特許第5727466号(P5727466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5727466基板用容器貯蔵システムと相互作用する一体システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727466
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】基板用容器貯蔵システムと相互作用する一体システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20150514BHJP
   B65G 1/133 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   H01L21/68 T
   B65G1/133 A
【請求項の数】26
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2012-511921(P2012-511921)
(86)(22)【出願日】2010年5月14日
(65)【公表番号】特表2012-527775(P2012-527775A)
(43)【公表日】2012年11月8日
(86)【国際出願番号】US2010035038
(87)【国際公開番号】WO2010135205
(87)【国際公開日】20101125
【審査請求日】2013年5月14日
(31)【優先権主張番号】61/216,570
(32)【優先日】2009年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/332,802
(32)【優先日】2010年5月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505047094
【氏名又は名称】ブルックス オートメーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】ボノーラ アンソニー シー
(72)【発明者】
【氏名】グールド リチャード エイチ
(72)【発明者】
【氏名】クロラック マイケル
【審査官】 佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−010009(JP,A)
【文献】 特開2008−160076(JP,A)
【文献】 特表2008−546180(JP,A)
【文献】 特表2005−530361(JP,A)
【文献】 特開2004−307125(JP,A)
【文献】 特開2009−094460(JP,A)
【文献】 特開2008−222346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67−21/687
B65G 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵システムであって、
処理すべき基板を取扱うために用いられるツールの高さよりも高い高さに位置決めされた貯蔵システム組立体を有し、前記貯蔵システムは、前記ツールによって処理される前又は処理された後の基板用の1つ又は2つ以上の容器を局所的に貯蔵するように構成され、 前記貯蔵システム組立体は、
(a)フレームと、
(b)前記フレームに結合されたベースプレートと、を含み、前記ベースプレートは、駆動プーリ、アイドラープーリ、ベルト、軌道、及びモータの下に位置し、
(c)さらに、複数の貯蔵棚を含み、前記複数の貯蔵棚は、前記ベースプレートの上での水平方向移動のために整列し、前記複数の貯蔵棚の各々は、容器を支持する棚特徴部を備えた棚プレートを有し、前記複数の貯蔵棚の各々は、前記ベルトに結合されて移動可能であり、前記軌道に結合されて1つ又は2つ以上の位置まで案内され、
(d)さらに、前記貯蔵システム組立体のフレームに連結されたアクティブポート組立体を含み、前記アクティブポート組立体は、前記軌道に沿う位置のうちの1つに位置決めされたポートプレートを有し、且つ、水平方向移動組立体を含み、前記水平方向移動組立体は、前記フレームの外側の延長位置及び前記フレームの内側の引込み位置を定め、
)さらに、前記貯蔵システム組立体による貯蔵を水平方向に延長させるために、前記貯蔵システム組立体の前記フレームの1つの側に所定の向き配置された静止棚を含み、
前記モータは、前記ベルトを移動させるように前記駆動プーリに結合され、前記複数の貯蔵棚の各々は、前記軌道に沿って前記1つ又は2つ以上の位置まで一緒に移動し、前記軌道は、少なくとも幾つかの直線部分と幾つかの非直線部分を有し、前記直線部分及び非直線部分は、前記ベースプレートの上方でループをなすように配置される、貯蔵システム。
【請求項2】
前記静止棚は、前記容器の1つを保持するための棚特徴部を有する、請求項1に記載の貯蔵システム。
【請求項3】
前記静止棚は、前記軌道の外側に位置決めされる、請求項1に記載の貯蔵システム。
【請求項4】
前記静止棚は、前記貯蔵システム組立体のフレームに結合される、請求項1に記載の貯蔵システム。
【請求項5】
前記貯蔵システム組立体のフレームは、前記ツールの組立体のフレームにその上方で結合され、前記ツールは、ロードポート棚を有する少なくとも1つのロードポートであり、前記ロードポート棚は、1つ又は2つ以上の基板処理ツールと相互作用し、
前記ロードポート棚及び前記静止棚は、同じ方向に延びる、請求項1に記載の貯蔵システム。
【請求項6】
前記静止棚、前記ロードポート棚、及び前記貯蔵棚の各々は、前記貯蔵システム組立体の上方で所定の向きに配置されたオーバーヘッド移送車にアクセス可能である、請求項5に記載の貯蔵システム。
【請求項7】
さらに、前記貯蔵システム組立体の上方に所定の向きに配置された水平方向軌道と、
前記水平方向軌道に沿って移動させることができるよう前記水平方向軌道に連結された移送ホイストと、を有し、前記移送ホイストは、前記静止棚及び前記ロードポート棚の方向に前記貯蔵システム組立体から遠ざかるように延び、前記移送ホイストは、
(i)容器を前記静止棚から持上げ又はそれに置くように、又は、
(ii)容器を前記ロードポート棚から持上げ又はそれに置くように、又は、
(iii)容器を前記静止棚及び前記ロードポート棚から持上げ又はそれらに置くように、又は、
(iv)容器を前記貯蔵システム組立体のポートプレート、前記静止棚、又は前記ロードポート棚から持上げ又はそれに置くように構成される、請求項5に記載の貯蔵システム。
【請求項8】
さらに、オーバーヘッド移送車(OHT)を有し、前記オーバーヘッド移送車は、前記移送ホイスト、前記静止棚、前記ポートプレート、前記貯蔵棚、及び前記ロードポート棚の上方に位置決めされる、請求項7に記載の貯蔵システム。
【請求項9】
(i)前記オーバーヘッド移送車(OHT)は、前記貯蔵システム組立体の上方で軌道に連結され、
(ii)前記移送ホイストの水平方向軌道は、前記オーバーヘッド移送車(OHT)の軌道の下方に所定の向きに配置され、
(iii)前記貯蔵棚、前記ポートプレート、及び前記静止棚は、前記移送ホイストの下方に所定の向きに配置され、且つ
(iv)前記ロードポート棚は、前記貯蔵棚、前記ポートプレート、及び前記静止棚の下方に所定の向きに配置され、
上記(i)〜(iv)の各々は、床を備えた部屋の中で行われ、前記ツールは、前記床の上に設置される、請求項に記載の貯蔵システム。
【請求項10】
前記静止棚は、前記貯蔵システム組立体の2つ以上の側に連結可能であり、前記静止棚の1つ又は2つ以上は、前記貯蔵システム組立体に一度に連結可能である、請求項1に記載の貯蔵システム。
【請求項11】
貯蔵システムであって、
(a)処理すべき基板を取扱うために用いられるツールの高さよりも高い高さに位置決めされた貯蔵システム組立体を有し、前記貯蔵システムは、前記ツールによって処理される前又は処理された後の基板用の1つ又は2つ以上の容器を局所的に貯蔵するように構成され、
前記貯蔵システム組立体は、
(i)フレームと、
(ii)前記フレームに結合されたベースプレートと、を含み、前記ベースプレートは、駆動プーリ、アイドラープーリ、ベルト、軌道、及びモータの下に位置し、
(iii)さらに、複数の貯蔵棚を含み、前記複数の貯蔵棚の各々は、容器を支持する棚特徴部を備えた棚プレートを有し、前記ベルトに結合されて移動可能であり、前記軌道に結合されて1つ又は2つ以上の位置まで案内され、
前記モータは、前記ベルトを移動させるように前記駆動プーリに結合され、前記複数の貯蔵棚の各々は、前記軌道に沿って前記1つ又は2つ以上の位置まで一緒に移動し、前記軌道は、少なくとも幾つかの直線部分と幾つかの非直線部分を有し、前記直線部分及び非直線部分は、前記ベースプレートの上方でループをなすように配置され、
(iv)さらに、前記貯蔵システム組立体のフレームに連結されたアクティブポート組立体を含み、前記アクティブポート組立体は、前記軌道に沿う位置のうちの1つに位置決めされたポートプレートを有し、且つ、水平方向移動組立体を含み、前記水平方向移動組立体は、前記フレームの外側の延長位置及び前記フレームの内側の引込み位置を定め、
前記貯蔵システムは、
(b)さらに、前記ツールの1つの側に所定の向きに配置された手動ロードステーションを有し、前記手動ロードステーションは、容器と相互作用する手動ロード棚を有する、貯蔵システム。
【請求項12】
さらに、前記貯蔵システム組立体の上方に所定の向きに配置された水平方向軌道と、
前記水平方向軌道に沿って且つ前記手動ロードステーションの手動ロード棚の上方で移動させることができるように前記水平方向軌道に連結された移送ホイストと、を有する、請求項11に記載の貯蔵システム。
【請求項13】
前記移送ホイストは、容器を前記手動ロード棚から持上げ又それに置くように構成される、請求項12に記載の貯蔵システム。
【請求項14】
前記移送ホイストは、容器を前記手動ロード棚、前記ポートプレート、又は前記ツールのロードポート棚から持上げ又はそれに置くように構成される、請求項11に記載の貯蔵システム。
【請求項15】
前記アクティブポート組立体は、さらに、ポート特徴部を備えた前記ポートプレートに結合された垂直方向移動組立体を含み、前記垂直方向移動組立体は、上位置及び下位置を定め、前記水平方向移動組立体は、前記垂直方向移動組立体に結合され、
引込み位置にある前記ポートプレートは、それが下位置にあるとき、前記棚プレートのうちの1つの下方に位置し、
引込み位置にある前記ポートプレートは、それが上位置にあるとき、前記棚プレートのうちの1つの上方に位置する、請求項11に記載の貯蔵システム。
【請求項16】
前記ベルトは、リンク付きチェーン又は成形ベルトの一方であり、前記駆動プーリ及び前記アイドラープーリは、スプロケット又はディスクの一方である、請求項11に記載の貯蔵システム。
