特許第5727800号(P5727800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5727800断裁機、断裁刃カバーおよび断裁刃の交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727800
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】断裁機、断裁刃カバーおよび断裁刃の交換方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/26 20060101AFI20150514BHJP
   B26D 1/06 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   B26D7/26
   B26D1/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-13417(P2011-13417)
(22)【出願日】2011年1月25日
(65)【公開番号】特開2012-152848(P2012-152848A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2014年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】301032735
【氏名又は名称】プラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092646
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 清
(74)【代理人】
【識別番号】100083769
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100083002
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 辰男
(72)【発明者】
【氏名】小堺 哲男
(72)【発明者】
【氏名】添田 修一
(72)【発明者】
【氏名】細川 祐一
【審査官】 馬場 進吾
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0249002(US,A1)
【文献】 実開昭59−183793(JP,U)
【文献】 実開昭56−094296(JP,U)
【文献】 実開昭59−167695(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/26
B26D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、台座から垂直に立ち上がる左右の脚と、該脚に主軸によって枢着されたハンドルと、該ハンドルの動作を禁止するロック機構と、前記左右の脚における前記主軸の下方近傍位置に釣支された断裁刃および該断裁刃を保持する断裁刃保持機構と、前記断裁刃および前記断裁刃保持機構を釣支するための釣支用バネを緊張状態と弛緩状態とに切り替える切り替えレバーを備えた断裁刃釣支機構と、前記台座における前記断裁刃の直下位置に配置された刃受け部材と、を備えた断裁機であって、
前記台座は、当該台座の紙葉載置面において左右に延設されて当該台座の一側面側に開口することにより前記刃受け部材を当該台座の前記側面の開口から挿入及び取出し可能とする刃受け部材載置溝を有し、
前記断裁刃は、下後方がテーパー状に形成されて下方に刃先を有し、
前記断裁刃保持機構は、前記断裁刃の前方に配置された紙押さえ部材と、前記断裁刃の上方に配置されたスペーサーと、前記断裁刃の後方に配置され、前記スペーサーに固定された後方取付板と、を備え、
前記断裁刃は、前記後方取付板に複数の螺子によって固定され、前記後方取付板は、前記紙押さえ部材に対して相対的に可動に装着され、前記後方取付板と前記紙押さえ部材との間には後方取付板復帰バネが装着されて前記後方取付板を前記紙押さえ部材に対して相対的に上方へ付勢していることを特徴とする断裁機。
【請求項2】
下後方がテーパー状に形成されて下方に刃先を有した断裁刃を下方に押し下げることにより台座の刃受け部材載置溝に載置された刃受け部材と前記断裁刃との間に載置された紙葉などを断裁する断裁機で前記断裁刃を交換するときに使用する断裁刃カバーであって、
