(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インターロック機構は、前記シートフレームと前記ストライカロック機構との間に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシートフレーム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、
図1〜
図21を参照して説明する。ただし、以下に説明する部材、配置等については、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができると共に、その等価物が含まれることは勿論である。
なお、以下では、具体例として車両の左右に分割された2列目のシートについて説明するが、これに限定されず一体に形成された長いベンチタイプのシートや助手席、また、他のリヤシートについても同様の構成が適用可能であることは勿論である。
【0020】
図1〜
図21は、いずれも、本発明に係る実施の形態についての一例を示した図である。
図1は車両用格納シートを搭載している車両後部の側面模式図、
図2は車両用格納シートの前方斜視図、
図3はシートフレームの概略斜視図、
図4(a)はスライドロック機構のロック状態の説明図、
図4(b)は
図4(a)のA−A線に相当する概略断面図、
図5(a)はスライドロック機構のロック解除状態の説明図、
図5(b)は
図5(a)のB−B線に相当する概略断面図、
図6(a)はスライドロック機構の再ロック状態の説明図、
図6(b)は
図6(a)のC−C線に相当する概略断面図、
図7はストライカロック機構及びインターロック機構を示す概略斜視図、
図8はインターロック機構の概略分解説明図、
図9はインターロック機構の概略斜視図、
図10は
図9の部分拡大図、
図11は車両用格納シートの折り畳み角度と各機構による作用との関係を示す説明図、
図12は車両用格納シートの格納操作時の操作説明図、
図13は車両用格納シートの復帰操作時の操作説明図、
図14乃至
図21はインターロックの動作を示す説明図である。
なお、以下の説明では、車両のフロント側を前方と呼び、リア側を後方と呼ぶ。
【0021】
<<本実施形態の車両用格納シートの概要>>
先ず、本実施形態に係る車両用格納シート(以下、本シートSと称する)について
図1〜
図10を参照しながら説明する。
本シートSを装備した車両は、前後に2列のシートを備えるものであり、2列目(後部側)のシートが格納可能に構成されている。本シートSは、車両の進行方向に沿った移動方向(
図1中、矢印にて示す方向)にスライド移動可能に構成されている。
【0022】
また、本シートSは、シートバック2を着座部1に対して回動させることにより、折り畳み可能であり、折り畳んだ状態で車両の進行方向に対して前方向に回動して前方下部の車体フロアD上に格納されるように構成されている。なお、車体フロアDは段差を有しており、本シートSが配置される位置(通常使用時)が、格納される位置よりも一段高く形成されている。そのために、本シートSが前方に格納されることによって、シートバック2の背面と本シートSが配置される位置とでフラットな荷室を確保することができる。
【0023】
本シートSは車体フロアD上に配置されており、
図1及び
図2に示すように、着座部1と、シートバック2と、ヘッドレスト3とから構成されている。また、シートバック2の下方(換言すると、着座部1の後方)には、本シートSのリクライニングの解除を行うためのリクライニング解除レバー11が配設されている。なお、リクライニング解除の操作手段としては、本実施形態に示すレバー状の他、紐状やストラップ状として構成してもよい。本シートSは、以下に説明するシートフレームにクッション材を配置(載置)して、表皮で被覆してなるものである。
【0024】
図3に示した本シートSのシートフレームFは、着座部1を構成する着座フレーム4と、シートバック2を構成するシートバックフレーム5と、から構成されている。また、シートバックフレーム5の上部には、不図示のヘッドレストを支持するピラーを挿着可能とするピラー支持部5aが形成されている。
【0025】
着座フレーム4は、着座部1を構成するもので、この着座フレーム4の上部に、クッション材としてのクッションパッド、表皮等に覆われ、乗員を下部から支持するものである。
着座フレーム4の前側は、車体フロアDに対して車両の前後方向に回動可能に支持されている。着座フレーム4の後側には、インターロック機構40と、ストライカロック機構70とが設けられている。着座フレーム4は、ストライカロックを備えたストライカロック機構70を介して車体フロアD側のストライカ41(
図8参照)に係止されており、このストライカロック機構70は、ストライカロックとストライカ41が操作レバー等により解除操作可能に構成されている。
また、インターロック機構40は、ストライカロック機構70によってシートロックが解除されても、リアモストにならない限り、シートが跳ね上がらないようにする機構である。
【0026】
