特許第5727054号(P5727054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アクシオメッド・スパイン・コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許5727054-損傷した脊椎円板を置換するための装置 図000002
  • 特許5727054-損傷した脊椎円板を置換するための装置 図000003
  • 特許5727054-損傷した脊椎円板を置換するための装置 図000004
  • 特許5727054-損傷した脊椎円板を置換するための装置 図000005
  • 特許5727054-損傷した脊椎円板を置換するための装置 図000006
  • 特許5727054-損傷した脊椎円板を置換するための装置 図000007
  • 特許5727054-損傷した脊椎円板を置換するための装置 図000008
  • 特許5727054-損傷した脊椎円板を置換するための装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727054
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】損傷した脊椎円板を置換するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   A61F2/44
【請求項の数】29
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-558030(P2013-558030)
(86)(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公表番号】特表2014-515632(P2014-515632A)
(43)【公表日】2014年7月3日
(86)【国際出願番号】US2012027059
(87)【国際公開番号】WO2012125290
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2013年11月8日
(31)【優先権主張番号】13/047,857
(32)【優先日】2011年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506196111
【氏名又は名称】アクシオメッド・スパイン・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジンマーズ,カ−ル
(72)【発明者】
【氏名】デューク,キース
(72)【発明者】
【氏名】クラス,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ブライス,レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッグ,ローニー
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特公平07−121265(JP,B2)
【文献】 特表2008−522737(JP,A)
【文献】 特表2008−500085(JP,A)
【文献】 特許第4373790(JP,B2)
【文献】 特表2009−508615(JP,A)
【文献】 特表2009−513254(JP,A)
【文献】 特表2009−509662(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0122517(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊柱内の損傷した脊椎円板を置換するための装置であって、
脊柱の第1の椎骨と係合可能な外面と、内面と、を有する第1の保持デバイスと、
脊柱の第2の椎骨と係合可能な外面と、内面と、を有する第2の保持デバイスと、
第1の表面および第2の表面を有する弾力的なコアと、
を含み、前記第1の表面は、前記第1の保持デバイスの前記内面と係合し、前記第2の表面は、前記第2の保持デバイスの前記内面と係合し、前記第1の表面は、前記装置の軸から、前記第2の表面が当該軸から半径方向に延在するより長い距離だけ、半径方向外向きに延在し、前記弾力的なコアは、傾斜した半径方向外側の面を有し、前記半径方向外側の面は、当該半径方向外側の面と隣接する前記第1の表面から、当該半径方向外側の面と隣接する前記第2の表面まで延在している、装置。
【請求項2】
