【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、超高速近距離無線伝送技術等の研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態では、数cm程度の近接距離において近接無線通信が可能な無線通信システムに用いられる、無線通信端末、無線通信装置及び無線通信方法を例示する。特に、本実施形態では、近接無線通信以外に、更に、数十cm〜数m程度の近距離において近距離無線通信が可能な無線通信装置及び無線通信端末を想定し、構成及び動作の一例を示す。
【0018】
ここで、近接無線通信としては、TransferJet(商標)の伝送レート数百Mbpsを超えて、更なる高速化を図り、数Gbps程度の伝送レートを持つ超高速の無線通信システムを検討する。例えば、WiGig Alliance(Wireless Gigabit Alliance)によって仕様策定が進められているWiGig(商標)では、60GHzのミリ波帯を用いて、伝送レート6Gbpsを目指している。
【0019】
ミリ波帯の周波数帯域を用いた超高速の無線通信システムでは、近接無線通信を用いるには、誤通信の防止、通信の信頼性の確保が重要となる。本実施形態は、近接無線通信における通信可能エリアを適切に制限し、誤通信を防止可能にしたものである。
【0020】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、近接無線通信における通信可能エリアの制限方法、並びに近接無線通信を用いる無線通信端末及び無線通信装置の一例を示すものである。
【0021】
第1の実施形態では、システム的に通信可能エリアを制限するために、受信信号の信号強度を用いて、近接無線通信を用いる装置間の距離を推定し、近接無線通信エリア(通信可能エリア)内において通信接続する。無線通信システムとしては、無線通信装置としてのマスタ装置(無線通信装置A)と無線通信端末としてのスレーブ装置(無線通信装置B)との間において、近接無線通信によって通信するものを想定する。本実施形態では、スレーブ装置とマスタ装置とを区別するために、スレーブ装置を無線通信端末、マスタ装置を無線通信装置として説明する。
【0022】
図1は、第1の実施形態に係る無線通信システムの概略配置構成を示す図である。マスタ装置10は、近接無線通信によって通信するためのビーコン信号を周囲空間に送信する。ビーコン信号の送信電力は近接無線通信エリア30を超えて到達可能なように設定し、近接無線通信エリア外でもビーコン受信可能とする。
【0023】
マスタ装置10からのビーコン信号を受信したスレーブ装置20は、ビーコン信号の受信信号強度(あるいは送信電力の減衰量)を用いて、マスタ装置10との距離を推定する。そして、スレーブ装置20は、マスタ装置10との距離が近接無線通信エリア内であるかを判定し、近接無線通信エリア内においては、マスタ装置10と接続し、近接無線通信によってデータを授受する。
【0024】
つまり、スレーブ装置20A、20Bのように、スレーブ装置は、近接無線通信エリア30のエリア外(20A)から移動してエリア内(20B)に入ると、マスタ装置10と接続し、データを送受信する。
【0025】
一方、離れた距離にあるスレーブ装置40は、マスタ装置10からのビーコン信号の受信が困難となるか、あるいは距離推定結果が近接無線通信エリア外であるため、マスタ装置10と通信しない。
【0026】
<装置構成>
図2は、本実施形態のマスタ装置10の機能的構成を示すブロック図である。
【0027】
マスタ装置10は、アンテナ101、ミリ波高周波部102、フレーム送信部103、ミリ波変調部104、ミリ波復調部105、フレーム受信部106、メモリ107、送信電力制御部108、タイマ109、処理部110を有する。
【0028】
ミリ波高周波部102は、例えば60GHzのミリ波帯の無線通信用フロンドエンドであり、アンテナ101を介してミリ波帯の無線信号の送信、受信を行う。メモリ107は、送信データ及び受信データを格納する記憶部である。
【0029】
フレーム送信部103は、メモリ107より出力される送信データを元に、送信信号のフレーム生成を行うもので、例えば、IEEE 802.11ad準拠の送信フレームを生成する。
【0030】
ミリ波変調部104は、フレーム送信部103にて生成した送信フレームの変調を行うもので、例えば、IEEE 802.11ad準拠の変調処理を行い、変調後の送信信号をミリ波高周波部102に出力する。
【0031】
ミリ波高周波部102は、送信信号の周波数変換、電力増幅等を行い、ミリ波帯の無線信号としてアンテナ101を介して送信する。また、ミリ波高周波部102は、アンテナ101を介してミリ波帯の無線信号を受信し、信号増幅、周波数変換等を行い、受信信号をミリ波復調部105に出力する。
【0032】
ミリ波復調部105は、ミリ波高周波部102にて受信した受信信号の復調を行うもので、例えば、IEEE 802.11ad準拠の復調処理を行い、復調後の受信フレームをフレーム受信部106に出力する。
