特許第5727691号(P5727691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727691
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】光学ガラス、光学素子及び光学機器
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/068 20060101AFI20150514BHJP
   C03C 3/095 20060101ALI20150514BHJP
   C03C 3/097 20060101ALI20150514BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   C03C3/068
   C03C3/095
   C03C3/097
   G02B1/00
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2008-119336(P2008-119336)
(22)【出願日】2008年4月30日
(65)【公開番号】特開2009-269771(P2009-269771A)
(43)【公開日】2009年11月19日
【審査請求日】2010年12月17日
【審判番号】不服2014-1148(P2014-1148/J1)
【審判請求日】2014年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128784
【氏名又は名称】株式会社オハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】230113055
【弁護士】
【氏名又は名称】古城 春実
(74)【代理人】
【識別番号】230116388
【弁護士】
【氏名又は名称】早田 尚貴
(72)【発明者】
【氏名】巴 広明
【合議体】
【審判長】 川端 修
【審判官】 真々田 忠博
【審判官】 河原 英雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−43344(JP,A)
【文献】 特開昭54−3115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 3/062-3/068
G02B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
SiO成分を1.5〜36.5%
成分を8.0〜43.0%
La成分を8.0〜50.0%、及び
ZnO成分を3.59〜20.0%(但し、ZnO成分の含有量が12%以上のものを除く)
を含有し、
任意成分である
CaO成分の含有量が0〜11.00%、
ZrO成分の含有量が0〜3.90%、
Gd成分の含有量が0〜10.0%、
LiO成分の含有量が0〜0.50%、
MgO成分の含有量が0〜15.0%、
SrO成分の含有量が0〜25.0%、
BaO成分の含有量が0〜13.71%、
TiO成分の含有量が0〜10.0%、
Nb成分の含有量が0〜15.0%、
成分の含有量が0〜10.0%、
Yb成分の含有量が0〜10.0%、
Lu成分の含有量が0〜10.0%、
Al成分の含有量が0〜5.0%、
Ta成分の含有量が0〜10.0%、
WO成分の含有量が0〜10.0%及び
Sb成分の含有量が0〜1.0%
であり(但し、SnO成分の含有量が0.05%以上のものを除く)、
質量和(SiO+B)が44.5%以下であり、
質量和(MgO+CaO+SrO+BaO)が1.5%以上38.0%以下であり、
質量比(MgO+CaO+SrO+BaO)/(SiO)が0.60以上1.68以下であり、
質量和(TiO+Nb+ZrO)が2.8%以上17.0%以下であり、
質量和(SiO+B+La+ZnO+MgO+CaO+SrO+BaO+TiO+Nb+ZrO+Y+Al)が90.0%以上であり、
質量和(La+Gd+Y+Yb+Lu)が8.0%以上56.0%以下であり、
質量比(La+Gd+Y+Yb+Lu)/(La)が1.00以上1.20以下であり、
実質的に鉛化合物及びヒ素化合物を含有しない、
1.65以上1.77以下の屈折率(n)を有し、48以上60以下のアッベ数(ν)を有し、ガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが100℃以上である光学ガラス。
【請求項2】
酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
NaO成分 0〜0.20%、
O成分 0〜0.20%
の各成分をさらに含有する請求項1記載の光学ガラス。
【請求項3】
請求項1又は2記載の光学ガラスを母材とする光学素子。
【請求項4】
請求項1又は2記載の光学ガラスをリヒートプレス成形して作製する光学素子。
【請求項5】
請求項1又は2記載の光学ガラスからなるプリフォームを精密プレス成形して作製する光学素子。
【請求項6】
請求項1又は2記載の光学ガラスで作製された光学素子を備える光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラス、光学素子及び光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学系を使用する機器のデジタル化や高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影機器をはじめ、各種光学機器に用いられるレンズ等の光学素子に対する高精度化、軽量、及び小型化の要求は、ますます強まっている。
【0003】
光学素子を作製する光学ガラスの中でも特に、1.65以上1.77以下の屈折率(n)を有し、45以上60以下のアッベ数(ν)を有する高屈折率低分散ガラスの需要が非常に高まっている。このような高屈折率低分散ガラスとしては、例えば屈折率(n)が1.63以上1.76以下、アッベ数(ν)が48.0以上60.5以下の範囲内にある光学ガラスとして、特許文献1に代表されるようなガラス組成物が知られている。
【特許文献1】特開昭54−003115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした光学素子の製造方法としては、ガラス材料を加熱軟化して成形(リヒートプレス成形)して得られたガラス成形品を研削研磨する方法や、ゴブ又はガラスブロックを切断し研磨したプリフォーム材、若しくは公知の浮上成形等により成形されたプリフォーム材を加熱軟化して、高精度な成形面を持つ金型で加圧成形する方法(精密プレス成形)が用いられている。
【0005】
しかしながら、ガラスの失透を抑制するにはガラス成分の結晶化を抑制する必要があり、ガラス成分の結晶化を抑制するにはプレス時の温度と結晶化し始める温度との差が大きいほうが好ましい。すなわち結晶化開始温度(Tx)とガラス転移点(Tg)との差ΔTが大きい必要があるところ、特許文献1で開示されたガラスは結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが大きくなく、プレス時に失透しやすいものであった。そのため、これらの溶融ガラスから、リヒートプレス成形用のガラス材料や精密プレス成形用のゴブ又はガラスブロックを作製しようとしても、ガラスが失透してしまい、これらのガラスから光学素子を作製するのが困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性が高い光学ガラスと、これを用いた光学素子及び光学機器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、La成分をガラス中に含有することによってガラスの高屈折率低分散化が図られること、並びに、SiO成分、B成分、La成分、及びZnO成分を併用し、B成分、SiO成分、B成分、La成分、及びZnO成分の含有率を上記範囲内に抑えることによってガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが大きく、プレス時に失透が生じにくいことを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0008】
