特許第5727146号(P5727146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5727146レーダアンテナ装置、レーダアンテナ駆動ユニットおよび船舶レーダアンテナ用電力供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727146
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】レーダアンテナ装置、レーダアンテナ駆動ユニットおよび船舶レーダアンテナ用電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 17/00 20060101AFI20150514BHJP
   H01P 1/06 20060101ALI20150514BHJP
   H01Q 3/04 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   H02J17/00 B
   H02J17/00 X
   H01P1/06
   H01Q3/04
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-24518(P2010-24518)
(22)【出願日】2010年2月5日
(65)【公開番号】特開2011-166885(P2011-166885A)
(43)【公開日】2011年8月25日
【審査請求日】2013年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000214836
【氏名又は名称】長野日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100096976
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純
(72)【発明者】
【氏名】須藤 正則
(72)【発明者】
【氏名】横井 行雄
(72)【発明者】
【氏名】谷屋 明彦
【審査官】 早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−280801(JP,A)
【文献】 特開2009−106136(JP,A)
【文献】 特開平10−253752(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0284220(US,A1)
【文献】 特開昭62−112403(JP,A)
【文献】 特開2008−227731(JP,A)
【文献】 特開平10−270272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J17/00
H02J7/00−7/12
H01P1/00−1/08
H01Q3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを支持するアンテナ支持部と、
前記アンテナ支持部に動力を与えるアンテナ駆動部と、
を備えるレーダアンテナ装置において、
前記アンテナ支持部に設けられ、前記アンテナに送信信号を出力し、前記アンテナで受信された受信信号を取得する送受信部を備え、
前記アンテナ支持部は、
受信側コイルと、
磁界発生装置が備える送信側共振回路と共鳴する受信側共振回路を、前記受信側コイルと共に形成し、前記磁界発生装置から共鳴によって得られた電力を前記送受信部へと導く電力伝送部と、
を備え、
前記電力伝送部は、
可変容量コンデンサと、
前記磁界発生装置との間の通信によって、前記送信側共振回路が備える送信側コイルについての反射電力計測値を取得する通信部と、
前記反射電力計測値に基づいて前記可変容量コンデンサの容量を制御し、前記受信側共振回路と前記送信側共振回路とを共鳴させる共振制御部と、
を備えることを特徴とするレーダアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダアンテナ装置において、
前記電力伝送部は、
前記反射電力計測値に加えて、前記受信側コイルによる受信電力に基づいて前記可変容量コンデンサの容量を制御することを特徴とするレーダアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーダアンテナ装置において、
前記送受信部は、
前記磁界発生装置から共鳴によって得られた交流電力に含まれる変調成分を抽出する変調成分抽出手段と、
前記送受信部に対する制御情報を前記変調成分から抽出する制御情報抽出手段と、
を備えることを特徴とするレーダアンテナ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のレーダアンテナ装置と、
前記磁界発生装置と、
を備えるレーダアンテナ駆動ユニットにおいて、
前記磁界発生装置は、
交流電圧を生成する電圧生成部と、
前記電圧生成部が生成した交流電圧を、前記送受信部に対する制御情報を含む制御信号によって変調する変調部と、
前記送信側共振回路を形成し、前記変調部によって変調処理が施された交流電圧に基づく電力を共鳴によって前記電力伝送部へと導く共鳴伝送部と、
を備えることを特徴とするレーダアンテナ駆動ユニット。
【請求項5】
アンテナと、
前記アンテナに送信信号を出力し、前記アンテナで受信された受信信号を取得する送受信部と、を備える船舶レーダアンテナ装置と共に用いられ、前記送受信部に電力を供給する船舶レーダアンテナ用電力供給装置において、
