(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728056
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】マルチキャリヤ無線ネットワークにおけるコンポーネント・キャリヤの時間調整
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20150514BHJP
H04J 1/00 20060101ALI20150514BHJP
H04J 11/00 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
H04W72/04 111
H04W72/04 132
H04J1/00
H04J11/00 Z
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-193442(P2013-193442)
(22)【出願日】2013年9月18日
(62)【分割の表示】特願2011-501741(P2011-501741)の分割
【原出願日】2008年9月3日
(65)【公開番号】特開2014-30237(P2014-30237A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2013年10月1日
(31)【優先権主張番号】61/039,223
(32)【優先日】2008年3月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】リンドフ, ベングト
(72)【発明者】
【氏名】ダールマン, エリク
(72)【発明者】
【氏名】パークヴァル, ステファン
【審査官】
齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2006/116102(WO,A2)
【文献】
特開2006−211067(JP,A)
【文献】
特開平08−065731(JP,A)
【文献】
特開2001−230744(JP,A)
【文献】
特表2008−539667(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/024788(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 72/04
H04J 1/00
H04J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワーク(200)の基地局(210)において、前記無線ネットワークのユーザ装置にデータを送信するための方法であって、
制御信号を前記基地局(210)から前記ユーザ装置(220)へ提供するために使用される第1のキャリヤでコネクションを確立するステップ(A410)と、
前記ユーザ装置(220)を宛先とする前記データを第2のキャリヤで追加として転送すべきか否かを判定するステップ(A420)と、
前記第2のキャリヤを追加として使用すべきであると判定されると、前記第1及び第2のキャリヤで前記データを送信するステップ(A430)と、を含み、
前記第1及び第2のキャリヤで前記データを送信する前記ステップ(A430)は、
前記データを少なくとも第1及び第2のデータ部分に分割するステップ(A510)と、
前記第2のキャリヤに関する情報を前記第1のキャリヤで提供するステップ(A610)を含む、前記データの送信を前記ユーザ装置(220)に通知するステップ(A520)と、
前記第1のキャリヤで前記第1のデータ部分を送信するステップ(A530)と、
所定の遅延時間の待機後に、前記第2のキャリヤで前記第2のデータ部分を送信するステップ(A540)と、を含み、
前記所定の遅延時間は、前記ユーザ装置(220)が前記第2のキャリヤで受信する準備を行うのに十分な時間である
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2のキャリヤは、前記基地局(210)から前記ユーザ装置(220)へ制御信号を提供するためには使用されないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザ装置(220)に通知する前記ステップ(A520)は、
前記第2のデータ部分を搬送するために割り当てられた前記第2のキャリヤの複数のリソース・ブロック(RB)に関する情報を、前記第1のキャリヤ又は前記第2のキャリヤで提供するステップ(A620)をさらに含み、
前記複数のRBに関する情報は、前記第1のキャリヤの物理下りリンク共用チャネル(PDSCH)若しくは物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)、又は前記第2のキャリヤのPDCCHで提供される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のキャリヤを追加として使用すべきでないと判定されると、前記第1のキャリヤ又は前記第2のキャリヤで前記データを送信するステップ(A440)をさらに含み、
前記データは、前記第2のキャリヤで送信される際には、前記所定の遅延時間の待機後に送信される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のキャリヤ又は前記第2のキャリヤで前記データを送信する前記ステップ(A440)では、
前記第2のキャリヤのチャネル品質が、前記第1のキャリヤのチャネル品質よりも高いこと、
前記第2のキャリヤの信号対干渉比(SIR)が、前記第1のキャリヤのSIRよりも高いこと、