【請求項17】
貯蔵システムであって、
(a)処理すべき基板を取扱うために用いられるツールの高さよりも高い高さに位置決めされた貯蔵システム組立体を有し、前記貯蔵システムは、基板用の1つ又は2つ以上の容器を局所的に貯蔵するよう構成され、
前記貯蔵システム組立体は、
(i)複数の貯蔵棚を含み、前記複数の貯蔵棚は、ベースプレートの上での水平方向移動のために整列し、前記複数の貯蔵棚の各々は、容器を支持する棚特徴部を備えた棚プレートを有し、ベルトに結合されて水平方向移動可能であり、レールに結合されて1つ又は2つ以上の位置まで案内され、
(ii)さらに、前記貯蔵システム組立体のフレームに連結されたアクティブポート組立体を含み、前記アクティブポート組立体は、前記レールに沿う位置のうちの1つに位置決めされたポートプレートを有し、且つ、水平方向移動組立体を含み、前記水平方向移動組立体は、前記フレームの外側の延長位置及び前記フレームの内側の引込み位置を定め、
iii)さらに、前記ベルトを移動させるように駆動プーリに結合されたモータを含み、前記複数の貯蔵棚の各々は、前記レールに沿って前記1つ又は2つ以上の位置まで一緒に移動し、前記レールは、少なくとも幾つかの直線部分と幾つかの非直線部分を有し、前記直線部分及び非直線部分は、ループをなすように配置され、
前記貯蔵システムは、
(b)さらに、前記貯蔵システム組立体による貯蔵を水平方向に延長させるために、前記貯蔵システム組立体の1つの側に結合された静止棚を有する、貯蔵システム。
【請求項18】
前記貯蔵システム組立体のフレームは、前記ツールの組立体のフレームにその上方で結合され、前記ツールは、ロードポート棚を有する少なくとも1つのロードポートであり、前記ローポート棚は、1つ又は2つ以上の基板処理ツールと相互作用し、
前記ロードポート棚及び前記静止棚は、同じ方向に延びる、請求項17に記載の貯蔵システム。
【請求項19】
前記静止棚、前記ロードポート棚、及び前記貯蔵棚の各々は、前記貯蔵システム組立体の上方に所定の向きに配置されたオーバーヘッド移送車(OHT)にアクセス可能である、請求項18に記載の貯蔵システム。
【請求項20】
さらに、前記貯蔵システム組立体の上方に所定の向きに配置された水平方向軌道と、
前記水平方向軌道に沿って移動させることができるように前記水平方向軌道に連結された移送ホイストと、を有し、前記移送ホイストは、前記静止棚及び前記ロードポート棚の方向に前記貯蔵システム組立体から遠ざかるように延び、前記移送ホイストは、
(i)容器を前記静止棚から持上げ又はそれに置くように、又は、
(ii)容器を前記ロードポート棚から持上げ又はそれに置くように、又は、
(iii)容器を前記静止棚及び前記ロードポート棚から持上げ又はそれらに置くように、又は、
(iv)容器を前記貯蔵システム組立体のポートプレート、前記静止棚、又は前記ロードポート棚から持上げ又はそれに置くように構成される、請求項18に記載の貯蔵システム。
【請求項21】
前記ベルトは、リンク付きチェーン又は成形ベルトの一方であり、前記駆動プーリは、スプロケット又はディスクの一方である、請求項17に記載の貯蔵システム。
【請求項22】
貯蔵システムであって、
(a)処理すべき基板を取扱うために用いられるツールの高さよりも高い高さに位置決めされた貯蔵システム組立体を有し、前記貯蔵システムは、基板用の1つ又は2つ以上の容器を局所的に貯蔵するように構成され、
前記貯蔵システム組立体は、
(i)複数の貯蔵棚を含み、前記複数の貯蔵棚は、水平方向移動のために整列し、前記複数の貯蔵棚の各々は、容器を支持する棚特徴部を備えた棚プレートを有し、ベルトに結合されて水平方向移動可能であり、ベースプレートの上に配置されたレールに結合されて1つ又は2つ以上の位置まで案内され、
(ii)さらに、前記貯蔵システム組立体のフレームに連結されたアクティブポート組立体を含み、前記アクティブポート組立体は、前記軌道に沿う位置のうちの1つに位置決めされたポートプレートを有し、且つ、水平方向移動組立体を含み、前記水平方向移動組立体は、前記フレームの外側の延長位置及び前記フレームの内側の引込み位置を定め、
iii)さらに、前記ベルトを移動させるように駆動プーリに結合されたモータを含み、前記複数の貯蔵棚の各々は、前記レールに沿って前記1つ又は2つ以上の位置まで一緒に移動し、前記レールは、少なくとも幾つかの直線部分と幾つかの非直線部分を有し、前記直線部分及び非直線部分は、ループをなすように配置され、
前記貯蔵システムは、
(b)さらに、前記貯蔵システム組立体の上方で且つ1つ又は2つ以上のツールの上方で所定の向きに配置された水平方向軌道と、
(c)前記1つ又は2つ以上のツールの上方で前記水平方向軌道に沿って移動させることができるように前記水平方向軌道に連結された移送ホイストと、を有し、前記移送ホイストは、容器を持上げたり置いたりするように構成される、貯蔵システム。
【請求項23】
貯蔵システムであって、
(a)処理すべき基板を取扱うために用いられるツールの高さよりも高い高さに位置決めされた貯蔵システム組立体を有し、前記貯蔵システムは、フレームを有し、基板用の1つ又は2つ以上の容器を局所的に貯蔵するように構成され、
前記貯蔵システム組立体は、
(i)複数の貯蔵棚を含み、前記複数の貯蔵棚は、水平方向移動のために整列し、前記複数の貯蔵棚の各々は、容器を支持する棚特徴部を備えた棚プレートを有し、ベルトに結合されて水平方向移動可能であり、ベースプレートの上に配置されたレールに結合されて1つ又は2つ以上の位置まで案内され、
(ii)さらに、前記貯蔵システム組立体のフレームに連結されたアクティブポート組立体を含み、前記アクティブポート組立体は、前記軌道に沿う位置のうちの1つに位置決めされたポートプレートを有し、且つ、水平方向移動組立体を含み、前記水平方向移動組立体は、前記フレームの外側の延長位置及び前記フレームの内側の引込み位置を定め、
iii)さらに、前記ベルトを移動させるように駆動プーリに結合されたモータを含み、前記複数の貯蔵棚の各々は、前記レールに沿って前記1つ又は2つ以上の位置まで一緒に移動し、前記レールは、少なくとも幾つかの直線部分と幾つかの非直線部分を有し、前記直線部分及び非直線部分は、ループをなすように配置され、
前記貯蔵システムは、
(c)さらに、前記貯蔵システム組立体による貯蔵を水平方向に延長させるために、前記貯蔵システム組立体の側方に所定の向きに配置されたコンベヤと、
(d)前記貯蔵システム組立体の上方で且つ前記コンベヤの一部の上方で所定の向きに配置された水平方向軌道と、
(e)前記コンベヤの前記一部の上方で前記水平方向軌道に沿って移動させることができるように前記水平方向軌道に連結された移送ホイストと、を有し、前記移送ホイストは、容器を持上げたり置いたりするように構成される、貯蔵システム。
【請求項24】
さらに、オーバーヘッド移送車(OHT)を有し、前記オーバーヘッド移送車は、前記移送ホイスト及び前記コンベヤの上方に位置決めされる、請求項23に記載の貯蔵システム。
【請求項25】
前記貯蔵システム組立体は、オーバーヘッド移送車(OHT)の下方に位置決めされる、請求項24に記載の貯蔵システム。
【請求項26】
前記オーバーヘッド移送車(OHT)は、容器を前記貯蔵棚、ポートプレート、前記コンベヤ、又は前記ツールのロードポート棚のうちの1つから直接配送し又は取出すことが可能である、請求項25に記載の貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体ウェーハ用容器を半導体製造設備(fab;ファブ)内に貯蔵するいくつかの方法がある。大型の集中型ストッカは、ウェーハが処理のために必要とされるまでウェーハ用容器を貯蔵することができ、ウェーハ用容器を入力ポートのところで自動式材料ハンドリングシステム(AMHS)と呼ばれている移送システムから受取る。一般に、AMHSは、工場内の任意のコンピュータ制御システムであり、加工物を、作業ステーション同士の間で及び作業ステーションと貯蔵ステーションとの間で移動させる。ファブ内において、AMHSは、ウェーハ用容器及び空の容器を、プロセス機器、計測機器、及びストッカとの間で移動させる。ウェーハのための処理が必要とされるとき、ウェーハは、ロボット機構(ストッカロボット)によってこれらの貯蔵棚からこれらの容器内に取出され、ストッカに設けられている出力ポートに送られ、AMHSによって持上げられ、所望の処理ステーションに配送される。ストッカロボットは、典型的には、静止貯蔵棚の壁の間に広いスペースを必要とする。このスペースにより、ストッカロボット及びその容器ペイロードの動作隙間及び移動を考慮に入れると必要である。また、人間のオペレータが容器を手作業でストッカに配送したりこれから取出したりすることができる1つ又は2つ以上のポートが設けられる場合がある。
【0002】
容器の貯蔵分布状態を良好にするため、小型ストッカがファブの処理ベイ内に配置される場合があり、容器は、かかる処理ベイ内において、容器に関する次の処理ステーションの近くに貯蔵できるので、これら容器に関する次の処理作業が必要な場合、容器の配送時間が減少すると共に容器の移動距離が短くなる。また、小型ストッカを分布して配置することにより、大型ストッカのところでのAMHS交通渋滞及び大型ストッカのところでの単一ストッカロボットの処理量の制約の問題が軽減されるが、小型ストッカの分布状態及び使用には欠点がある。小型ストッカは、大型ストッカの構成要素を依然として有し、かかる要素は、ストッカロボット及びその動作隙間スペース、制御装置及び入力/出力ポートを含む。この重複により、分布して配置された小型ストッカは、貯蔵場所の全体数が同じである場合、大型ストッカよりもコスト高になる。ファブの中には、半導体を処理し、測定し又は取扱う機器(「ツール」)の平行な通路(「ベイ」)を備えた構造のものがある。また、多数の小型ストッカがツールに隣接した各ベイ内に配置された場合、小型ストッカの貯蔵密度の減少及びストッカ及びツールの周りに必要な接近隙間に起因して、ファブの貯蔵要件のために用いられるフロアスペースの増大が生じる。フロアスペースは、ファブ内において極めて貴重であり、その理由は、かかるフロアスペースは、製品を製造する処理ツールのために用いられ、従って、貯蔵機能のためのフロアスペースの使用を最小にすることが望ましいからである。
【0003】
したがって、簡単且つ安価であり、最小のフロアスペースを用いる一方で、処理ツールの近くで容器の高密度貯蔵を可能にする容器貯蔵システムが要望されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一観点は、容器を水平方向面内に貯蔵するコンパクト且つ簡単なシステムである。容器は、ループ状に循環可能な貯蔵棚の上に貯蔵される。
【0005】
