(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワークを出し入れする開口部を有する容器本体と、前記開口部に着脱自在に装着され、該開口部を塞ぐ蓋と、を備えた容器に対して前記蓋の開閉を行う容器開閉装置であって、
前記蓋を保持する保持部を有し、前記蓋が前記開口部を塞ぐ閉位置と、前記蓋が前記開口部から離間した開位置と、の間で前記保持部を移動し、前記開口部を開閉する開閉機構と、
前記開閉機構により前記蓋を前記開位置から前記閉位置に向けて移動する際、前記保持部の周縁部を前記容器本体側へ向かって押圧する押圧機構と、
を備え、
前記押圧機構が、
押圧の駆動力を付与する駆動モータと、
前記駆動モータに連結され、水平面上で回動するアーム部材と、
前記アーム部材の先端に支持され、前記保持部における蓋保持側と反対側の面を前記容器本体側へ向かって押圧する押圧部と、
を備える、
ことを特徴とする容器開閉装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
図1は本発明の一実施形態に係る容器開閉装置Aの概略側断面図である。本実施形態では、FOUP、FOSBを開閉するロードポートに本発明の容器開閉装置を適用したものである。図中、Zは上下方向を示し、Xは水平方向を示す。
【0013】
容器100は、FOUP又はFOSBであり、ワークであるウエハWを出し入れする開口部102を側部に有する箱状の容器本体101と、開口部102に着脱自在に装着され、開口部102を塞ぐ蓋(ドア)103と、を有する。なお、
図1は、容器開閉装置Aにより蓋103が開放されて開位置に位置している状態を示している。
【0014】
容器開閉装置Aは、壁体1と、搭載部2と、開閉機構3と、押圧機構4と、を備える。壁体1は、面1aとその反対側の面1bとを有してZ方向に延びる板状体である。壁体1は蓋103が通過可能な水平方向に開口する孔部11と、開閉機構3との干渉を回避するスリット12と、を有している。
【0015】
容器本体100は、その開口部102が
図1に示すように孔部11に対向した姿勢で搭載部2に搭載され、面1b側に位置するロボット(不図示)が孔部11、開口部102を介して容器本体101内のウエハWにアクセス可能となっている。
【0016】
搭載部2は、壁体1に対して面1a側においてテーブル状に設けられている。搭載部2は容器100が搭載される可動のドックプレート21を備え、このドックプレート21は不図示の移動機構により、壁体1の孔部11に近接した位置(
図1に示す位置)と、離間した位置とでX方向に移動される。容器100の搬送時にはドックプレート21は孔部11から離間した位置に、容器100の開閉及び開放中はドックプレート21は孔部11に近接した位置に、それぞれ移動される。
【0017】
開閉機構3は、蓋103を保持する保持部(ポートドア)30と、保持部30を蓋103が開口部102を塞ぐ閉位置と、蓋103が開口部103から離間した開位置(
図1の位置)と、の間で移動する移動機構31と、を備え、開口部102を開閉する。本実施形態の場合、開位置は、蓋103が閉位置からX方向に離間し、かつ、Z方向下方に降下した位置となっている。
【0018】
保持部30は、蓋103に対向する保持面301と、保持面301と反対側の面(以下、被保持面という)302と、を有する。
図2Aは保持面301の説明図である。本実施形態の場合、保持部30は方形をなし、蓋103と同形で同じ大きさを有している。保持面301には、蓋103を着脱自在に吸着する吸着部303、303が設けられている。吸着部303は例えば吸着パッドである。保持面301には、また、容器本体101と蓋103との係合機構を操作するキー部304、304が設けられている。キー部304は、蓋103が保持面301に保持された状態において、蓋103に設けた係合機構と係合するように設けられ、その回動動作により蓋103と容器本体101との係合及び係合解除を操作する。
【0019】