(1) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でSiO成分を0.5〜40.0%、B成分を5.0〜50.0%、La成分を5.0〜56.0%、及びZnO成分を0.5〜20.0%含有する光学ガラス。
【0009】
(2) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
MgO成分 0〜15.0%及び/又は
CaO成分 0〜20.0%及び/又は
SrO成分 0〜20.0%及び/又は
BaO成分 0〜35.0%
の各成分をさらに含有する(1)記載の光学ガラス。
【0010】
(3) 酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量和(MgO+CaO+SrO+BaO)が2.0%以上38.0%以下である(2)記載の光学ガラス。
【0011】
(4) 酸化物換算組成の質量比(MgO+CaO+SrO+BaO)/(SiO)が0.60以上1.65以下である(2)又は(3)記載の光学ガラス。
【0012】
(5) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
TiO成分 0〜10.0%及び/又は
Nb成分 0〜15.0%及び/又は
ZrO成分 0〜15.0%
の各成分をさらに含有する(1)から(4)のいずれか記載の光学ガラス。
【0013】
(6) 酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量和(TiO+Nb+ZrO)が2.8%以上17.0%以下である(5)記載の光学ガラス。
【0014】
(7) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
Gd成分 0〜10.0%及び/又は
成分 0〜10.0%及び/又は
Yb成分 0〜10.0%及び/又は
Lu成分 0〜10.0%及び/又は
の各成分をさらに含有する(1)から(6)のいずれか記載の光学ガラス。
【0015】
(8) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でAl成分を0〜5.0%さらに含有する(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
【0016】
(9) 酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量和(SiO+B+La+ZnO+MgO+CaO+SrO+BaO+TiO+Nb+ZrO+Al)が90.0%以上である(8)記載の光学ガラス。
【0017】
(10) 酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量和(La+Gd+Y+Yb+Lu)が5.0%以上56.0%以下である(7)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
【0018】
(11) 酸化物換算組成の質量比(La+Gd+Y+Yb+Lu)/(La)が1.00以上1.20以下である(7)から(10)のいずれか記載の光学ガラス。
【0019】
(12) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
LiO成分 0〜20.0%及び/又は
NaO成分 0〜25.0%及び/又は
O成分 0〜25.0%及び/又は
Ta成分 0〜10.0%及び/又は
WO成分 0〜10.0%及び/又は
Sb成分 0〜1.0%
の各成分をさらに含有する(1)から(11)のいずれか記載の光学ガラス。
【0020】
(13) 実質的に鉛化合物及びヒ素化合物を含有しない(1)から(12)のいずれか記載の光学ガラス。
【0021】
(14) 1.65以上1.77以下の屈折率(n)を有し、45以上60以下のアッベ数(ν)を有する(1)から(13)のいずれか記載の光学ガラス。
【0022】
(15) (1)から(14)のいずれか記載の光学ガラスを母材とする光学素子。
【0023】
(16) (1)から(14)のいずれか記載の光学ガラスをリヒートプレス成形して作製する光学素子。
【0024】
(17) (1)から(14)のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォームを精密プレス成形して作製する光学素子。
【0025】
(18) (1)から(14)のいずれか記載の光学ガラスで作製された光学素子を備える光学機器。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、SiO成分、B成分、La成分、及びZnO成分を併用し、B成分、SiO成分、B成分、La成分、及びZnO成分の含有率を上記範囲内に抑えることによって、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性が高い光学ガラスと、これを用いた光学素子及び光学機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でSiO成分を0.5〜40.0%、B成分を5.0〜50.0%、La成分を5.0〜56.0%、及びZnO成分を0.5〜20.0%含有する。La成分を加えることによって、ガラスの屈折率が高められて分散が抑えられる。また、SiO成分、B成分、La成分、及びZnO成分を併用し、B成分、SiO成分、B成分、La成分、及びZnO成分の含有率を上記範囲内に抑えることによって、ガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが大きくなる。このため、屈折率(n)が1.65以上1.77以下の範囲内にあり、アッベ数(ν)が45以上60以下の範囲内にありながら、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性が高い光学ガラスを得ることができる。
【0028】
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
【0029】
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有率は特に断りがない場合は、全て酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
【0030】
<必須成分、任意成分について>
SiO成分は、ガラス内部で網目構造を形成し、安定なガラス形成を促して、光学ガラスとして好ましくないガラスを作製する際の失透(結晶物の発生)や脈理(ガラス内部の不均一性)を抑制する成分である。特に、SiO成分の含有率を0.5%以上にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。一方、SiO成分の含有率を40.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSiO成分の含有率は、好ましくは0.5%、より好ましくは1.0%、最も好ましくは1.5%を下限とし、好ましくは40.0%、より好ましくは38.0%、最も好ましくは35.0%を上限とする。SiO成分は、原料として例えばSiO、KSiF、NaSiF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0031】