本発明の別の観点は、フロアスペースを利用しない貯蔵システムを提供することにある。このシステムは、床設置型設備及びツールの上方に設置可能である。場合によっては、ツールの幾つかの部分は、貯蔵システムの上方にあるが、貯蔵システムは、依然としてツールの主機能部分の上方に位置することになろう。例えば、ツールが1つ又は2つ以上のロードポートである場合、貯蔵システムは、ツールのある構成要素が貯蔵システムの上方に位置する場合であっても、依然としてツールの「上方」に配置されることになろう。「上方」という用語は、一般に、ツール、例えばツールの機能部分の高さよりも高い高さにあると理解すべきである。このように、貯蔵システムは、貯蔵システムがツールよりも高い高さ位置にある限り、ツールの真上に位置する(例えば、整列する)かツールの真上には位置しない(例えば、整列しない)かのいずれであってもよい。本明細書で用いられる「高さ」という用語は、基準面に対して測定されるのがよい。「基準面」は、1つの実施形態では、部屋、例えばクリーンルーム、工場又は実験室のフロアである。
【0006】
本発明の別の観点は、床設置型施設及びツールへの接近を邪魔しない貯蔵システムを提供することにある。このシステムは、ツール相互間に設置可能であるが、保守及び作業のためのツールの側部への妨げられない状態での接近を可能にするツール上方の高さに設置可能である。
【0007】
本発明の別の観点は、ストッカロボットに必要な広い隙間スペースをなくしたことにより従来のストッカよりも高い容器貯蔵密度を有する貯蔵システムを提供することにある。
【0008】
本発明の別の観点は、ファブのAMHSと相互作用することができる貯蔵システムを提供することにある。
【0009】
本発明の別の観点は、貯蔵容器に高速で接近する貯蔵システムを提供することにある。
【0010】
本発明の別の観点は、貯蔵容器への接近の際の遅延を減少させ且つAMHSへの融通性のある相互作用を提供することができるアクティブポートを備えた貯蔵システムを提供することにある。
【0011】
本発明の別の観点は、アクティブポートが引込められているときに、オーバーヘッド移送車(OHT)を介して、下方に位置するロードポートへの妨げのない接近を行うアクティブポートを備えた貯蔵システムを提供する。
【0012】
本発明の別の観点は、多数のレベル又は高さに位置する複数の貯蔵棚を備えた貯蔵システムを提供することにある。各レベルの貯蔵システムは、貯蔵棚をループに沿って循環させ、1つ又は2つ以上のアクティブポートを有する。
【0013】
本発明のさらに別の観点は、ツールによって使用される容器の局所的な貯蔵を行うために、ツールの上方に設置することができる貯蔵システムを提供することにある。
【0014】
本発明のさらに別の観点は、AMHSの助けなしに、容器を貯蔵システムとツールの間で搬送するアクティブポート、及びホイスト又は他の機構を用いる貯蔵システムを提供することにある。
【0015】
本発明のさらに別の観点は、容器を貯蔵システムとツールとの間で移送するアクティブポート及びホイスト又はその他の機構を用いると共に、AMHSが容器をツールに配送し且つそれから取出すことが依然としてできる貯蔵システムを提供することにある。
【0016】
1つの実施形態では、貯蔵システム及びそれを作動させる方法を開示する。貯蔵システムは、処理すべき基板を載せたり下ろしたりするために用いられ且つツールの高さよりも高い高さに位置決めされた貯蔵システム組立体を有する。貯蔵システムは、基板用の1つ又は2つ以上の容器を局所的に貯蔵する。貯蔵システム組立体は、複数の貯蔵棚を含み、複数の貯蔵棚の各々は、容器を支持する棚特徴部を備えた棚プレートを有する。複数の貯蔵棚の各々は、チェーンに結合されて水平方向移動可能であり、レールに結合されて1つ又は2つ以上の位置まで案内される。モータが、チェーンを移動させる駆動スプロケットに結合され、複数の貯蔵棚の各々は、1つ又は2つ以上の位置までレールに沿って一緒に移動する。レールは、少なくとも幾つかの直線部分と、幾つかの非直線部分を有し、直線部分及び非直線部分は、ループをなすように配置される。
【0017】
貯蔵システムの例示の形態は、貯蔵棚、ホイストのために延長された水平方向軌道、貯蔵システム組立体のレベルに設けられたコンベヤ、及び手動ロードステーションのうちの1つ又は2つ以上を含む。したがって、延長された水平方向軌道を有するホイストは、手動ロードステーションと相互作用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】アクティブポートを含む本発明の平面図である。
図2】湾曲した案内レールと支持台車の平面図である。
図3】レールと支持台車の側面図である。
図4】アクティブポートなしの本発明の平面図である。
図5】アクティブポートなしの本発明の別の図である。
図6】オーバーヘッド移送(OHT)型のAMHSに設置された本発明の図である。
図7】アクティブポートを引込めた貯蔵棚の側面図である。
図8】アクティブポート機構の1つの位置を示す図である。
図9】アクティブポート機構の別の位置を示す図である。
図10】アクティブポート機構の別の位置を示す図である。
図11】アクティブポート機構の別の位置を示す図である。
図12】アクティブポートを含む本発明の図である。
図13】アクティブポートを含む本発明の側面図である。
図14】移送ホイストとアクティブポートを含む本発明の図である。
図15】移送ホイストとアクティブポートを含む本発明の側面図である。
図16】本発明の移送ホイストの図である。
図17】本発明の移送ホイストの別の図である。
図18】多数の貯蔵レベルを有する本発明の別の図である。
図19A】アクティブポートとOHTの形態を示す本発明の平面図である。
図19B】アクティブポートとOHTの形態を示す本発明の平面図である。
図20A】AMHSを備えた本発明の形態の側面図である。
図20B】AMHSを備えた本発明の形態の側面図である。
図20C】AMHSを備えた本発明の形態の側面図である。
図21A】AMHSを備えた本発明の側面図である。
図21B】AMHSを備えた本発明の側面図である。
図21C】AMHSを備えた本発明の側面図である。
図22】従来のストッカによって使用されるフロアスペースの平面図である。
図23】本発明の1つの実施形態に必要な縮小されたスペースの平面図である。
図24】本発明に従って延長された軌道及びホイストが手動ロードステーションと相互作用する実施形態を示す図である。
図25】本発明に従って静止棚が貯蔵システム組立体に結合された実施形態を示す図である。
図26】本発明による図25の例の側面図である。
図27】本発明に従って延長された軌道が2つ以上のツールを跨ぐ実施形態を示す図である。
図28】本発明に従ってコンベヤが貯蔵システム組立体に結合された実施形態を示す図である。
図29】本発明に従ってコンベヤが貯蔵システム組立体に結合された実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態の説明は、ファブ内における半導体ウェーハの貯蔵のためのFOUP(フロント開放式統一ポッド)の使用に関するが、本発明は、FOUP及び/又は半導体製造に限定されない。本発明の説明の目的上、他の実施例は、ウェーハ容器(壁付き又は壁なし)、基板容器(壁付き又は壁なし)、カセット、フラットパネルディスプレイカセット、SMIFポッド(標準機械式インターフェースポッド)、レチクルポッド、又は基板を支持する任意の構造体を含み、構造体は、単一の基板を支持するか、多数の基板を支持するかに関わらず、包囲容器内に位置しているか、外部環境に対して開かれているかに関わらない。
【0020】
本発明の1つの実施形態を図1に示す。貯蔵システム100は、6つの可動貯蔵棚110a〜110fを有している。各貯蔵棚は、駆動チェーン111のリンクに取付けられた垂直方向ピンを介して駆動チェーン111に連結されている。垂直方向ピンは、貯蔵棚組立体の下面に設けられたスロットと係合又は嵌合し、スロットは、チェーン移動方向に対して垂直に差し向けられ、垂直方向ピンが拘束されることなしに回転し且つ摺動することを可能にするのに十分大きい。貯蔵棚の水平方向移動は、レール112によって案内され、レール112は、棚組立体の下の支持台車に係合している。レール112は、真直ぐな部分112aと湾曲した部分112bを有している。駆動チェーン111が移動するとき、駆動チェーン111は、スロット内での垂直方向ピンのスロットとの係合又は嵌合によって貯蔵棚を引き、レール及び支持台車は、貯蔵棚を、レール112の真直ぐな部分112aと湾曲した部分112bからなる長円形形態を1周する拘束経路上に保つ。軌道の形態は、「長円形」である必要はなく、多くの形態が可能であることを理解すべきである。1つの実施形態では、ループを定める形態であればどのような形態でもよく、ループは、幾つかの直線部分と幾つかの非直線部分を有する。したがって、長円形の例示形態は、1つの例に過ぎない。
【0021】
貯蔵棚と駆動チェーンを係合又は嵌合させる他の方法がある。例えば、孔又はスロットを備えた金属板ブラケットを駆動チェーンに締結してもよい。ブラケットの孔又はスロットは、貯蔵棚に設けられた固定ピン又は他の特徴部に係合又は嵌合する。任意その他の形式の係合又は嵌合ハードウェアが許容されるが、かかる係合又は嵌合ハードウェアが、駆動チェーンと貯蔵棚との間の十分な自由度を提供し、且つ、貯蔵棚を駆動チェーンで引くことができることを条件とする。
【0022】
この実施形態は、駆動手段としてスプロケット及び駆動チェーンを用いているが、他の駆動構成要素が市販されており、変形例としてこれらを用いてもよい。変形例の駆動装置は、限定するわけではないが、タイミングベルト及びプーリ、プラスチックチェーン及びスプロケット、又はスチールベルト及びプーリを含む。プーリは、プラスチックディスクであってもよく、ベルトは、プラスチックベルト、ゴムベルト、滑らかなベルト、リブ付きベルト、ペブル付きベルト、連続ベルト、部分化ベルト等であってもよい。さらに別の実施形態では、ベルト及びプーリは、ベースプレート129の下方に配置されてもよいし、埃を減らすために別の部屋の中に配置されてもよい。
【0023】
図1の貯蔵システムは、貯蔵棚をループ内で移動させる。ループは、貯蔵棚のための連続案内経路であり、貯蔵棚は、任意の方向に繰返し移動される。例えば、貯蔵棚110aが図1に示す位置からスタートし、駆動スプロケットを反時計回り方向に回転させると、貯蔵棚110aは、貯蔵棚110b〜110fとして示す位置を通り、最後に、図示のように元のスタート位置に戻る。この場合、全ての貯蔵棚が同じ方向にいっせいに移動することになり、全ての貯蔵棚が同時に移動しなければならない。1つの貯蔵棚は、ループ内の全ての貯蔵棚が移動することなしに、移動することはできない。図1に示すループは、長円形に近いが、ループは、任意の形状のものであってよく、両方向に移動するループを有していてもよい。
