(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物では、施工後から時間の経過に伴いその表面にヘアークラック等のひび割れが発生することがある。
そのため、例えばトンネルの覆工壁コンクリートなどの長期にわたって高い安全性を確保することが必須であり、剥落などの事故が許されないコンクリート構造物等においては、定期的にひび割れ発生の有無やその程度、経時変化等の監視が行われている。
【0003】
ここで、ひび割れが発見され、発見されたひび割れに対処する必要があると判断された場合には、構造物の補修が行われることとなる。また、構造物の耐震性能を向上させることを目的として補強が行われることもある。
【0004】
ところで、従来のコンクリート構造物の表面補修補強工法の代表的なものには、主に剥落を防止するためのものとして、現場でコンクリート構造物の表面にコーティング剤を重ね塗りする塗装工法や、工場でコーティング剤と補強用繊維を加工してこれを現場で接着剤によってコンクリート構造物表面に貼り付ける貼付け接着型シート工法が挙げられる。
【0005】
また、剥落防止及び耐震性を向上させるためのものとしては、現場でコンクリート構造物の表面にコーティング剤を塗ると共に補強用繊維を貼り付ける塗布接着型シート工法が挙げられる。
【0006】
なお、塗布接着型シート工法の一例として特許文献1には、コンクリート表面にポリウレタン樹脂を塗布して、樹脂をコンクリート構造物中に含浸させ、コンクリート表面に不透水含浸コーティング層を形成し、更に、不透水含浸コーティング層上にウレタン樹脂と疎水性樹脂の複合体からなる高粘性ゴム物質を塗布して、硬化せずに常時粘性を持続する弾力のある不乾燥性粘着接着剤層を形成し、不乾燥性粘着接着剤層上に遮水シート部材を接着する方法が開示されている。
【0007】
ここで、特許文献1に記載の方法では、コンクリート表面を被覆する劣化したモルタルを除去清掃しており、その除去作業は極めて大変である。
また、遮水シート部材として、ポリスチレン系の不織布層及び不織布層の上部に形成したポリプロピレン系の不透水性シート層を一体形成しているが、こうした遮水シートではコンクリートの補強が充分ではない。
【0008】
更に、コンクリート構造物の表面を補修や補強を行った後にも、構造物の経時変化の監視を継続する必要がある場合も多いのであるが、従来のいずれの表面補修補強工法(アラミド繊維シートをエポキシ樹脂により含浸接着させて補強する工法が一般的である)においてもその監視を簡易な方法によって行うことはできていなかった。即ち、補修や補強を行ったコンクリート構造物の表面は不透明なコーティング剤やシート部材などの補強層によって覆われており、外部からコンクリート構造物の素地の状態を目視によって観察することが困難であった。
そのため、こうした従来の表面補修補強工法による補強層で覆われたコンクリート構造物では、素地の状態を外部から目視によって観察する際には表面に施された既存の補強層の一部を除去し、素地を露出させるための点検用窓を形成する必要があった。
【0009】
しかし、コンクリート構造物の素地の状態を観察するための点検用窓が形成されると、その部分の強度が低下してしまうといった懸念や、点検用窓の部分が補強層の劣化の起点となり得るという懸念があった。
【0010】
こうした点に鑑みて、特許文献2では、コンクリート構造物表面に透明ポリウレタン樹脂溶液を塗り付けた後にガラス連続繊維シートを貼着し、その上から透明ポリウレタン樹脂溶液を塗り付けてガラス連続繊維シートに含浸させ、これを乾燥させることで固化させて透明または半透明のコーティング層を形成するコンクリート構造物表面の強化コーティング方法が提案されている。
【0011】
そして、こうした技術によって、コンクリート構造物の表面を補強することができると共に、補強されたコンクリート構造物の素地の状態を外部から目視によって観察することができる。
【0012】
なお、特許文献2に記載されたガラス連続繊維シートとしては、繊維糸(ヤーン)を0°、±45°及び90°に配列して格子状に組み合わせ、同一箇所で4本の繊維糸(ヤーン)が交差する様に編み込まれたものが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、コンクリート構造物の素地の表面状態をより鮮明に目視で確認したいというニーズが現に存在し、更なる改良が求められている。
【0015】
