特許第5727776号(P5727776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5727776検出スイッチ構造及びそれを有するコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727776
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】検出スイッチ構造及びそれを有するコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/703 20060101AFI20150514BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20150514BHJP
【FI】
   H01R13/703
   H01R12/71
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-278433(P2010-278433)
(22)【出願日】2010年12月14日
(65)【公開番号】特開2012-129028(P2012-129028A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503168201
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ネーデルランド ビーヴイ
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Nederland BV
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】辻 淳也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 樹
(72)【発明者】
【氏名】マータイン リーマイエル
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−299854(JP,A)
【文献】 特開2009−104968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
H01R 13/703
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接触する金属製の固定コンタクト及び金属製の可動コンタクトからなり、被検出体が前記可動コンタクトに係合した際に、前記可動コンタクトが駆動されて前記可動コンタクトと前記固定コンタクトとの接触状態が解除される検出スイッチ構造であって、
前記固定コンタクト及び前記可動コンタクトは、金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成され、
前記固定コンタクトと前記可動コンタクトとの接触は、前記固定コンタクトの剪断面に形成される4つあるコーナーのうちの1つのコーナーであるコーナー部と前記可動コンタクトの一面、又は、前記固定コンタクトの一面と前記可動コンタクトの剪断面に形成される4つあるコーナーのうちの1つのコーナーであるコーナー部とが接触することにより達成されることを特徴とする検出スイッチ構造。
【請求項2】
請求項1記載の検出スイッチ構造を有するコネクタであって、前記固定コンタクトが前記被検出体を受容するハウジングに固定され、前記可動コンタクトが、前記ハウジングに取り付けられて前記ハウジングの少なくとも一部を覆う金属製のシェルから延びていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、幅方向及び前後方向に延びる略矩形形状を有し、
前記固定コンタクトは、前記ハウジングに固定され、前記ハウジングの幅方向及び前後方向に延びる平板状の固定部と、該固定部の幅方向側部から幅方向外方かつ斜め上方に延びる固定接触片部とを有し、
前記シェルは、ハウジングの上面を覆い幅方向及び前後方向に延びる平面部と、該平面部の幅方向側面から下方に延び、前記ハウジングの幅方向側面を覆う側面部とを有し、
前記可動コンタクトは、前記シェルの側面部から幅方向斜め内側に延びる片持ち梁状の可動接触片部を有し、
前記固定コンタクトと前記可動コンタクトとの接触は、前記固定接触片部の剪断面に形成される4つあるコーナーのうちの1つのコーナーであるコーナー部と、前記可動接触片部の一面とが接触することにより達成されることを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
記固定接触片部のコーナー部は、金属板を打ち抜いた剪断面のコーナーに形成されることを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接触する金属製の固定コンタクト及び金属製の可動コンタクトからなる検出スイッチ構造及びそれを有するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、メモリカードやSIM(加入者識別モジュール)カードなどのカードを受容するカードコネクタなどにおいては、そのカードの挿入を検出するための検出スイッチ構造を有しているのが一般的である。