また、着座フレーム4は、左右に離間して対向する側部ブラケット8を有しており、一方の側部ブラケット8とシートバックフレーム5の側板5bとの間には、これらを連結するための架設プレート9が配設されている。側部ブラケット8は、それぞれその底部にシートスライド機構20が配設されており、後述するリクライニング機構10及びシートスライド機構20を介してシートバック2の操作に連動して前後方向に移動可能に構成されている。なお、シートスライド機構20の構成に関しては、以下で詳述する。
【0027】
シートバックフレーム5は、クッションパッド等によって覆われて乗員の背中を後方から支持するシートバック2を構成するものである。シートバックフレーム5は、リクライニング機構10を介して着座フレーム4と連結されている。
そして、リクライニング機構10により、シートバック2は着座部1に対して回動可能となっている。なお、本実施形態では、リクライニング機構10として、リクライニング解除レバー11を操作することにより、シートバック2の回動の係止を解除する公知の機構が用いられている。
【0028】
<<本シートSに設けられた各機構>>
本シートSには、リクライニング機構10と、シートスライド機構20と、スライドロック機構30と、インターロック機構40と、アシスト機構50と、リンク機構60と、ストライカロック機構70と、が設けられている。
リクライニング機構10は、本シートSのシートバックフレーム5を着座フレーム4に対して傾動可能に支持する機構である。
シートスライド機構20は、ロアレール21に対してアッパーレール22を移動させて、本シートSを車両の前後方向にスライド移動させる機構である。スライドロック機構30は、リクライニング機構10と連動してシートスライド機構20の動作を禁止または許容し、本シートSのシートバックフレーム5が傾倒するタイミングに合わせて、シートスライド機構20のスライドロックを解除する。
さらに、インターロック機構40は、車体フロアDのストライカ41に本シートSを係止して、本シートSが車体フロアDから離脱して前方回動するのを規制する。また、アシスト機構50は、本シートSの復帰操作と格納操作をアシストする機構である。リンク機構60は、リクライニング機構10と対向する位置に設けられ、リクライニング機構10と連動して着座フレーム4とシートバックフレーム5との角度を適宜調整する機構である。ストライカロック機構70は、シートスライド機構20のロアレールの後部を車体フロアDに係止する機構である。
【0029】
<リクライニング機構10>
リクライニング機構10は、着座フレーム4の車体後方側、及びシートバックフレーム5の下方側を連結し、シートバックフレーム5を着座フレーム4に対して傾動可能に支持する機能を有している。リクライニング機構10は、リクライニング解除レバー11と、シートバックフレーム5を前方へ付勢するスパイラルばね12とを備えている。
リクライニング解除レバー11は、一方の端部がシートフレームF側に軸支されており、他方の端部を上方へ回動させると、リクライニング機構10のロックが解除され、シートバックフレーム5が傾動可能となる。なお、このようにシートバックフレーム5の傾斜角度を任意で調整するリクライニング機構10の構成は、公知の構成を用いることができる。
【0030】
<シートスライド機構20>
シートスライド機構20は、車体の前後方向に延在するロアレール21と、ロアレール21に対し摺動可能に係合するアッパーレール22と、アッパーレール22を自動的に後方へスライドさせるスライド付勢部材23とを備えて、着座フレーム4の下方に取り付けられている。そして、本シートSのリクライニング機構10と連動して、格納時に、本シートSを自動的に後方にスライド移動させる。なお、ロアレール21とアッパーレール22とが互いに摺動する構成は公知の構成を用いることができる。また、シートスライド機構20は、左右の側部ブラケット8に同様の構成を有しているため、任意の一方側(リクライニング解除レバー11が取り付けられた側)について説明する。
【0031】
ロアレール21は、車体フロアD上に配置されストライカロック機構70により車体フロアDのストライカ41で固定されて、アッパーレール22がスライド可能に取り付けられている。アッパーレール22は、略水平に形成された上面22aにおいて側部ブラケット8の底壁8cに固着されている。したがって、ロアレール21に対してアッパーレール22が摺動すると、その上方に備えられた着座フレーム4及びシートバックフレーム5がアッパーレール22と同方向にスライドする。なお、側部ブラケット8は、略水平な底壁8c以外にも、外壁8a、内壁8bを備えた正面視略U字状に形成されている。また、外壁8aの上端からはフランジ部8dが延設されている。
【0032】