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであって、コンクリート構造物の素地の表面状態を外部から目視することが可能であるコンクリート構造物表面の強化コーティング方法及びコンクリート構造物の強化コーティング構造、並びに強化コンクリート構造物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明のコンクリート構造物表面の強化コーティング方法は、コンクリート構造物の表面に透明樹脂を介してガラス連続繊維シートを貼着する工程と、前記ガラス連続繊維シートに透明樹脂を含浸する工程と、該透明樹脂を乾燥して固化することによって、透明若しくは半透明のコンクリート構造物の強化コーティング構造を形成する工程とを備えるコンクリート構造物表面の強化コーティング方法において、前記ガラス連続繊維シートは、複数の第1のガラス繊維糸を有し、該第1のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第1のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第2のガラス繊維糸を有し、該第2のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第2のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸及び前記第2のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第3のガラス繊維糸を有し、該第3のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第3のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸、前記第2のガラス繊維糸及び前記第3のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第4のガラス繊維糸を有し、該第4のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第4のガラス繊維とを有し、前記第1のガラス繊維糸、前記第2のガラス繊維糸、前記第3のガラス繊維糸若しくは前記第4のガラス繊維糸から任意に選択された2つのガラス繊維糸の交点が、他のガラス繊維糸同士の間隙に位置すべく構成されている。
【0017】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係るコンクリート構造物の強化コーティング構造は、コンクリート構造物の表面に貼着されるガラス連続繊維シートと、該ガラス連続繊維シートを封止した樹脂材料とを備える透明若しくは半透明のコンクリート構造物の強化コーティング構造において、前記ガラス連続繊維シートは、複数の第1のガラス繊維糸を有し、該第1のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第1のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第2のガラス繊維糸を有し、該第2のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第2のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸及び前記第2のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第3のガラス繊維糸を有し、該第3のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第3のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸、前記第2のガラス繊維糸及び前記第3のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第4のガラス繊維糸を有し、該第4のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第4のガラス繊維とを有し、前記第1のガラス繊維糸、前記第2のガラス繊維糸、前記第3のガラス繊維糸若しくは前記第4のガラス繊維糸から任意に選択された2つのガラス繊維糸の交点が、他のガラス繊維糸同士の間隙に位置すべく構成されている。
【0018】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る強化コンクリート構造物は、コンクリート構造物と、該コンクリート構造物の表面に貼着されるガラス連続繊維シートと、該ガラス連続繊維シートを封止した樹脂材料とを有する透明若しくは半透明のコンクリート構造物の強化コーティング構造を備える強化コンクリート構造物において、前記ガラス連続繊維シートは、複数の第1のガラス繊維糸を有し、該第1のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第1のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第2のガラス繊維糸を有し、該第2のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第2のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸及び前記第2のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第3のガラス繊維糸を有し、該第3のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第3のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸、前記第2のガラス繊維糸及び前記第3のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第4のガラス繊維糸を有し、該第4のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第4のガラス繊維とを有し、前記第1のガラス繊維糸、前記第2のガラス繊維糸、前記第3のガラス繊維糸若しくは前記第4のガラス繊維糸から任意に選択された2つのガラス繊維糸の交点が、他のガラス繊維糸同士の間隙に位置すべく構成されている。
【0019】
ここで、第1のガラス繊維糸、第2のガラス繊維糸、第3のガラス繊維糸若しくは第4のガラス繊維糸から任意に選択された2つのガラス繊維糸の交点(例えば、第1のガラス繊維糸と第2のガラス繊維糸の交点)が、他のガラス繊維糸同士の間隙(例えば、第3のガラス繊維糸同士の間隙及び第4のガラス繊維糸同士の間隙)に位置すべく構成されたことによって、第1のガラス繊維糸〜第4のガラス繊維糸が同一箇所で最大でも2つしか交差しないこととなり、ガラス連続繊維シートの薄膜化が実現することとなる。
【0020】
また、本発明のコンクリート構造物表面の強化コーティング方法は、コンクリート構造物の表面に透明樹脂を介して第1のガラス連続繊維シートを貼着する工程と、前記第1のガラス連続繊維シートに透明樹脂を含浸する工程と、該透明樹脂を乾燥して固化することによって、透明若しくは半透明の第1のコンクリート構造物の強化コーティング構造を形成する工程と、該第1のコンクリート構造物の強化コーティング構造に透明樹脂を介して第2のガラス連続繊維シートを貼着する工程と、前記第2のガラス連続繊維シートに透明樹脂を含浸する工程と、該透明樹脂を乾燥して固化することによって、透明若しくは半透明の第2のコンクリート構造物の強化コーティング構造を形成する工程とを備えるコンクリート構造物表面の強化コーティング方法において、前記第1のガラス連続繊維シートは、複数の第1のガラス繊維糸を有し、該第1のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第1のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第2のガラス繊維糸を有し、該第2のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第2のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸及び前記第2のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第3のガラス繊維糸を有し、該第3のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第3のガラス繊維と、前記第1のガラス繊維糸、前記第2のガラス繊維糸及び前記第3のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第4のガラス繊維糸を有し、該第4のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第4のガラス繊維とを有し、前記第1のガラス繊維糸、前記第2のガラス繊維糸、前記第3のガラス繊維糸若しくは前記第4のガラス繊維糸から任意に選択された2つのガラス繊維糸の交点が、他のガラス繊維糸同士の間隙に位置すべく構成され、前記第2のガラス連続繊維シートは、複数の第5のガラス繊維糸を有し、該第5のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第5のガラス繊維と、前記第5のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第6のガラス繊維糸を有し、該第6のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第6のガラス繊維と、前記第5のガラス繊維糸及び前記第6のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第7のガラス繊維糸を有し、該第7のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第7のガラス繊維と、前記第5のガラス繊維糸、前記第6のガラス繊維糸及び前記第7のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第8のガラス繊維糸を有し、該第8のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第8のガラス繊維とを有し、前記第5のガラス繊維糸、前記第6のガラス繊維糸、前記第7のガラス繊維糸若しくは前記第8のガラス繊維糸から任意に選択された2つのガラス繊維糸の交点が、他のガラス繊維糸同士の間隙に位置すべく構成されている。
