特許第5727140号(P5727140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5727140交互の光偏光のための回転半透明シリンダーを有する二次元/三次元プロジェクター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727140
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】交互の光偏光のための回転半透明シリンダーを有する二次元/三次元プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/26 20060101AFI20150514BHJP
   H04N 15/00 20060101ALI20150514BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   G02B27/26
   H04N15/00
   G03B21/00 F
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2009-542729(P2009-542729)
(86)(22)【出願日】2006年12月18日
(65)【公表番号】特表2010-513980(P2010-513980A)
(43)【公表日】2010年4月30日
(86)【国際出願番号】US2006048038
(87)【国際公開番号】WO2008076103
(87)【国際公開日】20080626
【審査請求日】2009年12月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(74)【復代理人】
【識別番号】100115624
【弁理士】
【氏名又は名称】濱中 淳宏
(74)【復代理人】
【識別番号】100173761
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 和晃
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ヤンシク
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ブライアン ハント
(72)【発明者】
【氏名】マーク アラン シュルツ
【審査官】 福島 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−058588(JP,A)
【文献】 特開2006−276311(JP,A)
【文献】 特表平11−505334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/26
G03B 21/00
H04N 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個より多い異なって偏光する部分を有する回転可能な中空シリンダーと、
3個のデジタルマイクロミラーデバイスと、
光ビームを三原色成分に分けて、前記原色成分の各々を前記3個のデジタルマイクロミラーデバイスに独立して向けさせるように構成されたプリズムと、
を備える3Dプロジェクターであって
光ビームが前記中空シリンダーの壁を通り抜けることができ
前記光ビームの進行する方向は、前記中空シリンダーの前記壁と一般的には直交し
前記中空シリンダーは、回転を停止するように制御されることができ、
前記中空シリンダーが回転しているときは、前記3Dプロジェクターは3Dモードとして動作し、前記中空シリンダーは回転が停止しているときは、前記3Dプロジェクターは2Dモードとして動作し、前記3Dモードにおいて、前記3Dプロジェクターは前記2Dモードと比較して毎秒2倍の数のフレームを表示する、
前記3Dプロジェクター。
【請求項2】
前記光ビームは、前記中空シリンダーが前記中空シリンダーの中心軸のまわりを回転するにつれて、前記中空シリンダーの前記壁を通り抜ける、請求項1に記載の3Dプロジェクター。
【請求項3】
前記異なって偏光する部分は、P偏光するかまたはS偏光するかのいずれかのように偏光される、請求項1又は2に記載の3Dプロジェクター。
【請求項4】
各々のP偏光する部分は、S偏光する部分と一般的には放射状に境を接し、各々のS偏光する部分は、P偏光する部分と一般的には放射状に境を接する、請求項3に記載の3Dプロジェクター。
【請求項5】
前記異なって偏光する部分は、右円偏光するかまたは左円偏光するかのいずれかのように偏光される、請求項1又は2に記載の3Dプロジェクター。
【請求項6】
各々の右円偏光する部分は、左円偏光する部分と一般的には放射状に境を接し、各々の左円偏光する部分は、右円偏光する部分と一般的には放射状に境を接する、請求項5に記載の3Dプロジェクター。
【請求項7】
