(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。各実施の形態では、媒体カセットが媒体搬送方向に直交する方向に着脱される場合、つまり媒体ガイドの移動方向が媒体カセットの着脱方向に平行な場合について説明する。
【0014】
第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態における媒体搬送装置30を備えた画像形成装置としてのプリンタ10を示す図である。
図1において、プリンタ10は、媒体搬送装置30を備え、媒体搬送装置30によって搬送した媒体(用紙等)に、画像形成部410によって画像を形成するものである。
【0015】
媒体搬送装置30は、媒体101を収容する媒体カセット100と、媒体カセット100に収容された媒体101を順に媒体搬送路に繰出す媒体繰出し部200とを備えている。媒体繰出し部200内の媒体搬送路は、プリンタ10の本体内の媒体搬送路と連続しており、紙詰まり等を起こすことなく媒体を給送できるようになっている。
【0016】
また、媒体搬送装置30とプリンタ10の本体とは、電気信号等の送受信のため、コネクタにより接続されている。
【0017】
媒体カセット100は、媒体搬送装置30の本体31(装置本体)に対して着脱可能に設けられている。媒体カセット100は、媒体を収容する媒体トレイ105を有している。媒体トレイ105の内側には、支持軸102aによって揺動可能に支持された載置板102が設けられ、媒体101はこの載置板102上に積載される。
【0018】
媒体カセット100の繰出し側(図中右側)には、載置板102を持ち上げるリフトアップレバー103が設けられている。リフトアップレバー103は、支持軸103aに回転可能に取り付けられ、支持軸103aはモータ104と接離可能に連結されている。リフトアップレバー103とモータ104は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に挿入されると連結される。モータ104は、後述する制御部601(
図8)によって駆動され、リフトアップレバー103を上方に揺動させて、その先端部で載置板102を持ち上げ、これにより載置板102に積載された媒体101が上昇する。
【0019】
リフトアップレバー103により持ち上げられた載置板102の媒体101が当接する位置に、ピックアップローラ202が配置されている。また、載置板102上の媒体101がピックアップローラ202に当接する高さまで上昇したことを検知する上昇検知部201が設けられている。
【0020】
載置板102上の媒体101がピックアップローラ202に当接する高さまで上昇すると、上昇検知部201がこれを検知し、上昇検知部201の検知信号に基づいて制御部601がモータ104を停止させる。ピックアップローラ202は、給紙モータ711(
図8)によって矢印方向に回転し、媒体101を図中矢印a方向に繰り出す。
【0021】
ピックアップローラ202の繰出し側(図中右側)には、フィードローラ203およびリタードローラ204が、互いに接するように配置されている。フィードローラ203は、上述したピックアップローラ202と共に給紙モータ711(
図8)によって矢印方向に回転駆動される。リタードローラ204は、図示しないトルク発生手段によって、矢印方向のトルクを発生している。
【0022】
フィードローラ203およびリタードローラ204は、ピックアップローラ202によって媒体101が複数同時に引き出されないように、1枚ずつに捌いて搬送する。これらピックアップローラ202、フィードローラ203およびリタードローラ204は、媒体繰出し部200を形成している。
【0023】
媒体101の搬送方向に沿って、媒体繰出し部200の下流側に、媒体101の斜行を規制して搬送する搬送ローラ対303と、画像形成部410に媒体101を搬送する搬送ローラ対310とが配置されている。搬送ローラ対303は、駆動ローラ304と従動ローラ305とからなる。搬送ローラ対310は、駆動ローラ311と従動ローラ312とからなる。
【0024】
搬送ローラ対303および搬送ローラ対310のそれぞれの上流側には、媒体101の通過を検知する通過センサ302,313が配置されている。搬送ローラ対310の下流側には、画像形成部410での書き込みタイミングを決定するための書き込みセンサ314が配設されている。
【0025】
搬送ローラ対303,310は、給紙モータ711(
図8)の回転が図示しない駆動伝達手段を経由して伝達され、給紙モータ制御部602(
図8)により回転制御される。
【0026】
また、本実施の形態におけるプリンタ10の図中右側面には、MPT(Multi Purpose Tray)320が、開閉自在に取り付けられている。MPT320には、媒体Pを載置した載置板321が設けられている。載置板321は、図示しない支持軸によって揺動可能に支持されている。
【0027】
MPT320は、載置板321上に載置された用紙を送り出すピックアップローラ323を有している。載置板321は、その底部に配置された図示しないスプリングによって持ち上げられ、載置板321上に載置された媒体Pがピックアップローラ323に当接する。ピックアップローラ323は、給紙モータ711(
図8)によって矢印方向に回転駆動され、プリンタ10の本体内に媒体Pを送り出す。
【0028】
ピックアップローラ323の繰出し側(図中左側)には、MPTローラ324およびリタードローラ325が互いに接するように配置されている。MPTローラ324は、給紙モータ711(
図8)によって矢印方向に回転駆動されている。リタードローラ325は、図示しないトルク発生手段によって、矢印方向のトルクを発生している。
【0029】
MPTローラ324およびリタードローラ325は、ピックアップローラ323により媒体Pが複数枚同時に引き出されないように、1枚ずつ捌いて、プリンタ10の本体内の上述した搬送ローラ対310に向けて搬送する。ピックアップローラ323、MPTローラ324およびリタードローラ325は、MPT媒体繰出し部322を構成している。
【0030】
プリンタ10の画像形成部410は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの画像を形成する各色のプロセスユニット(画像形成ユニット)430K,430Y,430M,430Cを有している。プロセスユニット430K,430Y,430M,430Cは、媒体101の搬送方向に沿って上流側から順に配列されている。また、プロセスユニット430K,430Y,430M,430Cは、プリンタ10の本体に対して、それぞれ着脱可能に装着されている。
【0031】
ここで、プロセスユニット430Kの構成について説明する。プロセスユニット430Kは、静電潜像担持体としての感光体ドラム431を有している。感光体ドラム431は、矢印方向に回転可能な円筒状の部材であり、静電潜像を担持するため、表面に電荷を蓄えることができるように構成されている。
【0032】
感光体ドラム431の周囲には、その回転方向に沿って上流側から順に、感光体ドラム431の表面を一様に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ432と、一様に帯電された感光体ドラム431の表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置433と、感光体ドラム431の表面に形成された静電潜像をブラックのトナー(現像剤)により現像する現像剤担持体としての現像ローラ434と、感光体ドラム431上に残留した転写残トナーを除去するクリーニング部材435とが配設される。
【0033】
帯電ローラ432には、感光体ドラム431の表面を一様に帯電させるための帯電電圧が付与されており、感光体ドラム431の表面に接触して回転する。露光装置433は、感光体ドラム431の上方に配置され、画像情報に応じて感光体ドラム431の表面に光を照射して静電潜像を形成する。現像ローラ434には、感光体ドラム431の表面にトナーを付着させるための現像電圧が付与されており、感光体ドラム431の表面に接触して回転する。
【0034】
感光体ドラム431および現像ローラ434は、IDモータ610(
図8)からの回転伝達により回転する。帯電ローラ432は、感光体ドラム431との接触により従動回転する。また、プロセスユニット430Kの上部には、トナーを収納して現像ローラ434に供給するトナー収納部436が設けられている。
【0035】
