(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727548
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】射出成形機の滑り軸受け
(51)【国際特許分類】
B29C 45/83 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
B29C45/83
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-122194(P2013-122194)
(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公開番号】特開2014-237299(P2014-237299A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2014年7月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西村 成弘
【審査官】
瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−185639(JP,A)
【文献】
特開平01−193410(JP,A)
【文献】
特開2012−007712(JP,A)
【文献】
特開平04−219521(JP,A)
【文献】
実開昭62−158218(JP,U)
【文献】
特開平04−331816(JP,A)
【文献】
特開平08−093763(JP,A)
【文献】
特開2002−130268(JP,A)
【文献】
特開2008−095808(JP,A)
【文献】
特開2011−127650(JP,A)
【文献】
特開昭61−223327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00
F16C 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機の往復運動部または揺動運動部を支持する射出成形機の滑り軸受けにおいて、
滑り軸受けの摺動面側に摺動面側油溝を設け、
該摺動面側油溝は前記滑り軸受け内に始点と終点とを有し、
該摺動面側油溝は、前記摺動面側油溝の前記始点から中央部に向かって徐々に深くなり、該中央部から前記終点に向かって徐々に浅くなるように形成したことを特徴とする射出成形機の滑り軸受け。
【請求項2】
前記滑り軸受けのハウジング側の面にハウジング側油溝を設け、該ハウジング側油溝と前記摺動面側油溝をつなぐ貫通穴を設けたことを特徴とする請求項1記載の射出成形機の滑り軸受け。
【請求項3】
前記摺動面側油溝が形成された部分に軸方向の軸方向油溝をさらに形成したことを特徴とする請求項1記載の射出成形機の滑り軸受け。
【請求項4】
前記摺動面側油溝を、軸方向に位置をずらしたらせん形状としたことを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の滑り軸受け。
【請求項5】
前記摺動面側油溝を、軸方向に複数設けたことを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の滑り軸受け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形機の可動部分に用いられる滑り軸受けに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機においては、固定プラテンと可動プラテンとが複数のタイバーによって結合されており、固定プラテン側から見て可動プラテンの背後に設けられたトグル機構によって、タイバーにガイドされながら可動プラテンがタイバーの軸方向に往復運動を行い、固定プラテンに固定された固定側金型と、可動プラテンに固定された可動側金型との間で型締め、型開き動作を行っている。
可動プラテンは、タイバーの間にブッシュを介して取り付けられており、ブッシュとタイバーとの間に潤滑グリスを定期的に供給することによって、可動プラテンのスムーズな往復運動を実現でき、また、ブッシュの摩耗を抑制することができる。
【0003】