前記第2のキャリヤの受信信号参照電力(RSRP)が、前記第1のキャリヤのRSRPよりも高いこと、
前記第2のキャリヤのデータ送信レートが、前記第1のキャリヤのデータ送信レートよりも高いこと、
前記第2のキャリヤの誤り率が、前記第1のキャリヤの誤り率よりも低いこと、及び、
前記第2のキャリヤの残りのデータ搬送容量が、前記第1のキャリヤの残りのデータ搬送容量を上回ること
のうちの何れか1つ以上が満たされると、前記データを前記第2のキャリヤで搬送すべきであると判定することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
基地局(210)であって、
ユーザ装置(220)と通信する通信ユニット(930)と、
処理ユニット(910)であって、
制御信号を前記基地局(210)から前記ユーザ装置(220)へ提供するために使用される第1のキャリヤで、前記通信ユニット(930)を介してコネクションを確立し、
前記ユーザ装置(220)を宛先とするデータを第2のキャリヤで追加として転送すべきか否かを判定し、
前記第2のキャリヤを追加として使用すべきであると判定すると、前記通信ユニット(930)を介して、前記第1及び第2のキャリヤで前記データを送信する
前記処理ユニットと、を備え、
前記処理ユニット(910)は、前記データを少なくとも第1及び第2のデータ部分に分割する動作と、前記第2のキャリヤに関する情報を、前記第1のキャリヤで提供する動作を含む、前記データの送信を、前記通信ユニット(930)を介して前記ユーザ装置(220)に通知する動作と、前記第1のキャリヤで前記第1のデータ部分を送信する動作と、前記第2のキャリヤで前記第2のデータ部分を送信する動作と、によって、前記第1及び第2のキャリヤで前記データを送信し、
前記第2のデータ部分は、所定の遅延時間の待機後に、前記第2のキャリヤで送信され、
前記所定の遅延時間は、前記ユーザ装置(220)が前記第2のキャリヤで受信する準備を行うのに十分な時間である
ことを特徴とする基地局。
【請求項7】
前記第2のキャリヤは、前記基地局(210)から前記ユーザ装置(220)へ制御信号を提供するためには使用されないことを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
前記処理ユニット(910)は、さらに、
前記第2のデータ部分を搬送するために割り当てられた前記第2のキャリヤの複数のRBに関する情報を、前記第1のキャリヤ又は前記第2のキャリヤで提供し、
前記複数のRBに関する情報は、前記第1のキャリヤの物理下りリンク共用チャネル(PDSCH)若しくは物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)、又は前記第2のキャリヤのPDCCHで提供される
ことを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項9】
前記処理ユニット(910)は、
前記第2のキャリヤを追加として使用すべきでないと判定すると、前記第1のキャリヤ又は前記第2のキャリヤで前記データを送信し、
前記データは、前記第2のキャリヤで送信される際には、前記所定の遅延時間の待機後に送信される
ことを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項10】
前記処理ユニット(910)は、
前記第2のキャリヤのチャネル品質が、前記第1のキャリヤのチャネル品質よりも高いこと、
前記第2のキャリヤの信号対干渉比(SIR)が、前記第1のキャリヤのSIRよりも高いこと、
前記第2のキャリヤの受信信号参照電力(RSRP)が、前記第1のキャリヤのRSRPよりも高いこと、
前記第2のキャリヤのデータ送信レートが、前記第1のキャリヤのデータ送信レートよりも高いこと、
前記第2のキャリヤの誤り率が、前記第1のキャリヤの誤り率よりも低いこと、及び、
前記第2のキャリヤの残りのデータ搬送容量が、前記第1のキャリヤの残りのデータ搬送容量を上回ること
のうちの何れか1つ以上が満たされると、前記データを前記第2のキャリヤで搬送すべきであると判定することを特徴とする請求項9に記載の基地局。
【請求項11】
無線ネットワーク(200)のユーザ装置(220)において、前記無線ネットワークの基地局からデータを受信するための方法であって、
制御信号を前記ユーザ装置(220)へ提供するために前記基地局(210)によって使用される第1のキャリヤでコネクションを確立するステップ(A1010)と、
前記基地局(210)から、第2のキャリヤに関する情報を含む通知を前記第1のキャリヤで受信するステップ(A1020)と、
前記基地局(210)がデータを転送するために前記第2のキャリヤを追加として使用するか否かを、前記通知に基づいて判定するステップ(A1030)と、
前記基地局(210)が前記第2のキャリヤを追加として使用すると判定されると、前記第1及び第2のキャリヤで前記データを受信するステップ(A1040)と、を含み、
前記データの第1の部分が前記第1のキャリヤで受信されるとともに、所定の遅延時間の後に、前記データの第2の部分が前記第2のキャリヤで受信され、
前記所定の遅延時間は、前記ユーザ装置(220)が前記第2のキャリヤで受信する準備をするのに十分な時間である
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記基地局(210)が前記データを転送するために前記第2のキャリヤを代替的に使用するか否かを、前記通知に基づいて判定するステップ(A1050)と、
前記基地局(210)が前記第2のキャリヤを代替的に使用すると判定された場合、前記所定の遅延時間の後に、前記第2のキャリヤで前記データを受信するステップ(A1060)と、
