特許第5727966号(P5727966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5727966
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】乗り物用床敷き部材
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/04 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   B60N3/04 A
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-112181(P2012-112181)
(22)【出願日】2012年5月16日
(65)【公開番号】特開2013-237377(P2013-237377A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2014年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山中 五月
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−117541(JP,A)
【文献】 実開平5−41954(JP,U)
【文献】 実開昭63−189940(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床の上方に配された着座可能な位置の乗り物用座席の下部前側をカーテン状に覆う第1部材と、前記床の上面に沿う位置に乗り物用座席がある時に該座席の下側に前記第1部材を引き込む折りたたみ部材とより少なくとも構成されてなることを特徴とする乗り物用床敷き部材。
【請求項2】
請求項1に記載の乗り物用床敷き部材であって、
前記第1部材の上部には、前記座席の前側に設けた凹部内に入り込んで上端部が座席に覆われてなる第2部材を配してなることを特徴とする乗り物用床敷き部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の乗り物用床敷き部材であって、
前記第1部材の裏面には、該第1部材の表面をほぼ平滑に保持する所定の厚さを有するブロックが固持されてなることを特徴とする乗り物用床敷き部材。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の乗り物用床敷き部材であって、
前記第1部材及び又は第2部材の裏面には、バッキング材を熱溶着してなることを特徴とする乗り物用床敷き部材。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の乗り物用床敷き部材であって、
前記第1部材の下端部と前記折りたたみ部材の上端部とを共に後側に曲げて縫製支持してなることを特徴とする乗り物用床敷き部材。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の乗り物用床敷き部材であって、
前記第1部材の下端部と前記折りたたみ部材の上端部との連結部には、空調ダクトを上方から覆う覆い部材が支持されてなり、前記折りたたみ部材は、前記空調ダクトの出口に臨む吹き出し口が形成されてなることを特徴とする乗り物用床敷き部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用床敷き部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗り物用床敷き部材としては、例えば、乗り物の床の上に一様に敷き設しているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−030308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、床敷き部材によって床の上面は覆われているが、かかる床敷き部材の上側に配される座席を上下動可能とした支持部材が露出したままであり、見栄えの改善が求められている。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、着座可能状態の座席下部前側を覆うことで支持部材を覆うことで、見栄えを向上すると共に座席の上下移動に追従することで、覆う状態を保持可能なるようにした乗り物用床敷き部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、床の上方に配された着座可能な位置の乗り物用座席の下部前側をカーテン状に覆う第1部材と、前記床の上面に沿う位置に乗り物用座席がある時に該座席の下側に前記第1部材を引き込む折りたたみ部材とより少なくとも構成されてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の乗り物用床敷き部材であって、前記第1部材の上部には、前記座席の前側に設けた凹部内に入り込んで上端部が座席に覆われてなる第2部材を配してなることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の乗り物用床敷き部材であって、前記第1部材の裏面には、該第1部材の表面をほぼ平滑に保持する所定の厚さを有するブロックが固持されてなることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