交流電圧を生成する電圧生成部と、
送信側コイルと、
前記船舶レーダアンテナ装置が備える受信側共振回路と共鳴する送信側共振回路を、前記送信側コイルと共に形成し、交流電圧に基づく電力を共鳴によって前記船舶レーダアンテナ装置へと導く共鳴伝送部と、
を備え、
前記船舶レーダアンテナ装置は船室外に設けられ、船舶レーダアンテナ用電力供給装置は船室内に設けられ、
前記共鳴伝送部は、
可変容量コンデンサと、
前記送信側コイルにおける反射電力に基づいて前記可変容量コンデンサの容量を制御し、前記送信側共振回路と前記受信側共振回路とを共鳴させる共振制御部と、
前記船舶レーダアンテナ装置との間の無線通信によって、前記受信側共振回路についての受信電力計測値を取得する通信部と、を備え、
前記共振制御部は、前記反射電力に加えて、前記受信電力計測値に基づいて前記可変容量コンデンサの容量を制御することを特徴とする船舶レーダアンテナ用電力供給装置。
【請求項6】
アンテナと、
前記アンテナに送信信号を出力し、前記アンテナで受信された受信信号を取得する送受信部と、を備える船舶レーダアンテナ装置と共に用いられ、前記送受信部に電力を供給する船舶レーダアンテナ用電力供給装置において、
交流電圧を生成する電圧生成部と、
送信側コイルと、
前記船舶レーダアンテナ装置が備える受信側共振回路と共鳴する送信側共振回路を、前記送信側コイルと共に形成し、交流電圧に基づく電力を共鳴によって前記船舶レーダアンテナ装置へと導く共鳴伝送部と、
を備え、
前記船舶レーダアンテナ装置は船室外に設けられ、船舶レーダアンテナ用電力供給装置は船室内に設けられ、
前記共鳴伝送部は、
可変容量コンデンサと、
前記送信側コイルにおける反射電力に基づいて前記可変容量コンデンサの容量を制御し、前記送信側共振回路と前記受信側共振回路とを共鳴させる共振制御部と、
を備え、
前記船舶レーダアンテナ用電力供給装置は、さらに、
前記電圧生成部が生成した交流電圧を、前記送受信部に対する制御情報を含む制御信号によって変調する変調部を備え、
前記共鳴伝送部は、前記変調部によって変調処理が施された交流電圧に基づく電力を共鳴によって前記船舶レーダアンテナ装置へと導くことを特徴とする船舶レーダアンテナ用電力供給装置。
【請求項7】
請求項5に記載の船舶レーダアンテナ用電力供給装置において、
前記電圧生成部が生成した交流電圧を、前記送受信部に対する制御情報を含む制御信号によって変調する変調部を備え、
前記共鳴伝送部は、前記変調部によって変調処理が施された交流電圧に基づく電力を共鳴によって前記船舶レーダアンテナ装置へと導くことを特徴とする船舶レーダアンテナ用電力供給装置。
【請求項8】
船舶に搭載される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーダアンテナ装置において、
前記アンテナ支持部の姿勢角を船舶の傾きに応じて補償するスタビライザを備えることを特徴とするレーダアンテナ装置。
【請求項9】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項8のいずれか1項に記載のレーダアンテナ装置において、
前記送受信部は、前記受信信号を光信号または電磁波信号に変換し、物標検出処理を行う装置に変換後の信号を送信する変換送信手段、を備えることを特徴とするレーダアンテナ装置。
【請求項10】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項8のいずれか1項に記載のレーダアンテナ装置において、
前記送受信部は、当該送受信部と共に用いられる制御装置から送信され、当該送受信部に対する制御情報を含む光信号または電磁波信号を受信する制御情報受信手段、を備えることを特徴とするレーダアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ支持部とアンテナ支持部を駆動する手段とを備えるレーダアンテナ装置、レーダアンテナ装置とその電力供給手段とを備えるレーダアンテナ駆動ユニット、およびレーダアンテナ装置に電力を供給するレーダアンテナ用電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上から上空の航空機を検出する航空機レーダシステム、海、湖沼、河川等における障害物を検出する船舶レーダシステム等が広く用いられている。このようなレーダシステムには、アンテナを回転駆動し、アンテナの指向性最大方向を物標検出平面内で回転させつつ電磁波を送受信するものがある。図9にレーダシステムの一部をなすレーダアンテナ駆動ユニットの構成を示す。このレーダアンテナ駆動ユニットは、操作パネルおよび表示画面等を備える指示機と組み合わされることでレーダシステムを構成する。図9に示すように、アンテナ90はアンテナ支持台92に取り付けられている。固定ユニット94はアンテナ支持台92に取り付けられた回転支柱96に回転力を与え、アンテナ支持台92を回転させる。これによって、アンテナ90はアンテナ支持台92と共に回転する。
【0003】
なお、以下の特許文献1および2には、アンテナを回転駆動するレーダシステムについて記載されている。特許文献3には、アンテナの固定部から回転部に電力を供給する装置について記載されている。非特許文献1には、本発明に関連する電力供給技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−253752号公報