【0024】
モータ113は、タイミングベルト(図示せず)を介して駆動スプロケット114を回転させ、タイミングベルトは、モータ113を駆動スプロケット114の横に取付けることを可能にする。変形例として、モータは、ギヤヘッドを有してもよいし、駆動スプロケットの中心に直接結合されてもよい。モータを駆動スプロケットに結合する他の方法が当該技術において知られており、それを変形例として用いてもよい。この実施形態では、モータ113は、光学式エンコーダ等の位置測定装置によるフィードバックなしに、所望の位置に動くステップモータであるが、回転エンコーダ付きのブラシレスDCサーボモータ等の他の種類のモータを用いてもよい。ステップモータは、その電気的位相の所定数の小さい増分によって、所望の位置まで動く。このように、ステップモータは、位置測定装置によるフィードバックなしに、所定位置まで正確に動く。ブラシレスDCサーボモータは、運動の軌跡を制御し且つ所望の位置で停止するために、光学式回転エンコーダ等のフィードバック装置を用いる。
【0025】
駆動チェーン111は、駆動スプロケット114とアイドラースプロケット115の両方に巻かれている。ベースプレート129は、システム構成要素を取付けるための支持構造体である。駆動スプロケット114及びアイドラースプロケット115は、その中心にベアリング組立体を有し、このベアリング組立体は、スプロケット114、115を自由に回転できるようにベースプレート129に連結する。モータ113は、モータマウント116と一緒にベースプレートに連結されている。
【0026】
ベースプレート129は、連続中実プレートとして示されているが、システム構成要素を支持することができる任意の平板構造体を意味する。例えば、ベースプレートは、多数のプレートで作られていてもよいし、折り曲げられた金属板で作られていてもよいし、フレームによって支持された金属板で作られていてもよいし、フレーム部材の格子構造体で作られていてもよい。ベースプレートは、ファブのクリーンルーム内の垂直方向空気流を許す実質的な空き領域を有するのがよい。
【0027】
モータ113は、制御回路(図示せず)に電気的に接続されている。この実施形態では、制御回路は、ステップモータ用アンプ及びマイクロプロセッサ搭載コントローラである。ステップモータ用アンプは、モータワイヤに接続され、マイクロプロセッサ搭載コントローラからの制御信号に応答して、モータを回転させる駆動電力を供給する。マイクロプロセッサ搭載コントローラは、モータの運動軌跡及び位置を制御する一連のプログラム指示を実行し、外部システムと相互作用し、外部システムは、例えば、ファブ制御システム、ツール制御システム、貯蔵棚を移動させるべきであるかどうか及び貯蔵棚を移動させる仕方を決定するオペレータインターフェースである。
【0028】
モータを制御する他の変形例の制御回路、例えば、プログラマブルロジックコントローラー(PLC)、モータアンプを搭載したパーソナルコンピュータ(PC)、マイクロプロセッサと一体形モータ駆動回路を備えたカスタム設計埋め込み制御PC基板を用いてもよい。
【0029】
別の変形例は、2つのコントローラを有し、一方のコントローラは、それ自体のプログラムシーケンスで、モータを制御し、他方のコントローラは、それ自体のプログラムシーケンスで、外部システムと相互作用する。2つのコントローラは、その作動をシリアル又はパラレルの通信ラインを介して統合させる。任意の数の別々のコントローラに分けられた制御部を有することが可能であるが、単一のプログラムシーケンスを実行する1つのマイクロプロセッサ搭載コントローラを有することが、貯蔵システム全体を制御する最も簡単なやり方である。
【0030】
制御回路は、種々の方法を用いて、外部システムと相互作用することができる。例えば、制御回路は、ストッカインターフェースのためのSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)のE88標準に準拠したイーサネット(登録商標)を用いて、ファブ制御ネットワークと通信可能である。変形例として、制御回路は、イーサネット(登録商標)又はRS232タイプのシリアル通信を用いて、ファブ又はツール制御システムと通信可能である。制御回路は、1組のパラレル信号ラインを介して、外部システムとも通信可能である。ファブに用いられる通信の種類は、様々であり、本発明は、制御アーキテクチャ又はファブの要望に応じて、種々の形式を具体化することができた。
【0031】
図1はまた、引込み位置にあるアクティブポート117、118を示す。アクティブポート117、118は、FOUPを貯蔵棚に載せること又はFOUPを貯蔵棚から下ろすことの何れかに用いられる機構である。アクティブポートは、引込み位置又は延長位置まで水平方向に移動することができる。アクティブポートはまた、ポートプレート119を上位置又は下位置まで垂直方向に移動させることができる。下位置に且つ引込み位置にあるポートプレート119は、貯蔵棚110の移動を可能にし、その理由は、ポートプレート119が棚プレート120の下方に且つ支持プレート121の上方に位置するからである。図7は、ポートプレート119が下位置に且つ引込み位置にあるときの、ポートプレート119と貯蔵棚110との間の垂直方向隙間を示す。この垂直方向隙間は、破線によって示され、C字形の空間120aを定める。図1は、貯蔵棚がその停止位置のうちの1つにあるときの、引込んだポートプレート119と貯蔵棚110との間の隙間を示す。この隙間により、ポートプレート119が、FOUPを貯蔵棚から持上げたりFOUPを貯蔵棚の上に置いたりするために、ポートプレート119の停止位置から垂直方向に移動することを可能にする。
【0032】
図1は、2つのアクティブポート117、118を示しているが、貯蔵システムの寸法及びAMHSの形態に応じて、任意の数を用いることができる。アクティブポート117、118は、貯蔵システムの任意の側に配置される。図19A及び図19Bは、アクティブポート117、118及びOHT車(オーバーヘッド移動車)の異なる形態の平面図である。図19Aは、アクティブポート117,118を備えた貯蔵システム100を示す。アクティブポート118は、貯蔵システムの端部に位置し、OHT車131bを支持するOHTレール132bと整列するのに対し、アクティブポート117は、貯蔵システムの側部に位置し、OHT車131aを支持するOHTレール132aと整列している。図19Bは、アクティブポート117,118,153,154を備えた貯蔵システム100を示す。図19Bでは、アクティブポート117,118は、OHTレール132a及びOHT車131aと整列し、アクティブポート153,154は、貯蔵システムの反対側で、OHTレール132b及びOHT車131bと整列している。
【0033】
図1及び図7は、FOUPの位置を合わせてそれを保持するために用いられるピン(例えば、特徴部)を示す。棚ピン122は、FOUPの底面に設けられた相手側特徴部(例えば、スロット)に係合して、FOUPが棚プレートの上に載っている間、FOUPを正確に位置決めし且つ支持する。ポートピン123は、FOUPの底面に設けられた同じ相手側特徴部(例えば、スロット)に係合し、FOUPがポートプレート上に載っている間、FOUPを正確に位置決めし且つ支持する。スロットは、両方のピン122,123が容器ベースの底部に係合又は嵌合することを可能にする。一方、ピン122,123は、図示のように、3つの箇所の各々において、互いに近接して位置決めされている(図1における貯蔵棚110bの貯蔵棚120及びポートプレート119参照)。停止位置において、アクティブポートのところのFOUPは、ポートプレート119を上位置まで上昇させることによって、棚ピンからポートピンに移送されるそれぞれの支持部を有する。
【0034】
FOUPは、ピンとの係合のための特徴部を底プレートに有するように設計されているけれども、容器を棚プレート又はポートプレートの上に正確に保持するために、他の特徴部を用いてもよい。例えば、ポートプレート又は棚プレートの上に設けられた隆起特徴部が、容器の底部の外縁を拘束してもよいし、容器の底面に設けられた凹み領域に係合してもよい。かくして、ピンでないその他の保持特徴部を用いてもよいことを理解すべきである。保持特徴部は、容器を連結してもよいし、把持してもよいし、結合してもよいし、嵌合又は係合してもよいし、保持してもよい。また、容器は、FOUPである必要はなく、容器は、開いていてもよいし、閉じられていてもよいし、部分的に閉じられ/開いていてもよく、容器はまた、任意の寸法又は形式の基板を保持することができる。ポート特徴部及びプレート特徴部は、特許請求の範囲に記載されているように、ピンを含む任意形式の保持特徴部を包含する。ポート特徴部がピンであれば、そのピンを、本明細書においてポートピンとして参照し、プレート特徴部がピンであれば、そのピンを、本明細書においてプレートピンとして参照する。
【0035】
図8図9図10及び図11は、アクティブポート組立体119aによって移動させたときのポートプレート119の4つの位置を示す。アクティブポート組立体119aは、分かりやすくするために、ベースプレート129から取外された状態で示されている。図8では、ポートプレート119は、引込められ、下引込み位置にある。図9では、ポートプレート119は、垂直方向移動組立体119a−2によって上位置まで上昇させられており、例えば、FOUPを貯蔵棚から取出す。垂直方向移動は、多くの仕方で達成される。一例を挙げると、垂直方向移動は、垂直方向空気圧シリンダ124の作動によって達成され、垂直方向リニアベアリング125によって案内される。アクティブポートベース126が貯蔵システム内に設置されるとき、アクティブポートベース126は、ベースプレート129に取付けられる。また、図示のように、ポートプレート119は、貯蔵棚の周りに嵌合するのに十分な開口部119bを有している。1つの実施形態では、この開口部119bは、一方の側に空間を構成し、ポートプレートピン123は、開口部119bの両端部のところと開口部における空間に対する反対側のところに依然として配置される。図10では、水平方向移動組立体119a−1を用いて、上位置にあるポートプレート119が、延長位置まで水平方向に移動させられている。一例を挙げると、水平方向移動組立体119a−1は、水平方向空気圧シリンダ127の作動部を含み、水平方向リニアベアリング128によって案内される。図10では、水平方向空気圧シリンダの本体は、アクティブポートベース126の下に位置しているのでこれを見ることができず、シリンダのアクチュエータロッドだけを見ることができる。図11では、ポートプレート119は、下位置まで移動させられており、その状態において、ポートプレート119は、移動中の貯蔵棚又はFOUPとの衝突の心配なしに、引込み位置まで移動する準備ができている。
