特許第5727046号(P5727046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5727046サブフレームを所定の送信方向のために確保した、複数のキャリア上におけるTDDデータ送信
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727046
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】サブフレームを所定の送信方向のために確保した、複数のキャリア上におけるTDDデータ送信
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20150514BHJP
【FI】
   H04W28/06 110
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-552854(P2013-552854)
(86)(22)【出願日】2011年2月11日
(65)【公表番号】特表2014-505442(P2014-505442A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】EP2011052038
(87)【国際公開番号】WO2012107102
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2013年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】513311642
【氏名又は名称】ノキア ソリューションズ アンド ネットワークス オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ティイロラ エサ タパニ
(72)【発明者】
【氏名】ホーリ カリ ユハニ
(72)【発明者】
【氏名】パユコスキ カリ ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】レーゼル ザビーネ
【審査官】 重田 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/101939(WO,A2)
【文献】 特開2010−062875(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/019012(WO,A2)
【文献】 国際公開第2010/138921(WO,A2)
【文献】 国際公開第2010/065430(WO,A2)
【文献】 国際公開第2010/051695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備えた装置であって、前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムが、前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記装置に少なくとも、
時分割二重、及びサブフレームを含むフレームを利用する、1又はそれ以上のキャリア上のデータの送受信を、異なる装置によって利用される複数のキャリアが互いに同期し、各フレームの所定数のサブフレームが所定の送信方向のために確保されるように制御させ、前記サブフレームの残りを、ダウンリンク方向又はアップリンク方向のいずれかに動的かつキャリア限定的に割り当てさせるように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記所定数のサブフレームの一部がアップリンク送信のために確保され、一部がダウンリンク送信のために確保される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のキャリアが、1又はそれ以上のネットワーク通信事業者によって利用される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のキャリアが、時分割二重通信のために確保された同じ帯域上に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