スライド付勢部材23は、着座フレーム4の前後方向に沿って、側部ブラケット8の内側に配設されている。スライド付勢部材23の一方の端部は、アッパーレール22が接合された側部ブラケット8の前方端部に取り付けられたフレーム側ブラケット24に固着されており、他方の端部は、本シートSが通常の使用状態(すなわち、乗員の着座時)であるとき、スライド付勢部材23が一定の強度で引き伸ばされた状態で、後述のインターロック機構40を構成する部材の一部に係止されている。インターロック機構40は、本シートSの跳ね上げ操作を規制する機構であり、ロアレール21の後方端部に取り付けられている。本実施形態では、ストライカロック機構70とロアレール21との間に配設されている。
【0033】
スライド付勢部材23としては、ばね、ゴム等の部材を用いることができる。また、モータ等の電飾部材を用いてもよい。そして、スライド付勢部材23は、本シートSが通常の使用状態であるときは、引き伸ばされた状態でロアレール21及びアッパーレール22の延在方向に沿って係止されているため、フレーム側ブラケット24を後方へスライドさせるように付勢している。すなわち、スライド付勢部材23は、本シートSの着座フレーム4を後方へスライドさせるように付勢している。
【0034】
しかし、乗員が着座する通常の使用状態においては、後述のスライドロック機構30によってロアレール21とアッパーレール22のスライドが禁止されるため、本シートSはスライドすることなく、適当な位置を保持している。そして、スライドロック機構30のスライドの禁止を解除するように作動し、シートスライド機構20のロックが解除されると、スライド付勢部材23が本シートSの後方へ向かって縮むため、アッパーレール22が後方へ引っ張られるようになる結果、最終的に本シートSの着座フレーム4より上方が後方にスライド移動するようになる。
【0035】
なお、スライド付勢部材23は、着座フレーム4の左右側両方の側部ブラケット8に取り付けられていてもよく、片側の側部ブラケット8に取り付けられていても良い。スライド付勢部材23の本数は、本シートSの重量等に依存して適宜決定される。
【0036】
<スライドロック機構30>
本実施形態のスライドロック機構30は、シートスライド機構20のスライドロックを適宜解除する。スライドロック機構30を駆動させる部材は、上述のリクライニング機構10と連動しており、シートバックフレーム5に配設される部分と、ロアレール21及びアッパーレール22に係合する部分とに分かれており、これらの機構は、棒状部材31によって連結されている。
【0037】
そして、シートバックフレーム5が傾倒する動作に依存して棒状部材31が車体の後方側に引っ張られると、棒状部材31の動きによって、スライドロック機構30のロアレール21及びアッパーレール22に係合する部分が、シートスライド機構20のロックを解除するように構成されている。
【0038】
一方、シートバックフレーム5が傾倒する動作に依存して棒状部材31が車体の前方側に押しだされると、棒状部材31の動きによって、スライドロック機構30のロアレール21及びアッパーレール22に係合する部分が、シートスライド機構20をロックするように構成されている。
【0039】
以下、具体的に説明する。
図4は、シートバックフレーム5を傾倒させる前の状態(すなわち、乗員が着座する状態)を示している。本シートSにおいて、シートバックフレーム5には、連動プレート32の一端が係止されており、連動プレート32は、シートバックフレーム5の側板5bに対して略平行に係止されている。連動プレート32は、略鉤状に形成された板状の部材であり、シートバックフレーム5の動きを後述のロック解除プレート36に伝達する。
【0040】
連動プレート32がロック解除プレート36にその動きを伝達する構成は、適宜公知の構成を用いることができるが、図を参照して、その一例を説明する。
連動プレート32の上端に備えられる第1面32aはシートバックフレーム5に接合されており、一方、連動プレート32第3面32cの下端は適当な凹凸が形成されている。また、第1面32aと第3面32cとの間には、第1面32aと第3面32cに対して略垂直に架設された第2面32bが備えられている。連動プレート32の凹部32dは、その下方に配設されるキャンセルレバー33から突出したカラー33aに係合するものであり(
図5(a)参照)、シートバックフレーム5の動きをキャンセルレバー33に伝達する。
【0041】
キャンセルレバー33は、突起部33b,33cを備えた小片であり、その下方の端部は不図示の係止部材によってレール解除レバー34に係止されている。突起部33bは、架設プレート9の縁端から折曲されたフランジ部9aに対して当接し、その位置を調節する。
【0042】
キャンセルレバー33に係止されたレール解除レバー34は、略鉤状に形成された板片であり、前方に突出した突起部34aには、付勢部材34bの一端が取り付けられている。この付勢部材34bの他端は、架設プレート9に横架されたブラケット35に取り付けられている。
【0043】
そして、レール解除レバー34の一端側(上方に配設された端部)は略円形に形成されており、架設プレート9の一部に形成された略円形状の突出部9bと係合し、レール解除レバー34の動きが規制される。一方、レール解除レバー34の下方端部には、棒状部材31及びワイヤケーブルWの一端がそれぞれ係止されている。
【0044】