これらの可動プラテンとブッシュの間に供給される潤滑油に関して、特許文献1に開示されている技術がある。特許文献1には、可動プラテンがタイバーとの間にブッシュを介して取り付けられている射出成形機の軸方向可動式軸受けにおいて、内・外径の油溝とそれらをつなぐ貫通穴を設け、外径側の油溝に潤滑油を供給し、貫通穴を最大荷重点の近傍に配置することで、接触面圧が大きい部分へ潤滑油を供給する技術が開示されている(
図11参照)。
【0004】
また、特許文献2には、射出成形機ではないが、プリンタヘッドに用いられる滑りスラスト軸受けにおいて、軸線方向の異なる側から軸線に対して傾斜した一対の溝を設け、これらの溝から潤滑油を供給させることによって、進行方向が変わってもいずれかの溝から潤滑油が流れ込む構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−127322号公報
【特許文献2】特開平4−236817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可動プラテンは、可動プラテンや金型の重量を支持しながら往復運動しているため、可動プラテンとタイバーとの接触面の面圧は、上側の方が大きく、反対側の下側は接触していないこともある。そのため、ブッシュとタイバーとの間に供給する潤滑グリスについても、摩耗抑制の観点からは、接触面圧の大きい上側において潤滑グリスを保持しておくことが重要となる。しかしながら、重力作用によって、潤滑グリスも上側から下側に向かって流出しがちとなり、上側に潤滑グリスを保持しておくことは困難となることがある。
また、金型を高温に維持する場合や、型開閉動作を高速で行う場合には、ブッシュ内部が高温に達して潤滑グリスが軟化するため、特にグリスが流出しやすく、ブッシュの早期摩耗が引き起こされることがある。
【0007】
特許文献1に開示されている技術は、内径の油溝に沿って潤滑油が流れるために、負荷を受けることが少ない下側へも潤滑油が流れてしまい、より潤滑油が必要とされる上側に潤滑油を保持しておくことが困難となる場合がある。
特許文献2に開示されている技術は、プリンタヘッドに用いられる滑りスラスト軸受けに関する技術であって、射出成形機の可動プラテンとは対象となるものの大きさや重量が大きく異なっている。また、プリンタヘッドの進行方向が変わった際に、溝内を潤滑油が溝の形成方向に沿って移動することを前提としているため、プリンタヘッドに用いられているような粘度の低い潤滑油を用いる場合は有効であるが、射出成形機の可動プラテンに用いられるような、粘度の高いグリス等の場合には必ずしも同様の効果を発揮することはできない。
【0008】
そこで本発明は、射出成形機の可動部分に用いられる軸受けにおいて、必要とされる箇所に効果的にグリスを供給することによって、スムーズな運動を実現し、摩耗を低減させることが可能な射出成形機の滑り軸受けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に係る発明では、射出成形機の往復運動部または揺動運動部を支持する射出成形機の滑り軸受けにおいて、滑り軸受けの摺動面側に摺動面側油溝を設け、
該摺動面側油溝は前記滑り軸受け内に始点と終点とを有し、該摺動面側油溝は、前記摺動面側油溝の前記始点から中央部に向かって徐々に深くなり、該中央部から前記終点に向かって徐々に浅くなるように形成したことを特徴とする射出成形機の滑り軸受けが提供される。
すなわち、請求項1に係る発明では、
摺動面側油溝の軸受け中心軸線に対する垂直方向の断面形状の深さが、摺動面側油溝の始点から中央部に向かって徐々に深くなり、中央部から終点に向かって徐々に浅くなるように形成されているため、最もグリスが必要とされる箇所においてグリスを保持できる容積を大きくして潤滑性を高めつつ、溝が浅く形成されている両端部には、グリスを流出しにくくすることが可能とな
る。
【0010】
本願の請求項2に係る発明では、
前記滑り軸受けのハウジング側の面にハウジング側油溝を設け、該ハウジング側油溝と前記摺動面側油溝をつなぐ貫通穴を設けたことを特徴とする請求項1記載の射出成形機の滑り軸受けが提供される。
すなわち、請求項2に係る発明では、
滑り軸受けの摺動面側に設けた摺動面側油溝の断面形状の深さが、溝の両端部が浅く、中央部が深くなるように形成されているため、最もグリスが必要とされる箇所においてグリスを保持できる容積を大きくして潤滑性を高めつつ、溝が浅く形成されている両端部には、グリスを流出しにくくすることが可能となる。