他のプロセスユニット430Y,430M,430Cは、使用するトナーを除き、プロセスユニット430Kと同様の構成を有している。
【0036】
プロセスユニット430K〜430Cの下方には、転写部460が配置されている。転写部460は、各感光体ドラム431に圧接された4つの転写ローラ464を有している。転写ローラ464は、導電性のゴム等で形成されたローラ部を有している。各転写ローラ464に転写電圧が印加されており、各感光体ドラム431の表面電位との間に、トナー像を媒体101に転写するための電位差を生じさせている。
【0037】
各感光体ドラム431と転写ローラ464との間には、転写ベルト461が設けられている。転写ベルト461は、ドライブローラ462およびテンションローラ463に張架されている。ドライブローラ462はベルトモータ609により回転し、テンションローラ463は転写ベルト461に張力を与える。転写ベルト461は、ドライブローラ462の回転により、媒体101を吸着保持して搬送する。
【0038】
転写ベルト461の下方には、クリーニングブレード465およびトナーボックス466が配置されている。クリーニングブレード465は、転写ベルト461に付着したトナーを掻き取って除去し、トナーボックス466は、掻き落とされたトナーを収容する。また、クリーニングブレード465に対して転写ベルト461の移動方向上流側には、掻き落されたトナーがトナーボックス466の外部に飛散しないようにするためのフィルム469が、転写ベルト461に当接するように設けられている。
【0039】
媒体101の搬送方向において画像形成部410の下流側には、定着部500が配置されている。定着部500は、熱源であるハロゲンランプ503aを内蔵し、表面が弾性体で形成されたアッパローラ501と、同じく熱源となるハロゲンランプ503bを内蔵し、表面が弾性体で形成されたロアローラ502とを有している。定着部500は、アッパローラ501およびロアローラ502により、画像形成部410から送り出された媒体101上のトナー像に熱と圧力を加えてトナーを融解させ、媒体101に定着させる。
【0040】
媒体101の搬送方向において定着部500の下流側には、定着部500により定着が完了した媒体101を排出するための排出ローラ対504a,504b,504cと、排出された媒体101を載置するスタッカ部505とを有している。また、排出ローラ対504の上流側には、排出ローラ対504a,504b,504cの駆動タイミングを決定するための排出センサ506が配置されている。
【0041】
なお、上述した構成において、フィードローラ203、駆動ローラ304、駆動ローラ311およびMPTローラ324は、それぞれのローラ軸に組み付けられた電磁クラッチ(
図8に示す電磁クラッチ706)を介して駆動力の伝達を受ける。
【0042】
次に、第1の実施の形態における媒体カセット100の構成を詳細に説明する。
図2は、第1の実施の形態における媒体搬送装置30の本体31から取り外した媒体カセット100を示す斜視図である。
図3は、媒体カセット100を示す上面図である。なお、
図3では、載置板102の図示を省略している。
【0043】
図2および
図3において、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に挿入される方向をd方向とし、本体31から取り出される方向をe方向とする。以下では、説明の便宜上、媒体カセット100の挿入方向(d方向)と取り出し方向(e方向)を基準として、X、Y、Z方向を定義する。
【0044】
すなわち、水平面をXY面とし、このXY面において、媒体カセット100の挿入・取り出し方向(d,e方向)と平行な方向をY方向とし、これに直交する方向をX方向とする。また、X方向およびY方向に直交する方向を、Z方向とする。媒体カセット100からの媒体の搬送方向(繰出し方向)は、略X方向となる。
【0045】
媒体カセット100は、その取り出し方向(e方向)の先端部に、媒体搬送装置30への挿抜時(着脱時)にユーザが把持するハンドル部116を有するカセットカバー106を備えている。
【0046】
媒体カセット100は、媒体101を収納する媒体トレイ105を有している。媒体トレイ105には、収納された媒体101の幅方向両端(Y方向両端)の位置を規制する媒体位置規制手段としての一対の媒体ガイド107,108と、媒体101が載置される載置板102(
図1参照)とが備えられている。
【0047】
媒体ガイド107,108は、それぞれXZ面に平行な板状部材であり、Y方向に相対している。媒体ガイド107,108の下端からは、それぞれY方向内側に、ラック部としてのガイドラック110,111が延在している。ガイドラック110,111はX方向にも相対している。X方向においてガイドラック110,111の間には、これらガイドラック110,111と噛み合うピニオンギア113が設けられている。ピニオンギア113は、一対の媒体ガイド107,108を連動させ、Y方向中心に対して対称に移動させるものである。また、ガイドラック110,111およびピニオンギア113を覆うように、第1の係止部112が設けられている。
【0048】
媒体カセット100のX方向両端には、それぞれY方向に延在して挿入方向(d方向)に突出する案内レール119a,119bが設けられている。案内レール119a,119bは、媒体搬送装置30の本体31内の所定部分に係合し、媒体カセット
100の挿入を案内するものである。
【0049】
図4(A)は、第1の係止部112を上方から見た斜視図である。
図4(B)は、第1の係止部112を下方から見た斜視図である。第1の係止部112は、ガイドラック110,111およびピニオンギア113(
図3)を跨ぐように延在する主部112aと、主部112aの両端に形成された一対の基部112bとを有している。
【0050】
図4(B)に示すように、第1の係止部112の主部112aにおいて、ピニオンギア113の上面と対向する下面には、X方向に延在する係止ラック114a,114bが設けられている。係止ラック114a,114bは、Y方向に相対する部分に、ピニオンギア113の外周に形成された歯(後述するギア部113G)と噛み合い可能なラック歯を有している。
【0051】
第1の係止部112の一対の基部112bの下面には、ポスト120が突出形成されている。ポスト120は、媒体トレイ105に設けられた位置決め穴に係合し、これにより第1の係止部112の位置が規制されている。各基部112bのY方向両端には、それぞれ爪部121が設けられている。爪部121は、媒体トレイ105に設けられた係合穴に係合し、これにより第1の係止部112が媒体トレイ105に固定される。
【0052】
図5(A)は、媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31に挿入している状態を示す断面図である。
図5(B)は、媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31から取り出している状態を示す断面図である。
【0053】
上述したピニオンギア113は、Z方向の回転軸を有しており、Z方向(回転軸の方向)、すなわち上下方向に移動可能である。ピニオンギア113の上部(回転軸方向の一方の側)には、第2の係止部としてのギア部113Gが形成されており、ピニオンギア113の下部(回転軸方向の他方の側)には、当接部113Aが形成されている。当接部113Aは、媒体トレイ105の底板部(トレイ底部105a)に形成された穴から下方に突出している。
【0054】
また、第1の係止部112には、ピニオンギア113を回転軸方向の下方に付勢する付勢部材(例えばコイルばね)115が設けられている。ピニオンギア113の当接部113Aの下面は、媒体搬送装置30の本体31の底板部(以下、本体底部)150に対向している。
【0055】
媒体搬送装置30の本体底部150の上面には、当接部としての斜面部152を有するリブ151(一定の高さを有する部分)がY方向に長く形成されている。
図5(A)に示すように、媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31内の所定位置まで挿入すると、ピニオンギア113の当接部113Aが、本体31の本体底部150の斜面部152を経てリブ151に乗り上げる。
【0056】
リブ151は、一定の高さを有してY方向に延在しており、媒体カセット100の装着が完了した状態でも、ピニオンギア113の当接部113