所定の送信方向のために確保された前記所定数のサブフレームで重要な制御シグナリングが送信され、該重要な制御シグナリングが、システム情報、同期チャネル、アップリンク/ダウンリンクスケジューリンググラント、ランダムアクセスチャネル、チャネル状態情報、サウンディング基準信号、及びハイブリッド自動再送要求確認のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、前記サブフレームの残りを利用した前記送受信を制御する際に、前記送信に所定の制限を適用するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、前記所定数のサブフレームを利用した前記送受信を制御する際に、最大送信電力、電力スペクトル密度を制限するように構成される、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記サブフレームの残りを1つの送信方向に割り当てるようにさらに構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記所定数の確保されたサブフレームのうちの前記サブフレームの使用を逆の送信方向に制限するようにさらに構成される、
ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記所の送信方向の周波数分割二重キャリアを用いて前記サブフレームの残りが1つの送信方向に割り当てられるように前記キャリアを集約するようさらに構成される、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、前記サブフレームの残りのうちの少なくとも1つを干渉測定に利用し、及び/又は前記サブフレームの残りのうちの少なくとも1つを干渉測定に利用するようにユーザ装置に命令するよう構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、干渉を受けているサブフレームを利用する前記送受信で使用される帯域幅を制限するように構成される、
ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
時分割二重、及びサブフレームを含むフレームを利用する、1又はそれ以上のキャリア上のデータの送受信を、異なる装置によって利用される複数のキャリアが互いに同期し、各フレームの所定数のサブフレームが所定の送信方向のために確保されるように制御する手段と、
前記サブフレームの残りを、ダウンリンク方向又はアップリンク方向のいずれかに動的かつキャリア限定的に割り当てる手段と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項14】
時分割二重、及びサブフレームを含むフレームを利用する、1又はそれ以上のキャリア上のデータの送受信を、異なる装置によって利用される複数のキャリアが互いに同期し、各フレームの所定数のサブフレームが所定の送信方向のために確保されるように制御するステップと、
前記サブフレームの残りを、ダウンリンク方向又はアップリンク方向のいずれかに動的かつキャリア限定的に割り当てるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
配信媒体上に具体化されたコンピュータプログラムであって、プログラム命令を含み、該プログラム命令は、電子装置内にロードされた時に、前記装置に、
時分割二重、及びサブフレームを含むフレームを利用する、1又はそれ以上のキャリア上のデータの送受信を、異なる装置によって利用される複数のキャリアが互いに同期し、各フレームの所定数のサブフレームが所定の送信方向のために確保されるように制御させ、前記サブフレームの残りを、ダウンリンク方向又はアップリンク方向のいずれかに動的かつキャリア限定的に割り当てさせる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態は、一般に無線通信ネットワークに関し、より詳細には、通信ネットワークにおける装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の背景技術についての記述は、本発明に先行する関連技術には知られていない、本発明により提供される開示とともに、見識、発見、理解又は開示、或いは関連性を含むことができる。本発明のこのような寄与は、以下で具体的に指摘しているものもあれば、文脈から明らかになるものもある。
【0003】
無線通信システムは、常に開発段階にある。開発中のシステムは、高速データレートをコスト効率良くサポートし、リソースを効率的に利用するものである。開発中の1つの通信システムに、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)ロングタームエボリューション(LTE)がある。ロングタームエボリューションによる無線アクセスシステムの改良版は、LTE−Advanced(LTE−A)と呼ばれる。LTE及びLTE−Aは、高速データなどの様々なサービスをサポートするように設計されている。
【0004】
