特許第5728059号(P5728059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728059
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】集成プリントヘッド可調節取付部品
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   B41J2/01 307
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-207172(P2013-207172)
(22)【出願日】2013年10月2日
(62)【分割の表示】特願2009-543237(P2009-543237)の分割
【原出願日】2007年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-37143(P2014-37143A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2013年10月2日
(31)【優先権主張番号】60/871,701
(32)【優先日】2006年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502122794
【氏名又は名称】フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン ヴォン エッセン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エイ ヒッギンソン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアズ ビブル
(72)【発明者】
【氏名】ディーン エイ ガードナー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ロッチオ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン アール デミング
【審査官】 中村 真介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−025703(JP,A)
【文献】 特開2004−230211(JP,A)
【文献】 特開2002−264311(JP,A)
【文献】 特開2004−136555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に長さ及び第2方向に幅を有し、前記長さは前記幅より大きいものである集成プリントヘッドのための集成取付部品において、
(a) 前記集成取付部品を前記集成プリントヘッドに連結するように構成された少なくとも1つの取付コネクタ、及び
(b) 能動第1方向マウントであって
実質的に平行四辺形をなす、上部コンポーネント、下部コンポーネント及び2つの側部コンポーネントであって、前記下部コンポーネントは不動に固定され、前記上部コンポーネントは前記下部コンポーネントに実質的に平行に維持されながら前記第1方向に移動するように構成され、前記2つの側部コンポーネントは互いに実質的に平行に維持されながら前記第1方向に移動するように構成される各コンポーネント、
前記上部コンポーネント及び前記2つの側部コンポーネントを前記第1方向に移動させるように構成された第1の駆動機構、及び
前記上部コンポーネントから突き出す突縁、
を有する能動第1方向マウント、
を備え、
前記少なくとも1つの取付コネクタが、前記能動第1方向マウントの前記2つの側部コンポーネント及び前記上部コンポーネントの前記第1方向の移動に応答して前記第1方向に移動し、よって前記集成プリントヘッドを前記第1方向に移動させ、
前記第1の駆動機構が、前記第1方向の、前記突縁の移動つまり前記上部コンポーネントの移動を直接に駆動するように構成され、
前記2つの側部コンポーネントに可撓態様で連結されている前記上部コンポーネントの移動に応答して、前記2つの側部コンポーネントが前記第1方向に移動するように間接的に駆動される、
ことを特徴とする集成取付部品。
【請求項2】
前記第1の駆動機構が、
前記第1方向及び第2方向に実質的に直交する第3方向に向けて第1の軸の周りで駆動シャフトを回転させるように構成されたモーター、及び
前記突縁に接触していて、前記駆動シャフトの上部とともに回転するように構成されたベアリングであって、前記駆動シャフトの前記上部は、前記第3方向に向けられているが、前記第1の軸から前記第1方向にずらされた中心軸線を有し、よって前記ベアリングは前記第1の軸の周りを偏心態様で回転するものであるベアリング、
をさらに有し、
前記ベアリングが前記第1の軸の周りを偏心態様で回転するにつれて、前記突縁が、つまり前記上部コンポーネントが前記第1方向にずらされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の集成取付部品。
【請求項3】
基板上に液体を被着するための装置において、
(A) 第1方向に長さ及び第2方向に幅を有し、前記長さは前記幅より大きいものである集成プリントヘッドのための集成取付部品であって、
(a) 前記集成取付部品を前記集成プリントヘッドに連結するように構成された少なくとも1つの取付コネクタ、及び
(b) 能動第1方向マウントであって、
