記照明条件毎に前記照明時間の長さに対応して予め分類されて保存され、
前記再生部は前記照明時間を計測し、前記複数の楽曲音のうちの前記照明条件に対応した楽曲音群から、計測した前記照明時間に対応した前記1の楽曲音を選択して再生することを特徴とする請求項1記載の照明付き化粧鏡セット。
【請求項3】
前記化粧対象者の化粧進行度を認識する認識部を備え、
前記再生部は、前記化粧進行度を前記認識部から前記照明時間に相当する情報として得て、前記複数の楽曲音のうちの前記照明条件に対応した楽曲音群から、前記認識部によって認識された前記化粧進行度に対応した前記1の楽曲音を選択して再生することを特徴とする請求項2記載の照明付き化粧鏡セット。
【請求項4】
前記設定部は予め定められた複数の照明条件のうちから前記入力操作に応じて1つの照明条件を選択して設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1記載の照明付き化粧鏡セット。
【請求項5】
前記鏡ユニットの側端部に前記鏡ユニットとの角度を調整自在に連結された側板を有し、
前記面光源及び前記スピーカは前記側板に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1記載の照明付き化粧鏡セット。
【請求項6】
鏡を備えた照明セットであって、
1つ以上の面光源と、
入力操作に応じて前記1つ以上の面光源の照明条件を設定するように構成された設定部と、
前記設定部によって設定された前記照明条件に応じて前記1つ以上の面光源を調整するように構成された調整部と、
前記1つ以上の面光源の前記照明条件に応じて複数の楽曲音から選択された1の楽曲音を選択的に再生するように構成された処理部と、
前記選択された1の楽曲音を再生音として出力するように構成された出力部と、
を有することを特徴とする照明セット。
【請求項7】
前記複数の楽曲音をデータとして保存するように構成された保存部を有し、
前記処理部は、前記保存部に保存された前記複数の楽曲音から前記1の楽曲音を選択するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の照明セット。
【請求項8】
前記複数の楽曲音は、前記照明条件及び照明時間の長さに対応して予め楽曲音群に分類されて保存され、
前記処理部は、前記照明時間を計測し、前記照明条件に対応した楽曲音群から前記1の楽曲音を選択し、当該選択された楽曲音を再生するように構成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の照明セット。
【請求項9】
前記鏡に映る対象像の化粧の進行度を認識する認識部を備え、
前記処理部は、前記進行度を前記認識部から前記照明時間に相当する情報として得て、前記照明条件に対応した楽曲音群から前記進行度に対応した前記1の楽曲音を選択し、当該選択された楽曲音を再生するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の照明セット。
【請求項10】
前記設定部は、予め定められた複数の照明条件のうちから前記入力操作に応じて前記1つ以上の面光源についての1の照明条件を選択するように構成されていることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1に記載の照明セット。
【請求項11】
前記鏡の1つ以上の側端部に配された1つ以上の側板を有し、
前記1つ以上の面光源の少なくとも1つは前記1つ以上の側板の少なくとも1つ上に配されていることを特徴とする請求項6に記載の照明セット。
【請求項12】
前記1つ以上の側板の少なくとも1つ上にスピーカが配されていることを特徴とする請求項11に記載の照明セット。
【請求項13】
前記1つ以上の側板の少なくとも1つを前記鏡の側端部に取り付け、前記鏡と前記側板との角度調整自在にするよう構成された蝶番機構を有することを特徴とする請求項11又は12に記載の照明セット。
【請求項14】
鏡を備えた照明セットであって、
1つ以上の面光源と、
入力操作に応じて前記1つ以上の面光源の照明条件を設定するように構成された設定部と、
前記設定部によって設定された前記照明条件に応じて前記1つ以上の面光源を調整するように構成された調整部と、
前記1つ以上の面光源の照明時間に応じて複数の楽曲音から選択された1の楽曲音を選択的に再生するように構成された処理部と、
前記選択された1の楽曲音を再生音として出力するように構成された出力部と、
を有することを特徴とする照明セット。