成分は、ガラス内部で網目構造を形成し、安定なガラス形成を促す成分である。特に、B成分の含有率を5.0%以上にすることで、ガラスの溶融性を改善することにより安定なガラスを得易くすることができる。一方、B成分の含有率を50.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するB成分の含有率は、好ましくは5.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは10.0%を下限とし、好ましくは50.0%、より好ましくは48.0%、最も好ましくは45.0%を上限とする。B成分は、原料として例えばHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0032】
La成分は、ガラスの屈折率を高めて分散を小さくする成分である。特に、La成分の含有率を5.0%以上にすることで、所望の高屈折率及び低分散を得易くすることができる。一方、La成分の含有率を56.0%以下にすることで、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性をより高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLa成分の含有率は、好ましくは5.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは10.0%を下限とし、好ましくは56.0%、より好ましくは53.0%、最も好ましくは50.0%を上限とする。La成分は、原料として例えばLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)等を用いてガラス内に含有することができる。
【0033】
ZnO成分は、ガラスの溶融性を改善して安定なガラスを形成し易くする成分である。特に、ZnO成分の含有率を0.5%以上にすることで、安定なガラス成形を容易にすることができる。一方、ZnO成分の含有率を20.0%以下にすることで、溶融時の失透発生を抑制することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するZnO成分の含有率は、好ましくは0.5%、より好ましくは0.8%、最も好ましくは1.0%を下限とし、好ましくは20.0%、より好ましくは18.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。ZnO成分は、原料として例えばZnO、ZnF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0034】
MgO成分は、ガラスの屈折率を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、MgO成分の含有率を15.0%以下にすることで、ガラスの溶融時の失透発生を抑制することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するMgO成分の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは13.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。MgO成分は、原料として例えばMgCO、MgF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0035】
CaO成分は、ガラスの屈折率及び分散を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、CaO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するCaO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは18.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。CaO成分は、原料として例えばCaCO、CaF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0036】
SrO成分は、ガラスの屈折率及び分散を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、SrO成分の含有率を25.0%以下にすることで、失透発生を抑制することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSrO成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは23.0%、最も好ましくは21.0%を上限とする。SrO成分は、原料として例えばSr(NO、SrF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0037】
BaO成分は、ガラスの屈折率を高めて分散を小さくする成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、BaO成分の含有率を35.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するBaO成分の含有率は、好ましくは35.0%、より好ましくは34.5%、最も好ましくは34.1%を上限とする。BaO成分は、原料として例えばBaCO、Ba(NO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0038】
本発明の光学ガラスでは、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有率の質量和が、1.5%以上38.0%以下であることが好ましい。この質量和を1.5%以上にすることで、ガラスの安定性を高めて溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性を高めることができる。また、この質量和を38.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するRO成分の含有率の質量和は、好ましくは1.5%、より好ましくは1.8%、最も好ましくは2.0%を下限とし、好ましくは38.0%、より好ましくは37.0%、最も好ましくは36.0%を上限とする。
【0039】
また、本発明の光学ガラスでは、SiO成分の含有量に対するRO成分の含有量の質量比が0.60以上1.68以下であることが好ましい。この質量比を0.60以上にすることで、ガラスの安定性を高めて溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性を高めることができる。また、この質量比を1.68以下にすることで、ガラスの網目構造を形成し易くしてガラス化を容易にすることができる。従って、酸化物換算組成のSiOの含有量に対するRO成分の含有量の質量比は、好ましくは0.60、より好ましくは0.61、最も好ましくは0.62を下限とし、好ましくは1.68、より好ましくは1.66、最も好ましくは1.65を上限とする。
【0040】
TiO成分は、ガラスの屈折率を高め、ガラスの分散を大きくして、化学的耐久性を高める成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、TiO成分の含有率を10.0%以下にすることで、所望の低分散を得易くし、ガラスへの着色を低減し、特に可視短波長(500nm以下)における透過率を悪化し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するTiO成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。TiO成分は、原料として例えばTiO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0041】