【0033】
フレーム受信部106は、受信信号のフレーム解析を行うもので、例えば、IEEE 802.11ad準拠の受信フレームを解析し、解析結果の受信データをメモリ107に入力して記憶させる。
【0034】
送信電力制御部108は、処理部110からの指示に従って、近接無線通信用または近距離無線通信用のビーコン信号、及び他の送信信号の送信電力を制御する。
【0035】
処理部110は、プロセッサ及びメモリを有するマイコン等によって構成される。処理部110は、メモリに格納された所定のプログラムを実行することによって、マスタ装置10における各動作の処理を行う。タイマ109は、所定の時間をカウントし、ビーコン信号の送信タイミングを決めるための時間情報を処理部110に出力する。
【0036】
処理部110は、ビーコン生成部113、通信可能エリア判断部111、接続制御部112を有する。ビーコン生成部113は、近接無線通信の通信可能エリアに関する情報を含む近接無線通信用のビーコン信号を生成する。また、近距離無線通信を行う場合は、近距離無線通信に関する情報を含む近距離無線通信用のビーコン信号を生成する。このとき、処理部110は、タイマ109から与えられるビーコン信号の送信タイミングに合わせて、所定の周期でビーコン信号を出力する。
【0037】
通信可能エリア判断部111は、通信相手端末との距離を推定し、通信相手端末が近接無線通信の通信可能エリア内であるかを判断して、通信相手端末の位置情報を出力する。通信相手端末までの距離推定は、ミリ波高周波部102にて受信した受信信号を用いて、受信電力(受信信号強度)を測定し、通信相手端末の送信電力と比較する方法などによって可能である。
【0038】
接続制御部112は、ビーコン信号を受信した通信相手端末から近接無線通信の接続を要求する近接無線通信接続要求信号を受信すると、近接無線通信を用いて通信相手端末と接続する。このとき、接続制御部112は、通信相手端末がビーコン信号を受信可能であっても、通信相手端末位置が近接無線通信の通信可能エリア外である場合には、通信相手端末と近接無線通信を用いて接続しない。一方、接続制御部112は、通信相手端末がビーコン信号を受信可能であり、かつ、通信相手端末位置が近接無線通信の通信可能エリア内である場合には、通信相手端末と近接無線通信を用いて接続する。
【0039】
上記構成において、タイマ109、処理部110、メモリ107、フレーム送信部103、ミリ波変調部104、ミリ波高周波部102、及びアンテナ101が、ビーコン送信部の機能を実現する。また、アンテナ101、ミリ波高周波部102、ミリ波復調部105、フレーム受信部106、メモリ107、及び処理部110が、信号受信部の機能を実現する。
【0040】
図3は、本実施形態のスレーブ装置20の機能的構成を示すブロック図である。
【0041】
スレーブ装置20は、アンテナ201、ミリ波高周波部202、フレーム送信部203、ミリ波変調部204、ミリ波復調部205、フレーム受信部206、メモリ207、受信電力測定部208、タイマ209、処理部210を有する。
【0042】
ミリ波高周波部202は、例えば60GHzのミリ波帯の無線通信用フロンドエンドであり、アンテナ201を介してミリ波帯の無線信号の送信、受信を行う。メモリ207は、送信データ及び受信データを格納する記憶部である。
【0043】
フレーム送信部203は、メモリ207より出力される送信データを元に、送信信号のフレーム生成を行うもので、例えば、IEEE 802.11ad準拠の送信フレームを生成する。
【0044】
ミリ波変調部204は、フレーム送信部203にて生成した送信フレームの変調を行うもので、例えば、IEEE 802.11ad準拠の変調処理を行い、変調後の送信信号をミリ波高周波部202に出力する。
【0045】
ミリ波高周波部202は、送信信号の周波数変換、電力増幅等を行い、ミリ波帯の無線信号としてアンテナ201を介して送信する。また、ミリ波高周波部202は、アンテナ201を介してミリ波帯の無線信号を受信し、信号増幅、周波数変換等を行い、受信信号をミリ波復調部205に出力する。
【0046】
ミリ波復調部205は、ミリ波高周波部202にて受信した受信信号の復調を行うもので、例えば、IEEE 802.11ad準拠の復調処理を行い、復調後の受信フレームをフレーム受信部206に出力する。
【0047】
フレーム受信部206は、受信信号のフレーム解析を行うもので、例えば、IEEE 802.11ad準拠の受信フレームを解析し、解析結果の受信データをメモリ207に入力して記憶させる。
【0048】
受信電力測定部208は、ミリ波高周波部202にて受信した近接無線通信用のビーコン信号の受信電力を測定し、測定結果を処理部210に出力する。
【0049】
処理部210は、プロセッサ及びメモリを有するマイコン等によって構成される。処理部210は、メモリに格納された所定のプログラムを実行することによって、スレーブ装置20における各動作の処理を行う。タイマ209は、所定の時間をカウントし、ビーコン信号の受信タイミングを決めるための時間情報を処理部210に出力する。