例えば、特許文献1には、カード挿入を検出するための検出スイッチを構成する一対の接点部材を有するカードソケットが開示されている。このカードソケットにおいては、カードをカードソケット内に挿入すると、カードの先端コーナー部が一方の接点部材の斜面部に当接する。そして、当該一方の接点部材が変位して、この接点部材の第1接点が他方の接点部材の第2接点とワイピング接触し、検出スイッチがONとなる。これにより、カードの挿入を検出できる。
【0003】
また、特許文献2には、絶縁性のハウジングの内部に配設されるスイッチ機構を有するスイッチ付き同軸コネクタが開示されている。スイッチ機構は、接続板および切換バネにより構成される。接続板は、ハウジングに固定される固定部と、固定部から延びる平板状接触部と、固定部から延びる、回路基板に接続される接続部とを有する。また、切換バネは、ハウジングに固定される固定部と、固定部から延びる弾性アーム部と、弾性アーム部から延びて前記接触部に接触する接触片と、固定部から延びる回路基板に接続される接続部とを備えている。切換バネの接触片は、相手ピンがハウジング内に挿入されていないときに接続板の平板状接触部に接触する。また、切換バネの接触片は、相手ピンがハウジング内に挿入されると、相手ピンによって接触片が接続板の平板状接触部から離れ、接触状態が解除されるようになっている。
【0004】
更に、特許文献3には、検出スイッチを有するメモリカード及びSIMカード用の取付けソケットが開示されている。検出スイッチは、ソケット本体を上下から挟む上側金属ハウジング及び下側金属プレートに一体的に形成されている。検出スイッチは、上側金属ハウジングから延びる弾性曲げ片と、下側金属プレートから延び、弾性曲げ片に接触する垂直接触突起とを具備している。弾性曲げ片は、メモリカード又はSIMカードがソケット内に挿入されていないときに、垂直接触突起に接触している。当該カードがソケット内に挿入されると、カードによって弾性曲げ片が上方に変位して垂直接触突起から離れ、接触状態が解除されるようになっている。これにより、カードの挿入が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−324629号公報
【特許文献2】特開2006−66281号公報
【特許文献3】特開2008−299854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら従来の特許文献1に記載されたカードソケット、特許文献2に記載されたスイッチ付き同軸コネクタ、及び特許文献3に記載されたメモリカード及びSIMカード用の取付けソケットにあっては、以下の問題点があった。
即ち、特許文献1に記載されたカードソケットの場合、カード挿入の検出に際し、一方の接点部材の第1接点が他方の接点部材の第2接点にワイピング接触するので、両接点部材の変位量を多くとる必要がある。このため、カードソケットの寸法の縮小化が困難という問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載されたスイッチ付き同軸コネクタの場合、切換バネの接触片と接続板の平板状接触部との接触は、当該接触片の板厚方向に沿った線と平板状接触部の面との線―面接触となっている。このため、接触時におけるハーツストレス(Hertz stress)が低いという問題がある。ハーツストレスが低いと、接触片と平板状接触部と接触力が不足しているため、接触信頼性を高めるためにこの接触力を上げる必要がある。この接触力を上げるためには、接触片の板厚を大きくする等接触片を大きくする必要があり、コネクタ自身の大きさが大きくなってしまうという問題がある。また、接触片による接触力を大きくした状態で接触片をハウジングに支持した場合、リフロー半田接続の際にハウジングが応力緩和すると、ハウジングの変形が大きくなってしまうという問題がある。従って、接触片による荷重を下げても接触片と接触部との接触力を確保するために、ハーツストレスを大きくすることが望ましい。
【0008】
更に、特許文献3に記載されたメモリカード及びSIMカード用の取付けソケットの場合も、弾性曲げ片と垂直接触突起との接触は、弾性曲げ片の面と垂直接触突起の面又は線との面―面又は面―線接触になっている。このため、接触時におけるハーツストレスが低いという問題がある。
従って、本発明はこれら問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、接触時にワイピングを要せずに小型化できるとともに、大きなハーツストレスが得られ、接触信頼性の高い検出スイッチ構造及びそれを有するコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る検出スイッチ構造は、互いに接触する金属製の固定コンタクト及び金属製の可動コンタクトからなり、被検出体が前記可動コンタクトに係合した際に、前記可動コンタクトが駆動されて前記可動コンタクトと前記固定コンタクトとの接触状態が解除される検出スイッチ構造であって、前記固定コンタクト及び前記可動コンタクトは、金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成され、前記固定コンタクトと前記可動コンタクトとの接触は、前記固定コンタクトの剪断面に形成される4つあるコーナーのうちの1つのコーナーであるコーナー部と前記可動コンタクトの一面、又は、前記固定コンタクトの一面と前記可動コンタクトの剪断面に形成される4つあるコーナーのうちの1つのコーナーであるコーナー部とが接触することにより達成されることを特徴としている。