LTEベースのシステムなどの新たな無線通信システムの中には、時分割二重(TDD)の利用を導入しているものがある。LTEベースのシステムは、TDD及び周波数分割二重(FDD)の両方を採用することができる。TDDでは、データの送信及び受信において同じキャリア周波数を使用するのに対し、FDDでは、異なる送信方向で周波数が分離される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、通信システムは、当局により所与の周波数帯域を割り当てられる。LTEベースのシステムの場合、FDDによる使用とTDDによる使用に異なる周波数帯域が割り当てられる。各周波数帯域は、複数のキャリアを含む。隣接するキャリア上のトラフィックは、干渉を引き起こすことがある。特に、LTEベースのシステムでは、同じ周波数帯域上のキャリアを複数のネットワーク通信事業者に割り当てることができる。柔軟性を持たせるために、LTE TDDでは、送信と受信とで異なるフレーム構成を利用することができる。異なるフレーム構成では、アップリンクサブフレームの数とダウンリンクサブフレームの数が異なることができる。隣接する周波数キャリア上の異なる通信事業者が異なるフレーム構成を選択した場合、隣接するキャリア上のアップリンク送信及びダウンリンク送信が、深刻な干渉を引き起こすことがある。この干渉に対処するには、広いガード帯域が必要となり得る。ガード帯域を使用すると、スペクトル効率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、本発明のいくつかの態様の基本的な理解をもたらすために、本発明の簡略化した概要を示す。この概要は、本発明の広範な概説ではない。本発明の主要/重要な要素を特定すること、又は本発明の範囲を示すことを目的とするものでもない。後述する詳細な説明の前置きとして本発明のいくつかの概念を簡略化した形で示すことのみを目的とする。
【0007】
本発明の態様によれば、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備えた装置が提供され、少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムは、少なくとも1つのプロセッサにより、装置に少なくとも、時分割二重、及びサブフレームを含むフレームを利用する、1又はそれ以上のキャリア上のデータの送受信を、異なる装置によって利用される複数のキャリアが互いに同期し、各フレームの所定数のサブフレームが所定の送信方向のために確保されるように制御させ、サブフレームの残りに、特にダウンリンク方向又はアップリンク方向のいずれかのキャリアを割り当てさせるように構成される。
【0008】
本発明の別の態様によれば、時分割二重、及びサブフレームを含むフレームを利用する、1又はそれ以上のキャリア上のデータの送受信を、異なる装置によって利用される複数のキャリアが互いに同期し、各フレームの所定数のサブフレームが所定の送信方向のために確保されるように制御する手段と、サブフレームの残りに、特にダウンリンク方向又はアップリンク方向のいずれかのキャリアを割り当てる手段とを備えた装置が提供される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、時分割二重、及びサブフレームを含むフレームを利用する、1又はそれ以上のキャリア上のデータの送受信を、異なる装置によって利用される複数のキャリアが互いに同期し、各フレームの所定数のサブフレームが所定の送信方向のために確保されるように制御するステップと、サブフレームの残りに、特にダウンリンク方向又はアップリンク方向のいずれかのキャリアを割り当てるステップとを含む方法が提供される。
【0010】
本発明の態様によれば、配信媒体上に具体化されたコンピュータプログラムが提供され、このコンピュータプログラムは、プログラム命令を含み、このプログラム命令は、電子装置内にロードされた時に、装置に、時分割二重、及びサブフレームを含むフレームを利用する、1又はそれ以上のキャリア上のデータの送受信を、異なる装置によって利用される複数のキャリアが互いに同期し、各フレームの所定数のサブフレームが所定の送信方向のために確保されるように制御させ、サブフレームの残りに、特にダウンリンク方向又はアップリンク方向のいずれかのキャリアを割り当てさせる。
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態をほんの一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】無線システムの例を示す図である。
図2】LTE TDDフレーム構成の例を示す図である。
図3A】TDDシステムにおけるアップリンクからダウンリンクへの干渉の単純化した例を示す図である。
図3B】TDDシステムにおけるダウンリンクからアップリンクへの干渉の単純化した例を示す図である。
図4】TDD通信のために確保された周波数帯域400の例を示す図である。