前記偏光する部分は、半透明でありカラーフィルターではない、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の3Dプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に三次元画像の生成に関する。より詳細には、本発明は二次元画像の三次元画像への変換及びその三次元画像の投影に関する。
【背景技術】
【0002】
投影される画像は、この投影される画像をいわゆる三次元画像に変換することにより、奥行きを向上させることができることがよく知られている。このことは一般に、見る人の右目により見られる画像とは異なって見る人の左目により見られる、画像を光学的に偏光することにより、達成することができる。見る人が偏光された画像を偏光フィルターレンズの使用を通じて見る場合に、三次元効果は見る人により認識される。この偏光フィルターレンズは、一般に、見る人の左目と使用するための偏光されたフィルターと見る人の右目と使用するための異なって偏光されたフィルターとにより、「三次元閲覧メガネ(3D viewing glasses)」として構成される。三次元閲覧メガネが三次元画像を見るために使われる場合、見る人の左目は、左目と関連付けられた偏光フィルターを通じた通過のために適切に偏光された光だけを見て、見る人の右目は、見る人の右目と関連付けられた偏光フィルターを通じた通過のために適切に偏光された光だけを見る。三次元画像を表示する上記の方法は、受動的三次元閲覧(passive 3D viewing)として知られ、受動的三次元閲覧は、上で論じた一組のパッシブステレオメガネの対応する偏光フィルターを通して各々の目の画像が通過するような方法で、プロジェクターが典型的なフレームレートの2倍で左目の情報と右目の情報とを交互にし、プロジェクターのレンズ前方のスクリーン/フィルター/偏光ブロッカーが投影される画像の偏光を交互にする。
【0003】
受動的三次元閲覧に取って代わるものは、能動的三次元閲覧(active 3D viewing)であって、能動的三次元閲覧は、各々の見る人は、LCDライトシャッター(LCD light shutters)のメガネを掛ける。これは、プロジェクターと同時に働いて、プロジェクターが左目の画像を表示するとき、アクティブステレオのメガネ類の右目のシャッターは閉じられるようにする。逆もまた同様である。三次元画像を提供する現在のシステムの一つの問題は、映写技師が、標準のプロジェクターに外部の特殊なデバイスを取り付けて構成しなければならず、費用及び時間がかかる要求はまた、技術的な故障へ導く。さらに、映写技師が二次元画像のみを投影することを再び望むとき、特殊なデバイスを手動で取り外すか、または止めなければならない。加えて、投影レンズの面と平行にプロジェクターに取り付けられるこのようなデバイスを持つことは、光が、光が生じる撮像装置に戻って反射される危険を導く。このことは、しばしば、カラープロダクションにおけるより低い画質及び白黒プロダクションにおける望ましくないコントラスト比変化を引き起こす。
【0004】
現在の二次元/三次元プロジェクターに関する別の問題は、典型的な単一のプロジェクターシステムによって達成される色域が、映画の監督によって意図されるのと同じくらいに広域ではないことである。ここで図1(従来技術)を参照すると、典型的な三色プリズム100が示される。プリズム100は、典型的に、3チップデジタルマイクロミラーデバイスプロジェクターとともに使用される。図示するように、光ビーム102はプリズム100に入り、周知の光学コーティング法に反応して、光の波長に基づいて選択的に反射され、または透過される。さらに、プリズム100の構成要素間に小さいエアギャップを設けるような全内反射技術を使用して、光ビーム100の分かれた成分の反射を制御することができる。3つの色成分に分けられた後、光ビーム102の各々の色成分は、プリズム100に向けられて、デジタルマイクロミラーデバイスによりプリズム100の外に選択的に反射される。特に、デジタルマイクロミラーデバイス104は、光ビーム102の青色成分を反射し、デジタルマイクロミラーデバイス106は、光ビーム102の緑色成分を反射し、デジタルマイクロミラーデバイス108は、光ビーム102の赤色成分を反射する。各々のデジタルマイクロミラーデバイス104、106、108を、周知のやり方で個々に制御し、プリズム100から投影される合成されたカラー画像を作ることができる。三次元画像を表示する多くの進んだ方法があるが、改善の余地は残存する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、半透明で回転可能な中空シリンダーを有する三次元画像プロジェクターに向けられている。中空シリンダーは、1個より多い、異なって偏光される部分を有し、プロジェクターは、一般的には直交して中空シリンダーの壁を通り抜けて光ビームを送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】従来技術による光ビームを3つの色成分に分けるために用いられるプリズムの直交概略図を示す図である。