Aに当接している。なお、リブ151は、Y方向に延在するように底部150上に形成したものであるが、例えば、本体底部150を部分的に厚肉に形成したものであってもよい。
【0057】
ピニオンギア113の
当接部113Aが、本体底部150のリブ151に当接しているときには、ピニオンギア113は、付勢部材115の付勢力に抗してZ方向(回転軸方向)の上方に押し上げられている。
【0058】
ピニオンギア113が上方に移動すると、ピニオンギア113のギア部113Gは、第1の係止部112の係止ラック114a,114bと噛み合う。そのため、ピニオンギア113は、第1の係止部112(係止ラック114a,114b)により、回転不能に係止されることになる。
【0059】
加えて、ギア部113Gは、上述したガイドラック110,111(
図3)とは常に噛み合っている。従って、ピニオンギア113の回転が係止されることにより、ガイドラック110,111のY方向の移動も係止される。なお、ピニオンギア113のZ方向における可動範囲では、ギア部113Gとガイドラック110,111との噛み合いが外れることがないように設定されている。
【0060】
図5(B)に示すように、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31から取り出されるときには、ピニオンギア113の当接部113Aが、本体底部150のリブ151から斜面部152を経て、本体底部150の高さの低い部分に到達する。
【0061】
そのため、ピニオンギア113がZ方向の下方に移動し、ピニオンギア113のギア部113Gは、第1の係止部112の係止ラック114a,114bから離間する。そのため、ピニオンギア113は再び回転可能となり、ガイドラック110,111は再びY方向に移動可能となる。
【0062】
ここで、媒体ガイド107のロックレバー117について説明する。ロックレバー117は、媒体ガイド107,108を、媒体トレイ105に収容された媒体101の幅に合わせて任意の位置で係止するためのものである。
【0063】
図6は、媒体ガイド107のロックレバー117と、その周辺の部材を示す斜視図である。
図7(A)および(B)は、ロックレバー117による媒体ガイド107の係止作用を示す斜視図である。ロックレバー117は、媒体ガイド107に設けられた支持部107aに、Y方向の軸122によって軸支されており、
図7(A)および(B)に矢印Aで示すように、Y軸周りに揺動可能である。
【0064】
図7(B)に示すように、ロックレバー117の下端部には、複数の歯がY方向に配列されたラック部117aが形成されている。媒体トレイ105には、媒体ガイド107の移動に伴うロックレバー117の下端部(ラック部117aを含む)のY方向の移動経路に沿って、溝105bが形成されている。
【0065】
媒体トレイ105の溝105bの内面には、ロックレバー117のラック部117aに係合するラック部118が形成されている。また、ロックレバー117と支持部107aとの間には、ロックレバー117を、そのラック部117aがラック部118に係合するように付勢する、例えばコイルばね等の付勢部材123(
図6)が設けられている。
【0066】
図6および
図7(A)に示した状態では、ロックレバー117のラック部117aが、媒体トレイ105のラック部118に係合している。これにより、ロックレバー117は、媒体ガイド107をY方向における所定の位置で係止する。すなわち、媒体ガイド107は移動不能に係止される。また、媒体ガイド108は、ピニオンギア113とガイドラック110,111を介して媒体ガイド107と連動しているため、媒体ガイド107と同様に係止される。
【0067】
また、ユーザがロックレバー117の上端部を、付勢部材123による付勢力に抗する方向に移動させると、ロックレバー117のラック部117aが媒体トレイ105のラック部118から離間する。これにより、媒体ガイド107はY方向に移動可能となり、媒体ガイド108は、媒体ガイド107とは対称に移動可能となる。
【0068】
次に、プリンタ10の制御系について説明する。
図8は、実施の形態1の媒体搬送装置30を備えたプリンタ10の制御系を示すブロック図である。プリンタ10の制御部600は、その中枢となる主制御部601を有している。主制御部601は、制御部や演算部からなるCPU、プログラムメモリのRAMやROM、タイマーカウンタ等を有している。
【0069】
主制御部601は、入力ポートから入力された通過センサ302、通過センサ313、書き込みセンサ314、および、排出センサ506からの検出信号に基づいて、各部分の起動や制御の切り替えを行うようになっている。
【0070】
主制御部601には、また、給紙モータ制御部602、電磁クラッチ制御部603、ベルトモータ制御部604、IDモータ制御部605、および定着モータ制御部606が接続されている。
【0071】
給紙モータ制御部602は、給紙モータ711に作動信号を送り、給紙モータ711の回転を制御する。電磁クラッチ制御部603は、電磁クラッチ706に作動信号を送り、電磁クラッチ706の動作を制御する。これにより、ピックアップローラ202、フィードローラ203、搬送ローラ対303,310および排出ローラ対504a,504b,504cによる、媒体101の給紙および搬送制御が行われる。
【0072】
ベルトモータ制御部604は、ベルトモータ609に作動信号を送り、ベルトモータ609の回転を制御する。これにより、転写ベルト461による媒体101の搬送制御が行われる。
【0073】
IDモータ制御部605は、IDモータ610に作動信号を送り、IDモータ610の回転を制御する。これにより、各プロセスユニット430の感光体ドラム431および現像ローラ434の回転を制御する。なお、定着ローラ432は、感光体ドラム431に従動して回転する。
【0074】
定着モータ制御部606は、定着モータ611に作動信号を送り、定着モータ611の回転を制御する。これにより、定着部500のアッパローラ501およびとロアローラ502の回転が制御される。
【0075】
これら各モータは、2相励磁パルスモータ、DCモータなどが用いられる。2相励磁パルスモータは、各モータに一定電流を流してクロック信号の立ち上がりで相電流方向を切り替え、またはクロック周波数を変化させることで、モータ回転の加速、減速を制御する。DCモータは、モータ端子に電圧を印加して回転速度を制御し、モータ端子の極性の接続方向によりモータの回転方向を制御する。
【0076】
主制御部601には、また、オペレーションパネル612が接続されている。オペレーションパネル612は、スイッチ等で構成された入力部612aと、LED(発光ダイオード)またはLCD(液晶ディスプレイ)等で構成された表示部612bとを有している。オペレーションパネル612の入力部612aを操作することにより、フォントの選択や媒体(用紙)の選択といったプリンタ10の条件設定を行うことができる。表示部612bには、入力部612aによって設定された条件が表示される。
【0077】
主制御部601には、また、インターフェース部613が接続されている。インターフェース部613は、インターフェースコネクタ、インターフェース用IC等から構成され、ホストコンピュータHCから送られた印刷データを受信し、主制御部601へ転送する。
【0078】
プリンタ10の制御部600は、また、プリンタ10の本体と媒体搬送装置30とを接続するコネクタを介して、媒体搬送装置30側の駆動制御(例えば、ホッピングローラ202やフィードローラ203の回転)のための信号を送ることができる。
【0079】
また、
図8では省略するが、プリンタ10の制御部600は、帯電ローラ432、現像ローラ434および転写ローラ464に付与する帯電電圧、現像電圧および転写電圧を制御する各電圧制御部と、帯電部500の熱源503a,503bを制御する温度制御部と、
図1に示したモータ104を駆動してリフトアップレバー103を揺動させるリフトアップ制御部とを有している。
【0080】
次に、プリンタ10およびその媒体搬送装置30の動作について説明する。媒体カセット100から給紙を行う場合には、媒体カセット100に収納されている媒体101が、ピックアップローラ202、フィードローラ203およびリタードローラ204からなる媒体繰出し部200により、上から1枚ずつ分離されて媒体搬送路に繰り出される。
【0081】