【0036】
この実施形態では、アクティブポートの垂直方向直線移動及び水平方向直線移動は、空気圧シリンダを用いて達成されるが、変形例として、当該技術において知られている他の駆動手段を用いてもよく、かかる駆動手段は、例えば、電気モータにより駆動されるボールねじ又はリードねじである。他の変形例の駆動手段は、平歯車が取付けられた電気モータによって駆動されるラック歯車である。
【0037】
アクティブポート117,118の作動は、モータ113の作動と統合される。この実施形態では、アクティブポートは、モータ113の作動を制御するのに用いられる制御回路と同一の制御回路によって制御されるが、制御回路の多くの異なる形態が存在する。1つの変形例は、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ搭載コントローラによって制御されるアクティブポートを有し、マイクロプロセッサ搭載コントローラは、機能を統合させるために、モータ制御回路とパラレル又はシリアルの信号を介して通信する。
【0038】
図4及び図5は、FOUP130が貯蔵棚の各々の上に載せられた貯蔵システムを示す。貯蔵棚の間隔は、貯蔵棚及びFOUPが貯蔵システム100を1周移動するように定められた間隔であり、貯蔵棚及びFOUPは、それらがコーナー部で回るときに互いに衝突しない。6つの貯蔵棚を図4及び図5に示すが、システムの長さを延長することによって、更なる貯蔵棚及びFOUPを収容してもよい。空間の最も効率的な使用法は、レールの湾曲した部分112bを変更しないで残し、レールの真直ぐな部分112aの長さを、ベースプレート129及び駆動チェーン111と一緒に延長することであるが、両端部のところのレールの湾曲した部分112bの半径をスプロケット114,115の直径と一緒に増大させることによって、貯蔵棚を取付ける駆動チェーンの長さを延長してもよい。いずれかの方法又は両方の方法の組合せによって、駆動チェーンの長さを増大させると、より多くの貯蔵棚を最小の間隔で取付けることが可能である。
【0039】
図6は、OHT車(オーバーヘッド移動車)131を示し、FOUP130が、貯蔵システムの空の貯蔵棚110a上に整列し、OHT車131は、ファブ内のツールよりも上方の高さに配置されている。OHT車131は、それを支持するOHTレール132を用いて、FOUPをストッカ、貯蔵システム、及びツールの間で移動させることができる。OHT車131は、把持機構を用いて、FOUPトップハンドル133を介してFOUPを把持し、ファブの周りをツールよりも上方の高さで移動する。FOUPは、ストッカ、貯蔵システム又はツールのところで、ホイストを用いることによって下降又は上昇させられる。他の5つの貯蔵棚110b〜110fは、その上に貯蔵されたFOUPを有し、貯蔵棚110aは、空いている。OHT車131は、OHTレール132に沿って移動し、停止している貯蔵棚110aと整列した位置で停止する。
【0040】
この位置で、OHT車131は、FOUPを貯蔵棚110aの上に下降させる。FOUPを貯蔵棚110aの上に下降させた後、OHT車131は、そのホイストを引込めて別の場所に移動するか、別のFOUPを貯蔵システムから持上げる。別のFOUPを持上げるために、OHT車131は、所望のFOUPがOHT車131の下の整列位置に移動されるまで待機し、ホイストを用いて把持部を下降させ、FOUPトップハンドルを把持し、FOUPを上昇させ、次の場所まで前進する。持上げのための新しいFOUPの位置決めは、極めて迅速であり、その理由は、単一のモータの作動を必要とするに過ぎないからである。貯蔵システム制御回路は、モータをいずれかの方向に駆動して、FOUPをOHT車の下の整列位置まで移動させると共に、結果的に最小の移動距離になる方向を最小の遅延で選択する。
【0041】
図12及び図13は、ツール135の上方に設けられた本発明を示し、本発明は、ツールによって処理されるように予定されたFOUPのための局所的な貯蔵を行う。貯蔵システム100の貯蔵システム組立体100bは、フレーム100cを含むように示されている。フレーム100cは、それがツールの組立体200(図13参照)の表面に取付けられる限り、構造的構成要素と非構造的構成要素を有する。組立体200は、ツールの一部分だけを含んでもよいし、追加の構成要素、例えば、パネル、電子部品、スクリーン、フレーム、ダクト、ベント、フィルタ、軌道、空気圧機器、回路、設備接続部、フレームスタビライザ、電気コネクタ、通信コネクタを含んでいてもよい。かくして、貯蔵システム組立体100bをツールの上方に配置することは、貯蔵システム組立体100bをツールの部品又はツールに連結された構成要素に配置し又は連結することを含む。また一例として図13に示すことは、OHT車131が、アクティブポートプレート119及びツールロードポート134aのツール棚の上方に整列していることである。ツール棚は、OHT車131のための下ろし箇所又は持上げ箇所であり、アクティブポートプレート119も、OHT車131のための下ろし箇所又は持上げ箇所であり、その理由は、ツール棚もアクティブポートプレートも、容器を受取り又は供給するように構成された領域(例えば、容器ロード領域)内で整列するからである。
【0042】
OHT車131は、アクティブポート117、アクティブポート118、又は任意のツールロードポート134a,134b,134cと整列するまで、OHTレール132に沿って移動する。OHT車131は、FOUPを空のアクティブポート117の上に載せる適所にあり、アクティブポート117を引込め、FOUPを空の貯蔵棚110a上に下降させるが、他のFOUP移送法も可能である。例えば、全てのアクティブポートが引込んでいれば、OHT車131は、そのFOUPをロードポート134a,134b,134cのうちの1つに移送する。
【0043】
別の例は、FOUPを支持しないでアクティブポート117の位置に到達したOHT車を有する。アクティブポート117は、FOUPを貯蔵棚から持上げ、それを延長位置まで移動さ、延長位置において、FOUPをOHTグリッパによって把持してOHT車まで持上げる。アクティブポート117を引込めた後、OHT車は、FOUPをロードポート134a,134b,134cのうちの1つに下降させる。
【0044】
FOUPからのウェーハを処理している間、貯蔵システムは、空のFOUPを貯蔵するのに使用されてもよい。これにより、より大きいバッチのウェーハを制限された数のツールロードポートで同時に処理することを可能にする。この場合、アクティブポートが引込んでいれば、OHT車は、空のFOUPをロードポートのうちの1つ、例えばロードポート134aからOHT車まで持上げ、アクティブポート、例えばアクティブポート117を延長させ、次いで、空のFOUPをアクティブポートの上に下降させ、その後、アクティブポートは、引込み、空のFOUPを、アクティブポートと整列した空の貯蔵棚の上に下降させる。
【0045】
図12及び図13では、アクティブポートを備えた貯蔵システムが、ツールの上方に設置されるが、貯蔵システムは、ツールの上方にある必要はない。貯蔵システムがOHT車の経路に沿う任意の場所に配置されていれば、OHT車は、アクティブポートを用いて、貯蔵システムに貯蔵されているFOUPに接近することができ、その要件は、アクティブポートを延長させたときにOHT車のホイストがアクティブポートと整列することができることだけである。
【0046】
図14及び図15は、ホイストが、OHT車の助けなしに、FOUPを貯蔵システムとツールの間で移送することができる本発明の実施形態を示す。移送ホイスト136は、移送ホイストグリッパ140が移送ホイストフレーム142内に引込められた状態で示されている。移送ホイスト136はまた、アクティブポートプレート119上方に整列してもよいし、ロードポート棚のうちの1つ又は2つ以上の上方に整列してもよい。この実施形態では、移送ホイストは、アクティブポートが延長されているときにアクティブポートが延長されている領域と同じ領域(例えば、容器ロード領域)の中に延び、この領域には、ロードポート棚が配置されている。これにより、移送ホイスト136を用いる効率的な移送を可能にする。互いに整列した移送ホイスト136、アクティブポートプレート119、及びロードポート棚134a−1の例を図15に示す。
【0047】
一例を挙げると、移送ホイスト136は、ホイスト用リニア駆動装置137に沿って横方向に移動することができる。横方向の移動の程度は、アクティブポート117,118及びロードポート134a,134b,134cの上方に整列される位置を含む。ホイスト用リニア駆動装置137内のリニア駆動手段は、当該技術において知られている任意の方法である。例えば、リニア駆動手段は、ラック歯車と平歯車付きの電気モータであってもよいし、水平方向ボールねじと電気モータによって駆動されるボールナットであってもよい。片持ち式支持体138は、1つ又は2つ以上のリニアベアリングによって案内され、リニア駆動手段の可動部分に連結される。リニアベアリング及び片持ち式支持体は、満杯のFOUPをさらに載せた状態の移送ホイスト136を適当な水平方向面内に保つのに十分剛性でなければならない。ホイスト用リニア駆動装置内の可撓性ケーブル組立体により、電力及び通信配線が貯蔵システムとその制御回路と移送ホイストの制御回路との間で接続されることを可能にする。
【0048】
OHT車131は、FOUPを両方のアクティブポート及び全てのロードポートから及びそれらに移送することができるが、OHT車は、FOUPをロードポートから及びそれに移送する必要はない。移送ホイストは、ツールからの要求に応じて、OHT車の到達を待つことなしに、FOUPを貯蔵システムからロードポートに移送することができる。OHT車は、ツールによって処理すべきFOUPの在庫を維持するために、ツールロードポートの状態とは無関係に、FOUPを貯蔵システムに配送することができる。OHT車は、処理済みのFOUPをツールロードポート又は貯蔵システムのいずれかから持上げることができる。1つの場合、ロードポートが新たなFOUPに対する処理を開始する必要がなければ、処理済みFOUPを除去するのにOHT車が利用可能になるまで、処理済みFOUPは、ロードポート上で待機してもよい。処理済みFOUPを載せたロードポートが新たなFOUPに対する処理を開始する必要がある別の場合、処理済みFOUPをアクティブポートまで移送ホイストで移動させてもよく、アクティブポートは、処理済みFOUPを空の貯蔵棚の上に載せ、次いで、移送ホイストを用いて、新たなFOUPを貯蔵棚からアクティブポートに、そして空けられたばかりのロードポートに移動させる。
【0049】