以下、ロアレール21及びアッパーレール22側に設けられたスライドロック機構30について説明する。レール解除レバー34にその一端が係止された棒状部材31は、その他端が軸部材31aによって連結プレート31bに軸支される。連結プレート31bは、その一端側に棒状部材31が軸支されており、他端側には連結軸31cが挿通され、係止される。
【0045】
連結軸31cは、側部ブラケット8の外壁8a、連結プレート31b、ロック解除プレート36、解除プレート付勢部材37、側部ブラケット8の内壁8bを貫通して配設されている。ロック解除プレート36は、その上端部に連結軸31cが挿通されており、下端部は側部ブラケット8の底壁8cに形成された解除プレート挿通孔8eと、アッパーレール22の上面22aに形成された解除プレート挿通孔22bとを貫通して配設される。
【0046】
また、ロック解除プレート36は、連結軸31cが挿通された部分の近傍に解除プレート付勢部材37の一端が挿通される孔36aが形成されている。解除プレート付勢部材37は、コイルばね等を用いることができ、解除プレート付勢部材37のロック解除プレート36に挿通されていない側の端部は、側部ブラケット8の底壁8cに当接するように配設されている。
【0047】
解除プレート付勢部材37は、連結軸31cの動きに伴って、側部ブラケット8の底壁8cとロック解除プレート36との相対位置を変化させるために備えられている。解除プレート付勢部材37は、一端が側部ブラケット8の底壁8cに当接しており、他端がロック解除プレート36に係合しているため、その付勢力によってロック解除プレート36の位置を制御することができる。
【0048】
ロック解除プレート36は、その下端部がロック部材38の上方に配設される。
ロック部材38はアッパーレール22の内側に取付ブラケット39を介して取り付けられた板状の部材である。ロック部材38は、一端部側に係止孔38aが形成されており、係止孔38aは、取付ブラケット39に形成された爪部39aに係止される。なお、取付ブラケット39は、アッパーレール22の内面に沿うように断面鉤状に形成された部材であり、爪部39aは、アッパーレール22の内側(上面22a及び側面22cによって囲まれる部分)に向かって突出して形成されている。
【0049】
ロアレール21に形成された突起部21aは、ロアレール21の巻き込み部分の端部に形成された連続突起であり、係止孔38bに係止されることでアッパーレール22のスライドをロックすることができる。なお、ロック部材38は不図示の付勢ばねによって押し上げる方向に付勢されているため、ロック解除プレート36の下端部に押圧されていない状態では突起部21aと係止孔38bとが歯合された状態で保持される。
【0050】
そして、ロック部材38の上面22aに対して、ロック解除プレート36が押し下げられた際、
図6(b)のように、ロック部材38の中間部分が押し下げられ、ロアレール21及びアッパーレール22のロック状態を解除する。
【0051】
以下、
図4〜
図7に基づき、スライドロック機構30の動作について説明する。
図4は、ロアレール21及びアッパーレール22がロックされている状態を示しており、
図4(a)にロアレール21及びアッパーレール22がロックされている状態の説明図、
図4(b)にロアレール21及びアッパーレール22がロックされている状態のA−A線に相当する概略断面図を示す。
【0052】
ロアレール21及びアッパーレール22がロックされている状態では、棒状部材31が引っ張られていないため、ロック解除プレート36はロック部材38の上方に当接しない構成となっている。このため、ロアレール21の突起部21aとロック部材38の係止孔38bが歯合された状態で保持されており、ロアレール21及びアッパーレール22は、互いにスライドできない状態となる。
【0053】
そして、
図5は、シートスライド機構20のロックが解除された状態を示しており、
図5(a)にロアレール21及びアッパーレール22がロック解除されている状態の説明図、
図5(b)にロアレール21及びアッパーレール22がロック解除されている状態のB−B線に相当する概略断面図を示す。
【0054】
図5のように、リクライニング解除レバー11が操作され、リクライニング機構10によってシートバックフレーム5が傾倒されると、シートバックフレーム5に伴って、連動プレート32の上端が前方へ傾倒し、さらにキャンセルレバー33、レール解除レバー34が傾倒し、レール解除レバー34の下方端部に係止された棒状部材31が後方へ引っ張られる。
【0055】
一方、リクライニング解除レバー11が取り付けられていない側の側部ブラケット8には、リンク機構60の一部であるスパイラルばね61が取り付けられている。そして、リクライニング解除レバー11が操作されると、そのスパイラルばね61の反力により、シートバックフレーム5の傾倒する速度が減速される。
【0056】
棒状部材31が後方へ引っ張られると、その動きがロアレール21及びアッパーレール22側に配設された連結プレート31b、連結軸31cに順に伝達され、解除プレート付勢部材37の力により、ロック解除プレート36が下方へ押し下げられる。