【0050】
処理部210は、通信可能エリア判断部211、接続制御部212を有する。通信可能エリア判断部211は、通信相手装置との距離を推定し、自装置位置が近接無線通信の通信可能エリア内であるかを判断する。通信相手装置までの距離推定は、ミリ波高周波部202にて受信したビーコン信号を用いて、受信電力(受信信号強度)を測定し、通信相手装置の送信電力と比較する方法などによって可能である。
【0051】
接続制御部212は、近接無線通信の通信可能エリア内外の判断結果に基づき、近接無線通信を用いて通信相手装置と接続する。このとき、接続制御部212は、近接無線通信用のビーコン信号を受信可能であっても、自装置位置が近接無線通信の通信可能エリア外である場合には、通信相手装置と近接無線通信を用いて接続しない。一方、接続制御部212は、近接無線通信用のビーコン信号を受信可能であり、かつ、自装置位置が近接無線通信の通信可能エリア内である場合には、通信相手装置と近接無線通信を用いて接続する。ここで、近接無線通信の通信可能エリアは、近接無線通信用のビーコン信号を受信できるエリアよりも狭いエリアである。
【0052】
上記構成において、アンテナ201、ミリ波高周波部202、ミリ波復調部205、フレーム受信部206、メモリ207、及び処理部210が、ビーコン受信部の機能を実現する。
【0053】
<無線通信システムの動作>
次に、第1の実施形態の無線通信システムにおけるマスタ装置10及びスレーブ装置20の動作を説明する。
図4は、第1の実施形態における近接無線通信の開始及び終了時の動作を示す動作説明図である。
図4において、横軸は時間であり、マスタ装置10とスレーブ装置20との間において送受信される信号を示している。ここで、装置間において送受信されるビーコン信号を含む通信信号は、パケットとして伝送されるものとする。また、
図5は、第1の実施形態における近接無線通信の開始及び終了時のマスタ装置10及びスレーブ装置20の処理を示すシーケンス図である。
【0054】
マスタ装置10(無線通信装置A)は、近接無線通信を用いて通信するためのビーコン信号51を周期的に送信する(S11)。マスタ装置10は、所定の短い周期(例えば1ms)毎にビーコン信号51を送信する。
【0055】
すなわち、
図5におけるビーコン送信処理S11は周期的に実行される。ビーコン信号51に含まれる近接無線通信情報としては、近接無線通信用識別情報、送信電力情報、及び、通信可能エリア定義情報(数cm程度)のうち、少なくとも1つ以上を含む。このうち、送信電力情報、及び通信可能エリア定義情報は、近接無線通信の通信可能エリアに関する情報として用いられる。通信可能エリア定義情報としては、例えば、近接無線通信エリアの大きさを定義する大きさ情報、近接無線通信の通信距離上限情報などを用いればよい。近接無線通信の通信距離上限情報として、例えば、近接無線通信エリアにおける送信電力の最大減衰量などを用いてもよい。
【0056】
ビーコン信号51の送信電力は、ビーコン信号51の到達距離が近接無線通信エリアを超える程度とし、例えば、消費電力を考慮して比較的小さい値に設定する。
【0057】
なお、近接無線通信の通信可能エリア定義情報(数cm程度)、及び、送信電力情報は、無線通信システムにおいて予め設定した値を用いてもよい。予め設定した値を用いる場合には、ビーコン信号51には、情報を省略することが出来る。
【0058】
スレーブ装置20(無線通信装置B)は、ビーコン信号51を受信すると(S21)、ビーコン信号51に含まれる近接無線通信情報を解析し、ビーコン信号51の受信強度を測定する。そして、スレーブ装置20は、ビーコン信号51の近接無線通信情報と受信信号強度の情報とを用いて、ビーコン信号51の送信元のマスタ装置10との距離を推定することにより、近接無線通信エリア内外を判断する(S22)。
【0059】
スレーブ装置20は、近接無線通信エリア内外判断処理において、近接無線通信エリア内であると判断すると(S23)、通信接続要求信号52をマスタ装置10に対して送信する(S24)。通信接続要求信号52に含まれる接続要求情報としては、近接無線通信用識別情報、送信電力情報などを用いる。
【0060】
マスタ装置10は、スレーブ装置20からの通信接続要求信号52を受信すると(S12)、通信接続要求信号52に含まれる接続要求情報を解析し、通信接続要求信号52の受信強度を測定する。そして、マスタ装置10は、通信接続要求信号52の接続要求情報と受信信号強度の情報とを用いて、通信接続要求信号52の送信元のスレーブ装置20との距離を推定することにより、近接無線通信エリア内外を判断する。
【0061】
マスタ装置10は、スレーブ装置20が近接無線通信エリア内であると判断すると、通信接続許可信号53をスレーブ装置20に対して送信する(S13)。マスタ装置10は、スレーブ装置20との距離を推定して、近接無線通信エリア内であれば、通信接続許可信号53を送信してもよいし、近接無線通信エリア内の判断処理を省略して通信接続許可信号53をスレーブ装置20に対して送信してもよい。
【0062】