図1に戻り、移動機構31は、移動機構31と保持部30とを連結する連結部32と、連結部32を介して保持部30を上下に昇降する上下移動機構33と、連結部32を介して保持部30をX方向に移動し、孔部11に進退させる水平移動機構34と、を備える。
【0020】
連結部32は、その上部が保持部30の下部に接続されており、その下部がステージ部材331にX方向にスライド自在に支持されている。水平移動機構34は、本実施形態の場合、ステージ部材331に搭載された電動シリンダであり、そのロッド部の水平移動により連結部32を介して保持部30をX方向に移動する。
【0021】
上下移動機構33は、ステージ部材331と、ステージ部材331と係合してその上下動を案内するレール部材332と、を備える。ステージ部材331にはボールナット331aが回転自在に設けられている。ボールナット331aにはボールねじ軸334が螺合してボールねじ機構を構成すると共に、ボールねじ軸334はステージ部材331を通過している。ボールねじ軸334の下端部にはモータ333が連結されており、モータ333によりボールねじ軸334が回転する。これによりステージ部材331が上下に移動し、連結部32を介して保持部30をZ方向に昇降することができる。
【0022】
図1及び
図2Bを参照して、押圧機構4は、開閉機構3により蓋103を開位置から閉位置に向けて移動する際、保持部30の周縁部を容器本体101側へ向かって押圧する機構である。本実施形態の場合、押圧機構4は、L字型のブラケット41と、ブラケット41に支持された駆動ユニット42と、駆動ユニット42に連結され、水平面上で回動するアーム部材43と、アーム部材43に支持された押圧部44と、を備える。
【0023】
駆動ユニット42はモータ等の駆動源42aと、駆動源42aの出力を減速する減速機42bと、を備え、アーム部材43はその一方端部が減速機42bの出力軸に取り付けられている。駆動源42aの駆動力によりアーム部材43が回動し、これにより押圧部44に押圧の駆動力が付与される。押圧部44は本実施形態の場合、ローラ体であり、アーム部材43の他方端部に回転自在に取り付けられている。
【0024】
押圧部44は、壁体1の面1b側における孔部11の周縁に位置しており、アーム部材43の回動によって、
図2Bにおいて二点鎖線で示す待機位置と実線で示す押圧位置との間を移動する。押圧部44が孔部11の周縁に位置していることで、ウエハWの出し入れを行うロボット(不図示)と押圧部44とが干渉することを防止できる。
【0025】
待機位置から押圧位置への移動の過程において、押圧部44は保持部30の被保持面302の上側周縁部を押圧する。これにより保持部30に保持されている蓋103の上縁部分も容器本体101側へ押圧されて、その閉鎖がより確実なものとなる。
【0026】
なお、押圧部44が待機位置にあるか押圧位置にあるかを検出する位置検出センサを設けてもよい。位置検出センサとしては、例えば、アーム部材43に設けた被検出片を検出する光センサ(フォトインタラプタ)が挙げられ、ブラケット41に支持させることができる。
【0027】
図3は容器開閉装置Aの制御装置110のブロック図である。制御装置110は、CPU等の処理部111と、RAM、ROM等の記憶部112と、外部デバイスと処理部111とをインターフェースするインターフェース部113と、を備える。インターフェース部113には、ホストコンピュータ等、上位のコンピュータや周辺装置(不図示)との通信を行う通信インターフェースも含まれる。
【0028】
処理部111は記憶部112に記憶されたプログラムを実行し、各種のセンサ115の検出結果や上位のコンピュータ等の指示に基づいて、各種のアクチュエータ114を制御する。各種のセンサ115には、例えば、押圧部44の位置検出センサ、保持部30のZ方向、X方向の位置検出センサ、ドックプレート21の位置検出センサ、容器100の有無検出センサ等が含まれる。
【0029】