【請求項15】
前記複数の楽曲音をデータとして保存するように構成された保存部を有し、
前記処理部は、前記保存部に保存された前記複数の楽曲音から前記1の楽曲音を選択するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の照明セット。
【請求項16】
前記鏡に映る対象像の化粧の進行度を認識する認識部を備え、
前記処理部は、前記進行度を前記認識部から前記照明時間に相当する情報として得て、前記照明時間に対応した楽曲音群から前記進行度に対応した1の楽曲音を選択し、当該選択された楽曲音を再生するように構成されていることを特徴とする請求項14又は15に記載の照明セット。
【請求項17】
前記設定部は、予め定められた複数の照明条件のうちから前記入力操作に応じて前記1つ以上の面光源についての1の照明条件を選択するように構成されていることを特徴とする請求項14ないし16のいずれか1に記載の照明セット。
【請求項18】
前記鏡の1つ以上の側端部に配された1つ以上の側板を有し、
前記1つ以上の面光源の少なくとも1つは前記1つ以上の側板の少なくとも1つ上に配されていることを特徴とする請求項14ないし17のいずれか1に記載の照明セット。
【請求項19】
前記1つ以上の側板の少なくとも1つの上にスピーカが配されていることを特徴とする請求項18に記載の照明セット。
【請求項20】
前記1つ以上の側板の少なくとも1つを前記鏡の側端部に取り付け、前記鏡と前記側板との角度調整自在にするよう構成された蝶番機構を有することを特徴とする請求項18又は19に記載の照明セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡ユニットと共に照明用の光源を有する照明付き化粧鏡セットに関する。
【背景技術】
【0002】
モデルや女優の化粧(整髪を含む)の際には化粧の具合を鏡に明確に映し出すために照明が必要とされ、そのような照明用として複数の光源を並べたハリウッドライトと称するものが知られている。また、化粧鏡の両側にハリウッドライトを備えた照明付き化粧鏡セットがメークアップケースとして商品化されている。ハリウッドライトにおいては光源としては通常、点光源の白熱電球が用いられている。
【0003】
更に、照明特性を調整可能な照明装置と化粧鏡とを備えた照明付き化粧鏡セット(特許文献1)が公知である。特許文献1の照明付き化粧鏡セットにおいては、ユーザによって選択されたシーンにおける照明光の照明特性のデータを、記憶部に予め記憶された想定シーン照明データベースから取得し、照明装置に対してその取得した照明特性で照明する制御信号を供給することより照明装置ではその制御信号に応じた照明が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−125114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の照明付き化粧鏡セットにおいては、上記したように選択されたシーンに応じて最適な照明条件を設定することはできる。しかしながら、化粧鏡セットの鏡面に像として映し出される化粧対象者の気分は考慮されていなかった。そのため、化粧対象者の化粧に対する満足度が十分に得られず、場合によっては、化粧時間が大幅に長くなることが生じる。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記の欠点が一例として挙げられ、化粧対象者が化粧を気分良く受けることができる照明付き化粧鏡セットを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明の照明付き化粧鏡セットは、鏡ユニットを備えた照明付き化粧鏡セットであって、色調整可能な化粧対象者照明用の面光源と、入力操作に応じて前記面光源の照明条件を設定する設定部と、前記設定部によって設定された前記照明条件に応じて前記面光源の色及び明るさを調整する調整部と、スピーカと、複数の楽曲音をデータとして備え、前記複数の楽曲音のうちから前記照明条件及び前記面光源による照明時間に応じて1の楽曲音を選択的に再生して前記スピーカから再生音として出力させる再生部と、を備えることを特徴としている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