実質的に平行四辺形をなす、上部コンポーネント、下部コンポーネント及び2つの側部コンポーネントであって、前記下部コンポーネントは不動に固定され、前記上部コンポーネントは前記下部コンポーネントに実質的に平行に維持されながら前記第1方向に移動するように構成され、前記2つの側部コンポーネントは互いに実質的に平行に維持されながら前記第1方向に移動するように構成される各コンポーネント、
前記上部コンポーネント及び前記2つの側部コンポーネントを前記第1方向に移動させるように構成された第1の駆動機構、及び
前記上部コンポーネントから突き出す突縁、
を有する、能動第1方向マウント
を有し、
前記少なくとも1つの取付コネクタは、前記能動第1方向マウントの前記2つの側部コンポーネント及び前記上部コンポーネントの第1方向の移動に応答して前記第1方向に移動し、
前記第1の駆動機構が前記突縁の、つまり前記上部コンポーネントの前記第1方向の移動を直接に駆動するように構成され、
前記2つの側部コンポーネントに可撓態様で連結された前記上部コンポーネントの移動に応答して、前記2つの側部コンポーネントが前記第1方向に移動するように間接的に駆動されるものである、
集成取付部品、
を備え、
前記集成プリントヘッドが、
集成ノズルを収めるように構成され、印刷液を受け取り、前記集成ノズルに前記印刷液を供給するように構成されたコンジットを有する、ハウジングと、
前記印刷液を受け取り、該印刷液を基板上に被着するように構成された複数のノズルを有する前記集成ノズルと、
前記集成取付部品が有する前記少なくとも1つの取付コネクタと嵌合するように構成された少なくとも1つのプリントヘッド取付コネクタと、
を有し、
前記少なくとも1つのプリントヘッド取付コネクタに嵌合された前記少なくとも1つの取付コネクタの前記第1方向の移動が前記集成プリントヘッドを前記第1方向に移動させる、
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
前記集成取付部品の前記能動第1方向マウントの前記第1の駆動機構が、
前記第1方向及び前記第2方向に実質的に直交する第3方向に向けて第1の軸の周りに駆動シャフトを回転させるように構成されたモーター、及び
前記突縁に接していて、前記駆動シャフトの上部とともに回転するように構成されたベアリングであって、前記駆動シャフトの前記上部は、前記第3方向に向けられるが、前記第1の軸から前記第1方向にずらされた中心軸線を有し、よって前記ベアリングは前記第1の軸の周りを偏心態様で回転するものであるベアリング、
を有し、
前記ベアリングの前記第1の軸の周りの偏心態様回転にともなって、前記突縁が、つまり前記上部コンポーネントが前記第1方向にずらされる、
ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
基板上に液体を被着するための装置において、
(A) 第1方向に長さ及び第2方向に幅を有し、前記長さは前記幅より大きいものである集成プリントヘッドのための集成取付部品であって、
(a) 前記集成取付部品を前記集成プリントヘッドに連結するように構成された少なくとも1つの取付コネクタ、
(b) 能動第1方向マウントであって、
実質的に平行四辺形をなす、上部コンポーネント、下部コンポーネント及び2つの側部コンポーネントであって、前記下部コンポーネントは不動に固定され、前記上部コンポーネントは前記下部コンポーネントに実質的に平行に維持されながら前記第1方向に移動するように構成され、前記2つの側部コンポーネントは互いに実質的に平行に維持されながら前記第1方向に移動するように構成される各コンポーネント、及び
前記上部コンポーネント及び前記2つの側部コンポーネントを前記第1方向に移動させるように構成された第1の駆動機構、
を有する、能動第1方向マウント、及び
(c) 前記少なくとも1つの取付コネクタによって前記集成プリントヘッドに連結するように構成された能動第2方向マウント、
を有し、
前記能動第2方向マウントが、
(i) 上部構造であって、
前記集成プリントヘッドに連結するための前記少なくとも1つの取付コネクタ、及び
駆動シャフト及び上部ベアリングを回転軸の周りで回転させるように構成された第2のモーター、
を有し、
1つ以上の撓み部材によって前記能動第1方向マウントに連結される上部構造、及び
(ii) 前記能動第1方向マウントに剛結態様で連結された下部構造であって、
前記駆動シャフトの下部に連結された下部ベアリングであって、前記駆動シャフトの前記下部は、前記第3方向に向けられるが、前記回転軸から直交方向にずらされた中心軸線を有し、よって前記下部ベアリングは前記上部ベアリングの回転に対して偏心態様で回転するものである下部ベアリング、
を有する下部構造、
を有し、
前記少なくとも1つの取付コネクタは、前記能動第1方向マウントの前記2つの側部コンポーネント及び前記上部コンポーネントの第1方向の移動に応答して前記第1方向に移動するものであり、
前記下部ベアリング及び前記上部ベアリングの前記相対偏心回転が前記下部ベアリング及び前記上部ベアリングの回転にともなう前記上部構造の前記第2方向のずれを生じさせ、よって前記集成プリントヘッドに軸の周りの第3方向の軸旋回運動を与える、
集成取付部品、
を備え、
前記集成プリントヘッドが、
集成ノズルを収めるように構成され、印刷液を受け取り、前記集成ノズルに前記印刷液を供給するように構成されたコンジットを有する、ハウジングと、
前記印刷液を受け取り、該印刷液を基板上に被着するように構成された複数のノズルを有する前記集成ノズルと、
前記集成取付部品が有する前記少なくとも1つの取付コネクタと嵌合するように構成された少なくとも1つのプリントヘッド取付コネクタと、
を有し、