前記断裁刃カバーは、後方に位置し左右方向に延在する後板と、前記後板の前方に位置し、左右方向に延在する前板と、を備え、前記後板と前記前板との間に前記断裁刃の刃先が収納される収納空間を有し、厚みが前記刃受け部材載置溝の幅よりも薄く形成されることにより前記刃受け部材載置溝に挿入可能とされたことを特徴とする断裁刃カバー。
【請求項3】
前記後板は、上端近傍から下方前方に向かってテーパー状に形成されたテーパー面を有し、前記テーパー面の下端は前記前板に接続され、
前記前板は、前記後板よりも上下方向の長さが短く形成され、上端縁に前記断裁刃の前面と係合する複数の係合突起を有し、
前記後板および前記前板の外面には、前記断裁刃が前記収納空間に収納された状態で前記断裁刃と断裁刃カバーを固定するための固定部材を取り付ける固定部材係合溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の断裁刃カバー。
【請求項4】
台座と、台座から垂直に立ち上がる左右の脚と、該脚に主軸によって枢着されたハンドルと、該ハンドルの動作を禁止するロック機構と、前記左右の脚における前記主軸の下方近傍位置に釣支された断裁刃および該断裁刃を保持する断裁刃保持機構と、前記断裁刃および前記断裁刃保持機構を釣支するための釣支用バネを緊張状態と弛緩状態とに切り替える切り替えレバーを備えた断裁刃釣支機構と、前記台座における前記断裁刃の直下位置に配置された刃受け部材と、を備えた断裁機における断裁刃の交換方法であって、
前記断裁刃を取り外すときには、
前記刃受け部材を刃受け部材載置溝から抜き取り、
前記刃受け部材載置溝に請求項2又は請求項3に記載の断裁刃カバーを挿入し、
前記断裁刃釣支機構の切り替えレバーを弛緩状態に切り替え、
前記ハンドルを下方に回動させ、
前記断裁刃保持機構に前記断裁刃を固定している取付部材を取り外し、
前記ハンドルを上方に回動させて前記ロック機構により前記ハンドルの動作を禁止し、
前記断裁刃が収納された状態の前記断裁刃カバーを前記断裁刃とともに前記刃受け部材載置溝から抜き取り、
前記断裁刃を取り付けるときには、
前記断裁刃が収納された断裁刃カバーを前記断裁刃とともに前記刃受け部材載置溝内に挿入し、
前記ハンドルを下方に回動させ、
前記取付部材で前記断裁刃保持機構に前記断裁刃を固定し、
前記ハンドルを上方に回動させて前記ロック機構により前記ハンドルの動作を禁止し、
前記断裁刃釣支機構の切り替えレバーを緊張状態に切り替え、
前記刃受け部材載置溝から前記断裁刃カバーを抜き取り、
前記刃受け部材載置溝に前記刃受け部材を挿入することを特徴とする断裁刃の交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断裁機と、この断裁機における断裁刃を交換するときに使用する断裁刃カバーと、この断裁刃カバーを使用して断裁刃を交換する断裁刃の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉などを直線上に切断する断裁機というものがある。この断裁機には断裁刃が設けられているが、断裁刃は使用を継続していると刃こぼれや摩耗によって切れ味が鈍ったり、鋭利さが失われたりするため、適度に交換する必要がある。断裁刃を交換するとき、断裁刃の刃先が剥き出しの状態であると危険を伴うおそれがあるため、安全に断裁刃の交換を行う方法が求められている。特許文献1には、安全に断裁刃の交換を行うための提案として、断裁刃にL字状のナイフケースやこのナイフケースの外方を覆うサポート部材を取り付け、刃先を覆った後に断裁刃を取り外す提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−267919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の提案によれば、安全に断裁刃を取り外すことができるが、サポート部材などを配置するためには断裁刃の周りに十分なスペースを必要としていた。よって、断裁刃の周りにサポート部材などを配置する十分なスペースがない場合には利用できないという問題点があった。
【0005】
また、従来の断裁機において断裁刃を交換する場合、断裁刃を釣支しているバネを取り外す作業など作業工程が多く、使用者にとって煩わしいものであった。
