【文献】
P.S.Creticos, et al., The New England Journal of Medicine, 2006, 355(14), pp1445-1455
【文献】
NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE REPORTS POSITIVE RESULTS FROM DYNAVAX RAGWEED ALLERGY THERAPY TRIAL,[ONLINE],DYNAVAX TECHNOLOGIES,2006年 4月10日,URL,http://investors.dynavax.com/search.cfm?keyword=tolamba%20&p=4&SearchYear=2006&Sects=&SortOrder=Score%20Descending
【文献】
M.V.Fanucchi, et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med., 2004, 170, pp1153-1157
【文献】
D.H.Broide, et al., Journal of Clinical Immunology, 2001, 21(3), pp175-182
【文献】
K.Takabayashi, et al., J. Immunol., 2003, 170, pp3898-3905
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記個体におけるTh2応答の減少が、IL−4、IL−5、IL−10、及びIL−13からなる群から選択される任意の1つのサイトカインの減少である、請求項4に記載の医薬組成物。
前記ISSが、5’TGACTGTGAACGTTCGAGATGA-3’(配列番号1、1018 ISS)、及びCpG含有ISSからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、本発明は、個体への反復投与で免疫賦活配列(ISS)の有効量を投与することによる、個体におけるアレルギー性鼻炎の治療方法を提供する。本発明の1つの態様によれば、長期疾患改良は、ISSの反復投与の使用により提供できる。長期疾患改良には、個体におけるTh2応答の抑制が含まれる。ある場合においては、当該抑制は、Th2応答の阻害である。
【0011】
遺伝子的方法
本発明の実施は、特に指示しない限り、当該技術分野の技能の範囲内である、分子生物学(例えば組換え技術)、微生物学、細胞生物学、生化学、核酸化学、及び免疫学の従来的な技術を使用することになる。かかる技術は、文献で十分に説明されており、例えば、以下のものがある。Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition (Sambrook et al., 1989)及びMolecular Cloning: A Laboratory Manual, third edition (Sambrook and Russel, 2001),(本明細書では、まとめて及び個別に、「Sambrook」と呼ぶ);Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait, ed., 1984);Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed., 1987);Handbook of Experimental Immunology (D.M. Weir & C.C. Blackwell, eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.M. Miller & M.P. Calos, eds., 1987);Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel et al., eds., 1987, 2001年までのサプリメントを含む);PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994);Current Protocols in Immunology (J.E. Coligan et al., eds., 1991);The Immunoassay Handbook (D. Wild, ed., Stockton Press NY, 1994);Bioconjugate Techniques (Greg T. Hermanson, ed., Academic Press, 1996);Methods of Immunological Analysis (R. Masseyeff, W.H. Albert, and N.A. Staines, eds., Weinheim: VCH Verlags gesellschaft mbH, 1993), Harlow and Lane (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, New York, and Harlow and Lane (1999) Using Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (jointly and individually referred to herein as “Harlow and Lane”), Beaucage et al. eds., Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry (John Wiley & Sons, Inc., New York, 2000);及び Agrawal, ed., Protocols for Oligonucleotides and Analogs, Synthesis and Properties (Humana Press Inc., New Jersey, 1993)。
【0012】
定義
本明細書で使用される場合、「アレルゲン」なる用語は、対象に暴露されると、アレルギー応答を生じさせる分子、通常はタンパク質の抗原又は抗原部分を意味する。典型的には、当該対象は、例えば膨疹及び炎症(flare)試験、又は当該技術分野において既知の任意の方法により示唆されるようなアレルゲンへのアレルギーである。分子は、対象の小サブセットが、当該分子への暴露の際にアレルギー応答(例えばIgE)を呈するとしても、アレルゲンであると言われる。アレルゲンは、季節により、環境中に、微細量で、又は大量に存在してよい。アレルゲンの例を、以下の表1に列挙する。
【0013】
「個体」は、マウス等の脊椎動物であり、好ましくは、哺乳類、より好ましくはヒトである。哺乳類には、限定するものではないが、ヒト、霊長類、より好ましくは家畜、スポーツ動物、げっ歯類及びペットがある。
【0014】
物質の「有効量」は、利益のある結果又は所望の結果、例えば臨床結果に影響を及ぼすための十分量であり、そのような「有効量」は、それが適用される背景に依存する。抗原の共投与の存在下又は不存在下のいずれかで、免疫応答を調節する組成物を投与する場合、ISS(及び適用可能な場合は抗原)の有効量は、当該抗原が単独で投与される場合に得られる免疫応答と比較して同様の調節に到達する十分量である。有効量は、Th2免疫応答の抑制及び/又は阻害等の疾患改良の長期利益を提供できる。有効量は、1又は複数の投与で投与され得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、及び当該技術分野で十分に理解されるように、「治療」は、利益のある結果又は所望の結果、例えば臨床的結果を得るためのアプローチである。
【0016】
本発明の目的について、利益のある結果又は所望の結果には、限定するものではないが、1又は複数の症候の軽減又は改善、疾患程度の縮小、疾患の安定化(例えば悪化しない)状態、疾患進行の遅延もしくは低速化、及び/又は疾患状態の改善もしくは緩和がある。「治療」はまた、治療を受けない場合の期待される生存率と比較して、延長した生存率を意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「長期疾患改良」なる用語は、ISSの最後の用量投与後、少なくとも3週間、好ましくは少なくとも8週間、最も好ましくは少なくとも12週間の期間の、1又は複数のアレルギー性鼻炎症候の軽減又は除去のことを言う。アレルギー性鼻炎症候には、限定するものではないが、鼻の症状(鼻漏、つまり、鼻分泌過剰/鼻水、くしゃみ、かゆみ)及び非鼻の症状(かゆみ/ざらつく目、泣き目(tearing)、流涙、赤眼又は焼けるような目の痛み、後鼻洩、耳又は口蓋かゆみ)がある。
【0018】
ISSの生物学的影響
長期疾患改良は、ISSの反復投与を用いることによりアレルギー性鼻炎である個体に提供され得る。実施例は、本観察のいくつかの例示を提示する。実施例1は、1つの型のISS、1018 ISSの直接的な影響が、例えば、アレルギー性喘息のネズミモデルにおいて、約1週間継続することを開示する。実施例2及び3は、1018 ISSが少なくとも8週反復投与されている個体において、Th2応答が抑制できることを例示する。Th2抑制の長期効果は、少なくとも13週継続できる。すなわち、ある態様によれば、本発明は、少なくとも8週間ISSの有効量を個体に投与することにより、アレルギー性鼻炎の長期治療のために提供する。この治療の長期的な影響は、少なくとも13週間継続する。本発明は、少なくとも13、15、17、19、21又は25週間持続する長期疾患改良を提供する、少なくとも8週間、ISSの反復投与を使用することによりアレルギー性鼻炎である可能性のある個体のための、長期の利益を提供するための方法を考慮するものである。
【0019】
機能的には、ISSは、個体における細胞性及び体液性の免疫応答、特に、リンパ球増殖、及び個々の単球及びナチュラルキラー(NK)細胞によるサイトカイン(インターフェロン又はIFNを含む)の放出を向上させる。インビボ(in vivo)における合成ISSによる免疫賦活は、個々のリンパ球を、例えば、ISS、ISSオリゴヌクレオチド複合体、及びISS含有組換え発現ベクターと接触させることにより起きる。例えば、米国特許第6,610,661号及びWO97/28259を参照されたい。すなわち、ネイティブ微生物ISSは、感染への応答に対する個別の免疫系を賦活するが、これらのISSの合成類似体は、微生物抗原ばかりでなく、アレルゲン及びその他の物質への個別の免疫応答を調節するために治療的に有用である。
【0020】
ISS組成物
本発明の方法は、ISSの任意の型を使用することにより実施できる。ある実施態様によれば、1018 ISSを使用する。1018 ISSの構造は、多数の科学的論文及び特許に発表されている。例えば、Hessel et al. (2005) J. Exp. Med., 202(11):1563を参照されたい。一般的には、1018 ISSは、(5’−TGACTGTGAACGTTCGAGATGA−3’)である。別の実施態様によれば、1又は複数のISS含有CpGモチーフを使用できる。例えば、米国特許公報第2006/0058254号、又はWO2004/058179を参照されたい。別の実施態様によれば、1又は複数のキメラ免疫調節化合物(「CIC」)を使用できる。例えば、米国特許出願第2004/0132677号を参照されたい。
【0021】
本発明によれば、ISSは、少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含有する、少なくとも長さ8塩基の、少なくとも1つの回文配列(すなわち、パリンドローム)を含有する。ISSはまた、ポリヌクレオチドの5’末端に、又はその近傍に、少なくとも1つのTCGトリヌクレオチド配列を含有する(すなわち、5'−TCG)。ある場合には、回文配列及び5’−TCGは、ISSにおける0、1又は2塩基により分離される。ある場合には、回文配列には、5'−TCGの全て又は一部が含まれる。
【0022】
ISSは、当該技術分野で報告されており、且つそれらの活性は、サイトカイン分泌、抗体産生、NK細胞活性化、B細胞増殖、T細胞増殖等の免疫応答の様々な態様を示唆する標準的なアッセイを用いて迅速に同定できる。例えば、WO97/28259;WO98/16247;WO99/11275;Krieg et al. (1995) Nature 374:546-549;Yamamoto et al. (1992a);Ballas et al. (1996);Klinman et al. (1997);Sato et al. (1996);Pisetsky (1996a);Shimada et al. (1986) Jpn. J. Cancer Res. 77:808-816;Cowdery et al. (1996) J. Immunol. 156:4570-4575;Roman et al. (1997);Lipford et al. (1997a);WO98/55495及びWO00/61151を参照されたい。従って、これらの方法及びその他の方法を、免疫調節ISSの同定、試験、及び/又は確認のために使用できる。
【0023】
ISSは、長さ10塩基又は塩基対超、好ましくは15塩基又は塩基対超、より好ましくは20塩基又は塩基対超の任意の長さがあり得る。本明細書に記載される式に関して、任意の及び全てのパラメータは、個別に選択されると解される。例えば、x=0−2の場合、yは、x(又は式中の任意の他の選択可能なパラメータ)の値に関係なく個別に選択されてよい。
【0024】
ある実施態様によれば、ISSは、(a)少なくとも2つのCGジヌクレオチドを含有し、当該CGジヌクレオチドは、互いに、0、1、2、3、4又は5塩基で分離される、少なくとも長さ8塩基の回文配列、及び(b)ポリヌクレオチドの5'末端から、0、1、2、又は3塩基に位置する(TCG)
y配列(yは、1又は2である)であって、(TCG)
y配列の3'末端は回文配列の5'末端から、0、1又は2塩基で分離される配列、を含んでなる。ある実施態様によれば、(b)の(TCG)
y配列のCGジヌクレオチドは、(a)の回文配列における少なくとも2つのCGジヌクレオチドの1つとしてカウントされてよい。ある実施態様によれば、回文配列のCGジヌクレオチドは、互いに1、3又は4塩基で分離される。本発明のあるISSにおいては、本出願のこの段落又は他の段落で記載されるか否かに関係なく、当該回文配列は、3分の2未満のG及びCである塩基組成を有する。ある実施態様によれば、当該回文配列は、3分の1超のA及びTである塩基組成を有する。
【0025】
ある実施態様によれば、ISSは、(a)少なくとも2つのCGジヌクレオチドを含有し、当該CGジヌクレオチドは、互いに、0、1、2、3、4又は5塩基で分離される、少なくとも長さ8塩基の回文配列、及び(b)ポリヌクレオチドの5'末端から、0、1、2、又は3塩基に位置する(TCG)
y配列(yは、1又は2である)であって、当該回文配列は、(TCG)
y配列の全て又は一部を含有し、且つ(b)の(TCG)
y配列のCGジヌクレオチドは、(a)の回文配列のCGジヌクレオチドの1つとしてカウントされてよい配列、を含んでなる。好ましくは、ある実施態様によれば、回文配列のCGジヌクレオチドは、互いに、1、3、又は4塩基で分離される。
【0026】
従って、ある実施態様によれば、ISSは、式:5'−N
x(TCG(N
q))
yN
w(X
1CGX
1'(CG)
p)
z(式中、Nは、x=0−3、y=1−4、w=−1、0、1又は2、p=0又は1、q=0、1又は2、及びz=1−20であるヌクレオチドであり、X
1及びX
1'は、自己相補的であり、且つ(TCG(N
q))
y配列の5'−Tは、ポリヌクレオチドの5'末端から0〜3塩基である)の配列を含んでよい。ISSは、長さ8塩基以上の回文配列をさらに含んでなり、ここで当該回文配列は、(X
1CGX
1'(CG)
p)配列の少なくとも1つを含んでなる。w=−1であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の3'塩基は、第一の(X
1CGX
1'(CG)
p)配列の5'X
1である。ある実施態様によれば、(TCG(N
q))
y配列は、回文配列から、0、1又は2塩基で分離される。他の実施態様によれば、回文配列は、(TCG(N
q))
y配列の全て又は一部を含む。ある実施態様によれば、p=0の場合、X
1はA又はTのいずれかである。
【0027】
ある実施態様によれば、ISSは、式:5'−N
x(TCG(N
q))
yN
w(X
1X
2X
3CGX
3'X
2'X
1'(CG)
p)
z(式中、Nは、x=0−3、y=1−4、w=−3、−2、−1、0、1又は2、p=0又は1、q=0、1又は2、及びz=1−20であるヌクレオチドであり、X
1及びX
1'、X
2及びX
2'、並びにX
3及びX
3'は自己相補的であり、且つ(TCG(N
q))
y配列の5'−Tは、ポリヌクレオチドの5'末端から0〜3塩基である)の配列を含んでよい。ISSは、少なくとも長さ8塩基以上の回文配列をさらに含んでなり、当該回文配列は、少なくとも1つの(X
1X
2X
3CGX
3'X
2'X
1'(CG)
p配列の第一の(X
1X
2X
3CGX
3'X
2'X
1')を含んでなる。w=−1であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の3'塩基は、第一の(X
1X
2X
3CGX
3'X
2'X
1'(CG)
p配列の5'−X
1である。w=−2であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、それぞれ第一の(X
1X
2X
3CGX
3'X
2'X
1'(CG)
p配列の5'−X
1及びX
2である。w=−3であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から三番目(antepenultimate)(すなわち、最後から三番目)、最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、それぞれ第一の(X
1X
2X
3CGX
3'X
2'X
1'(CG)
p配列の5'−X
1、X
2及びX
3である。ある実施態様によれば、(TCG(N
q))
y配列は、回文配列から、0、1又は2塩基で分離される。他の実施態様によれば、回文配列は、(TCG(N
q))
y配列の全て又は一部を含む。ある実施態様によれば、p=1の場合、X
1、X
2及びX
3は、各々A又はTのいずれかである。ある実施態様によれば、p=0の場合、X
1、X
2及びX
3の少なくとも2つは、A又はTのいずれかである。
【0028】
ある実施態様によれば、ISSは、式:5'−N
x(TCG(N
q))
yN
w(X
1X
2X
3X
4CGX
4'X
3'X
2'X
1'(CG)
p)
z(式中、Nは、x=0−3、y=1−4、w=−3、−2、−1、0、1又は2、p=0又は1、q=0、1又は2、及びz=1−20であるヌクレオチドであり、X
1及びX
1'、X
2及びX
2'、X
3及びX
3'、並びにX
4及びX
4'は自己相補的であり、且つ(TCG(N
q))
y配列の5'−Tは、ポリヌクレオチドの5'末端から0〜3塩基である)の配列を含んでよい。ISSは、少なくとも長さ10塩基以上の回文配列をさらに含んでなり、当該回文配列は、少なくとも1つの(X
1X
2X
3X
4CGX
4'X
3'X
2'X
1'(CG)
p配列の第一の(X
1X
2X
3X
4CGX
4'X
3'X
2'X
1')を含んでなる。w=−1であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の3'塩基は、第一の(X
1X
2X
3X
4CGX
4'X
3'X
2'X
1'(CG)
p配列の5'−X
1である。w=−2であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、それぞれ第一の(X
1X
2X
3X
4CGX
4'X
3'X
2'X
1'(CG)
p配列の5'−X
1及びX
2である。w=−3であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から三番目(antepenultimate)(すなわち、最後から三番目)、最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、それぞれ第一の(X
1X
2X
3X
4CGX
4'X
3'X
2'X
1'(CG)
p配列の5'−X
1、X
2及びX
3である。ある実施態様によれば、(TCG(N
q))
y配列は、回文配列から、0、1又は2塩基で分離される。他の実施態様によれば、回文配列は、(TCG(N
q))
y配列の全て又は一部を含む。ある実施態様によれば、p=1の場合、X
1、X
2、X
3及びX
4は、各々A又はTのいずれかである。ある実施態様によれば、p=0の場合、X
1、X
2、X
3及びX
4の少なくとも2つは、A又はTのいずれかである。
【0029】
ある実施態様によれば、ISSは、式:5'−N
x(TCG(N
q))
yN
w(X
1CGCGX
1'(CG)
p)
z(式中、Nは、x=0−3、y=1−4、w=−1、0、1又は2、p=0又は1、q=0、1又は2、及びz=1−20であるヌクレオチドであり、X
1及びX
1'は自己相補的であり、且つ(TCG(N
q))
y配列の5'−Tは、ポリヌクレオチドの5'末端から0〜3塩基である)の配列を含んでよい。ISSは、長さ8塩基以上の回文配列をさらに含んでなり、ここで当該回文配列は、少なくとも1つの(X
1CGX
1'(CG)
p)配列の第一(X
1CGCGX
1')を含んでなる。w=−1であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の3'塩基は、第一の(X
1CGCGX
1'(CG)
p)配列の5'X
1である。ある実施態様によれば、(TCG(N
q))
y配列は、回文配列から、0、1又は2塩基で分離される。他の実施態様によれば、回文配列は、(TCG(N
q))
y配列の全て又は一部を含む。
【0030】
ある実施態様によれば、ISSは、式:5'−N
x(TCG(N
q))
yN
w(CGX
1X
1'CG(CG)
p)
z(式中、Nは、x=0−3、y=1−4、w=−2、0、1又は2、p=0又は1、q=0、1又は2、及びz=1−20であるヌクレオチドであり、X
1及びX
1'は自己相補的であり、且つ(TCG(N
q))
y配列の5'−Tは、ポリヌクレオチドの5'末端から0〜3塩基である)の配列を含んでよい。ISSは、長さ8塩基以上の回文配列をさらに含んでなり、ここで当該回文配列は、少なくとも1つの(CGX
1X
1'CG(CG)
p)配列の第一(CGX
1X
1'CG)を含んでなる。w=−2であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、CG及び第一のCGX