【0021】
ここで、第1のガラス繊維糸、第2のガラス繊維糸、第3のガラス繊維糸若しくは第4のガラス繊維糸から任意に選択された2つのガラス繊維糸の交点(例えば、第1のガラス繊維糸と第2のガラス繊維糸の交点)が、他のガラス繊維糸同士の間隙(例えば、第3のガラス繊維糸同士の間隙及び第4のガラス繊維糸同士の間隙)に位置すべく構成されたことによって、第1のガラス繊維糸〜第4のガラス繊維糸が同一箇所で最大でも2つしか交差しないこととなり、第1のガラス連続繊維シートの薄膜化が実現することとなる。
【0022】
同様に、第5のガラス繊維糸、第6のガラス繊維糸、第7のガラス繊維糸若しくは第8のガラス繊維糸から任意に選択された2つのガラス繊維糸の交点(例えば、第5のガラス繊維糸と第6のガラス繊維糸の交点)が、他のガラス繊維糸同士の間隙(例えば、第7のガラス繊維糸同士の間隙及び第8のガラス繊維糸同士の間隙)に位置すべく構成されたことによって、第5のガラス繊維糸〜第8のガラス繊維糸が同一箇所で最大でも2つしか交差しないこととなり、第2のガラス連続繊維シートの薄膜化が実現することとなる。
【0023】
なお、第2のガラス繊維糸が第1のガラス繊維糸と略45度の角度をなし、第3のガラス繊維糸が第1のガラス繊維糸と略90度の角度をなし、第4のガラス繊維糸が第1のガラス繊維糸と略135度の角度をなして構成された場合には、第1のガラス繊維糸〜第4のガラス繊維糸が均等に配置されることとなる。
【0024】
また、ガラス連続繊維シートを貼着する前に、コンクリート構造物の表面の汚れを除去し、プライマーを塗布することによって、コンクリート構造物に生じたひび割れにプライマーを含浸させることができ、コンクリート構造物をより一層充分に補強することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のコンクリート構造物表面の強化コーティング方法及びコンクリート構造物の強化コーティング構造、並びに強化コンクリート構造物では、ガラス連続繊維シートの薄膜化が実現し、コンクリート構造物の素地の表面状態を外部から目視することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と称する)について説明を行う。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.変形例
【0028】
<1.第1の実施の形態>
[強化コンクリート構造の説明]
図1は本発明を適用した強化コンクリート構造の一例を説明するための模式図であり、ここで示す強化コンクリート構造物1は、コンクリート構造物2と、コンクリート構造物2の表面に透明ポリウレタン樹脂3を介して貼着されたガラス連続繊維シート4と、ガラス連続繊維シート4を封止する透明ポリウレタン樹脂5と、ファイナルコーティングとしての透明ポリウレタン樹脂6を備える。
【0029】
なお、透明ポリウレタン樹脂3、ガラス連続繊維シート4及び透明ポリウレタン樹脂5、6で構成される構造が、コンクリート構造物の強化コーティング構造の一例であり、透明(半透明)を呈している。また、透明ポリウレタン樹脂5は樹脂材料の一例である。
【0030】
コンクリート構造物2は、例えば、トンネル、橋桁、橋脚、ボックスカルバート、建築建物等が挙げられる。
【0031】
透明ポリウレタン樹脂3、5、6としては、例えば、Liquid Plastics Limited(LPL)社製の「デカサンクリアグレイズ」(英国登録商標)が挙げられる。
【0032】
ここで、「デカサンクリアグレイズ」は、無色透明の脂肪族ポリウレタンコーティング剤であり、その塗膜は耐久性に富み、建物を効果的に水分の浸透から守り、セメント・コンクリートの中性化を防ぐことができる。また、透明でウェット感のある美しい光沢性を有する仕上がりを実現でき、黄ばむことがない。更に、一液性で化学反応を起こしにくい脂肪族であり、優れた接着力、加水分解が起こりにくい性質、ブラシまたはローラーにより簡単に塗布可能であり、熱や紫外線に強く年中施工可能であり、部分補修が簡単であるといった特徴を有するものである。
【0033】
なお、「デカサンクリアグレイズ」に関するデータは以下に示す表1の通りである。
【0035】
ガラス連続繊維シート4は、補強用繊維シートとして機能するもので耐薬品性、耐久性に優れており、