【0006】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、容易に断裁刃の交換を可能とした構造を備える断裁機と、断裁刃の周りに十分なスペースが無くとも安全に断裁刃を交換することができる断裁刃カバーと、この断裁刃カバーを用いた断裁刃の交換方法と、を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、台座と、台座から垂直に立ち上がる左右の脚と、該脚に主軸によって枢着されたハンドルと、該ハンドルの動作を禁止するロック機構と、前記左右の脚における前記主軸の下方近傍位置に釣支された断裁刃および該断裁刃を保持する断裁刃保持機構と、前記断裁刃および前記断裁刃保持機構を釣支するための釣支用バネを緊張状態と弛緩状態とに切り替える切り替えレバーを備えた断裁刃釣支機構と、前記台座における前記断裁刃の直下位置に配置された刃受け部材と、を備えた断裁機であって、前記台座は、当該台座の紙葉載置面において左右に延設されて当該台座の一側面側に開口することにより前記刃受け部材を当該台座の前記側面の開口から挿入及び取出し可能とする刃受け部材載置溝を有し、前記断裁刃は、下後方がテーパー状に形成されて下方に刃先を有し、前記断裁刃保持機構は、前記断裁刃の前方に配置された紙押さえ部材と、前記断裁刃の上方に配置されたスペーサーと、前記断裁刃の後方に配置され、前記スペーサーに固定された後方取付板と、を備え、前記断裁刃は、前記後方取付板に複数の螺子によって固定され、前記後方取付板は、前記紙押さえ部材に対して相対的に可動に装着され、前記後方取付板と前記紙押さえ部材との間には後方取付板復帰バネが装着されて前記後方取付板を前記紙押さえ部材に対して相対的に上方へ付勢していることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、下後方がテーパー状に形成されて下方に刃先を有した断裁刃を下方に押し下げることにより台座の刃受け部材載置溝に載置された刃受け部材と前記断裁刃との間に載置された紙葉などを断裁する断裁機で前記断裁刃を交換するときに使用する断裁刃カバーであって、前記断裁刃カバーは、後方に位置し左右方向に延在する後板と、前記後板の前方に位置し、左右方向に延在する前板と、を備え、前記後板と前記前板との間に前記断裁刃の刃先が収納される収納空間を有し、厚みが前記刃受け部材載置溝の幅よりも薄く形成されることにより前記刃受け部材載置溝に挿入可能とされたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の断裁刃カバーにおいて、前記後板は、上端近傍から下方前方に向かってテーパー状に形成されたテーパー面を有し、前記テーパー面の下端は前記前板に接続され、前記前板は、前記後板よりも上下方向の長さが短く形成され、上端縁に前記断裁刃の前面と係合する複数の係合突起を有し、前記後板および前記前板の外面には、前記断裁刃が前記収納空間に収納された状態で前記断裁刃と断裁刃カバーを固定するための固定部材を取り付ける固定部材係合溝が形成されている。
【0010】
そして、本発明は、台座と、台座から垂直に立ち上がる左右の脚と、該脚に主軸によって枢着されたハンドルと、該ハンドルの動作を禁止するロック機構と、前記左右の脚における前記主軸の下方近傍位置に釣支された断裁刃および該断裁刃を保持する断裁刃保持機構と、前記断裁刃および前記断裁刃保持機構を釣支するための釣支用バネおよび該釣支用バネを緊張状態と弛緩状態とに切り替える切り替えレバーとを備えた断裁刃釣支機構と、前記台座における前記断裁刃の直下位置に配置された刃受け部材と、を備えた断裁機における断裁刃の交換方法であって、前記断裁刃を取り外すときには、前記刃受け部材を刃受け部材載置溝から抜き取り、前記刃受け部材載置溝に上述したいずれかに記載の断裁刃カバーを挿入し、前記断裁刃釣支機構の切り替えレバーを弛緩状態に切り替え、前記ハンドルを下方に回動させ、前記断裁刃保持機構に前記断裁刃を固定している取付部材を取り外し、前記ハンドルを上方に回動させて前記ロック機構により前記ハンドルの動作を禁止し、前記断裁刃が収納された状態の前記断裁刃カバーを前記断裁刃とともに前記刃受け部材載置溝から抜き取り、前記断裁刃を取り付けるときには、前記断裁刃が収納された断裁刃カバーを前記断裁刃とともに前記刃受け部材載置溝内に挿入し、前記ハンドルを下方に回動させ、前記取付部材で前記断裁刃保持機構に前記断裁刃を固定し、前記ハンドルを上方に回動させて前記ロック機構により前記ハンドルの動作を禁止し、前記断裁刃釣支機構の切り替えレバーを緊張状態に切り替え、前記刃受け部材載置溝から前記断裁刃カバーを抜き取り、前記刃受け部材載置溝に前記刃受け部材を挿入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば容易に断裁刃の交換を可能とした構造を備える断裁機と、断裁刃の周りに十分なスペースが無くとも安全に断裁刃を交換することができる断裁刃カバーと、この断裁刃カバーを用いた断裁刃の交換方法と、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る断裁機の背面斜視図である。