請求項1に係る発明の照明付き化粧鏡セットによれば、複数の楽曲音をデータとして備え、その複数の楽曲音のうちから照明条件及び面光源による照明時間に応じて1の楽曲音を選択的に再生してスピーカから再生音として出力させる再生部が備えられているので、化粧対象者が化粧を受ける際に化粧が進むに従って楽曲音によって化粧対象者の気分を高揚させたり、或いはリラックスさせたりすることができる。すなわち、化粧対象者が化粧を気分良く受けることができる。よって、化粧対象者が化粧に対する満足度をより得ることができ、それにより化粧時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例として照明付き化粧鏡セットを示す外観図である。
図2図1の化粧鏡セット中の蝶番機構を示す図である。
図3図1の化粧鏡セットの折りたたみ状態を示す外観図である。
図4図1の化粧鏡セット中の有機ELパネルの構造を示す断面図である。
図5図1の化粧鏡セットの駆動装置の構成を示すブロック図である。
図6図1の化粧鏡セット中の操作部の各押しボタンを示す図である。
図7図5の駆動装置中の再生処理部の動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の他の実施例として照明付き化粧鏡セットの駆動装置の構成を示すブロック図である。
図9図8の駆動装置中のカメラを含む照明付き化粧鏡セットを示す外観図である。
図10図1の化粧鏡セットにおいて角度調整可能な有機ELパネルを示す外観図である。
図11】単一の面光源の発光面を複数の領域に分けて領域毎に個別に駆動する照明付き化粧鏡セットを示す外観図である。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は請求項1に係る発明の実施例である照明付きの化粧鏡セットを示している。この化粧鏡セットは、鏡ユニット11、左右の側板12,13、及び支持台14を備えている。鏡ユニット11は長方形の鏡21とその鏡21の裏面に張り合わされた平板22とを有する。平板22は樹脂、木、或いは金属からなり、鏡21のサイズと同一サイズを有しても良いし、若干大きくても良い。左側の側板12は鏡ユニット11の左側端部に角度調整自在に連結され、右側の側板13は鏡ユニット11の右側端部に角度調整自在に連結されている。鏡ユニット11と側板12,13との間には図2に示すように蝶番機構15が形成されており、その蝶番機構15によって上記の角度調整自在な連結が可能となっている。その角度調整範囲は鏡ユニット11と側板12,13とがほぼ水平となる角度から、鏡ユニット11に対して側板12,13を折りたたんだ状態における角度までを含む。
【0012】
側板12,13各々の垂直方向(上下方向)の長さは鏡ユニット11の垂直方向の長さと同一であるが、水平方向(左右方向)の長さは鏡ユニット11の水平方向の長さの1/2以下である。
【0013】
側板12,13各々の表面には化粧対象者照明用として4つの有機EL(Electro Luminescence)パネル(面光源)25a〜25d,26a〜26dが垂直方向に並べて接着によって取り付けられている。有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dは同一のものであり、例えば、13cm×13cmの正方形状をしている。また、側板12,13の有機ELパネル25d,26dの下方には平面型のスピーカ16,17が各々取り付けられている。
【0014】
支持台14は台座14aと支柱14bとからなり、楕円平板の台座14aに対して垂直に支柱14bは連結している。支持台14は側板12,13を含む鏡ユニット11を支持するために支柱14bが鏡ユニット11に取り外し自在に連結している。例えば、鏡ユニット11の低部には連結孔(図示せず)が形成され、支柱14bの先端部がその連結孔に差し込まれることにより支持台14と鏡ユニット11とが結合するようになっている。
【0015】
上記した構成を有する図1の化粧鏡セットにおいては、側板12,13各々を鏡ユニット11との連結部分(上記の蝶番機構15)を回転軸としてメークアップアーチスト等の利用者(ユーザ)が操作することにより側板12,13各々と鏡ユニット11との角度を調整することができる。すなわち、鏡21の鏡面に映し出されるモデル等の化粧対象者の像を側板12,13各々の有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dによる発光によって好適に照らし出すように側板12,13各々と鏡ユニット11との角度を調整することができる。
【0016】