図16及び図17は、搬送ホイスト136の設計上の詳細を示す。一般に、搬送ホイストは、OHT車に設けられたホイスト機構と多くの同じ特徴部を有し、FOUP把持機構を下方位置と上方位置との間で移動させるベルトを引込める。ホイストフレーム142は、電気モータを収容し、電気モータは、ベルト駆動プーリ147を回転させ、移送ホイストベルト141を移送ホイストフレーム142内に引込める。引込められたベルトは、連続的な巻付けトルクを付与するベルト巻付けプーリ148に巻付けられる。移送ホイストベルト141は、移送ホイストグリッパ140に連結され、従って、移送ホイストベルト141を移送ホイストフレーム142内に引込めると、結果として、移送ホイストグリッパ140を垂直方向に移動させる。移送ホイストグリッパ140は、FOUPトップハンドル133の周囲を包囲し、次いで、グリッパラッチ146を作動させ、グリッパラッチ146をFOUPトップハンドルの下縁部の下に位置決めする。グリッパラッチ146の支持があれば、FOUPを、それが載っている支持面から持上げることができる。移送ホイストフレーム142と移送ホイストグリッパ140との間の電力伝達及び通信は、移送ホイストベルト内に埋込まれた電線によって行われる。変形例として、移送ホイストグリッパは、電池式であってもよく、電池の充電は、移送ホイストグリッパ140を移送ホイストフレーム142まで上昇させたときに電気接点を介して達成される。電池式グリッパの場合、通信は、無線周波伝送又は光ビーム伝送(可視光又は赤外線)による無線式である。
【0050】
図16は、ホイスト用リニア駆動装置組立体137の追加の詳細を示す。プレート170は、水平方向駆動モータ169とホイストリニアレール165を支持する。リニアレールベアリング166は、ボールナットマウント171と一緒に片持ち式支持体138に取付けられている。ボールねじ167が、駆動モータ169のシャフトに取付けられ、このボールねじは、ボールナットマウント171によって保持されているボールナット168を貫通している。駆動モータシャフトを回転させると、ボールナット168及びボールナットマウント171が、ホイストリニアレール165及びリニアレールベアリング166の上で摺動するので、ボールナット168及びボールナットマウント171は、片持ち式支持体138及び移送ホイスト136を横方向に押す。分かりやすくするために、電力及び制御信号をホイストに供給するケーブルを図示さしていない。
【0051】
変形例の構成要素が、ホイスト用リニア駆動装置組立体に用いられてもよい。例えば、回転モータ169を、リニアモータに置き換えてもよく、リニアモータは、プレート170の上に取付けられた永久磁石と、摺動する片持ち式支持体138のブロックに取付けられた巻線組立体を有する。変形例として、ボールねじ及びボールナットを、リードねじ及びナットに置き換えてもよいし、リニアベアリングを1対の平行な案内シャフトと管状ベアリングに置き換えてもよい。
【0052】
図2及び図3は、ベアリング組立体の詳細を示し、ベアリング組立体は、貯蔵棚を案内し且つ支持する。いくつかの会社、例えば、THK株式会社及びビショップ・ワイズカーバー社は、真直ぐなレール又は軌道と湾曲したレール又は軌道の組合せに沿って移動を支援するのに使用することができるベアリング/レールシステムを提供している。THK株式会社は、「直曲ガイドHMG」と称する製品を提供し、ビショップ・ワイズカーバー社は、湾曲した部分及び真直ぐな部分を備えた「PRTトラックシステム」を提供している。湾曲したレール部分と真直ぐなレール部分との間を移動する幾つかの方法が当該技術において知られており、図2及び図3はその1例に過ぎない。支持プレート121が、貯蔵棚を支持する。各支持プレート121は、ピン及びローラプレートベアリング145によって、2つのローラプレート144の各々に連結されている。ローラプレート144は、ローラプレートベアリング145を中心に自由に回動することができ、各ローラプレート144には、2つのローラ143が取付けられており、ローラの各々は、ベアリングを中心として回転することができる。2つのローラは、それらがレールを両側から挟む横方向力を付与するように、互いに間隔をおいて配置されている。支持台車が湾曲したレールに沿って移動するとき、ローラプレート144は、妨げられない移動を可能にするために回動することができる。レールは、ループを完成させる軌道が設けられる限り、いくつかの構造的形態をとることができる。
【0053】
図18は、垂直方向に積重ねられた2つのレベルの貯蔵ループを有する貯蔵システムを示す。上レベルの貯蔵ループ149は、アクティブポート117a,118aを有している。下レベルの貯蔵ループ150は、アクティブポート117b,118bを有している。図18は、延長されているアクティブポート117bの上に載せる準備ができているFOUP130を示す。アクティブポート117bの上にあるアクティブポート117aは、OHT車131がアクティブポート117bへのFOUPの妨げられない配送を行うために、引込められなければならないが、アクティブポート118a又は118bは、延長されていてもよく、例えば、OHT車によって持上げられる準備ができているFOUPを有している。この種類の多レベル貯蔵システムは、異なる箇所及び量の貯蔵棚を有する2つ以上のレベルを有するのがよい。図18は、天井に取付けられたOHTの真下に設けられた貯蔵システム100を示し、貯蔵システムは、任意の高さに配置される。貯蔵システム100は、床に設置された構造体によって支持されてもよいし、天井構造体によって支持されてもよいし、AMHS構造体によって支持されてもよいし、これらの組合せによって支持されてもよい。貯蔵システムはまた、ツール又はその他のファブ設備特徴部の構造体によって支持されてもよい。
【0054】
図20A図20B及び図20Cは、アクティブポートを有する貯蔵システムの単純化された側面図であり、かかる貯蔵システムが、種々の基本的な種類のAMHSを用いて、
FOUPを移送する仕方を示す。矢印は、移送中におけるFOUPの経路を示す。図20Aは、貯蔵システムの横側に配置されたAMHS151を示す。この種類のAMHSは、内蔵された移送装置を有し、この移送装置は、FOUPを延長されたアクティブポート117の上に載せ、次いで、アクティブポート117は、引込んで、FOUPを貯蔵棚110に移送する。図20Bは、FOUPをアクティブポート117の上に下降させるAMHS155(例えば、OHT)を示し、次いで、アクティブポート117は、引込んで、FOUPを貯蔵棚110に移送する。図20Cは、貯蔵システムの横側に設けられ且つ一体の移送装置を有していないAMHS156を示す。この種類のAMHSは、外部移送装置152を必要とし、外部装置152は、FOUPをAMHS156から持上げ、それをアクティブポート117に移動させ、次いで、アクティブポート117のところで、FOUPを貯蔵棚110に移動させる。
【0055】
図21A図21B及び図21Cは、アクティブポートなしの貯蔵システムの単純化された側面図であり、かかる貯蔵システムが、種々の基本的な種類のAMHSを用いて、FOUPを移送する仕方を示す。矢印は、移送中におけるFOUPの経路を示す。図21Aは、貯蔵システムの横側に配置されたAMHS151を示す。この種類のAMHSは、内蔵された移送装置を有し、この移送装置は、FOUPを貯蔵棚110の上に直接載せることができる。図21Bは、FOUPを貯蔵棚110の上に直接下降させるAMHS155(例えば、OHT)を示す。図21Cは、貯蔵システムの横側に設けられ且つ一体の移送装置を有していないAMHS156を示す。この種類のAMHSは、外部移送装置152を必要とし、外部移送装置152は、FOUPをAMHS156から持上げ、それを貯蔵棚110まで直接移動させる。
【0056】
図22及び図23は、従来のストッカ及び本発明の貯蔵システムが使用するフロアスペースの比較を示す単純化された平面図である。これら図は各々、貯蔵位置の1つのレベルを示しており、従来のストッカ157又は貯蔵システム100が、多レベルの図示のFOUP配置を有している。図22では、従来のストッカ157が、10個のFOUP130を有し、5つのFOUPが2列で配置されている。FOUPの2つの列は、ストッカロボット隙間スペース161によって分離され、ストッカロボット隙間スペース161は、貯蔵済みのFOUPへの接近のためにストッカロボット158を水平方向に移動させるのに必要である。ストッカロボット158は、ストッカロボットアーム160を各貯蔵レベルと整列させるように垂直方向に移動させる垂直方向支柱部159を有している。ストッカロボット端部スペース162は、垂直方向支柱部159が貯蔵レベルの最も左側のFOUPに接近するときに必要である。ストッカロボット隙間スペース161は、ロボットアームを隙間スペース161の両側の貯蔵位置の間で180°回転させるときにFOUPとロボットアームの一部を収容するのに十分広くなければならない。これに対して、図23に示す本発明の設計による貯蔵システム100は、10個のFOUP130の貯蔵のために、従来のストッカよりもずっと少ないフロア面積しか必要としない。貯蔵システム100は、ストッカロボットを必要としないため、図22Aの隙間スペース161及び端部スペース162は省略され、その結果、従来のストッカよりもずっと高密度の配置になる。
【0057】
図22及び図23はまた、本発明の貯蔵システム100の向上した移動効率を示す。FOUPを図22の貯蔵場所163から取出すために、ストッカロボット158は、最初、貯蔵場所と整列するように水平方向に移動しなければならず、次いで、ストッカロボットアーム160内のモータは、アームをFOUPの下に延長させ、アームをFOUPと一緒に持上げ、アームとFOUPを引込め、次いで、ストッカロボットは、所望の行き先ポートまで水平方向に移動する。図23では、本発明の貯蔵システム100は、位置164のところにあるFOUPの棚を3つ又は4つの位置分移動させるまで、全てのFOUPを同時に移動させる単一のモータを作動させるだけでよく、例えば、従来のストッカがFOUPの取出しに用いた時間の数分の1しか用いない。
【0058】