【0057】
すなわち、ロアレール21及びアッパーレール22のロックが解除された状態では、棒状部材31が引っ張られているためにロック解除プレート36が回動し、ロック解除プレート36の下端部が下方に押し下げられる。このため、ロアレール21の突起部21aとロック部材38の係止孔38bの歯合が解除された状態となり、本シートSのスライドが可能になる。
【0058】
<ストライカロック機構70>
一方、本実施形態のストライカロック機構70は、
図7で示すようにストライカ41を受け入れる下向きU字状の受け口を設けた二枚の相対する側板71をベースに、
図7及び
図8示すようにストライカ41をくわえ込む受け顎を有するフック状のラッチ72と、ラッチ72を係止するカム状のラチェット73とを支軸72b,73aで側板71の間隔内に軸承枢着することにより組み立てられている。このストライカロック機構70は、不図示の掛止め突起をラッチ72に設け、不図示の受止め突起をラチェット73に設けて互いに係合,離脱することからストライカ41と施錠,開錠可能に組み立てられている。
【0059】
ラッチ72は、捩りコイルバネ(不図示)でストライカ41をくわえ込み方向並びに離脱方向の双方にバネ付勢されている。ラチェット73は、ラッチ72との間に掛け渡すコイルスプリング74でラッチ72と係合する方向にバネが引っ張られている。この他、ストライカ41をくわえ込み時の緩衝パッド75が受け口の奥側で側板71の外側に取付け固定されている。また、牽引ワイヤのワイヤ端を連結する揺動片がラチェット73を軸承する支軸73aの同軸上に取り付けられている。
【0060】
ストライカロック機構70は、
図7で示すように、ラチェット73を不図示のレバー操作で、同じく不図示のワイヤで、コイルスプリング74に抗して引っ張ると、ラチェット73が支軸73aを中心に揺動すると共に、ラチェット73の受止め突起がラッチ72の掛止め突起から外れ、ラッチ72が支軸72bを中心に捩りコイルバネでストライカ41より離脱方向に揺動することにより開錠作動する。これらの構成は公知のものであるので、詳細は省略する。
これにより、本シートSがシートバック2の折畳み状態で後部側から上方に跳ね上げ可能となるが、本実施形態では、リアモスト位置になるまで、後述するインターロック機構40により、跳ね上げが規制される。なお、リアモスト位置であれば、インターロック機構40も同時に、ストライカ41から離脱しており、跳ね上げが行なわれる。
【0061】
本シートSのスライドが可能になるとき、ロアレール21に対してアッパーレール22が自由に摺動可能であるため、上述のシートスライド機構20に備えられたスライド付勢部材23が縮むことが許容される。スライド付勢部材23の一端はアッパーレール22の前方端部に取り付けられており、他方の端部は、本シートSの後方に配設されたインターロック機構40の一部に係止されているため、シートスライド機構20のロックが解除されると、スライド付勢部材23の付勢力により、着座フレーム4が後方へ自動的に移動する。
【0062】
その後、さらにシートバックフレーム5がさらに傾倒され、本シートSの後方に配設されたインターロック機構40が解除されると、本シートSは、後方から跳ね上げられ、後述のように車体フロアDに格納される。
【0063】
したがって、リクライニング解除レバー11を引き上げると、所定角度までシートバックフレーム5が傾倒し、スライド付勢部材23によって自動的に着座フレーム4が後方へ移動する。そしてこのとき、リンク機構60によって、シートバックフレーム5は傾動することなく、着座フレーム4との成す角度は固定された状態となる。このように、シートバックフレーム5の角度を固定した状態で着座フレーム4の摺動を行うことにより、より安定した動作で確実に着座フレーム4を最後方まで移動させることができる。
【0064】
さらに、ストライカロック機構70により、ロアレール21が車体フロアDのストライカ41で固定されていたものが、開錠作動しても、着座フレーム4はスライド付勢部材23により、本シートSの跳ね上げが可能となっても、インターロック機構40が解除される位置である格納するために最適な位置(最後方位置:リアモスト)まで確実に移動するため、本シートSは格納操作を効率的に行うことができる。
【0065】
また、本シートSは、シートを自動でスライドさせるための機構(リクライニング機構10,シートスライド機構20,スライドロック機構30,インターロック機構40,ストライカロック機構70)がすべてシート側に設けられているので、組み付け作業時、その作業が煩雑になることが無く、作業性が向上する。
【0066】
さらに、
図6は、シートバックフレーム5がさらに傾倒し、シートスライド機構20が再ロックされた状態を示しており、
図6(a)にロアレール21及びアッパーレール22が再ロックされている状態の説明図、
図6(b)にロアレール21及びアッパーレール22が再ロックされている状態のC−C線に相当する概略断面図を示す。
【0067】
図6のように、