図2】上記断裁機の本体カバーを取り外した状態の背面斜視図である。
図3】上記断裁機の本体カバーを除いた分解斜視図である。
図4】断裁刃を保持した状態における断裁刃保持機構の正面斜視図および背面斜視図である。
図5】断裁刃カバーの正面斜視図および背面斜視図である。
図6】断裁刃が収納された状態における断裁刃カバーの正面斜視図および背面斜視図である。
図7】断裁刃が収納された状態における断裁刃カバーの両側面図および図6のA−A、B−B断面図である。
図8】断裁刃の交換方法を示す説明図である。
図9】断裁刃の交換方法を示す説明図である。
図10】断裁刃の交換方法を示す説明図である。
図11】断裁刃の交換方法を示す説明図である。
図12】断裁刃の交換方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図に基づいて詳説する。本発明は、紙葉などを断裁する断裁機において断裁刃を簡単に、かつ、安全に交換する方法に関する発明である。まず、本実施形態における断裁機の構成を述べた後、断裁刃の交換に使用する断裁刃カバーおよび交換方法について述べる。図1は、本発明の実施形態に係る断裁機1の背面斜視図であり、図2は、断裁機における本体カバー8を取り外した状態の背面斜視図であり、図3は、本体カバー8を除いた分解斜視図である。なお、以下の説明においてハンドルが位置する方向を上方、台座が位置する方向を下方とし、台座における本体カバー8が位置する方向を後方、後方と対向する方向を前方とし、上下および前後方向と直交する方向を左右方向として述べる。
【0014】
断裁機1は、図1乃至図3に示すように、上面を紙葉載置面2aとした台座2と、台座2の後端近傍に位置する紙葉等を断裁する断裁部3と、断裁刃4を動作させる断裁部3から上方に立ち上がるハンドル9と、を備える。そして、断裁機1は、断裁刃4と、断裁刃4の下方に位置する刃受け部材(受木)25と、を備え、断裁刃4と刃受け部材25との間に紙葉を挿入し、ハンドル9を下方に回動させることにより紙葉を直線状に断裁できる装置である。
【0015】
断裁機1の台座2は、矩形状の厚板であり、底面には複数の足が装着され、上面が紙葉載置面2aとされる。そして、紙葉載置面2aには、紙葉を断裁するときの位置合せの目安となる目盛りが描かれ、さらに、位置合せに用いるガイド部材23が配置されている。また、紙葉載置面2aの後端近傍には、刃受け部材25が載置される刃受け部材載置溝27が左右方向に延設されている。この刃受け部材載置溝27は、台座2の一側面側を開口とされており、この開口から刃受け部材25が着脱自在とされている。刃受け部材25は、断裁時に断裁刃4の刃先を受ける部材であり、木や樹脂によって形成され、左右方向に延在する直方体形状である。そして、この刃受け部材25は、使用を継続することによって断裁刃4の刃先によって傷がつくため、刃受け部材載置溝27における台座2の側面の開口から抜き出し、新しいものを挿入することで交換可能とされている。
【0016】
ハンドル9は、左右の足部材91,92と、左右の足部材91,92の上端部分を連結する把持部材93と、を備え、後述する左右の脚31,32に主軸34によって枢着されている。左右の足部材91,92は、下端近傍にそれぞれ両側方向に突出する刃押し下げ部91a,92aを備え、ハンドル9を下方に回動させたときには、この刃押し下げ部91a,92aが後述する断裁刃保持機構41の上端部分と接触し断裁刃4を下方に押し下げる。また、左の足部材91の刃押し下げ部91aの上方近傍には、後述するロック機構61によって掛合される掛合部91bが形成されている。
【0017】
断裁部3は、本体カバー8によって覆われており、本体カバー8の内側には、刃受け部材載置溝27を跨ぐように配置された左右の脚31,32と、断裁刃4を保持する断裁刃保持機構41と、断裁刃保持機構41を上方に付勢した状態で釣支する断裁刃釣支機構51と、ハンドル9を上方に回動した状態で停止させるロック機構61と、を備える。
【0018】
左右の脚31,32は、下方に上下方向に延在する切欠き31a,32aを備えた金属性の厚板であって、台座2の後端近傍位置に、切欠き31a,32aが台座2の刃受け部材載置溝27の上方に位置するように固定されている。この左右の脚31,32には、主軸34が後端中央部近傍に軸支されており、主軸34の上方にロック機構61で使用する横棒35が固定されている。
【0019】