前記基地局(210)が前記第2のキャリヤを代替的に使用しないと判定された場合、前記第1のキャリヤで前記データを受信するステップ(A1070)と
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記通知は、前記第1のキャリヤ又は前記第2のキャリヤで搬送されるデータのために割り当てられた前記第2のキャリヤの複数のリソースブロック(RB)に関する情報を含み、
前記複数のRBに関する情報は、前記第1のキャリヤの物理下りリンク共用チャネル(PDSCH)若しくは物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)、又は前記第2のキャリヤのPDCCHで提供される
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のキャリヤは、前記基地局(210)によって、前記ユーザ装置(220)へ制御信号を提供するためには使用されないことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
無線ネットワーク(200)における、基地局(210)と複数のキャリヤで通信可能なユーザ装置(220)であって、
前記基地局(210)と通信する通信ユニット(1120)と、
処理ユニット(1110)であって、
制御信号を前記ユーザ装置(220)へ提供するために前記基地局(210)によって使用される第1のキャリヤで、前記通信ユニット(1120)を介してコネクションを確立し、
前記基地局(210)から前記通信ユニット(1120)を介して、前記第1のキャリヤで搬送される第2のキャリヤに関する情報を含む通知を受信し、
前記基地局(210)がデータを転送するために第2のキャリヤを追加として使用するか否かを、前記通知に基づいて判定し、
前記基地局(210)が前記第2のキャリヤを追加として使用すると判定すると、前記通信ユニット(1120)を介して、前記第1及び第2のキャリヤで前記データを受信する
前記処理ユニットと、を備え、
前記データの第1の部分が前記第1のキャリヤで受信されるとともに、所定の遅延時間の後に、前記データの第2の部分が前記第2のキャリヤで受信され、
前記所定の遅延時間は、前記ユーザ装置(220)が前記第2のキャリヤで受信する準備をするのに十分な時間である
ことを特徴とするユーザ装置。
【請求項16】
前記処理ユニット(1110)は、さらに、
前記基地局(210)が前記データを転送するために前記第2のキャリヤを代替的に使用するか否かを、前記通知に基づいて判定し、
前記基地局(210)が前記第2のキャリヤを代替的に使用すると判定した場合、前記所定の遅延時間の後に、前記通信ユニット(1120)を介して前記第2のキャリヤで前記データを受信し、
前記基地局(210)が前記第2のキャリヤを代替的に使用しないと判定した場合、前記通信ユニット(1120)を介して前記第1のキャリヤで前記データを受信する
ことを特徴とする請求項15に記載のユーザ装置。
【請求項17】
前記通知は、前記第1のキャリヤ又は前記第2のキャリヤで搬送されるデータのために割り当てられた前記第2のキャリヤの複数のリソース・ブロック(RB)に関する情報を含み、
前記複数のRBに関する情報は、前記第1のキャリヤの物理下りリンク共用チャネル(PDSCH)若しくは物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)、又は前記第2のキャリヤのPDCCHで提供される
ことを特徴とする請求項15に記載のユーザ装置。
【請求項18】
前記第2のキャリヤは、前記基地局(210)によって、前記ユーザ装置(220)へ制御信号を提供するためには使用されないことを特徴とする請求項15に記載のユーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、無線ネットワークにおけるユーザ装置と基地局との間の通信で使用するコンポーネント・キャリヤの時間調整(timing)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セルラ・システムの発展には、将来において、1Gb/s及びそれ以上に及ぶ著しいデータレートの向上の見込みがある。より高速なデータレートは、典型的には、より広いシステム帯域幅を必要とする。IMT(International Mobile Telecommunications)の高度化(即ち、第4世代移動通信)システムでは、最大100MHzの帯域幅が議論されている。残念ながら、無線スペクトルは有限のリソースであり、また、多くのオペレータ及びシステムは同じ無線リソースを共用する必要があるため、自由に使える100MHzの連続したスペクトルを見つけ出すことは難しい。
【0003】
この問題に対処する1つの方法は、
図1に示すように、複数の狭い帯域幅(即ちコンポーネント・キャリヤ)を集約することであり、集約して広い帯域幅を実現するためには、連続的であっても非連続的であってもよい。
図1の例では、個別の狭い帯域幅のコンポーネント・キャリヤを集約することによって、50MHzの帯域幅スペクトルが実現されており、この事例では、20MHz、20MHz及び10MHzの広さのコンポーネント・キャリヤである。そのような解決策の1つの利点は、最大1Gb/s及びそれ以上のデータレートをサポートするために十分に広い帯域幅を生成可能である、ということである。更に、この解決策はまた、複数のスペクトル部分を各種の状況及び地理的位置に適応させることを可能とし、それ故に、そのような解決策を非常に柔軟にしている。
【0004】