1X
1'CG(CG)
p)配列の5'CGである。ある実施態様によれば、(TCG(N
q))
y配列は、回文配列から、0、1又は2塩基で分離される。他の実施態様によれば、回文配列は、(TCG(N
q))
y配列の全て又は一部を含む。
【0031】
ある実施態様によれば、ISSは、式:5'−N
x(TCG(N
q))
yN
w(X
1X
2CGX
3X
3'CGX
2'X
1'(CG)
p)
z(式中、Nは、x=0−3、y=1−4、w=−2、−1、0、1又は2、p=0又は1、q=0、1又は2、及びz=1−20であるヌクレオチドであり、X
1及びX
1'、X
2及びX
2'、並びにX
3及びX
3'は自己相補的であり、且つ(TCG(N
q))
y配列の5'−Tは、ポリヌクレオチドの5'末端から0〜3塩基である)の配列を含んでよい。ISSは、長さ10塩基以上の回文配列をさらに含んでなり、ここで当該回文配列は、少なくとも1つの(X
1X
2CGX
3X
3'CGX
2'X
1'(CG)
p)配列の第一の(X
1X
2CGX
3X
3'CGX
2'X
1')を含んでなる。w=−1であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の3'塩基は、第一の(X
1X
2CGX
3X
3'CGX
2'X
1'(CG)
p)配列の5'X
1である。w=−2であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、それぞれ第一の(X
1X
2CGX
3X
3'CGX
2'X
1'(CG)
p)配列の5'X
1及びX
2である。ある実施態様によれば、(TCG(N
q))
y配列は、回文配列から、0、1、又は2塩基で分離される。他の実施態様によれば、回文配列は、(TCG(N
q))
y配列の全て又は一部を含む。ある実施態様によれば、p=1の場合、X
1、X
2及びX
3は、各々A又はTのいずれかである。ある実施態様によれば、p=0の場合、X
1、X
2及びX
3の少なくとも2つは、A又はTのいずれかである。
【0032】
ある実施態様によれば、ISSは、式:5'−N
x(TCG(N
q))
yN
w(X
1X
2CGX
2'X
1'(CG)
p)
z(式中、Nは、x=0−3、y=1−4、w=−2、−1、0、1又は2、p=0又は1、q=0、1又は2、及びz=1−20であるヌクレオチドであり、X
1及びX
1'、X
2及びX
2'は自己相補的であり、且つ(TCG(N
q))
y配列の5'Tは、ポリヌクレオチドの5'末端から0〜3塩基である)の配列を含んでよい。ISSは、長さ8塩基以上の回文配列をさらに含んでなる、当該回文配列は、少なくとも1つの(X
1X
2CGX
2'X
1'(CG)
p)配列の第一(X
1X
2CGX
2'X
1')を含んでなる。w=−1であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の3'塩基は、第一の(X
1X
2CGX
2'X
1'(CG)
p)配列の5'X
1である。w=−2であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、それぞれ第一の(X
1X
2CGX
2'X
1'(CG)
p)
z配列の5'X
1及びX
2である。ある実施態様によれば、(TCG(N
q))
y配列は、回文配列から、0、1又は2塩基で分離される。他の実施態様によれば、回文配列は、(TCG(N
q))
y配列の全て又は一部を含む。ある実施態様によれば、X
1及びX
2は、各々A又はTのいずれかである。
【0033】
ある実施態様によれば、ISSは、式:5'−N
x(TCG(N
q))
yN
w(X
1X
2X
3X
4X
5CGX
5'X
4'X
3'X
2'X
1'(CG)
p)
z(式中、Nは、x=0−3、y=1−4、w=−3、−2、−1、0、1又は2、p=0又は1、q=0、1又は2、及びz=1−20であるヌクレオチドであり、X
1及びX
1'、X
2及びX
2'、X
3及びX
3'、X
4及びX
4'、並びにX
5及びX
5'は自己相補的であり、且つ(TCG(N
q))
y配列の5'−Tは、ポリヌクレオチドの5'末端から0〜3塩基である)の配列を含んでよい。ISSは、少なくとも長さ10塩基以上の回文配列をさらに含んでなり、当該回文配列は、少なくとも1つの(X
1X
2X
3X
4X
5CGX
5'X
4'X
3'X
2'X
1'(CG)
p)配列の第一の(X
1X
2X
3X
4X
5CGX
5'X
4'X
3'X
2'X
1')を含んでなる。w=−1であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の3'塩基は、第一(X
1X
2X
3X
4X
5CGX
5'X
4'X
3'X
2'X
1'(CG)
p)配列の5'X
1である。w=−2であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、それぞれ第一の(X
1X
2X
3X
4X
5CGX
5'X
4'X
3'X
2'X
1'(CG)
p)配列の5'X
1及びX
2である。w=−3であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から三番目(antepenultimate)(すなわち、最後から三番目)、最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、それぞれ第一の(X
1X
2X
3X
4X
5CGX
5'X
4'X
3'X
2'X
1'(CG)
p)配列の5'−X
1、X
2及びX
3である。ある実施態様によれば、(TCG(N
q))
y配列は、回文配列から、0、1又は2塩基で分離される。他の実施態様によれば、回文配列は、(TCG(N
q))
y配列の全て又は一部を含む。ある実施態様によれば、X
1、X
2、X
3、X
4、及びX
5の少なくとも3つは、各々A又はTのいずれかである。
【0034】
ある実施態様によれば、ISSは、式:5'−N
x(TCG(N
q))
yN
w(X
1X
2CGCGX
2'X
1'(CG)
p)
z(式中、Nは、x=0−3、y=1−4、w=−2、−1、0、1又は2、p=0又は1、q=0、1又は2、及びz=1−20であるヌクレオチドであり、X
1及びX
1'、並びにX
2及びX
2'は自己相補的であり、且つ(TCG(N
q))
y配列の5'Tは、ポリヌクレオチドの5'末端から0〜3塩基である)の配列を含んでよい。ISSは、長さ8塩基以上の回文配列をさらに含んでなる、当該回文配列は、少なくとも1つの(X
1X
2CGCGX
2'X
1'(CG)
p)配列の第一(X
1X
2CGCGX
2'X
1')を含んでなる。w=−1であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の3'塩基は、第一の(X
1X
2CGCGX
2'X
1'(CG)
p)配列の5'X
1である。w=−2であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、それぞれ第一の(X
1X
2CGCGX
2'X
1'(CG)
p)配列の5'X
1及びX
2である。ある実施態様によれば、(TCG(N
q))
y配列は、回文配列から、0、1又は2塩基で分離される。他の実施態様によれば、回文配列は、(TCG(N
q))
y配列の全て又は一部を含む。ある実施態様によれば、X
1及びX
2は、各々A又はTのいずれかである。
【0035】
ある実施態様によれば、ISSは、式:5'−N
x(TCG(N
q))
yN
w(X
1X
2X
3CGCGX
3'X
2'X
1'(CG)
p)
z(式中、Nは、x=0−3、y=1−4、w=−3、−2、−1、0、1又は2、p=0又は1、q=0、1又は2、及びz=1−20であるヌクレオチドであり、X
1及びX
1'、X
2及びX
2'、並びにX
3及びX
3'は自己相補的であり、且つ(TCG(N
q))
y配列の5'−Tは、ポリヌクレオチドの5'末端から0〜3塩基である)の配列を含んでよい。ISSは、長さ10塩基以上の回文配列をさらに含んでなり、ここで当該回文配列は、少なくとも1つの(X
1X
2X
3CGCGX
3'X
2'X
1'(CG)
p)配列の第一の(X
1X
2X
3CGCGX
3'X
2'X
1')を含んでなる。w=−1であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の3'塩基は、第一の(X
1X
2X
3CGCGX
3'X
2'X
1'(CG)
p)配列の5'X
1である。w=−2であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、それぞれ第一の(X
1X
2X
3CGCGX
3'X
2'X
1'(CG)
p)配列の5'X
1及びX
2である。w=−3であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から三番目(antepenultimate)(すなわち、最後から三番目)、最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、それぞれ第一の(X
1X
2X
3CGCGX
3'X
2'X
1'(CG)
p)配列の5'−X
1、X
2及びX
3である。ある実施態様によれば、(TCG(N
q))
y配列は、回文配列から、0、1、又は2塩基で分離される。他の実施態様によれば、回文配列は、(TCG(N
q))
y配列の全て又は一部を含む。ある実施態様によれば、p=1の場合、X
1、X
2及びX
3は、各々A又はTのいずれかである。ある実施態様によれば、p=0の場合、X
1、X
2及びX
3の少なくとも2つは、A又はTのいずれかである。
【0036】
ある実施態様によれば、ISSは、式:5'−N
x(TCG(N
q))
yN
w(CGX
1X
2X
2'X
1'CG(CG)
p)
z(式中、Nは、x=0−3、y=1−4、w=−2、−1、0、1又は2、p=0又は1、q=0、1又は2、及びz=1−20であるヌクレオチドであり、X
1及びX
1'、並びにX
2及びX
2'は自己相補的であり、且つ(TCG(N
q))
y配列の5'Tは、ポリヌクレオチドの5'末端から0〜3塩基である)の配列を含んでよい。ISSは、長さ8塩基以上の回文配列をさらに含んでなる、当該回文配列は、少なくとも1つの(CGX
1X
2X
2'X
1'CG(CG)
p)配列の第一(CGX
1X
2X
2'X
1'CG)を含んでなる。w=−2であるISSにおいて、(TCG(N
q))
y配列の最後から二番目(penultimate)(すなわち最後から二番目)及び最後(ultimate)(すなわち最後)の3'塩基は、CG、及び第一の(CGX
1X
2X
2'X
1'CG(CG)
p)配列の5'CGである。ある実施態様によれば、(TCG(N
q))
y配列は、回文配列から、0、1又は2塩基で分離される。他の実施態様によれば、回文配列は、(TCG(N
q))
y配列の全て又は一部を含む。ある実施態様によれば、X
1及びX
2は、各々A又はTのいずれかである。
【0037】
y=2以上である、本明細書で記載される任意のモチーフを含んでなるISSについて、(TCG(N
q))のy回反復の各々における(N
q)は、独立に選択される。例えば、y=2であるISSにおいて、第一の(TCG(N
q))は、N=Aであり、且つq=1であってよく、及び第二の(TCG(N
q))は、q=0であってよく、この場合、ISSのこの位置は、・・・TCGATCG・・・となるはずである。ある実施態様で本明細書に記載される任意のモチーフを含んでなるISSのある実施態様によれば、xは、好ましくは0又は1である。本明細書に記載される任意のモチーフを含んでなるISSのある実施態様によれば、yは、好ましくは1又は2である。本明細書に記載される任意のモチーフを含んでなるISSのある実施態様によれば、wは、好ましくは0である。本明細書に記載される任意のモチーフを含んでなるISSのある実施態様によれば、zは、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、又は8である。
【0038】
上記の通り、ISSは、少なくとも長さ8塩基である、少なくとも1つの回文配列を含有する。ある実施態様によれば、ISSは、少なくとも以下の長さ(塩基で):10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30である、少なくとも1つの回文配列を含有する。ある実施態様によれば、回文配列は、ISSにおいて少なくとも1度反復される。ある実施態様によれば、回文配列は、存在する場合、(TCG(N
q))
y配列の5'塩基も含む。
【0039】
上記の教示に従って使用できる特定のISSの非限定的な例は、米国特許公報第2006/0058254号、及び米国特許公報第2004/0132677号にも記載を見出すことができる。
【0040】
ISSの修飾
ISSは修飾を含有してよい。ISSの修飾には、当該技術分野において既知の任意のものが含まれ、限定するものではないが、3'OH又は5'OH基の修飾、ヌクレオチド塩基の修飾、糖成分の修飾、及びリン酸基の修飾がある。(1又は複数の)修飾された塩基がワトソン−クリック塩基対を通してその天然成分について同じ特異性を維持する限り、当該修飾された塩基は、ISSの回文配列に含まれてよい(例えば、ISSの回文部分はなお自己相補的である)。
【0041】
ISSは、天然か、又は修飾された非天然の塩基を含有してよく、且つ修飾された糖、リン酸、及び/又は末端を含有してよい。例えば、ホスホジエステル結合に加えて、リン酸修飾には、限定するものではないが、ホスホン酸メチル、ホスホロチオエート、ホスホロアミダート(架橋又は非架橋)、ホスホトリエステル、及びホスホロジチオエートが含まれ、且つ任意の組合せで使用できる。他の非リン酸結合も使用してよい。ある実施態様によれば、本発明のポリヌクレオチドは、ホスホチオエート骨格のみを含んでなる。ある実施態様によれば、本発明のポリヌクレオチドは、ホスホジエステル骨格のみを含んでなる。ある実施態様によれば、ISSは、ホスホジエステル及びホスホロチオエート結合の組合せ等のリン酸骨格におけるリン酸結合の組合せを含んでよい。
【0042】
当該分野で既知の、2'−アルコキシ−RNA類似体、2'−アミノ−RNA類似体、2'−フルオロ−DNA、及び2'−アルコキシ−もしくはアミノ−RNA/DNAキメラ、及び本明細書に記載される他のもの等の糖修飾は、任意のリン酸修飾と共に作製してよく、且つリン酸修飾と組み合わせてよい。塩基修飾の例には、限定するものではないが、ISSのシトシンのC−5及び/又はC−6への電子求引性基の付加(例えば、5−ブロモシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ヨードシトシン)、及びISSのウラシルのC−5及び/又はC−6への電子求引性基の付加(例えば、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ヨードウラシル)がある。例えば、WO99/62923を参照されたい。ISSの回文配列における塩基修飾の使用は、ワトソン−クリック塩基対に関与する塩基の自己相補能を干渉すべきでない。しかしながら、回文配列の外で、修飾された塩基は、この制限なく使用できる。
【0043】
さらに、骨格リン酸基修飾(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホロチオエート、ホスホロアミダート、及びホスホロジチオエートヌクレオチド間結合)は、ISS上での免疫調節活性を提供でき、且つインビボ(in vivo)におけるその安定性を向上させ、これらを治療応用において特に有用にさせることができる。特に有用なリン酸基修飾は、ISSオリゴヌクレオチドのホスホロチオエート又はホスホロジチオエート形態への変換である。その潜在的な免疫調節特性に加え、ホスホロチオエート及びホスホロジチオエートは、未修飾のそのオリゴヌクレオチド対応物よりも、インビボにおける分解に対してより耐性があり、個体が本発明のISSをより利用しやすくさせる。
【0044】
ISSの合成及びスクリーニング
ISSは、当該技術分野で周知の技術及び核酸合成装置を用いて合成でき、これらには、限定するものではないが、例えば、酵素法、化学法、及びより大きなオリゴヌクレオチド配列の分解がある。例えば、Ausubel et al. (1987)及びSambrook et al. (1989)を参照されたい。酵素的に集合させた場合、個々の単位は、例えば、T4 DNA又はRNAリガーゼ等のリガーゼでライゲーションできる。例えば、米国特許第5,124,246号を参照されたい。オリゴヌクレオチド分解は、米国特許第4,650,675号に例示されるように、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼへの暴露を通して達成できる。
【0045】
ISSはまた、従来的なポリヌクレオチド単離手法を用いて単離できる。かかる手法には、限定するものではないが、共有されるヌクレオチド配列の検出のためのプローブのゲノム又はcDNAライブラリーとのハイブリダイゼーション、共有される構造的特徴の検出のための発現ライブラリーの抗体スクリーニング、及びポリメラーゼ連鎖は能による特定のネイティブ配列の合成がある。
【0046】
環状ISSは、単離でき、組換え法を介して合成でき、又は化学的に合成できる。環状ISSが、単離により、又は組換え法により得られる場合、好ましくはISSはプラスミドであるはずである。より小さい環状オリゴヌクレオチドの化学合成は、文献に記載される任意の方法を用いて行うことができる。例えば、Gao et al. (1995) Nucleic Acids Res. 23:2025-2029;及びWang et al. (1994) Nucleic Acids Res. 22:2326-2333を参照されたい。
【0047】
大半のISSの二重鎖(すなわち、二本鎖)及びヘアピン形態は、低ポリヌクレオチド濃度及びより高温で一般的に好まれるヘアピン形態と、動的平衡状態である。鎖間、又は鎖内の共有的な架橋は、それぞれ二重鎖又はヘアピンの安定性を、熱誘導性、イオン誘導性、pH誘導性、及び濃度誘導性のコンフォメーション変化に対して向上させる。化学的な架橋を使用して、物理化学的及び生物学的特徴づけのために、ポリヌクレオチドを、二重鎖又はヘアピン形態のいずれかにロックすることができる。コンフォメーション的に均一であり且つその最も活性な形態(二重鎖又はヘアピン形態のいずれか)で「ロック」された、架橋ISSは、その未架橋の対応物よりも潜在的に活性である可能性がある。従って、本発明のISSには、鎖間及び/又は鎖内の共有的な架橋を含有するものがある。
【0048】
二重鎖DNAを化学的に架橋する様々な手段が当該技術分野において既知である。架橋ポリヌクレオチド産物が所望の免疫調節活性を有する限り、任意の架橋法を用いてよい。
【0049】
例えば、ある方法は、二重鎖又はヘアピンの末端で2つの相対するチミジン間のジスルフィド架橋をもたらす。この架橋法のために、注目の(1又は複数の)オリゴヌクレオチドは、5'−DMT−N3−(tBu−SS−エチル)チミジン−3'−ホスホロアミダイト(「T
*」)を用いて合成される。ジスルフィド架橋を形成するため、混合したジスルフィド結合を還元し、ヘアピン形態の場合は鎖内架橋を、又は二重鎖形態の場合は鎖間架橋を形成するために、オリゴヌクレオチドを精製し、鎖をハイブリダイズし、且つ前記化合物を空気酸化させる。あるいは、当該オリゴヌクレオチドを最初にハイブリダイズし、その後、還元、精製、及び空気酸化してもよい。かかる方法及びその他の方法は、例えば、Glick et al. (1991) J. Org. Chem. 56:6746-6747, Glick et al. (1992) J. Am. Chem. Soc. 114:5447-5448, Goodwin et al. (1994) Tetrahedron Letters 35:1647-1650, Wang et al. (1995) J. Am. Chem. Soc. 117:2981-2991, Osborne et al. (1996) Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 6:2339-2342 及び Osborne et al. (1996) J. Am. Chem. Soc. 118:11993-12003に記載されている。
【0050】
別の架橋方法は、二重鎖又はヘアピン構造において、相殺する残基間にジスルフィド架橋を形成する。この架橋法のために、注目の(1又は複数の)オリゴヌクレオチドは、変換可能なヌクレオシド(例えば、Glen Researchから購入可能)を用いて合成される。この方法は、例えば、A−Aジスルフィド、又はC−Aジスルフィド架橋を利用し、及び他の塩基を介する結合も可能である。ジスルフィド修飾ポリヌクレオチドの形成のために、変換可能なヌクレオシドを含有するポリヌクレオチドを、シスタミン(又はその他のジスルフィド含有アミン)と反応させる。ジスルフィド架橋を形成するために、混合したジスルフィド結合を還元し、ヘアピン形態の場合は鎖内架橋を、又は二重鎖形態の場合は鎖間架橋を形成するために、オリゴヌクレオチドを精製し、鎖をハイブリダイズし、且つ前記化合物を空気酸化させる。あるいは、当該オリゴヌクレオチドを最初にハイブリダイズし、その後、還元、精製、及び空気酸化してもよい。かかる方法及びその他の方法は、例えば、Glick et al. (1991) J. Org. Chem. 56:6746-6747, Glick et al. (1992) J. Am. Chem. Soc. 114:5447-5448, Goodwin et al. (1994) Tetrahedron Letters 35:1647-1650, Wang et al. (1995) J. Am. Chem. Soc. 117:2981-2991, Osborne et al. (1996) Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 6:2339-2342 及び Osborne et al. (1996) J. Am. Chem. Soc. 118:11993-12003に記載されている。
【0051】