【特許文献2】特開2001−211013号公報
【特許文献3】特開平10−270272号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】野澤哲生,"コイル間の効率は98%以上 長野日本無線が無線給電装置を公開 1対N型での高い伝送効率実現も視野に",日経エレクトロニクス,2009年10月5日,第1014号,p.12−13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9のレーダアンテナ駆動ユニットでは、アンテナ90を介して電磁波を送受信する送受信部98が、アンテナ支持台92に搭載されている。このような構成では、固定ユニット94が静止している一方で、送受信部98がアンテナ支持台92と共に回転する。したがって、固定ユニット94から送受信部98に電源電力を供給する場合、固定ユニット94から送受信部98に電源電力を供給する回路の機械的な構造が複雑となる。例えば、図9のレーダシステムでは、回転支柱96周りのスリップリング102およびブラシ106が用いられている。ブラシ106には、固定ユニット94から電力を導く電力供給ケーブル104が接続され、スリップリング102には送受信部98に電源電力を導く電力供給ケーブル100に接続されている。これは、スリップリング102とブラシ106とがスライド接触することで、固定ユニット94から送受信部98に電源電力が供給されるものであり、電力供給のための構造は複雑である。
【0007】
本発明はこのような課題に対してなされたものである。すなわち、レーダアンテナを駆動する装置において、アンテナと共に動力が与えられる装置に電源電力を供給する機械的な構造を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、アンテナを支持するアンテナ支持部と、前記アンテナ支持部に動力を与えるアンテナ駆動部と、を備えるレーダアンテナ装置において、前記アンテナ支持部に設けられ、前記アンテナに送信信号を出力し、前記アンテナで受信された受信信号を取得する送受信部を備え、前記アンテナ支持部は、受信側コイルと、界発生装置が備える送信側共振回路と共鳴する受信側共振回路を、前記受信側コイルと共に形成し、前記磁発生装置から共鳴によって得られた電力を前記送受信部へと導く電力伝送部と、を備え、前記電力伝送部は、可変容量コンデンサと、前記磁界発生装置との間の通信によって、前記送信側共振回路が備える送信側コイルについての反射電力計測値を取得する通信部と、前記反射電力計測値に基づいて前記可変容量コンデンサの容量を制御し、前記受信側共振回路と前記送信側共振回路とを共鳴させる共振制御部と、を備えることを特徴とする。望ましくは、前記電力伝送部は、前記反射電力計測値に加えて、前記受信側コイルによる受信電力に基づいて前記可変容量コンデンサの容量を制御する。
【0009】
また、本発明に係るレーダアンテナ装置においては、前記送受信部は、前記磁発生装置から共鳴によって得られた交流電力に含まれる変調成分を抽出する変調成分抽出手段と、前記送受信部に対する制御情報を前記変調成分から抽出する制御情報抽出手段と、 を備えることが好適である。
【0010】
また、前記レーダアンテナ装置と、前記磁界発生装置とを備える、本発明に係るレーダアンテナ駆動ユニットにおいては、前記磁界発生装置は、交流電圧を生成する電圧生成部と、前記電圧生成部が生成した交流電圧を、前記送受信部に対する制御情報を含む制御信号によって変調する変調部と、送信側共振回路を形成し、前記変調部によって変調処理が施された交流電圧に基づく電力を共鳴によって前記電力伝送部へと導く共鳴伝送部と、 を備えることが好適である。
【0011】
また、本発明は、アンテナと、前記アンテナに送信信号を出力し、前記アンテナで受信された受信信号を取得する送受信部と、を備える船舶レーダアンテナ装置と共に用いられ、前記送受信部に電力を供給する船舶レーダアンテナ用電力供給装置において、交流電圧を生成する電圧生成部と、送信側コイルと、前記船舶レーダアンテナ装置が備える受信側共振回路と共鳴する送信側共振回路を、前記送信側コイルと共に形成し、交流電圧に基づく電力を共鳴によって前記船舶レーダアンテナ装置へと導く共鳴伝送部と、を備え、前記船舶レーダアンテナ装置は船室外に設けられ、船舶レーダアンテナ用電力供給装置は船室内に設けられ、前記共鳴伝送部は、可変容量コンデンサと、前記送信側コイルにおける反射電力に基づいて前記可変容量コンデンサの容量を制御し、前記送信側共振回路と前記受信側共振回路とを共鳴させる共振制御部と、前記船舶レーダアンテナ装置との間の無線通信によって、前記受信側共振回路についての受信電力計測値を取得する通信部と、を備え、前記共振制御部は、前記反射電力に加えて、前記受信電力計測値に基づいて前記可変容量コンデンサの容量を制御することを特徴とする。また、本発明は、アンテナと、前記アンテナに送信信号を出力し、前記アンテナで受信された受信信号を取得する送受信部と、を備える船舶レーダアンテナ装置と共に用いられ、前記送受信部に電力を供給する船舶レーダアンテナ用電力供給装置において、交流電圧を生成する電圧生成部と、送信側コイルと、前記船舶レーダアンテナ装置が備える受信側共振回路と共鳴する送信側共振回路を、前記送信側コイルと共に形成し、交流電圧に基づく電力を共鳴によって前記船舶レーダアンテナ装置へと導く共鳴伝送部と、を備え、前記船舶レーダアンテナ装置は船室外に設けられ、船舶レーダアンテナ用電力供給装置は船室内に設けられ、前記共鳴伝送部は、可変容量コンデンサと、前記送信側コイルにおける反射電力に基づいて前記可変容量コンデンサの容量を制御し、前記送信側共振回路と前記受信側共振回路とを共鳴させる共振制御部と、を備え、前記船舶レーダアンテナ用電力供給装置は、さらに、前記電圧生成部が生成した交流電圧を、前記送受信部に対する制御情報を含む制御信号によって変調する変調部を備え、前記共鳴伝送部は、前記変調部によって変調処理が施された交流電圧に基づく電力を共鳴によって前記船舶レーダアンテナ装置へと導くことを特徴とする。