連続的及び非連続的スペクトルをサポートするための、LTE(ロング・ターム・エボリューション)のような、現在のセルラ・システムの直接的な進化形は、マルチキャリヤを導入することである。即ち、“レガシーLTE”システム・キャリヤを表す各々のスペクトル・“チャンク(chunk)”について、異なるキャリヤ周波数で送信される異なる帯域幅を有する複数のLTEキャリヤを受信できるよう、“4G”のユーザ装置は構成され得る。
【0005】
この手法は直接的であるように見えるが、高度化LTE対応のユーザ装置を設計することは簡単でない作業である。集約スペクトル・アプローチが意味することは、ユーザ装置の無線受信機アーキテクチャが、小さくかつ連続的なシステム帯域幅のみを受信可能なユーザ装置よりも、さらに複雑になるであろうということである。その理由は、無線フロント・エンドが、スペクトル“チャンク”間でブロッキング信号を抑圧できる必要がある、ということである。この問題を処理するために、異なる種類の無線アーキテクチャを使用できる。しかしながら、それらは、典型的には、標準的かつ連続的なシステム帯域幅の受信機と比較して、電力消費量の点で欠点を伴う。
【発明の概要】
【0006】
本発明の1つの側面は、ユーザ装置の電力消費量を最小化するマルチキャリヤ環境において、基地局からユーザ装置に大量のDL(download、ダウンロード)データを効率的に送信するための仕組みを提供することである。この側面では、基地局は送信することが可能であり、ユーザ装置は複数のコンポーネント・キャリヤで信号(制御及びデータ)を受信することが可能である。基地局からユーザ装置に制御信号を搬送するために、複数のキャリヤのうちの1つ以上を使用する。即ち、1つ以上のキャリヤはユーザ装置用のアンカ・キャリヤ(anchor carriers)である。ユーザ装置側では、当該アンカ・キャリヤ以外のコンポーネント・キャリヤの信号を受信するように構成された1つ以上の受信機が、電力節約モードに置かれ得る。
【0007】
基地局からユーザ装置に比較的短時間に大量のDLデータを送信する必要があると決定した場合、基地局は、DLデータを複数のデータ部分に分割し、別々のコンポーネント・キャリヤで各データ部分を送信する。データ部分は、時間的にオーバラップするように送信されてもよい。即ち、複数のデータ部分は同時に送信されてもよい。
【0008】
この作業を遂行するために、基地局はまず、複数のコンポーネント・キャリヤでDLデータを転送することを、ユーザ装置に通知する。選択したキャリヤの何れかがユーザ装置用のアンカー・キャリヤである場合、当該アンカー・キャリヤに対応するデータ部分は直ちに送信されてもよい。これは、ユーザ装置がすでに当該キャリヤでアクティブに待ち受け(電波状況を監視)している(listening)ためである。
【0009】
しかしながら、選択したコンポーネント・キャリヤの何れもがアンカー・キャリヤでない場合、基地局は、ユーザ装置への通知の後に所定の遅延時間だけ待機する。実際には、選択されたアンカー・キャリヤと非アンカー・キャリヤとの間に、時間オフセットが導入される。1つのアンカー・キャリヤと1つの非アンカー・キャリヤとが選択される場合の簡単な事例では、2つのキャリヤ間の時間オフセットは、TTI(送信時間間隔)の約2分の1であればよい。
【0010】
所定の遅延時間は、対応する非アンカー・キャリヤでDLデータを受信する準備をユーザ装置が自ら行うために十分な時間を提供する。例えば、ユーザ装置は、対応する非アンカー・キャリヤで待ち受けするよう構成された固定型帯域幅受信機を、電源オンにするか、さもなければ起動することができる。別の例として、ユーザ装置は、選択した非アンカー・キャリヤで受信するように適応型帯域幅受信機を設定できる。
【0011】
その他の情報が基地局からユーザ装置に提供されてもよい。例えば、基地局は、DLデータを搬送するために割り当てられた、複数の選択されたコンポーネント・キャリヤの複数のRB(リソース・ブロック)に関する情報を提供してもよい。非アンカー・キャリヤの複数のRBに関する情報が、アンカー・キャリヤまたは対応する非アンカー・キャリヤで提供されてもよい。複数のRBの情報が、アンカー・キャリヤ及び非アンカー・キャリヤの少なくとも何れかのPDCCH(物理下り制御チャネル)で提供されてもよい。
【0012】
その他の例では、DLデータを転送するためにアンカー・キャリヤを1つも使用しないことを決定してもよい。即ち、1つ以上の非アンカー・コンポーネント・キャリヤを使用することを決定してもよい。このことが生じた場合、基地局は、非アンカー・コンポーネント・キャリヤでDLデータを転送する前に、ユーザ装置への通知の後に所定の遅延時間だけ待機することが望ましい。非アンカー・コンポーネント・キャリヤを使用する多くの理由が存在し得る。例えば、非アンカー・キャリヤの品質は、アンカー・キャリヤよりも良好である可能性があることである。
【0013】
異なる複数のコンポーネント・キャリヤに時間オフセットを導入する1つの利点は、ユーザ装置の電力消費量とDLデータのスループットとの間で最適なトレード・オフを実現できるということである。もう1つの利点は、非アンカー・キャリヤでの転送を可能にすることによって、システムの信頼性を向上できる可能性があるということである。
【0014】
本発明についての前述及びその他の目的、特徴並びに利点は、種々の図面を通じて同一の部分を参照する参照文字を含む添付図面に示す、好ましい実施形態についての以下の更に具体的な説明から明らかになるであろう。本図面はスケーリングを必ずしも必要とせず、代わりに本発明の原理を示すことを強調している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】集約される広い帯域幅のキャリヤに複数の狭い帯域幅のキャリヤを集約した例を示す図である。