媒体繰出し部200により繰出された媒体101は、通過センサ302を通過し、搬送ローラ対303に到達する。搬送ローラ対303は、通過センサ302が媒体101の通過を検知した時点から所定のタイミングで回転駆動される。すなわち、搬送ローラ対303は、媒体101の先端を突き当てた状態で一定時間停止することにより、媒体101の斜行を矯正し、その後、回転を開始することにより媒体101を搬送する。
【0082】
搬送ローラ対303によって搬送された媒体101は、通過センサ313を通過し、搬送ローラ対310に到達する。搬送ローラ対310は、通過センサ302が媒体101の通過を検知した時点から回転駆動され、媒体101を停止することなく、画像形成部410に向けて搬送する。搬送ローラ対310によって送り出された媒体101は、書き込みセンサ314を通過して、画像形成部410に到達する。
【0083】
画像形成部410に搬送された媒体101は、転写ベルト461によって搬送され、プロセスユニット430Kの感光体ドラム431と転写ローラ464とのニップ部に搬送される。プロセスユニット430Kでは、感光体ドラム431の表面が帯電ローラ432により一様に帯電されたのち、露光装置433の露光により静電潜像が形成される。感光体ドラム431の表面の静電潜像は、現像ローラ434によりブラックのトナー(現像剤)で現像され、トナー像(現像剤像)が形成される。媒体101が感光体ドラム431と転写ローラ464とのニップ部を通過する際に、感光体ドラム431の表面のトナー像が媒体101の表面に転写される。
【0084】
媒体101は、さらに、プロセスユニット430Y,430M,430Cを通過し、同様にして各色のトナー像が媒体101の表面に順次転写され、重ね合わせられる。
【0085】
プロセスユニット430K,430Y,430M,430Cを通過した媒体101は、転写ベルト461によって定着部500に搬送される。定着部500では、アッパローラ501およびロアローラ502により熱および圧力が加えられ、トナー像が媒体101に定着される。
【0086】
定着部500によってトナー像が定着された媒体101は、排出ローラ対504a,504b,504cによって、プリンタ10の上部の用紙スタッカ部505に排出される。これにより、カラー画像の形成プロセスが完了する。
【0087】
また、MPT320から給紙を行う場合、載置板321に堆積した状態で収納されている媒体Pが、ピックアップローラ323、MPTローラ324、およびリタードローラ325からなるMPT媒体繰出し部322によって、1枚ずつ媒体搬送路に送り出される。この媒体Pは、通過センサ313を通過し、搬送ローラ対310へ送られる。
【0088】
搬送ローラ対310は、通過センサ313が媒体Pの通過を検知した時点から所定のタイミングで回転駆動される。すなわち、搬送ローラ対310は、媒体Pの先端を突き当てた状態で一定時間停止することにより媒体Pの斜行を矯正し、その後、回転を開始することにより媒体Pを送り出す。
【0089】
搬送ローラ対310により送り出された媒体Pは、書き込みセンサ314を通過して画像形成部410へと送られる。その後、搬送ローラ対310より下流で行われる搬送動作および画像形成動作は、上述したとおりである。
【0090】
次に、プリンタ10の媒体搬送装置30に対する媒体カセット100の着脱について、上述した
図5(A)および(B)と、次の
図9を参照して説明する。
【0091】
図9(A1)および(A2)は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に挿入される途中の状態を示すYZ断面図およびXZ断面図である。
図9(B1)および(B2)は、
図9(A1)および(A2)に示した状態から、媒体カセット100がさらに挿入された状態を示すYZ断面図およびXZ断面図である。
図9(C1)および(C2)は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に完全に挿入された状態を示すYZ断面図およびXZ断面図である。
【0092】
媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31に挿入する場合、ユーザは、カセットカバー106に設けられたハンドル部116(
図2)を把持して、媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31に挿入方向(d方向)に押し込む。
【0093】
これに伴い、ピニオンギア113の下部(
図5(A)に示した
当接部113A)は、本体底部150の斜面部152を経てリブ151(高さの高い部分)に到達する。これにより、ピニオンギア113は、付勢部材115の付勢力に抗して、回転軸方向(Z方向)の上方に押し上げられる(
図9(A1)から、
図9(B1))。
【0094】
ピニオンギア113が押し上げられたことにより、ピニオンギア113のギア部113Gが、第1の係止部112(
図5(A))の係止ラック114a,114bと噛み合う。ガイドラック110,111と係止ラック114a,114bとは、互いに直交するよう配設されており、この両方のラックに噛合されているギア部113Gは、回転不能に係止される。
【0095】
そして、ピニオンギア113が本体底部150のリブ151によって押し上げられた状態のまま、媒体カセット100がさらに挿入され、媒体搬送装置30の本体31に完全に装着された状態となる(
図9(C1))。これにより、媒体カセット100の装着が完了する。
【0096】
この間、ピニオンギア113は、本体底部150のリブ151によって押し上げられ続けるため、ピニオンギア113と係止ラック114a,114bとの噛み合いが解除されることはない。すなわち、媒体
ガイド107,108が移動することはない。
【0097】
なお、媒体カセット100が本体31内に完全に装着されると、媒体カセット100に設けられたリフトアップギア162の連結部162aが、媒体搬送装置30に設けられた駆動ギア163と係合する。駆動ギア163は、上述したモータ104(
図1)により回転駆動され、駆動ギア163が回転すると、リフトアップギア162が回転する。
【0098】
リフトアップギア162は、太陽ギアであり、媒体カセット100に備えられた上下方向に移動可能なリフトアップシャフト160に取り付けられた遊星ギア161と噛み合っている。リフトアップギア162の回転により、遊星ギア161が回動し、リフトアップシャフト160が上下に移動する。リフトアップシャフト160は、載置板102の下方に当接しており、載置板102を上方に付勢して揺動させる。
【0099】
なお、
図1に示したリフトアップレバー103は、ここで説明したリフトアップシャフト160を模式的に表わしたものである。
【0100】
一方、媒体カセット100を媒体搬送装置30から取り出す場合、ユーザは、ハンドル部116(
図1)を把持して、媒体カセット100を取り出し方向(e方向)に引き抜く。このとき、ピニオンギア113の下部の当接部113A(
図5(B))は、本体底部150の斜面部152を通過し、本体底部150の高さの低い部分に到達する。ピニオンギア113は、付勢部材115により下方に付勢されているため、回転軸方向(Z方向)の下方に押し下げられる。
【0101】
これにより、
図5(B)に示すように、係止ラック114a,114bと噛み合っていたギア部113Gが下方に移動し、噛み合いが解除される。ピニオンギア113のギア部113Gは、ガイドラック110,111とは常に噛み合っているため、ピニオンギア113はガイドラック110,111の動作に伴って回転可能となる。そのため、ユーザが、媒体101の幅に合わせて媒体ガイド107,108を移動させる操作が可能となる。
【0102】
以上説明したように、この第1の実施の形態によれば、媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31に挿入する途中で、ピニオンギア113が回転不能に係止される(
図5(A))。そのため、媒体カセット100の挿入に伴う衝撃や、媒体101の慣性力に起因する媒体ガイド107,108の位置ずれを防止することができる。
【0103】
また、媒体カセット100が媒体搬送装置30に装着されている状態では、常にピニオンギア113が回転不能に係止されているため、プリンタ10の輸送時における衝撃によって媒体ガイド107,108の初期位置がずれるという事態も防止することができる。
【0104】
また、媒体カセット100を引き出す際には、ピニオンギア113の係止が解除されるため(
図5(B))、媒体101の幅に合わせて媒体ガイド107,108を移動させる操作が可能になる。
【0105】
第1の変形例.
