(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727704
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
G01D 7/00 20060101AFI20150514BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
G01D7/00 K
B60K35/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-16662(P2010-16662)
(22)【出願日】2010年1月28日
(65)【公開番号】特開2011-153973(P2011-153973A)
(43)【公開日】2011年8月11日
【審査請求日】2012年12月14日
【審判番号】不服2014-10796(P2014-10796/J1)
【審判請求日】2014年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山添 真樹
(72)【発明者】
【氏名】廣江 謙一郎
【合議体】
【審判長】
清水 稔
【審判官】
武田 知晋
【審判官】
新川 圭二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−97976(JP,A)
【文献】
実開昭56−110308(JP,U)
【文献】
特開平2−120618(JP,A)
【文献】
特開平10−104023(JP,A)
【文献】
特開昭57−149915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00- 7/12
B60K35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器と、前記表示器に車両状態を表示させる制御手段と、前記車両状態に関する警報情報を報知する閾値である警報設定値を設定する設定手段と、を備えた車両用表示装置であって、
前記制御手段は、目盛部と、前記車両状態の現在値を数字にて表す第一の数字表示部と、前記警報設定値を数字にて表す第二の数字表示部と、を前記表示器に表示させると共に、
前記制御手段は、前記表示器に、前記目盛部を指示することにより前記警報設定値を表す指示部を前記第二の数字表示部に近接して表示させることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記車両状態の前記現在値をバーグラフにて表すバーグラフ表示部を前記表示器に表示させることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記目盛部は、前記警報設定値に応じて変更される所定範囲に対応することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両速度,冷却水温度等の車両状態を表示する車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用表示装置としては、速度計,回転計,燃料計,冷却水温度計等を有するコンビネーションメータとして搭載されるものや、スーパーチャージャあるいはターボ付の車両に搭載されることが多い吸気圧計,排気温度計等があり、例えば特許文献1に開示されている。斯かる車両用表示装置は、各種の車両状態を各種センサやイグニッションパルス,スピードパルス等にて検出し、アナログ式表示部あるいはデジタル表示部等の状態表示部によって各種の車両状態を表示するものである。
【0003】
車両状態が所定の警報設定値以上になったときには、音声等で警報情報が報知される。例えば、冷却水温度が所定値以上になったときは、デジタル表示部を点滅表示させると共に、警報音を発することにより、冷却水温度が高くなっていることを使用者に報知する。なお、使用者は、車両用表示装置を通常モードから設定モードに移行させて、警報設定値を任意に設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−326360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、使用者が警報設定値を確認したい場合、押ボタンを操作することにより設定モードに移行して警報設定値を確認しなければならないため、警報設定値を確認するための操作が煩わしいという問題を有していた。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、使用者が警報設定値を容易に確認できる車両用表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、表示器13と、前記表示器13に車両状態を表示させる制御手段12と、前記車両状態に関する警報情報を報知する閾値である警報設定値を設定する設定手段11と、を備えた車両用表示装置10であって、前記制御手段12は、目盛部31,41と、前記車両状態の現在値を数字にて表す第一の数字表示部33,43と、前記警報設定値を数字にて表す第二の数字表示部34,44と、を前記表示器13に表示させる
と共に、前記制御手段12は、前記表示器13に、前記目盛部31,41を指示することにより前記警報設定値を表す指示部32,42を前記第二の数字表示部33,44に近接して表示させるものである。
【0007】
また、本発明は、前記制御手段12は、前記車両状態が前記警報設定値を含む所定範囲であるときに、前記車両状態の前記現在値をバーグラフにて表すバーグラフ表示部35,45を前記表示器13に表示させるものである。
【0008】
また、本発明は、前記目盛部31,41は、前記警報設定値に応じて変更される所定範囲に対応するものである。
【発明の効果】
【0009】
目盛部を指示することにより警報設定値を表す指示部と、警報設定値を数字にて表す第二の数字表示部とを表示することにより、使用者が警報設定値を容易に確認できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態を説明する。
【0012】
車両用表示装置10は、操作器(設定手段)11と、制御部(制御手段)12と、表示器13とから構成されている。操作器11は、車両用表示装置10を起動させるための押ボタンスイッチや、警報設定値を設定するための押ボタンスイッチを備えている。制御部12は、マイコン14及び駆動回路15からなるものである。マイコン14は、後述する各種センサからデータを入力し、駆動回路15を介して、表示器13に各種の車両状態を表示させる。表示器13は、ドットマトリクス型の有機EL表示パネルからなるものである。
【0013】