また、滑り軸受けのハウジング側の面にも油溝を設け、両油溝をつなぐ貫通穴を設けているため、特に作業の頻度が頻繁に行われて、定期的にグリスの供給を行うことが必要とされる場合に、ハウジング側の面に設けられている油溝にグリスを供給することによって、貫通穴を経由して摺動面側油溝にグリスが供給されるため、グリスの供給作業を容易に行うことができる。
【0011】
本願の請求項3に係る発明では、
前記摺動面側油溝が形成された部分に軸方向の軸方向油溝をさらに形成したことを特徴とする請求項1記載の射出成形機の滑り軸受けが提供される。
すなわち、請求項3に係る発明では、
最もグリスが必要とされる箇所においてグリスを保持できる容積を大きくして潤滑性を高めつつ、溝が浅く形成されている両端部には、グリスを流出しにくくすることが可能となる。また、摺動面側油溝が形成された部分に軸方向の軸方向油溝をさらに形成したことによって、特にグリスが必要とされる箇所付近において、グリスを保持できる容積を大きくすることによって、さらに長期間にわたって潤滑性を高めるようにすることが可能となる。
【0012】
本願の請求項4に係る発明では、軸方向に位置をずらしたらせん形状としたことを特徴とする請求項
1に記載の射出成形機の滑り軸受けが提供される。
すなわち、請求項4に係る発明では、摺動面側油溝の形状を、軸方向に位置をずらしたらせん形状としたことによって、軸方向にまんべんなくグリスを供給することが容易となる。
【0013】
本願の請求項5に係る発明では、前記摺動面側油溝を、軸方向に複数設けたことを特徴とする請求項
1に記載の射出成形機の滑り軸受けが提供される。
すなわち、請求項5に係る発明では、摺動面側油溝を、軸方向に複数設けるようにしたことによって、軸方向にまんべんなくグリスを供給することが容易となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、射出成形機の可動部分に用いられる軸受けにおいて、必要とされる箇所に効果的にグリスを供給することによって、スムーズな運動を実現し、摩耗を低減させることが可能な射出成形機の滑り軸受けを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】射出成形機の型締機構部分を示した図である。
【
図3】第1の実施形態におけるブッシュの斜視図である。
【
図4】第1の実施形態におけるブッシュの側面図である。
【
図6】第2の実施形態におけるブッシュの斜視図である。
【
図7】第3の実施形態におけるブッシュの斜視図である。
【
図8】第4の実施形態におけるブッシュの斜視図である。
【
図9】第5の実施形態におけるブッシュの斜視図である。
【
図10】第6の実施形態におけるブッシュの斜視図である。
【
図11】従来技術におけるブッシュの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1は射出成形機の全体構成を示した図であり、
図2は射出成形機の型締機構部分を拡大した図である。射出成形機は基台上に設けられており、型締部Mcと射出部Miを備えている。射出部Miは樹脂材料(ペレット)を加熱溶融し、当該溶融樹脂を金型(固定側金型5、可動側金型6)のキャビティ内に射出するものである。型締部Mcは主に可動側金型6の開閉を行うものである。
【0017】
射出部Miにおいては、シリンダの先端にノズルが取り付けられ、シリンダ内にはスクリュが挿通されている。シリンダ内には、ホッパから樹脂が供給される。シリンダの型締部Mcと反対側には、スクリュを駆動する駆動部が設けられており、タイロッド部ブッシュ14を介してタイロッド13によりガイドされ、スクリュがタイロッドの軸方向に往復運動を行うことができる。
【0018】
型締部Mcにおいては、リアプラテンと固定プラテン4とはトグル機構部17と複数本のタイバー3によって連結されており、可動プラテン1も複数本のタイバー3によってガイドされるように配置されている。また、トグル機構部17を駆動するために、クロスヘッド19が設けられており、クロスヘッド19の往復運動は、ガイドロッド部ブッシュ16を介してガイドロッド15によりガイドされている。トグル機構部17においても揺動運動を行う部分にトグル機構部ブッシュ18が介在されている。そして、トグル機構部17によって、可動プラテン1をタイバー3の軸方向に前後に往復運動させることが可能である。
【0019】