また、側板12,13各々は有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dを有する状態で図3に示すように折りたたむことができる。この折りたたんだ状態で側板12,13同士が接触することはなく、また、有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dの厚みが薄いために有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dが鏡21に圧接することもない。
【0017】
更に、支持台14を鏡ユニット11から取り外して支持台14と鏡ユニット11及び側板12,13部分とを分離し、上記のように鏡ユニット11に対して側板12,13を折りたたんだ状態にすることにより化粧鏡セットの搬送が容易となる。
【0018】
次に、図1の化粧鏡セットの有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々及びその駆動系について説明する。
【0019】
有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々はフルカラーの照明用発光パネルであり、図4に示すように、ガラス基板51上に発光色がR(赤)G(緑)B(青)である有機EL素子50R,50G,50Bがストライプ状に形成されている。なお、図4はストライプの直線に直交する方向の断面を示している。
【0020】
それらの有機EL素子50R,50G,50B各々は陽極52、ホール注入層53、ホール輸送層54、RGB発光層55R,55G,55B、電子輸送層56、そして陰極57の順に積層された構造を有し、有機EL素子50R,50G,50B間はバンク58で仕切られている。また、各有機EL素子50R,50G,50Bの陽極52上にはバスライン59が形成されており、バスライン59によって陽極52への給電が行われるようになっている。陽極52は例えば、スパッタ法により膜厚70nmのITO膜からなる。ホール注入層53はCuPcからなり、厚さ20nmである。ホール輸送層54はNPBからなり、厚さ20nmである。R(赤)発光層55RはCPBをホスト材料とし、Ir(phq)2tpyをドーパントとしており、G(緑)発光層55GはCPBをホスト材料とし、Ir(ppy)3をドーパントとしており、B(青)発光層55BはPANDをホスト材料とし、DPAVBiをドーパントとしている。RGB発光層55R,55G,55Bの厚さは40nmである。電子輸送層56はCsxMoOxをドープしたNBphenからなり、厚さ30nmである。陰極57は膜厚70〜100nmのAl膜からなる。なお、この有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dの内部構造は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0021】
図1の化粧鏡セットは有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dを駆動する駆動装置を備えている。駆動装置は図5に示すように、AC−DCコンバータ61、制御部62、メモリ63及び操作部64を有している。AC−DCコンバータ61は交流電圧を直流電圧に変換して出力する。AC−DCコンバータ61の出力電圧は直流電源として有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々及び制御部62に供給される。制御部62は、AC−DCコンバータ61の出力電圧を電源として動作し、例えば、CPUで構成され、有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々の上記のRGBの有機EL素子50R,50G,50B毎の駆動電流を制御することにより有機ELパネル毎に発光(発光色及び輝度)を個別に制御する。制御部62は面光源の色及び輝度(明るさ)を調整する調整部を構成する。
【0022】
制御部62には更に、メモリ63、及び操作部64が接続されている。メモリ63には制御部62の制御で必要なプログラムやデータが保存される。操作部64は有線又は無線のリモコンとして備えられている。
【0023】
操作部64には、図6に示すように、電源ボタン70とシーンボタン75a〜75eとが設けられている。ユーザによる操作部64の電源ボタン70の操作によって電源が投入された後においては、シーンボタン75a〜75eのいずれか1の操作が可能となる。シーンボタン75a〜75eは入力操作に応じて面光源の照明条件を設定する設定部を構成する。
【0024】
