(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727303
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 26/02 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
G02B26/02 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-124802(P2011-124802)
(22)【出願日】2011年6月3日
(65)【公開番号】特開2012-252171(P2012-252171A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2014年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】507276092
【氏名又は名称】ピクストロニクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】木村 泰一
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 純
【審査官】
右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−039534(JP,A)
【文献】
特開2010−181648(JP,A)
【文献】
特開2005−066727(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0062616(US,A1)
【文献】
特開2007−052256(JP,A)
【文献】
米国特許第6711317(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/00 − 26/08
B08B 1/00 − 7/04
B08C 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に可動式のシャッターを備えた第1基板と、他の透明基板上に光を透過するアパーチャを前記可動式のシャッターの開口に対応して備えた第2基板とを有し、前記第1基板と前記第2基板とを所定の間隔で対向配置する表示装置において、
前記第2基板の前記第1基板に対向する面上には、複数の支柱が形成され、
前記第1基板の表面上の微小電気機械システム構造が、前記複数の支柱のうちの1つの支柱を受けるためのコンタクトホールを画定し、前記支柱が前記コンタクトホールに挿入されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記コンタクトホールは、前記可動式のシャッターと同じ製造プロセスで同時に形成されていることを特徴とする請求項1に記載表示装置。
【請求項3】
前記可動式のシャッターは、前記開口が形成されている平板状シャッターと、前記平板状シャッターと接続しているバネ部と、前記バネ部の前記平板状シャッタと接続している側とは反対側に接続しているアンカー部とを有し、
前記透明基板上には、第1の層と前記第1の層に接して積層された第2の層とが形成され、
前記コンタクトホールは、前記第1の層と前記第2の層とが積層している箇所に形成され、
前記アンカー部の少なくとも一部は、前記第1の層で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記バネ部の少なくとも一部は、前記第2の層で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1の層と前記第2の層とは、レジスト膜で形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記コンタクトホールの高さhは、前記支柱の高さHの半分以上の高さであり、前記コンタクトホールの底面幅は、前記支柱の幅と同じに設定され、かつ前記コンタクトホールの上部開口の幅は前記底面幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記コンタクトホールの数は、前記支柱の数よりも少なく、前記コンタクトホールの底面に形成される膜体は、前記支柱が前記コンタクトホールを介さずに第1基板と接触する場所と同じ膜厚の膜体が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特に、各画素にMEMS(Micro Electro Mechanical