前記弾力的なコアの前記第1の表面は、前記第1の保持デバイスの前記内面に固定的に取り付けられ、前記弾力的なコアの前記第2の表面は、前記第2の保持デバイスの前記内面に固定的に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コアは凹面を含み当該凹面は、隣接する前記第1の表面から、前記第2の表面に向かって、前記半径方向外側の面まで延在、前記第1の保持デバイスは、前記第2の保持デバイスに向かって延在するフランジを含み、前記フランジは、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記コアの前記凹面と係合する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記フランジは、前記第1の保持デバイスの前記内面と前記フランジの先端との間に延在する半径方向内側部分を有する凸面を含み、前記凸面の前記半径方向内側部分は、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記コアの前記凹面と係合する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記コアは、前記第1の表面と前記半径方向外側の面との間に延在する第1の凹面を含み、前記第1の保持デバイスは、前記第2の保持デバイスに向かって延在するフランジを含み、前記フランジは、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記コアの前記第1の凹面と係合し、前記コアは、前記第2の表面と前記半径方向外側の面との間に延在する第2の凹面を含み、前記第2の保持デバイスは、前記第1の保持デバイスに向かって延在するフランジを含み、前記第2の保持デバイスの前記フランジは、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記コアの前記第2の凹面と係合する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の保持デバイスの前記フランジは、前記第1の保持デバイスの前記内面と前記フランジの先端との間に延在する半径方向内側部分を有する凸面を含み、前記凸面の前記半径方向内側部分は、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記コアの前記第1の凹面と係合し、前記第2の保持デバイスの前記フランジは、前記第2の保持デバイスの前記内面と前記フランジの先端との間に延在する半径方向内側部分を有する凸面を含み、前記第2の保持デバイスの前記凸面の前記半径方向内側部分は、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記コアの前記第2の凹面と係合する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の保持デバイスは、保持部材と末端キャップとを含み、前記末端キャップは、前記保持部材の内面および外面を貫通して延在する開口内に延在している、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記末端キャップは、前記保持部材に設けられた開口に嵌まる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記弾力的なコアは、前記第1および第2の表面のうちの一方から、前記第1および第2の表面のうちの他方に向かって延在し、かつ、前記第1および第2の表面のうちの前記一方から延在する空間を少なくとも部分的に画定する表面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1および第2の表面のうちの一方は、前記空間を画定するくぼみを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記空間を少なくとも部分的に画定する前記表面は、前記コアの前記第1の表面から延在し、前記半径方向外側の面は、前記コアの前記第1の表面に隣接して、前記装置の軸から第1の距離だけ離れており、前記半径方向外側の面は、前記コアの前記第2の表面に隣接して、前記第1の距離より短い第2の距離だけ前記装置の前記軸から離れている、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記コアは、断面が台形である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記コアの前記第1の表面は、前記コアの前記第2の表面よりも大きな面積を占める、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の保持デバイスは、前記第2の保持デバイスに向かって延在するフランジを含み、前記第1の保持デバイスは、前記第1の保持デバイスの前記内面と前記フランジとの間に延在する第1の凹面を有し、前記第1の凹面は、第1の曲率半径を有し、前記第2の保持デバイスは、前記第1の保持デバイスに向かって延在するフランジを含み、前記第2の保持デバイスは、前記第2の保持デバイスの前記内面と前記フランジとの間に延在する第2の凹面を有し、前記第2の凹面は、前記第1の曲率半径とは異なる第2の曲率半径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の保持デバイスの前記フランジは、前記第1の保持デバイスの前記第1の凹面と前記フランジの先端との間に延在する半径方向内側部分を有する凸面を含み、前記凸面の前記半径方向内側部分は、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記コアの第1の凹面と係合し、前記第2の保持デバイスの前記フランジは、前記第2の凹面と前記フランジの先端との間に延在する半径方向内側部分を有する凸面を含み、前記第2の保持デバイスの前記凸面の前記半径方向内側部分は、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記コアの第2の凹面と係合する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記コアの前記第1の表面は、空間を画定するくぼみを含み、前記第1の凹面の前記第1の曲率半径は、前記第2の保持デバイスの前記第2の凹面の前記第2の曲率半径よりも小さい、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記半径方向外側の面は、前記弾力的なコアの前記第1の凹面と前記第2の凹面との間で連続的に傾斜している、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
脊柱内の損傷した脊椎円板を置換するための装置であって、
脊柱の第1の椎骨と係合可能な外面と、内面と、を有する第1の保持デバイスと、
脊柱の第2の椎骨と係合可能な外面と、内面と、を有する第2の保持デバイスと、
第1の表面と、第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面との間に延在する半径方向外側の面と、前記第1の表面と隣接し、前記第1の表面から、前記第2の表面に向かって、前記半径方向外側の面まで延在する凹面と、を有する弾力的なコアと、
を含み、
前記第1の保持デバイスは、前記第2の保持デバイスに向かって延在するフランジを有し、
前記フランジは、前記第1の保持デバイスの前記内面と前記フランジの先端との間に延在する半径方向内側部分を有する凸面を含み、
前記第1の表面は、前記第1の保持デバイスの前記内面と係合し、前記第2の表面は、前記第2の保持デバイスの前記内面と係合し、前記コアの前記凹面は、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記凸面の前記半径方向内側部分と係合する、装置。
【請求項19】
前記弾力的なコアの前記第1の表面は、前記第1の保持デバイスの前記内面に固定的に取り付けられ、前記弾力的なコアの前記第2の表面は、前記第2の保持デバイスの前記内面に固定的に取り付けられている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第2の保持デバイスは、前記第1の保持デバイスに向かって延在するフランジを含み、前記コアは、前記第2の表面と前記半径方向外側の面との間に延在する凹面を含み、前記コアの前記凹面は、前記第2の表面と、前記半径方向外側の面との間に延在し、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記第2の保持デバイスの前記フランジと係合する、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記第1の保持デバイスの前記フランジは、前記第1の保持デバイスの前記内面と前記フランジの先端との間に延在する半径方向内側部分を有する凸面を含み、前記凸面の前記半径方向内側部分は、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記第1の表面と前記半径方向外側の面との間に延在する前記凹面と係合し、
前記第2の保持デバイスの前記フランジは、前記第2の保持デバイスの前記内面と前記フランジの先端との間に延在する半径方向内側部分を有する凸面を含み、前記第2の保持デバイスの前記凸面の前記半径方向内側部分は、前記装置に荷重が加わっていないときに、前記第2の表面と前記半径方向外側の面との間に延在する前記凹面と係合する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の保持デバイスは、保持部材と末端キャップとを含み、前記末端キャップは、前記保持部材の内面および外面を貫通して延在する開口に嵌まる、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記第1および第2の表面のうちの少なくとも一方は、空間を画定するくぼみを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記第1の表面は、前記くぼみを含み、前記半径方向外側の面は、前記コアの前記第1の表面に隣接して、前記装置の軸から第1の距離だけ離れており、前記半径方向外側の面は、前記コアの前記第2の表面に隣接して、前記装置の軸から前記第1の距離より短い第2の距離だけ離れている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記コアは、断面が台形である、請求項18に記載の装置。