別の架橋法は、二重鎖又はヘアピン構造において、相殺する残基間にジスルフィド架橋を形成する。この架橋法のために、注目の(1又は複数の)オリゴヌクレオチドは、変換可能なヌクレオシド(例えば、Glen Researchから購入可能)を用いて合成される。この方法は、例えば、A−Aジスルフィド、又はC−Aジスルフィド架橋を利用し、及び他の塩基を介する結合も可能である。ジスルフィド修飾ポリヌクレオチドの形成のために、変換可能なヌクレオシドを含有するポリヌクレオチドを、シスタミン(又はその他のジスルフィド含有アミン)と反応させる。ジスルフィド架橋を形成するために、混合したジスルフィド結合を還元し、ヘアピン形態の場合は鎖内架橋を、又は二重鎖形態の場合は鎖間架橋を形成するために、オリゴヌクレオチドを精製し、鎖をハイブリダイズし、且つ前記化合物を空気酸化させる。あるいは、当該オリゴヌクレオチドを最初にハイブリダイズし、その後、還元、精製、及び空気酸化してもよい。かかる方法は、例えば、Ferentz et al. (1991) J. Am. Chem. Soc. 113:4000-4002 及び Ferentz et al. (1993) J. Am. Chem. Soc. 115:9006-9014に記載されている。
【0052】
ポリヌクレオチド及び修飾ポリヌクレオチドを作製するための技術は当該技術分野において既知である。ホスホジエステル結合を含有する天然のDNA又はRNAは、一般的に、適切なヌクレオシドホスホロアミダイトと、3'末端で固体支持体に取り付けられた成長するオリゴヌクレオチドの5'ヒドロキシ基との連続的なカップリング、その後の、媒介型亜リン酸トリエステルのリン酸トリエステルへの酸化により合成される。所望のポリヌクレオチド配列が合成されると、当該ポリヌクレオチドは支持体から除去され、リン酸トリエステル基はリン酸時エステルに脱保護され、且つヌクレオシド塩基は、水性アンモニウム又はその他の塩基を用いて脱保護される。例えば、Beaucage (1993) “Oligodeoxyribonucleotide Synthesis” in Protocols for Oligonucleotides and Analogs, Synthesis and Properties (Agrawal, ed.) Humana Press, Totowa, NJ;Warner et al. (1984) DNA 3:401、及び米国特許第4,458,066号を参照されたい。
【0053】
ISSはまた、リン酸修飾ポリヌクレオチドを含有でき、そのいくつかはポリヌクレオチドを安定化することが知られる。従って、いくつかの実施態様には、安定化ISSがある。修飾リン酸結合又は非リン酸結合を含有するポリヌクレオチドの合成も当該技術分野で既知である。レビューとして、Matteucci (1997) “Oligonucleotide Analogs: an Overview” in Oligonucleotides as Therapeutic Agents, (D.J. Chadwick and G. Cardew, ed.) John Wiley and Sons, New York, NYを参照されたい。本発明のポリヌクレオチドにおいて糖又は糖類似基に付加できるリン誘導体(又は修飾リン酸基)には、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、アルキルリン酸塩、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミダート等があり得る。上記のリン酸類似体の調製、及びヌクレオチドへ、修飾ヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドそのものへのその組み込みも既知であり、ここで詳細に記載する必要はない。Peyrottes et al. (1996) Nucleic Acids Res. 24:1841-1848;Chaturvedi et al. (1996) Nucleic Acids Res. 24:2318-2323;及び Schultz et al. (1996) Nucleic Acids Res. 24:2966-2973がある。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの合成は、上記の天然のオリゴヌクレオチドと類似するが、酸化ステップが硫化ステップに置き換えられる(Zon (1993) “Oligonucleoside Phosphorothioates” in Protocols for Oligonucleotides and Analogs, Synthesis and Properties (Agrawal, ed.) Humana Press, pp. 165-190)。同様に、ホスホトリエステル(Miller et al. (1971) JACS 93:6657-6665)、非架橋ホスホロアミダート(Jager et al. (1988) Biochem. 27:7247-7246)、N3'からP5'ホスホロアミダート(Nelson et al. (1997) JOC 62:7278-7287)、及びホスホロジチオエート(米国特許第5,453,496号)等の、他のリン酸塩類似体の合成も報告されている。その他の非リンベース修飾オリゴヌクレオチドも使用できる(Stirchak et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:6129-6141)。ホスホロチオエート骨格を有するポリヌクレオチドは、ホスホジエステル骨格を有するものよりもより免疫原性である可能性があり、且つ宿主への注入後の分解への耐性が高いようである。Braun et al. (1988) J. Immunol. 141:2084-2089;及び Latimer et al. (1995) Mol. Immunol. 32:1057-1064。
【0054】
本発明で使用されるISSは、1又は複数のリボヌクレオチド(唯一又は主要な糖成分としてリボースを含有する)、デオキシリボヌクレオチド(主要な糖成分としてデオキシリボースを含有する)を含んでよく、又は当該技術分野で知られるように、修飾糖又は糖類似体は、ISSに組み込むことができる。すなわち、リボース及びデオキシリボースに加え、糖部分は、ペントース、デオキシペントース、ヘキソース、デオキシヘキソース、グルコース、アラビノース、キシロース、リキソース、及び糖「類似体」シクロペンチル基があり得る。糖は、ピラノシル状態、又はフラノシル状態であってもよい。ISSにおいて、好ましくは、糖部分は、リボース、デオキシリボース、アラビノース、又は2'−0−アルキルリボースのフラノシドであり、且つ当該糖は、α又はβのいずれかのアノマー立体配置でそれぞれのヘテロ環状塩基に付加する。糖修飾には、限定するものではないが、2'−アルコキシ−RNA類似体、2'−アミノ−RNA類似体、2'−フルオロ−DNA、及び2'−アルコキシ−もしくはアミノ−RNA/DNAキメラがある。例えば、ISSにおける糖には、限定するものではないが、2'−O−メチル−ウリジン及び2'−O−メチル−シチジンがある。糖又は類似体がヘテロ環状塩基(核酸塩基)それ自体に付加する、これらの糖及び糖類似体、及びそれぞれの「ヌクレオシド」の調製は、既知であり、且つここで記載する必要はないが、かかる調製は任意の特定の例に関連してよい。糖修飾はまた、ISSの調製における任意のリン酸塩修飾と共に作製され、且つこれと組み合わせることができる。
【0055】
ISSに組み込まれるヘテロ環状塩基、又は核酸塩基は、天然の主要なプリン及びピリミジン塩基(特に、上記の通り、ウラシル、チミン、シトシン、アデニン、及びグアニン)、並びにかかる主要な塩基の天然及び合成の修飾があり得る。すなわち、ISSは、2'−デオキシウリジン及び/又は2−アミノ−2'−デオキシアデノシンを含んでよい。
【0056】
当業者は、様々なヘテロ環状塩基及び様々な糖部分(及び糖類似体)を含んでなる多数の「合成」非天然ヌクレオチドが、当該技術分野において利用可能であり、且つ本発明の他の基準を満たす限り、ISSには、天然核酸の主要な5つの成分以外の、1又は複数のヘテロ環状塩基があり得ることを理解するはずである。しかしながら、好ましくは、ISSにおけるヘテロ環状塩基には、限定するものではないが、ウラシル−5−イル、シトシン−5−イル、アデニン−7−イル、アデニン−8−イル、グアニン−7−イル、グアニン−8−イル、4−アミノピロロ[2.3−d]ピリミジン−5−イル、2−アミノ−4−オキサピロロ[2.3−d]ピリミジン−5−イル、2−アミノ−4−オキサピロロ[2.3−d]ピリミジン−3−イル基があり、ここで、プリンは、ISSの糖部分に9−位で付加し、ピリミジンは1−位で、ピロロピリミジンは7−位で、及びピラゾピリミジンは1−位で付加する。
【0057】
ISSは、少なくとも1つの修飾塩基を含んでよい。本明細書に記載されるように、「修飾塩基」なる用語は「塩基類似体」と同義語であり、例えば、「修飾シトシン」は「シトシン類似体」と同義語である。同様に、「修飾」ヌクレオシド又はヌクレオチドは、本明細書において、ヌクレオシド又はヌクレオチド「類似体」と同義語であると定義される。塩基修飾の例には、限定するものではないが、電子求引基の、ISSのシトシンのC−5及び/又はC−6への付加がある。好ましくは、電子求引基はハロゲンである。かかる修飾シトシンには、限定するものではないが、アザシトシン、5−ブロモシトシン、ブロモウラシル、5−クロロシトシン、塩素化シトシン、シクロシトシン、シトシンアラビノシド、5−フルオロシトシン、フルオロピリミジン、フルオロウラシル、5,6−ジヒドロシトシン、5−ヨードシトシン、ヒドロキシウレア、ヨードウラシル、5−ニトロシトシン、ウラシル、及び任意の他のピリミジン類似体又は修飾ピリミジンが含まれ得る。塩基修飾の他の例には、限定するものではないが、電子求引基の、ISSのシトシンのC−5及び/又はC−6への付加がある。好ましくは、電子求引基はハロゲンである。かかる修飾シトシンには、限定するものではないが、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、及び5−ヨードウラシルがある。
【0058】
塩基修飾の他の例には、限定するものではないが、2−アミノ−アデニン、6−チオ−グアニン、2−チオ−チミン、4−チオ−チミン、5−プロピニル−ウラシル、及び4−チオ−ウラシル等の塩基への1又は複数のチオール基の付加がある。塩基修飾の他の例には、限定するものではないが、N4−エチルシトシン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、及び5−ヒドロキシシトシンがある。例えば、Kandimalla et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. 9:807-813を参照されたい。
【0059】
塩基修飾ヌクレオシドを使用する塩基修飾ヌクレオシドの調製、及び前駆体として当該塩基修飾ヌクレオシドを使用する修飾オリゴヌクレオチドの合成は、例えば、米国特許第4,910,300号、4,948,882号、及び5,093,232号に記載されている。これらの塩基修飾ヌクレオチドは、これらが化学合成により、オリゴヌクレオチドの末端又は内部のいずれかの位置に組み込まれることができるように設計されている。オリゴヌクレオチドの末端又は内部のいずれかに存在するかかる塩基修飾ヌクレオシドを、ペプチド又はその他の抗原の付加のための部位として提供できる。これらの糖部分において修飾されるヌクレオシドも報告されており(限定するものではないが、例えば、米国特許第4,849,513号、5,015,733号、5,118,800号、及び5,118,802号等)、且つ同様に使用できる。
【0060】
ある実施態様によれば、ISSは、以下の長さ(塩基又は塩基対で)未満の任意のものである:10,000;5,000;2500;2000;1500;1250;1000;750;500;300;250;200;175;150;125;100;75;60;50;40;30;25;20;15;14;13;12;11;10。ある実施態様によれば、ISSは、以下の長さ(塩基又は塩基対で)超の任意のものである:10;11;12;13;14;15;20;25;30;40;50;60;75;100;125;150;175;200;250;300;350;400;500;750;1000;2000;5000;7500;10000;20000;50000。あるいは、ISSは、10,000;5,000;2500;2000;1500;1250;1000;750;500;300;250;200;175;150;125;100;75;60;50;40;30;25;20;15;14;13;12;11;10の上限、及び10;11;12;13;14;15;20;25;30;40;50;60;75;100;125;150;175;200;250;300;350;400;500;750;1000;2000;5000;7500から選択される下限(下限は上限未満である)を有する任意のサイズ範囲をとり得る。ある実施態様によれば、好ましくはISSは、長さが約200塩基以下である。
【0061】
あるいは、ISSは、核酸ハイブリダイゼーション等の当該技術分野で周知の技術を用いて、微生物種(特に、マイコバクテリア)から単離できる。好ましくは、かかる単離されたISSは、実質的に純粋な状態、すなわち、リポ多糖等の内因性夾雑物が無い状態まで精製されることになる。巨大なポリヌクレオチドの一部として単離されるISSは、エンドヌクレアーゼ消化による等の、当該技術分野において周知の技術により所望の長さに低減できる。当該技術分野における通常の技能を有する者は、本発明における潜在的な使用のISSを得るために、ポリヌクレオチドの単離、精製及び消化に適する技術ついて習熟しているか、又は当該技術を容易に解明することができる。
【0062】
特定のオリゴヌクレオチドが本発明において有用なISSの特性を有することの確認は、ISSが以下に記載されるようなサイトカイン分泌に影響を及ぼすか否かを評価することにより行うことができる。かかる評価をする際に有用なインビトロ(in vitro)技術の詳細を実施例で示す。当該技術分野において通常の技能を有する者は、本明細書で教示されるパラメータにしたがって、サイトカイン分泌を測定するための他の方法を知っているか、又は当該方法を容易に解明することができる。
【0063】
ISSと一緒に投与できる抗原
任意の抗原は、ISSと一緒に共投与でき、及び/又はISS及び抗原を含んでなる組成物(及びこれらの組成物の調製)において使用できる。
【0064】
ある実施態様によれば、抗原はアレルゲンである。組換えアレルゲンの例を表1に示す。多くのアレルゲンの調製が、当該技術分野において既知であり、限定するものではないが、例えば、ブタクサ花粉アレルゲン抗原E(Amb a I)(Rafnar et al. (1991) J. Biol. Chem. 266:1229-1236)、草アレルゲンLol p 1(Tamborini et al. (1997) Eur. J. Biochem. 249:886-894)、主要なイエダニアレルゲンDer pI及びDer PII(Chua et al. (1988) J. Exp. Med. 167:175-182;Chua et al. (1990) Int. Arch. Allergy Appl. Immunol. 91:124-129)、家庭用ネコアレルゲンFel d I(Rogers et al. (1993) Mol. Immunol. 30:559-568)、シラカバ花粉アレルゲンBet vl(Breiteneder et al. (1989) EMBO J. 8:1935-1938)、スギアレルゲンCry j 1及びCry j 2(Kingetsu et al. (2000) Immunology 99:625-629)、及び他の樹木花粉由来のタンパク質抗原(Elsayed et al. (1991) Scand. J. Clin. Lab. Invest. Suppl. 204:17-31)の調製がある。示唆されるように、樹木からのアレルゲン、例えばカバ、ジュニパー、及びスギ由来のアレルゲンが知られている。インビボ投与のための草花粉由来のタンパク質抗原の調製が報告されている。
【0065】
ある実施態様によれば、当該アレルゲンは、食物アレルゲン、限定するものではないが、例えば、ピーナッツアレルゲン、例えば、Ara h I(Stanley et al. (1996) Adv. Exp. Med. Biol. 409:213-216);クルミアレルゲン、例えば、Jug r I(Tueber et al. (1998) J. Allergy Clin. Immunol. 101:807-814);ブラジル・ナッツアレルゲン、例えば、アルブミン(Pastorello et al. (1998) J. Allergy Clin. Immunol. 102:1021-1027);shrISSアレルゲン、例えば、Pen a I(Reese et al. (1997) Int. Arch. Allergy Immunol. 113:240-242);卵アレルゲン、例えば、オボムコイド(Crooke et al. (1997) J. Immunol. 159:2026-2032);ミルクアレルゲン、例えば、ウシβラクトグロブリン(Selot al. (1999) Clin. Exp. Allergy 29:1055-1063);魚アレルゲン、例えば、パルブアルブミン(Van Do et al. (1999) Scand. J. Immunol. 50:619-625;Galland et al. (1998) J. Chromatogr. B. Biomed. Sci. Appl. 706:63-71)がある。ある実施態様によれば、当該アレルゲンには、ラテックスアレルゲン、例えば、限定するものではないが、Hev b 7(Sowka et al. (1998) Eur. J. Biochem. 255:213-219)がある。表1は、使用できるアレルゲンの例示的なリストを示す。
【0070】
ある実施態様によれば、抗原は、感染性因子、原生動物、細菌、真菌(単細胞及び多細胞を含む)等の感染性因子、及びウイルス感染性因子由来である。好適なウイルス抗原の例は、本明細書に記載されており、且つ当該技術分野において既知である。細菌には、ヘモフィルス・インフルエンザ、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、及びボルデテラ・バータシスがある。原生動物感染性因子には、マラリアの変形体、リーシュマニア属、トリパノソーマ属、及びシストソーマ属がある。真菌には、カンジダ・アルビカンスがある。
【0071】
ある実施態様によれば、抗原はウイルス性抗原である。ウイルス性ポリペプチド抗原には、限定するものではないが、HIV gagタンパク質(例えば、限定するものではないが、膜アンカリング(MA)タンパク質、コアカプシド(CA)タンパク質、及びヌクレオカプシド(NC)タンパク質がある)等のHIVタンパク質、HIVポリメラーゼ、インフルエンザウイルスマトリックス(M)タンパク質、及びインフルエンザウイルスヌクレオカプシド(NP)タンパク質、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎コアタンパク質(HBcAg)、肝炎タンパク質(HBeAg)、B型肝炎DNAポリメラーゼ、C型肝炎抗原等がある。インフルエンザワクチンについて議論する参考文献には、Scherle and Gerhard (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:4446-4450;Scherle and Gerhard (1986) J. Exp. Med. 164:1114-1128;Granoff et al. (1993) Vaccine 11:S46-51;Kodihalli et al. (1997) J. Virol. 71:3391-3396;Ahmeida et al. (1993) Vaccine 11:1302-1309;Chen et al. (1999) Vaccine 17:653-659;Govorkova and Smirnov (1997) Acta Virol. (1997) 41:251-257;Koide et al. (1995) Vaccine 13:3-5;Mbawuike et al. (1994) Vaccine 12:1340-1348;Tamura et al. (1994) Vaccine 12:310-316;Tamura et al. (1992) Eur. J. Immunol. 22:477-481;Hirabayashi et al. (1990) Vaccine 8:595-599、がある。抗原ポリペプチドの他の例は、多数の感染性因子として知られるグループ特異的又はサブグループ特異的な抗原、例えば、限定するものではないが、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、呼吸器多核体ウイルス、及びポックスウイルスである。
【0072】
多くの抗原性ペプチド及びタンパク質が、既知であり、当該技術分野において利用可能であり、他は、従来的な技術を用いて同定できる。腫瘍形成に対する免役化又は存在する腫瘍の治療のために、免疫調節ペプチドには、腫瘍細胞(生、又は照射されたもの)、腫瘍細胞抽出物、又はHer−2/neu、Mart1、癌胎児性抗原(CEA)、ガングリオシド、人乳脂肪球(HMFG)、ムチン(MUC1)、MAGE抗原、BAGE刻限、GAGE抗原、gp100、前立腺特異的抗原(PSA)、及びチロシナーゼ等の腫瘍根源のタンパク質サブユニットが含まれ得る。免疫ベースの避妊のためのワクチンは、ISSと共に投与される精子タンパク質等により形成できる。Lea et al. (1996) Biochim. Biophys. Acta 1307:263。
【0073】
減衰及び不活性化したウイルスは、抗原として本明細書での使用に適する。これらのウイルスの調製は、当該技術分野において周知であり、且つ多くは市販されている(例えば、Physicians’ Desk Reference (1998) 52nd edition, Medical Economics Company, Inc.を参照されたい)。例えば、ポリオウイルスはIPOL(登録商標)(Pasteur Merieux Connaught)及びORIMUNE(登録商標)(Lederle Laboratories)として、A型肝炎はVAQTA(登録商標)(Merck)、麻疹ウイルスはATTENUVAX(登録商標)(Merck)として、おたふく風邪ウイルスはMUMPSVAX(登録商標)(Merck)として、及び風疹ウイルスはMERUVAX(登録商標)II(Merck)として利用可能である。さらに、HIV−1、HIV−2、単純ヘルペスウイルス、B型肝炎ウイルス、ロタウイルス、ヒト及び非ヒトパピローマウイルス、及び脳機能低下ウイルス等の減衰及び不活性化ウイルスは、ペプチド抗原を提供できる。ある実施態様によれば、抗原は、ワクチニア、アデノウイルス、及びカナリアポックス等のウイルスベクターを含んでなる。
【0074】