図10は、第1の実施の形態の第1の変形例における第1の係止部112(A)およびピニオンギア113(B)の構成を示す斜視図である。
【0106】
図10(A)および(B)に示すように、ピニオンギア113のギア部113Gと係止ラック114a,114bのラック歯には、それぞれ、互いの噛み合いを案内するための面取り形状113c,114cを設けることができる。
【0107】
ピニオンギア113のギア部113Gと係止ラック114a,114bのラック歯との位相がずれていた場合であっても、互いの面取り形状113c,114cのため、スムースに噛み合い状態に移行する。なお、ピニオンギア113と係止ラック114a,114bとの間には、ある程度の隙間が存在するため、位相ずれ分だけピニオンギア113が回転することができる。
【0108】
第2の変形例.
図11は、第1の実施の形態の第2の変形例における媒体カセット100の一部を拡大して示す断面図である。上述した第1の実施の形態では、ピニオンギア113を媒体トレイ105のトレイ底部105aよりも下方へ突出させて、媒体搬送装置30の本体底部150に当接させていた。これに対し、
図11に示す変形例の媒体カセット100は、ピニオンギア113のX方向両側に、トレイ底部105aから下方に突出した一対のガイド170を有している。
【0109】
ガイド170は、ピニオンギア113の他に、媒体トレイ105のリブ151(斜面部152を含む)をX方向両側から覆うように設けられている。これにより、ピニオンギア113が、媒体搬送装置30の本体底部150のリブ151(斜面部152を含む)以外のものによって押圧されることが防止される。従って、媒体トレイ105を媒体搬送装置30の本体31から取り出したのち、媒体ガイド107,108を操作する際に、媒体トレイ105を載置した床面等によってピニオンギア113が押し上げられることがない。
【0110】
第2の実施の形態.
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図12は、第2の実施の形態における媒体カセット100に備えられたピニオンギア130と、第1の係止部131とを抜き出して示す斜視図である。なお、第1の実施の形態で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付す。
【0111】
この第2の実施の形態では、
図12に示すピニオンギア130は、その第1の係止部131に対向する端面(回転軸方向の上端面)に、セレーション(鋸歯)形状の凸部130Sからなる第2の係止部130Bを有している。
【0112】
ピニオンギア130は、また、ガイドラック110,111と噛み合うギア部130Gと、媒体搬送装置30の本体底部150に当接する当接部130Aとを有している。ギア部130Gは、第1の係止部131と噛み合わないことを除き、第1の実施の形態で説明したギア部113G(
図5)と同様に構成されている。当接部130Aは、第1の実施の形態で説明したギア部113A(
図5)と同様に構成されている。
【0113】
第1の係止部131のピニオンギア130と対向する下面部には、第2の係止部130Bの凸部130Sと噛み合い可能で、凸部130Sと同ピッチで形成された凹部132が設けられている。ここでは、ピニオンギア130の凸部130S、および第1の係止部131の凹部132は、ピニオンギア130の回転軸を中心として放射状に多数形成されている。
【0114】
また、ピニオンギア130の凸部130S、および第1の係止部131の凹部132は、上述したロックレバー117のラック部117a(
図7(B))のピッチ、および媒体トレイ105のラック部118(
図7(B))のピッチと同じピッチで設けられている。
【0115】
ピニオンギア130は、第1の実施の形態と同樣に、回転軸方向(Z方向)に移動可能である。また、ピニオンギア130のZ方向における可動範囲では、ギア部130Gとガイドラック110,111との噛み合いが外れることがないように設定されている。
【0116】
また、第2の実施の形態の画像形成装置としてのプリンタの構成は、ピニオンギア130および第1の係止部131の構成を除き、第1の実施の形態におけるプリンタ10と同様である。また、第2の実施の形態におけるプリンタの動作は、第1の実施の形態におけるプリンタ10の動作と同様である。
【0117】
次に、第2の実施の形態における媒体カセット100の着脱動作について説明する。
図13(A)は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に挿入される途中の状態を示す断面図である。
図13(B)は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31から取り出される途中の状態を示す断面図である。
【0118】
媒体カセット100を媒体搬送装置30に挿入する場合、ユーザは、カセットカバー106(
図2)に設けられたハンドル部116を把持して、媒体カセット100を、媒体搬送装置30の本体31に挿入方向(d方向)に押し込む。このとき、
図13(A)に示すように、ピニオンギア130の当接部130Aは、媒体搬送装置30の本体底部150の斜面部152を経てリブ151(高さの高い部分)に到達する。これにより、ピニオンギア130は、付勢部材115の付勢力に抗して、回転軸方向(Z方向)の上方に押し上げられる。
【0119】
ピニオンギア130が押し上げられたことにより、ピニオンギア130の凸部130S(第2の係止部130B)が、第1の係止部131に設けられた凹部132と係合する。互いに同ピッチで形成された凸部130Sと凹部132との係合により、ピニオンギア130は、回転不能に係止される。媒体カセット100は、この状態で媒体搬送装置30の本体部31に挿入され、装着が完了する。その間、ピニオンギア130は、本体底部150のリブ151によって押し上げられているため、凸部130Sと凹部132との噛み合いが解除されることはない。
【0120】
ピニオンギア130の凸部130Sと、第1の係止部131の凹部132は、微細な形状に形成することが可能なセレーション形状であり、ロックレバー117のラック部117aおよび媒体トレイ105のラック部118(
図7)と同一の配設ピッチで形成されている。従って、媒体101の幅に応じた、例えば0.5mm、1mmといったピッチで、媒体ガイド107,108をピニオンギア130で係止することができる。
【0121】
一方、媒体カセット100を媒体搬送装置30から取り出す場合、ユーザは、ハンドル部116(
図2)を把持して、媒体カセット100を取り出し方向(e方向)に引き抜く。このとき、
図13(B)に示すように、ピニオンギア130の当接部130Aは、媒体搬送装置30の本体底部150のリブ151から斜面部152を経て、本体底部150の高さの低い部分に到達する。ピニオンギア113は、付勢部材115により下方に付勢されているため、回転軸方向(Z方向)の下方に押し下げられる。
【0122】
これにより、第1の係止部131の凹部132と噛み合っていた凸部130Sが下方に移動し、噛み合いが解除される。ピニオンギア130のギア部131Gは、常にガイドラック110,111と噛み合っているため、ピニオンギア130はガイドラック110,111の移動に伴って回転可能となる。そのため、ユーザが、媒体101の幅に合わせて媒体ガイド107,108を移動させる操作が可能となる。
【0123】
以上説明したように、第2の実施の形態では、第1の係止部131の凹部132およびピニオンギア130の凸部130S(第2の係止部130B)がセレーション形状であるため、ピニオンギア130のギア部130Gの配設ピッチよりも細かいピッチに設定することができる。そのため、媒体ガイド107,108の係止位置をより細かく設定することができる。すなわち、媒体ガイド107,108の係止位置を、媒体101の幅に精度良く対応させることができる。
【0124】
また、第1の係止部131の凹部132およびピニオンギア130の凸部130S(第2の係止部130B)が、互いに多数の歯で噛み合うため、媒体カセット100を媒体搬送装置30に挿入する際の衝撃に対する強度を高めることができる。
【0125】
なお、第1の係止部131の凹部132およびピニオンギア130の第2の係止部130Bの凸部130Sは、凹部と凸部を逆にしてもよい。すなわち、第1の係止部131に凸部を設け、ピニオンギア130の第2の係止部130Bに凹部を設けてもよい。
【0126】
変形例.