スレーブ装置20は、マスタ装置10からの通信接続許可信号53を受信すると(S25)、マスタ装置10との間において近接無線通信が接続された状態となる。そして、次のビーコン信号51の送信後より、近接無線通信が開始され、データ信号54がマスタ装置10とスレーブ装置20との間において送受信される(S14、S26)。なお、
図4では、マスタ装置10からスレーブ装置20へ伝送されるデータ信号54が示されている。
【0063】
その後、スレーブ装置20は、近接無線通信エリア内外判断処理において、近接無線通信エリア外であると判断すると(S27)、通信切断要求信号55をマスタ装置10に対して送信する(S28)。マスタ装置10は、スレーブ装置20からの通信切断要求信号55を受信すると(S15)、通信切断許可信号56をスレーブ装置20に対して送信する(S16)。スレーブ装置20は、マスタ装置10からの通信切断許可信号56を受信すると(S29)、マスタ装置10との間において近接無線通信が切断された状態となる。
【0064】
<ビーコンフォーマット>
ビーコン信号51の一例を示す。
図6は、本実施形態の無線通信システムにおいて用いるビーコン信号のフォーマットの例を示す図である。図示例は、IEEE 802.11ad Draft1.0に準拠したビーコンフレームフォーマットを利用した例である。
【0065】
ビーコン信号51は、
図6(A)に示すように、FC(Frame Control)301、Duration302、RA303、Body304、FCS(Frame Check Sequence)305を含むものである。FC301は、フレーム種別情報であり、ミリ波通信用ビーコンのフレームの場合は0x03である。Duration302は、ビーコン送信期間終了までの残り時間を示す情報である。Body303は、ビーコン情報の本体であり、後述する。RA304は、親局(マスタ装置)のBSSIDである。FCS305は、フレームの誤り検査用ビット列である。
【0066】
ビーコン信号51のBodyは、
図6(B)に示すように、先頭部分にTimestamp311、Sector Sweep312、Beacon Interval313、Beacon Interval Control314、mmWave Parameters315を含む。これらは、IEEE 802.11ad準拠の情報である。そして、ビーコン信号51のBodyには、所定数のInformation Element(IE)が含まれる。本例では、Information Elementとして、SSID element316、近接無線通信情報element317を含む。
【0067】
SSID element316は、特定のネットワークを指定するための識別情報であるSSID(Service Set IDentifier)を示すIEのことで、IEEE 802.11シリーズの無線LAN規格で規定されている。SSID element316は、
図6(C)に示すように、Element ID321、Length322、SSID323を含む。
【0068】
近接無線通信情報element317は、近接無線通信用のビーコン信号を示すIEであり、近接無線通信の通信可能エリアに関する情報を含む。近接無線通信情報element317は、
図6(D)に示すように、Element ID331、Length332、識別情報333、送信電力情報334、最大減衰量情報335を含む。本例では、Element ID=172、Length=5としている。識別情報333は、近接無線通信用の場合は「1」、近距離無線通信用の場合は「0」とする。
【0069】
送信電力情報334は、ビーコン信号の送信電力を0〜255dBで表した1バイトの情報である。最大減衰量情報335は、通信可能エリア定義情報の一例として、近接無線通信の通信距離上限情報に相当するものであり、近接無線通信エリアにおける送信電力の最大減衰量を示す情報である。最大減衰量情報335は、近接無線通信の通信距離上限までの最大減衰量を0〜255dBで表した1バイトの情報である。
【0070】
また、近接無線通信用のビーコン信号を示すIEとして、近接無線通信情報element317の代わりに、Vender Specific information element318を用いてもよい。Vender Specific information element318は、無線通信端末及び装置のベンダが独自に使用可能なIEである。Vender Specific information element318は、
図6(E)に示すように、Element ID341、Length342、OUI(Organizationally Unique Identifier)343、識別情報344、送信電力情報345、最大減衰量情報346を含む。本例では、Element ID=221、Length=8としている。
【0071】
OUI343は、LAN内で使用されるMACアドレスの前半24ビット部分を示すもので、無線通信端末及び装置の各ベンダに割り当てられた識別情報である。識別情報344、送信電力情報345、最大減衰量情報346は、上記の近接無線通信情報element317と同様の情報を用いることができる。