【
図2】コンポーネント・キャリヤの時間調整を実現可能な無線ネットワークの実施形態を示す図である。
【
図3】DLデータを搬送する2つのコンポーネント・キャリヤ間における時間調整用オフセット(timing offset)の例を示す図である。
【
図4】複数のコンポーネント・キャリヤでDLデータを転送すべきか否かを決定する方法の例を示す図である。
【
図5】異なる複数のコンポーネント・キャリヤの送信タイミングを決定する方法の例を示す図である。
【
図6】DLデータを転送するために割り当てたコンポーネント・キャリヤのリソースに関して、ユーザ装置に通知する方法の例を示す図である。
【
図7】アンカー・キャリヤまたは非アンカー・キャリヤの何れかでDLデータを転送する方法の例を示す図である。
【
図8】DLデータを転送するために割り当てた非アンカー・コンポーネント・キャリヤのリソースに関して、ユーザ装置に通知する方法の例を示す。
【
図10】ユーザ装置の観点から、DLデータを受信する方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の記述では、本発明の完全な理解を提供するために、説明のためであって制限するためでなく、特定のアーキテクチャ、インタフェース、技術等の具体的な詳細について説明する。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細から離れたその他の実施形態において実行され得ることは当業者にとって明らかであろう。即ち、当業者であれば、本明細書で明示的に記載または示されていなくても、本発明の原理を具体化し、かつ、本発明の精神及び範囲内に含まれる種々の構成を考案することができよう。
【0017】
いくつかの事例では、不必要な詳細で本発明の説明を曖昧にしないよう、周知のデバイス、回路及び方法の詳細な説明を省略している。本発明の原理、側面及び実施形態を記載する、本明細書中の全ての記述は、それらの具体的な例とともに、それらの構造的及び機能的な均等物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような均等物は、現在において既知の均等物と、将来において開発される均等物、即ち、構造に関係なく、同一の機能を実行するように開発された任意の要素との両方を含むことを意図している。
【0018】
このため、例えば、本明細書のブロック図が、本技術の原理を具体化する例示的な回路の概念図を表し得ることは、当業者であれば理解するであろう。同様に、任意のフローチャート、状態遷移図、疑似コード等は、コンピュータが読み取り可能な媒体で実質的に表される可能性があり、また、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータまたはプロセッサがそのように実行する可能性のある、種々の手順を表す。
【0019】
“プロセッサ”または“コントローラ”と称されまたは説明される機能ブロックを含む種々の要素の機能は、専用のハードウエアを通じて提供されるだけでなく、適当なソフトウェアと関連するソフトウェアを実行可能なハードウエアの使用を通じて提供され得る。プロセッサによって提供される場合、本機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共用プロセッサによって、または、複数の個別のプロセッサにより提供されてもよく、それらの一部は共用または分散されていてもよい。更に、用語“プロセッサ”または“コントローラ”の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウエアをもっぱら示すと解釈されるべきでなく、制限なしに、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)ハードウエア、ソフトウェアを格納する読取専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び不揮発性記憶装置を含む可能性がある。
【0020】
LTEのようなシステムでは、5、10、15及び20MHzの、拡張性のあるキャリヤ帯域幅がサポートされている。柔軟性の強化のために、5MHzよりも小さな帯域幅を有するコンポーネント・キャリヤがサポートされ得る。下りリンクの送信方式は、OFDM(直交周波数分割多重)に基づいていてもよい。OFDMシステムにおいて、利用可能なコンポーネント・キャリヤ帯域幅は、相互に直交する複数のサブキャリヤに分割される。これらのサブキャリヤの各々は、低速のデータ・ストリームで独立に変調される。LTEでは、隣接するサブキャリヤ間の通常の間隔は、15kHz、即ちΔf=15kHzである。Δf=7.5kHzのサブキャリヤ間隔もサポートされている。ユーザ装置に対する下りリンクのアクセスは、複数のサブキャリヤの異なるグルーピングが異なるユーザに対して割り当てられる、OFDMA(直交周波数分割多元接続)を通じて提供され得る。
【0021】
データは、周波数領域及び時間領域の両方で定義される複数のRB(リソース・ブロック)の観点からユーザ装置に割り当てられる。通常のサブキャリヤ間隔Δf=15kHzの場合、1つの物理RBは、周波数領域において12個の連続するサブキャリヤを含む。時間領域においては、物理ブロックは、1スロット(0.5msの継続時間)で利用可能なシンボル数である合計94個のRE(リソース・エレメント)のために、7個の連続するOFDMシンボルを含む。リソース・ブロックのサイズは全ての帯域幅について同一であり、従って、利用可能な物理リソース・ブロック数はコンポーネント・キャリヤの帯域幅に依存する。所要のDLデータレートに依存して、各ユーザ装置は、1msのTTI(送信時間間隔)のそれぞれにおいて、1つ以上のリソース・ブロックが割り当てられ得る。