System,微小電子機械システム)技術を用いて形成した可動式シャッターを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置として、プラズマ表示装置、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの各種表示装置が利用されている。
【0003】
特許文献1に示すように、新たな表示装置として、MEMS技術を用いて形成した可動式シャッターを備えた表示装置(以下、「MEMS表示装置」という。)が提案されている。
図1及び2に、透明基板(SUB1)上に形成した、可動式シャッター1の一例を示す。
図1は、斜視図であり、
図2は平面図である。
【0004】
シャッター(SH)は、可動式シャッター1の構成要素の一つであり、平板状の形状から成り、光を透過する開口部(OP1)を有している。更に、シャッターSH(即ち平板状シャッター)は、シャッター(SH)の両側に配置された4つの第1バネ(SP1,SP1’)で支持されている。第1バネ(SP1,SP1')は、アンカー部(AN1,AN1’)で基板(SUB1)に固定されると共に、第1バネ及びシャッターは基板から浮いた状態で保持されている。また、第2バネ(SP2,SP2’)は、アンカー部(AN2,AN2’)で基板(SUB1)に固定されると共に、第2バネ自体は基板から浮いた状態で保持されている。
【0005】
第1バネ及び第2バネは導電性材料で構成されると共に、表面は絶縁膜で覆われている。また、各バネはアンカー部により基板(SUB1)上に配置された配線(不図示)に導通されている。
【0006】
可動式シャッター1を駆動するには、アンカー部AN1(AN1’)とアンカー部AN2(AN2’)に異なる電圧を印加すると、第1バネSP1と第2バネSP2とに蓄えられる電荷により、静電力が発生し、2つのバネの接触面積が増加して、両者が近接する。このため、第1バネSP1は
図2の矢印Cの方向に縮む。他方、第1バネSP1'と第2バネSP2’には、同電圧が印加されているため、シャッターSHは、
図2の矢印C方向に移動し、第1バネSP1’は矢印C方向に延びる。
【0007】
次に、アンカー部AN1(AN1’)とアンカー部AN2(AN2’)に同電圧が印加されると第1バネ(SP1,SP1’)及び第2バネ(SP2,SP2’)の復元力で、シャッターSHは
図2の矢印Dの方向に移動し、元の位置に戻される。この際、アンカー部AN1’(AN1)とアンカー部AN2’(AN2)とに異なる電圧を印加すると、より速くシャッターSHを矢印Dの方向に移動させることが可能となる。
【0008】
可動式シャッター1が形成された透明基板(SUB1)に対向して、他の透明基板(不図示)が配置される。他の透明基板の表面には、光を透過するアパーチャが形成されており、シャッターSHが矢印C−Dの方向に移動することにより、シャッターに形成された開口部(OP1)の位置とアパーチャとの相対的な位置関係が変化する。
【0009】
例えば、アパーチャが形成された基板の裏面側にバックライトが配置されている場合には、開口部(OP1)とアパーチャの位置とが重なると、バックライト光が透過し、両者の位置が外れると、バクライト光はシャッターSHにより遮断される。このようにバックライト光の透過を制御(スイッチング)することにより、画像を表示することが可能となる。
【0010】
また、カラー画像を表示する場合には、バックライトとして三原色(RGB)に対応した光源を順次、繰り返して点滅させ、バックライト光の点滅に合せてシャッターSHを駆動することで、RGB色を選択的に表示させることが可能となる。
【0011】
このようなMEMS表示装置は、偏光板やカラーフィルタを使用しないため光の利用効率が高く、プラズマ表示装置や液晶表示装置と比較しても、大幅な省電力化が可能であり、応答速度も液晶より早いため、高い動画性能を発揮できる。また、有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比較しても高輝度化や長寿命化を実現することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−197668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
MEMS表示装置では、可動式シャッターを配置した透明基板(「第1基板」又は「MEMS基板」という。)と、アパーチャを形成した透明基板(「第2基板」又は「AP基板」という。)とを所定の間隔で、精度良く配置することが必要である。このため、従来のMEMS表示装置においては、AP基板に複数の支柱を形成し、MEMS基板に該支柱を受ける台座を形成している。
【0014】
図3は、従来のMEMS表示装置の製造プロセスの一部を説明する図である。