抗原は、当該技術分野において既知の精製技術を用いてその供給源から単離しても、又はより従来的に、組換え法を用いて作製してもよい。抗原ペプチドには、精製ネイティブペプチド、合成ペプチド、組換えタンパク質、粗製タンパク質抽出物、減衰又は不活性化ウイルス、細胞、微生物、又はかかるペプチドの断片が含まれ得る。免疫調節ペプチドは、ネイティブであっても、又は化学的もしくは酵素的に合成されてもよい。当該技術分野で既知の化学的合成の任意の方法が好適である。溶液相ペプチド合成は、中程度のサイズのペプチドを構築するために使用でき、あるいはペプチドの化学的構築のために固相合成が使用される。Atherton et al. (1981) Hoppe Seylers Z. Physiol. Chem. 362:833-839。タンパク質分解酵素はまた、ペプチドを作製するためにアミノ酸を結合させて利用できる。Kullmann (1987) Enzymatic Peptide Synthesis, CRC Press, Inc.。あるいは、ペプチドは、細胞の生化学的機構を用いることにより、又は生物学的供給源からの単離により、得ることができる。組換えDNA技術は、ペプチドの作製のために使用できる。Ha,es et a;. (1987) Transcription and Translation: A Practical Approach, IRL Press。ペプチドはまた、親和性クロマトグラフィ等の標準的技術を使用して単離できる。
【0075】
好ましくは抗原は、ペプチド、脂質(例えば、コレステロール以外のステロール、脂肪酸、及びリン脂質)、H.インフルエンザワクチン、ガングリオシド及び糖タンパク質等の多糖である。これらは、当該技術分野において既知の複数の方法を介して得ることができ、方法としては、例えば化学的及び酵素的方法を用いる単離及び合成等がある。特定の場合には、多数のステロール、脂肪酸、及びリン脂質等のためとして、分子の抗原部分が市販されている。
【0076】
対象組成物及び当該組成物を用いる方法において有用なウイルス抗原の例には、限定するものではないが、HIV抗原がある。かかる抗原には、限定するものではないが、HIVエンベロープ糖タンパク質由来の抗原、限定するものではないが、例えば、gp160、gp120及びgp41がある。HIV遺伝子及び抗原のための多数の配列が知られている。例えば、Los Alamos National Laboratory HIV Sequence Databaseは、HIVヌクレオチド及びアミノ酸配列を収集し、監督し、及び注釈をつけている。このデータベースは、インターネットを介して、且つ年次の刊行物においてアクセス可能である。Human Retroviruses and AIDS Compendium(例えば2000年編)を参照されたい。
【0077】
感染性因子由来の抗原は、当該技術分野において既知の方法を用いて、例えば、ネイティブウイルス性又は細菌性の抽出物から、感染性因子に感染した細胞から、精製ポリペプチドから、組換えにより作製したポリペプチド及び/又は合成ペプチドから得ることができる。
【0078】
ISS−抗原
抗原と共に使用する場合、ISSは、多数の手段で抗原と共に投与してよい。ある実施態様によれば、ISS及び抗原は、各々に対して空間的に近接して、又は混合物として(すなわち溶液で)投与してよい。以下に記載の通り、空間的な近接は、複合化(結合)、カプシドでの包み込み、プラットフォームへの添加、又は表面への吸着等の多数の手段で達成できる。一般的には、そして最も好ましくは、ISS及び抗原を、ISS及び抗原の混合物としての投与と比較して生じる免疫応答を向上させるために有効な距離で近接して結合させる。
【0079】
ある実施態様によれば、ISSは抗原と複合化される。ISS部分は、様々な手段で、例えば共有及び/又は非共有相互作用で、複合体の抗原部分とカップリングすることができる。
【0080】
部分間の結合は、ISSの3'又は5'末端で、又はISSにおける内部位置で好適に修飾された塩基でなされてよい。抗原がペプチドであり、且つ好適な反応基を含有する場合(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、それはシトシン残基のN
4アミノ基と直接反応できる。ISSにおけるシトシン残基の数及び位置に応じて、1又は複数の残基での特異的カップリングが達成できる。
【0081】
あるいは、当該技術分野において知られるような修飾オリゴヌクレオシドを、ISSにおける末端か内部位置のいずれかに組み込むことができる。これらは、脱ブロック化された場合、注目の抗原上に存在するか、当該抗原に付加することができる様々な官能基と反応性である、ブロック化官能基を含有できる。
【0082】
抗原がペプチド又はポリペプチドである場合、複合体の部分を、個体支持体化学を介して、ISSの3'末端に付加できる。例えば、ISS部分を、支持体上で予備合成されたポリペプチド部分に添加できる。Haralambidis et al. (1990a) Nucleic Acids Res. 18:493-499;及び Haralambidis et al. (1990b) Nucleic Acids Res. 18:501-505。あるいは、ISSは、3'末端から伸長する切断可能なリンカーを介して固体支持体に連結するように合成できる。当該支持体からのISSの化学的切断の際は、末端チオール基が、オリゴヌクレオチドの3'末端で離されるか(Zuckermann et al. (1987) Nucleic Acids Res. 15:5305-5321;及び Corey et al. (1987) Science 238:1401-1403)、又は末端アミノ基がオリゴヌクレオチドの3'末端で離される(Nelson et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:1781-1794)。ペプチドのアミノ基へのアミノ修飾ISSの複合化は、Benoit et al. (1987) Neuromethods 6:43-72に記載の通りに行うことができる。ペプチドのカルボキシル基へのチオール修飾ISSの複合化は、Sinah et al. (1991) Oligonucleotide Analogues: A Practical Approach, IRL Pressに記載の通りに行うことができる。ペプチドのシステイン残基のチオール側鎖への、マレイミドを保持するオリゴヌクレオチドのカップリングも、Tung et al. (1991) Bioconjug. Chem. 2:464-465で報告されている。
【0083】
複合体のペプチド又はポリペプチド部分は、その合成の間、オリゴヌクレオチドに組み込まれたアミン、チオール、又はカルボキシル基を介して、ISSの5'末端に付加できる。好ましくは、オリゴヌクレオチドは固体支持体に固定され、一方の末端で保護化アミン、チオール、又はカルボキシル、及び他方の末端でホスホロアミダイトを含んでなる連結基は、5'−ヒドロキシルに共有的に付加される。脱保護の後、アミン、チオール、及びカルボキシルの官能性を、オリゴヌクレオチドのペプチドへの共有的付加のために使用できる。Benoit et al. (1987);及び Sinah et al. (1991)。
【0084】
ISS抗原複合体はまた、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合及び/又はファンデルワールス引力等の非共有的相互作用を介して形成することができる。
【0085】
非共有的に結合した複合には、ビオチン−ストレプトアビジン複合物等の非共有的相互作用がある。ビオチン化基を、例えばISSの修飾塩基に付加できる。Roget et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:7643-7651。ペプチド部分へのストレプトアビジン部分の組み込みにより、ストレプトアビジン複合化ペプチド及びビオチン化オリゴヌクレオチドの非共有結合複合物の形成が可能になる。
【0086】
非共有的関連はまた、ISS及び帯電したアミノ酸等の抗原内の残基に関与するイオン性相互作用を介して、又はオリゴヌクレオチド及び抗原の両方と相互作用できる帯電残基を含んでなるリンカー部分の使用を介して、発生させることができる。例えば、非共有的複合は、一般的に、負に帯電したISSと、正に帯電した、例えばポリリジン、ポリアルギニン、及びポリヒスチジン残基等のペプチドのアミノ酸残基との間で発生し得る。
【0087】
ISSと抗原との間の非共有的複合化は、その天然リガンドとしてDNAと相互作用する分子のDNA結合モチーフを介して発生し得る。例えば、DNA結合モチーフは、転写因子及び抗DNA抗体において見出すことができる。
【0088】
ISSの脂質への結合は、標準的方法を用いて形成できる。これらの方法には、限定するものではないが、オリゴヌクレオチド−リン脂質複合体(Yanagawa et al. (1988) Nucleic Acids Symp. Ser. 19:189-192)、オリゴヌクレオチド−脂肪酸複合体(Grabarek et al. (1990) Anal. Biochem. 185:131-13;及び Staros et al. (1986) Anal. Biochem. 156:220-222)、及びオリゴヌクレオチド−ステロール複合体の合成がある。Boujrad et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5728-5731。
【0089】
多糖へのオリゴヌクレオチドの結合は、標準的な既知の方法を用いて形成できる。これらの方法には、限定するものではないが、オリゴヌクレオチド−多糖複合体の合成があり、ここで当該多糖は免疫グロブリンの部分である。O’Shannessy et al. (1985) J. Applied Biochem. 7:347-355。
【0090】
ペプチド又は抗原への環状ISSの結合は、複数の手段で形成できる。組換え又は化学的方法を用いて環状ISSが合成される場合、修飾ヌクレオシドが好適である。Ruth (1991) in Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, IRL Press。その後、標準的な結合用の技術を使用して環状ISSを、抗原又はその他のペプチドに連結できる。Goodchild (1990) Bioconjug. Chem. 1:165。組換え又は化学的方法を用いて環状ISSが単離、又は合成されると、当該結合は、抗原又はその他のペプチドに組み込まれている反応基(例えばカルベン、ラジカル)を、化学的に活性化するか、又は光活性化することにより形成できる。
【0091】
オリゴヌクレオチドへのペプチド及びその他の分子の付加のためのさらなる方法は、米国特許第5,391,723号;Kessler (1992) “Nonradioactive labeling methods for nucleic acids” in Kricka (ed.) Nonisotopic DNA Probe Techniques, Academic Press;及び Geoghegan et al. (1992) Bioconjug. Chem. 3:138-146に記載がある。
【0092】
ISSは、他の手段で、(1又は複数の)抗原と近接して関連できる。ある実施態様によれば、ISS及び抗原はカプセル封入により近接して関連する。他の実施態様によれば、ISS及び抗原は、プラットフォーム分子への結合により近接して関連する。「プラットフォーム分子」(別名「プラットフォーム」)は、ISS及び(1又は複数の)抗原の付加を可能にする部位を含む分子である。他の実施態様によれば、ISS及び抗原は、表面、好ましくは担体粒子への吸着により、近接して関連する。
【0093】
ある実施態様によれば、本発明の方法は、複合物が標的を利用可能であるまで、ISS及び第一抗原の近接した関連を維持できる封入剤(又は封入剤を含んでなる組成物)を使用する。好ましくは、ISS、抗原、及び封入剤を含んでなる組成物は、アジュバント水中油エマルション、微粒子及び/又はリポソームの形態である。より好ましくは、ISS−免疫調節分子を封入する、アジュバント水中油エマルション、微粒子及び/又はリポソームは、サイズが約0.04μm〜約100μm、好ましくは以下の範囲:約0.1μm〜約20μm;約0.15μm〜約10μm;約0.05μm〜約1.00μm;約0.05μm〜約0.5μmのいずれかの粒子の形態である。
【0094】
微小球、ビーズ、高分子複合物、ナノカプセル等のコロイド分散系、及び水中油エマルション、ミセル、混合セル及びリポソーム等の脂質ベース系は、ISS含有組成物の有効な封入を提供できる。
【0095】
封入組成物は、任意の広範に及ぶ成分をさらに含んでなる。これらには、限定するものではないが、ミョウバン、脂質、リン脂質、脂質膜構造(LMS)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びポリペプチド、糖ペプチド、及び多糖等のその他のポリマーがある。
【0096】
封入成分に適するポリペプチドには、当該技術分野において既知の任意のものが含まれ、限定するものではないが、脂肪酸結合タンパク質がある。修飾ポリペプチドは、任意の様々な修飾を含有し、限定するものではないが、例えば、グリコシル化、リン酸化、ミリスチル化、硫酸化、及び水酸化がある。本明細書で使用される場合、好適なポリペプチドは、ISS含有組成物を保護し、その免疫調節活性を保存することになるものである。結合タンパク質の例には、限定するものではないが、ウシ血清アルブミン(BSA)及びエンドウマメアルブミン等のアルブミンがある。
【0097】
他の好適なポリマーは、製薬の技術分野において既知の任意のものであってよく、且つ限定するものではないが、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、及び多糖等の天然ポリマー、及び合成ポリマーがある。天然のポリマーの例にはタンパク質、糖ペプチド、多糖、デキストラン及び脂質がある。さらなるポリマーは、合成ポリマーであってよい。本発明における使用に適する合成ポリマーの例には、限定するものではないが、PEG等のポリアルキルグリコール(PAG)、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)、ポリトリメチレングリコール(PTG)、ポリプロピレングリコール(PPG)等のポリオキシエチル化ポリオール(POP)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸、ポリウレタン、及びポリホスファゼン(polyphosphazene)がある。合成ポリマーはまた、直鎖又は分岐鎖、置換又は未置換、同種重合体、又は共重合体、又は2以上の異なる合成モノマーのブロック共重合体であってよい。
【0098】
本発明の封入組成物における使用のためのPEGは、化学供給業者から購入されるか、当該技術分野における通常の技能を有する者に既知の技術を使用して合成される。
【0099】
本明細書で使用される場合、「LMS」なる用語は、極性脂質の極性頭部が、膜構造を形成する界面の水相に面するように配列される層状の脂質粒子を意味する。LMSの例には、リポソーム、ミセル、カクリエート(cochleate)(すなわち、一般的な円柱状のリポソーム)、マイクロエマルション、単層ベシクル、多層ベシクル等がある。
【0100】
本発明の好ましいコロイド分散系はリポソームである。リポソーム封入抗原で免疫化されたマウスにおいて、リポソームは、抗原に対するTh1型免疫応答を向上させるようである。Aramaki et al. (1995) Vaccine 13:1809-1814。本明細書で使用される場合、「リポソーム」又は「脂質ベシクル」は、少なくとも1つの、及び場合により1以上の二重層脂質膜で囲まれる小ベシクルである。リポソームは、リン脂質、糖脂質、コレステロール等のステロール、関連分子、又はその組合せから、当該技術分野で既知の任意の技術により人工的に作製され、限定するものではないが、超音波照射、押し出し、又は脂質−洗剤複合物からの洗剤の除去により作製できる。リポソームはまた、組織標的成分等のさらなる成分を任意に含むことができる。「脂質膜」又は「脂質二重層」は、脂質のみから構成される必要はないが、任意の好適な成分をさらに含有することができ、当該成分は、限定するものではないが、コレステロール、及びその他のステロイド、脂質可溶性化学物質、任意の長さのタンパク質、及び膜の一般的構造が疎水性コアを挟む2つの親水性表面のシートである場合にはその他の両親媒性分子がある。膜構造の一般的議論については、Encyclopedia of Molecular Biology by J. Kendrew (1994) を参照されたい。好適な脂質については、例えばLasic (1993) “Liposomes: from Physics to Applications” Elsevier, Amsterdamを参照されたい。
【0101】
ISS含有組成物を含有するリポソーム調製のためのプロセスは当該技術分野において既知である。脂質ベシクルは、当該技術分野で既知の任意の好適な技術により調製できる。方法には、限定するものではないが、微小カプセル化、微小溶液化、LLC法、エタノール注入、フレオン注入、「バブル」法、洗剤透析、水和、超音波照射、及び逆相エバポレーションがある。Watwe et al. (1995) Curr. Sci. 68:715-724にレビューされている。最も好ましい特性を有するベシクルを提供するように、技術を組み合わせもよい。
【0102】
本発明は、組織又は細胞標的成分含有LMSの使用を包含する。かかる標的成分は、未処理の動物、器官、又は細胞培地に投与されると、他の組織又は細胞部位よりも、特定の組織又は細胞部位でのその集積を向上させるLMSの成分である。標的成分は、一般的に外部から接近し易く、そのため、好ましくは、外表面へ結合されるか、外脂質二重層へ挿入される。標的成分は、とりわけペプチド、より大きいペプチドの領域、細胞表面分子又はマーカーに特異的な抗体、又はその抗原結合断片、核酸、炭水化物、炭水化物複合物の領域、特別な脂質、又は上記の分子の任意のものに付加する、薬物、ホルモン、又はヘプテン等の小分子があり得る。細胞型特異的細胞表面マーカーへの特異性を有する抗体は、当該技術分野において既知であり、且つ当該技術分野で既知の方法により容易に調製される。
【0103】
LMSは、治療的処置用の任意の細胞型、例えば調節できる及び/又は免疫応答に参加できる細胞型を標的とすることができる。かかる標的細胞及び器官には、限定するものではないが、マクロファージ、樹状細胞、及びリンパ球等のAPC、リンパ節及び脾臓等のリンパ構造、及び非リンパ系構造、特に樹状細胞で見られるようなものがある。
【0104】
本発明のLMS組成物は、界面活性剤をさらに含むことができる。界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、両親媒性、又は非イオン性であってよい。使用できる界面活性剤の1つのクラスは、非イオン性界面活性剤;特に水溶性のものが好ましい。
【0105】
ISS及び抗原がプラットフォーム分子への連結により近接して関連する実施態様によれば、当該プラットフォームは、タンパク性又は非タンパク性(すなわち、有機的)であってよい。タンパク性プラットフォームの例には、限定するものではないが、アルブミン、ガンマグロブリン、免疫グロブリン(IgG)、及びオボアルブミンがある。Borel et al. (1990) Immunol. Methods 126:159-168;Dumas et al. (1995) Arch. Dematol. Res. 287:123-128;Borel et al. (1995) Int. Arch. Allergy Immunol. 107:264-267;Borel et al. (1996) Ann. N.Y. Acad. Sci. 778:80-87。プラットフォームは、ISS及び抗原の両方への結合に適応するため、多価である(すなわち、1以上の結合、又は連結部位を含有する)。従って、プラットフォームは、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上の結合又は連結部位を含有できる。ポリマー状プラットフォームの他の例は、デキストラン、ポリアクリルアミド、フィコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、及びポリD−グルタミン酸/D−リジンである。
【0106】
プラットフォーム分子を使用する原理は、当該技術分野において十分に理解される。一般的には、プラットフォームは、ISS及び抗原のための適切な結合部位を含有するか、又は含有するように誘導体化される。さらに、又は代替的に、ISS及び/又は抗原は、適切な連結基を提供するよう誘導体化される。例えば、単純なプラットフォームは、ペプチド等の二機能的リンカーである(すなわち、2つの結合部位を有する)。さらなる例を以下に記載する。
【0107】
プラットフォーム分子は、生物学的に安定化されてよく、すなわち、これらは治療有効性を提供する数時間から数日から数ヶ月のインビボ排出半減期を呈し、且つ好ましくは、規定される組成物の合成一本鎖から構成される。これらは一般的に、分子量が約200〜約1,000,000の範囲、好ましくは、以下の任意の範囲:約200〜約500,000;約200〜約200,000;約200〜約50,000(又は未満、例えば30,000)である。結合価プラットフォーム分子の例は、ポリエチレングリコール(PEG;好ましくは約200〜約8000の分子量である)、ポリ−D−リジン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、D−グルタミン酸及びD−リジン(3:2の比率)等のポリマーである(又はポリマーを含んでなる)。使用できる他の分子は、アルブミン及びIgGである。
【0108】
本発明の範囲内の使用に適する他のプラットフォーム分子は、米国特許第5,552,391号で開示される、化学的に規定される、非ポリマー性結合価プラットフォーム分子である。本発明の範囲内の使用に適する、他の均一な化学的に規定される、結合価プラットフォーム分子は、2,2'−エチレンジオキシジエチルアミン(EDDA)及びトリエチレングリコール(PEG)である。
【0109】
さらなる好適な結合価プラットフォーム分子には、限定するものではないが、テトラアミノベンゼン、ヘプタアミノベタシクロデキストリン、テトラアミノペンタエリスリトール、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(サイクラム)及び1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(サイクレン)がある。
【0110】
一般的に、これらのプラットフォームは、標準的化学合成技術により作製される。PEGは、標準的技術を用いて達成される、誘導体化され、且つ多価にされる必要がある。PEG、アルブミン、及びIgG等の複合体合成に適する物質には市販されているものもある。