Nb成分は、ガラスの屈折率を高め、ガラスの化学的耐久性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Nb成分の含有率を10.0%以下にすることで、所望の低分散を得易くし、ガラスの安定した成形を容易にすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するNb成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。Nb成分は、原料として例えばNb等を用いてガラス内に含有することができる。
【0042】
ZrO成分は、ガラスの屈折率を高め、ガラスの化学的耐久性を高める成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、ZrO成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの製造時における高温での溶解を回避し、ガラス製造時のエネルギー損失を低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するZrO成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、最も好ましくは8.5%を上限とする。ZrO成分は、原料として例えばZrO、ZrF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0043】
本発明の光学ガラスでは、TiO成分、Nb成分、及びZrO成分の含有率の質量和が、2.8%以上17.0%以下であることが好ましい。この質量和を2.8%以上にすることで、高屈折率を有し、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性が高いガラスを得易くすることができる。また、この質量和を17.0%以下にすることで、所望のガラスの低分散を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するTiO成分、Nb成分、及びZrO成分の含有率の質量和は、好ましくは2.8%、より好ましくは3.0%、最も好ましくは3.2%を下限とし、好ましくは17.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは12.0%を上限とする。
【0044】
Gd成分は、ガラスの屈折率を高めて分散を小さくする成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Gd成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減し、ガラスを作製する際にガラスを失透し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するGd成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは7.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。Gd成分は、原料として例えばGd、GdF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0045】
成分は、ガラスの屈折率を高めて分散を小さくする成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Y成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減し、ガラスを作製する際にガラスを失透し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するY成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは7.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。Y成分は、原料として例えばY、YF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0046】
Yb成分は、ガラスの屈折率を高める成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Yb成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するYb成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは7.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。Yb成分は、原料として例えばYb等を用いてガラス内に含有することができる。
【0047】
Lu成分は、ガラスの屈折率を高めて分散を小さくする成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Lu成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLu成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは7.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。Lu成分は、原料として例えばLu等を用いてガラス内に含有することができる。
【0048】
本発明の光学ガラスでは、La成分、Gd成分、Y成分、Yb成分、及びLu成分の含有率の質量和が、5.0%以上56.0%以下であることが好ましい。この質量和を5.0%以上にすることで、所望の高屈折率及び低分散を得易くすることができる。また、この質量和を56.0%以下にすることで、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性をより高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLa成分、Gd成分、Y成分、Yb成分、及びLu成分の含有率の質量和は、好ましくは5.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは10.0%を下限とし、好ましくは56.0%、より好ましくは54.0%、最も好ましくは53.0%を上限とする。
【0049】
また、本発明の光学ガラスでは、La成分の含有量に対する質量和(La+Gd+Y+Yb+Lu)の質量比が、1.00以上1.20以下であることが好ましい。この質量比を1.20以下にすることで、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性をより高めることができる。従って、この質量比は、好ましくは1.20、より好ましくは1.17、最も好ましくは1.15を上限とする。
【0050】
Al成分は、光学ガラスの化学的耐久性を高め、溶融ガラスからガラスを作製したときの耐失透性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Al成分の含有率を5.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑制することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するAl成分の含有率は、好ましくは5.0%、より好ましくは4.0%、最も好ましくは3.5%を上限とする。Al成分は、原料として例えばAl、Al(OH)、AlF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0051】
本発明の光学ガラスでは、SiO成分、B成分、La成分、ZnO成分、MgO成分、CaO成分、SrO成分、BaO成分、TiO成分、Nb成分、ZrO成分、Y成分、及びAl成分の含有率の質量和が90.0%以上であることが好ましい。この質量和を90.0%以上にすることで、ガラスの安定性を高め、成形時の耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するこの質量和は、好ましくは90.0%、より好ましくは95.0%、最も好ましくは98.0%を下限とする。