前記少なくとも1つのプリントヘッド取付コネクタに嵌合された前記少なくとも1つの取付コネクタの前記第1方向の移動が前記集成プリントヘッドを前記第1方向に移動させる、
ことを特徴とする装置。
【請求項6】
前記集成プリントヘッドの前記集成ノズルが、
複数の液体流入口、及び
複数のポンプチャンバ、
をさらに有し、
前記複数の液体流入口のそれぞれが、ノズルに液体流通可能な態様で結合されたポンプチャンバに液体流通可能な態様で結合され、前記ポンプチャンバに隣接するアクチュエータを起動させる制御信号に応答して、印刷液が前記ポンプチャンバから前記ノズルを通して前記基板上に押し出される、
ことを特徴とする請求項3から5いずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記集成プリントヘッドが、
入力信号を受け取り、前記受け取られた入力信号に基づいて前記複数のノズルを選択的に起発させるための制御信号を前記集成ノズルに与えるように構成された回路システム、
をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記アクチュエータが、前記制御信号に応答して撓むように構成された圧電偏向器を有し、前記撓みが、前記ポンプチャンバ内に含まれる印刷液を吐出させることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
請求項1または2に記載の集成取付部品に取り付けられる、基板上に液体を被着するための集成プリントヘッドにおいて、
(A) ハウジングであって、
(a) 液体源から液体を受け取り、前記液体を集成ノズルに供給するように構成された液体コンジットと、
(b) 前記集成ノズル内の前記液体の温度より低い温度にある気体を受け取り、前記気体を前記集成ノズル近傍の領域に供給するように構成された気体コンジットと、
(c) 前記ハウジング内に取り付けられた前記集成ノズルであって、
複数の液体流入口、
複数のポンプチャンバ、及び
複数のノズル、
を有し、
前記複数の液体流入口のそれぞれがノズルに液体流通可能な態様で結合されたポンプチャンバに液体流通可能な態様で結合され、前記ポンプチャンバに隣接するアクチュエータを起動させる制御信号に応答して、液体が前記ポンプチャンバから前記ノズルを通して前記基板上に押し出される、ものである前記集成ノズルと、
を有する、ハウジング、及び
(B) 入力信号を受け取り、前記受け取られた入力信号に基づいて前記複数のノズルを選択的に起発させるための制御信号を前記集成ノズルに与えるように構成された回路システム、
を有することを特徴とする集成プリントヘッド。
【請求項10】
前記ハウジングが、前記集成ノズル近傍の前記領域を通過した後の前記気体を排出するように構成された気体流出口をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の集成プリントヘッド。
【請求項11】
前記アクチュエータが、前記制御信号に応答して撓むように構成された圧電偏向器を有し、前記撓みが、前記ポンプチャンバ内に含まれる液体を吐出させることを特徴とする請求項9に記載の集成プリントヘッド。
【請求項12】
前記ハウジングに取り付けられ、前記ハウジングの第1の側部及び第2の側部から延び出す部分を有する、取付プレート、
をさらに有し、前記延出し部分が集成取付部品と嵌合するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の集成プリントヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は基板上に液体を被着するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体被着装置、例えばインクジェットプリンタは一般に、インク滴がそこから射出されるノズルを含む集成インクノズルへの、インク源からのインク路を有する。インクはジェットプリンタから射出され得る液体の一例でしかない。インク滴射出はインク路においてアクチュエータ、例えば、圧電偏向器、熱バブルジェット(登録商標)発生器または静電偏向素子でインクを加圧することによって制御することができる。代表的なプリントヘッドはインク路及び付帯アクチュエータのアレイが対応するノズル列を有し、それぞれのノズルからの液滴射出は独立に制御することができる。いわゆる「ドロップオンデマンド」プリントヘッドにおいて、それぞれのアクチュエータは基板上の特定の場所において液滴を選択的に射出するために起発される。印刷動作中、プリントヘッド及び基板は互いに対して移動することができる。
【0003】
プリントヘッドは半導体プリントヘッド本体及び圧電アクチュエータを有することができる。プリントヘッド本体はポンプチャンバを定めるためにエッチングされたシリコンでつくることができる。ノズルは、シリコン体に取り付けられた独立のノズルプレートで定めることができる。圧電アクチュエータは、印加電圧に応答して形状寸法を変えるかまたは撓む、圧電材料の層を有することができる。圧電層の撓みがインク路に沿って配置されたポンプチャンバ内のインクを加圧する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷精度は多くの要因により影響を受け得る。高精度印刷には基板に対するノズルの高精度位置決めが必要になり得る。同時に印刷するために複数のプリントヘッドが用いられるならば、プリントヘッドに含められたノズルの互いに対する高精度位置合せも高精度印刷のために肝要になり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基板上に液体を被着するための装置及び方法が説明される。総じて、1つ以上の方向においてノズル及び液滴の配置の動的調節を可能にすることができる、プリントヘッドのための集成取付部品が提供される。