【0072】
<近接無線通信エリア内外判断処理>
近接無線通信エリア内外判断処理の手順の一例を示す。
図7は、本実施形態のスレーブ装置20における近接無線通信エリア内外判断処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する各手順は、主にスレーブ装置20の処理部210において実行される。
図7では、
図6に示したビーコン信号51を受信した場合の動作を示している。
【0073】
スレーブ装置20は、無線信号を受信すると、処理部210において、受信フレームがミリ波通信用のビーコン信号であるかどうかを判定する(S101)。このとき、処理部210は、受信フレームのFC301を参照し、FC=0x03である場合、ミリ波通信用のビーコン信号であると判定する。ミリ波通信用のビーコン信号でない場合(S101 No)、処理部210は、近接無線通信エリア外であると判断し(S108)、処理を終了する。
【0074】
ミリ波通信用のビーコン信号である場合(S101 Yes)、処理部210は、続いてビーコン信号に含まれる情報(ビーコン情報)を解析する(S102)。ビーコン情報の解析としては、IEEE 802.11ad準拠のフレーム解析処理を行う。具体的には、Duration302、RA303、並びにBody304のTimestamp311、Sector Sweep312、Beacon Interval313、Beacon Interval Control314、mmWave Parameters315の解析を行う。
【0075】
次に、処理部210は、IEのElement IDを参照し、近接無線通信情報element317のエレメントIDであるかどうかを判定する(S103)。処理部210は、IEが近接無線通信情報element317である場合は、次の処理に進み、そうでない場合は、近接無線通信エリア外であると判断し(S108)、処理を終了する。
【0076】
続いて、処理部210は、近接無線通信情報element317内の識別情報333を参照し、識別情報333が近接無線通信用(=1)であるかどうかを判定する(S104)。処理部210は、識別情報333が近接無線通信用である場合は、次の処理に進み、そうでない場合は、近接無線通信エリア外であると判断し(S108)、処理を終了する。
【0077】
続いて、処理部210は、送信電力情報334、最大減衰量情報335、及び、受信したビーコン信号の受信信号強度の情報を用いて、近接無線通信エリア内外を判断するための演算を行う(S105)。処理部210は、ビーコン信号の送信電力から受信信号強度を減算して最大減衰量と比較し、(送信電力)−(受信信号強度)<(最大減衰量)である場合に、次の処理に進む。そうでない場合は、処理部210は、近接無線通信エリア外であると判断し(S108)、処理を終了する。
【0078】
次に、処理部210は、FCS305を用いて、誤り検査処理を行い、誤り検査結果が正常であるかどうかを判断する(S106)。処理部210は、誤り検査結果が正常である場合、近接無線通信エリア内であると判断し(S107)、処理を終了する。誤り検査結果が異常の場合、処理部210は、近接無線通信エリア外であると判断し(S108)、処理を終了する。
【0079】
本実施形態によれば、物理的な電波の到達距離とは別に、距離判断を用いて、通信可能エリアを制限でき、物理的な電波の到達距離であっても、通信可能エリア外では、接続しないことにより、近接無線通信時の誤送信を防止できる。特に、ミリ波帯を用いた超高速の無線通信システム、無線通信端末及び無線通信装置に適用すると、高伝送レートと高信頼性とを両立でき、より大きな効果が得られる。
【0080】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、近接無線通信の通信接続及び通信切断方法、並びに近接無線通信を用いる無線通信端末及び無線通信装置の一例を示すものである。
【0081】
第2の実施形態では、無線通信端末及び無線通信装置は、効率的に近接無線通信を接続及び切断するために、初めに近距離無線通信エリア(数十cm〜数m程度)において近距離無線通信により通信を接続しておき、近接無線通信エリア(数cm程度)に近づいたときに近接無線通信によって接続する。
【0082】
つまり、無線通信端末及び無線通信装置は、近距離無線通信による受信信号の信号強度を用いて、通信相手局が近接無線通信エリアの近傍に位置するかを判断し、近接無線通信エリアの近傍であると判断すると、近接無線通信の通信接続動作を開始し、近接無線通信エリア(通信可能エリア)内において、近接無線通信によって接続する。
【0083】
第1の実施形態と同様、無線通信システムとしては、マスタ装置(無線通信装置A)とスレーブ装置(無線通信装置B)との間において近接無線通信によって通信するものを想定し、ここでは第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0084】