図5の状態(ロック状態)から、さらにシートバックフレーム5が傾倒されると、シートバックフレーム5に伴って、連動プレート32の上端が前方へさらに傾倒する。その結果、キャンセルレバー33が
図4のように、通常の状態(乗員が着座するときの状態)に押し戻され、キャンセルレバー33の下方端部が上方へ引き上げられ、突起部33bが架設プレート9のフランジ部9aに押しつけられる。それに伴い、レール解除レバー34も通常の状態に引き起こされ、レール解除レバー34の下方端部に係止された棒状部材31が
図5の状態(ロック状態)から前方へ押し戻され、通常の状態(後方へ引っ張られていない状態)に戻る。
【0068】
棒状部材31がロック状態と比較して前方へ押しだされると、その動きがロアレール21及びアッパーレール22側に配設された連結プレート31b、連結軸31cに順に伝達され、解除プレート付勢部材37の力により、ロック解除プレート36が上方へ引き上げられる。
【0069】
すなわち、ロアレール21及びアッパーレール22の再ロックされた状態では、ロック解除プレート36の下端部がロック部材38の上方に引き上げられる。このため、ロアレール21の突起部21aとロック部材38の係止孔38bが再び歯合する状態となり、本シートSのスライドがロックされる。
【0070】
以下、本シートSに設けられた機構のうち、インターロック機構40について詳細に説明し、同時にアシスト機構50、リンク機構60について概説する。
【0071】
<インターロック機構40>
インターロック機構40は、本シートSが組格納準備位置(リアモスト)以外で跳ね上げが生じないように規制する機構であり、本実施形態のインターロック機構40は、シートフレーム(ロアレール21)とストライカロック機構70との間に設けられており、着座フレーム4側(より詳細には、ロアレール21)に取り付けられたロックブラケット43と、このロックブラケット43に対して軸支されたインターロック42と、インターロック42をストライカ41側へ付勢する付勢部材44と、インターロック42を押圧する押圧部材45を主たる構成要素として有している(
図8乃至
図10参照)。
【0072】
ロックブラケット43は、
図8乃至
図10で示すように、長尺の板体から構成され、ロアレール21の側部にボルトナット等により固着される。ロックブラケット43の車体前方側には、係止孔43aが形成され、この係止孔43aより中央寄り上方に突起部が形成され、この突起部に係止孔43bが形成されている。また、係止孔43bよりも中央側(
図8で右側)には、次述するインターロック42を軸支する支軸(回転軸部42a)が形成されている。そして、係止孔43aには、後述のシートスライド機構20のスライド付勢部材23の一端が取り付けられ、係止孔43bには、付勢部材44であるコイルスプリングの一端が係止される。
【0073】
押圧部材45は、板体をL字状に折り曲げてアッパーレール22に固着されているもので、折り曲がり部45aがアッパーレール22よりロックブラケット43側でロックブラケット43より上方位置に配置され、インターロック42の当接部42dと衝接するように設けられている。
【0074】
インターロック42は、板体で、ロックブラケット43に回動可能に軸支される回動軸部42aと、回動軸部42aから一端側が鉤状に形成されたフック部42bと、フック部42bと反対側の他端側に形成された係止孔42cと、この係止孔42cより、アッパーレール22側に折り曲げられて突起させた当接部42dと、から構成されている。
【0075】
回転軸部42aとストライカ41とは、係合時には、直線上(好ましくは垂直線上)に位置するようになっている。またインターロック42のフック部42bと反対側の端部は斜面部42eとなっており、後述するように、ストライカ41と当接したときに、この斜面部42eに沿って、インターロック42が回転軸部42aを中心に付勢部材44に抗して、回動し、その後、ストライカ41をフック部42bで噛み合うように構成している。
【0076】
係止孔42cには付勢部材44であるコイルスプリングの一端が係止されており、付勢部材44の他方の端部は、上記したようにロックブラケット43の係止孔43bに係止されている。
この構成により、インターロック42の上方は車体前方(
図9の左側)に付勢され、インターロック42は、下方に形成された鉤状の部分であるフック部42bにおいてストライカ41と係合する。
【0077】
そして、本シートSのシートスライド機構20が作動すると、着座フレーム4の側部ブラケット8が車体後方(
図9の右側)へスライドするため、側部ブラケット8に取り付けられた押圧部材45の折れ曲がり部45aがインターロック42の上方の当接部42dを車体後方へ押圧し、ストライカ41との係止状態を解除するように作動する。
なお、インターロック42とストライカ41との係止状態が解除されると、着座部1は、アシスト機構50のみに支持されるようになるため前後方向に回動可能な状態となる。
【0078】
<アシスト機構50>