図14は、第2の実施の形態の第1の変形例における第1の係止部131(A)およびピニオンギア130の第2の係止部130B(B)の構成を示す斜視図である。第1の係止部131の凹部132およびピニオンギア130の第2の係止部130Bの凸部130Sには、それぞれ、互いの噛み合いを案内するための面取り形状132c,130cを設けることができる。
【0127】
このように構成すれば、第1の係止部131の凹部132とピニオンギア130の
凸部130Sとの位相がずれていた場合であっても、互いの面取り形状132c,130cにより、スムースに噛み合い状態に移行する。
【0128】
なお、上述した第1および第2の実施の形態および各変形例では、ピニオンギア113のギア部113Gと係止ラック114a,114bとの噛み合いや、セレーション形状の凸部130Sと凹部132との係合を利用したが、これに限定されるものではなく、例えばデテント機構を利用しても良い。
【0129】
第3の実施の形態.
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図15(A)は、第3の実施の形態における媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に挿入される途中の状態を示す断面図である。
図15(B)は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31から取り出される途中の状態を示す断面図である。第1および第2の実施の形態で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付す。
【0130】
上述した第2の実施の形態のピニオンギア130は、第2の係止部130Bの上面にセレーション状の凸部130Sを有していたが、この第3の実施の形態のピニオンギア146は、第1の係止部147に対向する端部(回転軸方向の上端部)の外周面に、第2の係止部をなす摩擦係止部(摩擦接触部)146Bを有している。摩擦係止部146Bは、Z方向に対して所定角度だけ傾斜している。
【0131】
また、第1の係止部147の摩擦係止部146Bと対向する面には、摩擦係止部146Bと接触可能な傾斜面である接触部148が設けられている。
【0132】
ピニオンギア146は、ガイドラック110,111と噛合するギア部146Gと、媒体搬送装置30の本体底部150のリブ153によって押圧される当接部146Aとを有している。
【0133】
ピニオンギア146は、第1の係止部147に設けられた軸支部149により、回転軸方向(Z方向)に移動可能に軸支されている。また、ピニオンギア146のZ方向における可動範囲では、ギア部146Gとガイドラック110,111との噛み合いが外れることがないように設定されている。
【0134】
また、ピニオンギア146の当接部146Aは、上述した第1および第2の実施の形態とは異なり、媒体トレイ105より下方には突出していない。その代わり、媒体トレイ105には、ピニオンギア146の当接部146Aの下面に当接するように、圧接部141が配設されている。
【0135】
圧接部141は、媒体カセット100の挿入に伴って、媒体搬送装置30の本体底部150の斜面部152を経てリブ153(高さの高い部分)に当接する。圧接部141は、斜面部152およびリブ153に当接することにより、
図15(A)に示すように変形し、ピニオンギア146に当接してこれを押し上げる。なお、リブ153は、第1および第2の実施の形態のリブ151よりも高く形成されている。
【0136】
その他の構成は、第1および第2の実施の形態で説明したとおりである。
【0137】
次に、本発明の第3の実施の形態の動作について、
図15(A)および(B)を参照して説明する。媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31に挿入する場合、ユーザは、カセットカバー106に設けられたハンドル部116(
図2)を把持して、媒体カセット100を媒体搬送装置30に挿入方向(d方向)に押し込む。このとき、圧接部141の下面は、斜面部152を経てリブ153に当接することにより変形する。変形した圧接部141は、ピニオンギア146の当接部146Aの下面に当接し、ピニオンギア146はギア回転軸の方向(Z方向)の上方向に押し上げられる。
【0138】
ピニオンギア146が押し上げられたことにより、その摩擦係止部146Bが第1の係止部147の接触部148と接触する。摩擦係止部146Bと接触部148の間の摩擦力により、ピニオンギア146は回転不能に係止される。
【0139】
そして、ピニオンギア146が押し上げられた状態のまま、媒体カセット100がさらに挿入され、媒体搬送装置30の本体31に完全に装着された状態となる。ピニオンギア146は、リブ153によって押し上げられ続けるため、摩擦係止部146Bと接触部148とが離間することはない。
【0140】
一方、媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31から取り出す場合、ユーザは、ハンドル部116(
図2)を把持して、媒体カセット100を取り出し方向(e方向)に引き抜く。このとき、
図15(B)に示すように、圧接部141の下面は、媒体搬送装置30のリブ153から斜面部152を経て本体底部150の高さの低い部分に到達する。これにより、圧接部141の変形が戻って、ピニオンギア146への押し上げが解除される。すなわち、ピニオンギア146は、ギア回転軸の方向の下方向に移動する。
【0141】
これにより、ピニオンギア146の摩擦係止部146Bが、第1の係止部147の接触部148から離間する。ピニオンギア146のギア部146Gは、常にガイドラック110,111と噛み合っているため、ピニオンギア146はガイドラック110,111の移動に伴って回転可能となる。そのため、ユーザが、媒体101の幅に合わせて媒体ガイド107,108を移動させる操作が可能となる。
【0142】
このように、この第3の実施の形態によれば、第1および第2の実施の形態で説明した効果に加えて、第1の係止部147の接触部148と、ピニオンギア146の摩擦係止部146Bとの摩擦を利用してピニオンギア146を係止するため、媒体ガイド107,108の位置によらずに、ピニオンギア146を係止することができる。従って、媒体ガイド107,108のガイドラック110,111の歯のピッチが一定間隔でない場合、例えば、A4,A3などの定型サイズの媒体幅に対応する位置に歯が形成されている場合や、定型サイズに対応する位置とその間に一定間隔で歯を刻んだ場合(複合型)にも対応することができる。
【0143】
第4の実施の形態.