第1基板(SUB1)の上に、
図3(a)に示すように、可動式シャッターの構造や台座の形状に合わせて、フォト・レジストパターンRE1及びRE2を形成する。レジストパターンRE1は、第1基板(SUB1)に配置された配線から導通を得るためのコンタクトホールを形成するために、またシャッターSHや第1及び第2バネを第1基板(SUB1)の表面から離すために使用される。レジストパターンRE2は、シャッターSHや第1及び第2バネ等の垂直方向(
図3の高さ方向)の形状を形成するために使用される。
【0015】
図3(b)では、レジストパターン(RE1,RE2)の表面に、導電性を確保するため、半導体等の導電膜(CL)を形成し、さらに遮光性を確保するため金属膜(ME1)が積層される。次に、シャッターSHや第1及び第2バネ等の平面形状に対応したレジストパターンRE3を形成する。
【0016】
レジストパターンRE3を用いてエッチングを行い、シャッターSHや第1及び第2バネ等を形成し、その後、不要なレジストパターン(RE1〜RE3)が除去され、残留した金属膜(ME1)や導電膜(CL)の表面には、
図3(c)のように、絶縁膜INが形成される。
【0017】
MEMS基板に設ける台座PEは、シャッターSH、第1バネSP1、第2バネSP2及びアンカー部AN1と同様の製造工程で形成される。
【0018】
他方、AP基板は、透明基板(SUB2)に遮光膜となる金属膜(ME2)を形成し、次に、アパーチャに対応する開口を形成するため、フォトレジストパターンでアパーチャ部分の金属膜を除去する。そして、
図3(d)のように、金属膜(ME2)上に支柱(CO)をフォトレジストパターンで形成する。
【0019】
MEMS基板(SUB1)とAP基板(SUB2)とは、
図3(e)のように、シャッターSHとアパーチャとを近接対向させるように対向配置する。この際、AP基板の支柱(CO)をMEMS基板の台座(PE)で受けている。
【0020】
MEMS基板とAP基板の貼り合わせは、各々の基板に形成したアライメントマーク(不図示)によって機械的にアライメントしていた。そのためMEMS基板とAP基板のアライメント精度は,貼り合わせ装置の精度でしか実現することができなかった。
【0021】
また、MEMS基板に形成する台座も、AP基板に形成する支柱も、共にレジストパターンが高さ方向(図面の縦方向)の嵩を形成している。このように、同じ材料にも関わらず外部から衝撃を受けると、MEMS基板側に形成した台座上面で吸収しきれずに、AP基板側の支柱が台座に刺さったり、台座の表面が欠けたり、さらには、支柱と台座がズレるなどの問題が発生している。これは、対向する2つの基板各々で1つの支柱を形成しているため、同質材料の接触界面が存在することに原因があると考えられる。
【0022】
本発明の解決しようとする課題は、上述した問題を解消し、MEMS基板とAP基板との貼り合わせ作業におけるセルフアライメントが可能であり、外部衝撃に対する信頼性の高い表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の表示装置は、上述の課題を解決するため以下のような特徴的構成を有している。
(1) 透明基板上に可動式のシャッターを備えた第1基板と、他の透明基板上に光を透過するアパーチャを前記シャッターの開口に対応して備えた第2基板とを有し、両基板を所定の間隔で対向配置する表示装置において、前記第2基板の前記第1基板に対向する面上には、複数の支柱が形成され、前記第1基板には、前記支柱が挿入され、前記支柱を保持するコンタクトホールが形成されていることを特徴とする。
【0024】
(2) 上記(1)に記載の表示装置において、前記コンタクトホールは、前記可動式のシャッターと同じ製造プロセスで同時に形成されていることを特徴とする。
【0025】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の表示装置において、前記可動式のシャッターは、前記開口が形成されている平板状シャッターと、前記平板状シャッターと接続しているバネ部と、前記バネ部の前記平板状シャッタと接続している側とは反対側に接続しているアンカー部とを有し、前記透明基板上には、第1の層(例えばレジスト膜)と前記第1の層に接して積層された第2の層(例えばレジスト膜)とが形成され、前記コンタクトホールは、前記第1の層と前記第2の層とが積層している箇所に形成され、前記アンカー部の少なくとも一部は、前記第1の層で形成されていることを特徴とする。
【0026】
(4) 上記(3)に記載の表示装置において、前記バネ部の少なくとも一部は、前記第2の層で形成されていることを特徴とする。
【0027】