【0010】
また、本発明のうち請求項2に係るコネクタは、請求項1記載の検出スイッチ構造を有するコネクタであって、前記固定コンタクトが前記被検出体を受容するハウジングに固定され、前記可動コンタクトが、前記ハウジングに取り付けられて前記ハウジングの少なくとも一部を覆う金属製のシェルから延びていることを特徴としている。
また、本発明のうち請求項3に係るコネクタは、請求項2記載のコネクタにおいて、前記ハウジングは、幅方向及び前後方向に延びる略矩形形状を有し、前記固定コンタクトは、前記ハウジングに固定され、前記ハウジングの幅方向及び前後方向に延びる平板状の固定部と、該固定部の幅方向側部から幅方向外方かつ斜め上方に延びる固定接触片部とを有し、前記シェルは、ハウジングの上面を覆い幅方向及び前後方向に延びる平面部と、該平面部の幅方向側面から下方に延び、前記ハウジングの幅方向側面を覆う側面部とを有し、前記可動コンタクトは、前記シェルの側面部から幅方向斜め内側に延びる片持ち梁状の可動接触片部を有し、前記固定コンタクトと前記可動コンタクトとの接触は、前記固定接触片部の剪断面に形成される4つあるコーナーのうちの1つのコーナーであるコーナー部と、前記可動接触片部の一面とが接触することにより達成されることを特徴としている。
【0011】
更に、本発明のうち請求項4に係るコネクタは、請求項3記載のコネクタにおいて、記固定接触片部のコーナー部は、金属板を打ち抜いた剪断面のコーナーに形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る検出スイッチ構造及びそれを有するコネクタによれば、固定コンタクトと可動コンタクトとの接触は、一方のコンタクトのコーナー部と他方のコンタクトの一面とが接触することにより達成されるので、固定コンタクトと可動コンタクトとの接触時にワイピングを要せず、小型化が図れるとともに、点―面接触が達成されて大きなハーツストレスが得られ、接触信頼性の高い検出スイッチ構造及びそれを有するコネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る検出スイッチ構造を有するコネクタの斜視図であり、カードを挿入した状態を示している。
図2図1に示したコネクタの平面図であり、カードを挿入した状態を示している。
図3図1に示したコネクタの底面図であり、カードを挿入した状態を示している。
図4図1に示したコネクタの斜視図である。
図5図1に示したコネクタの平面図である。
図6図1に示したコネクタの正面図である。
図7図1に示したコネクタの右側面図である。
図8図1に示したコネクタの左側面図である。
図9図1に示したコネクタの背面図である。
図10図1に示したコネクタの底面図である。
図11図5における11−11線に沿う断面図である。
図12図5における12−12線に沿う断面図である。
図13図1に示したコネクタにおける検出スイッチ構造の詳細を示し、(A)は平面側から見た斜視図、(B)は平面図である。
図14図7における矢印A部分の拡大図である。
図15図12における矢印C部分の拡大図である。
図16図11における矢印B部分の拡大図である。
図17】検出スイッチ構造の作用を模式的に示すもので、(A)はカードが挿入されていない状態の模式的平面図、(B)はカードが挿入された後の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図10に示すコネクタ1は、図示しない回路基板上に実装され、メモリカード、SIMカード等などのカード(被検出体)Cを受容する。コネクタ1がカードCを受容することにより、カードCと回路基板との電気的接続が達成される。
コネクタ1は、絶縁性のハウジング10と、金属製の複数のコンタクト20と、金属製のシェル30と、検出スイッチ構造40と、カム機構70と、カード抜き出し検出スイッチ構造80とを備えている。
【0015】
ここで、ハウジング10は、図1乃至図3に示すように、前側(図2における下側)からカードCを受容するように構成されている。ハウジング10は、絶縁性の樹脂を成形することによって幅方向(図2及び図5における左右方向)及び前後方向に延びる略矩形形状に形成される。ハウジング10は、図1及び図6に示すように、カードCの挿入案内面12を内側に有する左側壁11を有する。ハウジング10を覆うシェル30(平面部31)とハウジング10との間にカード挿入空間13が形成されている。カードCをカード挿入空間13内に挿入するときに、カードCの左側面を左側壁11の挿入案内面12が案内し、カードCの右側面をシェル30の側面部32の内側が案内する。
【0016】
複数のコンタクト20は、図3図4図5及び図10に示すように、ハウジング10の前方側においてハウジング10の幅方向に沿って2列状に配置されている。各コンタクト20は、カードCの裏面に設けられた導電パッドC1(図3参照)に接触する接触部21と、回路基板上に接続される基板接続部22とを備えている。各コンタクト20は、導電性金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成される。カードCがカード挿入空間に挿入されると、カードCの裏面に設けられた導電パッドC1に接触部21が接触し、電気的に導通する。