【請求項26】
前記コアの前記第1の表面は、前記コアの前記第2の表面よりも大きな面積を占める、請求項18に記載の装置。
【請求項27】
前記第1の保持デバイスは、前記第1の保持デバイスの前記内面と前記フランジとの間に延在する第1の凹面を有し、前記第1の凹面は、第1の曲率半径を有し、
前記第2の保持デバイスは、前記第1の保持デバイスに向かって延在するフランジを含み、
前記第2の保持デバイスは、前記第2の保持デバイスの前記内面と前記フランジとの間に延在する第2の凹面を有し、前記第2の凹面は、前記第1の曲率半径とは異なる第2の曲率半径を有する、請求項18に記載の装置。
【請求項28】
前記コアの前記第1の表面は、空間を画定するくぼみを含み、前記第1の凹面の前記第1の曲率半径は、前記第2の保持デバイスの前記第2の凹面の前記第2の曲率半径より小さい、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記第1の表面は、前記装置の軸から、前記第2の表面が当該軸から半径方向に延在するより長い距離だけ、半径方向外向きに延在する、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊柱内の損傷した脊椎円板を置換するための装置に関し、特に、脊柱内の損傷した脊椎円板を置換するための、弾力的なコアを有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の人工椎間板が、米国特許第7,169,181号に開示されている。米国特許第7,169,181号は、上側および下側の保持部材と、エラストマー製のコアとを有する人工椎間板を開示している。エラストマー製のコアの上面および下面には、くぼみが設けられている。上側と下側の保持部材が相対的に移動すると、コアがゆがんでくぼみの中に入る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、脊柱内の損傷した脊椎円板を置換するための装置に関する。この装置は、脊柱の第1の椎骨と係合可能な外面と、内面と、を有する第1の保持デバイスを含む。第2の保持デバイスが、脊柱の第2の椎骨と係合可能な外面と、内面と、を有する。弾力的なコアが、第1の表面と、第2の表面とを有する。第1の表面は、第1の保持デバイスの内面と係合する。第2の表面は、第2の保持デバイスの内面と係合する。弾力的なコアは、傾斜した半径方向外側の面を有し、この半径方向外側の面は、当該半径方向外側の面と隣接する第1の表面から、当該半径方向外側の面と隣接する第2の表面まで延在している。
【0004】
本発明のもうひとつの態様では、脊柱内の損傷した脊椎円板を置換するための装置は、脊柱の第1の椎骨と係合可能な外面と、内面と、を有する第1の保持デバイスを含む。第2の保持デバイスが、脊柱の第2の椎骨と係合可能な外面と、内面と、を有する。第1の保持デバイスは、第2の保持デバイスに向かって延在するフランジを有する。弾力的なコアが、第1の表面と、第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に延在する半径方向外側の面と、を有する。第1の表面は、第1の保持デバイスの内面と係合する。第2の表面は、第2の保持デバイスの内面と係合する。第1の表面と半径方向外側の面との間に、凹面が延在する。コアの凹面は、装置に荷重が加わっていないときに、フランジと係合する。
【0005】
添付の図面を参照して、以下に示す本発明の説明を考慮することで、本発明が関連する分野の当業者には、本発明の上記の特徴および他の特徴が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明によって構成された、損傷した脊椎円板を置換するための装置の概略図である。
図2図1の装置の展開図である。
図3図1の装置の断面図である。
図4図3の装置の一部を示す拡大断面図である。
図5図1の装置の保持部材の概略図であって、保持部材の内面を示している。
図6図1の装置の末端キャップの線図である。
図7図1の装置の下側の保持デバイスの概略図であって、下側の保持デバイスの外面を示している。
図8図7の下側の保持デバイスの概略図であって、下側の保持デバイスの内面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、人間の脊柱内の損傷または変性した脊椎円板を置換するための人工椎間板または人工器官に関する。図1から図8は、脊柱内の損傷または変性した脊椎円板を置換するための人工椎間円板10の代表的な実施形態を示す。人工椎間円板10(図1)は、人間の脊柱で隣り合った上下の椎骨(図示せず)間にある損傷した脊椎円板を置換するのに用いられる。この装置すなわち人工椎間円板10は、人間の脊柱の頸椎間で使用されてもよい。
【0008】