可動プラテン1についても、ブッシュ2を介してタイバー3にガイドされるように構成されている。可動プラテン1、固定プラテン4には、それぞれ可動側金型6、固定側金型5が取り付けられている。ガイドロッド15によりガイドされたクロスヘッド19を前後に移動させることによって、可動プラテン1の位置を変えることができ、クロスヘッド19を前進させることによって、可動プラテン1も前進させられて型閉じ及び型締めが行われる。
【0020】
このように射出成形機においては、多くの箇所で往復運動や揺動運動を行う箇所があり、それらの箇所にはスムーズな運動を行うためにブッシュが設けられており、さらにグリスが供給されている。そこで、可動プラテン1とタイバー3との間に介在しているブッシュ2を例として、本発明の実施形態を説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図3〜
図5は、本発明の第1の実施形態を示した図であり、
図3はブッシュ2の斜視図、
図4は同側面図であり、
図5は
図4のA−A断面図である。本実施形態においては、ブッシュ2の内面側に油溝7が設けられている。
図5に示されているように、油溝7は、その深さが場所によって異なっており、油溝中央部7aが最も深く、そこから両端に向かって徐々に浅くなり油溝端部7bが最も浅くなるように形成されている。
【0022】
この油溝7にグリスを供給することで、油溝7内にグリスが保持されることとなる。かかるブッシュ2を可動プラテン1とタイバー3との間に配置する際には、通常可動プラテン1とタイバーとの接触面圧が最も大きくなる鉛直方向上側に、ブッシュ2の油溝中央部7aが来るように配置する。これにより、接触面圧が大きく、多量のグリスが必要とされる箇所が油溝7の深さが最も深く、グリスを保持できる容積が大きくなるため、潤滑性がよく可動プラテン1を往復移動させることができる。また、油溝7の溝の深さが両端部に近づくにつれて浅くなっていくため、比較的負荷を受けることが少ない油溝の外側へのグリスの流出を起こりにくくすることができる。
【0023】
ブッシュ2における油溝7を設ける範囲としては、
図5における油溝7の油溝中央部7aを中心として、両側90度、すなわち、軸中心部と同じ高さになるまでの範囲であれば適宜定めることができる。また、この範囲内においても特に油溝中央部7aを中心として、両側45〜60度程度が好ましい。これより狭い範囲となると、接触面圧が高くグリスが必要とされる箇所にグリスが供給されなくなるおそれがあり、逆にこれより広い範囲となると、接触面圧が低く、あまりグリスが必要とされない箇所にもグリスが供給されることとなることがある。
【0024】
また、油溝の幅や深さについては、深さが油溝中央部7aが最も深く、そこから両端に向かって徐々に浅くなり油溝端部7bが最も浅くなるように形成される範囲であれば、可動プラテン1とタイバー3の種類によって必要となるグリスの量の違いなどにより、適宜定めることが可能である。
【0025】
(第2の実施形態)
図6は第2の実施形態を示した図である。本実施形態においては、ブッシュ2の外径側にさらに油溝8を設け、内径側に設けた油溝7との間をつなぐ貫通穴9を設けている。これにより、作業が頻繁に行われて、定期的にグリスの追加供給を行うことが必要とされる場合に、外径側に設けた油溝8に外部からグリスを供給することによって、貫通穴9を経由して内径側の油溝7にグリスを供給することができる。そのため、内径側の油溝7にグリスを供給するために、ブッシュ2を外すといった作業を行う必要がなく、グリスの供給作業を容易に行うことが可能となる。
【0026】
(第3の実施形態)
図7は第3の実施形態を示した図である。本実施形態においては、ブッシュ2の内径側に設ける油溝を、らせん状の油溝10として形成されている。また、ブッシュ2の外径側にも油溝8を設け、外径側の油溝8と内径側の油溝10が重なる位置に両者の間をつなぐ貫通穴9を設けている。これにより、油溝10が軸方向の全体にわたって形成されることとなるため、軸方向にまんべんなくグリスを供給することを容易に行うことができる。
なお、本実施形態においては、ブッシュ2の内径側と外径側の双方に油溝を設けた例として説明したが、第1の実施形態と同様に、ブッシュ2の内径側のみにらせん状の油溝10を設けるようにする構成とすることもできる。
【0027】
(第4の実施形態)
図8は第4の実施形態を示した図である。本実施形態においては、ブッシュ2の内径側に設ける油溝を、複数本の油溝7として形成されている。また、ブッシュ2の外径側にも油溝8を設け、外径側の油溝8と内径側の油溝7とが重なる位置に両者の間をつなぐ貫通穴9を設けている。これにより、軸方向にまんべんなくグリスを供給することを容易に行うことができる。