メモリ63には複数のシーン各々に対応した照明条件である色及び輝度がデータとして予め記憶されている。シーンとしては例えば、オフィス、ホテルラウンジ、ディナーパーティ、ファションショー、及びアウトドアがある。また、有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々の最適な発光色及び輝度に対応してRGB各々の駆動電流値がデータとしてメモリ63に記憶されている。上記のシーンボタン75a〜75eはメモリ63にデータとして記憶された複数のシーンの数分だけ備えられている。
【0025】
駆動装置は更に、楽曲音データ保存部66、再生処理部67、及びアンプ68からなる再生部69を備えている。楽曲音データ保存部66は例えば、ハードディスク装置又は不揮発性の半導体メモリからなる。楽曲音データ保存部66には複数曲分の楽曲音データ(例えば、MP3形式のデータ)が上記のシーン毎(すなわち、照明条件毎)に分類分けされた状態で保存されている。また、シーン毎に分類分けされた楽曲音データ群各々は更に、照明時間の長さによって分類分けされている。この実施例では曲調に基づいて第1照明時間楽曲群〜第3照明時間楽曲群の各楽曲群に分類分けされている。第1照明時間楽曲群はゆっくりしたテンポの楽曲からなり、第2照明時間楽曲群は普通のテンポの楽曲からなり、第3照明時間楽曲群はアップテンポの楽曲からなる。しかしながら、曲調としてヒーリングミュージック、ポップス、ロック等の曲のカテゴリ毎に楽曲音データを分類分けしても良い。
【0026】
再生処理部67は制御部62から楽曲再生指令に応じて後述するように楽曲音データ保存部66から楽曲音データを選択的に読み出し、読み出した楽曲音データを復号処理して楽曲音を表すオーディオ信号を生成してそれをアンプ68に供給する。
【0027】
アンプ68はオーディオ信号に応じてスピーカ16,17を駆動してスピーカ16,17から楽曲音を出力させる。
【0028】
このような構成の駆動装置においては、ユーザによってシーンボタン75a〜75eのうちの例えば、シーンボタン75aが押圧操作されると、制御部62はシーンボタン75aに対応したシーンのデータ(有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々のRGB各々の数値)をメモリ63から読み出す。制御部62は読み出したデータに応じて有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々の赤緑及び青の発光色の各有機EL素子50R,50G,50Bの駆動電流を供給する。この結果、シーンボタン75aを操作すると、シーンボタン75aに対応したシーンに好適な照明状態を作り出すことができる。また、制御部62はシーンボタン75aの操作に応じてシーンボタン75aに対応したシーンの情報を含む楽曲再生指令を再生処理部67に供給する。
【0029】
再生処理部67は楽曲再生指令を受け取ると、図7に示すように、時間カウンタ(図示せず)によって時間計測を開始する(ステップS1)。ステップS1はシーンボタン75aの操作によって開始された有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dによる照明時間を計測するために行われる。ステップS1の実行後、制御部62から供給された楽曲再生指令に情報として含まれたシーンに対応して楽曲音データ群のうちから第1照明時間楽曲群に属する楽曲音データを楽曲音データ保存部66から選択的に読み出す(ステップS2)。そして、その読み出した選択した楽曲音データを復号処理して楽曲音を表すオーディオ信号を生成してそれをアンプ68に供給する(ステップS3)。そのオーディオ信号はアンプ68によって増幅された後、スピーカ16,17に供給される。スピーカ16,17からは読み出した選択した楽曲音データについての再生音が出力される。この再生音はシーンボタン75aに対応したシーンにマッチした楽曲であって更にゆっくりしたテンポの楽曲の音である。
【0030】
ステップS3の実行後、再生処理部67は上記の時間カウンタによる計測時間が第1経過時間T1(例えば、10分)に達したか否かを判別する(ステップS4)。計測時間が第1経過時間T1に達しないならば、ステップS3のオーディオ信号の生成を継続する。なお、ステップS3の実行によって1つの楽曲の楽曲音データについてのオーディオ信号の生成が終了したならば、ステップS2に戻って同一のシーンに割り当てられた楽曲音データ群のうちから第1照明時間楽曲群に属する他の楽曲音データを楽曲音データ保存部66から選択的に読み出してその楽曲音データを復号処理してオーディオ信号を生成しても良い。
【0031】
ステップS4の判別の結果、計測時間が第1経過時間T1に達したならば、同一のシーンに割り当てられた楽曲音データ群のうちから第2照明時間楽曲群の楽曲音データを楽曲音データ保存部66から選択的に読み出す(ステップS5)。読み出した選択した楽曲音データを復号処理して楽曲音を表すオーディオ信号を生成してそれをアンプ68に供給する(ステップS6)。スピーカ16,17からは読み出した選択した楽曲音データについての再生音が出力される。この再生音はシーンボタン75aに対応したシーンにマッチした楽曲であって更に普通のテンポの楽曲の音である。
【0032】
ステップS6の実行後、計測時間が第2経過時間T2(T2>T1であり、例えば、20分)に達したか否かを判別する(ステップS7)。計測時間が第2経過時間T2に達しないならば、ステップS6のオーディオ信号の生成を継続する。計測時間が第2経過時間T2に達しない場合おいてもステップS6の実行によって1つの楽曲の楽曲音データについてのオーディオ信号の生成が終了したならば、ステップS5に戻って同一のシーンに割り当てられた楽曲音データ群のうちから第2照明時間楽曲群に属する他の楽曲音データを楽曲音データ保存部66から選択的に読み出してその楽曲音データを復号処理してオーディオ信号を生成しても良い。
【0033】
ステップS7の判別の結果、計測時間が第2経過時間T2に達したならば、同一のシーンに割り当てられた楽曲音データ群のうちから第3照明時間楽曲群に属する楽曲音データを楽曲音データ保存部66から選択的に読み出す(ステップS8)。読み出した選択した楽曲音データを復号処理して楽曲音を表すオーディオ信号を生成してそれをアンプ68に供給する(ステップS9)。スピーカ16,17からは読み出した選択した楽曲音データについての再生音が出力される。この再生音はシーンボタン75aに対応したシーンにマッチした楽曲であって更にアップテンポの楽曲の音である。
【0034】
ステップS9の実行によって1つの楽曲の楽曲音データについてのオーディオ信号の生成が終了したならば、ステップS8に戻って同一のシーンに割り当てられた楽曲音データ群のうちから第3照明時間楽曲群に属する他の楽曲音データを楽曲音データ保存部66から選択的に読み出してその楽曲音データを復号処理してオーディオ信号を生成しても良い。
【0035】
このように、シーンボタン75aに対応したシーンに好適な照明状態において、化粧対象者に対して化粧が施されている間には、スピーカ16,17から楽曲音が出力され、更に、化粧が進行して行くに従って再生される楽曲音の例えば、テンポは速くなる。よって、化粧の進行に従って化粧対象者の気分を盛り上げることができ、これにより化粧対象者が化粧を気分良く受けることができる。
【0036】
なお、上記した実施例では、ユーザによってシーンボタン75a〜75eのうちのシーンボタン75aが押圧操作された場合の動作について説明したが、シーンボタン75aを除くシーンボタン75b〜75eのうちのいずれかが押圧操作された場合の動作は、シーンボタン75aが押圧操作された場合の動作と同様である。例えば、シーンボタン75cが押圧操作されたならば、シーンボタン75cに対応したシーンに好適な照明状態が有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々の発光によって形成され、同時に化粧対象者に対して化粧が施されている間には、スピーカ16,17からはシーンボタン75cに対応したシーンにマッチした楽曲音が出力され、更に、化粧が進行して行くほど再生される楽曲音の例えば、テンポが速くなる。
【0037】
図8は本発明の他の実施例として図1の化粧鏡セットの駆動装置の構成を示している。図8に示した駆動装置においては、カメラ65が制御部62に接続されている。その他の構成は図5に示した駆動装置と同一であり、図8においては同一符号を用いて示している。
【0038】
カメラ65は図9に示すように鏡ユニット11の平板22の上部に取り付けられている。しかしながら、左右の側板12,13、及び上方の上板14のいずれかに設けられても良いし、ユーザが手に持って操作しても良い。カメラ65は本化粧鏡セットにおける化粧対象者の顔を例えば、上記の操作部64の電源ボタン70が押圧操作されると直後に撮影してその撮影画像の映像信号を制御部62に供給する。
【0039】