【0022】
無線ネットワークにおいて、基地局は送信可能であり、ユーザ装置は複数のコンポーネント・キャリヤが搬送する複数の信号(データ及び制御)を受信可能であり、各コンポーネント・キャリヤは上述の特性を有していてもよい。LTEのようなマルチキャリヤ・システムでは、複数のコンポーネント・キャリヤは連続的である必要はない。即ち、
図1に示すように、複数のキャリヤによって表される周波数スペクトルに、少なくとも1つのギャップがあってもよい。
【0023】
図2は、コンポーネント・キャリヤの時間調整を実行可能な無線ネットワーク200の実施形態の例を示す。説明の簡略化のため、
図2のネットワーク200は、1つの基地局210と1つのユーザ装置220とを含む。なお、議論される概念は、複数の基地局210及び複数のユーザ装置220に拡張可能である。基地局210とユーザ装置220との間の双方向のジグザグの矢印は、集約された広い帯域幅スペクトルのコンポーネント・キャリヤをそれぞれ表す。この具体的な例では、3つのコンポーネント・キャリヤが存在し、それらのうちの1つはアンカー・キャリヤ(実線の矢印)として使用され、それらのうちの2つは非アンカー・キャリヤである。
【0024】
アンカー・キャリヤは、基地局210からユーザ装置220に、L1/L2制御信号のような制御信号を搬送する。当該制御信号は、ユーザ装置に対してスケジューリングされた特定の下りリンク・リソース及び上りリンク・リソース(例えば、コンポーネント・キャリヤのリソース・ブロックの識別情報)、使用すべき変調方式、ユーザ装置の送信電力レベル等に関して、ユーザ装置220に情報を提供する。
【0025】
図2で、ユーザ装置220は、複数のコンポーネント・キャリヤで搬送される複数の信号を受信するものと仮定する。例えば、ユーザ装置220は、それぞれが、3つのコンポーネント・キャリヤのうちの1つで信号を受信するよう構成された、少なくとも3つの固定型帯域幅受信機を含んでいてもよい。非アンカー・キャリヤでは、基地局210とユーザ装置220との間でデータが転送されることがないと仮定すると、非アンカー・キャリヤに対応する受信機を電力節約モードにすることが望ましい。電力節約モードには、受信機の電源をオフにすること、受信機を周期的監視モードにすること、DRX(不連続受信)モードを有効にすること等が含まれる。
【0026】
別の例では、ユーザ装置220は、1つ以上の適応型帯域幅受信機を含んでいてもよい。適応型帯域幅受信機は、必要に応じてその周波数範囲を動的に調整することが可能な受信機である。この場合、受信機を電力節約モードにすることには、非アンカー・キャリヤを除外するように当該適応型受信機の周波数範囲を狭くすることも含まれ得る。周波数範囲を狭くすることによって、消費電力が少なくなる。当然ながら、ユーザ装置220は、固定型及び適応型の両方の帯域幅受信機を含んでいてもよい。
【0027】
基地局210からユーザ装置220に大量のDL(ダウンロード)データを比較的短時間で転送することが決定された場合、即ち、広いDLデータ転送帯域幅が必要であると決定された場合、この目的のために複数のキャリヤが使用され得る。説明のため、
図3は、DLデータが、(説明を容易にするために)第1及び第2のコンポーネント・キャリヤでそれぞれ搬送され得る、第1及び第2のデータ部分に分割される状況を示す。
図3では、コンポーネント・キャリヤf1及びf2のフレームを示す。コンポーネント・キャリヤf1はアンカー・キャリヤであると仮定し、コンポーネント・キャリヤf2は非アンカー・キャリヤであると仮定する。
【0028】
説明を目的として、ユーザ装置220はキャリヤf1の信号についてアクティブに待ち受けしているが、キャリヤf2の信号についてはアクティブに待ち受けしていないものと仮定する。ユーザ装置220が複数の固定型帯域幅受信機を含んでいる場合、キャリヤf1に対して待ち受けするよう構成された受信機(第1の受信機)がアクティブであればよく、キャリヤf2に対して待ち受けするよう構成された受信機(第2の受信機)は電力節約モードにあればよい。ユーザ装置220が適応型帯域幅受信機を含む場合、キャリヤf1についてアクティブに待ち受けして、かつ、キャリヤf2については待ち受けすることを排除するように、当該適応型受信機の周波数範囲が調整されればよい。
【0029】
LTEのキャリヤについては、1msのTTI(送信時間間隔)長は、それぞれ0.5ms長の2個のスロットから成る。最初の3つのOFDM(直交周波数分割多重)シンボル内では、PDCCH(物理下り制御チャネル)及びPHICH(物理ハイブリッドARQ通知チャネル)のような制御シグナリングが提供される。典型的なPDCCH復号時間は、約100−150μsである。大きなDLデータが受信される場合には、ユーザ装置220は、第2のキャリヤ用の受信機を、電源オンか、さもなくばアクティブにすればよい。適応型帯域幅受信機の場合、当該受信機の周波数範囲は、第2のキャリヤを含むように調整されればよい。
【0030】
基地局210は、第2のキャリヤで第2のデータ部分を送信する前に、所定の遅延時間、待機することが望ましい。言い換えれば、
図3に示すように、アンカー・キャリヤの送信と非アンカー・キャリヤの送信との間に、時間調整用オフセット(timing offset)が導入されるべきである。この具体的な事例では、時間調整用オフセットはTTIの2分の1に等しい。しかしながら、これは唯一の可能性ではない。非アンカー・キャリヤでデータ部分を転送すべきである場合、所定の遅延時間は、ユーザ装置220が非アンカー・キャリヤで信号を受信するための準備に必要とする時間と少なくとも同程度の長さであることのみが必要である。