装置10(図1)は、上側または第1の保持デバイス20と、下側または第2の保持デバイス80と、これらの保持デバイス間に挿入され、保持デバイスに接着された弾力的なコア120と、を含む。「上側」および「下側」という用語は、本明細書では、装置10が人体内にある時の向きに関して用いられる。
【0009】
上側の保持デバイス20は、上側または第1の保持リングまたは部材22と、末端キャップ24とを含む。上側の保持部材22は剛性で、生体適合性の金属またはポリマーなどの生体適合性材料で作られる。この上側の保持部材22をチタン合金で作製できるであろうことも、考えられる。上側の保持部材22は、椎骨と係合可能な外側または上側の表面26を有する。上側の保持部材22の内面28は、弾力的なコア120に取り付けまたは結合されている。内面28は、上側の保持部材22をコア120に連結しやすくするために、凹形であってもよいし、および/またはこの内面で焼結させたビーズ(図示せず)または内面でエッチング処理したテクスチャ(図示せず)を有してもよいと思われる。
【0010】
外面26からは、複数のリブ30(図1図2)が延在している。上側の保持部材22は、リブ30を2つ有するものとして示されているが、上側の保持部材にリブ30がいくつあってもよいと思われる。リブ30は、円板10の背側32から椎間板の腹側34まで互いにほぼ平行に延在する。リブ30は、必要に応じてどの方向に延在してもよいと思われる。それぞれのリブ30は、複数の突起36を有する。リブ30は各々、突起36を4つ有するものとして示されているが、必要に応じてリブにいくつ突起があってもよい。リブ30の延在方向は、円板10の挿入方向によって決められてもよい。リブ30および突起36は、椎骨と係合して、装置10を椎骨間の適所に保持する。
【0011】
円板10の腹側34寄りの位置で、外面26から器具係合用突起40も延在している。装置を椎骨間に挿入する際、器具(図示せず)が突起40と係合し、装置10を保持する。外面26は、装置10を椎骨間でさらに保持するために、この外面で焼結させたビーズ(図示せず)または外面でエッチング処理したテクスチャ(図示せず)を有してもよい。
【0012】
上側の保持部材22の外面26および内面28を貫通して、軸方向に延在する開口42(図2図3図5)が延在している。開口42は、複数のリブ30の間の中央に位置する。開口42は長円形で示されているが、この開口は、必要に応じてどのような大きさと形状でもよいと思われる。また、開口42は、軸方向に位置していなくてもよいと思われる。
【0013】
上側の保持部材22は、開口42を少なくとも部分的に画定する傾斜面44を有する。傾斜面44(図3)は、外面26から内面28まで人工椎間円板10の軸46に向かって傾斜している。傾斜面44は、外面26に近い側で、軸46から第1の距離だけ離れている。傾斜面44は、内面28に近い側で、軸46から、第1の距離より短い第2の距離だけ離れている。傾斜面44には、末端キャップ24を保持部材22に連結するための切り欠きまたは溝48が形成されている。
【0014】
上側の保持部材22の内面28(図3)は、弾力的なコア120に取り付けまたは結合されている。上側の保持部材22は、下側の保持デバイス80に向かって延在する周縁フランジ部50を含む。フランジ50は、コア120を囲んでいる。フランジ50(図3図4)は、凸面52を有する。この凸面52の最下点または先端54は、下側の保持デバイス80の方を向いている。内面28からフランジ50の先端54まで、凸面52の半径方向内側部分56が延在する。また、先端54から上に、下側の保持デバイス80から離れる方向に、凸面52の半径方向外側部分58が延在する。円板10に何も荷重が加わっていないとき、コア120は、少なくとも凸面52の半径方向内側部分56と係合する。コア120は、凸面の半径方向内側部分56に接着されていてもよいし、結合されていてもよい。円板10に何も荷重が加わっていないとき、コア120は、凸面52の先端54および/または半径方向外側部分58と係合してもよいと思われる。内面28からフランジ50の凸面52まで、凹面59が延在している。凹面59は、第1の曲率半径R1を有する。
【0015】
内面28は、凹形であってもよいと思われる。また、あらかじめ定められた荷重が装置10に加わるまで、内面28の開口42に隣接する部分がコア120から離れていてもよいと思われる。あらかじめ定められた荷重が装置10に加わると、コア120がゆがんで、内面28の開口42に隣接する部分と係合する。コア120が内面28の開口42に隣接する部分と係合すると、更なるゆがみが保持部材22によって制限されるため、このコアは固くなる。
【0016】
末端キャップ24(図1から図3)は、保持部材22の開口42の中に延在する。末端キャップ24は剛性で、生体適合性の金属またはポリマーなどの生体適合性材料で作られる。末端キャップ24をチタン合金で作製できるであろうことも、考えられる。末端キャップ24は、椎骨と向かい合う外面60を有する。外面60は、円板10を椎骨間でさらに保持するために、この外面で焼結させたビーズ(図示せず)または外面でエッチング処理したテクスチャ(図示せず)を有してもよい。末端キャップ24の内面62は、弾力的なコア120と対向する。