図5】柔軟なLTE TDDフレーム構成の例を示す図である。
図6A】TDDフレーム構成の例である。
図6B】TDDフレーム構成の例である。
図7】eノードBの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の全てではなくいくつかを示す添付図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態をより完全に説明する。実際には、本発明は多くの異なる形で具体化することができ、本明細書に示す実施形態に限定されると解釈すべきではなく、むしろこれらの実施形態は、本開示が、適用可能な法的要件を満たすように提供するものである。本明細書では、いくつかの箇所で「ある(an)」、「1つの(one)」、又は「いくつかの(some)」実施形態について言及する場合があるが、これは必ずしも、このような各言及が同じ実施形態に対するものであること、或いはその特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味するものではない。異なる実施形態の単一の特徴を組み合わせて他の実施形態を実現することもできる。
【0014】
本発明の実施形態は、あらゆるネットワーク要素、ノード、基地局、リレーノード、サーバ、対応する構成要素に、及び/又はあらゆる通信システムに、或いは必要な機能をサポートする異なる通信システムのあらゆる組み合わせに適用可能である。通信システムは無線通信システムであってもよく、又は固定ネットワークと無線ネットワークの両方を利用する通信システムであってもよい。特に無線通信では、使用するプロトコル、並びに通信システム、サーバ及びユーザ端末の仕様が急速に発展を遂げている。このような発展により、実施形態のさらなる変更が必要となる場合がある。従って、全ての単語及び表現は広く解釈すべきであり、これらは実施形態を限定なく例示することを意図するものである。
【0015】
図1を参照しながら、本発明の実施形態を適用できる無線システムの例について検討する。この例では、無線システムがLTEネットワーク要素に基づく。しかしながら、これらの例で説明する発明は、LTE無線システムに限定されるものではなく、他の無線システムに実装することもできる。
【0016】
通信システムの全体的なアーキテクチャを図1に示す。図1は、一部の要素及び機能エンティティのみを示す簡略化したシステムアーキテクチャであるが、これらは全て論理ユニットであり、その実装は図示のものと異なる場合がある。図1に示す接続は論理接続であり、実際の物理接続は異なる場合がある。当業者には、このシステムが他の機能及び構造を含むこともできることが明らかであろう。なお、グループ通信で又はグループ通信に使用される機能、構造、要素及びプロトコルは、実際の発明とは無関係であると理解されたい。
【0017】
従って、ここではこれらについてより詳細に説明する必要はない。図1の例示的な無線システムは、MME(モビリティ管理エンティティ)108及びSAE GW(SAEゲートウェイ)104といった要素を含む通信事業者のサービスコアを含む。この通信システムは、SAE GW104及びMME108以外のコアネットワーク要素を含むこともできると理解されたい。
【0018】
無線システムの、eノードB(拡張ノードB)100、102と呼ぶこともできる基地局は、無線リソース管理のための機能である無線ベアラ制御、無線アドミッション制御、接続モビリティ制御、動的リソース割り当て(スケジューリング)をホストすることができる。MME108は、eノードB100、102にページングメッセージを配信することに関与する。eノードBは、S1_UインターフェイスによってSAE GWに接続され、S1_MMEインターフェイスによってMMEに接続される。eノードBは、X2インターフェイスを使用して互いに通信することができる。SAE GW104は、例えば、このネットワークと、インターネット106などの通信ネットワークの他の部分との間のゲートウェイとして機能するように構成されたエンティティである。SAE GWは、サービングゲートウェイ(S−GW)及びパケットデータネットワークゲートウェイ(P−GW)という2つのゲートウェイを組み合わせたものとすることができる。
【0019】
図1には、eノードB100のサービス範囲内に位置するユーザ装置UE110を示している。ユーザ装置は、ポータブルコンピュータ装置を表す。このようなコンピュータ装置は、以下に限定されるわけではないが、携帯電話機、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ハンドセット、ラップトップコンピュータといった種類の装置を含む無線モバイル通信装置を含む。これらの装置は、バッテリ駆動式とすることができる。