(5) 上記(1)乃至(4)に記載の表示装置において、前記コンタクトホールの高さhは、前記支柱の高さHの半分以上の高さであり、前記コンタクトホールの底面幅は、前記支柱の幅と同じに設定され、かつ前記コンタクトホールの上部開口の幅は前記底面幅よりも大きいことを特徴とする。
【0028】
(6) 上記(1)乃至(5)の何れかに記載の表示装置において、前記コンタクトホールの数は、前記支柱の数よりも少なく、前記コンタクトホールの底面に形成される膜体は、前記支柱が前記コンタクトホールを介さずに第1基板と接触する場所と同じ膜厚の膜体が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明のように、AP基板である第2基板の面上には、複数の支柱が形成され、MEMS基板である第1基板の面上には、該支柱が挿入され、該支柱を保持するコンタクトホールが形成されているため、支柱をコンタクトホールに挿入するだけで、MEMS基板とAP基板との貼り合わせに際するセルフアライメントを容易に実現することが可能となる。
【0030】
しかも、支柱は、AP基板に形成された支柱のみで形成しているため、従来のように支柱が台座に刺さるような不具合も生じず、外部からの衝撃にも強いMEMS表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の表示装置に使用される可動式のシャッターの一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の表示装置に使用される可動式のシャッターの一例を示す平面図である。
【
図3】従来のMEMS基板とAP基板との製造工程の一部を説明する図である。
【
図4】本発明の表示装置に使用されるMEMS基板の一例を示す平面図である。
【
図5】本発明の表示装置に使用されるAP基板の一例を示す平面図である。
【
図6】本発明の表示装置におけるMEMS基板とAP基板との製造工程の一部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る表示装置について、以下に詳細に説明する。
本発明は、
図4乃至6に示すように、透明基板上に可動式のシャッター1を備えた第1基板(SUB1)と、他の透明基板上に光を透過するアパーチャを、可動式のシャッター1の構成要素の一つであるシャッターSH(即ち平板状シャッター)の開口に対応して備えた第2基板(SUB2)とを有し、両基板を所定の間隔で対向配置する表示装置において、該第2基板の該第1基板に対向する面上には、複数の支柱(CO)が形成され、該第1基板の該可動式のシャッターが形成された面上には、該支柱が挿入され、該支柱を保持するコンタクトホール(CH)が形成されていることを特徴とする。
【0033】
図4は、MEMS基板の平面図であり、ガラス等の透明基板(第1基板,SUB1)の表面に、表示画素に対応して可動式のシャッター1が形成・配置されている。可動式のシャッター1の構成については、
図1及び2で説明したとおりである。本発明では、従来のMEMS基板では、台座が形成されている位置にコンタクトホールCHを形成している。
【0034】
図5は、AP基板の平面図であり、ガラス等の透明基板(第2基板,SUB2)の表面に、遮光性を担う金属膜(ME2)を形成し、アパーチャを構成する開口部(OP2)のみ金属膜が除去されている。
図4のコンタクトホールCHに対応する位置には、支柱COが形成されている。
【0035】
次に、
図6を用いて、本発明の特徴であるコンタクトホールの製造プロセスを説明する。基本的には、レジストパターンが異なるだけで、可動式のシャッター1と同じ製造プロセスで同時に形成されている。
【0036】
図6(a)では、シャッターSHや第1及び第2バネ、アンカー部を形成する土台となるフォトレジストパターン(RE1,RE2)を用いて、コンタクトホールCHの底面側部分(RE1)と上部(RE2)を形成している。レジストパターンRE1が、例えばフォトリソグラフィによって、
図6(a)に示す形状にパターニングされる際に、アンカー部(の土台)を形成すると共に、支柱を受けるためのコンタクトホールを形成している。次に、レジストパターンRE2が、例えばフォトリソグラフィによって、
図6(a)に示す形状にパターニングされる際に、第1及び第2バネ(の土台)を形成すると共に、支柱を受けるためのコンタクトホールを、レジストパターンRE1に形成したコンタクトホールよりひと回り大きく、同じ箇所に形成している。
【0037】
図6(b)では、
図3(b)と同様に、レジストパターン(RE1,RE2)の表面に、導電性を確保するため、半導体等の導電膜(CL)を形成し、さらに遮光性を確保するため金属膜(ME1)が積層される。次に、シャッターSHや第1及び第2バネ等の平面形状に対応したレジストパターンRE3を形成する。