また、望ましくは、前記電圧生成部が生成した交流電圧を、前記送受信部に対する制御情報を含む制御信号によって変調する変調部を備え、前記共鳴伝送部は、前記変調部によって変調処理が施された交流電圧に基づく電力を共鳴によって前記船舶レーダアンテナ装置へと導く。
【0012】
また、船舶に搭載される本発明に係るレーダアンテナ装置においては、前記アンテナ支持部の姿勢角を船舶の傾きに応じて補償するスタビライザを備えることが好適である。
【0013】
また、本発明に係るレーダアンテナ装置においては、前記送受信部は、前記受信信号を光信号または電磁波信号に変換し、物標検出処理を行う装置に変換後の信号を送信する変換送信手段、を備えることが好適である。
【0014】
また、本発明に係るレーダアンテナ装置においては、前記送受信部は、当該送受信部と共に用いられる制御装置から送信され、当該送受信部に対する制御情報を含む光信号または電磁波信号を受信する制御情報受信手段、を備えることが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レーダアンテナを駆動する装置において、アンテナと共に動力が与えられる装置に電源電力を供給する機械的な構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係るレーダシステムの構成を示す図である。
図2】電源送信部および電源受信供給部の構成を示す図である。
図3】アンテナ送受信部と制御部との間の信号の送受信を光通信によって行うレーダシステムの構成を示す図である。
図4】第2実施形態に係るレーダシステムの構成を示す図である。
図5】変調/電源送信部の構成を示す図である。
図6】電源受信供給部および復調部の構成を示す図である。
図7】第3実施形態に係るレーダシステムの構成を示す図である。
図8】第4実施形態に係るレーダシステムの構成を示す図である。
図9】レーダシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に本発明の第1実施形態に係るレーダシステムの構成を示す。レーダシステムは、レーダアンテナ駆動ユニット12および指示機42を備える。レーダアンテナ駆動ユニット12は、アンテナ支持台22に取り付けられた可動ユニット10、および回転支柱24を介してアンテナ支持台22を支持する固定ユニット36を備える。指示機42は、固定ユニット36に通信接続され、固定ユニット36の筐体とは別の筐体内に備えられる。
【0018】
レーダアンテナ駆動ユニット12は、レドームに収納して屋外に配置してもよい。指示機42は、レーダシステムの操作室に配置してもよい。レーダシステムを船舶レーダシステムとして用いる場合には、レーダアンテナ駆動ユニット12をレドームに収納して船室の屋根、甲板等に配置し、指示機42を船室等の屋内に配置してもよい。
【0019】
アンテナ支持台22は板状に形成されている。アンテナ支持台22の下面の重心には、板面に対し垂直下方向に延伸し、固定ユニット36へと至る回転支柱24が取り付けられている。固定ユニット36が備える駆動部34は回転支柱24に回転力を与える。これによってアンテナ支持台22は、回転支柱24の取り付け位置を中心に回転する。
【0020】
可動ユニット10は、アンテナ14、およびアンテナ14に送信信号を出力し、アンテナ14の受信信号を取得するアンテナ送受信部16を備える。また、可動ユニット10は、アンテナ送受信部16からインターフェース部20を介して出力された受信信号を無線信号に変換すると共に、受信した無線信号を有線伝送信号(電気信号等)に変換しインターフェース部20を介してアンテナ送受信部16に出力する無線LAN端末28を備える。可動ユニット10は、さらに、固定ユニット36から後述の磁気結合共鳴によって送信された電力を受信し、可動ユニット10が備える各部に電源電力を供給する電源受信供給部18を備える。
【0021】
固定ユニット36は、指示機42から与えられた指示情報に基づいて、アンテナ送受信部16を制御して物標検出処理を行う制御部38を備える。また、磁気結合共鳴によって可動ユニット10の電源受信供給部18に電力を送信する電源送信部40を備える。固定ユニット36は、さらに、制御部38から出力された有線伝送信号を無線信号に変換すると共に、受信した無線信号を有線伝送信号に変換し、その有線伝送信号を制御部38に出力する無線LAN端末32を備える。無線LAN端末28および32は、互いに無線信号の送受信を行う。無線LAN端末28および32には、複数の無線LAN端末がホスト端末を介在させて相互間の通信を行う方式のものを用いてもよいし、ホスト端末を介在させずに相互間で通信を行う方式のものを用いてもよい。また、無線LAN端末の他、一般の無線通信端末を用いてもよい。
【0022】