アクチュエータ114には、駆動源42a、モータ333、水平移動機構(DCモータ(サーボモータ))34、ドックプレート21の移動機構の駆動源、キー部304の回動動作を行う機構の駆動源等が含まれる。処理部111は、特に、保持部30の開位置から閉位置への移動に際して、移動機構31による蓋103の移動と、押圧部44による保持部30の押圧とを同期制御することで、蓋103の閉鎖をより確実なものとする。以下、その一例を
図4、
図5A乃至
図5Cを参照して説明する。
図4は、制御装置110が実行する蓋103を閉鎖する際の制御例のフローチャート、
図5A乃至
図5Cは容器開閉装置Aの動作説明図である。
【0030】
図1に示した保持部30が開位置にある状態から、閉位置に移動させる場合、まず、押圧部44が待機位置に位置した状態で、処理部111は保持部30を上昇させる制御を行う(
図4のS1)。具体的には、処理部111は上下移動機構33によりステージ部材331を上昇させ、
図5Aに示すように容器本体101の開口部102に蓋103が対向する高さに保持部30を上昇させる。処理部111は、保持部30のZ方向の位置検出センサの検出結果を取得して保持部30の上昇が完了したかを確認し(
図4のS2)、確認できた場合は上下移動機構33を停止して
図4のS3、S4の処理へ進む。なお、一定時間内に保持部30の上昇完了が確認できない場合はエラー処理等を行う。
【0031】
次に、処理部111はS3で水平移動機構34により保持部30をX方向(容器本体101側)に移動して保持部30を閉位置に移動し、開口部102を蓋103で塞ぐ。このとき、処理部111は水平移動機構34のアクチュエータの駆動に同期して、S4で押圧機構4における駆動ユニット42を駆動する。この同期駆動(又はほぼ同期させた駆動)によって、アーム部材43が回動し、押圧部44が保持部30の被保持面302に当接する。このように、押圧部44が被保持面302を押圧した(支えた)まま水平移動機構34を駆動させることで、保持部30及び蓋103は、
図5Bに示すように、鉛直状態に保たれたまま閉位置に移動される。
【0032】
処理部111は、保持部30のX方向の位置検出センサ、押圧部44の位置検出センサの検出結果を取得して保持部30の閉位置移動が完了したかを確認し(
図4のS5)、その確認ができた場合は水平移動機構34、駆動ユニット42を停止して、
図4のS6の処理へ進む。なお、一定時間内にこれらの確認できない場合はエラー処理等を行う。
【0033】
押圧機構4におけるアーム部材43が完全に(例えば180°)回動し、押圧部44が
図5Cに示すように押圧位置へ移動することで、蓋103、特にその上部が容器本体101側に押圧されて蓋103が開口部102をより確実に閉鎖する。
【0034】
図4のS6において、処理部111はキー部304の回動動作を行う機構の駆動源を駆動して、キー部304を回動させ、蓋103と容器本体101との係合を行う。これにより、蓋103と容器本体101とがロックされる。以上により一単位の処理が終了する。
【0035】
なお、開口部102を開放すべく、保持部30を閉位置から開位置へ移動する手順は、上記と逆の手順となることは言うまでもない。また、押圧機構4は、保持部30の移動と同期的に駆動させる他に、閉位置への蓋103の移動が完了した後に駆動させるようにしても良い。
【0036】
こうして本実施形態では、押圧機構4を設けたことで、より確実に蓋103の閉鎖を行える。より詳細には、保持部30及び蓋103が鉛直状態に保たれたまま閉位置に移動されるため、蓋103の一方側だけが閉まり、他方側がしまっていない状態の発生を避けることができる。すなわち、蓋103が真っ直ぐな状態で閉まるため、蓋閉まり異常が発生する可能性が低減する。本実施形態では、開閉機構3の駆動力を増大して蓋103全体の水平移動力を増大するのではなく、押圧機構4により保持部30の周縁部を局所的に押圧する構成としたので、コストアップを押さえることができる。例えば、移動機構31(特に水平移動機構34)の駆動力はFOUP用に設定しても、押圧機構4を設けたことでFOSB用の容器開閉装置として利用可能となる。
【0037】