【0111】
ISS及び抗原のプラットフォームへの複合化は、任意の数の手段で達成でき、典型的には、1又は複数の架橋剤、及び抗原のISSプラットフォーム及びプラットフォーム分子上の官能基が必要である。プラットフォーム及びISS及び抗原は、適切な連結基を有する必要がある。連結基は、標準的な合成の化学的技術を用いてプラットフォームに付加される。連結基は、標準的な固相合成技術又は組換え技術のいずれかを用いて、ポリペプチド抗原及びISSに付加されてもよい。組換えアプローチは、リンカーを付加するために翻訳後修飾が必要となってもよく、かかる方法は当該技術分野において既知である。
【0112】
例として、ポリペプチドは、プラットフォームにペプチドをカップリングさせるための部位を提供するアミノ、カルボキシル、又はスルフヒドリル基等の官能基を含有するアミノ酸側鎖部分を含有する。かかる官能基を有する残基は、ポリペプチドがまだこれらの基を含有しない場合、ポリペプチドへ付加されてもよい。かかる残基は、固相合成技術又は組換え技術により組み込まれてもよく、当該技術は両方とも、ペプチド合成分野において周知である。ポリペプチドが(1又は複数の)炭水化物側鎖を有する場合(又は抗原が炭水化物である場合)、従来的な化学により、官能性アミノ、スルフヒドリル、及び/又はアルデヒド基がそこに組み込まれる。例えば、第一級アミノ基が、ナトリウムシアノボロヒドライドの存在下でエチレンジアミンとの酸化糖の反応により組み込まれてもよく、スルフヒドリルが、二塩酸システアミンの反応、及びその後の標準的なジスルフィド還元剤での還元により誘導されてもよく、アルデヒド基を過ヨード酸化で発生させてもよい。類似するやり方で、プラットフォーム分子が適切な官能基をまだ有していない場合は、官能基を含有するよう誘導体化してもよい。
【0113】
長さが可変である親水性リンカーは、プラットフォーム分子へのISS及び抗原の連結のために有用である。好適なリンカーには、直鎖オリゴマー、又はエチレングリコールのポリマーがある。かかるリンカーには、式R
1S(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2O(CH
2)
mCO
2R
2(式中、n=0〜200、m=1又は2、R
1=H又はトリチル等の保護基、R
2=H又はアルキル又はアリール、例えば4−ニトロフェニルエステル)を有するリンカーがある。当該リンカーは、ハロアセチル(haloaceyl)マレイアミド(maleiamide)等のチオール反応基を含有する分子の、アミド結合を介するアミノ基を含有する第二分子へのチオールを介する連結に有用である。これらのリンカーは、付加の順番に関しては柔軟であり、すなわち、チオエステルを最初に形成しても最後に形成してもよい。
【0114】
ISS及び抗原が表面上への吸着により近接して関連する実施態様によれば、当該表面は、無機的又は有機的のいずれかのコアで作製される担体粒子(例えば、ナノ粒子)の形態でよい。かかるナノ粒子の例には、限定するものではないが、ナノ結晶粒子、アルキルシアノアクリレートの重合により作製されるナノ粒子、及びマロン酸メチリデンの重合により作製されるナノ粒子がある。ISS及び抗原が吸着してよいさらなる表面は、限定するものではないが、活性化炭素粒子及びタンパク質−セラミックナノプレートがある。担体粒子の他の例は本明細書で提供される。
【0115】
細胞への吸着分子の送達を目的として、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの表面への吸着は、当該技術分野において周知である。例えば、Douglas et al. (1987) Crit. Rev. Ther. Drug. Carrier Syst. 3:233-261;Hagiwara et al. (1987) In Vivo 1:241-252;Bousquet et al. (1999) Pharm. Res. 16:141-147;and Kossovsky et al., 米国特許第5,460,831号を参照されたい。好ましくは、吸着表面を含んでなる物質は生物分解性である。ISS及び/又は抗原の表面への吸着が、イオン性及び/又は疎水性相互作用等の非共有的相互作用を介して発生してもよい。
【0116】
一般的に、表面電荷、粒子サイズ、及び分子量等の、ナノ粒子等の担体の特性は、重合条件、モノマー濃度及び重合プロセスの際の安定化剤の存在に依存する(Douglas et al., 1987)。担体粒子の表面は、例えば、表面被覆剤で修飾され、ISS及び/又は抗原の吸着を可能にするか、又は向上させてもよい。吸着したISS及び/又は抗原を有する担体粒子は、他の物質でさらに被覆されてもよい。かかる他の物質の添加は、例えば、対象に投与されてからの粒子の半減期を延長してよく、及び/又は本明細書に記載されるように、粒子が特定の細胞型又は組織を標的とするようにしてもよい。
【0117】
ISS及び抗原が吸着してよいナノ結晶表面は、既に報告されている(例えば、米国特許第5,460,831号を参照されたい)。ナノ結晶コア粒子(1μm以下の直径を有する)は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、及び/又はその他の医薬剤の吸着を促進する、表面エネルギー改変層で被覆される。例えば、米国特許第5,460,831号に記載されるように、コア粒子は、オリゴヌクレオチドの吸着を促進する表面で被覆され、その後、例えば脂質−抗原混合物の状態の抗原調製物で被覆される。かかるナノ粒子は、ナノメーターサイズ粒子の自己集積複合物であり、典型的には、0.1μmのオーダーであり、ISSの内層及び抗原の外層を有する。
【0118】
別の吸着体表面は、アルキルシアノアクリレートの重合により作製されるナノ粒子である。アルキルシアノアクリレートは、アニオン性重合のプロセスにより酸性水性媒体中で重合できる。重合条件に応じて、小粒子は、20〜3000nmの範囲のサイズとなる傾向があり、特異的な表面的特徴及び特定の表面電荷を有するナノ粒子を作製することが可能である(Douglas et al., 1987)。例えば、オリゴヌクレオチドは、塩化テトラヘニルホスホニウム、又は臭化セチルトリメチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩等の疎水性カチオンの存在下で、ポリイソブチル−及びポリイソヘキシルシアノアクリレートナノ粒子に吸着できる。これらのナノ粒子へのオリゴヌクレオチドの吸着は、負に帯電した核酸のリン酸基と、疎水性カチオンとの間のイオン対の形成により媒介されるようである。例えば、Lambert et al. (1998) Biochimie 80:969-976, Chavany et al. (1994) Pharm. Res. 11:1370-1378;Chavany et al. (1992) Pharm. Res. 9:441-449、を参照されたい。ポリペプチドはまた、ポリアルキルシアノアクリレートナノ粒子へ吸着できる。例えば、Douglas et al., 1987;Schroeder et al. (1998) Peptides 19:777-780 を参照されたい。
【0119】
別の吸着体表面は、マロン酸メチリデンの重合により作製されるナノ粒子である。例えば、Bousquet et al., 1999に記載されるように、ポリ(マロン酸メチリデン2.1.2)粒子に吸着したポリペプチドは、最初は静電気的力を介して、その後、疎水性力を介する安定化により吸着するようである。
【0120】
ISS/MC複合物
ISSは、ISS/微小担体(ISS/MC)複合物の状態で投与されてよい。従って、本発明は、ISS/MS複合物を含んでなる組成物を提供する。
【0121】
本発明において有用な微小担体は、サイズが約150、120、又は100μm未満であり、より一般的には、約50〜60μm未満、好ましくは約10μm未満であり、且つ純水に不溶性である。本発明で使用される微小担体は、好ましくは、生物分解性であるが、非生物文化性の微小担体は許容される。微小担体は、通常、「ビーズ」又はその他の粒子等の固相であるが、生物分解性ポリマー又は油を含んでなる水中油エマルション等の液相微小担体も考慮される。微小担体としての使用が許容される、広範に及ぶ生物分解性及び非生物分解性物質は、当該技術分野において既知である。
【0122】
本発明の組成物又は方法における使用のための微小担体は、一般的に、約10μm未満のサイズであり(例えば、約10μm未満の平均直径を有するか、又は10μmスクリーンフィルターを通過する粒子が少なくとも約97%)、及びナノ担体(すなわち、約1μmのサイズ未満の担体)を含む。好ましくは、微小担体は、上限が、約9、7、5、2、又は1μm、又は900、800、700、600、500、400、300、250、200、又は100nm以内で、下限が、約4、2、又は1μm、又は約800、600、500、400、300、250、200、150、100、50、25、又は10nm(下限は上限未満である)から独立に選択されるサイズから選択される。ある実施態様によれば、微小担体は、約1.0〜1.5μm、約1.0〜2.0μm、又は約0.9〜1.6μmのサイズである。特定の好ましい実施態様によれば、微小担体は、約10nm〜約5μm、又は約25nm〜約4.5μm、約1μm、約1.2μm、約1.4μm、約1.5μm、約1.6μm、約1.8μm、約2.0μm、約2.5μm、約4.5μmのサイズである。微小担体がナノ担体であるある場合、好ましい実施態様には、約25〜約300nm、50〜約200nm、約50nm又は約200nmのナノ担体がある。
【0123】
固相生物分解性微小担体は、生物分解性ポリマーから製造されてよく、当該ポリマーには、限定するものではないが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)等の生物分解性ポリエステル、及びその共重合体(ブロック重合体を含む)、並びにポリ(乳酸)及びポリ(グリコール酸)のブロック共重合体;3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(DETOSU)に基づくポリマー等のポリオルトエステル;セバシン酸等の比較的親水性のモノマーに基づくポリ(無水)ポリマー等のポリ無水物;グリシン又はアラニン等のアミノ酸を組み込む(すなわち、アミノ末端窒素を介してイミド結合によりセバシン酸と連結する)セバシン酸誘導体化モノマーに基づくポリ無水物ポリマー等のポリ無水物イミド;ポリ無水物エステル;ポリホスファゼン、特にカルボン酸基の発生を介してポリマー骨格の分解を触媒できる加水分解感受性エステルを含有するポリ(ホスファゼン)(Schacht et al., (1996) Biotechnol. Bioeng. 1996:102);及びポリ(乳酸−コ−リジン)等のポリアミドがある。
【0124】
微小担体の製造に適する広範に及ぶ非生物分解性物質も既知であり、限定するものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリカ、セラミック、ポリアクリルアミド、デキストラン、ヒドロキシアパタイト、ラテックス、金、及び強磁性又は常磁性物質がある。特定の実施態様には、金、ラテックス、及び/又は磁性ビーズを除く。特定の実施態様によれば、微小担体は、第二物質(例えばポリスチレン)に封入された第一物質(例えば、磁性物質)から作製されてもよい。
【0125】
固相微小球は、当該技術分野において既知の技術を用いて調製される。例えば、これらは、エマルション−溶媒抽出/エバポレーション技術により調製できる。一般的には、この技術において、ポリ無水物、ポリ(アルキル−α−シアノアクリレート)及びポリ(α−ヒドロキシエステル)等の生物分解性ポリマー、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−乳酸−コ−グリコール酸)及びポリ(カプロラクトン)を、塩化メチレン等の好適な有機溶媒に溶解させ、エマルションの分散相(DP)を構築する。DPは、溶解された界面活性剤、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)又はポリビニルピロリドン(PVP)を含有する水性連続相(CP)の過剰量に、高速均一化により乳化される。CPにおける界面活性剤により、分離し、且つ好適な大きさのエマルション液滴の形成が確保される。その後、有機溶媒をCPに抽出し、そして系の温度上昇により蒸発させる。その後、固体微小粒子を、遠心分離又は濾過により分離し、例えば、凍結乾燥又は真空の適用により乾燥させ、そして4℃で保存した。
【0126】
平均サイズ、サイズ分布、及び乾燥微小球の表面電荷等の物理化学的特徴を決定できる。サイズ特徴は、例えば動的光散乱技術により決定され、表面電荷は、ゼータ電位の測定により決定した。
【0127】
液相微小担体には、リポソーム、ミセル、油滴及び生物分解性ポリマー又は油を組み込むその他の脂質又は油ベースの粒子がある。特定の実施態様によれば、当該生物分解性ポリマーは界面活性剤である。他の実施態様によれば、液相微小担体は、スクアレン又は植物油等の生物分解性油の含有により、生物分解性である。ある好ましい液相微小担体は、水中油エマルション内の油滴である。好ましくは、微小担体として使用される水中油エマルションは、スクアレン等の生物分解性の置換基を含んでなる。
【0128】
ISS/MC複合物は、微小担体の表面に結合するISSを含んでなり(すなわち、ISSは、MCに封入されない)、且つ好ましくは各微小担体へ結合する複数のISSの分子を含んでなる。特定の実施態様によれば、様々なISSの混合物は、微小担体が1以上のISS種に結合するように、微小担体と複合化されてもよい。ISSとMCとの間の結合は、共有的であっても、非共有的であってもよい。当業者により理解されるように、ISSは、修飾又は誘導体化され、且つ微小担体の組成物は、ISS/MC複合物形成のために所望される所望の結合型を達成するために、選択及び/又は修飾されてよい。
【0129】
共有結合したISS/MC複合物は、当該技術分野において既知の、任意の共有的架橋技術を用いて連結されてよい。典型的には、ISS部分は、さらなる部分を組み込むか(例えば、遊離アミン、カルボキシル、又はスルフヒドリル基)、又は修飾された(例えば、ホスホロチオエート)ヌクレオチド塩基を組み込み、ISS部分が微小担体に連結できる部位を提供するように修飾されることになる。複合物のISSとMC部分との間の連結は、ISSの3'又は5'末端か、又はISSにおける内部部分の好適な修飾塩基でなされてよい。一般的に、微小担体はまた、それを介して共有結合が形成されてよい部分を組み込むよう修飾されるが、通常微小担体上に存在する官能基も利用してよい。ISS/MCは、共有的複合物の形成が可能である条件下(例えば、架橋剤の存在下、又はISSとの共有結合を形成することになる活性化部分を含んでなる活性化微小担体の使用により)で、ISSを微小担体と一緒にインキュベートすることにより形成される。
【0130】
広範に及ぶ架橋技術が当該技術分野において既知であり、当該技術には、アミノ、カルボキシル、及びスルフヒドリル基との反応性であるクロスリンカーが含まれる。当業者に明らかなように、架橋剤及び架橋プロトコールの選択は、ISS及び微小担体の立体配置、並びにISS/MC複合物の所望の最終的立体配置に依存することになる。クロスリンカーは、同種二機能性であっても、又は異種二機能性であってもよい。同種二機能性クロスリンカーを使用する場合、クロスリンカーは、ISS及びMC上の同じ部分を活用する(例えば、アルデヒドクロスリンカーは、ISS及びMCの両方が1又は複数の遊離アミンを含んでなる場合、共有結合のために使用される)。異種二機能性クロスリンカーは、ISS及びMC上の異なる部分を利用し(例えば、マレイミド−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルは、ISS上の遊離スルフヒドリル及びMC上の遊離アミンの共有結合のために使用できる)、内部微小担体結合の形成を最小限にすることが好ましい。大半の場合は、微小担体上の第一の架橋部分、及びISS上の第二の架橋部分を介して架橋することが好ましく、ここで第二の架橋部分は、微小担体上に存在しない。ある好ましいISS/MC複合物の作製方法は、異種二機能性架橋剤とインキュベートすることにより微小担体を「活性化」し、その後、適切な反応条件下で、ISS及び活性化MCをインキュベートすることによりISS/MC複合物を形成することによる。クロスリンカーは反応部分間の「スペーサー」アームを組み込んでもよく、又はクロスリンカーにおける2つの反応部分を直接結合させてもよい。
【0131】
ある好ましい実施態様によれば、ISS部分は、微小担体への架橋のために、少なくとも1つの遊離スルフヒドリルを含んでなり(例えば、5'−チオール修飾塩基又はリンカー)、一方、微小担体は、遊離アミン基を含んでなる。これらの2つの基に反応性である異種二機能性クロスリンカー(例えば、マレイミド基及びNHS−エステルを含んでなるクロスリンカー)、例えば4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸スクシンイミジルは、MCの活性化にしようされ、その後、ISSを共有的に架橋し、ISS/MC複合物を形成する。
【0132】
非共有ISS/MC複合物は、任意の非共有結合又は相互作用により結合されてよく、結合対がISS及びMCを結合用である場合、通常そうであるように、イオン性(静電的)結合、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス引力、又は異なる相互作用の2以上の組合せがある。
【0133】
好ましい非共有ISS/MC複合物は、典型的に、疎水性又は静電的(イオン性の)相互作用、又はその組合せにより複合化される(例えば、ISSとMCに結合したポリヌクレオチドとの間の塩基対合を介する、結合対の使用)。ポリヌクレオチドの骨格の親水的性質により、複合物の形成のために疎水性相互作用に依存するISS/MC複合物は、一般的に、高度に疎水性である部分を組み込むよう、当該複合物のISS部分の修飾を必要とする。好ましくは、疎水性部分は、生体適合性で非免疫原性であり、且つ組成物が意図する個体において自然に発生する(例えば、哺乳類、特にヒトにおいて見出される)。好ましい疎水性部分の例には、脂質、ステロイド、コレステロール等のステロール、及びテルペンがある。ISSへの疎水性部分の結合方法は、当然、ISSの立体配置、及び当該疎水性部分の固有性に依存することになる。疎水性部分は、ISS内の任意の都合の良い部位で、好ましくは、5'又は3'末端のいずれかで付加されてよく、コレステロール部分のISSへの付加の場合、好ましくは、当該コレステロール部分は、従来的な化学反応を用いて、ISSの5'末端に付加される(例えば、Godard et al. (1995) Eur. J. Biochem. 232:404-410を参照されたい)。好ましくは、疎水性結合により結合されるISS/MC複合物における使用のために微小担体は、油滴又は疎水性ポリマー等の疎水性物質から作製されるが、疎水性部分を組み込むように修飾される親水性物質を同様に利用してもよい。微小担体が、リポソーム、又は内腔を含んでなるその他の液相微小担体である場合、MC調製プロセスの間のISS封入を回避するため、MCの調製後に、ISS及びMCを混合することによりISS/MC複合物を形成させる。
【0134】
静電的結合により結合した非共有的ISS/MC複合物は、典型的に、ポリヌクレオチド骨格の、非常に高い負の電荷を活用する。したがって、非共有的に結合したISS/MC複合物における使用のための微小担体は、一般的に、生理学的pH(例えば、約pH6.8〜7.4)で、正に帯電する(カチオン性)。微小担体は、本来的に正電荷を有してもよいが、通常正電荷を有していない化合物から作製される微小担体は、誘導体化されても、又はそうでなければ正に帯電する(カチオン性になる)ように修飾されてもよい。例えば、微小担体の作製のために使用されるポリマーを誘導体化し、第一級アミン等の正に帯電する基を付加してもよい。あるいは、正に帯電する化合物を、製造の間に、微小担体の製剤に組み込んでもよい(例えば、ポリ(乳酸)/ポリ(グリコール酸)共重合体の製造の間、正に帯電する界面活性剤を使用し、得られる微小担体粒子上に正電荷を提供してもよい)。
【0135】
本明細書に記載の通り、カチオン性微小球を調製するため、カチオン性脂質又はポリマー、例えば、1,2−ジオレイル−1,2,3−トリメチルアンモニオプロパン(DOTAP)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、又はポリリジンを、この相におけるそれらの溶解性により、DP又はCPのいずれかに添加する。
【0136】
本明細書に記載の通り、ISS/MC複合物は、ポリヌクレオチド及び粒子の、好ましくは水性混合物状態でのインキュベーションによりカチオン性微小担体への吸着により予備形成されてよい。かかるインキュベーションは、任意の所望の条件、例えば環境温度(室温)(例えば、およそ20℃)、又は冷却条件下(例えば4℃)で行うことができる。カチオン性微小球及びポリヌクレオチドが比較的迅速に結びつくので、インキュベーションは、5、10、15分又はそれ以上、例えば一晩及びそれ以上等の任意の時間でよい。例えば、ISSは、ポリヌクレオチドと粒子の、4℃、一晩での水性インキュベーションによりカチオン性微小球上に吸着できる。しかしながら、カチオン性微小球及びポリヌクレオチドは自発的に結びつくので、ISS/MC複合物は、ポリヌクレオチド及びMCのsIISle共投与により形成できる。微小球は、ポリヌクレオチド結合の前後でのサイズ及び表面の変化が特徴であってもよい。その後、選択されたバッチを、好適なコントロールに対する活性について、例えば、本明細書に記載されるように、確立されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)及びマウス脾細胞モデルにおいて評価してよい。
【0137】
ヌクレオチド塩基対合により連結される非共有ISS/MC複合物は、従来的な方法論を用いて作製できる。一般的には、塩基対合したISS/MC複合物は、結合された、好ましくは共有結合された、少なくとも部分的にISSと相補的であるポリヌクレオチド(「捕捉ポリヌクレオチド」)を含んでなる微小担体を使用して作製される。ISSと捕捉ヌクレオチドとの間の相補性のセグメントは、好ましくは、少なくとも、6、8、10又は15連続塩基対、より好ましくは少なくとも20連続塩基対である。捕捉ヌクレオチドは、当該技術分野において既知の方法でMCと結合させてもよく、好ましくは、5'又は3'末端でISSに共有結合する。
【0138】