本実施形態のアシスト機構50は、本シートSの格納操作や復帰操作をアシストする。具体的に説明すると、アシスト機構50は、複数のアシストばね51,52を有し、当該複数のアシストばね51,52の中には、本シートSの復帰操作時に本シートSを復帰方向に付勢するものと、本シートSの格納操作時に折り畳み方向(格納方向)に付勢するものが存在する。
【0079】
一方、本シートS側には、アシストばね51,52と接触する位置に、アシストばね51,52の付勢力を受ける被付勢部(不図示)が設けられている。この被付勢部のアシストばね51,52との接触面は、本シートSの状態(格納状態又は設置状態)に応じて切り替わる。これにより、複数のアシストばね51,52のうち、被付勢部を付勢するアシストばね51,52が本シートSの状態によって切り替わることとなる。
【0080】
以上の構成のアシスト機構50において、本シートSが格納状態にあるとき、本シートSを復帰する方向に付勢するアシストばね51,52が被付勢部を付勢する。この結果、不図示のロック機構によって本シートSの回動がロックされた状態を脱すると、本シートSへ復帰方向に回動させるアシストばね51,52の付勢力が働く。これにより、本シートSが復帰方向に跳ね上がるため、少ない力で本シートSを復帰させることが可能となる。
【0081】
一方、本シートSが設置状態にあるとき、本シートSを折り畳み方向に付勢するアシストばね51,52が被付勢部を付勢する。この結果、ストライカロック機構70によって本シートSが車体フロアDに対してロックされた状態を脱すると、本シートSへ折り畳み方向に回動させるアシストばね51,52の付勢力が働く。これにより、本シートSが折り畳み方向に跳ね上がるため、少ない力で本シートSを格納することが可能になる。
【0082】
<リンク機構60>
リンク機構60は、リクライニング機構10が備えられる側部ブラケット8と対向する位置に配設される。リンク機構60は、側部ブラケット8の内側、すなわちシートバックフレーム5の管状部材5cが配設される側に取り付けられるスパイラルばね61と、シートバックフレーム5の動きと連動する連動レバー62とを備えている。
【0083】
そして、スパイラルばね61は、その端部が略U字状に屈曲しており、その屈曲部が連動レバー62に当接することにより、シートバックフレーム5の前方への傾動が阻止される。したがって、シートスライド機構20によりアッパーレール22(着座フレーム4)がスライドする際、シートバックフレーム50は前方に傾動するが、リンク機構60のスパイラルばね61と連動レバー62が係合することにより、シートバックフレーム50はそれ以上傾斜することなく、所定の傾斜角度を保持することができる。
【0084】
したがって、シートバックフレーム5の傾斜角度を保持して着座フレーム4のスライド操作が行われるため、本シートSは、安定して自動的に着座フレーム4を後方へスライドさせることが可能である。
【0085】
<本シートSの折り畳み角度と各機構の連動>
以下に、本シートSの折り畳み角度と各機構の連動について、
図11に基づいて説明する。
まず、本シートSの基準状態(角度I)でリクライニング解除レバー11が操作されることにより、リクライニング機構10の係止が解除され、リクライニング調整範囲内(角度I〜II)でリクライニング角度の調整が可能となる。
【0086】
このとき、リクライニング解除レバー11が操作されただけの状態(リクライニング角度を調節する力が加えられない状態)であると、それに連動してスライドロック機構30が解除され、シートスライド機構20が動作するため、角度IIを保持した状態で、本シートSは車体後方へスライドする。
【0087】
その後、リクライニング解除レバー11を操作しながら、更にシートバック2を前側に倒すと、角度IIIでスライドロック機構30が作動し、再びスライドがロックされる。なお、角度II〜IIIの状態のとき、リンク機構60の反力により、シートバック2は起立する方向へ付勢されている。
【0088】
そして、角度IVの位置までシートバック2を倒したときにストライカロック機構70及びインターロック機構40において、ストライカロックとストライカ41との係合状態の解除、インターロック42とストライカ41との係合状態がそれぞれ解除されて本シートSの前方回動が可能となる。このとき、本シートSのアシスト機構50によって本シートSが格納方向に向かうようにアシストされる。本シートSを前方回動させながら更に折り畳むと、水平方向Hに達したときにリクライニング機構10が再ロックし、公知の係止手段によって、着座部1に対するシートバック2の回動がロックされる。
【0089】
以上のように、本実施形態では、リクライニング解除レバー11を操作する1回の操作により、本シートSの折り畳み、スライドロックの解除、ストライカロックの解除、本シートSの最後方位置へのスライドが自動的に行われる。
そして、本シートSの折り畳み、スライドロックの解除、本シートSの最後方位置へのスライド、スライド再ロック、ストライカロック機構70によるストライカ41との係合状態の解除、本シートSの格納方向への回動のアシスト、の各操作を本シートSの折り畳み角度に応じて順番に連動させることが可能である。このとき、インターロック機構40では、リアモストの位置になるまで、跳ね上げが規制され、リアモスト位置になったときに、インターロック42とストライカ41との係合状態の解除が行なわれる。これにより組格納準備位置(即ちリアモスト)以外での跳ね上げが生じないように規制することが可能となる。