【0006】
総じて、一態様において、本発明は、少なくとも1つの取付コネクタ及び能動第1方向マウントを有する、集成プリントヘッドのための集成取付部品を特徴とする。取付コネクタは集成マウント部材を集成プリントヘッドに連結するように構成される。集成プリントヘッドは第1方向に長さ及び第2方向に幅を有し、長さは幅より大きい。能動第1方向マウントは、実質的に平行四辺形をなす、上部コンポーネント、下部コンポーネント及び2つの側部コンポーネントを有する。下部コンポーネントは不動に固定され、上部コンポーネントは、下部コンポーネントに対して実質的に平行を維持しながら、第1方向に移動するように構成される。2つの側部コンポーネントは互いに実質的に平行を維持しながら第1方向に移動するように構成される。第1の駆動機構が上部コンポーネント及び2つの側部コンポーネントを駆動して第1方向に移動させるように構成される。取付コネクタは、能動第1方向マウントの2つの側部コンポーネント及び上部コンポーネントの第1方向の移動に応答して第1方向に移動し、よって集成プリントヘッドに第1方向の移動を提供する。
【0007】
本発明の実施形態は以下の特徴の1つ以上を有することができる。集成取付部品はさらに、集成取付部品を集成プリントヘッドに連結するように構成された少なくとも第2の取付コネクタ及び受動マウントを有することができる。受動マウントは第2の取付コネクタによって集成プリントヘッドに連結するように構成される。受動マウントは、実質的に平行四辺形をなす、上部コンポーネント、下部コンポーネント及び2つの側部コンポーネントを有する。下部コンポーネントは不動に固定され、上部コンポーネントは、下部コンポーネントに対して実質的に平行を維持しながら、第1方向に移動するように構成される。2つの側部コンポーネントは互いに実質的に平行を維持しながら第1方向に移動するように構成される。受動マウントは第2の取付コネクタによって受動マウントに連結された集成プリントヘッドの第1方向での移動に応答して第1方向に移動する。
【0008】
能動第1方向マウントはさらに上部コンポーネントから突き出す突縁を有することができる。第1の駆動機構は突縁をしたがって上部コンポーネントを直接駆動して第1方向に移動させるように構成される。2つの側部コンポーネントに可撓態様で連結されている上部コンポーネントの移動に応答して、2つの側部コンポーネントは間接的に駆動されて第1方向に移動する。
【0009】
第1の駆動機構はさらに、駆動シャフトを第1方向及び第2方向に実質的に直交する第3方向に向けて第1の軸の周りで回転させるように構成されたモーターを有することができる。突縁に接触しているベアリングを駆動シャフトの上部とともに回転するように構成することができ、駆動シャフトの上部は、第3方向に向けられているが第1の軸から第1方向にずらされている中心軸線を有し、よってベアリングは第1の軸の周りを偏心態様で回転する。ベアリングが第1の軸の周りを偏心態様で回転するから、突縁したがって上部コンポーネントは第1方向にずれることができる。
【0010】
集成取付部品はさらに、取付コネクタによって集成プリントヘッドに連結するように構成された能動第2方向マウントを有することができる。能動第2方向マウントは上部構造及び下部構造を有することができる。上部構造は集成プリントヘッドに連結するための取付コネクタ及び、駆動シャフト及び上部ベアリングを回転軸の周りで回転させるように構成された第2のモーターを有することができる。上部構造は1つ以上の撓み部材によって能動第1方向マウントに連結させることができる。下部構造は能動第1方向マウントに剛結態様で連結することができ、駆動シャフトの下部に連結された下部ベアリングを有することができる。駆動シャフトの下部は第3方向に向けられているが回転軸から直交方向にずらされている中心軸線を有することができる。よって下部ベアリングは上部ベアリングの回転に対して偏心態様で回転することができる。下部ベアリングと上部ベアリングの相対偏心回転により、下部ベアリング及び上部ベアリングの回転にともなう上部構造の第2方向でのずれを生じさせ、よって第3方向での軸の周りの軸旋回運動を集成プリントヘッドに与えることができる。
【0011】
総じて、別の態様において本発明は、集成プリントヘッド及び集成印刷部品のための集成取付部品を有する、基板上に液体を被着するための装置を特徴とする。集成取付部品は、集成取付部品を集成プリントヘッドに連結するように構成された、少なくとも1つの取付コネクタを有する。集成プリントヘッドは第1方向に長さ及び第2方向に幅を有し、長さは幅より大きい。集成取付部品はさらに能動第1方向マウントを有する。能動第1方向マウントは、実質的に平行四辺形をなす、上部コンポーネント、下部コンポーネント及び2つの側部コンポーネントを有する。下部コンポーネントは不動に固定され、上部コンポーネントは、下部コンポーネントに対して実質的に平行を維持しながら、第1方向に移動するように構成される。2つの側部コンポーネントは互いに実質的に平行を維持しながら第1方向に移動するように構成される。第1の駆動機構が上部コンポーネント及び2つの側部コンポーネントを駆動して第1方向に移動させるように構成される。取付コネクタは、能動第1方向マウントの2つの側部コンポーネント及び上部コンポーネントの第1方向の移動に応答して第1方向に移動する。集成プリントヘッドは、ハウジング、集成ノズル及びプリントヘッド取付コネクタを有する。ハウジングは集成ノズルを収めるように構成され、印刷液を受け取り、印刷液を集成ノズルに供給するように構成されたコンジットを有する。集成ノズルは印刷液を受け取り、基板上に印刷液を被着するように構成された複数のノズルを有する。プリントヘッド取付コネクタは、集成取付部品が有する取付コネクタに嵌合するように構成される。プリントヘッド取付コネクタに嵌合された取付コネクタの第1方向の移動が集成プリントヘッドに第1方向の移動を与える。