他の実施態様によれば、結合対は、ISS/MC複合物におけるISSとMCを連結するために使用されてもよい。結合対は、受容体及びリガンド、抗体及び抗原(又はエピトープ)、又は高親和性(例えば、Kdが約10〜8)で結合する任意の他の結合対であってよい。好ましい結合対の1つの型は、ビオチン及びストレプトアビジン、又はビオチン又はアビジンであり、非常に緊密な複合物を形成する。結合対を使用してISS/MC複合物結合を媒介する場合、ISSは、典型的には共有結合により、結合対の一方で誘導体化され、且つMCは結合対の他方で誘導体化される。2つの誘導体化化合物の混合物は、ISS/MC複合物を形成させることになる。
【0139】
多くのISS/MC複合物実施態様には、抗原が含まれず、且つ特定の実施態様からは、ISS/MC複合物療法の対象である疾患又は障害と関連する(1又は複数の)抗原が除かれる。さらなる実施態様によれば、ISSはまた、1又は複数の抗原分子と結合する。抗原は、様々な手段、例えば、WO98/16247に記載されるような共有及び/又は非共有相互作用で、ISS/MC複合物のISS部分とカップリングしてよい。あるいは、抗原は微小担体と連結してもよい。ISSと結合した抗原を含んでなるISS/MC複合物における、抗原とISSとの間の連結は、本明細書に記載される技術により作製でき、且つ当該技術分野において既知であり、例えば、限定するものではないが、直接共有結合、クロスリンカー部分を介する共有的複合化(スペーサーアームを含んでよい)、特異的結合対を介する非共有的複合化(例えば、ビオチン及びアビジン)、及び静電的又は疎水的結合を介する非共有的複合化がある。
【0140】
カチオン性縮合剤及び安定化剤とのISS複合物
ISSは、カチオン性縮合剤、ISS、及び受容者における免疫応答の調節のための安定化剤(すなわち、CIS組成物)を含んでなる組成物として投与されてもよい。米国特許出願第60/402,968号を参照されたい。ある実施態様によれば、CIS組成物はまた、抗原及び/又は脂肪酸を含んでもよい。
【0141】
本発明のCIS組成物は、典型的には粒子状態である。当業者に明らかなように、本発明のCIS粒子状組成物は、異なるサイズの粒子集団からなることになる。この自然に発生する変動性により、本発明の組成物における粒子の「サイズ」は、直径の範囲で、又は最大もしくは最小として記載されてよい。粒子は、少なくとも95(質量)%の粒子が、特定の寸法を満たす場合、特定のサイズであると考えられる(例えば、粒子の少なくとも97%が、直径20μm未満であると、組成物は、直径20μm未満の粒子からなると考えられる)。粒子サイズは、当該技術分野において既知の、任意の従来的方法により測定されてよく、例えば、濾過(例えば、カットオフサイズ超の粒子を捕捉する「高さ」フィルターの使用)、動的光散乱、TEM(特に、凍結割断処理との組合せで)及びSEM等の電子顕微鏡等がある。
【0142】
好ましくは、本発明のCIS組成物は、直径約50μm未満、好ましくは、直径約20μm未満である粒子を含んでなるが、ある実施態様によれば、当該粒子は、直径約3、2又は1μm未満となるはずである。好ましい粒子サイズの範囲は、直径約0.01μm〜50μm、0.02〜20μm、0.05〜5μm、及び0.05〜3μmがある。
【0143】
CIS組成物の成分は、当該組成物における様々な比率/量で存在してよいが、(1又は複数の)安定化剤、及び脂肪酸及び抗原等の任意の成分の量は比較的不変のままであり、安定化剤の範囲は一般的に、約0.1%〜0.5%(v/v)、脂肪酸の範囲は約0〜0.5%、及び抗原濃度範囲は約0.1〜約100μg/mL、好ましくは約1〜約100μg/mL、より好ましくは約10〜50μg/mLである。ISSとカチオン性濃縮剤の量と比率は、本発明の組成物におけるより大きな変動範囲次第である。ISSの量は、ISSの分子量の関数として特定の範囲で変動することになり、一般的に、範囲は約50μg/mL〜約2mg/mL、好ましくは約100μg/mL〜1mg/mLである。カチオン性濃縮剤は、一般的には、ISSより過剰に(質量の点で)存在し、一般的には、約1:2(ISS:カチオン性濃縮剤)〜約1:6、より好ましくは約2:5〜1:5の比率である。
【0144】
CIS組成物における粒子サイズは、多数の変数の関数である。組成物における粒子のサイズ分布は、カチオン性濃縮剤のISSに対する比率を変更することにより調節することができる。例えば、典型的な、+ISS/0.4% Tween85/0.4% オレイン酸塩/ポリミキシンB組成物における、カチオン性濃縮剤のISSに対する比率の変更により、平均粒子サイズを、カチオン性濃縮剤:IMC=1での約1.5μm〜カチオン性濃縮剤:IMC=10での約45μmまで変更させることができる。
【0145】
特定の実施態様によれば、CIS組成物は、カチオン性濃縮剤、ISS、及び非イオン性洗剤である安定化剤を含んでなる。他の実施態様によれば、組成物は、膜破壊カチオン性リポペプチド(好ましくはポリミキシン、より好ましくはポリミキシンB)、ISS及び安定化剤を含んでなる。ある実施態様によれば、安定化剤は、血清タンパク質ではない(特に、ウシ血清タンパク質でない)。このクラスの実施態様の例示的な組成物は、安定化剤として、Tween80及又はTween85等のポリオキシエチレンエーテル洗剤を、任意の追加の安定化剤としてのオレイン酸塩と共に利用する。
【0146】
ある実施態様によれば、CIS組成物は、免疫調節粒子を含んでなり、ここで当該粒子は、カチオン性縮合剤、ISS、及び非イオン性洗剤である安定化剤を組み合わせるプロセスにより作製される。他の実施態様によれば、本発明の組成物は、免疫調節粒子を含んでなり、ここで当該粒子は、膜破壊カチオン性リポペプチド(好ましくはポリミキシン、より好ましくはポリミキシンB)、ISS、及び安定化剤を組み合わせるプロセスにより作製される。ある実施態様によれば、安定化剤は、血清タンパク質ではない(特に、ウシ血清タンパク質でない)。
【0147】
ある実施態様によれば、CIS組成物は、免疫調節粒子を含んでなり、ここで当該粒子は、ISS及び非イオン性洗剤を組合せ、それによりISS/安定化合物剤混合物を形成し、且つカチオン性濃縮剤を当該ISS/安定化剤混合物と組み合わせるプロセスにより形成する。他の実施態様によれば、本発明の組成物は、免疫調節粒子を含んでなり、ここで当該粒子は、ISS及び安定化剤を組合せ、それによりISS/安定化剤混合物を形成し、且つ膜破壊カチオン性リポペプチド(好ましくはポリミキシン、より好ましくはポリミキシンB)を、当該ISS/安定化剤混合物と組み合わせるプロセスにより形成される。ある実施態様によれば、安定化剤は、血清タンパク質ではない(特に、ウシ血清タンパク質でない)。
【0148】
ある実施態様によれば、CIS組成物は、免疫調節粒子を含んでなり、ここで当該粒子は、縮合剤、ISS、及び非イオン性洗剤である安定化剤を含んでなる。他の実施態様によれば、本発明の組成物は、免疫調節粒子を含んでなり、ここで当該粒子は、膜破壊カチオン性リポペプチド(好ましくはポリミキシン、より好ましくはポリミキシンB)、ISS、及び安定化剤を含んでなる。ある実施態様によれば、安定化剤は、血清タンパク質ではない(特に、ウシ血清タンパク質でない)。
【0149】
CIS組成物、及び該CIS組成物の使用方法において有用であるカチオン性縮合剤は、生理的pH(すなわち、pHが約7.0〜約7.5)で正に帯電する。好ましくは、本発明で使用されるカチオン性縮合剤は、両性イオンではなく、ポリカチオン性であり、1分子当たり1以上の正電荷を有する。本発明において有用なカチオン性縮合剤には、親水性又は両親媒性ポリカチオンがある。
【0150】
好ましいカチオン性縮合剤には、(a)膜破壊リポペプチドカチオン性リポペプチド、例えば、限定するものではないが、ポリミキシンA、ポリミキシンB(例えば、ポリミキシンB
1及びポリミキシンB
2)、ポリミキシンC、ポリミキシンD、ポリミキシンE(別名コリスチン)、ポリミキシンK、ポリミキシンM、ポリミキシンP,ポリミキシンS及びポリミキシンT等のポリミキシン、サークリンA、サークリンB、サークリンC、サークリンD、サークリンE及びサークリンF等のサークリン、オクタペプチン(octapeptin)、アンホテリシンB等のアンホテリシン、及びオクタノール−KFFKFFKFF及びアシルKALA(オクタノイル−WEAKLAKALAKALAKHLAKALAKALEACEA)等のアシル化ペプチド;(b)膜破壊カチオン性ペプチド、例えば、限定するものではないが、ポリミキシンBノナペプチド、セクロピンA、セクロピンB及びセクロピンP1等のセクロピン、KFFKFFKFF及びKALA(WEAKLAKALAKALAKHLAKALAKALKACEA);(c)一本鎖カチオン性界面活性剤、例えば、限定するものではないが、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、臭化ベンジル−ジメチル−アンモニウム(BDAB)、CpyrB(臭化セチル−ピリジニウム)、CimB(臭化セチルイミダゾリウム)、及びポリカチオン性ポリマー、例えば、限定するものではないが、ポリ−L−リジン(PLL)及びポリエチレンイミン(PEI)がある。特定の実施態様によれば、カチオン性縮合剤は、膜破壊カチオン性リポペプチド、好ましくはポリミキシン、より好ましくはポリミキシンBである。ある実施態様によれば、カチオン性縮合剤からは、脂肪酸エステル(すなわち、脂肪)及び二重鎖カチオン性界面活性剤は除いてもよい。
【0151】
CIS組成物及び該CIS組成物の使用において有用な安定化剤には、水中において懸濁可能であり、且つ水の表面張力を低下させるものがあるが、水可溶性及び/又は完全な水混和性である安定化合物剤が好ましい。多種類の安定化剤が、本発明の組成物及び方法において有用であり、例えば、タンパク質(好ましくは親水性タンパク質)、非イオン性洗剤、ポリマー性界面活性剤(例えば、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン)、カチオン性洗剤、アニオン性洗剤、及び脂肪酸があるが、特定の実施態様によれば、血清タンパク質(特に、ウシ血清タンパク質)、脂肪酸、及び/又はイオン性洗剤は、安定化剤の定義から除いてもよい。
【0152】
任意のタンパク質を、本発明による安定化剤として使用してよい。ある実施態様によれば、安定化剤は、抗原として意図されないタンパク質(以下の議論を参照されたい);これらの実施態様によれば、当該タンパク質は、組成物の意図される受容者と同じ種に由来することが好ましい(例えば、組成物がヒトにおける使用を意図される場合、安定化剤として使用されるタンパク質は、ヒトタンパク質が好ましい)。血清アルブミンは、かかる実施態様において、安定化剤として有用な例示的タンパク質である。他の実施態様によれば、抗原は、安定化剤として利用されており、この場合、当該抗原は、意図される受容者に適合する種である必要はなく、一般的に適合することは好まれない。本発明の組成物及び方法において有用な抗原を、以下に開示する。
【0153】
CIS組成物及び当該CIS組成物の使用方法において有用な非イオン性洗剤には、酸化デシルジメチルホスフィン(APO−10)及び酸化ジメチルドデシルホスフィン(APO−12)、オクタノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−8)、ノナノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−9)及びデカノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−10)等のグルカミド、ポリオキシエチレンエーテル洗剤、例えば、ポリオキシエチレン(10)ドデシルエステル(Genapol C100)、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(BRIJ(登録商標)30)、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル(LUBROL(登録商標)PX)、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(BRIJ(登録商標)35)、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル(BRIJ(登録商標)52)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(BRIJ(登録商標)56)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(BRIJ(登録商標)58)、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル(BRIJ(登録商標)72)、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル(BRIJ(登録商標)76)、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(BRIJ(登録商標)78)、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(BRIJ(登録商標)700)、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル(BRIJ(登録商標)92)、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(BRIJ(登録商標)97)、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(BRIJ(登録商標)98)、イソトリデシルポリ(エチレングリコールエーテル)
8(Genapol 80)、PLURONIC(登録商標)F−68、PLURONIC(登録商標)F−72、ドデシルポリ(エチレングリコールエーテル)
9(Thesit)ポリオキシエチレン(10)イソオクチルフェニルエーテル(TRITON(登録商標)X−100)、ポリオキシエチレン(8)イソオクチルフェニルエーテル(TRITON(登録商標)X−114)、ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(TWEEN(登録商標)40)、ポリエチレングリコールソルビタンモノステアレート(TWEEN(登録商標)60)、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(TWEEN(登録商標)65)、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート(TWEEN(登録商標)85)、ポロキサマー188、及びポリエチレングリコール−p−イソオクチルフェニルエーテル(Nonidet NP40)、アルキルマルトシド洗剤、例えば、シクロヘキシル−n−エチル−β−D−マルトシド、シクロヘキシル−n−ヘキシル−β−D−マルトシド、及びシクロヘキシル−n−メチル−β−D−マルトシド、n−デカノイルスクロース、グルコピラノシド、例えば、メチル6−O−(N−ヘプチルカルバモイル)−a−D−グルコピラノシド(HECAMEG)、及びn−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ノニル−β−D−グルコピラノシド、n−オクチル−α−D−グルコピラノシド、及びn−オクチル−β−D−グルコピラノシド等のアルキルグルコピラノシド、アルキルチオグルコピラノシド、例えば、n−ヘプチル−β−D−チオグルコピラノシド、アルキルマルトピラノシド、例えば、n−デシル−β−D−マルトピラノシド及びn−オクチル−β−D−マルトピラノシド、n−デシル−β−D−チオマルトシド、ジギトニン、n−ドデカノイルスクロース、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタン、1,2,3−トリオール、n−オクタノイル−β−D−グルコシルアミン(NOGA)、n−オクタノイルスクロース、ポリオキサマー188及びポリオキサマー407等のポリオキサマー(ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体)、及びスルホベタイン、例えばSB−10、SB−12、及びSB−14及びn−ウンデシル−β−D−マルトシドがある。好ましい安定化剤には、ポリオキシエチレンエーテル洗剤、特に、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート及びポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエートがある。
【0154】
CIS組成物及び該CIS組成物の使用方法において有用なアニオン性洗剤には、カプリル酸及びその塩、ケノデオキシコール酸及びその塩、コール酸及びその塩、デカンスルホン酸及びその塩、デオキシコール酸及びその塩、グリコデオキシコール酸及びその塩、ラウロイルザルコシン及びその塩、n−ドデシル硫酸及びその塩(ナトリウム及びリチウム塩等)、タウロケノデオキシコール酸及びその塩、タウロコール酸及びその塩、タウロヒドロコール酸及びその塩、タウロデオキシコール酸及びその塩、タウロリソコール酸及びその塩、及びタウロウルソデオキシコール酸及びその塩がある。
【0155】
カチオン性洗剤には、セチルピリジニウム及びその塩、セチルトリメチルアンモニア及びその塩、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ドデシルトリメチルアンモニア及びその塩、例えば、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、アルキルアンモニウムイミダゾリン、四級イミダゾリン、及び臭化テトラデシルトリメチルアンモニア及びその塩、例えば、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウムがある。
【0156】
安定化剤としての使用のために選択される洗剤は、好ましくは、油/水乳化洗剤と考えられるものである。油/水乳化洗剤は、当該技術分野で既知であり、一般的に、疎水性/親油性バランス(HLB)の値が、約8〜約18であることにより一般的に特徴付けられる。好ましくは、粒子状組成物に組み込まれる洗剤は、HLP値が約10〜約16であり、好ましくは約11〜約15である(例えば、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、HLP=15.4;ポリオキシエチレン(10)イソオクチルフェニルエーテル、HLB=13.5;ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート HLB=11)。
【0157】
特定の実施態様によれば、CIS組成物はまた、追加の成分として、1又は複数の脂肪酸、又はその塩を含んでもよい。安定化剤成分として脂肪酸、及び組成物の追加の成分として脂肪酸を使用する実施態様によれば、安定化剤として使用される脂肪酸は、「追加の」組成物として使用される脂肪酸とは異なることになる。本発明のCIS組成物において有用な脂肪酸は、4〜30炭素原子サイズの幅であってよく、且つ不飽和(例えば、ステアリン酸)、モノ不飽和(例えば、オレイン酸)、又はポリ不飽和(例えば、リノレン酸)であってよいが、モノ不飽和及びポリ不飽和脂肪酸が一般的に好ましい。
【0158】
ある実施態様によれば、CIS組成物は、少なくとも約4、5、6、8、10、15、18、又は20炭素原子、及び約30、25、20、19、15、又は10炭素原子未満となる。したがって、ある実施態様によれば、本発明において使用される脂肪酸は、約4〜30、5〜25、10〜20、又は15〜20炭素原子の範囲の長さの炭素鎖を有してよい。
【0159】
CIS組成物において有用な脂肪酸は、限定するものではないが、アラキドン酸、デカン酸、ドコサン酸、ドコサヘキサン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ヘプタデカン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ラウリン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、ノナデカン酸、ノナン酸、オクタン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン酸、テトラコサン酸、トリコサン酸、トリデカン酸、及びウンデカン酸がある。CIS組成物における使用のために好ましい脂肪酸には、オレイン酸、パルミトレイン酸、及びリノール酸がある。
【0160】
本発明の特定の実施態様によれば、抗原は、CIS組成物に組み込まれるか、CIS組成物との組合せで投与される。抗原を組み込むこれらのCIS組成物は、粒子状組成物それ自体に該抗原を組み込んでもよいし、又は粒子状組成物が懸濁される溶液に溶解もしくは懸濁されてもよい。任意の抗原は、本発明のCIS組成物に組み込まれても、又は該CIS組成物と共投与してもよい。
【0161】
ISSの送達
ある実施態様によれば、ISSは、それ自体により個体に送達される。別の実施態様によれば、ISSは、1又は複数の抗原と一緒に送達される。ある実施態様によれば、抗原は、複合体としてISSと共投与してもよい。別の実施態様によれば、抗原は、分離したビヒクル中のISSと一緒に投与される。抗原の投与は、ISSと同時期又は同時であってよい。ISSの送達の議論は、以下でISSと抗原の送達も考察する。
【0162】
別の実施態様によれば、ISSの送達は上気道に位置する。アレルギー性鼻炎が鼻道に影響を及ぼす場合、ISSの送達が鼻孔及び鼻部に局在化することが考慮される。アレルギー性鼻炎が肺又は下気道に影響を及ぼさない場合、その後、アレルギー性鼻炎を治療するために必要である化合物投与の毒性又は任意の他の悪影響を回避する際に注意を要する。
【0163】
ISSは、プラスミド、コスミド、ウイルス、又はレトロウイルス等の送達ベクターに組み込まれてよく、これは、サイトカイン、ホルモン及び抗原等の治療的に有益なポリペプチドを順々にコードしてよい。かかるベクターへのISSの組み込みは、その活性に悪影響を及ぼさない。
【0164】
コロイド分散系は、鼻膜等の炎症組織へのISSの標的化送達のために使用されてよい。コロイド分散系には、複合物、ナノカプセル、微小球、ビーズ、及び水中油エマルション、ミセル、混合ミセル、及びリポソーム等の脂質ベース系がある。ある実施態様によれば、本発明のコロイド系はリポソームである。
【0165】