図8は、第2の実施形態に係る無線通信システムの概略配置構成を示す図である。マスタ装置10は、まず近距離無線通信によって通信するためのビーコン信号を、周囲空間に送信する。ビーコン信号は、近距離無線通信エリア(数十cm〜数m程度)に到達可能なように送信電力を大きくし、長い送信周期によって送信する。
【0085】
マスタ装置10からの近距離無線通信用ビーコン信号を受信したスレーブ装置20は、近距離無線通信によってマスタ装置10と通信接続を開始し、データを送受信する。そして、スレーブ装置20は、近距離無線通信用ビーコン信号の受信信号強度、データ信号の受信信号強度、又は、送信電力の減衰量を用いて、マスタ装置10との距離を推定する。
【0086】
スレーブ装置20は、近接無線通信エリアの近傍であると推定すると、通信エリア近傍通知をマスタ装置10に送信する。マスタ装置10は、スレーブ装置20からの通信エリア近傍通知を受信すると、ビーコン信号を近接無線通信用に切り替えて周囲空間に送信する。ビーコン信号は、送信電力を小さくして到達距離が近接無線通信エリアを超える程度(近傍まで)にし、短い送信周期によって送信する。
【0087】
マスタ装置10からの近接無線通信用ビーコン信号を受信したスレーブ装置20は、第1の実施形態と同様に近接無線通信エリア内外を判断する。スレーブ装置20は、近接無線通信エリア内であると判断すると、マスタ装置10と接続し、近接無線通信によってデータを授受する。
【0088】
つまり、マスタ装置10が近距離無線通信用ビーコン信号を送信し、スレーブ装置20C、20D、20Eのように、スレーブ装置が近接無線通信エリア30のエリア外(20C)において、まず近距離無線通信によりマスタ装置10と通信接続する。そして、スレーブ装置が移動して近接無線通信エリア30の近傍(20D)に近づくと、マスタ装置10が近接無線通信用ビーコン信号に切り替え、エリア近傍からエリア内(20E)に入ると、マスタ装置10と通信接続を開始し、データを送受信する。
【0089】
<無線通信システムの動作>
次に、第2の実施形態の無線通信システムにおけるマスタ装置10及びスレーブ装置20の動作を説明する。
図9は、第2の実施形態における近接無線通信の開始及び終了時の動作を示す動作説明図である。
図9において、横軸は時間であり、マスタ装置10とスレーブ装置20との間において送受信される信号を示している。ここで、装置間において送受信されるビーコン信号を含む通信信号は、パケットとして伝送されるものとする。また、
図10は、第2の実施形態における近接無線通信の開始までのマスタ装置10及びスレーブ装置20の処理を示すシーケンス図である。
【0090】
マスタ装置10(無線通信装置A)は、近距離無線通信による通信に用いるビーコン信号61を周期的に送信する(S31)。マスタ装置10は、近距離無線通信及び近接無線通信に関する近距離・近接無線通信情報を含む近距離無線通信用のビーコン信号61を生成する。マスタ装置10は、近接無線通信用よりも長い所定の周期(例えば100ms)毎にビーコン信号61を送信する。
【0091】
すなわち、
図10における近距離無線通信用ビーコン送信処理S31は周期的に実行される。ビーコン信号61に含まれる近距離・近接無線通信情報は、近距離無線通信に関する近距離無線通信用識別情報、送信電力情報、及び、通信可能エリア定義情報(数十cm〜数m程度)のうち、少なくとも1つ以上を含む。通信可能エリア定義情報としては、例えば、近距離無線通信エリアの大きさを定義する大きさ情報、近距離無線通信の通信距離上限情報などを用いればよい。近距離無線通信の通信距離上限情報として、例えば、近距離無線通信エリアにおける送信電力の最大減衰量などを用いてもよい。
【0092】
ビーコン信号61の送信電力は、ビーコン信号61の到達距離が近距離無線通信エリア内(数十cm〜数m程度)をカバーできるように比較的大きい値に設定する。
【0093】
スレーブ装置20(無線通信装置B)は、近距離無線通信用のビーコン信号61を受信すると(S51)、近距離無線通信の接続要求である通信接続要求信号62をマスタ装置10に対して送信する(S52)。マスタ装置10は、スレーブ装置20からの通信接続要求信号62を受信すると(S32)、近距離無線通信の接続許可である通信接続許可信号63をスレーブ装置20に対して送信する(S33)。
【0094】
スレーブ装置20は、マスタ装置10からの通信接続許可信号63を受信すると(S53)、マスタ装置10との間において近距離無線通信が接続された状態となる。そして、次のビーコン信号61の送信より以後において、近距離無線通信が開始され、データ信号がマスタ装置10とスレーブ装置20との間において送受信される(S34、S54)。近距離無線通信の通信接続手順は、例えば、公知の無線LANの接続シーケンスと同じものを用いればよい。
【0095】
そして、スレーブ装置20は、近距離無線通信用のビーコン信号61の受信信号強度、または近距離無線通信を用いて送受信するデータ信号の受信信号強度によって、通信相手のマスタ装置10との距離を推定することにより、近接無線通信エリア近傍であるかを判断する(S55)。近接無線通信エリア近傍判断処理は、第1の実施形態における近接無線通信エリア内外判断処理と同様の手順によって実施可能である。