【0012】
本発明の実施形態は以下の特徴の1つ以上を有することができる。集成取付部品はさらに、集成取付部品を集成プリントヘッドに連結するように構成された少なくとも第2の取付コネクタ及び受動マウントを有することができる。受動マウントは第2の取付コネクタによって集成プリントヘッドに連結するように構成される。受動マウントは、実質的に平行四辺形をなす、上部コンポーネント、下部コンポーネント及び2つの側部コンポーネントを有し、下部コンポーネントは不動に固定され、上部コンポーネントは、下部コンポーネントに対して実質的に平行を維持しながら、第1方向に移動するように構成される。2つの側部コンポーネントは互いに実質的に平行を維持しながら第1方向に移動するように構成することができる。受動マウントは第2の取付コネクタによって受動マウントに連結された集成プリントヘッドの第1方向での移動に応答して第1方向に移動することができる。
【0013】
集成取付部品の能動第1方向マウントはさらに上部コンポーネントから突き出す突縁を有することができる。第1の駆動機構は突縁したがって上部コンポーネントを直接駆動して第1方向に移動させるように構成することができる。2つの側部コンポーネントに可撓態様で連結されている上部コンポーネントの移動に応答して、2つの側部コンポーネントは間接的に駆動されて第1方向に移動する。
【0014】
集成取付部品の能動第1方向マウントの第1の駆動機構は、駆動シャフトを第1方向及び第2方向に実質的に直交する第3方向に向けられた第1の軸の周りで回転させるように構成されたモーター及び突縁に接触しているベアリングを有することができる。ベアリングは駆動シャフトの上部とともに回転するように構成することができ、駆動シャフトの上部は、第3方向に向けられているが第1の軸から第1方向にずらされている中心軸線を有し、よってベアリングは第1の軸の周りを偏心態様で回転する。ベアリングが第1の軸の周りを偏心態様で回転するから、突縁したがって上部コンポーネントは第1方向にずらすことができる。
【0015】
集成取付部品はさらに、1つの取付コネクタによって集成プリントヘッドに連結するように構成された能動第2方向マウントを有することができる。能動第2方向マウントは上部構造及び下部構造を有することができる。上部構造は集成プリントヘッドに連結するための取付コネクタ及び、駆動シャフト及び上部ベアリングを回転軸の周りに回転させるように構成された第2のモーターを有することができる。上部構造は1つ以上の撓み部材で能動第1方向マウントに連結させることができる。下部構造は能動第1方向マウントに剛結態様で連結させることができる。下部構造は駆動シャフトの下部に連結された下部ベアリングを有することができる。駆動シャフトの下部は第3方向に向けられているが回転軸から直交方向にずらされた中心軸線を有することができる。よって下部ベアリングは上部ベアリングの回転に対して偏心態様で回転することができる。下部ベアリングと上部ベアリングの相対偏心回転は、下部ベアリング及び上部ベアリングの回転にともなう上部構造の第2方向へのずれを生じさせ、よって第3方向での軸の周りの軸旋回運動を集成プリントヘッドに与えることができる。
【0016】
集成取付部品が有する取付コネクタと嵌合するように構成されたプリントヘッド取付コネクタは、ハウジングに取り付けられ、ハウジングの第1の側面からの第1の延長部分及びハウジングの第2の側面からの第2の延長部分を有する、取付プレートとすることができる。集成取付部品が有する取付コネクタは、取付プレートの第1の延長部分を受け入れるように構成された能動第2方向マウントの第1のスロット、能動第2方向マウントの第1のチャネル及び第1のチャネルに隣接する1つ以上の第1の素子を有することができる。取付コネクタはさらに、第1の取付プレートクランプネジであって、第1のチャネルにねじ込まれたときに1つ以上の第1の素子が取付プレートの第1の延長部分に押し付けられるように第1のチャネルに滑動可能な態様で受け入れられる、第1の取付プレートクランプネジを有することができる。集成取付部品が有する第2の取付コネクタは、取付プレートの第2の延長部分を受け入れるように構成された受動マウントが有する第2のスロット、受動マウントが有する第2のチャネル及び第2のチャネルに隣接する1つ以上の第2の素子を有することができる。第2の取付コネクタはさらに、第2の取付プレートクランプネジであって、第2のチャネルにねじ込まれたときに1つ以上の第2の素子が取付プレートの第2の延長部分に押し付けられるように第2のチャネルに滑動可能な態様で受け入れられる、第2の取付プレートクランプネジを有することができる。
【0017】