断裁刃4は、下後方がテーパー状に形成されることにより下方に刃先を有した金属製の刃であり、4個の取付孔4aが前後方向に通貫して形成されている。
【0020】
断裁刃保持機構41は、図3および図4(a)、(b)に示すように、断裁刃4の前方に配置された紙押さえ部材42と、断裁刃4の上方に配置されたスペーサー45と、断裁刃4の後方に配置され、スペーサー45に固定された後方取付板44と、から構成される。
【0021】
紙押さえ部材42は、方形状の板であって、上方の左右対称位置にハンドル9を回動させたときに刃押し下げ部91a,92aが入り込むハンドル避け部42aとしての切欠きが形成され、ハンドル避け部42aの側外方には断裁刃4が下降するときのガイド42bとなる切り抜きが形成されている。また、紙押さえ部材42の中央にはL字状の弾性体掛止部材42cが上後方に向かって取り付けられている。
【0022】
スペーサー45は、左右方向に延在する板状体であって、前後方向の長さは断裁刃4と略同一とされている。このスペーサー45は、ハンドル9が下方に回動したときに刃押し下げ部91a,92aと当接し、断裁刃4を下方に押し下げる部材である。
【0023】
後方取付板44は、左右方向に延在する板状体であって、複数の螺子などによってスペーサー45に固着されている。この後方取付板44の下端近傍における断裁刃4の取付孔4aと重合する位置には、螺子が貫通する4個の貫通孔44bが形成されている。そして、後方取付板44は、貫通孔44bと断裁刃4の取付孔4aが重合した状態で断裁刃4の後方に配置され、螺子47などの取付部材で貫通孔44bおよび取付孔4aを連結することで断裁刃4と固着されている。また、紙押さえ部材42に取り付けられた弾性体掛止部材42cの後端部分と後方取付板44との間には後方取付板復帰バネ46が装着されており、後方取付板44は、この後方取付板復帰バネ46によって断裁刃4とともに紙押さえ部材42に対して相対的に上方に付勢されている。
【0024】
このような構成とされた断裁刃保持機構41は、両側が左右の脚31,32の切欠き31a,32aを貫通した状態で台座2の刃受け部材載置溝27の上方に配置されており、断裁刃保持機構41の上方にはハンドル9の刃押し下げ部91a,92aが位置している。
【0025】
断裁刃釣支機構51は、図2および図3に示したように、左右の脚31,32にそれぞれ回動可能に装着される対称形状の切り替えレバー52,53と、紙押さえ部材42の前方から紙押さえ部材42のガイド42bを介してスペーサー45および後方取付板44に固定されるガイド螺子54,55と、切り替えレバー52,53とガイド螺子54,55との間に装着される釣支用バネ56,57と、を備えてなる。
【0026】
切り替えレバー52,53は、左右の脚31,32に軸支される平板状の軸支部52a,53aと、軸支部52a,53aの近傍に位置し、平板から内側に向かって立ち上がる弾性体装着部52b,53bと、弾性体装着部52b,53bから所定距離離れた位置において平板から内側に立ち上がる把持部52c,53cと、からなる。この切り替えレバー52,53は、左右の脚31,32の前上端近傍、すなわち、断裁刃保持機構41が配置された位置よりも前上方に回動可能に軸支されている。
【0027】
この断裁刃釣支機構51は、切り替えレバー52,53を後方側に回動させることにより釣支用バネ56,57が伸張してぴんと張った緊張状態とすることができ、切り替えレバー52,53を前方に回動させることにより釣支用バネ56,57が緩んだ弛緩状態とすることができる。そして、緊張状態における断裁刃釣支機構51は、ガイド螺子54,55を上方に付勢することにより断裁刃保持機構41を左右の脚31,32の切欠き31a,32aの上端に近接する位置に釣支する。
【0028】
このように断裁刃4は、断裁刃保持機構41によって保持され、この断裁刃保持機構41が断裁刃釣支機構51によって上方に付勢されることにより未使用状態においては、刃受け部材25との間に紙葉を載置する空隙が構成されることとなる。そして、断裁機1は、断裁刃4と刃受け部材25との間の空隙に紙葉を載置し、ハンドル9を下方に回動させると、ハンドル9の刃押し下げ部91a,92aが断裁刃保持機構41のスペーサー45および後方取付板44に当接し、断裁刃釣支機構51の釣支用バネ56,57の弾性力に抗して断裁刃保持機構41が断裁刃4とともに下降し、断裁刃保持機構41の紙押さえ部材42の下端が紙葉に当接して紙葉を台座2の紙葉載置面2aとの間で押さえつける。さらにハンドル9を下方に回動させると、断裁刃保持機構41のスペーサー45および後方取付板44が後方取付板復帰バネ46の弾性力に抗して紙押さえ部材42に対して相対的に下降し、断裁刃4は、スペーサー45および後方取付板44とともに下降して紙葉を断裁する。また、紙押さえ部材42に対して相対的にスペーサー45および後方取付板44が移動するとき、断裁刃釣支機構51のガイド螺子54,55が紙押さえ部材42のガイド42bに沿って移動するため、断裁刃4は横方向に摺動しながら下降することとなる。よって、紙葉を容易に断裁することができる。