【0017】
また、シェル30は、ハウジング10の少なくとも一部を覆うようにハウジング10に取り付けられる。シェル30は、ハウジング10の上面を覆う平面部31と、ハウジング10の幅方向両側面を覆う1対の側面部32と、ハウジング10の後面を覆う後面部33とを備えている。平面部31は、ハウジング10の幅方向及び前後方向に延びる。各側面部32は、平面部31の幅方向各側面から下方に延びる。また、後面部33は、平面部31の前後方向後面から下方に延びている。シェル30は、金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成される。なお、平面部31の前方左端には、後述するカム機構70のカムロッド(図示せず)を上方から押える片持ち梁状のカムロッド押え片35が設けられている。
【0018】
更に、検出スイッチ構造40は、カードCがハウジング10のカード挿入空間13内に挿入されたか否かを検出するものであり、図1乃至図5に示すように、カードコネクタ1の後方右側部に配置される。この検出スイッチ構造40は、図4及び図13(A),(B)に示すように、カードCがカード挿入空間13内に挿入されていないときに、互いに接触する金属製の固定コンタクト50及び金属製の可動コンタクト60からなる。カードCがカード挿入空間13内に挿入されると、図17(A),(B)に示すように、可動コンタクト60が駆動されて可動コンタクト60と固定コンタクト50との接触状態が解除される。これにより、カードCの挿入が完了となったことが検出される。ここで、固定コンタクト50と可動コンタクト60との接触は、図13(A)によく示すように、固定コンタクト50のコーナー部53と可動コンタクト60の一面62aとが接触することにより達成される。以下、固定コンタクト50及び可動コンタクト60の詳細構造について説明する。
【0019】
固定コンタクト50は、金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成され、図11及び図12に示すように、ハウジング10にインサートモールドによって固定されている。固定コンタクト50は、図11及び図12に示すように、ハウジング10に固定される固定部51を備えている。固定部51は、ハウジング10の幅方向及び前後方向に延びる平板状に形成されている。また、固定コンタクト50は、図13(A),(B)によく示すように、固定部51の幅方向側部から幅方向外方かつ斜め上方に延びる固定接触片部52を有している。そして、固定接触片部52の先端は金属板を打ち抜いた際の剪断面54となっており、この剪断面54から固定接触片部52の上面にかけて傾斜面55が形成されている。ここで、図13(A)に示すように、剪断面54に形成される4つあるコーナーのうち後側下部のコーナーが可動コンタクト60の可動接触片部61の一面62aに接触するコーナー部53となっている。
【0020】
また、可動コンタクト60は、図7図13(A),(B)、図14及び図15に示すように、シェル30の側面部32から後方に延びる片持ち梁状の可動接触片部61を有している。この可動接触片部61は、自由状態で側面部32から後方に延びる後方延出部61aと、後方延出部61aの後端から幅方向斜め内側に延びる接触アーム部61bとを備えている。接触アーム部61bの下縁には、固定コンタクト60のコーナー部53に接触する一面62aがある接触突部62が形成されている。接触突部62の一面62aは、接触突部62の内側に存在する。可動接触片部61の接触アーム部61bの先端には、図13(B)に示すように、カード挿入空間13へのカードCの挿入が完了したときに、カードCの直線状側面に接触する湾曲部63が形成されている。
【0021】
また、カム機構70は、いわゆるプッシュープッシュ作用によるカードの排出を可能とするもので、公知の構成を有するため、その説明は省略する。
更に、カード抜き出し検出スイッチ構造80は、ハウジング10のカード挿入空間13内に挿入されたカードCを抜き出すときの状態を検出するものである。カード抜き出し検出スイッチ構造80は、図1乃至図5に示すように、カードコネクタ1の後端部に配置される。カード抜き出し検出スイッチ構造80は、シェル30の後面部33から延びる第1スイッチ片81と、カードCを抜き出すときに第1スイッチ片81に接触する第2スイッチ片82とを備えている。第2スイッチ片82は、図15に示すように、ハウジング10に固定されている。カードCのカード挿入空間13内への挿入が完了しているときには、図2に示すように、第2スイッチ片82は第1スイッチ片81から離れている。カードCの抜き出し時にカードCを後方に押圧すると、第2スイッチ片82は第1スイッチ片81に接触する。これにより、カードの抜き出し状態が検出される。
【0022】
次に、図17(A),(B)を参照して検出スイッチ構造40の作用について詳細に説明する。
先ず、図17(A)に示すように、カードCがカード挿入空間13内に挿入されていないときには、可動コンタクト60を構成する接触突部62の一面62aが固定コンタクト50のコーナー部53に接触している。一面62aとコーナー部53との接触力は、可動接触片部61の弾性力によって担保されている。この状態では、検出スイッチ構造40のスイッチはオンであり、カードCの挿入は行われていないことになる。