【0020】
図1の状況例では、ユーザ装置110が、eノードB100との接続112を有している。接続112は双方向接続とすることができ、音声呼、又はインターネット110の閲覧などのデータサービスに関連する。
【0021】
図1には、簡略化した例しか示していない。実際には、ネットワークは、より多くの基地局を含むことができ、これらの基地局がより多くのセルを形成することができる。2又はそれ以上の通信事業者のネットワークが重複すること、セルのサイズ及び形態が図1に示すものと異なることなどもある。これらの実施形態は、一例として上述したネットワークに限定されるものではなく、当業者であれば、必要な特性を備えた他の通信ネットワークにもこの解決策を適用することができる。例えば、異なるネットワーク要素間の接続を、インターネットプロトコル(IP)接続によって実現することができる。
【0022】
図2に、LTE TDDのフレーム構成の例を示す。フレーム200の長さは10msであり、2つの5msの半フレーム202、204を含む。各半フレームは、1msの長さのサブフレームを5つ含む。これらのサブフレームは、ダウンリンク又はアップリンクのいずれかに割り当てられる。所与の数の異なるフレーム構成が定義される。これらの構成の各々では、所与の所定数のサブフレームがダウンリンク方向に割り当てられ、所与の所定数のサブフレームがアップリンク方向に割り当てられる。適切な構成可能性、及びTD−SCDMA(時分割同期符号分割多元接続)などの他の既存のTDDシステムとの互換性を保証するために、ダウンリンクサブフレームの後にアップリンクフレームが続く場合、スペシャルサブフレーム206が適用される。これらのスペシャルフレームは、無線フレーム内の所定の場所に位置する。このスペシャルサブフレームは、ダウンリンクパイロットタイムスロットDwPTS、ガード期間GP、及びアップリンクパイロットタイムスロットUpPTSを含む。DwPTSは、ダウンリンクデータ及び制御シグナリングのために使用され、ダウンリンクの同期及びセルの最初の探索に必要なシグナリングも含む。UpPTSは、サウンディング基準信号及びランダムアクセスチャネルのために使用することができる。
【0023】
図2のフレーム例は、(Dで示す)6つのダウンリンクフレーム、(Sで示す)スペシャルフレーム、及び(Uで示す)3つのアップリンクフレームを含む。フレームは、1つ又は2つのスペシャルフレームを含むことができる。現在のところ、ネットワークのeノードBは、それ自体がサブフレームのアップリンク/ダウンリンク割り当てを変更することはできない。唯一の方法は、フレーム構成を変更することである。
【0024】
図3Aに、TDDシステムにおけるアップリンクからダウンリンクへの干渉の単純化した例を示す。図3Aの状況例では、eノードB300がユーザ装置302に送信を行っている。同時に、別の通信事業者に属するユーザ装置304及び306が、これらの接続先であるeノードBに送信304A、306Aを行っている(これらのeノードBは図示せず)。ユーザ装置304、306が使用するフレームのアップリンク/ダウンリンク比率と、eノードB300が使用するフレームのアップリンク/ダウンリンク比率は、送信が同時に行われるように異なるので、ユーザ装置が使用するキャリアが、eノードBが使用するキャリアに隣接している場合、送信304A、306Aが所望の送信300Aに干渉する場合がある。
【0025】
図3Bに、TDDシステムにおけるダウンリンクからアップリンクへの干渉の同様の単純化した例を示す。ここでは、ユーザ装置302がeノードB300に送信302Bを行っている。他のeノードB310、312は、接続先であるユーザ装置に送信310B、312Bを行っており、使用するキャリアが隣接している場合、これらの送信が所望の送信に干渉する場合がある。
【0026】
図4に、TDD通信のために確保された周波数帯域400の例を示す。この周波数帯域は、一連のキャリアを含む。キャリア帯域幅は、例えば5MHzとすることができる。TDD帯域の両側には、FDDで使用するように割り当てられた周波数帯域402、404が存在することができる。図4の例では、TDD周波数帯域400が、4つの異なる通信事業者間で分割されている。各通信事業者は、通信のために確保された一連のキャリア406、408、410及び412を有する。ある通信事業者は、この通信事業者に割り当てられた一連のキャリア内で制御を行うことができ、隣接チャネル干渉を所望のレベル未満になるように制御することができる。しかしながら、ある通信事業者が、異なる通信事業者に属するキャリア上のトラフィック又は送信方向を制御することはできない。たとえ複数のキャリアが同じ通信事業者に属している場合でも、展開シナリオによってはこのことが当てはまり得る。
【0027】