制御部62は映像信号が供給されると、その映像信号が示す画像から化粧対象者の顔の化粧進行度を認識する(認識部)。化粧進行度は例えば、目の輪郭の輝度とその周りの肌の輝度との差に応じて判断して得ることができる。制御部62は認識結果の化粧進行度を情報として再生処理部67に供給する。この実施例では化粧進行度は第1〜第3化粧進行度からなり、化粧が進行するに従って第1化粧進行度、第2化粧進行度、第3化粧進行度の順に化粧進行度が認識されるとする。
【0040】
再生処理部67は制御部62から情報として供給された化粧進行度を照明時間に相当する情報とし、1つのシーンに割り当てられた楽曲音データ群のうちから化粧進行度に対応した照明時間楽曲群に属する楽曲音データを楽曲音データ保存部66から選択的に読み出してその楽曲音データを復号処理してオーディオ信号を生成する。第1化粧進行度では第1照明時間楽曲群に属する楽曲音データが選択され、第2化粧進行度では第2照明時間楽曲群に属する楽曲音データが選択され、第3化粧進行度は第3照明時間楽曲群に属する楽曲音データが選択される。
【0041】
よって、化粧対象者の化粧進行度を認識してその情報を楽曲音データの選択に利用することにより、化粧の進行に従って化粧対象者の気分を盛り上げることができ、これにより化粧対象者が化粧を気分良く受けることができる。
【0042】
上記した実施例の化粧鏡セットにおいては、図10に示すように、有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dが側板12,13に対する角度を調整可能されても良い。有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々においては、鏡ユニット11側の辺を回転軸として有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dの角度調整が可能である。例えば、側板12,13と有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dとを蝶番機構(図示せず)を介して連結することにより有機ELパネル25a〜25d,26a〜26d各々の鏡ユニット11側の辺を回転軸とすることができる。また、図10に示したように、側板12,13には有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dと対応する位置に有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dが入り込める大きさの開口部31a〜31d,32a〜32dを形成しても良い。このように有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dを側板12,13に対して角度調整可能にすることにより、有機ELパネル毎に任意の角度に調整することができるので、より適切な照明状態を作り出すことができる。
【0043】
なお、上記した実施例においては、ユーザによる操作部64の入力操作によって予め定められた複数の照明条件からいずれか1の照明条件を選択しているが、ユーザが操作部64における入力操作によって有機ELパネル毎のRGBの数値又は発光色及び輝度を指定することにより照明条件を設定し、その設定した照明条件に従って有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dを駆動しても良い。
【0044】
図11は単一の面光源の発光面を複数の領域に分けて領域毎に個別に駆動する照明付き化粧鏡セットを示している。例えば、図1に示した実施例においては、側板12,13各々には複数の有機ELパネル25a〜25d,26a〜26dが取り付けられているが、図11に示すように側板12,13に単一の長手の有機ELパネル25,26を取り付けても良い。この図11の照明付き化粧鏡セットにおいては、有機ELパネル25,26各々の発光面を図11に破線で示すように複数の領域、例えば、4つの領域28a〜28d,29a〜29dに領域分けし、上記した実施例のパネル毎の駆動と同様に、操作部におけるユーザによる入力操作に応じて制御部が領域毎に駆動しかつ発光色及び輝度を調整することが行われる。
【符号の説明】
【0045】
11 鏡ユニット
12,13 側板
14 支持台
15 蝶番機構
16,17 スピーカ
25,26,25a〜25d,26a〜26d 有機ELパネル
50R,50G,50B 有機EL素子
69 再生部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11