の乗り物用床敷き部材であって、前記第1部材及び又は第2部材の裏面には、バッキング材を熱溶着してなることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の乗り物用床敷き部材であって、前記第1部材の下端部と前記折りたたみ部材の上端部とを共に後側に曲げて縫製支持してなることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の乗り物用床敷き部材であって、前記第1部材の下端部と前記折りたたみ部材の上端部との連結部には、空調ダクトを上方から覆う覆い部材が支持されてなり、前記折りたたみ部材は、前記空調ダクトの出口に臨む吹き出し口が形成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、前記第1部材を、着座可能な位置の乗り物用座席の下部前側をカーテン状に覆ったため、支持部材が見えず、見栄えを著しく向上する。また、前記第1部材を、座席の上下移動に追従可能なため、座席がどの位置にあっても、第1部材を確実に支持が可能であるという実益的効果を有することになる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、第1部材の上部には、前記座席の前側に設けた凹部内に入り込んで上端部が座席に覆われてなる第2部材を配してなるため、第2部材の上端部が露出せず、見栄えを著しく向上する。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、第1部材の裏面には、該第1部材の表面をほぼ平滑に保持する所定の厚さを有するブロックが固持されてなるため、前記第1部材が皺の生じやすい安価な材料であっても、第1部材の表面がほぼ平滑に保たれ、見栄えの落下が無いことになる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、前記第1部材及び又は第2部材の裏面には、バッキング材を熱溶着してなるため、第1部材及び又は第2部材の剛性が著しく向上することになる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、第1部材の下端部と前記折りたたみ部材の上端部とを共に後側に曲げて縫製支持してなるため、座席を床に沿う下方位置移動させた場合でも、第1部材が張ったままの移動が可能となる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、第1部材の下端部と前記折りたたみ部材の上端部との連結部には、空調ダクトを上方から覆う覆い部材が支持されてなるため、空調ダクトより吹き出される空気を確実に前側に案内可能である。また、前記折りたたみ部材は、前記空調ダクトの出口に臨む吹き出し口が形成されてなるので、空調ダクトの出口が露出せず、見栄えが著しく向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る乗り物用床敷き部材を示す乗り物の前側からの斜視説明図。
図2図1の乗り物用床敷き部材のみを分解して、乗り物の後側から示す斜視説明図。
図3図1のSA線−SA線に沿った断面図。
図4図3の座席を床面に沿う位置に下がった場合の床敷き部材を示す断面図。
図5図3の要部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
着座可能状態の座席下部前側を覆うことで支持部材を覆うことで、見栄えを向上すると共に座席の上下移動に追従することで、覆う状態を保持可能なるようにした乗り物用床敷き部材を提供する、という目的を、床の上方に配された着座可能な位置の乗り物用座席の下部前側をカーテン状に覆う第1部材と、前記床の上面に沿う位置に乗り物用座席がある時に該座席の下側に前記第1部材を引き込む折りたたみ部材とより少なくとも構成されてなることで、実現した。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の最良の実施例を図1図5に基づいて説明する。図1図3及び図4に示す符号20は、「乗り物」としてのワンボックスタイプの自動車に搭載されてなる座席であり、該座席20は、左右方向に長い所謂ベンチタイプである。該座席20が図1及び図3に示すように、着座可能位置にある時とは、床8より所定寸法分上方(図3の上側)に配されていることを示す。その着座可能な位置にある乗り物用座席20の下部(図3の下側)前側(図3の左側)をカーテン状に覆う見た目の良いカーペットなどの繊維状の第1部材2と、図4に示す前記床8の上面に沿う位置に乗り物用座席20がある時に該座席20の下側に前記第1部材2を引き込む折りたたみ部材4とより少なくとも構成されてなる。前記第1部材2は、座席20の左右幅位置にある図示を省略したサイドパネル間を覆う左右幅を有することになる。図1図3図4に示す前記座席20は、パッド材のみを示し、フレームや表皮が図示されていないが、周知のため、説明及び図示を省略する。前記座席20は、座部のみを示し、背もたれやヘッドレストなどを周知のため省略してある。
【0021】
前記第1部材2の上部には、前記座席20の前側に設けた凹部20a内に入り込んで上端部6bが座席20に覆われてなる第2部材6を配してなる。
【0022】