また、押圧機構4はブラケット41を介して壁体1に固定する方式としたので、例えば、FOSB用の容器開閉装置Aについては押圧機構4を搭載し、FOUP用の容器開閉装置Aについては押圧機構4を搭載しない、という選択が簡易に可能となる。
【0038】
本実施形態では、押圧部44により保持部30の上側周縁部を押圧する構成としたが、押圧する部位はこれに限られず、保持部30の左側及び/又は右側周縁部を押圧する構成としてもよい。
【0039】
尤も、本実施形態では、保持部30がその下部において移動機構31と連結されている構成のため、保持部30の上側部分において押圧力が弱くなる場合があり、蓋部103の上部において閉鎖が不十分となるおそれがある。よって、押圧部44により保持部30の上側周縁部を押圧する構成とすることで、より小さな押圧力で閉鎖不良を確実に回避できる。
【0040】
また、本実施形態では、押圧機構4による押圧箇所を1か所としたが保持部30の複数個所に渡って押圧するようにしてもよく、その場合、駆動ユニット42は共通としてもよいし、個別に設けてもよい。
【0041】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、押圧部44を水平面上で回動させて待機位置と押圧位置との間を移動させたが、垂直面上で回動させてもよい。
図6Aはその一例を示す。
【0042】
図6Aの押圧機構4Aは、壁体1に固定された駆動軸45Aを軸支するブラケット41Aと、駆動軸45Aに接続されたU字状のアーム部材43Aとを備え、アーム部材43Aにおける駆動軸45Aに接続されていない側の先端部が押圧部44Aを形成している。駆動軸45Aは水平方向に延設され、不図示の駆動ユニットにより回動駆動される。この駆動ユニットは、第1実施形態における駆動ユニット42と同様に、水平移動機構34のアクチュエータの駆動に同期駆動される。駆動軸45Aの回動駆動により、アーム部材43Aは二点鎖線の待機位置と、実線の押圧位置との間で回動し、押圧部44Aが垂直面(X−Z平面)上で回動する構成である。駆動ユニットとしては、サーボモータやロータリシリンダなどが挙げられる。
【0043】
<第3実施形態>
上記第1及び第2実施形態では、押圧部44、44Aを回動させる構成としたが、並進させる構成でもよい。
図6Bはその一例を示す。
【0044】
図6Bの押圧機構4Bは、壁体1に支持されたアクチュエータ42Bと、アーム部材43Bとを備える。アクチュエータ42Bは例えば電動シリンダ又はエアシリンダであり、アーム部材43Bを矢印方向(X方向)に移動する。このアクチュエータ42Bは、第1実施形態における駆動ユニット42と同様に、水平移動機構34のアクチュエータの駆動に同期駆動される。アーム部材43Bの先端部は押圧部44Bを形成している。アクチュエータ42Bの作動により、アーム部材43Bは二点鎖線の待機位置と、実線の押圧位置との間で前後動し、押圧部44Bが保持部30の被保持面302を押圧する。駆動ユニットとしては、他に電動シリンダやエアシリンダ、ボールネジやロータリシリンダなどが挙げられる。
【0045】
<第4実施形態>
押圧機構の別例について更に説明する。
図7Aに示す押圧機構4Cは、突出部4Caと、壁体1に設けられたガイド部46Cと、を備える。本実施形態では、突出部4Caをガイド部46Cのカム面46Caに当接させることで、保持部30を容器本体101側へ向かわせる反力を突出部4Caに対して与え、これにより保持部30の上側周縁部を押圧する構成である。
【0046】
突出部4Caは保持部30の内部に設けられた駆動機構により、保持面301の面方向と平行な方向(Z方向)に移動し、保持部30から突出する。この駆動機構については
図7Bを参照して説明する。
【0047】
駆動機構4Cbは、ロック機構5により作動される。ロック機構5はキー部304、304の回動動作を行い、蓋103と容器本体101との係合及び係合解除を操作する。まず、ロック機構5の構成について説明する。
【0048】