【0031】
図4は、複数のコンポーネント・キャリヤでDLデータを転送すべきか否かを判定する方法の例M400を示す。方法M400は、基地局210の観点からのものである。本方法
のA410で、基地局210は、1つ以上のアンカー・キャリヤでユーザ装置220とのコネクションを確立する。この方法では、第1のキャリヤは複数のアンカー・キャリヤのうちの1つであると仮定する。
【0032】
A420で、基地局210は、広いDLデータ転送帯域幅が必要か否かを判定する。即ち、基地局210は、ユーザ装置220を宛先とするDLデータを、第1のキャリヤと、追加として非アンカー・キャリヤである少なくとも第2のキャリヤとで、転送すべきか否かを判定する。もしそうである場合、A430で、基地局210は、DLデータの第1及び第2のデータ部分を、第1及び第2のキャリヤでそれぞれ送信する。第1のキャリアでの送信と第2のキャリヤでの送信との間には、所定の遅延時間が存在する。上述したように、当該所定の遅延時間は、ユーザ装置220が、第2のキャリヤでDLデータを受信するための準備を行うのに十分な時間である。
図3からわかるように、所定の遅延時間の後に、第1及び第2のデータ部分は同時に転送され、それによりデータ転送帯域幅が事実上増大する。
【0033】
図5は、第1及び第2のキャリヤでDLデータを送信する
図4のA430を実施する方法の例を示す。A510で、基地局210は、DLデータを第1及び第2のデータ部分に分割する。次にA520で、基地局210は、第1及び第2のキャリヤでのDLデータの送信について、ユーザ装置220に通知する。A530で、第1のデータ部分が第1のキャリヤで送信され、A540で、第2のデータ部分が第2のキャリヤで送信される。
【0034】
A530で、第1のデータ部分はユーザ装置220への通知の後に直ちに送信される、即ち、第1のデータ部分は待機なしに送信される。第1のキャリヤはユーザ装置220に対する複数のアンカー・キャリヤのうちの1つであるので、ユーザ装置220は、すでにそのキャリヤの信号についてアクティブに待ち受けしている。このため、待機する必要がないのである。
【0035】
その一方で、第2のキャリヤは、複数のアンカー・キャリヤのうちの1つではない。従って、ユーザ装置220は、電力節約モードにあることに起因して、第2のキャリヤにアクティブに待ち受けしていなくてもよい。このため、A540では、基地局210が第2のキャリヤで第2のデータ部分を送信する前に、所定の遅延時間、待機する。
【0036】
A520に戻り、基地局210は、DLデータを転送するために、第1及び第2のキャリヤを含め、何れのコンポーネント・キャリヤを使用するかを選択し得る。基地局は、ユーザ装置220に準備させるために、キャリヤの選択についてユーザ装置220に通知する。当該通知には、第2のデータ部分を搬送するために割り当てられた、第2のキャリヤの1つ以上のリソース・ブロックに関する情報が、さらに含まれていてもよい。
【0037】
図6は、A520を実施する、即ち、ユーザ装置220に通知する方法の例を示す。本方法では、基地局は、A610で、第2のキャリヤの情報を第1のキャリヤで提供する。次に、A620で、基地局はまた、第2のキャリヤのリソース・ブロック情報を、第1または第2のキャリヤの何れかで提供する。
【0038】
1つの実施形態では、第2のキャリヤ及び第2のキャリヤの複数のRB(リソース・ブロック)に関する情報が、第1のキャリヤで提供される。一例として、基地局210は、当該情報を提供するために、第1のキャリヤの一部のPDSCH(物理下り共用チャネル)を予約してもよい。ある実施形態では、基地局210は、当該情報を、第1のキャリヤのPDCCH(物理下り制御チャネル)で提供する。別の実施形態では、第2のキャリヤの識別情報が、第1のキャリヤで(例えば、PDSCHまたはPDCCHにおいて)提供されるとともに、第2のキャリヤのリソース・ブロックに関する情報が、第2のキャリヤ自体で(例えば、第2のキャリヤのPDCCHで)提供される。
【0039】
図4に戻って参照すると、基地局210は、A420で、広いDLデータ転送帯域幅が必要ではないと判定することもある。即ち、基地局210は、DLデータ転送には、第1または第2のコンポーネント・キャリヤのうちの1つで十分であると判定し得る。このことが生じた場合、A440で、基地局210は、第1または第2のキャリヤの何れかDLデータを送信する。第1のキャリヤでDLデータを転送すると決定した場合、基地局210は、何らの遅延時間なしにそうしてもよい。第2のキャリヤを使用すると決定した場合、基地局210は、送信前に待機し得る。
【0040】
基地局210は、待機が必要であるとしても、第1の(即ち、アンカー・)キャリヤの代わりに、第2の(即ち、非アンカー・)キャリヤで、DLデータを転送することを決定してもよい。そのような決定が行われ得る多くの理由が存在する。一般的に、非アンカー・キャリヤがより良好に適する場合、即ち、第2のキャリヤの品質がより良好である場合、第2のキャリヤを使用することが、より信頼性が高いため有利である可能性があるためである。品質測定値の一例として、第2のキャリヤのCQI(チャネル品質指標)が、第1のキャリヤのCQIより高い可能性がある。品質測定値に関する他の例は、信号対干渉電力比(SIR)(高い方がよい)、参照信号受信電力(RSRP)(高い方がよい)、データ送信レート(高い方がよい)、誤り率(低い方がよい)、再送要求レート(低い方がよい)等に基づいていてもよい。
【0041】