図2で示す様に、平帯状のガラス繊維糸が縦横斜めに編み込まれた構造となっている。具体的には、ガラス繊維糸が横方向に配置された第1のガラス繊維11と、ガラス繊維糸が斜め方向(第1のガラス繊維を構成するガラス繊維糸と45度の角度をなす方向)に配置された第2のガラス繊維12と、ガラス繊維糸が縦方向に配置された第3のガラス繊維13と、ガラス繊維糸が斜め方向(第1のガラス繊維を構成するガラス繊維糸を135度の角度をなす方向)に配置された第4のガラス繊維14が編み込まれた構造となっている。
【0036】
第1のガラス繊維11は平帯状の複数の第1のガラス繊維糸11Aが横方向に所定の間隙を介して略平行に配置されており、第2のガラス繊維12は平帯状の複数の第2のガラス繊維糸12Aが斜め方向(第1のガラス繊維糸11Aと45度の角度をなす方向)に所定の間隙を介して略平行に配置されている。また、第3のガラス繊維13は平帯状の第3のガラス繊維糸13Aが縦方向に所定の間隙を介して略平行に配置されており、第4のガラス繊維14は平帯状の第4のガラス繊維糸14Aが斜め方向(第1のガラス繊維糸11Aと135度の角度をなす方向)に所定の間隙を介して略平行に配置されている。
【0037】
ここで、第1のガラス繊維糸11A、第2のガラス繊維糸12A、第3のガラス繊維糸13A及び第4のガラス繊維糸14Aは、同一箇所で最大でも2つまでしか交差しない様に配置されている。
【0038】
即ち、第1のガラス繊維糸11Aと第2のガラス繊維糸12Aの交点は第3のガラス繊維糸13A同士の間隙に位置すると共に第4のガラス繊維糸14A同士の間隙に位置し、第1のガラス繊維糸11Aと第3のガラス繊維糸13Aの交点は第2のガラス繊維糸12A同士の間隙に位置すると共に第4のガラス繊維糸14A同士の間隙に位置し、第1のガラス繊維糸11Aと第4のガラス繊維糸14Aの交点は第2のガラス繊維糸12A同士の間隙に位置すると共に第3のガラス繊維糸13A同士の間隙に位置し、第2のガラス繊維糸12Aと第3のガラス繊維糸13Aの交点は第1のガラス繊維糸11A同士の間隙に位置すると共に第4のガラス繊維糸14A同士の間隙に位置し、第2のガラス繊維糸12Aと第4のガラス繊維糸14Aの交点は第1のガラス繊維糸11A同士の間隙に位置すると共に第3のガラス繊維糸13A同士の間隙に位置し、第3のガラス繊維糸13Aと第4のガラス繊維糸14Aの交点は第1のガラス繊維糸11A同士の間隙に位置すると共に第2のガラス繊維糸12A同士の間隙に位置する様に配置されている。
【0041】
[製造方法]
以下、上記の様に構成された強化コンクリート構造の製造方法について説明を行う。即ち、本発明を適用したコンクリート構造物の強化コーティング方法の一例について説明を行う。
【0042】
本発明を適用したコンクリート構造物の強化コーティング方法の一例では、先ず、コーティングを施すコンクリート構造物2の表面の汚れ(ここでの汚れには劣化した素地をも含む)を、水を高圧で吹き付けて洗浄を行ったり、ワイヤブラシで擦りケレンにより除去したりする等の下地処理を行う(
図3(a)参照)。
【0043】
次に、下地処理を施したコンクリート構造物の表面にプライマーをローラー刷毛等の適切な道具を用いて均一に塗布する(
図3(b)参照)。なお、プライマーとしては、無溶剤型エポキシ樹脂系プライマー(例えば、アイカ工業株式会社製の商品名「クリーンコートEXプライマー」)等を使用することができる。
【0044】
なお、「クリーンコートEXプライマー」に関するデータは以下に示す表3の通りである。
【0046】
次に、プライマーを塗布したコンクリート構造物2の表面に、ハンドローラ等を用いて透明ポリウレタン樹脂3を塗布する(
図3(c)参照)。なお、透明ポリウレタン樹脂3の塗布は樹脂液が垂れ落ちない程度にコンクリート構造物2の表面に均一に行う必要がある。
【0047】
ここで、コンクリート構造物2に塗布したプライマー層が白化した場合には、プライマー施工面をサンドペーパー等で目荒らしを行い、シンナー拭きした後に透明ポリウレタン樹脂を塗布する。
【0048】
続いて、塗布した透明ポリウレタン樹脂3が固化する前に、ガラス連続繊維シート4を貼着する(
図3(d)参照)。なお、透明ポリウレタン樹脂3は30分〜1時間程度で固化するために、ガラス連続繊維シート4はそれ以前に貼着する必要がある。
【0049】
次に、コンクリート構造物2に貼着したガラス連続繊維シート4の上にハンドローラ等を用いて透明ポリウレタン樹脂を塗り付けることで、ガラス連続繊維シート4に透明ポリウレタン樹脂を充分に含浸させ、その後1時間以上乾燥させる(
図3(e)参照)。
【0050】
ここで、透明ポリウレタン樹脂を含浸する前のガラス連続繊維シート4は白色であるが、透明ポリウレタン樹脂を含浸することで透明(半透明)となり、これを乾燥して透明ポリウレタン樹脂を固化することで透明または半透明を呈することとなる。
【0051】
その後、ファイナルコーティングとして更に透明ポリウレタン樹脂6を塗り付けてこれを乾燥し固化することによって(
図3(f)参照)、
図1に示す強化コンクリート構造を得ることができる。
【0052】