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図16および
図17は、第4の実施の形態における媒体カセット100の構成を示す斜視図および平面図である。なお、第1の実施の形態で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付す。また、
図17では、載置板102の図示を省略している。
【0144】
媒体カセット100は、第1の実施の形態でも説明したように、媒体搬送装置30への挿抜時(着脱時)にユーザが把持するハンドル部116を有するカセットカバー106と、媒体Pを収納する媒体トレイとしての媒体トレイ205と、媒体Pの幅方向両側を位置規制する一対の媒体ガイドとしての媒体ガイド207,208と、媒体101が載置される載置板102とが備えられている。
【0145】
媒体ガイド207,208の下端からは、それぞれY方向内側にガイドラック110,111が延在している。第1の実施の形態で説明したように、ガイドラック110,111は互いに対向するように延在しており、これらガイドラック110,111の間には、これらガイドラック110,111とそれぞれ噛合するピニオンギア113が設けられている。
【0146】
図18(A)は、媒体ガイド208の構成を示す斜視図であり、
図18(B)は、媒体トレイ205の構成を示す斜視図である。
図18(A)に示すように、媒体ガイド208のX方向の端部(且つ用紙搬送方向の上流側の端部)には、取り付け部材としての腕部208aが形成されている。腕部208aは、媒体ガイド208のY方向内側面から突出している。腕部208aの下端には、X方向の支軸208bを中心として揺動可能な係止部材(第
1の係止部)としてのロックピース212(揺動体)が取り付けられている。
【0147】
ロックピース212は、そのX方向両端部に、ロック部としての一対の爪部212aを有している。それぞれの爪部212aは、ロックピース212の支軸208bを中心とする半径方向(回動半径方向)に沿って複数の爪部を配設したものである。
【0148】
図18(B)に示すように、媒体トレイ205の底板部(トレイ底部)205eには、媒体ガイド208の腕部208a(
図18(A))を挿通させるスリット205bが、Y方向に形成されている。スリット205bの両側には、スリット205bの長手方向(Y方向)に沿って、第
2の係止部としての爪部205aが形成されている。爪部205aは、トレイ底部205eの下面に形成されており、ロックピース212の一対の爪部212aに係合可能に形成されている。
【0149】
図19は、媒体ガイド208と媒体トレイ205との係合状態を示すYZ断面図である。媒体ガイド208に形成された腕部208aは、媒体トレイ205のスリット205bに入り込む。ロックピース212は、支
軸208bを中心として揺動可能であり、ロックピース212の爪部212aは、媒体トレイ205の爪部205aと係合可能である。
【0150】
なお、ロックピース212は、
図18(A)および
図19に示したように、トレイ底部205eの爪部205aから下方に所定の角度だけ離間した位置を下限とし、爪部205aに係合する位置を上限とし、これら上限位置と下限位置との間で揺動するように揺動範囲が規制されている。
【0151】
図20(A)は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に途中まで挿入された状態を示すYZ断面図である。
図20(B)は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に完全に挿入された状態を示すYZ断面図である。媒体搬送装置30の本体31の本体底部150には、ロックピース212に対応するように、斜面部152を有するリブ151が形成されている。
【0152】
リブ151は、一定の高さでY方向に延在している。後述するように、媒体カセット100が媒体搬送装置30に一定の位置まで挿入されると、リブ151がロックピース212に下方から当接し、その後、媒体カセット100の挿入完了まで、リブ151はロックピース212に当接し続ける。
【0153】
図20(A)に示すように、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に途中まで挿入され、所定の位置に到達していない状態では、ロックピース212は、その揺動範囲の下限位置にある(自重で垂れ下がっている)。このとき、ロックピース212の爪部212aは、媒体トレイ205のトレイ底部205eの爪部205aから離間している。一方、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31内の所定の位置まで挿入されると、ロックピース212は、
図20(B)に示すように、リブ151に当接して持ち上げられ、媒体トレイ205の爪部205aに係合する。
【0154】
なお、媒体ガイド207にはロックレバー117(
図16)が設けられているが、ロックレバー117の構成は、第1の実施の形態で説明したとおりである。また、他の構成は、第1の実施の形態で説明したとおりである。
【0155】
次に、この第4の実施の形態における媒体カセット100の装着動作について説明する。媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に挿入する前の状態では、
図20(A)に示すように、ロックピース212は下方向に位置しており、媒体トレイ205の爪部205aから離間している。この状態では、媒体ガイド207のロックレバー117を操作して、媒体ガイド207および媒体ガイド208を移動させることができる。
【0156】
図21(A1)および(A2)は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に挿入される途中の状態を示すYZ断面図およびXZ断面図である。
図21(B1)および(B2)は、
図21(A1)および(A2)に示した状態から、媒体カセット100がさらに挿入された状態を示すYZ断面図およびXZ断面図である。
図21(C1)および(C2)は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に完全に挿入された状態を示すYZ断面図およびXZ断面図である。
【0157】
媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31に挿入する場合、ユーザは、カセットカバー106に設けられたハンドル部116(
図16)を把持して、媒体カセット100を媒体搬送装置30に挿入方向(d方向)に押し込む。
【0158】
これに伴い、ロックピース212は、本体底部150の斜面部152を経てリブ151(高さの高い部分)に到達する。ロックピース212は、リブ151によって上方に付勢され、ロックピース212の爪部212aが媒体トレイ205の爪部205aに係合する位置まで揺動する(
図21(A1)から
図21(B1))。
【0159】
このようにロックピース212が押し上げられ、その爪部212aが媒体トレイ205の爪部205aと噛み合うため、ロックピース212が取り付けられた媒体ガイド208は、媒体トレイ205に対して移動不能に係止される。すなわち、媒体ガイド208は、媒体カセット100が本体31に途中まで挿入された段階で、媒体トレイ205に対して移動不能に係止される。また、ピニオンギア113(
図17)等を介して媒体ガイド208と連動する媒体ガイド207も、媒体トレイ205に対して移動不能に係止される。
【0160】
そして、ロックピース212がリブ151によって押し上げられた状態のまま、媒体カセット100がさらに挿入され、媒体搬送装置30の本体31に完全に装着された状態となる(
図21(C1))。これにより、媒体カセット100の装着が完了する。
【0161】
この間、ロックピース212は、本体底部150のリブ151によって押し上げられ続けるため、ロックピース212の爪部212aと媒体トレイ205の爪部205aとの噛み合いが解除されることはない。すなわち、媒体
ガイド207,208が移動することはない。
【0162】
なお、第1の実施の形態でも説明したように、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に完全に装着されると、媒体カセット100に設けられたリフトアップギア162の連結部162aが、媒体搬送装置30に設けられた駆動ギア163と係合する。駆動ギア163は、上述したモータ104(
図1)により回転駆動され、駆動ギア163が回転すると、リフトアップギア162が回転する。これにより、載置板102が上方に揺動する(
図21(C2))。
【0163】
このように、媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31内の所定の位置まで挿入すると(
図21(B1))、ロックピース212が本体底部150のリブ151により押し上げられ、媒体トレイ205の爪部205aに係合して、媒体ガイド207,208を係止する。
【0164】
そのため、媒体カセット100の装着に伴う衝撃や媒体の慣性力に起因する媒体ガイド107,108の位置ずれを防止することができる。なお、媒体ガイド207,208が係止されるのは、媒体カセット100が本体31内にほぼ格納された段階であるため、ユーザが媒体ガイド207,208を操作する必要はない。
【0165】
以上説明したように、この第4の実施の形態では、媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31に挿入する途中で、ロックピース212により媒体ガイド207,208が移動不能に係止される。そのため、媒体カセット100の装着に伴う衝撃や、媒体の慣性力に起因する媒体ガイド207,208の位置ずれを防止することができる。これにより、媒体ガイド207,208の位置ずれに起因する媒体の位置ずれや斜行を防止することもできる。
【0166】
ここで、ロックピース212の爪部212aと、媒体トレイ205の爪部205aとが噛み合わない場合の動作について説明する。
【0167】
図22(A)は、ロックピース212の爪部212aの先端と、媒体トレイ205の爪部205aの先端とが突き当たった状態を示す。このような状態で媒体カセット100を挿入し続けると、爪部の先端同士の当接状態によって、ロックピース212の爪部212aと媒体トレイ205の爪部205aとが、
図22(B)のように噛み合う場合と、
図22(C)のように噛み合う場合とが生じる。
【0168】
しかしながら、ロックピース212の爪部212aと媒体トレイ205の爪部205aは、いずれも0.5mm〜1mmの配設ピッチで形成されており、
図22(B)および(C)に示した噛み合い状態の相違は、媒体ガイド207,208の機能(すなわち媒体の幅方向位置を規制するという機能)を損なうことはない。
【0169】
変形例.