【0052】
LiO成分は、ガラスの溶融性を改善する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、LiO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くして、ガラスの安定性を高めて失透等を生じ難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLiO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは18.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。LiO成分は、原料として例えばLiCO、LiNO、LiF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0053】
NaO成分は、ガラスの溶融性を改善する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、NaO成分の含有率を25.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くして、ガラスの安定性を高めて失透等を生じ難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するNaO成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは23.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。NaO成分は、原料として例えばNaCO、NaNO、NaF、NaSiF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0054】
O成分は、ガラスの溶融性を改善する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、KO成分の含有率を25.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くして、ガラスの安定性を高めて失透等を生じ難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するKO成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは23.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。KO成分は、原料として例えばKCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いてガラス内に含有することができる。
【0055】
Ta成分は、ガラスの屈折率を高め、ガラスを安定化する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Ta成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減するとともに、高温での溶解を回避してガラス製造時のエネルギー損失を低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するTa成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。Ta成分は、原料として例えばTa等を用いてガラス内に含有することができる。
【0056】
WO成分は、ガラスの屈折率を高め、ガラスの分散を大きくして、ガラスの化学的耐久性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、WO成分の含有率を10.0%以下にすることで、特に可視短波長(500nm以下)における透過率を悪化し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するWO成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。WO成分は、原料として例えばWO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0057】
Sb成分は、溶融ガラスを脱泡する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Sb成分の含有率を1.0%以下にすることで、可視短波長における透過率を悪化し難くし、ガラス溶融時における過度の発泡を生じ難くし、Sb成分が溶解設備(特にPt等の貴金属)と合金化し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSb成分の含有率は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.8%、最も好ましくは0.5%を上限とする。Sb成分は、原料として例えばSb、Sb、NaSb・5HO等を用いてガラス内に含有することができる。
【0058】
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
【0059】
本発明の光学ガラスには、他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、GeO成分はガラスの分散を高めてしまうため、実質的に含まないことが好ましい。
【0060】
また、Tiを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
【0061】
さらに、PbO等の鉛化合物及びAs等のヒ素化合物、並びに、Th、Cd、Tl、Os、Be、Seの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、光学ガラスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなる。そのため、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、この光学ガラスを製造し、加工し、及び廃棄することができる。
【0062】
本発明のガラス組成物は、その組成が酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表されているため直接的にモル%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各成分のモル%表示による組成は、酸化物換算組成で概ね以下の値をとる。
SiO成分 1.0〜60.0mol%及び
成分 7.0〜75.0mol%及び
La成分 2.0〜20.0mol%及び
ZnO成分 1.0〜25.0mol%、
並びに
MgO成分 0〜45.0mol%及び/又は
CaO成分 0〜30.0mol%及び/又は
SrO成分 0〜30.0mol%及び/又は
BaO成分 0〜25.0mol%及び/又は
TiO成分 0〜12.0mol%及び/又は
Nb成分 0〜7.0mol%及び/又は
ZrO成分 0〜12.0mol%及び/又は
Gd成分 0〜5.0mol%及び/又は
成分 0〜5.0mol%及び/又は
Yb成分 0〜5.0mol%及び/又は
Lu成分 0〜5.0mol%及び/又は
Al成分 0〜5.0mol%及び/又は
LiO成分 0〜60.0mol%及び/又は
NaO成分 0〜45.0mol%及び/又は
O成分 0〜30.0mol%及び/又は
Ta成分 0〜3.0mol%及び/又は
WO成分 0〜5.0mol%及び/又は
Sb成分 0〜0.3mol%
【0063】