ロック機構5は駆動源としてモータ51を備える。モータ51の出力軸にはウォームが取り付けられ、ウォームホイール53と噛合してウォームギヤを構成している。ウォームホイール53は、その回転中心から偏心した位置において、リンク部材54、54と連結されている。リンク部材54、54には、それぞれキー部304、304が連結されている。しかして、モータ51によりウォームホイール53を180度回転する度に、キー部304、304が90度回動して蓋103と容器本体101との係合状態が、係合と解除で切り替わることになる。
【0049】
突出部4Caは、本実施形態の場合、保持面301の面方向と平行な方向に延びる押圧バー43Cと、その上端部に回転自在に軸支されたカムフォロワ44Cと、を備える。
【0050】
駆動機構4Cbは、押圧バー43CのZ方向の移動を案内するガイド部材42Caと、押圧バー43Cの下端部に設けられたカム機構と、を備える。ガイド部材42Caは保持部30に固定されている。このカム機構は、板カム42Cbと、カムフォロワ42Ccと、を備え、板カム42Cbは、ウォームホイール53と同心に接続されてウォームホイール53の回転と同期して回転し、その周面にはカム面が形成されている。カムフォロワ42Ccは押圧バー43Cの下端部に回転自在に軸支され、板カム42Cbのカム面に当接されている。
【0051】
板カム42Cbはその回転中心からそのカム面までの距離が連続的に変化した部分を有しており、この部分を利用して板カム42Cbの回転により押圧バー43CをZ方向に移動させることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、板カム42Cbを利用したカム機構で突出部4Caを移動させる構成としたが、他の種類のカム機構でもよく、また、カム機構以外の機構で突出部4Caを移動させる構成としてもよい。
【0053】
駆動機構4Cbがロック機構5により作動される構成としたことで、蓋103と容器本体101との係合及び係合解除に同期して押圧機構4Cによる押圧、解除動作が行うことができる。以下、動作例を
図8A及び
図8B並びに
図9A及び
図9Bを参照して説明する。
【0054】
図8Aは開閉機構3により保持部30を閉位置に位置させた状態を示す。同図では蓋103による開口部102の閉鎖が不十分であることを誇張して図示している。突出部4Caはガイド部46Cから離間した待機位置に位置している。
【0055】
図8Aの状態からロック機構5のモータ51を駆動して、キー部304、304により蓋103と容器本体101との係合状態を解除→係合に切り替え始める。モータ51の駆動により、駆動機構4Cbも作動して突出部4Caを上昇させる。
図8Bは突出部4Caの上昇途中の状態を示す。カムフォロワ44Cがガイド部46Cのカム面46Caに当接し、カム面46Caの法線方向に反力を受ける。この反力はガイド部材42Caを介して保持部30の本体に伝達され、保持部30(特にその上縁部)を容器本体101の方に向かわせる力となる。カム面46Caはその法線方向が容器本体101方向で下方向を指向するように垂直面から傾斜した傾斜面をなしており、保持部30が容器本体101の方に向かうようにカムフォロワ44Cを案内する。
【0056】
図9Aは突出部4Caの上昇が進行した状態を示す。保持部30が容器本体101側に移動している。
図9Bは突出部4Caの上昇が完了した状態を示す。このとき、保持部30は最も容器本体101側に位置しており、蓋103は開口部102を完全に塞いだ位置にある。逆にいえば、蓋103が開口部102を完全に塞いだ位置となるように、カム面46Caや突出部4Caの形状、移動量が設計される。また、板カム42Cbのカム面は、キー部304、304による、蓋103と容器本体101との解除状態から係合状態への切り替え完了までに突出部4Caの上昇が完了するように設計される。
【0057】