集成プリントヘッドはさらに、集成ノズル内の液体の温度より低い温度にある気体を受け取るように、及びその気体を集成ノズル近傍の領域に供給するように、構成された気体コンジットを有することができる。一例において、気体は実質的に乾燥空気である。集成プリントヘッドのハウジングはさらに集成ノズル近傍の領域を通過した後の気体を排出するように構成された気体流出口を有することができる。集成プリントヘッドの集成ノズルは液体流入口及びポンプチャンバを有することができる。それぞれの液体流入口はポンプチャンバに液体流通可能な態様で結合させることができ、ポンプチャンバはノズルに液体流通可能な態様で結合される。ポンプチャンバに隣接するアクチュエータを起動させる制御信号に応答して、印刷液はポンプチャンバから押し出され、ノズルを通って基板上に向かうことができる。集成プリントヘッドはさらに、入力信号を受け取り、受け取った入力信号に基づいて、複数のノズルを選択的に起発させるために集成ノズルに制御信号を与えるように構成された、回路システムを有することができる。アクチュエータは、制御信号に応答して撓むように構成された圧電偏向器を有することができ、この撓みによりポンプチャンバ内の印刷液が吐出される。
【0018】
総じて、別の態様において、本発明は基板上に液体を被着するための集成プリントヘッドを特徴とする。集成プリントヘッドは、液体コンジット、気体コンジット及び集成ノズルを収めるハウジングを有する。液体コンジットは液体源から液体を受け取り、この液体を集成ノズルに供給するように構成される。気体コンジットは、集成ノズル内の液体の温度より低い温度にある気体を受け取り、この気体を集成ノズル近傍の領域に与えるように構成される。集成ノズルはハウジング内に取り付けられ、液体流入口、ポンプチャンバ及びノズルを有する。それぞれの液体流入口はポンプチャンバに液体流通可能な態様で結合され、ポンプチャンバは液体流通可能な態様でノズルに結合される。ポンプチャンバに隣接するアクチュエータを起動させる制御信号に応答して、印刷液はポンプチャンバから押し出され、ノズルを通って基板上に向かう。集成プリントヘッドはさらに、入力信号を受け取り、受け取った入力信号に基づいて、複数のノズルを選択的に起発させるために集成ノズルに制御信号を与えるように構成された、回路システムを有する。
【0019】
本発明の実施形態は以下の特徴の1つ以上を有することができる。気体は実質的に乾燥空気とすることができる。ハウジングはさらに、集成ノズル近傍の領域を通過した後の気体を排出するように構成された気体流出口を有することができる。アクチュエータは、制御信号に応答して撓むように構成された圧電偏向器を有することができ、この撓みによりポンプチャンバ内の液体が吐出される。取付プレートをハウジングに取り付けることができ、取付プレートはハウジングの第1及び第2の側面からの延長部分を有する。延長部分は集成取付部品と嵌合するように構成することができる。
【0020】
本発明の実施形態は以下の利点の1つ以上を実現することができる。集成プリントヘッドが有するノズルは、ノズルから射出される液体がその上に被着される基板に対して、また隣り合う集成プリントヘッドが有するノズルに対して、精確に位置決めすることができる。ノズル位置の可調精度は、一実施形態において、ほぼ1/2μm以内である。
【0021】
集成取付部品は、集成プリントヘッドが稼動している間の動的位置合せ補正の実施を可能にするように構成される。例えば、基板(すなわち液体がその上に被着されつつある基板)の位置、液滴射出位置またはノズル位置の内の少なくとも1つを検知することにより、そのように収集された情報を用いてノズルの位置合せを能動的に補正することができる。動作条件によって生じる位置ずれを動作中に補正できることが利点である。例えば、動作中の集成プリントヘッドの温度変化(例えば温度上昇)により位置ずれがおこれば、液体被着動作を中断させずに、再位置合せを行うことができる。
【0022】
プリントヘッドの領域の温度を制御するために気体だけを、または気体を1つ以上のヒーターとともに用いて、動的温度調節を可能にすることができる。
【0023】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細が、添付図面に示され、以下の説明に述べられる。本発明のその他の特徴、目的及び利点は説明及び図面から、また特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A図1AはY方向におけるドット配置調節の略図である。
図1B図1Bはθ方向におけるドット配置調節の略図である。
図1C図1CはX方向におけるドット配置調節の略図である。
図2A図2Aは、集成取付部品、集成プリントヘッド及び液体源の斜視図である。
図2B図2Bは、図2Aに示される集成取付部品の、裏側からの斜視図である。
図2C図2Cは、図2Aに示される集成取付部品の、線2-2に沿う断面の斜視図である。
図3A図3Aは集成プリントヘッドの斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aに示される集成プリントヘッドの、裏側からの斜視図である。
図3C図3Cは、図3Bに示される集成プリントヘッドの、線3-3に沿う断面図である。
図4A図4Aは、図2Bに示される集成取付部品の、一部の拡大断面図である。
図4B図4Bは、図2A〜2Cに示される集成取付部品に備えられた能動第1方向マウントが有する、固定ベアリング及び偏心ベアリングの簡略な上面図を示す。
図4C図4Cは、図2A〜2Cに示される集成取付部品に備えられた能動第1方向マウントが有する、固定ベアリング及び偏心ベアリングの簡略な上面図を示す。
図4D図4Dは、図2A〜2Cに示される集成取付部品に備えられた能動第1方向マウントが有する、固定ベアリング及び偏心ベアリングの簡略な上面図を示す。
図5A図5Aは、図2A〜2Cに示される集成取付部品に備えられた、能動第2方向マウント及び能動第1方向マウントの斜視図を示す。