【0096】
スレーブ装置20は、近接無線通信エリア近傍判断処理において、近接無線通信エリア近傍であると判断すると(S56)、通信エリア近傍通知信号64をマスタ装置10に対して送信する(S57)。マスタ装置10は、スレーブ装置20からの通信エリア近傍通知信号64を受信すると(S35)、近接無線通信によって通信するためのビーコン信号51を周期的に送信する(S36)。ビーコン信号の添付情報、送信電力及び送信周期を、近距離無線通信用から近接無線通信用に切り替える。
【0097】
マスタ装置10は、第1の実施形態と同様に、近接無線通信に関する近接無線通信情報を含む近接無線通信用のビーコン信号51を生成する。マスタ装置10は、所定の短い周期(例えば1ms)毎にビーコン信号51を送信する。すなわち、
図10における近接無線通信用ビーコン送信処理S36は周期的に実行される。
【0098】
ビーコン信号51に含まれる近接無線通信情報は、近接無線通信用識別情報、送信電力情報、及び、通信可能エリア定義情報(数cm程度)のうち、少なくとも1つ以上を含む。ビーコン信号51の送信電力は、ビーコン信号51の到達距離が近接無線通信エリア(数cm程度)を超える程度とし、例えば、消費電力を考慮して近距離無線通信用よりも小さい値に設定する。以下の近接無線通信の通信接続手順は第1の実施形態と同様である。
【0099】
スレーブ装置20は、近接無線通信用のビーコン信号51を受信すると(S58)、ビーコン信号51の近接無線通信情報と受信信号強度の情報とを用いて、マスタ装置10との距離推定によって近接無線通信エリア内外を判断する(S59)。近接無線通信エリア内外判断処理は、第1の実施形態と同様の手順によって実施可能である。
【0100】
スレーブ装置20は、近接無線通信エリア内外判断処理において、近接無線通信エリア内であるとの判断では(S60)、近接無線通信の接続要求である通信接続要求信号52をマスタ装置10に対して送信する(S61)。
【0101】
マスタ装置10は、スレーブ装置20からの通信接続要求信号52を受信すると(S37)、近接無線通信の接続許可である通信接続許可信号53をスレーブ装置20に対して送信する(S38)。マスタ装置10は、スレーブ装置20との距離を推定して、近接無線通信エリア内であれば、通信接続許可信号53を送信してもよいし、近接無線通信エリア内の判断処理を省略して通信接続許可信号53を送信してもよい。
【0102】
スレーブ装置20は、マスタ装置10からの通信接続許可信号53を受信すると(S62)、マスタ装置10との間において近接無線通信が接続された状態となる。そして、次のビーコン信号51の送信後より、近接無線通信が開始され、データ信号がマスタ装置10とスレーブ装置20との間において送受信される(S39、S63)。
【0103】
その後、スレーブ装置20は、近接無線通信エリア外であるとの判断では、近接無線通信の切断要求である通信切断要求信号55をマスタ装置10に対して送信する。マスタ装置10は、スレーブ装置20からの通信切断要求信号55を受信すると、近接無線通信の切断許可である通信切断許可信号56をスレーブ装置20に対して送信する。スレーブ装置20は、マスタ装置10からの通信切断許可信号56を受信すると、マスタ装置10との間において近接無線通信が切断された状態となる。
【0104】
近接無線通信の終了後、マスタ装置10は、近距離無線通信用のビーコン信号61を周期的に送信する。ビーコン信号の添付情報、送信電力及び送信周期を、近接無線通信用から近距離無線通信用のものに切り替える。例えば、近接無線通信用識別情報を近距離無線通信用識別情報に切り替え、送信電力大を送信電力小に切り替え、送信周期1msを送信周期100msに切り換える。
【0105】
本実施形態によれば、物理的な電波の到達距離とは別に、距離判断を用いて、通信可能エリアを制限でき、物理的な電波の到達距離であっても、通信可能エリア外では、接続しないことにより、近接無線通信時の誤送信を防止できる。
【0106】
また、マスタ装置10は、一旦、近距離無線通信を用いて、スレーブ装置20と接続した後に、近接無線通信の通信可能エリア近傍にスレーブ装置20が存在すると、ビーコン信号を近距離無線通信用から近接無線通信用に切り替え、近接無線通信を用いてスレーブ装置20と接続することで、効率的な通信接続及び通信切断が可能になる。
【0107】
これによって、通信接続を省電力化し、通信接続、通信切断を短時間化することができるようになる。また、近接無線通信と近距離無線通信との併用であっても、誤通信を防止でき、通信の信頼性を確保できる。特に、ミリ波帯を用いた超高速の無線通信システム、無線通信端末及び無線通信装置に適用することで、高伝送レートと高信頼性とを両立でき、より大きな効果が得られる。
【0108】
<応用例>
図11は、本実施形態の無線通信システムの第1応用例を示す図である。第1応用例は、鉄道駅の改札口あるいは商店のレジにおいて本実施形態の無線通信システムを適用した例である。