【0029】
ロック機構61は、図3に示したように、左右の脚31,32に固定される横棒35と、横棒35に回動可能に貫挿されるロック部材63と、ロック部材63を前下方に付勢するねじりバネ65と、により構成される。横棒35は、主軸34の上方位置で左右の脚31,32に固定されている。ロック部材63は、横棒35に貫挿される孔63aと、ハンドル9の掛合部91bに掛合する切欠き63bと、掛合状態を解除するときに操作する操作部63cと、を備えてなり、ねじりバネ65によって切欠き63bが下方に向かう方向に付勢されている。そして、ロック機構61は、ロック部材63の切欠き63bにハンドル9の掛合部91bを入り込ませることにより、ハンドル9の動作を禁止し、ロック部材63の切欠き63bからハンドル9の掛合部91bを取り外すことでハンドル9を開放する。
【0030】
この本実施形態における断裁機1において断裁刃4を交換するときには、刃受け部材25を刃受け部材載置溝27から抜き取り、切り替えレバー52,53を前方に回動させて弛緩状態にし、ハンドル9を下端まで回動させ、取付部材としての複数(本実施形態では4個)の螺子47を取り外し、ハンドル9を上方に回動させてロック機構61でロックし、断裁刃4を刃受け部材載置溝27から抜き取ることで断裁刃4を取りはずすことができ、また、逆の順序で作業をすることにより断裁刃4を装着することができる。よって、従来のようにバネを取り外したりといった作業が必要とないため簡単に断裁刃4の交換が可能となる。
【0031】
このように本実施形態の断裁機1は、断裁刃4の交換を容易に行うことができるが、断裁刃4の刃先が剥き出しのままとならないように、本実施形態における断裁刃4の交換方法では、刃先を覆う断裁刃カバー7を用いて断裁刃4の交換を行う。以下、この断裁刃カバー7について述べる。図5(a)は断裁刃カバー7の正面斜視図であり、図5(b)は断裁刃カバー7の背面斜視図であり、図6(a)は断裁刃カバー7の断裁刃4が収納された状態における正面斜視図であり、図6(b)は断裁刃カバー7の断裁刃4が収納された状態における背面斜視図である。また、図7(a)は断裁刃カバー7の断裁刃4が収納された状態における左側面図であり、図7(b)は断裁刃カバー7の断裁刃4が収納された状態における右側面図であり、図7(c)は図6(a)におけるA−A断面図であり、図7(d)はB−B断面図である。
【0032】
断裁刃カバー7は、図5乃至図7に示すように、後方に位置し、左右方向に延在する後板71と、後板71の前方に位置し、左右方向に延在する前板72と、を備え、後板71と前板72との間に断裁刃4の刃先が収納される収納空間75を有している。後板71の前面は上端近傍から下方前方に向かってテーパー状に形成されてテーパー面71aとされており、テーパー面71aの下端は前板72に接続している。すなわち、収納空間75は、後板71のテーパー面71aと前板72とにより形成される。前板72は、後板71よりも上下方向の長さ、すなわち、高さが低く形成されており、上端縁に断裁刃4の前面と係合する複数の係合突起72aを有している。また、後板71の後面から前板72の前面までの距離、すなわち、断裁刃カバー7の厚みは、台座2に形成された刃受け部材載置溝27の前後方向の長さ、すなわち、刃受け部材載置溝27の幅よりも薄く形成されており、刃受け部材載置溝27に挿入可能な大きさとされている。さらに、断裁刃カバー7の左右方向の長さ、すなわち、断裁刃カバー7の長手方向の長さは、台座2の左右方向の長さと略同一に形成されている。
【0033】
また、断裁刃カバー7の後板71および前板72には、断裁刃4の刃先が断裁刃カバー7に収納された状態で針金やビニタイなどの固定部材で周縁を巻き付けて固定するときに、この固定部材が左右にずれることを防止するための固定部材係合溝73が複数形成されている。さらに、後板71と前板72の側方には、左側板76および右側板77が連結されており、右側板77の下端近傍には、側外方に向かって突出する把持部としてのツマミ77aが形成されている。また、左側板76および右側板77の内側には、収納空間75の間隙を小さくするように幅狭部78,79が形成され、この幅狭部78,79は、各幅狭部78,79の内側端部間の距離が断裁刃4の長手方向の長さよりも長くなるように形成されている。