図5B図5B図5Aに示される能動第2方向マウント及び能動第1方向マウントの破断図を示す。
図5C図5C図5Aに示される能動第2方向マウント及び能動第1方向マウントの一部の斜視図を示す。
図6A図6Aは、集成取付部品、集成プリントヘッド及び液体源のアレイを示す。
図6B図6B図6Aに示されるアレイのための取付構造の一例を示す。
図7図7図3A及び3Bに示される集成プリントヘッドの一部の拡大断面図を示す。
図8図8図2A〜2Cに示される液体源の断面図を示す。
図9図9図3A及び3Bに示される集成プリントヘッドの一部の拡大断面図を示す。
図10図10図3A及び3Bに示される集成プリントヘッドの一部の破断図を示す。
図11図11図3Aに示される集成プリントヘッドの断面図を示す。
図12図12図2Aに示される集成プリントヘッドの破断図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
様々な図面において同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0026】
集成プリントヘッド及び集成プリントヘッドのための集成取付部品が説明される。集成プリントヘッドによって被着される液体の一例はインクである。しかし、その他の液体、例えば、発光ディスプレイの製造に用いられる電界発光材料、回路基板作成に用いられる液体金属、あるいは生体液が用いられ得ることは当然である。
【0027】
集成取付部品は、集成プリントヘッドに集成取付部品を連結するように構成された少なくとも1つの取付コネクタを有する。集成プリントヘッドは第1方向に長さ及び第2方向に幅を有し、長さは幅より大きい。集成取付部品はさらに能動第1方向マウントを有する。
【0028】
能動第1方向マウントは、実質的に平行四辺形をなす、上部コンポーネント、下部コンポーネント及び2つの側部コンポーネントを有する。下部コンポーネントは不動に固定され、上部コンポーネントは、下部コンポーネントに対して実質的に平行を維持しながら、第1方向に移動するように構成される。2つの側部コンポーネントは互いに実質的に平行を維持しながら第1方向に移動するように構成される。第1の駆動機構が上部コンポーネントを駆動して第1方向に移動させるように構成される。2つの側部コンポーネントは上部コンポーネントの移動に応答して第1方向に移動する。取付コネクタは、能動第1方向マウントの2つの側部コンポーネント及び上部コンポーネントの第1方向の移動に応答して第1方向に移動し、よって取付コネクタが連結されている集成プリントヘッドに第1方向の移動を提供する。
【0029】
図1Aを参照すれば、一実施形態において、能動第1方向マウントが、図示されるようにY方向に、集成プリントヘッドが有するノズルの位置を、したがって対応する液滴配置を調節するように構成される。図1Bを参照すれば、一実施形態において、能動第2方向マウントが、図示されるようにθ方向に、ノズルの位置、したがって対応する液滴配置を調節するように構成される。図1Cを参照すれば、液体が被着されているときにノズルが基板に対してX方向に移動している、一実施形態において、図示されるように、X方向のノズルの位置を、したがって対応する液滴配置は、プリントヘッド起発パルスタイミングを調節することによって調節することができる。
【0030】
集成取付部品は集成プリントヘッドが稼動している間の動的位置合せ補正の実施が可能になるように構成される。例えば、基板(すなわち液体がその上に被着されつつある基板)の位置、液滴配置位置またはノズル位置の内の少なくとも1つを検知することにより、そのように収集された情報を用いてノズルの位置合せを能動的に補正することができる。例えば、集成プリントヘッドの温度変化(例えば温度上昇)により位置ずれがおこれば、液体被着動作を中断させずに、再位置合せを行うことができる。一実施形態において、液滴配置がモニターされ、閉ループサーボを用いて制御される。すなわち、液滴配置は液滴被着プロセスの進行中に動的に調節される。
【0031】
図2A及び2Bを参照すれば、集成取付部品及び集成プリントヘッドの一実施形態が示されている。この実施形態において、集成取付部品は能動第1方向マウント102及び受動マウント104を有する。さらに、集成プリントヘッド108が有するノズルの位置を第2方向に調節するように構成された、能動第2方向マウント106が備えられる。印刷液源110が液体流通可能な態様で集成プリントヘッド108に結合される。フレキシブル回路111が集成プリントヘッド108から延び出し、プリントヘッド108が有するノズルを選択的に起発させるための電気信号を集成プリントヘッド108に与えるために、コントローラに電気的に接続することができる。
【0032】
図2Cを参照すれば、図1の集成取付部品、集成プリントヘッド108及び印刷液源110の、線2-2に沿う断面図が示されている。能動第1方向マウント102は、上部コンポーネント112,下部コンポーネント114及び2つの側部コンポーネント116及び118を有する。上部、下部及び側部コンポーネント112〜118は実質的に平行四辺形をなす。下部コンポーネント114は上部コンポーネント112及び側部コンポーネント116,118に対して固定される。例えば、下部コンポーネント114は取付構造にネジ止めすることができる。上部コンポーネント112及び側部コンポーネント116,118は、以下でさらに説明するように、図に「Y」方向と示される方向に移動することができる。下部コンポーネント114は、能動第1方向マウント102の構成のため、固定されてY方向に移動することはできないが、上部コンポーネント112及び下部コンポーネント114は、上部コンポーネント112がY方向に移動する間、互いに実質的に平行のままであり、2つの側部コンポーネント116,118も互いに実質的に平行のままであり、よって平行四辺形が維持される。