21はエンジンオイル温度センサであり、このエンジンオイル温度センサ21は車両のエンジンオイルの温度を検知して、エンジンオイル温度データをマイコン14に出力する。22は冷却水温度センサであり、この冷却水温度センサ22はエンジンの冷却水の温度を検知して、冷却水温度データをマイコン14に出力する。23は車速センサであり、この車速センサ23は車両の走行速度を検知して、車速データをマイコン14に出力する。24は油圧センサであり、この油圧センサ24は車両のエンジンオイルの圧力を検知して、油圧データをマイコン14に出力する。
【0014】
図2は表示器13の画面の表示例を示している。表示器13の画面は、油温表示領域30,水温表示領域40,車速表示領域50,油圧表示領域60を有している。油温表示領域30及び水温表示領域40と、車速表示領域50及び油圧表示領域60との間には、横方向に伸長する境界線70が表示される。油温表示領域30及び水温表示領域40は境界線70の上側に、車速表示領域50及び油圧表示領域60は境界線70の下側に夫々表示される。
【0015】
油温表示領域30には、目盛部31と、この目盛部31を指示することによりエンジンオイル温度の警報設定値を表す指示部32と、油温の現在値を数字にて表す数字表示部(第一の数字表示部)33と、エンジンオイル温度の警報設定値を数字にて表す数字表示部(第二の数字表示部)34とが表示される。指示部32は、略三角形のマークからなるものであり、数字表示部34に近接して表示される。
【0016】
油温表示領域30の目盛部31は、縦方向に連設された多数の短い線状指標からなるものである。目盛部31は、指示部32に指示される警報設定値を含む所定範囲に対応しており、例えば、エンジンオイル温度の警報設定値が110℃である場合、目盛部31の上端は115℃に相当し、目盛部31の下端は95℃に相当する。したがって、エンジンオイル温度の現在値が95℃未満であるときは、後述するバーグラフ表示部は表示されない。
【0017】
エンジンオイル温度の警報設定値が操作器11によって変更されると、目盛部31の下端から上端に相当する所定範囲も変更される。例えば、エンジンオイル温度の警報設定値が120℃に設定されると、目盛部31の上端は125℃に相当し、目盛部31の下端は105℃に相当する。つまり、エンジンオイル温度の警報設定値が変更されても目盛部31及び指示部32は、外観上は何ら変更されないが、設定変更された警報設定値を基準として、目盛部31の両端に相当する所定範囲が変更される。
【0018】
水温表示領域40には、目盛部41と、この目盛部41を指示することにより冷却水温度の警報設定値を表す指示部42と、冷却水温度の現在値を数字にて表す数字表示部(第一の数字表示部)43と、冷却水温度の警報設定値を数字にて表す数字表示部(第二の数字表示部)44とが表示される。指示部42は、略三角形のマークからなるものであり、数字表示部44に近接して表示される。
【0019】
水温表示領域40の目盛部41は、縦方向に連設された多数の短い線状指標からなるものである。目盛部41は、指示部42に指示される警報設定値を含む所定範囲に対応しており、例えば、冷却水温度の警報設定値が120℃である場合、目盛部41の上端は125℃に相当し、目盛部41の下端は105℃に相当する。したがって、冷却水温度の現在値が105℃未満であるときは、後述するバーグラフ表示部は表示されない。
【0020】
冷却水温度の警報設定値が操作器11によって変更されると、目盛部41の下端から上端に相当する所定範囲も変更される。例えば、冷却水温度の警報設定値が125℃に設定されると、目盛部41の上端は130℃に相当し、目盛部41の下端は110℃に相当する。つまり、冷却水温度の警報設定値が変更されても目盛部41及び指示部42は、外観上は何ら変更されないが、設定変更された警報設定値を基準として、目盛部41の両端に相当する所定範囲が変更される。
【0021】
車速表示領域50には、車速の現在値を数字にて表す数字表示部51が表示される。油圧表示領域60には、油圧の現在値を数字にて表す数字表示部61が表示される。
【0022】
次に、
図3に基づいて、油温表示領域30のバーグラフ表示部35について説明する。
図3は、エンジンオイル温度の警報設定値が110℃であり、エンジンオイル温度の現在値が100℃である状態を示している。エンジンオイル温度の警報設定値が110℃に設定されている場合、目盛部31の下端から上端は、警報設定値を含む所定範囲(95℃〜115℃)に相当する。したがって、エンジンオイル温度の現在値が100℃であるときは、目盛部31の下端に相当する所定値(95℃)以上であるため、バーグラフ表示部35が表示される。
【0023】
次に、
図4及び
図5に基づいて、水温表示領域40による警報表示について詳述する。
図4は、冷却水温度の警報設定値が120℃であり、冷却水温度の現在値が115℃である状態を示している。冷却水温度の警報設定値が120℃に設定されている場合、目盛部41は、警報設定値を含む所定範囲(105℃〜125℃)に相当する。したがって、冷却水温度の現在値が115℃であるときは、目盛部41の下端に相当する所定値(105℃)以上であるため、バーグラフ表示部45が表示される。
【0024】
図5は、冷却水温度が123℃まで上昇した状態を示している。冷却水温度が警報設定値である120℃を超えているので、バーグラフ表示部35が指示部42よりも上側に伸長するように大きく表示されると共に、数字表示部44はネガポジ反転され、冷却水温度が警報設定値以上になった旨が報知される。
【0025】
本実施形態によれば、目盛部31,41を指示することにより警報設定値を表す指示部32,42と、警報設定値を数字にて表す数字表示部34,44とを表示することにより、使用者が警報設定値を容易に確認できる。且つ、エンジンオイル温度,冷却水温度が警報設定値に近くなったときだけ、バーグラフ表示部35,45が表示されるため、エンジンオイル温度,冷却水温度が警報設定値に達していないときであっても、警報設定値に近づいていることを確認できる。
【0026】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本実施形態の表示器は、有機EL表示パネルからなるものであったが、表示器13は液晶表示器であっても良い。また、本実施形態は、表示器13の画面に、エンジンオイル温度,冷却水温度,車速,油圧を表示するものであったが、例えば、車速のみを表示するように切替え可能としても良い。また、本実施形態は、数字表示部34,44をネガポジ反転させることにより、車両状態が警報設定値以上になった旨を報知するものであったが、数字表示部34,44を点滅表示させても良い。また、警報音を発したりすることによって車両状態が警報設定値以上になった旨を報知しても良い。
【符号の説明】
【0027】
10 車両用表示装置
11 操作器(設定手段)
12 制御部(制御手段)
13 表示器
31 目盛部
32 指示部
33 数字表示部(第一の数字表示部)
34 数字表示部(第二の数字表示部)
35 バーグラフ表示部
41 目盛部
42 指示部
43 数字表示部(第一の数字表示部)
44 数字表示部(第二の数字表示部)
45 バーグラフ表示部