本発明の実施形態では、1又はそれ以上の通信事業者に属する同じTDD帯域の複数のキャリア間における多少の調整を採用する。TDDのために確保された複数のキャリアを互いに時間同期させる。これにより、フレームが同時に開始することが確実になる。ある実施形態では、隣接チャネル干渉から保護されたサブフレームを所定の送信方向のために確保することにより、各フレームが所与の数の保護サブフレームを含む。従って、各キャリア上では、所与の数の所定のサブフレームがダウンリンク専用となり、別の所与の数がアップリンク専用となる。また、所定のサブフレームをスペシャルサブフレームとして確保することもできる。
【0028】
各キャリア上の同じサブフレームが、通信事業者にかかわらず同じ送信方向のために確保されるので、フレームがクロスリンク隣接チャネル干渉を受けることはない。
【0029】
ある実施形態では、所定の送信方向のために確保された所定数のサブフレームで、ネットワークの動作に不可欠な制御シグナリングが送信される。この不可欠な制御シグナリングは、例えば、システム情報、同期チャネル、アップリンク及び/又はダウンリンクスケジューリンググラント、ランダムアクセスチャネル、チャネル状態情報、サウンディング基準信号、及びハイブリッド自動再送要求(HARQ)確認などを含むことができる。
【0030】
保護サブフレームの協調使用は、TDD帯域内のみならず、FDDキャリアがTDDキャリアに隣接している場合にも利用することができる。
【0031】
このように、各フレームの所定数のサブフレームが、所定の送信方向のために確保される。ある実施形態では、各個々のeノードBにより、非保護サブフレームと呼ぶことができる残りのサブフレームに、1又はそれ以上の通信事業者のeノードB間で調整することなく、特にダウンリンク方向又はアップリンク方向のいずれかのキャリアを割り当てることができる。非保護サブフレームの使用は、アップリンクチャネル、ダウンリンクチャネル、又はこれらの両方に制限することができる。eノードBは、全ての非保護サブフレームをアップリンクに割り当ててもよく、全てをダウンリンクに割り当ててもよく、或いは送信方向の間でこれらのサブフレームを分割してもよい。
【0032】
保護サブフレーム及び非保護サブフレームの使用を含む、この複数の通信事業者のキャリア間における緩い調整により、通信事業者間の広いガード帯域が不要になる。このフレーム構成は柔軟であるため、TDDスペクトル使用の柔軟性が高まる。
【0033】
ある実施形態では、非保護サブフレームを使用する送信に所定の制限を適用することができる。例えば、送信機が非保護サブフレーム上で送信を行う場合、この送信機を、最大送信電力又は電力スペクトル密度を制限するように構成することができる。また、物理リソースブロック(PRB)の割り当てに制限を設けることもできる。これらの制限を適用して、隣接チャネル干渉を制御し低減することができる。
【0034】
非保護サブフレームは、特定の干渉測定をサポートして、起こり得るクロスリンク干渉問題を識別するように構成することができる。
【0035】
例えば、eノードBのスケジューラは、アップリンクサブフレーム、又はいずれのアップリンク信号も割り当てられていないサブフレームを提供することができる。その後、このeノードBは、これらのサブフレームに関連する、起こり得るダウンリンクからアップリンクへの干渉問題を測定して識別することができる。
【0036】
eノードBは、少なくとも1つの非保護サブフレームの専用チャネル状態情報(CSI)測定(及びレポート)を構成することができる。これにより、eノードBは、ユーザ装置側で起こり得るアップリンクからダウンリンクへの干渉問題を識別できるようになる。従って、eノードBは、ユーザ装置に、所与のサブフレームを測定し、その測定結果をレポートするように要求することができる。ユーザ装置は、これらの測定の位相基準として、共通基準信号又はCSI−RS(CSI基準信号)のいずれかを利用することができる。この測定は、例えば、ユーザ装置がアップリンクを介してeノードBにレポートするチャネル品質インジケータ、ランクインジケータ、及びプリコーディングマトリックスインジケータに関連することができる。
【0037】
ある実施形態では、eノードBが、サブフレーム当たりの、特に非保護サブフレーム当たりのサービス品質(QOS)統計をモニタすることもできる。これは、ユーザ装置側で起こり得るアップリンクからダウンリンクへの干渉問題をeノードBが識別する別の方法である。
【0038】
eノードBは、クロスリンク干渉測定に基づいて非保護サブフレームの使用を調整することにより、クロスリンク干渉問題を最小化するように積極的に動作することができる。例えば、上述した動作の1つにより、所与の1又は複数のサブフレームがクロスリンク干渉を受けていることが示された場合、eノードBは、ダウンリンクの代わりにアップリンクを適用すること、又はその逆により、1又は複数のサブフレームの割り当てを変更することができる。