本発明を適用した強化コンクリート構造の一例(第1の実施の形態)では、第1のガラス繊維糸11A、第2のガラス繊維糸12A、第3のガラス繊維糸13A及び第4のガラス繊維糸14Aが、同一箇所で最大でも2つまでしか交差しない様に配置されており、ガラス連続繊維シート4の薄膜化が実現することによって、コンクリート構造物の強化コーティング構造の透明度の向上が実現する。
【0056】
また、本発明を適用した強化コンクリート構造の一例(第1の実施の形態)では、ガラス連続繊維シート4の薄膜化が実現することによって、ガラス連続繊維シート4に含浸させる透明ポリウレタン樹脂5の分量を低減することができ、コンクリート構造物の強化コーティング構造の製造コストを抑えることが可能となる。
【0057】
なお、第1の実施の形態に係るコンクリート構造物の強化コーティング構造の各性能について表5に示す。
【0059】
<2.第2の実施の形態>
[強化コンクリート構造の説明]
図4は本発明を適用した強化コンクリート構造の他の例を説明するための模式図であり、ここで示す強化コンクリート構造物21は、コンクリート構造物22と、コンクリート構造物22の表面に透明ポリウレタン樹脂23を介して貼着された第1のガラス連続繊維シート24と、第1のガラス連続繊維シート24を封止する透明ポリウレタン樹脂25と、透明ポリウレタン樹脂25の表面に透明ポリウレタン樹脂26を介して貼着された第2のガラス連続繊維シート27と、第2のガラス連続繊維シート27を封止する透明ポリウレタン樹脂28と、ファイナルコーティングとしての透明ポリウレタン樹脂29を備える。
【0060】
なお、透明ポリウレタン樹脂23と、第1のガラス連続繊維シート24と、透明ポリウレタン樹脂25、26と、第2のガラス連続繊維シート27と、透明ポリウレタン樹脂28と、ファイナルコーティングとしての透明ポリウレタン樹脂29で構成される構成が、コンクリート構造物の強化コーティング構造の一例であり、透明(半透明)を呈している。また、透明ポリウレタン樹脂25、28は樹脂材料の一例である。
【0061】
コンクリート構造物22は、例えば、トンネル、橋桁、橋脚、ボックスカルバート、建築建物等が挙げられる。
【0062】
透明ポリウレタン樹脂23、25、26、28、29としては、例えば、LPL社製の「デカサンクリアグレイズ」(英国登録商標)が挙げられる。
【0063】
第1のガラス連続繊維シート24は、補強用繊維シートとして機能するもので耐薬品性、耐久性に優れており、平帯状のガラス繊維糸が縦横斜めに編み込まれた構造となっている(
図2参照)。具体的には、ガラス繊維糸が横方向に配置された第1のガラス繊維31と、ガラス繊維糸が斜め方向(第1のガラス繊維を構成するガラス繊維糸と45度の角度をなす方向)に配置された第2のガラス繊維32と、ガラス繊維糸が縦方向に配置された第3のガラス繊維33と、ガラス繊維糸が斜め方向(第1のガラス繊維を構成するガラス繊維糸を135度の角度をなす方向)に配置された第4のガラス繊維34が編み込まれた構造となっている。
【0064】
第1のガラス繊維31は平帯状の複数の第1のガラス繊維糸31Aが横方向に所定の間隙を介して略平行に配置されており、第2のガラス繊維32は平帯状の複数の第2のガラス繊維糸32Aが斜め方向(第1のガラス繊維糸31Aと45度の角度をなす方向)に所定の間隙を介して略平行に配置されている。また、第3のガラス繊維33は平帯状の第3のガラス繊維糸33Aが縦方向に所定の間隙を介して略平行に配置されており、第4のガラス繊維34は平帯状の第4のガラス繊維糸34Aが斜め方向(第1のガラス繊維糸31Aと135度の角度をなす方向)に所定の間隙を介して略平行に配置されている。
【0065】
ここで、第1のガラス繊維糸31A、第2のガラス繊維糸32A、第3のガラス繊維糸33A及び第4のガラス繊維糸34Aは、同一箇所で最大でも2つまでしか交差しない様に配置されている。
【0066】
即ち、第1のガラス繊維糸31Aと第2のガラス繊維糸32Aの交点は第3のガラス繊維糸33A同士の間隙に位置すると共に第4のガラス繊維糸34A同士の間隙に位置し、第1のガラス繊維糸31Aと第3のガラス繊維糸33Aの交点は第2のガラス繊維糸32A同士の間隙に位置すると共に第4のガラス繊維糸34A同士の間隙に位置し、第1のガラス繊維糸31Aと第4のガラス繊維糸34Aの交点は第2のガラス繊維糸32A同士の間隙に位置すると共に第3のガラス繊維糸33A同士の間隙に位置し、第2のガラス繊維糸32Aと第3のガラス繊維糸33Aの交点は第1のガラス繊維糸31A同士の間隙に位置すると共に第4のガラス繊維糸34A同士の間隙に位置し、第2のガラス繊維糸32Aと第4のガラス繊維糸34Aの交点は第1のガラス繊維糸31A同士の間隙に位置すると共に第3のガラス繊維糸33A同士の間隙に位置し、第3のガラス繊維糸33Aと第4のガラス繊維糸34Aの交点は第1のガラス繊維糸31A同士の間隙に位置すると共に第2のガラス繊維糸32A同士の間隙に位置する様に配置されている。