前記第1部材2の裏面2aには、該第1部材2の表面をほぼ平滑に保持する所定の厚さ、この実施例では20ミリメートルの厚さを有する第1ブロック10が固持されてなる。前記第2部材6の裏面6aには、該第2部材6の表面をほぼ平滑に保持する所定の厚さ、この実施例では10ミリメートルの厚さを有する第2ブロック9が固持されてなる。前記第1ブロック10及び第2ブロック9は、ポリウレタンフォームよりなる。該第1ブロック10及び第2ブロック9は、図2に示すように、長方形をなす。前記した「第1部材2の表面をほぼ平滑に保持する」及び「第2部材6の表面をほぼ平滑に保持する」とは、換言すると、第1ブロック10及び第2ブロック9により第1部材2及び第2部材6の表面に張りを持たせている状態を言う。前記第1ブロック10及び第2ブロック9は、ポリウレタンフォームよりなるから、座席20を上下動により図4に示すように第1部材2及び第2部材6が折れ曲がって、靴を挟み込んでも痛さを与えないことになる。
【0023】
前記第1部材2及び前記第2部材6の裏面2a、6aと前記第1ブロック10及び第2ブロック9との間には、バッキング材(図示省略)を熱溶着してなる。
【0024】
前記第1部材2の下端部2bと前記折りたたみ部材4の上端部4aとは、図5に示すように、共に後側(図3及び図5の右側)に曲げて縫製16支持してなる。
【0025】
前記第1部材2の下端部2bと前記折りたたみ部材4の上端部4aとの連結部には、空調ダクト24を上方(図3の上側)から覆う覆い部材である第3部材3が支持されてなり、前記折りたたみ部材4は、前記空調ダクト24の出口24aに臨む吹き出し口7が形成されてなる。
【0026】
前記折りたたみ部材4の下端部4bには、前記座席20の前側(図3に示す左側)に露出する床8の上面を覆う第4部材5の後端部5bが縫製16支持されてなる。符号5aは、第4部材5の裏面であって、該裏面5aと床8の上面との間に第3ブロック15が配されている。該第3ブロック15は、前記第1、第2ブロック10、9と類似の材料よりなる。
【0027】
前記第3部材3には、床8に設けた座席20の支持部材21を軸支した図示を省略したブラケットの逃げ孔11、12が形成されてなり、前記第3部材3の前端部の左右端部には、面ファスナー13、13が固持されてなり、前記折りたたみ部材4の上端部4aの下面に支持した面ファスナー14、14が前記面ファスナー13、13に係合するように配されてなる。該面ファスナー13、13と面ファスナー14、14とは、相当強力な力を加えれば、離脱できるが、通常の着座時の力では離脱しないことは周知の通りである。
【0028】
前記座席20の凹部20aは、前記第2ブロック9を介在して第2部材6の上端部6bが露出しないだけの深さを有する。
【0029】
次に、本実施例の作用を説明する。
【0030】
前記第1部材2を、着座可能な位置の乗り物用座席20の下部前側をカーテン状に覆ったため、支持部材21が見えず、見栄えを著しく向上する。また、前記第1部材2を、座席20の上下移動に追従可能なため、座席20がどの位置にあっても、第1部材2を確実に支持が可能であるという実益的効果を有することになる。
【0031】
また、第1部材2の上部には、前記座席20の前側に設けた凹部20a内に入り込んで上端部6bが座席20に覆われてなる第2部材6を配してなるため、第2部材6の上端部6bが露出せず、見栄えを著しく向上する。
【0032】
また、第1部材2の裏面2aには、該第1部材2の表面をほぼ平滑に保持する所定の厚さを有する第2ブロック9が固持されてなるため、前記第1部材2が皺の生じやすい安価な材料であっても、第1部材2の表面がほぼ平滑に保たれ、見栄えの落下が無いことになる。
【0033】
また、前記第1部材2及び又は第2部材6の裏面2a、6aには、バッキング材を熱溶着してなるため、第1部材2及び又は第2部材6の剛性が著しく向上することになる。
【0034】
また、第1部材2の下端部2bと前記折りたたみ部材4の上端部4aとを共に後側に曲げて縫製16支持してなるため、座席20の上下動によって第1部材2と折りたたみ部材4との折り曲げ方向が決まるし、座席20を床8に沿う下方位置に移動させた場合でも、第1部材2が張ったままの移動が可能となる。
【0035】
更に、第1部材2の下端部2bと前記折りたたみ部材4の上端部4aとの連結部には、空調ダクト24を上方から覆う第3部材3が支持されてなるため、空調ダクト24より吹き出される空気を確実に前側に案内可能である。また、前記折りたたみ部材4は、前記空調ダクト24の出口24aに臨む吹き出し口7が形成されてなるので、空調ダクト24の出口24aが露出せず、見栄えが著しく向上することになる。また、前記空調ダクト24の出口24aに臨む吹き出し口7以外からの空気漏れが生じない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上の実施例では、乗り物用座席としてワンボックスタイプの自動車用の座席を例にして説明したが、これに限定されず、航空機、鉄道車両、船舶などに搭載されている座席でも良い。
【符号の説明】
【0037】
1 乗り物用床敷き部材
2 床敷き部材の第1部材
2a 第1部材の裏面
2b 第1部材の下端部
3 床敷き部材の第3部材(覆い部材)
4 折りたたみ部材
6 床敷き部材の第2部材
8 床
9 第2ブロック(ブロック)
10 第1ブロック(ブロック)
16 縫製
20 乗り物用座席
24 空調ダクト
24a 空調ダクトの出口
図1
図2
図3
図4
図5