インターフェース部20と制御部38との位置関係は、回転支柱24の回転に伴って変化する。そのため、これらの間の通信接続をケーブル等によって行うと機械的な構造が複雑となる。そこで、本実施形態においては、インターフェース部20と制御部38との間の信号の送受信を、無線LAN端末28と無線LAN端末32との間の無線通信によって行い、インターフェース部20と制御部38とを通信接続する機械的な構造を単純化している。
【0023】
レーダシステムが物標を検出し、物標の像を示す画像データを指示機42に表示する処理について説明する。この処理は、アンテナ14が回転した状態において、電磁波のレーダRF信号がアンテナ14において送受信されるよう、制御部38がアンテナ送受信部16を制御することで行われる。
【0024】
制御部38は、アンテナ送受信部16に対する制御信号を無線LAN端末32に出力する。ここで、制御信号は、送信プリトリガ信号およびパルス幅切り替え信号が重畳された信号を含む。送信プリトリガ信号は、アンテナ送受信部16の送信信号出力タイミングを規定する信号であり、パルス幅切り替え信号は、送信信号のパルス幅を規定する信号である。制御信号は、送信プリトリガ信号およびパルス幅切り替え信号以外の信号を含んでいてもよい。無線LAN端末32は、制御信号を無線信号に変換し、その無線信号を無線LAN端末28に送信する。無線LAN端末28は、受信した無線信号を元の制御信号に変換し、その制御信号をインターフェース部20に出力する。
【0025】
インターフェース部20は、制御信号から送信プリトリガ信号およびパルス幅切り替え信号を分離して抽出し、アンテナ送受信部16に出力する。アンテナ送受信部16は、パルス幅切り替え信号に応じたパルス幅を有するパルス信号を生成する。そして、そのパルス信号で変調されたレーダRF信号を送信プリトリガ信号に応じたタイミングでアンテナ14に出力する。アンテナ14から送信され物標で反射したレーダRF信号は、アンテナ14で受信される。アンテナ14は、受信したレーダRF信号をアンテナ送受信部16に出力する。
【0026】
アンテナ送受信部16は、受信したレーダRF信号に基づいて、アンテナ14の送受信方向における物標の像を示すエコー信号を生成し、インターフェース部20に出力する。
【0027】
インターフェース部20は、エコー信号をデジタル信号に変換し、無線LAN端末28に出力する。無線LAN端末28は、デジタル化されたエコー信号を無線信号に変換し、その無線信号を無線LAN端末32に送信する。無線LAN端末32は、受信した無線信号を元のデジタル化されたエコー信号に変換し、そのエコー信号を制御部38に出力する。
【0028】
制御部38は、アンテナ14の指向性最大方向を示すアンテナ方向角を駆動部34から取得する。そして、アンテナ方向角とエコー信号を指示機42に出力する。指示機42はアンテナ方位角とエコー信号より、物標の方位と距離を求め、例えば、極座標表示画面上の相当する方位と距離に物標の像を表示する。
【0029】
制御部38は、アンテナ方向角が所定角度だけ変化するごとに、パルス信号の送受信制御を実行する。制御部38は、さらに、アンテナ方向角が所定角度だけ変化するごとに、アンテナ方位角とエコー信号を指示機42に出力し、指示機42の表示画面上に物標の像を表示させる。これによって、レーダシステムを中心とした360°方向または予め定められた方位内の物標の像を指示機42に表示することができる。
【0030】
本実施形態に係るレーダシステムにおいては、磁気結合共鳴を用いて電力伝送を行うことにより、固定ユニット36から可動ユニット10に電源電力を供給する回路の機械的な構造を単純化している。以下に、その具体的構成について説明する。
【0031】
固定ユニット36および可動ユニット10は、それぞれ、電源送信部40および電源受信供給部18を備える。電源送信部40には、回転支柱24を囲むよう配置されたループ状の送信側コイル26が接続されている。電源受信供給部18には、回転支柱24を囲むよう配置され、可動ユニット10と共に回転支柱24を中心に回転するループ状の受信側コイル30が接続されている。送信側コイル26および受信側コイル30は、互いに磁気結合することが可能な距離を隔てて配置されている。
【0032】
電源送信部40および送信側コイル26は電力送信側の共振回路を構成し、電源受信供給部18および受信側コイル30は電力受信側の共振回路を構成する。電源送信部40および電源受信供給部18は、相互間の無線通信によって、これらの共振回路が共鳴(結合共振)するよう、各共振回路の共振状態を調整する。これによって、電源送信部40から電源受信供給部18には、電力送信側の共振回路と電力受信側の共振回路との共鳴に基づいて電力が伝送される。
【0033】
次に、電源送信部40および電源受信供給部18が電力伝送を行う処理について説明する。図2(a)および(b)に、それぞれ、電源送信部40および電源受信供給部18の構成を示す。まず、電源送信部40が実行する基本的な処理について説明する。
【0034】
交流電圧生成部44は、反射電力計測部46を介して、第1整合部48に交流電圧を出力する。第1整合部48は、第1共振制御部50の制御によって容量が調整される可変容量コンデンサを備える。この可変容量コンデンサは、送信側コイル26と共に共振回路を構成する。第1整合部48は、可変容量コンデンサの容量の調整によって共振周波数等の共振状態が制御される。第1整合部48は、可変容量コンデンサの調整に基づいて定まる共振状態で、交流電圧生成部44から出力された交流電圧を送信側コイル26に出力する。送信側コイル26は、第1整合部48から出力された交流電圧に基づいて交番磁界を発生する。