【0023】
ここで、固定コンタクト50と可動コンタクト60との接触は、固定コンタクト50のコーナー部53と可動コンタクト60の一面62aとが接触することにより達成されている。このため、固定コンタクト50と可動コンタクト60との接触時にワイピングを要せず、小型化が図れるとともに、点―面接触が達成されて大きなハーツストレスが得られ、接触信頼性の高い検出スイッチ構造40を提供できる。
【0024】
また、コネクタ1は、検出スイッチ構造40を有し、固定コンタクト50がカードCを受容するハウジング10に固定され、可動コンタクト60が、ハウジング10の少なくとも一部を覆う金属製のシェル30から延びている。このため、接触信頼性の高い検出スイッチ構造40を有するコネクタ1を提供できる。
また、固定コンタクト50は、ハウジング10に固定され、ハウジング10の幅方向及び前後方向に延びる平板状の固定部51と、固定部51の幅方向側部から幅方向外方かつ斜め上方に延びる固定接触片部52とを有する。一方、可動コンタクト60は、シェル30の側面部32から幅方向斜め内側に延びる片持ち梁状の可動接触片部61を有する。そして、固定コンタクト50と可動コンタクト60との接触は、固定接触片部52のコーナー部53と、可動接触片部61の一面62aとが接触することにより達成される。このため、コーナー部53と一面62aとの接触を達成する固定コンタクト50及び可動コンタクト60を簡単な構造で実現できる。また、可動コンタクト60が片持ち梁状の可動接触片部61を有するので、固定コンタクト50のコーナー部53及び可動コンタクト60の一面62aの接触時における確実な接触力を担保することができる。
【0025】
また、固定コンタクト50は、金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成され、固定接触片部52のコーナー部53は、金属板を打抜いた剪断面54のコーナーに形成されている。このため、固定接触片部52のコーナー部53を固定コンタクト50の成形時に簡単に形成することができる。
そして、固定コンタクト50及び可動コンタクト60の接触状態から図17(B)に示すようにカードCがカード挿入空間13内に挿入される。すると、カードCの前端角縁に形成された湾曲面が可動コンタクト60の可動接触片部61を構成する接触アーム部61bの内側面に接触する。接触アーム部61bが、可動接触片部61の後方延出部61aの後端から幅方向斜め内側に延び、カード挿入空間13内に突出しているからである。
【0026】
そして、カードCの挿入が進行すると、接触アーム部61bがカードCの湾曲面に沿って幅方向外方に変位する。これにより、接触突部62の一面62aが固定コンタクト50のコーナー部53から離れ、可動コンタクト60と固定コンタクト50との接触状態が解除される。この状態では、検出スイッチ構造40のスイッチはオフとなり、カードCの挿入が検出されることになる。
【0027】
更に、カードCの挿入が進行してカードCの挿入が完了すると、図13(B)に示すように、可動コンタクト60の湾曲部63がカードCの直線状側面に接触する。この状態における湾曲部63のカードCの側面に対する接触力は、可動接触片部61のばね力によって担保されている。
なお、カードCをカード挿入空間13内に挿入したときには、カードCの裏面に設けられた導電パッドC1が各コンタクト20の接触部21に接触し、各コンタクト20を介してカードCと回路基板とが電気的に導通する。
【0028】
一方、カードCをカード挿入空間13から抜き出すときには、カードCを挿入完了状態から一旦後側に押圧する。すると、図示しないばねの作用によってカードCが前方に付勢され、これによりカードCをカード挿入空間13から抜き出すことができる。このカードCの抜き出し過程において、可動コンタクト60はカードCの挿入過程と逆の動作をする。カードCの抜き出しが完了したときには、可動コンタクト60を構成する接触突部62の一面62aが固定コンタクト50のコーナー部53に再度接触することになる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
【0029】
例えば、検出スイッチ構造40は、カードCの挿入を検出する場合のみならず、コネクタに嵌合する相手コネクタの挿入を検出するものに適用されてもよい。
また、検出スイッチ構造40は、ハウジング及びシェルを有するコネクタに設けられていなくてもよく、被検出体が可動コンタクトに係合した際に、可動コンタクトが駆動されて可動コンタクトと固定コンタクトとの接触状態が解除されるものであればよい。
また、固定コンタクトと可動コンタクトとの接触は、固定コンタクトの一面と可動コンタクトのコーナー部とが接触することにより達成されてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 コネクタ
10 ハウジング
30 シェル
31 平面部
32 側面部
40 検出スイッチ構造
50 固定コンタクト
51 固定部
52 固定接触片部
53 コーナー部
54 剪断面
60 可動コンタクト
61 可動接触片部
62a 一面
C カード(被検出体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図17