本実施形態では、このように確実に蓋103の閉鎖を行える。また、本実施形態では、ロック機構5の駆動力を利用して押圧機構4Cを作動する構成としたので、新規追加のアクチュエータを必要とせず、コストアップを押さえることができる。なお、本実施形態では、押圧機構4Cを保持部30の上縁部側に設ける構成としたが、側縁部側に設ける構成としてもよく、また、複数設けてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、ロック機構5のアクチュエータを活かした例を挙げて説明を行なったが、これに限定するものではない。例えば、別のアクチュエータを設けて駆動機構4Cbを作動して突出部4Caを上昇させるようにしてもよい。その場合、カム機構にとどまらず電動シリンダ等を使用してもよい。
【0059】
<第5実施形態>
押圧機構の別例について
図10A及び
図10Bを参照して説明する。
図10Aに示す押圧機構4Dは、保持部30の上部から背面側(容器本体101とは反対側)に傾斜させて突出した突出部43Dと、壁体1に設けられた係合部46Dと、を備える。なお、
図10Aは保持部30を開位置に位置させている。
【0060】
本実施形態の場合、連結部32がヒンジ部321を有しており、保持部30を壁体1側に所定の範囲で傾倒可能に支持する。保持部30の最大傾倒角度は、ヒンジ部321の構成(ストッパ等)により物理的に規制するようにしてもよい。また、本実施形態ではヒンジ部321により保持部30を傾倒可能としたが、弾性体(板バネ等)により弾性的に傾倒可能としてもよい。
【0061】
本実施形態の場合、突出部43Dは棒状の部材であり、その先端部にはカムフォロワ43D1が設けられる。突出部43Dは保持部30に固定される。突出部43Dは金属材料等、剛性の高い材料で構成されることが好ましい。また、突出部43Dを背面側に傾倒自在に設けても良い。この場合、背面側への傾倒限界を規定するストッパを併設することが好ましい。更に、突出部43Dを、可撓性を有する材料で構成し、背面側に自在に撓らせるようにしても良い。
【0062】
係合部46Dは壁体1の面1bにおける孔部11の上方に設けられており、突出部43Dの先端部が挿抜可能なように、本実施形態の場合、下向きに開放した開口(溝)を有している。係合部46Dは突出部43Dの先端部が挿抜可能で、係合可能であればどのような形状でもよい。
【0063】
次に、本実施形態の押圧機構4Dによる押圧動作について説明する。
図10Aに示した、保持部30が開位置にある状態から、まず、上下移動機構33によりステージ部材331を上昇させる。保持部30は壁体1側に傾倒した状態で上昇する。
【0064】
保持部30は
図10Aにおいて二点鎖線で示すように、孔部11に対向した位置まで上昇され、突出部43Dのカムフォロワ43D1が係合部46Dに挿入される。この段階では、カムフォロワ43D1は係合部46Dの内壁46D1に当接していない。そして、水平移動機構34を駆動し、保持部30を閉位置に向けてX方向に移動させると、蓋103の上側から開口部102内に深く入り、続いて蓋103の下側が開口部102内に入る。蓋103の下側が開口部102内に入り始め、保持部30が鉛直状態に近づくにつれて、突出部43Dが背面側に傾くので、カムフォロワ43D1が係合部46Dの内壁46D1に当接し、突出部43Dと係合部46Dが完全に係合状態となる。
【0065】
その後、突出部43Dが支え棒となって、突出部43Dから押圧力を受け、保持部30の上部が孔部11から離間する方向に移動することが規制される。
【0066】
その結果、保持部30の上部をより確実に開口部102を閉鎖する位置へ導くことができると共に、
図10Bに示すように、傾倒している保持部30が起立して保持部30全体が開口部102を塞ぐことになる。
【0067】
こうして本実施形態では、押圧機構4Dを設けたことで、より確実に蓋103の閉鎖を行える。本実施形態では、押圧機構4D自体に固有の駆動源を有しないので、コストアップを抑えることができる。なお、突出部43Dは保持部30の幅方向の複数個所に設けてもよい。
【0068】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。