【0035】
次に、電源受信供給部18が実行する基本的な処理について説明する。第2整合部54は、第2共振制御部60の制御によって容量が調整される可変容量コンデンサを備える。この可変容量コンデンサは、受信側コイル30と共に共振回路を構成する。第2整合部54は、可変容量コンデンサの容量の調整によって、共振周波数等の共振状態が制御される。
【0036】
送信側コイル26が発生した交番磁界は受信側コイル30に到達する。これによって、受信側コイル30は、電磁誘導による交流電圧(誘導起電力)を発生する。第2整合部54は可変容量コンデンサの調整に基づいて定まる共振状態で、受信側コイル30が発生した交流電圧に基づく交流電圧を整流部56に出力する。整流部56は、交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧に基づく電力を電力計測部58を介してアンテナ送受信部16、インターフェース部20、無線LAN端末28その他の可動ユニット10が備える機器に出力する。
【0037】
次に、電源送信部40および電源受信供給部18が、送信側の共振回路と受信側の共振回路とを共鳴させる処理について説明する。反射電力計測部46は、第1整合部48から送信側コイル26に向けて供給され、送信側コイル26で反射した電力を計測し、その計測値を反射電力計測値として第1共振制御部50に出力する。電力計測部58は、整流部56から出力された直流電力を計測し、その計測値を受信電力計測値として第2共振制御部60に出力する。
【0038】
第1共振制御部50は、第1通信部52に反射電力計測値を出力する。第1通信部52は、無線通信により第2通信部62に反射電力計測値を出力する。第2通信部62は、反射電力計測値を第2共振制御部60に送信する。第2共振制御部60は、第2通信部62に受信電力計測値を出力する。第2通信部62は、無線通信により第1通信部52に受信電力計測値を送信する。第1通信部52は、受信電力計測値を第1共振制御部50に出力する。このような処理によって、第1共振制御部50および第2共振制御部60は、反射電力計測値および受信電力計測値を共有する。
【0039】
第1共振制御部50は、反射電力計測値が極小値となり、受信電力計測値が極大値となるよう第1整合部48の可変容量コンデンサの容量を制御する。同様に、第2共振制御部60は、反射電力計測値が極小値となり、受信電力計測値が極大値となるよう第2整合部54の可変容量コンデンサの容量を制御する。
【0040】
このような構成によれば、送信側の共振回路と受信側の共振回路とを共鳴させることができる。これによって、電源送信部40から電源受信供給部18に共鳴によって電力が供給され、可動ユニット10が備える各部に電源電力が供給される。すなわち、電源送信部40および送信側コイル26は、磁界発生装置として機能すると共に、可動ユニット10に磁気結合共鳴によって電源電力を供給する電源電力供給装置として機能する。また、第2共振制御部60および第2通信部62には、整流部56から出力される電力の一部を供給することができる。これによって、電源送信部40と電源受信供給部18とを接続する電力供給ケーブルが不要となり、電力供給を行うための機械的な構造を簡素化することができる。
【0041】
なお、アンテナ送受信部16と制御部38との間の信号の送受信は、光通信によって行ってもよい。この場合のレーダシステムの構成を図3に示す。図1に示す構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。インターフェース部20には回転側光送受信部64が接続され、制御部38には固定側光送受信部66が接続される。
【0042】
回転側光送受信部64は、アンテナ送受信部16からインターフェース部20を介して出力された受信信号を光信号に変換すると共に、受信した光信号をレーダ送信信号に変換しインターフェース部20を介してアンテナ送受信部16に出力する。回転側光送受信部64は、回転支柱24の内部に固定され回転支柱24と共に回転する。
【0043】
固定側光送受信部66は、制御部38から出力された有線伝送信号(電気信号等)を光信号に変換すると共に、受信した光信号を有線伝送信号に変換し、その有線伝送信号を制御部38に出力する。
【0044】
回転支柱24は、光信号が伝搬する管状の光伝搬路を有する。この光伝搬路は、回転側光送受信部64が固定されている位置から下方に延伸し、固定側光送受信部66に向けて開口する。固定側光送受信部66と回転側光送受信部64は、光伝搬路を介して光信号の送受信を行う。
【0045】
このように光通信を用いる構成とすることで、可動ユニット10と固定ユニット36との間の電磁波伝搬条件が良好でない場合には、アンテナ送受信部16と制御部38との間の通信状況を良好にすることができる。
【0046】
本発明の第2実施形態に係るレーダシステムについて説明する。図4に本発明の第2実施形態に係るレーダシステムの構成を示す。このレーダシステムは、送信側コイル26から発せられる磁界を、アンテナ送受信部16に対する制御信号で変調するものである。可動ユニット10は、共鳴によって得られた電力に含まれる変調成分から制御信号を抽出し、アンテナ送受信部16に出力する復調部70を備える。以下では、図1に示す構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