図24は、天井に取付けられたAMHS配送システムを有しない自立型ツール貯蔵システムとして用いられる本発明の実施形態を示す。ホイスト用リニア駆動装置137(例えば、水平方向軌道)は、それがツールの組立体200の片側に配置された領域の上に延びるように延長され、それにより、移送ホイスト136がツールの片側に配置された手動ロードステーション172の上に位置決めされることを可能にする。したがって、手動ロードステーションは、ツールの一方の側に位置している。本明細書で用いるように、「一方の側に」は、手動ロードステーションがツールの近くにあればよいことを意味し、手動の棚が容器ロード領域のそばに又は近くにある。この場合、容器は、手動ロードステーションの上に配置され、手動ロードステーションにおいて、容器を移送ホイストによって持上げ、上位置まで上昇させる。この位置から、移送ホイストは、横方向に移動して、ツールロードポート134又はアクティブポート117の上方でそれと整列し、次いで、下降し、容器をロードポート又はアクティブポートの上に置く。移送ホイストは、容器を、a)手動ロードポートとアクティブポートの間、b)アクティブポートとロードポートの間、又は、c)手動ロードポートとロードポートの間で移動させる。手動ロード棚を有する手動ロードステーションを示し、手動ロード棚は、容器が手動ロード棚の上に配置されたときに容器を保持し、容器に係合し、又は容器に連結される特徴部を有している。1つの実施形態では、かかる特徴部は、ピンであり、ピンは、それに対応する容器の下面凹部に係合し又は嵌合する。さらに、手動ロードステーションは、種々の形態を取ることができ、例えば、可動床に支持された移送又は取扱いシステムであり、例えば、レール案内車両、自動移送カート、又可動移送システム上に人間が配置した容器である。また、明確にするために、手動ロード棚は、手動ロードステーションの一部である必要はなく、容器を支持し且つ容器を受入れることができる任意の機構構造体が、手動ロード棚として機能する。
【0059】
図24は、300mmシリコーンウェーハに用いられる種類の容器及びロードポートを示すが、それと同じ概念は、他のサイズ、例えば200mm又は450mmのウェーハに用いられる容器に適用される。200mmウェーハの容器は、それが底部開放ドアを有する点で異なるが、移送ホイストと係合可能な同様のトップハンドルを有し、容器は、ツールの上の水平方向支持面上に載せられ、従って、手動載せ作動又はバッファ配送作動を大きく変化させない。
【0060】
図24のシステムを使用することにより、人間のオペレータが、多数の容器を貯蔵システム100中に載置することを可能にする。次いで、貯蔵システムは、移送ホイストを用いて、容器を必要に応じてツールの上に載せ、処理後、容器を貯蔵システム100に取出す。次いで、オペレータは、ウェーハ用の処理済み容器を後で取出し、オペレータが各ロードポートに頻繁に手作業でロードしたりアンロードしたりする必要を最小にする。幾つかの種類のオペレータインターフェース、好ましくは、手動ロードステーションに取付けられたオペレータインターフェース173により、オペレータが、ロード又はアンロードプロセス中に貯蔵情報及び容器情報を入力することを可能にする。手動ロードステーションは、容器がロードされ(載せられ)又はアンロードされる(下ろされる)ときに容器の識別を可能にする自動容器識別手段を有するのがよい。幾つかの異なる方法が、半導体産業に一般的であり、かかる方法は、例えば、バーコードリーダ、RFID(無線周波数認証)、及び電池式容器取付け型識別モジュールへの赤外線通信を含む。
【0061】
図24に示すような自立型システムを、任意の水平方向基板の容器の処理及び貯蔵のために使用することが可能である。ツールが、移送ホイストが容器を下降させる水平方向ロード面を有し、且つ、ツールが、その基板ハンドリング装置によって基板をプロセスツール内へロードするために基板への接近を可能にするアクセスポートを有している限り、図24に示すシステムとの実質的な差はない。
【0062】
図25及び図26は、貯蔵システム100の複数の側方に位置決めされた静止棚174a,174bを用いる本発明のさらに別の実施形態を示し、OHTの下降及び容器の持上げのためのさらに簡単な方法を提供する。例えば、静止棚174のうちの1つ又は2つ以上は、貯蔵システム組立体のフレームの側方に所定の向きに配置される。このように、静止棚174は、貯蔵システム組立体の軌道の外側に位置決めされる。さらに、静止棚は、多くの仕方で貯蔵システム組立体に結合可能である。1つの方法では、静止棚は、貯蔵システム組立体のフレーム又は別の構造体に結合される。引込み位置に位置することがあるアクティブポート117と異なり、静止棚174a,174bは、常に、OHT車及び移送ホイストの移動経路の下の位置にあり、その理由は、静止棚が、貯蔵システム100の構造体等の静止構造要素に剛性的に取付けられているからである。1つの例示の実施形態では、静止棚174はまた、下に位置するツールのロードポート棚及び延長されたアクティブポート117と同じ方向に配置される。
【0063】
分かりやすくする目的で、静止棚は、貯蔵システム組立体100の近くの任意の箇所に連結されるのがよいことを理解すべきである。例えば、静止棚は、静止棚がロードポート棚への垂直方向ホイストの接近又はOHTの接近を妨げない限り、アクティブポート117又は118の一方の面と同じ側に連結されるのがよい。しかしながら、かかる面は、アクティブポートが存在しない面であり、例えば、アクティブポート118の右側である。
【0064】
OHT車131が、容器を下降させる目的でツール組立体200に到達したら、移送ホイスト136は、貯蔵システム100とロードポートとの間の容器の移送中、アクティブポート117又はロードポート134a,134b又は134cの上を横方向に移動中であるのがよい。この場合、OHT車がアクティブポートと相互作用しなければならない場合、OHT車は待機する必要があるが、静止棚は、貯蔵システムからロードポートへの移送中の移送ホイストの移動範囲の外側に位置し、従って、OHT車は、その他の移送作業との相互影響を心配することなしに、容器を静止棚のところに自由に置く。
【0065】
静止棚が取付けられていれば、貯蔵システム又は移送ホイストの作動に誤作動がない限り、OHT車は、ロードポートの上方で停止する必要はない。この場合、AMHS及び貯蔵システムは、別の作動モードになる。貯蔵システムの作動は、実施不能になり、移送ホイストを静止棚のうちの1つの上方に移動させ、OHT車は、容器をツールのロードポートに直接配送する。この種類の作動は、貯蔵システムの収容能力を利用しないけれども、故障を修理している間、ツールが依然として作動することを可能にする。
【0066】
静止棚の他の利点は、容器をOHT車によって持上げるために、容器を、それがアクティブポート上の位置を占めなることなしに1つの静止棚の上に配置できることである。持上げのためにOHT車の到達するタイミングは、不確実であり、静止棚上への容器の配置により、他の移送と干渉することがある、容器がアクティブポートを占有する必要をなくす。
【0067】
静止棚のさらにもう1つの利点は、2つ又は3つ以上の静止棚が用いられる場合、1つの静止棚を、下ろし用の棚として割当て、他の棚を、持上げ用棚として割当てことである。OHT車は、通常、OHTレール132に沿って1つの方向にのみ移動する。下ろし用棚は、OHT車がツールに近づいているときにOHT車が最初に横切る棚174aとして割当てられ、持上げ用棚は、OHT車がさらに移動した後のところに位置決めされた棚174bであり、通常、ツールの他の側に配置された棚である。棚174aが、空であり、棚174bが、持上げるべき容器を有していれば、単一のOHT車は、容器を棚174aのところで下ろし、次いで短い移動の後、棚174bのところで待機中の容器を持上げる。この方法は、OHT車が容器を下ろすことと容器を持上げることを単一の経路で組合せて、計画されたOHT車の移動回数を減少させることによって、OHT車の全体的な交通量を減少させることができる。
【0068】
かくして、移送ホイストは、(i)容器を静止棚から持上げたりそこに下ろしたりし、又は、(ii)容器をロードポート棚から持上げたりそこに下ろしたりし、又は、(iii)容器を静止棚及びロードポート棚から持上げたりそこに下ろしたりし、又は、(iv)容器を貯蔵システム組立体のポートプレート、静止棚、又はロードポート棚から持上げたりそこに下ろしたりする。さらに、OHT車は、貯蔵システム組立体の上方の軌道に連結され、移送ホイストの水平方向軌道は、OHT車の軌道の下方で所定の向きに配置され、貯蔵棚、ポートプレート、及び静止棚は、移送ホイストの下方で所定の向きに配置され、ロードポート棚は、貯蔵棚、ポートプレート、及び静止棚の下方で所定の向きに配置されている。さらに、各々は、床を備えた部屋内に設置され、ツールは、床の上方に設置される。部屋は、ファブ、実験室、クリーンルーム、又は任意の構造体である。「下方」又は「上方」という用語は、基準に対するものであり、その基準は、部屋の床であるのがよい。
【0069】
図26は、OHTレール132、OHT車131、移送ホイスト136、静止棚174a、及びロードポート134aが同じ垂直方向平面(鉛直面)を実質的に占める仕方を示す。
【0070】
図27は、貯蔵システム用のマルチツール適用例を示す。貯蔵システムは、2つのツール200a,200bの間に又はそれらを横切るように配置され、それにより、移送ホイスト136が、OHT車からの支援なしに、容器をツール間で移動させることを可能にし、ツール間のバッファを構成する。これは、例えば、処理工程の後に計測工程が必要とされるならば、非常に効率的である。容器は、処理の後で貯蔵システム内に戻って列を作り、次に利用可能であれば、測定ツールによって測定される。移送ホイスト136は、ホイスト用リニア駆動装置137を延長させることによって、両方のツールの上に延びる。1つの実施形態では、水平方向軌道は、貯蔵システム組立体の少なくとも一部の上方で所定の向きに配置される。別の実施形態では、水平方向軌道は、貯蔵システム組立体の側部を越えて延びる。側部を越えて延びることは、任意の側部を越えて延びることを意味し、ツール又は貯蔵システム組立体の2つ以上の側部を越えて延びることを含む。1つの例では、水平方向軌道は、1つ又は2つ以上のツールの上方で所定の向きに配置される。移送ホイストは、水平方向軌道に連結され、移送ホイストは、1つ又は2つ以上のツールの上方を水平方向軌道に沿って移動することを可能にし、容器を持上げたり下ろしたりするように構成される。さらに別の実施形態では、水平方向軌道は、貯蔵システム組立体の側部を越えて延び、それにより、水平方向軌道の一部分は、少なくとも部分的にコンベヤの一部分の上で所定の向きに配置される。この場合、水平方向軌道に連結された移送ホイストは、容器の持上げ及び配置を可能にするために、コンベヤの一部分の上方を軌道に沿って移動する。
【0071】
貯蔵システム組立体は、床、ツール構造体、OHTフレーム、又は天井から支持可能である。貯蔵システムは、両方のツール上方にあってもよいし、ツールの間にあってもよいし、ツールのうちの1つの上方にあってもよい。いずれにしても、ホイスト用リニア駆動装置は、移送ホイストが両方のツールのすべてのロードポートの上方に位置決めされるように延長される。
【0072】