リポソームは、インビトロ及びインビボで送達ビヒクルとして有用である人工膜ビヒクルである。0.2〜0.4umのサイズ範囲である巨大多層ベシクル(LUV)は、巨大高分子を含有する十分な割合の水性バッファを封入できる。RNA、DNA及び未処理のウイルス粒子は、水性の内部に封入でき、且つ生物活性状態で細胞へ送達され得る(Fraley, et al, Trends Biochem. Sci., 6:77, 1981)。哺乳類細胞に加え、植物、酵母及び細菌細胞におけるポリヌクレオチドの送達のために、リポソームが使用されている。リポソームを有効な遺伝子導入ビヒクルとするために、以下の特徴を提示するべきである:(1)高効率でアンチセンスポリヌクレオチドをコードするが、その生物活性を含まない遺伝子の封入;(2)非標的細胞と比較して、標的細胞への優先的且つ十分な結合;(3)高効率での標的細胞の細胞質へのビヒクルの水性成分の送達;及び(4)遺伝情報の正確且つ有効な発現(Mannino, et al., Biotechniques, 6:682, 1988)。
【0166】
リポソームの組成物は、通常、リン脂質、特に、通常ステロイド、特にコレステロールとの組合せである高い相転移温度のリン脂質の組合せである。他のリン脂質又はその他の脂質を使用してもよい。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度、及び二価カチオンの存在に依存する。
【0167】
リポソーム作製に有用な脂質の例には、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、及びガングリオシド等のホスファチジル化合物がある。脂質部分が14〜18炭素原子、特に16〜18炭素原子を含有し、且つ飽和型である、ジアシルホスファチジルグリセロールが特に有用である。例示的なリン脂質には、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、及びジステアロイルホスファチジルコリンがある。
【0168】
リポソームの標的化は、構造上の及び機構的な因子に基づき分類できる。構造上の分類は、選択性のレベルに基づき、例えば、器官特異的、細胞特異的、及び細胞小器官特異的などである。機構的な標的化は、それが受動的か、又は能動的かに基づき識別できる。受動的標的化は、類洞細血管を含有する器官における細胞内皮系(RES)の細胞に分配するリポソームの自然な傾向を利用する。一方で、活性な標的化には、モノクローナル抗体、糖、糖脂質、又はタンパク質等の特異的リガンドへのリポソームのカップリングにより、又は天然の局在部位以外の器官及び細胞型への標的化を達成するため、リポソームの組成物又はサイズを変化させることにより、リポソームの変更が必要である。
【0169】
標的化送達システムの表面は、様々な手段で修飾されてよい。リポソーム標的化送達システムの場合、脂質基を、標的リガンドをリポソーム二重層と安定に関連して維持するために、リポソームの脂質二重層に組み込むことができる。周知の様々な連結基は、標的リガンドへの脂質鎖の接合のために使用されてよい(例えば、Yanagawa, et al., Nuc.Acids Symp.Ser., 19:189 (1988);Grabarek, et al., Anal. Biochem., 185:131 (1990);Staros, et al., Anal.Biochem., 156:220 (1986) 及び Boujrad, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:5728 (1993)を参照されたい)。ISSの標的化送達はまた、ウイルス性及び非ウイルス性組換え発現ベクターの表面への、抗原もしくはその他のリガンドへの、モノクローナル抗体への、又は所望の結合特性を有する任意の分子への、ISSの複合化により達成できる。
【0170】
当業者はまた、オリゴヌクレオチド−ペプチド複合体の調製において有用な方法について習熟しているか、又は当該方法を容易に決定できるはずである。ISSのいずれかの末端で、又は内部位置における好適な修飾塩基(例えば、シトシンもしくはウラシル)で、複合化が達成されてよい。参考までに、タンパク質への、及びIgの多糖部分へのオリゴヌクレオチド複合化のための方法は既知である(例えば、O'Shannessy, et al., J.Applied Biochem., 7:347 (1985)を参照されたい)。別の有用な参考は、Kessler: "Nonradioactive Labeling Methods for Nucleic Acids", in Kricka (ed.), Nonisotopic DNA Probe Techniques (Acad. Press, 1992)である。
【0171】
本発明によるISSとペプチド薬物の共投与はまた、組換え発現ベクターにより送達可能な任意の治療的に有益なタンパク質をコードする、組換え発現ベクター(プラスミド、コスミド、ウイルス又はレトロウイルス)へ、シス又はトランス状態のISSを組み込むことにより達成してよい。本発明の実施における使用のための発現ベクターへのISSの組み込みが望まれる場合、かかる組み込みは、当業者に対する詳細な説明を要することなく従来的な技術を用いて達成できる。しかしながら、レビューとして、当業者は、上記のAusubel, Current Protocols in Molecular Biologyを参考にすることを望んでもよい。
【0172】
端的に言うと、組換え発現ベクター(任意のタンパク質をコードせず、且つISSの担体として使用されるものを含む)の構築は、標準的ライゲーション技術を使用する。構築されたベクターにおける正確な配列を確認する分析のために、ライゲーション混合物を使用し、個別の細胞、及び必要に応じて抗体耐性により選択される成功した形質転換体へ形質転換されてよい。
【0173】
形質転換体由来のベクターを調製し、制限により分析し、及び/又は例えば、Messing, et al., (Nucleic Acids Res., 9:309, 1981)の方法、Maxam, et al., (Methods in Enzymology, 65:499,1980)の方法、もしくは当業者に既知であるはずのその他の好適な方法により配列決定する。切断断片のサイズ分離は、記載の通り従来的なゲル電気泳動を用いて、例えば、Maniatis, et al., (Molecular Cloning, pp. 133-134, 1982)により行う。
【0174】
個別の細胞を、発現ベクターに形質転換し、且つプロモータの誘導、形質転換体の選択、又は遺伝子の増幅に適切なように修正した従来の栄養培地で培養することができる。温度及びpH等の培養条件は、発現用に選択された個別の細胞と一緒に従来から使用されるものであり、且つ当業者に明らかなはずである。
【0175】
組換え発現ベクターが本発明のISSの担体として利用される場合、プラスミド及びコスミドは、病原性が無いために特に好ましい。しかしながら、プラスミド及びコスミドは、ウイルスより迅速にインビボでの分解を受けるので、全身的投与される遺伝子治療ベクターにより影響を及ぼされるISS免疫賦活活性を実質的に阻害するために十分な用量のISSを送達できない。ウイルス性ベクターの代替物のうちアデノ関連性サテライトウイルスは、低病原性の有用性を有するはずである。外来遺伝子の挿入用の比較的低容量のアデノ関連ウイルスは、本発明のISSがそこで合成できる比較的小さいサイズであるために、この関連においては問題とならないはずである。
【0176】
本発明において利用できる他のウイルス性ベクターには、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア又はレトロウイルス等のRNAウイルスがある。レトロウイルスベクターは、好ましくはマウス(marine)、鳥類、又はヒトHIVレトロウイルスの誘導体である。単一の外来遺伝子が挿入できるレトロウイルスベクターの例には、限定するものではないが、モンローマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、はーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)がある。さらなる多数のレトロウイルスベクターが多遺伝子を組み込むことができる。これらのベクターの全ては、形質導入細胞が同定され、且つ発生できるように、選択可能なマーカー用の遺伝子を移動させるか、又は当該遺伝子を組み込むことができる。
【0177】
組換えレトロウイルスには欠陥があるので、これらは感染性ベクター粒子を作製するために支援を要する。この支援は、例えばLTR内の制御配列の支配下で、レトロウイルスの構造遺伝子の全てをコードするプラスミドを含有するヘルパー細胞系列を使用することにより提供できる。これらのプラスミドには、カプシド形成用のRNA転写を認識するパッケージングメカニズムが可能なヌクレオチド配列がない。パッケージングシグナルの欠損があるヘルパー細胞系列には、限定するものではないが、例えばT2、PA317及びPA12がある。これらの細胞系列は、ゲノムが包み込まれていないので、空のビリオンを作製する。レトロウイルスベクターがパッケージングシグナルが無傷であるが、構造遺伝子が注目の他の遺伝子により置き換えられるヘルパー細胞に誘導されると、当該ベクターは包み込まれてよく、且つベクタービリオンが作製できる。例えば、注目の1又は複数の配列を、特定の標的細胞上の受容体のためのリガンドをコードする別の遺伝子と一緒にウイルスベクターに挿入することにより、当該ベクターを標的特異的にさせることができる。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質、又はタンパク質をコードするポリヌクレオチドの挿入により、標的特異性にすることができる。好ましい標的化は、抗体を用いて達成され、レトロウイルスベクターを標的とする。当業者は、過度の実験を行うことなく、ISSを含有するレトロウイするベクターの特異的送達を対象とすることが可能なレトロウイルスゲノムへ挿入できる特定のポリヌクレオチド配列について知っているはずであるか、あるいは当該配列を容易に解明できる。
【0178】
ISSの医薬組成物
ISSがベクターを使用しないで送達されるか、又はその他の送達システムである場合、ISSは医薬として許容される組成物に調製されることになる。本発明のISSとの使用に好ましい医薬として許容される担体には、非水性溶液、懸濁物、及びエマルションの滅菌水溶液が含まれてよい。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、及びオレイン酸エチル等の注入可能有機エステルである。水性担体には、水、アルコール性/水性溶液、エマルション、又は懸濁物、例えば食塩水及び緩衝化媒体がある。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー又は固定油がある。静脈内ビヒクルには、液体及び栄養補給剤、電解質補給剤(例えば、リンガーのデキストロースに基づくもの等)等がある。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び挿入遺伝子等の保存剤及びその他の添加剤が存在してもよい。ISSの組成物はまた、その後の再構成及び本発明による使用のために、当業者に周知の手法を用いて凍結乾燥してもよい。
【0179】
吸収プロモータ、洗剤、及び化学性刺激物(例えば、ケリチノリチック(keritinolytic)剤)は、標的組織へのISS組成物の伝達を向上させることができる。有機及びペプチド系の薬物の粘膜送達でのうまく使用されている吸収プロモータ及び洗剤に関する一般的な原理についての参考として、Chien, Novel Drug Delivery Systems, Ch. 4 (Marcel Dekker, 1992)を参照されたい。
【0180】
特に、好適な鼻吸収プロモータの例は、上記のChien, supra at Ch. 5, 表2及び3で示されており、より穏和な剤が好ましい。本発明の、粘膜/鼻送達のための方法における使用に適する剤も、Chang, et al., Nasal Drug Delivery, "Treatise on Controlled Drug Delivery", Ch. 9、及びその表3〜4B(Marcel Dekker, 1992)に記載されている。皮膚を介する薬物吸収を向上させるとして知られる好適な剤は、Sloan, Use of Solubility Parameters from-Regular Solution Theory to Describe Partitioning-Driven Processes, Ch. 5, "Prodrugs: Topical and Ocular Drug Delivery" (Marcel Dekker, 1992),及び当該テキストの他の場所に記載されている。
【0181】
個体へのISSの投与のための方法及び経路
本発明のISSは、薬物送達のための任意の利用可能な方法及び経路を用いて個体に投与される。ある実施態様によれば、個体はヒトである。別の実施態様によれば、個体は、アレルギー性鼻炎であるヒトである。別の実施態様によれば、個体はアレルギー性鼻炎であるが喘息ではないヒトである。別の実施態様によれば、個体は、アレルギー性鼻炎及びアレルギー性喘息であるヒトである。
【0182】
実施例に記載されるように、ISSの送達のある好ましい方法は、鼻腔内送達である。投与の他の方法には、エキソビボ法(例えば、ISSと一緒にインキュベートするか、又はISSで形質移入した細胞の送達)、及び全身的又は局所的経路がある。当業者は、個体へISS向かわせる送達の方法及び経路は、インビボでISSの分解を回避すべきであることを理解するはずである。
【0183】
ある態様によれば、本発明は、環境に生来存在する抗原(すなわち、外来性抗原)と一緒にISSを投与する方法を提供する。外来アレルゲンは、季節を通してレベルが変動するアレルゲンがあり得る。季節性アレルゲンの存在は、様々な情報源を用いることにより解明してよく、例えば、天気サービスからの天気予報、テレビから放映されるニュースレポート、ラジオ又は新聞、制度化記録、及び個人的調査がある。外来抗原の例は、ブタクサ、例えば、ブタクサ花粉抗原、抗原E(Amb a I)である。他の非限定的な外来抗原の例は、草アレルゲンLol p 1(Tamborini et al. (1997) Eur. J. Biochem. 249:886-894)、主要なイエダニアレルゲンDer pI及びDer PII(Chua et al. (1988) J. Exp. Med. 167:175-182;Chua et al. (1990) Int. Arch. Allergy Appl. Immunol. 91:124-129)、家庭用ネコアレルゲンFel d I(Rogers et al. (1993) Mol. Immunol. 30:559-568)、シラカバ花粉アレルゲンBet vl(Breiteneder et al. (1989) EMBO J. 8:1935-1938)、スギアレルゲンCry j 1及びCry j 2(Kingetsu et al. (2000) Immunology 99:625-629)、及び他の樹木花粉由来のタンパク質抗原(Elsayed et al. (1991) Scand. J. Clin. Lab. Invest. Suppl. 204:17-31)である。示されるように、カバ、ジュニパー及びスギ由来のアレルゲン等の樹木のアレルゲンが既知である。インビボ投与のための、草花粉由来のタンパク質抗原の調製が報告されている。使用できる他の抗原を上記の表1に記載した。
【0184】
個体への多くの外因性抗原の侵入点は、皮膚又は粘膜を介するものである。すなわち、皮膚(例えば、皮膚及び皮下条件で)、又は粘膜(例えば、呼吸器系、眼性、舌、又は生殖系の条件で)を標的とする送達及び経路は、特に有用であることになる。臨床の当業者は、皮膚及び粘膜への薬物送達のための手法を習熟しているはずであるか、又は当該手法を容易に解明できる。しかしながら、レビューとして、本発明において有用な薬物送達の例示的な方法及び経路を以下で簡単に議論する。
【0185】
鼻腔内投与手法は、アレルギー性鼻炎、呼吸器系炎症、特に鼻孔から気管又は細気管支へ伝送される抗原により媒介される炎症等の呼吸器系の問題の対処において特に有用である。かかる手法には、本発明のポリヌクレオチド組成物のエアロゾル懸濁物又は吹送物の吸入がある。鼻粘膜、気管、及び細気管支へのポリヌクレオチド組成物の送達に適するネブライザー装置は、当該技術分野において周知であるためここでは詳細に記載しない。鼻腔内投与には、本発明の組成物が注入された液体溶液、又は粉末混合物を、鼻へ噴霧することも含まれる。鼻腔内薬物送達に関する一般的なレビューとして、当業者は、Chien, Novel Drug Delivery Systems, Ch. 5 (Marcel Dekker, 1992)を参照することを望んでもよい。
【0186】
投与の皮膚経路、及び皮下注入は、皮膚におけるアレルギー反応及び炎症への対処において有用である。皮膚へ薬物を送達するための手法の例は、好適な医薬調製物の局所塗布、経皮送達、注入及び表皮投与である。
【0187】
経皮送達のために、吸収プロモータ又はイオン導入が好適な方法である。かかる方法に関するレビューとして、当業者は、上記のChien, Ch. 7を参照することを望んでもよい。イオン導入送達は、数日以上の期間、無傷の皮膚を通し、電気的パルスを介して連続的にその生成物を送達する、市販の「パッチ」を用いて達成してもよい。この方法の使用により、比較的高い濃度での医薬組成物の制御送達が可能となり、組合せ薬物の点滴が可能となり、且つ吸収プロモータと同時期での使用が可能となる。
【0188】
この方法における使用のための例示的なパッチ製品は、Los Angeles, Calif.のGeneral Medical Companyの商標品であるLECTRO PATCHである。この製品は、中性pHでリザーバー電極を電子的に維持し、且つ異なる濃度の投薬の提供、連続的投与及び/又は周期的投与に適合させることができる。パッチの調製及び使用は、LECTRO PATCH製品に添付される製造業者の印刷された指示書により行われるべきであり、これらの指示書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0189】
表皮投与は、基本的に、刺激物への免疫応答を誘発するために十分な表皮の最外層を機構的又は化学的に刺激することが必要である。表皮投与における使用のための例示的な装置は、非常に狭い直系の短い多様な歯状物(tyne)を使用し、これは当該歯状物上に被覆されるISSを擦過して皮膚に入れて使用できる。Pasteur Merieux of Lyon, Franceにより製造されるMONO−VACC旧ツベルクリン検査に含まれる装置は、ISSの表皮投与における使用に適する。装置の使用は、装置製品に付属している製造業者の指示書に従い、使用及び投与に関するこれらの指示は、装置の従来的な使用を例示するため、参照により本明細書に組み込まれる。この実施態様において使用してもよい同様の装置は、アレルギー検査を行うために従来的から使用されるものである。
【0190】
全身的投与には、医薬調製物の、侵襲的又は全身的に吸収される局所投与が必要である。局所塗布、並びに静脈内及び筋肉内注入は、薬物の全身的投与のための共通の手法の例である。
【0191】
ISSのための投与量パラメータ
本発明のISSの特定の利点は、低投薬量でも、抗炎症及び/又は免疫療法活性を発揮するその能力である。使用される投薬量は、達成されるべき臨床的目標に依存して変動することになるが、好適な投薬量の範囲は、長期の疾患改良を得るための有効量である。ある実施態様によれば、長期疾患実施態様は、アレルギー性鼻炎の以下の症候の任意の1つを低減することである。鼻の症候(鼻漏、つまり、鼻分泌過剰/鼻水、くしゃみ、かゆみ)及び非鼻の症候(かゆみ/ざらつく目、泣き目(tearing)、流涙、赤眼又は焼けるような目の痛み、後鼻洩、耳又は口蓋かゆみ)。
【0192】
ある態様によれば、ISSは、少なくとも3週用量投与される。投与されるISSの投薬量は、約0.001mg/kg〜約100mg/kgである。ある実施態様によれば、投与される投薬量は、0.005mg/kg〜約50mg/kgである。別の実施態様によれば、投与されるISSの投薬量は、約0.01mg/kg〜約10mg/kgである。別の実施態様によれば、長期疾患改良の達成のために、ISSが、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、又は12用量投与される。ISSは、ある期間にわたり、複数回投与される。投薬の投与間の間隔は、1週間に1回でよい。代替案によれば、投薬の投与間はわずかにより短い期間、例えば、投薬の投与間として、3、4、5、又は6日が使用されてもよい。別の代替案によれば、投薬の投与間においてより長い期間が経過してもよく、例えば、8、9、10、11、12、13、又は14日毎の投与がある。さらなる別の代替案によれば、ISSは、2.5週、3週、4週毎に反復投薬で投与されてもよい。ある実施態様によれば、ISSは、少なくとも1投与当たり約0.01mg/kg〜約10mg/kgで、少なくとも3週用量投与される。別の実施態様によれば、長期間の効果に達するために、個体にISSを、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、又は12用量投与する。
【0193】
さらなる別の態様によれば、ISSは、約0.01mg/kg〜約10mg/kgの投薬量で投与され、且つ長期疾患改良を提供するために、投薬間隔が約3、4、5、又は6日で、少なくとも3用量が個体に投与される。別の実施態様によれば、ISSは、約0.01mg/kg〜約10mg/lgの投薬量で投与され、且つ長期疾患改良を提供するために、投薬間隔が約8、9、10、11、12、13、又は14日で、少なくとも3用量が個体に投与される。別の実施態様によれば、ISSは、約0.01mg/kg〜約10mg/kgの投薬量で投与され、且つ長期疾患改良を提供するために、投薬間隔が約2.5週、3週、又は4週で、少なくとも3用量が個体に投与される。ある実施態様によれば、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、又は12用量のISSが、長期の効果に達するために、投薬間が約3〜約14日の範囲の間隔で投与される。別の実施態様によれば、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、又は12用量のISSが、長期の効果に達するために、投薬間が約2.5週、3週、又は4週の範囲の間隔で投与される。別の実施態様によれば、これらのISSの用量は、およそ1週間に1回投与される。当業者は、実施例に例示されるように、Th2サイトカインのレベルを測定することによって、投与の範囲を調節することができるはずである。この開示により提供される教示、及び出願時の一般常識の観点から、当業者は、本発明によりISSの投与のための好適なパラメータに習熟しているはずであるか、又は当該パラメータを容易に解明できる。
【0194】