固定ユニット36が可動ユニット10に電源電力を供給すると共に、制御信号を送信する処理について説明する。制御部38は、制御信号を変調/電源送信部68に出力する。制御信号は、アナログ信号の他、ディジタル信号、ディジタル信号に基づいて生成された同相成分信号(I信号)および直交成分信号(Q信号)等の信号形態で変調/電源送信部68に与えられてもよい。
【0048】
変調/電源送信部68は、制御信号によって変調が施された磁界が送信側コイル26から発せられるよう、次に説明するような処理を実行する。図5に変調/電源送信部68の構成を示す。図2(a)の電源送信部40の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
キャリア生成部72は、制御信号を搬送するためのキャリア信号を1次変調部74に出力する。制御部38から出力された制御信号は1次変調部74に入力される。1次変調部74は、キャリア信号に対し制御信号によって変調を施す。変調方式には、制御信号がアナログ信号である場合には、振幅変調方式、位相変調方式、周波数変調方式、これらを組み合わせた変調方式等を用いてもよい。また、制御信号がディジタル信号、I/Q信号等である場合には、BPSK、QPSK等のPSK変調方式、FSK、MSK、GMSK等の周波数変調方式、QAM変調方式等を用いてもよい。1次変調部74は、変調後の信号を1次変調信号として2次変調部76に出力する。
【0050】
交流電圧生成部44は2次変調部76に交流電圧を出力する。2次変調部76は、その交流電圧に対し1次変調信号によって変調を施す。変調方式には、振幅変調方式、位相変調方式、周波数変調方式等を用いてもよい。2次変調部76は、変調後の交流電圧を反射電力計測部46を介して第1整合部48に出力する。
【0051】
第1実施形態に係る電源送信部40が実行する処理と同様の処理によって、変調/電源送信部68は、変調後の交流電圧に応じた交番磁界を送信側コイル26に発生させる。送信側コイル26から発せられた交番磁界は受信側コイル30に到達する。
【0052】
第1実施形態と同様、変調/電源送信部68および送信側コイル26は電力送信側の共振回路を構成し、電源受信供給部18および受信側コイル30は電力受信側の共振回路を構成する。また、変調/電源送信部68および電源受信供給部18は、電力送信側の共振回路と電力受信側の共振回路とを共鳴させる。電源受信供給部18は、変調/電源送信部68から共鳴によって供給された電力を、アンテナ送受信部16、インターフェース部20、無線LAN端末28その他の可動ユニット10が備える機器に出力する。
【0053】
本実施形態に係るレーダシステムの可動ユニット10は、共鳴によって得られた電力に含まれる変調成分から制御信号を抽出し、インターフェース部20に出力する復調部70を備える。図6に電源受信供給部18および復調部70の構成を示す。図2(b)の電源受信供給部18の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
第2整合部54は、自らが備える可変容量コンデンサの調整に基づいて定まる共振状態で、受信側コイル30が発生した交流電圧を整流部56および復調部70に出力する。第2整合部54から復調部70に出力された交流電圧は、1次変調信号抽出部78に入力される。1次変調信号抽出部78は、第2整合部54から出力された交流電圧に対し、変調/電源送信部68が備える2次変調部76の変調方式に対応する復調処理を施して元の1次変調信号を抽出し、制御信号抽出部80に出力する。制御信号抽出部80は、1次変調信号に対し、変調/電源送信部68が備える1次変調部74の変調方式に対応する復調処理を施して元の制御信号を抽出し、インターフェース部20に出力する。
【0055】
なお、本実施形態では、アンテナ送受信部16と制御部38との間の通信に無線LAN端末28および32を用いている。無線LAN端末28は、インターフェース部20から出力されたデジタル化されたエコー信号を無線LAN端末32に送信する。無線LAN端末32は、受信したエコー信号を制御部38に出力する。このように、無線LAN端末を用いる代わりに、図3の構成と同様、光送受信を行う装置を用いてもよい。
【0056】
このような構成によれば、固定ユニット36から可動ユニット10への電源電力供給が、磁気結合共鳴によって行われる。これによって、固定ユニット36から可動ユニット10を接続する電源供給ケーブルが不要となり、電源電力を供給する機械的な構造を簡素化することができる。また、制御部38からインターフェース部20への制御信号の送信は、磁気結合共鳴によって行われ、インターフェース部20から制御部38へのエコー信号の送信は、無線LAN端末28および32によって行われる。これによって、インターフェース部20と制御部38との通信接続の機械的な構造を簡略化することができる。
【0057】
第3実施形態に係るレーダシステムについて説明する。図7に第3実施形態に係る船舶レーダシステムの構成を示す。図1および図4に示す構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0058】
この船舶レーダシステムは、図4の固定ユニット36の構成要素のうち、駆動部34を除く構成要素、および送信側コイル26を船室内に設けると共に、その他の構成要素を船室外に設けたものである。指示機42は、船室内に設けられた筐体内に制御部38と共に構成してもよい。
【0059】