【0038】
レジストパターンRE3を用いてエッチングを行い、シャッターや第1及び第2バネ等を形成し、その後、不要なレジストパターン(RE1〜RE3)が除去され、残留した金属膜(ME1)や導電膜(CL)の表面には、
図6(c)のように、Al
2O
3やSiNなどの絶縁膜INが形成される。
【0039】
図6(c)に示すコンタクトホールCHの形状は、
図6(d)のAP基板側の支柱COの形状(高さH,幅Φ)との関係から、コンタクトホールの高さhは、支柱の高さHの半分以上の高さであり、コンタクトホールの底面幅φ2は、支柱の幅Φと同じに設定され、かつコンタクトホールの上部開口の幅φ1は底面幅φ2よりも大きく設定されている。
【0040】
コンタクトホールCHは、MEMS基板とAP基板とを貼り合わせる際に、支柱COがシャッターSH等に接触せず、MEMS基板側で最初に接触する部材となることが好ましい。このためには、MEMS基板側の最も高い位置にコンタクトホールの頂部が位置することが必要である。しかも、コンタクトホールCHに入った支柱COが飛び出さないよう保持するためには、コンタクトホールCHの高さhを支柱の高さHの半分以上にすることが好ましい。例えば、支柱の高さHを12μmとすると、コンタクトホールの高さhは8μm程度であり、シャッターSHとアパーチャ(金属膜(ME2)の開口部)との距離は約4μm程度となる。
【0041】
MEMS基板側の支柱受け用のコンタクトホールCHは、底面幅(底径)φ2が支柱COの幅寸法Φと同等になるように形成する。また、上部側の開口幅(上底のホール径)φ1は貼り合わせ装置のアライメント精度の尤度を加味した寸法になるようにする。例えば支柱の幅が10μm、貼り合わせ装置のアライメント精度が±3μmの場合、支柱受け用コンタクトホールの底径が10μm、上底径が下底の中心から最小で8μm(φ1=16μm)となるように形成する。
【0042】
図6(e)のように、MEMS基板(SUB1)とAP基板(SUB2)とを対向配置する際に、支柱COがコンタクトホールCHに入り込み、コンタクトホールの底面側で、支柱が挟まって保持されるため、MEMS基板とAP基板の貼り合わせをセルフアライメントで実現できる。しかも支柱COは、AP基板側のみで形成され、繋ぎ目のない支柱となるため、外部衝撃に対する信頼性も高めることが可能となる。
【0043】
MEMS基板とAP基板との間には、透明な液体が作動流体として封入される。作動流体としては、光の透過性が高く、絶縁性があり、誘電率が高く、MEMS基板(SUB1)とAP基板(SUB2)に近い屈折率であることが望ましく、さらにはシャッターやバネなどの稼働部品の動きを妨げないオイル等が好ましい。
【0044】
図4及び
図5では、支柱の数とコンタクトホールの数とが同じである場合について説明したが、本発明の表示装置においては、コンタクトホールの数を、支柱の数よりも少なく設定することも可能である。これは、全ての支柱を全てのコンタクトホールに挿入可能に設定することは、製造工程において極めて高い精度が要求される。このため、例えば、コンタクトホールの数を支柱の数の半分以下、さらに好ましくは3分の1以下に設定し、コンタクトホールの無い場所では、支柱がMEMS基板に直接接触するよう構成してもよい。
【0045】
この際には、コンタクトホールに差し込む支柱とMEMS基板に接触する支柱とで、MEMS基板とAP基板との距離が異なると、支柱に加わる圧力にバラツキが発生するため、コンタクトホールの底面に形成される膜体は、支柱がコンタクトホールを介さずにMEMS基板(第1基板)と接触する場所に形成された膜体と、同じ膜厚かつ同じ種類の膜体で形成されていることが好ましい。もし、MEMS基板を構成する透明基板(第1基板)に支柱が直接コンタクトする場合には、コンタクトホールの底面も透明基板が露出するよう構成することが好ましい。なお、当該膜体の厚みが支柱による距離のバラツキに影響を与えない程、極めて薄い場合には、この膜体の存在を無視しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明によれば、MEMS基板とAP基板との貼り合わせ作業におけるセルフアライメントが可能であり、外部衝撃に対する信頼性の高い表示装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1 可動式のシャッター
AN1,AN2 アンカー部
CH コンタクトホール
CL 導電膜
CO 支柱
IN 絶縁膜
ME1,ME2 金属膜
OP1,OP2 開口部
RE1〜RE3 レジストパターン
SH シャッター
SP1,SP2 バネ
SUB1,SUB2 透明基板