【0017】
末端キャップ24(図1から図3図6)は、ほぼ長円形の本体64を含む。本体64は、外面60に切り欠き65を含む。末端キャップ24を保持部材22に連結するために、器具(図示せず)が切り欠き65内まで延在する。末端キャップ24の本体64は長円形で示されているが、本体64は、キャップ24が摺動して保持部材22の開口42に嵌まるのであれば、望ましいどのような構成であってもよいと思われる。
【0018】
末端キャップ24の本体64は、傾斜した半径方向外側の面66を有する。末端キャップ24の半径方向外側の面66は、末端キャップが開口42内にあるときに上側の保持部材22の傾斜面44と係合してもよい。外側の傾斜面66から、半径方向外向きに複数のタブ68が延在する。タブ68は、末端キャップ24を保持部材に連結するために、上側の保持部材22の傾斜面44に設けられた切り欠きまたは溝48にパチンと嵌まる。タブ68は、末端キャップを開口42内に保持したまま、末端キャップ24と保持部材22との間の相対移動を許容するものであってもよい。
【0019】
下側の保持デバイス80(図2図3図7図8)は剛性であり、チタン合金など上側の保持部材22と同じ材料で作られる。下側の保持デバイス80は、椎骨と係合可能な外面82を有する。下側の保持デバイス80の内面84は、弾力的なコア120に固定または結合されている。内面84は、下側の保持デバイス80をコア120に連結しやすくするために、この内面で焼結させたビーズ(図示せず)または内面でエッチング処理したテクスチャ(図示せず)を有してもよいと思われる。
【0020】
外面82からは、複数のリブ86(図7)が延在している。下側の保持デバイス80は、リブ86を2つ有するものとして示されているが、下側の保持デバイスにリブ86がいくつあってもよいと思われる。リブ86は、円板10の背側32から椎間板の腹側34まで互いにほぼ平行に延在する。リブ86は、必要に応じてどの方向に延在してもよいと思われる。それぞれのリブ86は、複数の突起88を有する。リブ86は各々、突起88を4つ有するものとして示されているが、必要に応じてリブにいくつ突起があってもよい。リブ86の延在方向は、円板10の挿入方向によって決められてもよい。リブ86および突起88は、椎骨と係合して、装置10を椎骨間の適所に保持する。
【0021】
下側の保持デバイス80の外面82は、2つの三角形の突起90も含む。三角形の突起90は、リブ86間で円板10の腹側34の近くに位置する。突起90も、椎骨と係合して、円板10を椎骨間の適所に保持する。
【0022】
円板10の腹側34寄りの位置で、外面82から器具係合用突起92も延在している。器具係合用突起92は、三角形の突起90よりも腹側34に位置する。装置を椎骨間に挿入する間、器具(図示せず)が突起92と係合し、装置10を保持する。外面82は、装置10を椎骨間でさらに保持するために、この外面で焼結させたビーズ(図示せず)または外面でエッチング処理したテクスチャ(図示せず)を有してもよい。
【0023】
下側の保持デバイス80の内面84(図2から図4図8)は、弾力的なコア120に固定または結合されている。下側の保持デバイス80は、上側の保持デバイス20に向かって延在する周縁フランジ部94を含む。フランジ94は、コア120を囲んでいる。フランジ94(図4)は、凸面96を有する。この凸面96の最上点または先端98は、上側の保持デバイス20の方を向いている。内面84からフランジ94の先端98まで、凸面96の半径方向内側部分100が延在する。また、最上点98から下に、上側の保持デバイス20から離れる方向に、凸面96の半径方向外側部分102が延在する。円板10に何も荷重が加わっていないとき、コア120は、少なくとも凸面96の半径方向内側部分100と係合する。コア120は、凸面96の半径方向内側部分100に接着されていてもよいし、結合されていてもよい。円板10に何も荷重が加わっていないとき、コア120は、凸面96の先端98および/または半径方向外側部分102と係合してもよいと思われる。
【0024】
内面84からフランジ94の凸面96まで、凹面108が延在している。凹面108は、第2の曲率半径R2を有する。凹面108の第2の曲率半径R2は、上側の保持部材22の凹面59の曲率半径R1より大きい。
【0025】
保持デバイス80の内面84は、凹形であってもよいと思われる。また、あらかじめ定められた荷重が装置10に加わるまで、内面84の一部がコア120から離れていてもよいと思われる。あらかじめ定められた荷重が装置10に加わると、コア120がゆがんで、内面84のコア120から離れた部分と係合する。コア120が、内面84のコアから離れた部分と係合すると、コアの更なるゆがみが保持部材80によって制限されるため、このコアは固くなる。
【0026】