なお、本実施形態においては、ブッシュ2の内径側と外径側の双方に油溝を設けた例として説明したが、第1の実施形態と同様に、ブッシュ2の内径側のみに複数本の油溝7を設けるようにする構成とすることもできる。
【0028】
(第5の実施形態)
図9は第5の実施形態を示した図である。本実施形態においては、ブッシュ2の内径側に設ける油溝として、らせん状の油溝10を複数本設けた構成とされている。また、ブッシュ2の外径側にも油溝8を設けており、複数本のらせん状の油溝10が交差する点において油溝8と重なるように構成し、それらの間をつなぐ貫通穴9が設けられている。これにより、軸方向にまんべんなくグリスを供給することを容易に行うことができる。
なお、本実施形態においては、ブッシュ2の内径側と外径側の双方に油溝を設けた例として説明したが、第1の実施形態と同様に、ブッシュ2の内径側のみに複数本のらせん状の油溝10を設けるようにする構成とすることもできる。
【0029】
(第6の実施形態)
図10は第6の実施形態を示した図である。本実施形態においては、ブッシュ2の内径側に設けた油溝7に直交する軸方向に、油溝7と連結する別の油溝11を設けた構成とされている。また、ブッシュ2の外径側にも油溝8を設けており、油溝7と油溝11が交差する点において油溝8と重なるように構成し、それらの間をつなぐ貫通穴9が設けられている。特に油溝11を油溝中央部7a付近において連結するような構成とすることによって、特にグリスが多く必要とされる箇所付近において、油溝が占める面積が多くなることから、その分グリスを保持できる容積が大きくなり、さらに長期間にわたって潤滑性を高めるようにすることが可能となる。
なお、本実施形態においては、ブッシュ2の内径側と外径側の双方に油溝を設けた例として説明したが、第1の実施形態と同様に、ブッシュ2の内径側のみに油溝7及び油溝11を設けるようにする構成とすることもできる。
【0030】
上記実施形態においては、可動プラテン1とタイバー3との間に介在させるブッシュ2を用いて説明したが、本発明は可動プラテン1とタイバー3との間のブッシュ2のみに適用できるものではなく、
図1に示されている射出部Miのタイロッド13に用いられているタイロッド部ブッシュ14、金型の開閉時に用いられるガイドロッド15に用いられているガイドロッド部ブッシュ16などの軸方向に往復運動を行う部分の滑り軸受けや、トグル機構部17に用いられているトグル機構部ブッシュ18などの軸の円周方向に揺動運動を行う部分の滑り軸受けにも適用することができる。
【0031】
タイロッド13に用いられるタイロッド部ブッシュ14に適用する場合には、タイバー3と可動プラテン1との関係と同様に、重量を支持する箇所の接触面圧が大きくなるため、油溝を鉛直方向上側に配置するようにして用いるのが好ましい。
【0032】
ガイドロッド15に用いられるガイドロッド部ブッシュ16に適用する場合には、ガイドロッド固定部が水平方向に変形し、水平方向内側の接触面圧が大きくなるため、油溝を水平方向の内側に配置するようにして用いることが好ましい。
【0033】
トグル機構部17に用いられるトグル機構部ブッシュ18に適用する場合には、型締力発生時に負荷を受ける側(一般的にはリンクの長手方向)に油溝を配置するようにすることが好ましい。変形例として、トグル機構部のように揺動運動を行う部分においては、接触面圧が小さい側に油溝を形成するようにすることもできる。その場合には、接触面圧が大きい側に油溝を形成しないことにより、接触部の接触面積が大きくなる。そのため、最大接触面圧を下げることが可能となる。また、軸はトグル機構部ブッシュ18に対して揺動運動を行うため、軸の最大接触面圧を受ける面も、毎サイクルごとに油溝部を通過するため、運動の潤滑性に支障をきたすことはない。
【符号の説明】
【0034】
Mi 射出部
Mc 型締部
1 可動プラテン
2 ブッシュ
3 タイバー
4 固定プラテン
5 固定側金型
6 可動側金型
7 油溝
7a 油溝中央部
7b 油溝端部
8 油溝(外径側)
9 貫通穴
10 油溝(らせん状)
11 油溝(軸方向)
12 油溝
13 タイロッド
14 タイロッド部ブッシュ
15 ガイドロッド
16 ガイドロッド部ブッシュ
17 トグル機構部
18 トグル機構部ブッシュ
19 クロスヘッド