図23(A)〜(C)は、ロックピース212の爪部212aの先端と、媒体トレイ205の爪部205aの先端との衝突を防止するための変形例を示す図である。
図23(A)に示すように、この変形例におけるロックピース212は、媒体トレイ205の爪部205aと噛み合い可能な爪部(係合部)212Aと、媒体搬送装置30の底部150のリブ151に当接する弾性部(付勢部)212Bとで構成されている。弾性部212Bは、例えば樹脂で構成されており、爪部212Aと弾性部212Bとの間の角度(ロックピース212の揺動軸を中心とする角度)は、
図23(B)および
図23(C)に示すように変化し得る。
【0170】
図23(B)に示したように、ロックピース212の爪部212Aの先端と、媒体トレイ205の爪部205aの先端とが当接したときには、ロックピース212の弾性部212Bが弾性変形することにより、爪部212A,205aの先端同士が強く衝突することを回避する。そして、
図23(C)に示すように、爪部212A,205aが一爪だけずれた状態で噛み合う状態にスムースに移行する。
【0171】
なお、弾性部212Bは、例えば樹脂等の弾性部材で形成することができる。但し、
図23(B)に示したように弾性部212Bが弾性変形した状態が長期間継続すると、樹脂材料は塑性変形(クリープ)を起こす可能性がある。そのため、例えば、金属製のコイルスプリング、ステンレス製の板バネなどの付勢部材を設けて、爪部212Aをロックピース212側に付勢してもよい。
【0172】
第5の実施の形態.
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図24(A)は、第5の実施の形態における媒体カセット100の媒体ガイド208を示す斜視図であり、
図24(B)は、媒体トレイ205を示す斜視図である。なお、第4の実施の形態で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付す。
【0173】
この第5の実施の形態では、
図24(A)に示すように、媒体ガイド208の腕部208aに、係止部材としてのロックピース214が、X方向の支軸208bを中心として揺動可能に取り付けられている。ロックピース214は、そのX方向両端部に、ロック部としての一対の摩擦接触部214aを有している。すなわち、第5の実施の形態におけるロックピース214は、第4の実施の形態における爪部212a(
図18(A))の代わりに、摩擦接触部214aを有するものである。
【0174】
摩擦接触部214aは、ある厚みを持つ弾性体で、表面が高摩擦を有するように形成されているもの(高摩擦部材)である。摩擦接触部214aは、例えば、NBR(ニトリルゴム)などのゴム片、あるいは、板バネに高摩擦のウレタンフィルムなどを貼り付けたもので構成することができる。
【0175】
図24(B)に示すように、媒体トレイ205のトレイ底部205eには、第4の実施の形態で説明したスリット205bがY方向に形成されている。スリット205bの幅方向両側には、スリット205bの長手方向に沿って、第
2の係止部としての接触面205cが形成されている。接触面205は、トレイ底部205eの下方を向くように形成されている。その他の構成は、第4の実施の形態で説明したとおりである。
【0176】
図25(A)は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に途中まで挿入された状態を示す図である。
図25(B)は、
図25(A)に示した状態から、媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31にさらに挿入された状態を示す図である。
【0177】
図25(A)に示すように、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31に途中まで挿入され、所定の位置に到達していない状態では、ロックピース214は、その揺動範囲の下限位置にあり、媒体トレイ105の接触面205cから離間している。この状態では、媒体ガイド207,208の移動は規制されない。
【0178】
一方、
図25(B)に示すように、媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31内の所定の位置まで到達すると、媒体搬送装置30の本体底部150に形成されたリブ151(斜面部152を含む)がロックピース214を上方向へ押し上げ、ロックピース214の摩擦接触部214aが媒体トレイ205の接触面205cに押し付けられる。
【0179】
ロックピース214の摩擦接触部214aは、僅かに圧縮されて反発力(弾性力)を発生し、接触面205cとの間に摩擦力が発生する。これにより、媒体ガイド208が移動不能に係止される。また、ピニオンギア113(
図17)等を介して媒体ガイド208と連動する媒体ガイド207も、移動不能に係止される。
【0180】
以上説明したように、この第5の実施の形態では、ロックピース214の摩擦接触部214aと、媒体トレイ205の接触面205cとの摩擦力を利用して、媒体ガイド207,208が移動不能に係止される。そのため、媒体ガイド207,208を任意の位置で係止することができる。また、第4の実施の形態で説明した爪部を利用した場合のような媒体ガイドの微小な位置ずれ(
図22参照)も防止することができる。
【0181】
なお、ここでは、ロックピース214に高摩擦部材からなる摩擦接触部214aを設け、媒体トレイ205の接触面205cに接触させるようにしたが、逆に、媒体トレイ205の接触面205cに高摩擦部材からなる摩擦接触部を設け、(摩擦接触部を有さない)ロックピース214の表面に接触させるようにしてもよい。
【0182】
第6の実施の形態.
本発明の第6の実施の形態について説明する。
図26(A)は、第6の実施の形態における媒体トレイ205を示す斜視図である。
図26(B)は、媒体カセット100が媒体搬送装置30の本体31の所定の位置まで挿入された状態を示す断面図である。なお、第5の実施の形態で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付す。
【0183】
図26(A)に示すように、この第6の実施の形態では、媒体トレイ205のスリット205bの長手方向に沿って、下方に突出するガイドリブ205dが形成されている。
図26(B)に示すように、ガイド部材としてのガイドリブ205dは、ロックピース214のX方向両側(
図24(A))に下方から当接することにより、ロックピース214がガイドリブ205dよりも下方に突出しないように保持している。
【0184】
なお、媒体搬送装置30の本体底部150のリブ151(
図25参照)がロックピース214に当接することを妨げないよう、リブ151に対向する位置(すなわちロックピース214のX方向中央に対応する位置)にはガイドリブ205dは形成されていない。
【0185】
そのため、媒体カセット100を媒体搬送装置30の本体31に対して着脱する際、または媒体カセット100を取り出してテーブルなどに置いて媒体ガイド207,208を移動させる際に、誤ってロックピース214を上方向に押し、媒体ガイド207,208を係止してしまうことが防止される。
【0186】
以上説明したように、この第6の実施の形態によれば、ロックピース214を保持するガイドリブ205dを設けたため、意図せずに媒体ガイド207,208を規制してしまうことを防止することができる。そのため、操作性を向上することができる。
【0187】
なお、この第6の実施の形態で説明したガイドリブ205dは、第4の実施の形態で説明した媒体トレイ205のスリット205b(
図18(B))の両側に設けてもよい。
【0188】
上述した第1〜第6の実施の形態および各変形例は、必要に応じて、適宜組み合わせて用いることができる。
【0189】
また上述した第1〜第6の実施の形態および各変形例では、画像形成装置としてのプリンタに備えられた媒体搬送装置について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、媒体カセットを直接備えた画像形成装置等に適用してもよい。
【0190】
また、画像形成部410におけるプロセスユニット430として、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の4色を画像形成すると説明したが、形成する画像の色(印字色)、プロセスユニットの数や配置、画像形成の方式等は、上述した例に限定されるものではない。
【0191】
また、本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に適用できるほか、媒体搬送装置を備えたものであれば、画像形成装置以外の装置、例えば自動原稿読み取り装置等にも適用することができる。