【0034】
そして、断裁刃4は、テーパー部分(刃先)と断裁刃カバー7の後板71のテーパー面71aとが面同士で密着し、前面側が係合突起72aによって係合された状態で断裁刃カバー7に収納され、刃先が断裁刃カバー7によって覆われることとなる。
【0035】
次に、本実施形態の断裁機1における断裁刃カバー7を用いた断裁刃4の交換方法について述べる。まず、使用者は、本体カバー8を取り外し、図8(a)に示すように、台座2の刃受け部材載置溝27から刃受け部材25を側方に引き出して取り外し、図8(b)に示すように、断裁刃カバー7をツマミ77aが側外方に来るように刃受け部材載置溝27に摺動挿入し、図9(a)に示すように、先端が受け部材載置溝27の奥に突き当たるまで断裁刃カバー7を挿入する。次に、使用者は、図9(b)に示すように、切り替えレバー52,53を前方に回動させて釣支用バネ56,57を弛緩状態にし、ロック部材63を後方に回動させてハンドル9のロックを解除してハンドル9を最下端まで前方に回動させる。ハンドル9を最下端まで前方に回動させると、断裁刃カバー7の収納空間75の下端近傍位置まで断裁刃4が入り込む。
【0036】
使用者は、ハンドル9を最下端まで回動させた後、図10(a)に示すように、断裁刃保持機構41に断裁刃4を固定している複数の螺子47を取り外す。全ての螺子47が取り外されると、図10(b)に示すように、断裁刃4は断裁刃保持機構41から外れ、刃先が断裁刃カバー7の収納空間75内に収納される。次に使用者は、図11(a)に示すように、ハンドル9をロックがかかるまで上方に回動させ、図11(b)に示すように、断裁刃カバー7を断裁刃4とともに側外方に引き出し、図12に示すように、断裁刃カバー7を刃受け部材載置溝27から完全に抜き出す。
【0037】
そして、使用者は、刃先に断裁刃カバー7が装着された断裁刃4を用意し、図11(b)および(a)に示したように、受け部材載置溝27に摺動挿入する。そして、図10(b)に示したようにハンドル9を下方に回動させて断裁刃保持機構41を下方に移動させ、図10(a)に示したように、断裁刃4を螺子47で断裁刃保持機構41に固定し、図9(a)に示したようにハンドル9を上方に回動させてロック機構61によりハンドル9の動作を禁止し、切り替えレバー52,53を後方に回動させて釣支用バネ56,57を緊張状態に切り替え、刃受け部材載置溝27から断裁刃カバー7を抜き取り、刃受け部材載置溝27に刃受け部材25を挿入する。
【0038】
このように断裁刃4を交換することにより、断裁刃保持機構41から取り外された状態の断裁刃4の刃先は常に断裁刃カバー7の収納空間75内に位置しているため、刃先が露出することを防止でき、また、装着する断裁刃4の刃先も露出することなく断裁刃保持機構41に固定することができる。よって、簡単な作業で安全に断裁刃4を交換できることとなる。
【0039】
すなわち、本実施形態の断裁刃4の交換方法では、交換可能な受け部材25が載置されている受け部材載置溝27のスペースを断裁刃カバー7を挿入するスペースとして利用することにより、断裁刃4の周縁に広いスペースが無くとも断裁刃4の刃先を覆った状態で安全に断裁刃4を交換することができる。
【0040】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 断裁機
2 台座 2a 紙葉載置面
3 断裁部 4 断裁刃
4a 取付孔 7 断裁刃カバー
8 本体カバー 9 ハンドル
23 ガイド部材 25 刃受け部材
27 刃受け部材載置溝
31,32 脚
31a,32a 切欠き
34 主軸 35 横棒
41 断裁刃保持機構 42 紙押さえ部材
42a ハンドル避け部 42b ガイド
42c 弾性体掛止部材
44 後方取付板 44b 貫通孔
45 スペーサー 46 後方取付板復帰バネ
47 螺子 51 断裁刃釣支機構
52,53 切り替えレバー 52a,53a 軸支部
52b,53b 弾性体装着部 52c,53c 把持部
54,55 ガイド螺子
56,57 釣支用バネ 61 ロック機構
63 ロック部材 63a 孔
63b 切欠き 63c 操作部
65 ねじりバネ
71 後板 71a テーパー面
72 前板 72a 係合突起
73 固定部材係合溝 75 収納空間
76 左側板
77 右側板 77a ツマミ
78,79 幅狭部
91,92 足部材 91a,92a 刃押し下げ部
91b 掛合部 93 把持部材
図1
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