この態様によれば、本発明におけるISSの抗炎症及び免疫治療活性は基本的に用量依存性であることに留意すべきである。したがって、ISSの効能を2桁増加させるために、各々の単回用量の濃度は2倍にするべきである。臨床的には、低投薬量(例えば、約0.01mg/kg)でISSを投与し、その後、必要に応じて、所望の治療目標に到達するために投薬量を増加させてもよい。現在の研究に基づくと、ISSは、これらの投薬レベルでほとんど毒性がないか、又は無毒性であると考えられる。
【0195】
本発明の方法の実施における使用のためのキット
上記の方法における使用のために、キットも本発明により提供される。かかるキットには、以下の任意のもの又は全てが含まれてよい。ISS(複合化又は非複合化);医薬として許容される担体(ISSと予備混合されてよい)、又は凍結乾燥ISSを再構成するための懸濁物ベース;追加の医薬;ISS及び追加の医薬各々のための滅菌バイアル、又はISSの個体への送達における使用のための、その混合物のための単一のバイアル;探索される免疫調節効果が、治療される個体において達成されている兆候を検出するためのアッセイ試薬、ISSの投与方法及び投与時期についての指示書、及び好適なアッセイ装置、である。
【0196】
本発明の実施を例示する実施例を、以下に示す。当該実施例は、単に参照の目的のためのものであり、且つ本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0197】
実施例1 ブタクサ誘導性アレルギー性喘息用のマウスモデルにおける1018 ISSでの鼻腔内処理後の、Th2型遺伝子誘導の阻害
この実験の1つの目的は、ブタクサ感作及び抗原投与マウスにおけるアレルゲン誘導性Th2遺伝子誘導の阻害に対する、鼻腔内1018 ISS治療の効果の期間を調べることであった。評価された遺伝子には、様々なTh2サイトカイン、ケモカイン、及び気道炎症に関与する様々なその他の分子があった。メスBALB/cマウスを、−21日目及び−14日目に、ミョウバン上のブタクサで鼻腔内感作させた。様々な時点で(−7日目〜0日プラス3時間の範囲)、マウスの群を、軽度の麻酔下、1018 ISS又は食塩水で鼻腔内処理した。0日目に、全ての群が、ブタクサ又は食塩水のいずれかで鼻腔内から抗原投与された。抗原投与から6時間後、肺を摘出し、液体窒素で急速凍結した(snap-frozen)。総RNAを単離し、cDNAに変換した。mRNAの発現を、リアルタイム定量PCRを用い、肺cDNAサンプルにおいて測定した。
【0198】
使用した原料は、1018(ロット番号AGU−003、Dynavax)、ブタクサ(花粉、ロット番号16、24QQ 56-9FD-3、抽出2003年1月17日、Dynavax)、無病原菌食塩水(Sigma)であった。使用される方法は、以下の通りであった。研究は、Charles River (Hollister, CA)から購入した6〜8週齢のメスBALB/cマウスを用いて行った。総数90匹のマウスを、−21日目〜−14日目に、10μgのミョウバン上のブタクサで、鼻腔内感作させた。−7日目から、5匹のマウス群を、以下のスケジュールに従い、軽度のイソフルラン(isofloraine)麻酔下、無病原菌食塩水(50μl)、又は1018 ISS(20μg/50μl食塩水)で鼻腔内処理した。
【0199】
【表5】
【0200】
0日目に、全てのマウスを、ブタクサ(5μg/50μl食塩水)、又は食塩水(50μl)のいずれかで鼻腔内抗原投与した。抗原投与6時間後、肺を摘出し、液体窒素で急速凍結し、−80℃で後の使用のために保存した。総RNAをRNeasy ミニキット(Qiagen Inc., Valencia, CA)を用いて単離した。RNAサンプルを、DNAse処理し(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)、既報の方法に従い、Superscript II Rnase H−逆転写酵素(Reverse Transcriptase)(Invitrogen, Rockville, MD)を用いてcDNAに変換した。
【0201】
各々のcDNAサンプルにおいて、様々な遺伝子のmRNA発現レベルを、リアルタイム定量PCR(ABI Prism 5700, Perkin Elmer Applied Biosystems)及び、SYBRグリーン(Qiagen Inc., Valencia, CA)を用いて測定した。検出用に使用したセンス及びアンチセンスプライマーは、自社開発され、且つTh2−サイトカイン、ケモカイン、及び気道炎症に関与する様々なその他の分子に対するプライマーセットがある。注目の遺伝子に加え、各サンプルにおいて、ハウスキーピング遺伝子のmRNA発現を測定した(この場合、ユビキチン)。1サンプル当たりのRNA量について補正後、全てのデータをハウスキーピング遺伝子の発現に対して計算した(遺伝子/ユビキチン比率として表現される)。
【0202】
結果:
図1において、Th2型気道炎症応答の発現に必須な6つの遺伝子を表し、且つデータを遺伝子/ユビキチン比率として表現する。データは、感作マウスにおけるブタクサでの鼻腔内抗原投与は、食塩水抗原投与マウスと比較して(ブタクサ抗原投与マウスを、灰色の棒でRW/RW/食塩水と示し、食塩水抗原投与マウスを、白い棒でRW/食塩水/食塩水と示す)、IL−4、IL−5、及びIL−13等のTh2遺伝子のmRNA発現レベルを上方制御した。さらに、ケモカインTARC、MDC及びエオタキシンのmRNA発現レベルは、RW/RW/食塩水マウスにおいてアレルゲンの抗原投与後、上方制御された。反対に、1018 ISSで予備処理したマウスにおいて(黒い棒でRW/RW/1018と示される)、1018 ISS予備処理を、−1日目、又は−3日目に、又はいくつかの遺伝子については−5日目に行ったときのみ、様々なサイトカイン及び家及びもカイン発現レベルのブタクサ誘導性上方制御が阻害された。
【0203】
図2において、GOB−5及びC2についての遺伝子/ユビキチン比率を示す。GOB−5及びC2(別名FIZZ−1)は、両遺伝子ともIL−4により気道において誘導されることが知られる。我々のデータから、ブタクサでの抗原投与は、両方の遺伝子の上方制御をもたらすことが明らかである。反対に、ブタクサでの抗原投与の数日前の1018 ISSでの予備処理は、Th2型気道炎症と関連するこれらのmRNAの発現を阻害した。GOB−5については、1018 ISS処理が、−1日目又は−3日目になされた場合に有効である。C2については、1018 ISS処理が、−3日目又は−5日目になされた場合に有効である。
【0204】
ISSでの予備処理が、アレルギー性喘息のマウスモデルにおいて、アレルゲン誘導性の気道好酸球及び気道過敏反応性を阻害することは発表されている(Broide et al., J. Immunol., 161:7054, 1998)。我々は、この阻害が、気道におけるTh2及びTh2依存性遺伝子発現レベルのISS誘導性下方制御に相関することを示している(Hessel et al. (2005) J. Exp. Med., 202(11):1563)。
【0205】
ここで我々は、気道におけるアレルゲン誘導性Th2応答のISS媒介性阻害の期間を決定した。有効性の期間を確立する手法より、我々は、感作マウスにおけるアレルゲン抗原投与後、Th2型気道炎症の発現に必須な、又は密接に関連する気道における一連の遺伝子の発現を測定した。我々のデータは、アレルゲン抗原投与前の1〜3日の間に提供される1018 ISSがこれらの遺伝子の大部分を阻害でき、気道におけるTh2応答を大いに軽減させることになることを示す。アレルゲン抗原投与からさらに除去された状態で(例えば、−3日よりも早い)1018 ISSが提供される場合、1018 ISSはTh2又はTh2依存性遺伝子発現を下方制御できないことがわかった。
【0206】
すなわち、気道Th2応答におけるISS処置の直接的な影響を研究しようとする場合、アレルゲン抗原投与前の1〜3日以内に予備処理する方がよく、一方、疾患改良におけるISSの長期的な効果の研究に興味がある場合は、直接的なISS効果の不存在を確保するため、ISS処置後少なくとも1週間待つ方がよい。
【0207】
実施例2 ブタクサ誘導アレルギー性喘息のためのマウスモデルにおける1018 ISSでの長期鼻腔内処理の効果
本実験セットの目的は、1018 ISSでの長期鼻腔内処理が、ブタクサ誘導性アレルギー性喘息のためのマウスモデルにおける疾患改良をもたらすかを調べることである。ブタクサ感作及び抗原投与マウスにおける、1018 ISSでの1週間に1度の鼻腔内処理の長期的な効果を調べた。
【0208】
マウスを感作させ、その後、1週間に1度の低用量のブタクサで鼻腔内から抗原投与した。また、1週間に1度の頻度で、マウスを食塩水又は1018 ISSのいずれかで鼻腔内処理した。実験の過程の複数の時点で、マウスを2週間休息させるために時間を置いた。この休息期間は、1018 ISS処理の直接的な影響が減少することを確保するためであった。2週間の終点で、これらのマウスを高用量のブタクサで再抗原投与し、且つ気道におけるTh2及びTh1サイトカインの量を測定することにより、及び気道好酸球侵入の量を決定することにより、このアレルゲン抗原投与への応答を評価した。
【0209】
より具体的には、使用される原料は、1018(ロット番号AGU−003、Dynavax)、ブタクサ(花粉、ロット番号16、24QQ 56-9FD-3、抽出2003年1月17日、Dynavax)、無病原菌食塩水(Sigma)であった。使用される方法は、以下の通りであった。研究は、Charles River (Hollister, CA)から購入した6〜8週齢のメスBALB/cマウスを用いて行った。0日目及び7日目に、マウスを15μgのミョウバン上のブタクサで、鼻腔内感作させた。14日目から1週間に1度、マウスを、軽度のイソフルラン(isofloraine)麻酔下、0.5μgブタクサ又は無病原菌食塩水(50μl)で鼻腔内抗原投与した。同時に、マウスを、鼻腔内経路から、1018 ISS(20μg/50μl食塩水)又は無病原菌食塩水(50μl)で、1週間に1度処理した。抗原投与及びISS処理から1、2、6及び10週後、マウスを2週間休息させるために時間を置き、その後5μgのブタクサで鼻腔内再感作させた。24時間後、肺を洗浄し、且つサイトカインを洗浄液中でELISAにより測定した。IL−4、IL−13、IL−10、及びIFN−γのELISAについての検出レベルは、それぞれ8、8、8、及び23pg/mlであった。洗浄液を沈降させ、且つ回収した細胞をトリパンブルーを用いて計数した。残存する細胞を使用してサイトスピンを調製し、且つWright-Giemsa染色で染色した。細胞百分率(Differential cell counts)を行い、そして各サイトスピンについて好酸球数を決定した。
【0210】
図3及び4において、洗浄液(気管支肺胞洗浄液(BAL fluid))中で測定されるTh2型サイトカインIL−4、IL−13、及びIL−10のレベルは、pg/mlで表される。さらに、
図4では、Th1型サイトカインIFN−γを示す。結果は、感作マウスにおける1週間に1度ブタクサでの抗原投与は、高レベルのIL−4、IL−13、及びIL−10、並びに多数の好酸球を伴い、気道中に強固なTh2炎症をもたらすことを示す(
図5に示す)。これらの高レベルのTh2サイトカイン及び好酸球は、ブタクサ感作マウスを食塩水のみで免疫投与した場合には存在しない。マウスをブタクサ抗原投与し、同時に1018 ISSで処理した場合、食塩水又はISSで処理したブタクサ抗原投与マウスと比較して、ISS治療の1、2、又は6週間後には、有意な差異が観察されなかった。しかしながら、1018 ISS治療の10週後、Th2サイトカインレベル及び好酸球数は、有意に減衰し(IL−13:* p<0.05;IL−4、IL−10、及び好酸球:** p<0.01)、Th2炎症がこれらのマウスにおいて阻害されたことを示した。さらに、これらのデータは、測定された任意の時点において1018 ISSで処理したマウスにおいて、IFN−γレベルの増加は誘導されなかったことを示し、これは1018 ISSでの10週の処理は、気道における明白なTh1型応答を誘導しないことを示すものである。
【0211】
本実験において記載される実験データは、ISS処理は、疾患改良、すなわちアレルゲンに対するTh2応答の阻害をもたらさないが、一方、これは気道における明白なTh1応答の発現は伴わなかった。実施例1において、気道におけるTh2応答への1018 ISSの直接的な影響は、1週間未満継続すると決定付けた。したがって、この実施例においては、全てのマウスを、その最後のISS処理後、少なくとも2週間休息させ、その後アレルゲンで再感作した。すなわち、観察される任意の影響は、ISS処理の直接的影響の原因となり得ない。アレルゲンでの再感作に対する応答は、気道がアレルゲン免疫投与に対する応答におけるTh2炎症をなお発症するのか、又はこれらはアレルゲン免疫投与に無効であるのかを決定することである。少なくとも10週の鼻腔内1018 ISS処理は、この疾患改良効果を達成するために必要であった。
【0212】
実施例3 ブタクサ誘導性アレルギー性喘息用のマウスモデルにおける1018 ISSでの長期間鼻腔内処理の影響
1018 ISSでの長期間鼻腔内処理がブタクサ誘導性アレルギー性喘息用のマウスモデルにおいて疾患改良を提供するかを調べ、且つ1018 ISS処理を停止したがアレルゲン暴露は継続した後に、この疾患改良が継続するかを評価するために、この実験セットを行った。
【0213】
マウスを感作させ、その後、1週間に1度の低用量のブタクサで鼻腔内から抗原投与した。また、1週間に1度の頻度で、マウスを食塩水又は1018 ISSのいずれかで鼻腔内処理した。実験の過程の複数の時点で、マウスを2週間休息させるために時間を置いた。この休息期間は、1018 ISS処理の直接的な影響が減少することを確保するためであった。2週間の終点で、これらのマウスを高用量のブタクサで再抗原投与し、且つ気道におけるTh2及びTh1サイトカインの量を測定することにより、及び気道好酸球侵入の量を決定することにより、このアレルゲン抗原投与への応答を評価した。本研究に含まれる実験群は以下の通りであった。
【0214】
【表6】
【0215】
12週のISS処理と、全部で25週のアレルゲン抗原投与をマウスに投与する目的は、ISS誘導性疾患改良が、継続するアレルゲン暴露の存在下で長期間継続するかを評価するためである。
【0216】
より具体的には、使用した原料は、1018(ロット番号AGU−003、Dynavax)、ブタクサ(花粉、ロット番号# 01/26/05, Dynavax)、無病原菌食塩水(Sigma)であった。研究は、Charles River (Hollister, CA)から購入した6〜8週齢のメスBALB/cマウスを用いて行った。0日目及び7日目に、マウスを15μgのミョウバン上のブタクサで、鼻腔内感作させた。14日目から1週間に1度、マウスを、軽度のイソフルラン(isofloraine)麻酔下、0.5μgブタクサ又は無病原菌食塩水(50μl)で鼻腔内抗原投与した。同時に、マウスを、鼻腔内経路から、1018 ISS(20μg/50μl食塩水)又はTOLAMBA(20μg/50μl食塩水)又は無病原菌食塩水(50μl)で、1週間に1度処理した。抗原投与及びISS処理から1、8、12、16、及び25週後、マウスを2週間休息させるために時間を置き、その後5μgのブタクサで鼻腔内再感作させた。24時間後、肺を洗浄し、サイトカインを、洗浄液中で、ELISAにより測定した。
【0217】
結果:
図6において、洗浄液(気管支肺胞洗浄液)において測定されたTh2型サイトカインIL−4、IL−5、IL−13、及びIL−10のレベルは、pg/mlで表される。IL−4、IL−5、IL−13、IL−10、及びIFN−γのELISAについての検出レベルは、それぞれ8、8、8、8、及び23pg/mlであった。さらに、Th1型サイトカインIFN−γを測定したが、任意の治療群において、上記の検出レベルのIFN−γの誘導は観察されなかった。この結果は、感作マウスにおける1週間に1度ブタクサでの抗原投与は、高レベルのIL−4、IL−5、IL−13、及びIL−10で、気道中に強固なTh2炎症をもたらすことを示す。マウスをブタクサで抗原投与し、同時に1018 ISSで処理した場合、食塩水又はISSで処理したブタクサ抗原投与マウスと比較すると、1週間のISS処置後、有意な差異は観察されなかった。しかしながら、1018 ISS処理の8、12、16、及び25週後、Th2サイトカインレベルは有意に減少し、これはアレルゲン誘導性Th2炎症が、1018 ISS処理マウスで阻害されたことを示した。検出不能レベルのIFN−γは、任意の時点で1018 ISSで処理したマウスにおいて誘導されたという観察は、1018 ISSで25回の1週間に1度の処理が、気道において明白なTh1型応答を誘導しなかったことを示唆する。12週1018 ISSで処理され、その後さらに13週にわたりアレルゲン抗原投与を継続した群においては、Th2応答の阻害が維持され、これは、1018 ISSにより誘導された疾患改良が長期継続することを示す。
【0218】
実施例2において、10週のISS処理が、疾患改良、すなわちアレルゲンへのTh2応答の阻害をもたらすことを実証したが、これは気道における明白なTh1応答の発現は伴わなかった。ここで記載される実験は、疾患改良が、実際に、8回の1週間に1度の1018 ISS処理後に既に達成され、且つアレルゲン暴露がさらに13週間継続した場合にも、この疾患改良が継続するという観察を伴う結果に及ぶ。
【0219】
実施例4 ISS−複合体
上記の実施例3に類似する方法を、1018 ISS及びAmb a Iと複合化した1018 ISS(TOLAMBAとして知られる複合体)の両方を使用した点を変更して使用した。
図7は、25週間にわたり1週間に1度、鼻腔内経路から、20μgの1018 ISSで、又は25週間にわたり1週間に1度、鼻腔内経路から、20μg TOLAMBAで処理されたマウスにおける、Th2型サイトカイン、IL−4、IL−5、IL−10、及びIL−13を測定する結果を示すグラフである。Th2抑制はまた、ISS−複合体を使用した場合に観察された。疫学的研究は、アレルギー性喘息及び鼻炎は、多くの場合同じ患者に共存することを一貫して示している(1、2)。両方の気道疾患は、同じ罹患率増加傾向(3)、前処置要素(2)、及びアレルゲン遭遇による病理生理学的機構(4、5)、且つ局所ステロイドでの処理からの利益(6)を共有する。文献において、アレルギー性鼻炎の成功した測定は、オボアルブミン感作及び抗原投与マウスにおけるものが報告されている(7)。この研究において、オボアルブミン抗原投与はエアロゾルにより投与されたので、肺及び鼻腔の両方に影響を及ぼした。参照される研究には、鼻洗浄好酸球計数お鼻粘膜の厚み測定が含まれる。
【0220】
実施例5 ブタクサ誘導性アレルギー性鼻炎用のマウスモデルにおける1018 ISSでの長期間鼻腔内処理の影響
疫学的研究は、アレルギー性喘息及び鼻炎は、多くの場合同じ患者に共存することを一貫して示している(Parikh, A. et al., Br. Med. J. (1997) 314:1392-5, 及び Lundback B., Clin. Exp Allergy (1998) 28:3-10)。両方の気道疾患は、同じ罹患率増加傾向(Aberg, N et al., Clin. Exp. Allergy (1995) 25:815-9)、前処置要素(上記のLundback)、及びアレルゲン遭遇による病理生理学的機構(Durham, SR., Clin. Exp. Allergy (1998) 28:11-16, 及び Chanez, P. et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med. (1999) 159:588-95)、且つ局所ステロイドでの処理からの利益(Welsch, PW et al., Mayo Clin. Proc. (1987) 62:125-34)を共有する。文献において、アレルギー性鼻炎の成功した測定は、オボアルブミン感作及び抗原投与マウスにおけるものが報告されている(Hellings, PW et al., Clin. Exp. Allergy, (2001) 31: 782-790)。この研究において、オボアルブミン抗原投与はエアロゾルにより投与されたので、肺及び鼻腔の両方に影響を及ぼした。参照される研究には、鼻洗浄好酸球計数お鼻粘膜の厚み測定が含まれる。
【0221】
実施例において、実施例3及び4で記載されるような実験を繰り返し、アレルギー性鼻炎を反映する鼻パラメータを評価する。1週間に1度の1018 ISS又は1018 ISS−複合体での処理数を変化させ、且つ1018 ISS又は1018 ISS−複合体での処理の停止後に継続する1週間に1度のアレルゲン暴露期間の長さを変化させる。鼻パラメータには、好酸球数、及び鼻洗浄液中のIL−4、IL−5、IL−13、IL−10、及びIFN−γサイトカイン測定値が含まれる。さらに、ISS−誘導可能な遺伝子発現を、Th2炎症を反映する遺伝子発現レベルの評価と一緒に評価する。鼻腔及びより具体的には鼻粘膜の組織学的分析が含まれる。
【0222】
疾患改良の確立と共に、2つの疑問が持ち上がる。1)動物を再感作後、疾患改良は後進する可能性があるのか、2)Th2応答に対する疾患改良の影響は抗原特異的であるか。これらの質問に答えるために、マウスをブタクサで感作し、その後13週間にわたりブタクサで1週間に1度の抗原投与をし、且つ1018 ISSで処理するか、又は1018 ISSなしで処理した。その後、4週間の鼻腔内抗原投与を行った。この投薬計画は、以前の実験において疾患改良を誘導することが実証されている。ここから、動物を休息させるか、又はブタクサもしくはオボアルブミン及びミョウバン(1週間に2回の腹腔内注入に分割された)のいずれかで再感作段階を通過させた。最後の注入から1週間後、全てのマウスに、最後の鼻腔内抗原投与を行った。未処理の年齢が適合したコントロール群を使用し、同齢の動物は、ブタクサ又はオボアルブミンにうまく感作させることができることを実証した。
【0223】
結果:ブタクサ感作及び抗原投与マウスにおける1018 ISSでの13週の処理過程後、高用量のブタクサ抗原投与に対する気道の反応性は見られなかった。続くブタクサ又はオボアルブミンでの全身的再感作に続く(それぞれ、ブタクサ又はオボアルブミンでの)気道アレルゲン抗原投与は、気道好酸球増加又は気管支肺胞(BAL)Th2サイトカイン上昇をもたらさない(それぞれ、
図8及び9)。この再感作への応答は、再感作が、ブタクサで行われるか、オボアルブミンで行われるか(「同じ」抗原か又は「異なる」抗原か)にかかわらず同じである。ISS処理群の血清におけるオボアルブミン特異的IgE抗体の存在(
図10)は、オボアルブミンでの全身的感作が成功したことを示す。このデータは、気道における局所環境は、ISS−処理の結果として変化し、且つISS処理がなされる期間中にアレルゲンが存在しない場合でも、新規な誘導アレルゲンに対するアレルゲン誘導性Th2応答を阻止できることを示唆する。