【0039】
ある実施形態では、複数のキャリア上の送信間で調整が望まれる場合、特定のTDDフレーム構成を利用することができる。図5に、各フレームの所定数のサブフレームが所定の送信方向のために確保されたフレーム構成の例を示す。ダウンリンク方向に割り当てられているサブフレームをDで示し、アップリンク方向に割り当てられているサブフレームをUで示し、スペシャルサブフレームをSで示している。これらのサブフレームの割り当てはキャリア間で調整され、すなわちeノードBが単独でこれらを異なる送信方向に割り当てなくてもよい。これにより、サブフレームが隣接チャネルクロスリンク干渉から保護される。
【0040】
また、図5のフレームは、特にダウンリンク又はアップリンクのいずれかの方向のキャリアをeノードBが割り当てることができるサブフレームを含む。これらの柔軟なサブフレーム、すなわち非保護サブフレームをFで示す。原則として、eノードBは、とりわけこれらの非保護サブフレームをスケジュールすることができる。ダウンリンクサブフレームとアップリンクサブフレームの間にはスペシャルサブフレームを使用することを考慮すべきである。なお、図5に示すフレーム構成は一例にすぎず、他のフレーム構成でも同様に同じ機能を実現することができる。
【0041】
ある実施形態では、eノードBが、TDDフレームを追加のダウンリンクキャリアとして利用することができる(FDDキャリアアグリゲーション)。このTDDキャリアは、二次セル(ダウンリンク)として使用することができる。
【0042】
ここでは、全ての柔軟な、すなわち非保護サブフレームをダウンリンクトラフィックに割り当てることができる。図6Aにこの実施形態を示す。この場合、保護されているアップリンクサブフレーム(2番及び7番のフレーム)に関するいくつかのスケジューラ制限が存在する。eノードBのスケジューラは、これらのサブフレームにはトラフィックを割り当てなくてもよい。このスケジューリング制約は、スペシャルサブフレーム(1番及び6番のフレーム)のUpPTS部分も対象とすることができる。この方法は、特にFDDスペクトルの境界(図4の412/404の境界)における上位TDD帯域に対して実行可能である。
【0043】
ある実施形態では、eノードBが、TDDフレームを追加のアップリンクキャリアとして利用することができる(FDDキャリアアグリゲーション)。このTDDキャリアは、二次セル(アップリンク)として使用することができる。
【0044】
ここでは、全ての柔軟な、すなわち非保護サブフレームをアップリンクトラフィックに割り当てることができる。図6Bにこの実施形態を示す。この場合、保護されているダウンリンクサブフレーム(0番、1番、5番及び6番のフレーム)に関するいくつかのスケジューラ制限が存在する。eノードBのスケジューラは、これらのサブフレームにはトラフィックを割り当てなくてもよい。このスケジューリング制約は、スペシャルサブフレームのDwPTS部分のみを対象とすることができる。この方法は、特にFDDスペクトルの境界(図4の402/406の境界)における下位TDD帯域に対して実行可能である。
【0045】
ある実施形態では、仮想ガード帯域を適用することにより、柔軟なサブフレーム上で隣接チャネルクロスリンク干渉(隣接チャネル漏洩電力比ACLR及び隣接チャネル電力ACPの両方)に対処することができる。このような仮想ガード帯域は、(例えば、5MHzの帯域幅の)受信信号を、5MHzのデジタルチャネル受信フィルタ、及び3MHzなどの狭められたデジタルチャネル受信フィルタの両方に多重化することにより確立することができる。柔軟なサブフレームが競合する場合、eノードBのスケジューラ及び受信機を、3MHzのデジタルチャネル受信フィルタからのデータを使用するように構成することができる。送信機側では、仮想ガード帯域の領域内にゼロ化係数を配置することができる。
【0046】
さらに広い犠牲帯域幅(例えば、10MHz)の場合、干渉管理を2×5MHzのキャリアアグリゲーションに基づかせ、この柔軟なサブフレームの場合には、干渉を受けている5MHzのアップリンクコンポーネントキャリアを単純に使用しないようにすることができる。保護されたサブフレーム又は競合していない柔軟なサブフレームの場合には、このアップリンクコンポーネントキャリアを使用することができる。
【0047】
図7に、eノードB、すなわち基地局700の例を示す。eノードB700は、メモリ704に動作的に接続されたコントローラ702を含む。コントローラ702は、基地局の動作を制御する。メモリ704は、ソフトウェア及びデータを記憶するように構成される。eノードBは、基地局のサービス範囲内に存在するユーザ装置への無線接続を設定して維持するように構成されたトランシーバ706を含む。トランシーバ706は、コントローラ702及びアンテナ構成708に動作的に接続される。アンテナ構成は、一連のアンテナを含むことができる。アンテナの数は、例えば2〜4本とすることができる。アンテナの数は、いずれの特定の本数にも限定されない。