品質の考慮に加えて、ネットワーク・システム容量も、決定の要因になり得る。一例においては、第2のキャリヤに比較して、第1のキャリヤが過度に使用されていることがある。このため、第2のキャリヤへの切り替えに関する考慮は、第2のキャリヤの残りのデータ搬送容量が、第1のキャリヤの残りのデータ搬送容量より所定の量だけ大きいということであってもよい。
【0042】
図7は、アンカー・キャリヤ(第1のキャリヤ)または非アンカー・キャリヤ(第2のキャリヤ)の何れかでDLデータを転送する
図4のA440を実施する方法の例を示す。A710で、基地局210は、上述の考慮に基づいて、第1のキャリヤの代わりに、第2のキャリヤをDLデータの転送に使用すべきか否かを決定する。第2のキャリヤを使用すべきでないと決定した場合、基地局210は、A720に示すように、遅延時間なしで、第1のキャリヤでDLデータを送信する。第2のキャリヤを使用すべきあると決定した場合、A730で、基地局210は、第2のキャリヤでのDLデータの転送について、ユーザ装置220に通知する。その後、所定の遅延時間の待機の後に、基地局210は、A740で、DLデータを第2のキャリヤで送信する。
【0043】
図8は、第2のキャリヤでのDLデータの転送に関してユーザ装置220に通知するA730を実施する方法の例を示す。A810で、基地局210は、第2のキャリヤに関して、第1のキャリヤでユーザ装置220に通知する。次にA820で、DLデータを搬送するために割り当てられた第2のキャリヤのリソース・ブロックの情報が、第1のキャリヤで(例えば、PDSCHまたはPDCCHにおいて)、または第2のキャリヤで(例えば、PDCCHにおいて)提供される。
【0044】
図9は、
図2に示した基地局210の実施形態を示す。基地局210は、処理ユニット910と、監視ユニット920と、通信ユニット930とを含む。監視ユニット920は、例えば、基地局210によって使用されるコンポーネント・キャリヤの負荷を監視するように構成される。通信ユニット930は、ネットワーク200内のユーザ装置220と通信するように構成される。処理ユニット910は、上述の方法を実行するために基地局210の構成要素の動作を制御するよう構成される。
【0045】
図10は、基地局210からDLデータを受信するための、ユーザ装置220の観点からの方法の例M1000を示す。本方法のA1010で、ユーザ装置220は、第1のキャリヤを含む、1つ以上のアンカー・キャリヤで基地局210とのコネクションを確立する。A1020で、ユーザ装置220は、DLデータ転送に関する通知を、基地局210から受信する。A1030で、当該通知に基づいて、ユーザ装置220は、基地局が、第1のキャリヤと、追加として第2の(非アンカー)キャリヤとで、DLデータを転送するか否かを判定する。ユーザ装置220がそのような判定をした場合、A1040で、ユーザ装置220は、DLデータの第1のデータ部分を第1のキャリヤで、第2のデータ部分を第2のキャリヤで受信するよう、受信機を起動(activate)させる。A1040で、ユーザ装置220は、所定の遅延時間の後に第2のキャリヤで信号を受信する準備ができているように、受信機をアクティブに準備する。
【0046】
A1030で、複数のコンポーネント・キャリヤでDLデータが搬送されないと判定した場合、A1050で、ユーザ装置220は、基地局210が第1または第2のキャリヤでDLデータを送信するか否かを判定する。DLデータが第1のキャリヤで受信されると判定した場合、A1070で、ユーザ装置220は、遅延時間なしでデータを受信する。しかしながら、DLデータが第2のキャリヤで受信されると判定した場合、A1060で、ユーザ装置220は、当該通知を受信してから所定の遅延時間の経過時またはその前にDLデータを第2のキャリヤで受信する準備ができているように、受信機をアクティブに準備する。
【0047】
図11は、ユーザ装置220に実施形態を示す。ユーザ装置220は、処理ユニット1110と通信ユニット1120とを含む。通信ユニット1120は、ネットワーク200内の基地局210と通信するように構成される。通信ユニット1120は、固定型の狭帯域幅受信機と適応型の帯域幅受信機との任意の組合せを含んでいてもよい。固定型帯域幅受信機のみを考慮する場合には、通信ユニット1120は、複数の受信機を含むことが望ましく、その場合、各受信機は複数のコンポーネント・キャリヤのうちの1つについて待ち受けするように構成される。適応型帯域幅受信機のみを考慮する場合には、これらの受信機のうちの1つ以上が存在し得る。組合せを考慮する場合には、1つ以上の固定型帯域幅受信機及び1つ以上の適応型帯域幅受信機が存在し得る。処理ユニット1110は、上述の方法を実行するためにユーザ装置220の構成要素の動作を制御するよう構成される。
【0048】
上記の記述は多数の規格を含むものの、本発明の範囲を制限するものでなく、この発明の現在の好ましい実施形態のうちのいくつかについての例示を単に提供するものと解釈すべきである。従って、本発明の範囲は、当業者にとって明らかとなり得る他の実施形態を十分に包含し、それ故に本発明の範囲が制限されることはないことが、理解されよう。当技術者には既知の、上述の好ましい実施形態の要素との構造的及び機能的に均等なものは、参照により明示的に本明細書に組み込まれており、それにより、本明細書により包含されることを意図している。また、装置または方法が、本明細書で説明され、または本技術によって解決しようとした各々の及び全ての問題に対処すること、及びそれにより包含されることが、必ずしも必要ではない。更に、本開示における要素、構成要素、または方法の動作は、何れも公衆に対してささげられることを意図していない。