オペレータが手作業で容器に接近しない場合、オペレータを垂直方向装填領域から制限するために透明なプラスチック又は他の材料で作られた安全シールドを有することが望ましい。ドアが開いているときに移送ホイストが垂直方向移動することを防止する信号スイッチを備えた接近ドアが設けられるのがよい。もう1つの考えられることは、安全シールドは、ロードポートのところで開いており、容器の頂部の高さ位置までに過ぎない。このことは、オペレータが体を垂直方向移動領域内に傾けることを阻止し、容器高さへの手による接近を依然として可能にする。この開放という技術的思想が用いられる場合、これは、ロードポートのところの開口部を横切って設けられた光学「ビーム遮断」型センサと組合わされるのがよく、かかるセンサは、オペレータが開口部のところでセンサのビームを遮断した場合、垂直方向移動を阻止するための信号を移送ホイストコントローラに出す。第3のオプションは、物理的シールドが設けられない場合、ツールの前に完全「光カーテン」を用いることである。オペレータが光ビームのうちのどれかを遮った場合、移送ホイストの作動が制限される。
【0073】
貯蔵システムをツール及びファブ自動化システムに相互作用させる種々の手法が存在するが、相互作用を、a)ファブ製造制御システム(MCS)により制御されるシステムとして組織化する、又は、b)一体化されてツールにより直接制御されるシステムとして組織化する、という2つの一般的な手法が存在する。b)の場合、ツールは、空の貯蔵場所及び処理を完了した容器を支持するように、ファブの制御システムと通信する。代表的には、ツールは、ツールが取出しのために処理が完了した容器を有する場合にのみ通信し、ファブの制御システムは、ツールの貯蔵場所の状態を常に把握する。ツールは、通常、容器が処理のために配送されるべきであるかどうか、即ち、新たな仕事の計画がファブシステムによって行われるかどうかを判定しない。この「ツール制御」方法では、ツールは、ツールが有するロードポートの数よりも多くの容器配送位置をツールが有することをファブシステムに任意の仕方で示し、ファブが配送/取出し位置並びにプロセス命令をこれら場所に関連付けることができるようにする。この「ツール制御」方法は、そのメッセージ全てをSEMIスタンダードプロトコルに適合させることができず、ファブ通信インターフェースのカスタマイズを必要とする場合がある。a)の場合、ツールは、本質的に、貯蔵システムなしでこれが行うように作動する。貯蔵システム内での貯蔵のための容器の配送及びツールロードポートへの容器の受け渡しは、ファブ製造制御システム(MCS)と貯蔵システムとの間のSEMIスタンダードメッセージプロトコルによって制御される。このMCS制御は、SEMI E88(AMHS貯蔵SEMに関する仕様)、即ち、ストッカとのトランザクションを制御するために通常用いられるスタンダードを用いて実施可能である。E88メッセージは、容器を貯蔵システム、例えばストッカ又はこの場合本発明の貯蔵システム中にロードし、これら容器を取出し、そしてこれら容器を追跡するのに必要な相互作用に及ぶ。ストッカ中の材料をポートに移動させるE88指令が存在し、これら指令は、容器を貯蔵システム内の貯蔵場所からロードポートに移動させるために使用可能である。別のオプションは、容器を貯蔵システムとロードポートとの間で移動させるためにE88ではなくE82指令(ベイ内/ベイ間AMHS SEMのための仕様)を用いることである。
【0074】
OHT車の移動と移送ホイストの移動の効率的な協働によって改良することができる多くの貯蔵システム作動がある。理想的には、OHT車が貯蔵システムに近づいているとき、ファブ材料制御システムは、貯蔵システムのアクセスポート(ロードポート#、アクティブポート#、又は静止棚#)及び動作(容器の持上げ、又は容器の下ろし)を特定するメッセージを貯蔵システムに送る。これは、イーサネット(登録商標)ポート等の貯蔵システムファブ通信インターフェースを介して行われてもよいし、直接的に行われてもよいし、OHT車と貯蔵システムとの間のWi-Fi IEEE 802.11又はBluetooth(登録商標) IEEE 802.15等のワイヤレスリンクによって行われてもよい。メッセージは、OHT車が貯蔵システムの近くの予め特定された経路位置を通過したときに、貯蔵システムに送られるのがよい。この「接近通知」メッセージを送ることによって、貯蔵システムは、OHT車の到着を幾つかの仕方で準備し、幾つかの仕方は、a)特定されたロードポートへの妨げのない接近、b)容器を受取るように特定されたアクティブポートの延長、c)OHT車による持上げのために特定された容器を備える特定されたアクティブポートの延長、又はd)容器の到着に備えて特定された静止棚の除去を含む。
【0075】
上述した協働方法が利用できない場合、OHT車がツールに到達したときに移送ホイスト又はアクティブ棚が干渉する可能性が増大する。OHT車の作動は、通常、優先権が与えられ、その理由は、任意のOHT車の遅延により、交通経路中の他のOHT車を停止させることがあるからであるが、OHT車の短い遅延は、OHT車がすべての交通経路を構成する主レールではないバイパスレールの上に位置していれば、許容されることがある。OHTバイパスは、OHTレールの一部分であり、主レールから分岐し、ツール又は一群のツールのそばを延び、次いで、OHT主レールと再び一緒になる。
【0076】
ロードポート又はストッカポートへの全てのOHT材料移送は、SEMI E84規格に適合する信号と連動される。事前の通知がなければ、ツールのロードポートは、OHT車が最初のE84信号を発する時点まで、OHT車のまもなくの到着に関する情報をもたない。E84信号は、通常、OHT車がロードポート(又は棚、又はポート)の上方に正確に位置決めされたときに整列した光リンクを介して通信される。E84規格は、移送の各工程が許容され且つ首尾よく完了されることを確保する幾つかの信号の交換を規定している。
【0077】
コンベヤ配送システムを本発明の貯蔵システムの作動に組込む多くの手法が存在する。1つの形態の例を図28及び図29に示す。主コンベヤ部分175は、容器をツール/EFEMの列に沿って移送し、横配送部分176a,176bは、ツール/EFEMの側方に位置している。この例では、図29に示すように、容器177は、横配送部分の端部で且つ移送ホイストの下のところで停止し、容器177を移送ホイストによって持上げ、アクティブポート又はツールロードポートに配送する。1つの実施形態では、停止位置は、コンベヤの一部分であるのがよい。また、使用の際、OHTシステムがあれば、OHTシステムも、コンベヤ停止位置並びにロードポート及びアクティブポートの上方に整列するのがよく、それにより、非常に融通性の高い自動化システムを形成する。例えば、コンベヤは、ツールの小グループを高移送速度でリンクさせるのに使用され、OHTは、容器を領域の外に移動させるのに使用される。横配送コンベヤはまた、容器が移送ホイストによって持上げられる前に容器を短い列に並ばせるのに使用されるのがよい。このことは、移送ホイストが他の移送作業で忙しいときに有用であり、主コンベヤが、配送のために計画された2つ又は3つ以上の容器を、主コンベヤライン上における途切れ又は主コンベヤラインのバイパスを生じさせることなしに下ろすことを可能にする。
【0078】
図28は、ツールの両側に1つずつ設けられた2つの横配送コンベヤ部分176a,176bを示す。一方は、容器の配送のためのものであり、他方は、容器の取出しのためのものであるのがよいが、状況が必要とする場合、容器の配送及び取出しを個々の横配送コンベヤに関連させることを動的に変更してもよい。動的な関連の1つの例は、貯蔵システムをできるだけ速く空の状態から満杯状態にすることが必要な場合、両方の横配送部分が容器を配送することができるようにすることであり、この場合、両方の横配送部分は、到着している容器を列にして限界まで満たすのがよい。貯蔵システムを満杯にした後、横配送部分の一方を出口部分に変更するのがよい。
【0079】
図28及び図29は、貯蔵システムの後方に配置された主コンベヤ部分を示すが、主コンベヤ部分は、ロードポートの前の通路の上方で貯蔵システムの前に容易に配置される。横配送コンベヤ部分は、依然として、垂直方向であり、一定の箇所まで延びており、上記一定の箇所は、横配送コンベヤ部分が容器を移送ホイストの下方の位置まで配送する箇所である。主コンベヤ部分と横配送部分の交差点は、ある種類の移送装置が必要であり、多くの移送装置が既に知られている。かかる移送装置は、例えば、短いコンベヤ部分を取付けた回転コンベヤターンテーブル178である。容器は、それがターンテーブル上に位置するまで主コンベヤの上を移動し、ターンテーブルを回転させ、容器を横配送コンベヤの方向に転がり落とす。
【0080】
図面のうちの大部分は、分かりやすくするために、ツールが連結されていないツール設備前端部モジュール(EFEM)のみを示す。図28及び図29は、ツールがEFEMの後方に配置された状態を示す。上述した説明では、ツールは、それに連結される全ての部品を含み、ロードポート、EFEM、又は貯蔵システム自体を含む。
【0081】
概略的には、OHTシステムは、半導体製造設備用の材料配送システムである。OHT車は、半導体ウェーハ用の容器を支持し、天井支持型レールシステムに沿って移動する。容器(300mmウェーハの場合、FOUP)がOHT車内でレールシステムに沿って移動する間、容器はその頂部フランジによって把持される。OHT車は、ロードポート又はその他の移送ステーションのところで停止し、1組の引込み可能なケーブルを用いて、把持機構を容器と一緒に下降させる。容器がロードポートの表面に接触したら、容器は、正確に位置決めされ、その理由は、容器が、ロードポートの支持面から突出した1組の運動ピンと嵌合するからである。同様に、空の把持機構をロードポート上の容器の頂部フランジ上に下降させることができ、この空の把持機構は、頂部フランジを掴み、ケーブルを引込めることによって、容器をOHT車まで持上げる。OHT車は、容器を種々の高さの移送ステーションにロードすることができ、そのために、種々の高さのステーションのためのケーブルの引込み長さ又は延長長さを調節するだけである。この種の調節は、人間制御式セットアップ(「ステーションの教示」)を行い、次に、調節値をOHTの制御システムに記憶させることによって行われる。
【0082】
理解すべきことは、半導体ウェーハ容器を貯蔵したりそれに接近したりする上述した機構及び方法は、例示の目的だけのものであり、本発明は、それによって限定されないことである。上述した機構及び方法の利点が達成されることは、当業者には明らかである。また、種々の設計変更例、適用例及び変形実施形態が、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲及び精神内に含まれることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図21C
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29