弾力的なコア120(図1から図3)は、単体の部品であり、ウレタンシリコーンコポリマーで作製されてもよい。弾力的なコア120は、従来技術において知られたどのような方法で、上側の保持デバイス20と下側の保持デバイス80に接着または結合されていてもよい。弾力的なコア120は、上側の保持デバイス20と下側の保持デバイス80との間で、インサート成形、トランスファー成形または射出成形できると思われる。コア120は、上側の保持デバイス20と下側の保持デバイス80との間で、上側の保持部材22に設けられた開口42を介して、コアの材料を射出して成形されてもよい。
【0027】
弾力的なコア120は、くさび形であってもよい。上側の保持デバイス20は、円板10の背側32に近い側で、下側の保持デバイス80から第1の距離だけ離れている。上側の保持デバイス20は、円板10の腹側34に近い側で、下側の保持デバイス80から、第1の距離より長い第2の距離だけ離れている。上側の保持デバイス20は、下側の保持デバイス80から、必要に応じてどれだけ離れていてもよいと思われる。
【0028】
コア120は、上側または第1の表面122を有する。上面122は、上側の保持デバイス20の内面28に固定されている。下側の保持デバイス80の内面84には、下側または第2の表面124が固定されている。コア120の上面122は、軸46から、下面124が軸から半径方向に延在するより長い距離だけ、半径方向外向きに延在する。従って、上面122は、下面124よりも大きな面積を占める。上面122および下面124は、凸形であってもよいと思われる。
【0029】
コア120は、半径方向外側の面126を含む。半径方向外側の面126と上面122との間に、上側の凹形遷移面128(図4)が延在している。半径方向外側の面126と下面124との間には、下側の凹形遷移面130が延在している。上側の凹形遷移面128は、上側の保持デバイス20にあるフランジ50の凸面52の半径方向内側部分56と係合する。下側の凹形遷移面130は、下側の保持デバイス80にあるフランジ94の半径方向内側部分100と係合する。
【0030】
半径方向外側の面126(図3図4)は、上側の凹形遷移面128から下側の凹形遷移面130に向かって傾斜している。従って、半径方向外側の面126は、上面122に近い部分から下面124に近い部分まで傾斜している。傾斜面126は、上面122および上側の凹面128の側から、下側の凹面130および下面124の側まで、円板10の軸46に向かって連続的に傾斜している。半径方向外側の面126は、上面122および上側の凹形遷移面128の側で、第1の距離だけ人工椎間円板10の軸46から離れている。半径方向外側の面126は、下面124および下側の凹形遷移面130の側で、第1の距離より短い第2の距離だけ、人工椎間円板10の軸46から離れている。よって、コア120は、断面が台形である。このコアには、凹形遷移面128および130がなくてもよい。コア120に凹形遷移面128、130がない場合、半径方向外側の面126が上面122から下面124まで傾斜していることもあろう。半径方向外側の面126は、外周にそって同一の傾斜角を有するものとして示されているが、半径方向外側の面がコア120の異なる側で異なる傾斜角を有してもよいと思われる。
【0031】
コア120(図2図3)は、上面122から下面124に向かって延在する長円形のくぼみ140を有する。くぼみ140は、上面122から下面124に向かって延在する空間142を少なくとも部分的に画定する。上面122から、円板10の軸46を横切って延在する表面146まで、傾斜面144が延在している。表面144および146は、円板10と同軸であり、空間142を画定する凹形のくぼみ140を、上面で画定する。傾斜面144は、上面122から表面146まで、円板10の軸46に向かって傾斜している。この傾斜面144は、くぼみ140の異なる側で異なる傾斜角を持つものであってもよいと思われる。弾力的なコア120は、上側の保持デバイス20と下側の保持デバイス80との間での相対移動時に、くぼみ146によって画定された空間142まで移動してもよい。コア120は、このコアの応力を抑えるためにコアが空間142の中までゆがむ際に、エネルギーを消費する。
【0032】
コア120を、長円形のくぼみ有するものとして説明したが、くぼみ140は、必要に応じてどのような形状または深さであってもよく、上面122のどの位置にあってもよいと思われる。また、コア120は、下面124から上面122に向かって延在するくぼみを含んでもよい。また、コア120には、くぼみがいくつあってもよいと思われる。
【0033】
本発明についての上述した説明には、さまざまな改変、変更、改作をほどこす余地があり、これも添付の特許請求の範囲の等価物の意味および範囲内に包含されるものとすることは、理解できよう。ここに開示の実施形態は、あらゆる点で例示にすぎず、限定的なものではないとみなされる。本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲に示されており、その等価物の意味および範囲に含まれるあらゆる変更は、ここに包含されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8