【0090】
次に、
図12乃至
図21に基づいて、本シートSの格納操作及び復帰操作について説明する。
まず、本シートSの格納操作について説明する。本シートSが設置状態(
図12(a)に示す状態)にあるときに、ストライカロック機構70によるストライカ41との係合状態が維持されており、同時にインターロック機構40は、
図14で示すように、インターロック42がストライカ41と係合している(このとき、回転軸部42aとストライカ41とは一直線上(垂直)に位置している)。そして、リクライニング解除レバー11が操作されると、リクライニング機構10のロックが解除される。これにより、本シートSは、所定角度に折り畳まれて固定された状態(
図12(b)に示す状態)となる。このとき、同時にスライドロック機構30が作動して、スライドロックを解除し、シートスライド機構20を摺動可能とする。そして、本シートSは所定角度に固定された状態を保持したまま、シートスライド機構20が作動し、これにより本シートSが後方にスライド移動する。本シートSのスライド移動を行なっても、
図15で示すように、押圧部材45がインターロック42の当接部42dに衝接するまでは、インターロック42がストライカ41と係合している。
【0091】
その後、さらに本シートSの折り畳みを進行させるとシートスライド機構20がスライドロック機構30によってロックされる。さらに折り畳みを進行させると(
図12(c)参照)、ストライカロック機構70が作動し、ストライカロックがストライカ41から外れるようになり、ロアレール21が車体フロアDのストライカ41から離脱可能となる。このとき、インターロック機構40が、格納するために最適な位置(最後方位置:リアモスト)において作動する。つまり、シートスライドに伴って押圧部材45の折り曲がり部45aがインターロック42の当接部42dに衝接し、
図16及び
図17で示すように、さらにインターロック42の当接部42dを押すことにより、インターロック42が回転軸42aを中心に回動し、角度α1の位置でフック部42bがストライカ41から外れる。そして、さらに押し込まれて角度α2の位置では完全にストライカ41から外れ、これによりシートフレームの跳ね上がり規制が解除され、本シートSが前方に回動可能になる。
この際(
図12(d)参照)、アシスト機構50が本シートSの回動をアシストする。このように、インターロック機構40により組格納準備位置であるリアモスト位置まで、跳ね上げが規制されるために、例えストライカロック機構70が誤動作されても、跳ね上げ途上で詰ってしまう事態を生ずることなく、本シートSをシートバックの折畳み状態で後部側から上方に確実に跳ね上げられるよう構成することが可能となる。
【0092】
本シートSの前方回動が終了して本シートSが格納状態(
図12(e)に示す状態)となると、着座部1の裏面と車体フロアDとが一体の平坦面となり、広い荷室が確保される。なお、格納状態において本シートSを車体フロアD側に固定するために、公知の係止手段を取り付けることができる。本シートSを固定することで車両の走行中に本シートSが不意に動くことを防止できる。
【0093】
続いて、本シートSの復帰操作について説明する。本シートSが格納状態(
図13(a)に示す状態)にあるときに、本シートSを車体フロアDに固定している係止手段を解除すると、本シートSは後方に回動可能となる。そして、本シートSを後方回動させる操作を行う際には(
図13(b)参照)、アシスト機構50が本シートSの回動をアシストする。
【0094】
後方回動が更に進み、当該後方回動の終了前の時点(
図13(c)に示す状態)では、着座部1がアシストばね51によって格納方向へ付勢されるため、本シートSを下方(復帰方向)へ向けて押圧してストライカロック機構70のストライカロックを車体フロアD側のストライカ41にロックする。
このとき、インターロック機構40は、
図19乃至
図21で示すように、シートフレームが下方に押されることにより、リアモスト位置の近傍において、ストライカ41の上方に位置することになる。そして、
図19の位置からさらに下降して、インターロック42の端部の斜面部42eが、ストライカ41と当接し、
図20で示すように、付勢部材44に抗し、この斜面部42eに沿って、回転軸部42aを中心に回動しながら、本シートSが下方に押される。
【0095】
最終的に本シートSを設置位置(リアモスト位置)にする(
図13(d)参照)と、ストライカ41がフック部42bの端部を乗り越え、インターロック42は、
図21で示すように、スライド付勢部材23の力によって、回転軸部42aを中心に戻って、ストライカ41と係合し、ロックされる。このように、インターロック機構40のインターロック42をストライカ41にロックし、シートバック2を起立させることにより本シートSの復帰操作が完了する。