図11は改札口の例を示している。
【0109】
改札部511A、511Bには、それぞれマスタ装置510A、510Bが設置されている。マスタ装置510Aは、ユーザが携帯するスレーブ装置520が改札口を通過する間に、近接無線通信エリアにてスレーブ装置520と近接無線通信を行い、改札に関する情報の送受信を行う。このとき、ユーザ認証、切符情報または定期券情報の照合、料金の決済処理、入金処理、各種情報の配信などを行う。商店のレジに適用する場合は、ユーザ認証、代金の決済処理、入金処理、各種情報の配信などを行う。
【0110】
本実施形態の無線通信システムを適用することによって、近くに他のマスタ装置510Bが存在していても、通信可能エリアの制限、通信可能エリア内外判断を適切に行えるため、誤って他の無線通信装置と接続してしまうことを防止できる。また、マスタ装置510Aとスレーブ装置520との間で、短時間で適切に近接無線通信の接続、切断が可能になる。
【0111】
図12は、本実施形態の無線通信システムの第2応用例を示す図である。第2応用例は、デジタルコンテンツのダウンロードシステムにおいて本実施形態の無線通信システムを適用した例である。
【0112】
コンテンツダウンロード装置611は、公共エリアなどに設置され、ユーザが所望のデジタルコンテンツをダウンロードして取得するものである。コンテンツダウンロード装置611は、複数のデジタルコンテンツを表示し、ユーザによって選択可能にしている。デジタルコンテンツの種別などに対応して、複数のマスタ装置610A、610B、610Cが設けられる。なお、マスタ装置とデジタルコンテンツとの対応関係は、一対一、一対他など、任意である。
【0113】
マスタ装置610Aは、ユーザが保持するスレーブ装置620が近づいた場合、近接無線通信エリアにてスレーブ装置620と近接無線通信を行い、デジタルコンテンツのダウンロードに関する情報の送受信を行う。このとき、ユーザ認証、デジタルコンテンツのダウンロード処理、料金の決済処理、入金処理、各種情報の配信などを行う。
【0114】
本実施形態の無線通信システムを適用することによって、近くに他のマスタ装置610B、610Cが存在していても、通信可能エリアの制限、通信可能エリア内外判断を適切に行うことができる。これによって、スレーブ装置620のユーザが選択して近接させたマスタ装置610Aと正常に近接無線通信を行うことができ、通信の信頼性を向上できる。
【0115】
図13は、本実施形態の無線通信システムの第3応用例を示す図である。第3応用例は、無線通信端末同士でファイル交換、情報交換等の通信を行う場合に、本実施形態の無線通信システムを適用した例である。
【0116】
上記の実施の形態では、主に、無線通信装置がマスタ装置であり、無線通信端末がスレーブ装置として説明したが、無線通信装置又は無線通信端末は、マスタ装置とスレーブ装置とを含む構成であっても良い。
【0117】
無線通信装置又は無線通信端末は、通信する相手によって、マスタ装置とスレーブ装置とを切り換えて使用することが可能である。
【0118】
このため、マスタ装置は、
図11、
図12に示すような固定された装置に限らず、
図13に示すように移動可能な無線通信装置、無線通信端末となることが出来る。
【0119】
無線通信端末710と無線通信端末720とは、両者を互いに近接させることによって、近接無線通信エリアにて近接無線通信を行うことが可能となっている。この場合、一方がマスタ装置となり、他方がスレーブ装置となって近接無線通信を行い、デジタルコンテンツなどのファイル交換、個人情報の交換など、一対一の通信を行う。なお、近接無線通信において、一対他の通信など、複数装置間で通信を行うことも可能である。
【0120】
本実施形態の無線通信システムを適用することによって、近くに他の無線通信端末730が存在していても、通信可能エリアの制限、通信可能エリア内外判断を適切に行うことができる。これによって、近接無線通信を行うべき無線通信端末710と無線通信端末720との間で、正常に通信接続をすることができ、通信の信頼性を向上できる。
【0121】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0122】
上記各実施形態では、ハードウェアを用いた構成を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアによって実現することも可能である。
【0123】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0124】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内部の回路セルの接続及び設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0125】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適応が可能性としてありえる。