図2】本発明による偏光ドラムの斜視概略図を示す図である。
図3】本発明による三次元プロジェクターの直交概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面の図2を参照すると、本発明の第一の実施形態による偏光ドラム(または中空シリンダー)が示される。偏光ドラム200は、半透明物質から形成される回転可能なドラムのような構造(または中空シリンダー)である。ドラム200は通常、ドラム200の内面204に一般には直交して光を向けさせることにより、ドラム200を通して光を送るために、指向性光透過デバイス(または光パイプ)202と非常に接近して、または隣接して設置される物質の円筒状のバンドとして示される。その結果、光は半透明物質を通って通過し、ドラム200の外面206を通って(ドラムの壁を通って)ドラム200から出る。図示するように、ドラムは、放射状に交互のP偏光部208(または右円偏光部)とS偏光部210(または左円偏光部)とに分けられる。作動中、二次元画像を、指向性光透過デバイス202を通って、及び、ドラム200が中心軸のまわりを回転する間に、続けて偏光ドラム200を通って透過させることにより、二次元画像を三次元画像に変換することができる。このドラム200は制御されたスピードで回転し、画像を部分208、210、それぞれを通して送ることにより、画像の各フレームをP偏光またはS偏光のいずれかとして適切に偏光する。
【0008】
図面の図3を参照すると、本発明の実施形態による三次元プロジェクターが示される。プロジェクター300は、リフレクター304を有する光源302と、デバイス202と類似の指向性光透過デバイス306と、ドラム200と類似の偏光ドラム308と、光リレー(relay optics)310と、プリズム100と類似のプリズム312と、それぞれ、デジタルマイクロミラーデバイス104、106、108と類似のデジタルマイクロミラーデバイス314、316、318とを備える。動作中、光源302は、指向性光透過デバイス306に光ビーム320を発し、次いで、指向性光透過デバイス306は、偏光ドラム308が中心軸のまわりを回転するにつれて、偏光ドラム308を通り抜けて、光を向かわせる。この光ビーム320は、次いで、光ビーム320をプリズム312に向かわせる光リレー310を通って行く。プリズム312は、光ビーム320を別個の色成分に分けて、光ビーム320のこの色成分をデジタルマイクロミラーデバイス314、316、318に向かわせる。これらのデジタルマイクロミラーデバイスは、それぞれ、青色、緑色、及び赤色に関連付けられている。上述のように、光ビーム320の色成分は、続けて、デジタルマイクロミラーデバイス314、316、318によりプリズム312の外へ向けられる。見る人が偏光フィルターメガネを掛けたとき(図示せず)、三次元画像は、投影された画像の見る人によって認識される。この偏光フィルターメガネは、見る人の各々の目に、メガネを通じた光のP偏光部及びS偏光部のうちの一つだけを許容する。各々の目は全ての他のフレームを見るだけであるので、プロジェクターは、通常の二次元モードとは対照的に三次元モードにおいて、約2倍の数のフレーム・パー・セカンドを示すべきである。代替的に、偏光フィルターメガネを掛けていない見る人の両方の目によって同時に見られるフレームだけを含む画像データを投影すること、及び、随意的に偏光ドラム306を回転させないことにより、このプロジェクターを二次元プロジェクターとして使用することができる。回転及び/または偏光ドラムのプロジェクター300への取り付けを、ソフトウェア命令及びプロジェクター300のユーザーによるこれ以上はない機械的相互作用により、随意的に制御することができる。
【0009】
本発明の一態様はまた、二次元画像を三次元画像に変換する方法を含み、この方法において、二次元画像は、中空シリンダーが回転するにつれて、半透明偏光中空シリンダー(すなわちドラム)を通して投影されて、投影される二次元画像が一般的には直交して中空シリンダーの壁を通り抜けて投影されるようにする。この方法は、中空シリンダーのP偏光部及びS偏光部を通して交互に投影されている二次元画像を含む。代替的に、この投影される二次元画像を、中空シリンダーの右円偏光部及び左円偏光部を通して交互に投影することができる。中空シリンダーを通して二次元画像を投影した後、この画像は光ビームを三原色成分に分けて、この原色成分の各々を別個のデジタルマイクロミラーデバイスに向かわせるように構成されたプリズムに投影される。さらに、ソフトウェア命令に応じて、中空シリンダーの回転を選択的に妨げるステップを含むことができる。この方法では、回転可能な中空シリンダーは、異なって偏光される部分を有する半透明の壁を備える。
【0010】