アンテナ支持台22の下面には、アンテナ支持台22を固定支柱86に対して回転させる支持台駆動部82が固定されている。固定支柱86は、その軸を中心として回転しない柱であり、支持台駆動部82はアンテナ支持台22と共に回転する。固定支柱86の下端は、船室の屋根、甲板等をなす固定板88に固定されている。支持台駆動部82は、アンテナ14の指向性最大方向が水平となるよう、船舶のロール角およびピッチ角に応じてアンテナ支持台22の姿勢を補償するスタビライザ84を備えていてもよい。
【0060】
支持台駆動部82には、電源受信供給部18から電源電力が供給される。支持台駆動部82は、アンテナ支持台22の回転角度位置に応じたアンテナ方位角をインターフェース部20を介してアンテナ送受信部16に出力する。アンテナ送受信部16は、エコー信号に加えてアンテナ方位角を、インターフェース部20、無線LAN端末28および32を介して制御部38に送信する。なお、インターフェース部20と制御部38との間の通信は、無線LAN端末の他、一般の無線通信端末を用いて行ってもよい。
【0061】
制御部38は、可動ユニット10から送信されたアンテナ方向角およびエコー信号を指示機42に出力する。指示機42は、アンテナ方位角およびエコー信号に基づいて物標の像を表示する。
【0062】
このような構成によれば、船室内の機器と、船室外の機器との間をケーブルで接続しなくてもよい。これによって、船室の屋根や壁にケーブルを通す穴を開けなくてもよく、船舶レーダシステムを容易に設置することができる。また、固定支柱86と固定板88とを着脱可能な構造とすることで、保守、点検等の際に船舶外の機器を容易に取り外すことができる。
【0063】
なお、ここでは、変調/電源送信部68、送信側コイル26、受信側コイル30、および電源受信供給部18を介して、制御部38からアンテナ送受信部16に制御信号を送信する構成とした。このような構成の他、無線LAN端末32、28、およびインターフェース部20を介して、制御部38からアンテナ送受信部16に制御信号を送信する構成としてもよい。この場合、変調/電源送信部68を電源送信部40に置き換え、無線LAN端末32、28およびインターフェース部20を介した制御部38およびアンテナ送受信部16間の通信を双方向通信とする。これによって、復調部70を取り除くことができる。さらに、制御部38と指示機42は、別個の筐体内に構成してもよいし共通の筐体内に構成してもよい。
【0064】
次に、第4実施形態に係るレーダシステムについて説明する。図8に第4実施形態に係る船舶レーダシステムの構成を示す。図1図4および図7に示す構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0065】
この船舶レーダシステムは、図7の制御部38を可動ユニット10内に設け、制御部38をインターフェース部20を介してアンテナ送受信部16に接続したものである。制御部38と指示機42とは、無線LAN端末28および32を介して無線接続される。また、制御部38には、電源受信供給部18から電源電力が供給される。
【0066】
本実施形態では制御部38が可動ユニット10に設けられている。そのため、磁気結合共鳴によって制御信号を伝送する必要はなく、可動ユニット10に対する電源電力供給装置としては、図1および図2(a)に示す電源送信部40を用いることができる。また、これによって復調部70を設ける必要はない。第4実施形態に係るレーダシステムによれば、第3実施形態に係るレーダシステムと同様、船舶レーダシステムを船舶に容易に設置することができる。また、固定支柱86と固定板88とを着脱可能な構造とすることで、保守、点検等の際に船舶外の機器を容易に取り外すことができる。
【0067】
図9に示したレーダアンテナ駆動ユニットでは、上述のように、固定ユニット94から送受信部98に電源電力を導く構成には、スリップリング102とブラシ106とが含まれ、電力供給のための構造は複雑である。このような構成では、スリップリング102とブラシ106とがスライド接触することでブラシ106が摩耗し、ブラシ106を定期的に交換しなければならないという問題があった。本実施形態1〜4に係るレーダシステムによれば、固定ユニット36または94と可動ユニット10との間に摩耗部品を用いなくともよく、部品交換の煩わしさを解消することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 可動ユニット、12 レーダアンテナ駆動ユニット、14,90 アンテナ、16 アンテナ送受信部、18 電源受信供給部、20 インターフェース部、22,92 アンテナ支持台、24,96 回転支柱、26 送信側コイル、28,32 無線LAN端末、30 受信側コイル、34 駆動部、36,94 固定ユニット、38 制御部、40 電源送信部、42 指示機、44 交流電圧生成部、46 反射電力計測部、48 第1整合部、50 第1共振制御部、52 第1通信部、54 第2整合部、56 整流部、58 電力計測部、60 第2共振制御部、62 第2通信部、64 回転側光送受信部、66 固定側光送受信部、68 変調/電源送信部、70 復調部、72 キャリア生成部、74 1次変調部、76 2次変調部、78 1次変調信号抽出部、80 制御信号抽出部、82 支持台駆動部、84 スタビライザ、86 固定支柱、88 固定板、98 送受信部、100,104 電力供給ケーブル、102 スリップリング、106 ブラシ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9