【0048】
基地局は、通信システムの他のネットワーク要素に動作的に接続することができる。このネットワーク要素は、例えば、MME(モビリティ管理エンティティ)、SAE GW(SAEゲートウェイ)、無線ネットワークコントローラ(RNC)、別の基地局、ゲートウェイ、又はサーバとすることができる。基地局は、複数のネットワーク要素に接続することもできる。基地局700は、これらのネットワーク要素との接続を設定して維持するように構成されたインターフェイス710を含むことができる。
【0049】
ある実施形態では、基地局が、上述したリソース割り当て動作及び電力制御動作を実行するように構成されたスケジューラ712を含む。このスケジューラは、コントローラ及びメモリに動作的に接続することができる。ある実施形態では、コントローラ及びスケジューラが、時分割二重、及びサブフレームを含むフレームを利用する、1又はそれ以上のキャリア上のデータの送受信を、異なる装置によって利用される複数のキャリアが互いに同期し、各フレームの所定数のサブフレームが所定の送信方向のために確保されるように制御し、サブフレームの残りに、特にダウンリンク方向又はアップリンク方向のいずれかのキャリアを割り当てるように構成される。
【0050】
上述した及び添付図に示すステップ及び関連機能は絶対的発生順ではなく、これらのステップのいくつかを同時に、又は所与の順序とは異なる順序で実行することができる。ステップ間又はステップ内で他の機能を実行することもできる。ステップの一部を省略し、又は対応するステップに置き換えることもできる。
【0051】
上述のステップを実行できる装置又はコントローラは、ワーキングメモリ(RAM)、中央処理装置(CPU)及びシステムクロックを含むことができる電子デジタルコンピュータとして実装することができる。CPUは、一連のレジスタ、算術論理演算ユニット、及びコントローラを含むことができる。コントローラは、RAMからCPUに転送される一連のプログラム命令により制御される。コントローラは、基本動作のための多くのマイクロ命令を含むことができる。マイクロ命令の実装は、CPUの設計によって異なることがある。
【0052】
プログラム命令は、プログラミング言語によってコード化することができ、これらの言語は、C、Java(登録商標)などの高水準プログラミング言語であっても、或いはマシン語又はアセンブラなどの低水準プログラミング言語であってもよい。電子デジタルコンピュータは、プログラム命令で記述されたコンピュータプログラムにシステムサービスを提供できるオペレーティングシステムを有することもできる。
【0053】
ある実施形態は、電子装置にロードされた場合に、上述した実施形態を実行するように装置を制御するよう構成されたプログラム命令を含む、配布媒体上に具体化されるコンピュータプログラムを提供する。
【0054】
コンピュータプログラムは、ソースコード形式、オブジェクトコード形式、又は何らかの中間形式をとることができ、これを、プログラムを搬送できるいずれのエンティティ又は装置であってもよい何らかの種類の担体に記憶することができる。このような担体として、例えば、記録媒体、コンピュータメモリ、読み取り専用メモリ、及びソフトウェア配布パッケージが挙げられる。必要な処理能力に応じ、コンピュータプログラムを単一の電子デジタルコンピュータで実行することも、或いは多くのコンピュータ間に分散させることもできる。
【0055】
装置を、特定用途向け集積回路ASICなどの1又はそれ以上の集積回路として実現することもできる。別個の論理要素で構築された回路などの他のハードウェアの実施形態も実現可能である。これらの異なる実装の混成も実現可能である。実装方法を選択する場合、当業者であれば、例えば、装置のサイズ及び消費電力、必要な処理能力、製造コスト、及び製造量に関して設定された要件を考慮するであろう。
【0056】
当業者には、技術が進歩するにつれて、本発明の概念を様々な方法で実現できることが明らかであろう。本発明及びその実施形態は、上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内では異なることができる。
【符号の説明】
【0057】
700:基地局
702:コントローラ
704:メモリ
706:トランシーバ
708:アンテナ構成
710:インターフェイス
712:スケジューラ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7