図2では、6個の別個の偏光部が示されるが、より少ないまたはより多い数の異なった別個の偏光部を利用することができることが、理解されるべきである。さらに、偏光部は一般にカラーフィルターではないように設計されるが、偏光部もカラーフィルターである実施形態は、本発明の一態様とみなされる。
【0011】
前述は、本発明の実践のための幾つかの可能性を示すだけである。多くの他の実施形態が本発明の範囲及び趣旨内で可能である。従って、前述の説明は、限定というよりむしろ説明としてみなされること、及び本発明の範囲は添付した特許請求の範囲とその全域にわたる均等物によって与えられることが意図される。
本発明の好ましい実施形態を、以下に示す。
付記1.1個より多い異なって偏光される部分を有する回転可能な中空シリンダーを備えるプロジェクターであって、光ビームを一般的には直交して前記中空シリンダーの壁を通り抜けて送ることができるプロジェクター。
付記2.前記光ビームは、前記中空シリンダーが前記中空シリンダーの中心軸のまわりを回転するにつれて、前記中空シリンダーの壁を通り抜けて送られることを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
付記3.前記異なって偏光される部分は、P偏光またはS偏光のいずれかのように偏光されることを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
付記4.各々のP偏光部は、S偏光部と一般的には放射状に境を接し、各々のS偏光部は、P偏光部と一般的には放射状に境を接することを特徴とする付記3に記載のプロジェクター。
付記5.前記異なって偏光される部分は、右円偏光されるかまたは左円偏光されるかのいずれかのように偏光されることを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
付記6.各々の右円偏光された部分は、左円偏光された部分と一般的には放射状に境を接し、各々の左円偏光された部分は、右円偏光された部分と一般的には放射状に境を接することを特徴とする付記5に記載のプロジェクター。
付記7.光ビームを三原色成分に分けて、前記原色成分の各々を別個のデジタルマイクロミラーデバイスに向けさせるように構成されたプリズムをさらに備えることを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
付記8.選択的に前記中空シリンダーの回転を妨げることができるソフトウェア指示をさらに備えることを特徴とする付記1にプロジェクター。
付記9.選択的に、前記中空シリンダーを前記プロジェクターに取り付けて、前記中空シリンダーを前記プロジェクターから取り外すことができるソフトウェア指示をさらに備えることを特徴とする付記1にプロジェクター。
付記10.前記プロジェクターは、三次元プロジェクターであって、偏光する部分は、半透明でありカラーフィルターではないことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
付記11.中空シリンダーが回転するにつれて、半透明偏光中空シリンダーを通して二次元画像を投影するステップを備えることを特徴とする二次元画像を三次元画像に変換する方法。
付記12.前記投影される二次元画像は、一般的には直交して前記中空シリンダーの壁を通り抜けて投影されることを特徴とする付記11に記載の方法。
付記13.前記投影される二次元画像は、前記中空シリンダーのP偏光部とS偏光部とを通して交互に投影されることを特徴とする付記11に記載の方法。
付記14.前記投影される二次元画像は、前記中空シリンダーの右円偏光された部分と左円偏光された部分とを通して交互に投影されることを特徴とする付記11に記載の方法。
付記15.前記中空シリンダーを通して前記二次元画像を投影した後、前記画像を、光ビームを三原色成分に分けて前記原色成分の各々を別個のデジタルマイクロミラーデバイスに向けさせるように構成されたプリズムに投影するステップをさらに備えることを特徴とする付記11に記載の方法。
付記16.ソフトウェア指示に応じて前記中空シリンダーの回転を選択的に妨げるステップをさらに備えることを特徴とする付記11に記載の方法。
付記17.三次元プロジェクターのためのドラムであって、前記ドラムは、異なって偏光される部分を有する半透明の壁を備えることを特徴とするドラム。
付記18.前記異なって偏光される部分は、P偏光またはS偏光のいずれかのように偏光されることを特徴とする付記17に記載のドラム。
付記19.各々のP偏光部は、S偏光部と一般的には放射状に境を接し、各々のS偏光部は、P偏光部と一般的には放射状に境を接することを特徴とする付記18に記載のドラム。
付記20.前記異なって偏光される部分は、右円偏光されるかまたは左円偏光されるかのいずれかのように偏光されることを特徴とする付記17に記載のドラム。
付記21.各々の右円偏光された部分は、左円偏光された部分と一般的には放射状に境を接し、各々の左円偏光された部分は、右円偏光された部分と一般的には放射状に境を接することを特徴とする付記20に記載のドラム。
図1
図2
図3