【0067】
第2のガラス連続繊維シート27は、第1のガラス連続繊維シート24と同様に、補強用繊維シートとして機能するもので耐薬品性、耐久性に優れており、平帯状のガラス繊維糸が縦横斜めに編み込まれた構造となっている(
図2参照)。具体的には、ガラス繊維糸が横方向に配置された第5のガラス繊維41と、ガラス繊維糸が斜め方向(第5のガラス繊維を構成するガラス繊維糸と45度の角度をなす方向)に配置された第6のガラス繊維42と、ガラス繊維糸が縦方向に配置された第7のガラス繊維43と、ガラス繊維糸が斜め方向(第5のガラス繊維を構成するガラス繊維糸を135度の角度をなす方向)に配置された第8のガラス繊維44が編み込まれた構造となっている。
【0068】
第5のガラス繊維41は平帯状の複数の第5のガラス繊維糸41Aが横方向に所定の間隙を介して略平行に配置されており、第6のガラス繊維42は平帯状の複数の第6のガラス繊維糸42Aが斜め方向(第5のガラス繊維糸41Aと45度の角度をなす方向)に所定の間隙を介して略平行に配置されている。また、第7のガラス繊維43は平帯状の第7のガラス繊維糸43Aが縦方向に所定の間隙を介して略平行に配置されており、第8のガラス繊維44は平帯状の第8のガラス繊維糸44Aが斜め方向(第5のガラス繊維糸41Aと135度の角度をなす方向)に所定の間隙を介して略平行に配置されている。
【0069】
ここで、第5のガラス繊維糸41A、第6のガラス繊維糸42A、第7のガラス繊維糸43A及び第8のガラス繊維糸44Aは、同一箇所で最大でも2つまでしか交差しない様に配置されている。
【0070】
即ち、第5のガラス繊維糸41Aと第6のガラス繊維糸42Aの交点は第7のガラス繊維糸43A同士の間隙に位置すると共に第8のガラス繊維糸44A同士の間隙に位置し、第5のガラス繊維糸41Aと第7のガラス繊維糸43Aの交点は第6のガラス繊維糸42A同士の間隙に位置すると共に第8のガラス繊維糸44A同士の間隙に位置し、第5のガラス繊維糸41Aと第8のガラス繊維糸44Aの交点は第6のガラス繊維糸42A同士の間隙に位置すると共に第7のガラス繊維糸43A同士の間隙に位置し、第6のガラス繊維糸42Aと第7のガラス繊維糸43Aの交点は第5のガラス繊維糸41A同士の間隙に位置すると共に第8のガラス繊維糸44A同士の間隙に位置し、第6のガラス繊維糸42Aと第8のガラス繊維糸44Aの交点は第5のガラス繊維糸41A同士の間隙に位置すると共に第7のガラス繊維糸43A同士の間隙に位置し、第7のガラス繊維糸43Aと第8のガラス繊維糸44Aの交点は第5のガラス繊維糸41A同士の間隙に位置すると共に第6のガラス繊維糸42A同士の間隙に位置する様に配置されている。
【0071】
[製造方法]
以下、上記の様に構成された強化コンクリート構造の製造方法について説明を行う。即ち、本発明を適用したコンクリート構造物の強化コーティング方法の他の例について説明を行う。
【0072】
本発明を適用したコンクリート構造物の強化コーティング方法の他の例では、先ず、コーティングを施すコンクリート構造物22の表面の汚れ(ここでの汚れには劣化した素地をも含む)を、水を高圧で吹き付けて洗浄を行ったり、ワイヤブラシで擦りケレンにより除去したりする等の下地処理を行う(
図5(a)参照)。
【0073】
次に、下地処理を施したコンクリート構造物の表面にプライマーをローラー刷毛等の適切な道具を用いて均一に塗布する(
図5(b)参照)。なお、プライマーとしては、無溶剤型エポキシ樹脂系プライマー(例えば、アイカ工業株式会社製の商品名「クリーンコートEXプライマー」)等を使用することができる。
【0074】
次に、プライマーを塗布したコンクリート構造物22の表面に、ハンドローラ等を用いて透明ポリウレタン樹脂23を塗布する(
図5(c)参照)。なお、透明ポリウレタン樹脂23の塗布は樹脂液が垂れ落ちない程度にコンクリート構造物22の表面に均一に行う必要がある。
【0075】
ここで、コンクリート構造物22に塗布したプライマー層が白化した場合には、プライマー施工面をサンドペーパー等で目荒らしを行い、シンナー拭きした後に透明ポリウレタン樹脂を塗布する点は第1の実施の形態と同様である。
【0076】
続いて、塗布した透明ポリウレタン樹脂23が固化する前に、第1のガラス連続繊維シート24を貼着する(
図5(d)参照)。なお、透明ポリウレタン樹脂23は30分〜1時間程度で固化するために、第1のガラス連続繊維シート24はそれ以前に貼着する必要がある。
【0077】
次に、コンクリート構造物22に貼着した第1のガラス連続繊維シート24の上にハンドローラ等を用いて透明ポリウレタン樹脂を塗り付けることで、第1のガラス連続繊維シート24に透明ポリウレタン樹脂を充分に含浸させ、その後1時間以上乾燥させる(
図5(e)参照)。
【0078】
ここで、透明ポリウレタン樹脂を含浸する前の第1のガラス連続繊維シート24は白色であるが、透明ポリウレタン樹脂を含浸することで透明(半透明)となり、これを乾燥して透明ポリウレタン樹脂を固化することで透明または半透明を呈することとなる。