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有率の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝、石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して粗溶融した後、金坩堝、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて1300〜1400℃の温度範囲で3〜4時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1200℃以下の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより作製される。
【0064】
[物性]
本発明の光学ガラスは、所望の屈折率(n)を有するとともに、低い分散(高いアッベ数)を有する必要がある。特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.65、より好ましくは1.66、最も好ましくは1.67を下限とし、好ましくは1.77、より好ましくは1.76、最も好ましくは1.75を上限とする。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは45、より好ましくは48、最も好ましくは50を下限とし、好ましくは60、より好ましくは57、最も好ましくは55を上限とする。これらにより、光学設計の自由度が広がり、更に素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。
【0065】
また、本発明の光学ガラスは、ガラス材料を加熱軟化して成形(リヒートプレス成形)を行う際の耐失透性が高いことや、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性が高いことが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスのガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTは、好ましくは100℃、より好ましくは110℃、最も好ましくは118℃を下限とする。また、本発明の光学ガラスに対して示差熱分析(DTA)を行った融液から降温する際の結晶化による発熱ピーク温度は、好ましくは750℃、より好ましくは730℃、最も好ましくは700℃を上限とする。これらにより、ガラスの熱的安定性が高められてガラス成分の結晶核の生成が低減されるとともに、より低い温度で溶融ガラスを流出してガラスを形成してもガラス成分の結晶の成長が低減されるため、失透によるガラスの光学特性への影響を低減することができる。
【0066】
[光学素子及び光学機器]
このように、本発明の光学ガラスは、様々な光学素子及び光学設計に有用であるが、その中でも特に、本発明の光学ガラスからリヒートプレス成形や精密プレス成形等の手段を用いて、レンズやプリズム等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、カメラやプロジェクタ等の光学機器に用いたときに、高精細で高精度な結像特性及び投影特性を実現することができる。
【実施例】
【0067】
本発明の実施例(No.1〜No.15)及び比較例(No.1)のガラスの組成、及び、これらのガラスの屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移点(Tg)、結晶化開始温度(Tx)、ガラス転移点及び結晶化開始温度の差(ΔT)、並びに、結晶化ピーク温度の結果を表1及び表2に示す。このうち、実施例(No.4〜No.11)と実施例(No.13〜No.15)は、本発明の参考例である。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
【0068】
本発明の実施例(No.1〜No.15)の光学ガラス及び比較例(No.1)のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表1及び表2に示した各実施例及び比較例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で1300〜1350℃の温度範囲で3〜4時間溶解し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1150℃以下に温度を下げて攪拌均質化してから金型に鋳込み、徐冷してガラスを作製した。
【0069】
ここで、実施例(No.1〜No.15)の光学ガラス及び比較例(No.1)のガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)は、徐冷降温速度を−25℃/hにして得られたガラスについて測定を行うことで求めた。
【0070】
また、実施例(No.1〜No.15)の光学ガラス及び比較例(No.1)のガラスのガラス転移点(Tg)及び結晶化開始温度(Tx)は、示差熱測定装置(ネッチゲレテバウ社製 STA 409 CD)を用いた測定を行うことで求めた。ここで、測定を行う際のサンプル粒度は425〜600μmとし、昇温速度は10℃/minとした。また、ΔTは、上記により求められたガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差から求めた。さらに、上記昇温を1200℃まで行って完全に融液の状態にした後に、降温速度を10℃/minとして300℃まで冷却することにより、融液からの結晶化ピーク温度を求めた。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
表1及び表2に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、示差熱分析(DTA)を用いて測定したところ、ΔTは100℃以上、より詳細には110℃以上であった。一方で、比較例のガラスは、ΔTが100℃未満であった。また、いずれも融液からの結晶化ピーク温度が750℃以下、より詳細には700℃以下であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べてガラス成分の結晶核が生成し難く、また結晶核から結晶が成長し難いため、ガラスの耐失透性が高いことが明らかになった。
【0074】
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.65以上、より詳細には1.67以上であるとともに、この屈折率(n)は1.77以下、より詳細には1.75以下であり、所望の範囲内であった。
【0075】
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が45以上、より詳細には50以上であるとともに、このアッベ数(ν)は60以下、より詳細には55以下であり、所望の範囲内であった。一方で、比較例のガラスは、アッベ数(ν)が45未満であった。
【0076】
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、屈折率(n)、アッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性が高いことが明らかになった。
【0077】
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、リヒートプレス成形を行った後で研削及び研磨を行い、レンズ及びプリズムの形状に加工した。また、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、精密プレス成形用プリフォームを形成し、精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形加工した。いずれの場合も、加熱軟化後のガラスに乳白化及び失透等の問題は生じず、安定に様々なレンズ及びプリズムの形状に加工することができた。
【0078】
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。