【0079】
続いて、第1のガラス連続繊維シート24の上に、ハンドローラ等を用いて透明ポリウレタン樹脂26を塗布する(
図5(f)参照)。なお、透明ポリウレタン樹脂26の塗布は樹脂液が垂れ落ちない程度に第1のガラス連続繊維シート24の表面に均一に行う必要がある。
【0080】
続いて、塗布した透明ポリウレタン樹脂26が固化する前に、第2のガラス連続繊維シート27を貼着する(
図5(g)参照)。なお、透明ポリウレタン樹脂26は30分〜1時間程度で固化するために、第2のガラス連続繊維シート27はそれ以前に貼着する必要がある。
【0081】
次に、第2のガラス連続繊維シート27の上にハンドローラ等を用いて透明ポリウレタン樹脂を塗り付けることで、第2のガラス連続繊維シート27に透明ポリウレタン樹脂を充分に含浸させ、その後1時間以上乾燥させる(
図5(h)参照)。
【0082】
ここで、透明ポリウレタン樹脂を含浸する前の第2のガラス連続繊維シート27は白色であるが、透明ポリウレタン樹脂を含浸することで透明(半透明)となり、これを乾燥して透明ポリウレタン樹脂を固化することで透明または半透明を呈することとなる。
【0083】
その後、ファイナルコーティングとして更に透明ポリウレタン樹脂29を塗り付けてこれを乾燥し固化することによって(
図5(i)参照)、
図4に示す強化コンクリート構造を得ることができる。
【0084】
本発明を適用した強化コンクリート構造の他の例(第2の実施の形態)では、第1のガラス繊維糸31A、第2のガラス繊維糸32A、第3のガラス繊維糸33A及び第4のガラス繊維糸34Aが、同一箇所で最大でも2つまでしか交差しない様に配置されており、第1のガラス連続繊維シート24の薄膜化が実現する。同様に、第5のガラス繊維糸41A、第6のガラス繊維糸42A、第7のガラス繊維糸43A及び第8のガラス繊維糸44Aが、同一箇所で最大でも2つまでしか交差しない様に配置されており、第2のガラス連続繊維シート27の薄膜化が実現する。そして、第1のガラス連続繊維シート24及び第2のガラス連続繊維シート27の薄膜化が実現することによって、コンクリート構造物の強化コーティング構造の透明度の向上が実現する。
【0085】
また、第1のガラス連続繊維シート24の薄膜化が実現することで第1のガラス連続繊維シート24に含浸させる透明ポリウレタン樹脂25の分量を低減することができ、同様に、第2のガラス連続繊維シート27の薄膜化が実現することで第2のガラス連続繊維シート27に含浸させる透明ポリウレタン樹脂28の分量を低減することができ、結果として、コンクリート構造物の強化コーティング構造の製造コストを抑えることが可能となる。
【0086】
<3.変形例>
[プライマーについて]
上記した第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、コンクリート構造物の表面に透明ポリウレタン樹脂を塗布する前に、プライマーを塗布する場合を例に挙げて説明を行っている。ここで、プライマーを塗布することによって、透明ポリウレタン樹脂では含浸することが困難である小さなひび割れ(例えば、幅が0.2mm以下のひび割れ)がコンクリート構造物に生じている場合に、プライマーを塗布することでひび割れにプライマーが含浸することによって、コンクリート構造物の強化を実現することが可能となる。
【0087】
しかし、プライマーの塗布は必ずしも必要ではなく、(1)プライマーの塗布を行わなくてもコンクリート構造物が充分な強度を有する場合、(2)コンクリート構造物にひび割れが生じていない場合、(3)コンクリート構造物のひび割れが透明ポリウレタン樹脂を充分に含浸できる大きさである場合、等については、プライマーを塗布しなくても良い。
【0088】
但し、より一層充分にコンクリート構造物の強化を実現するためには、プライマーの塗布を行った方が好ましい。
【0089】
なお、第1の実施の形態について、「プライマーの塗布を行わなかった場合におけるコンクリート構造物の強化コーティング構造の押抜き試験の結果」を表6に示し、「プライマー塗布を行った場合におけるコンクリート構造物の強化コーティング構造の押抜き試験の結果」を表7に示す。
【0092】
表6及び表7から、プライマーを塗布することによって最大荷重値が大きくなっていることが分かる。
【0093】
[ガラス連続繊維シートについて]
上記した第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、ガラス連続繊維シート、第1のガラス連続繊維シート及び第2のガラス連続繊維シートを構成するガラス繊維糸が、0°、±45°、90°に配列した場合を例に挙げて説明を行っている。しかしながら、ガラス繊維糸は、同一箇所で最大でも2つまでしか交差しない様に配列されることで薄膜化を実現することができれば充分であり、必ずしも、0°、±45°、90°の配列に限定されるものではない。