【0033】
2つの側部コンポーネント116,118は、上に論じたY方向の移動を可能にするように、上部コンポーネント112及び下部コンポーネント114に連結する。図示される実施形態において、側部コンポーネント116,118のそれぞれは、側部コンポーネントのY方向の移動を可能にする、一体蝶番として構成されたコネクタ120a〜120dで上部コンポーネント112及び下部コンポーネント114に連結する。上部コンポーネント112及び側部コンポーネント116,118の第1方向の移動が行える限り、側部コンポーネント116,118を上部コンポーネント112及び下部コンポーネント114に連結するために、その他の構成のコネクタを用いることができる。
【0034】
図3A及び3Bを参照すれば、集成プリントヘッド108が示されている。この実施形態において、集成プリントヘッド108は、集成プリントヘッド108の両側に配置された、取付プレート122a〜122bとして構成された取付コネクタを有する。図3Cを参照すれば、取付プレート122a〜122bを表に出した、集成プリントヘッド108の破断図が示されている。この実施形態において、取付プレート122a〜122bは集成プリントヘッド108にかけて広がる単一プレートの延長部として形成される。別の実施形態において、取付プレート122a〜122bのそれぞれは、個別に、互いに無関係に、集成プリントヘッド108に取り付けることができる。
【0035】
図2A〜2Cを再び参照すれば、取付プレート122a〜122bを介して集成プリントヘッド108を集成取付部品に連結するために2つの取付プレートクランプネジ124a〜124bが用いられている。取付プレート122a〜122bのそれぞれは、隣接する集成取付部品の表面に形成されたスロット(図5Aの要素126aも見よ)内に受け入れられる。この実施形態において、スロット126aは能動第2方向マウント106に形成されて第1の取付プレート122aを受け入れ、スロット126bは受動マウント104に形成された第2の取付プレート122bを受け入れる。
【0036】
取付プレート122a〜122bがそれぞれスロット126a〜126b内で所定の位置につくと、集成取付部品に形成されたチャネル128a〜128bに取付プレートクランプネジ124a〜124bが滑動可能な態様で受け入れられる。チャネル128aは能動第2方向マウント106に形成され、チャネル128bは受動マウント104に形成される。取付プレートクランプネジ124a〜124bがそれぞれのチャネル128a〜128bにねじ込まれると、チャネル128a〜128bのそれぞれに隣接して集成取付部品内に備えられた1つ以上の素子がそれぞれ取付プレート122a〜122bに押し付けられる。この実施形態において、素子はボール130a〜130dであるが、別の実施形態において素子は異なる形状とすることができ、球形である必要はない。
【0037】
取付プレートクランプネジ124a〜124bはボール130a〜130dの領域においてカム型(例えばテーパ付)外表面領域を有する。例えば、図5Bに示される領域141は取付プレートクランプネジ124aのカム型外表面である。取付プレートクランプネジ124aがチャネル128aにねじ込まれるにつれて、外表面の領域141がボール130aに対して移動してボール130aに強く当り、ボール130aを押して取付プレート122aに接触させる。取付プレート122a〜122bに対するボール130a〜130dの圧力は取付プレート122a〜122bを所定の位置に堅固に保持するに十分である。よって、集成プリントヘッド108は取付プレート122a〜122bを介して集成取付部品に確実に固定保持される。
【0038】
集成プリントヘッド108を集成取付部品に連結するためにその他の手法を用いることができる。スロット126a〜126bに受け入れられて、ボール130a〜130dを押し付ける取付プレートクランプネジ124a〜124bによって所定の位置に保持される、取付プレート122a〜122bの使用は1つの実施形態に過ぎない。
【0039】
集成プリントヘッド108は集成取付部品に固定されるから、集成取付部品が移動すると、集成プリントヘッド108の移動が生じる。集成プリントヘッド108に備えられるプリントヘッドの下側に沿って配置されたノズルプレート132にノズルが設けられる。ノズルは、以下でさらに説明するように、能動第1方向マウント102及び能動第2方向マウント106を用いてY方向及びθ方向で集成プリントヘッド108の位置を調節することによって、精確に、少なくともY方向に位置決めし、Z軸周りにθ方向に軸旋回させることができる。
【0040】
初めにY方向を考えれば、能動第1方向マウント102のY方向の移動を制御することによって、Y方向の、集成プリントヘッド108の移動を、したがってノズルの位置を制御することができる。図4Aを参照すれば、能動第1方向マウント102の拡大断面図が示されている。この実施形態において、第1の方向の能動第1方向マウント102の移動は、固定ベアリング138及び偏心ベアリング139内で駆動シャフト136を回転させるモーター134を用いて制御される。
【0041】
この実施形態において、モーター134は固定下部コンポーネント114から延びるタワー140内に配置される。タワー140は下部コンポーネント114に対して剛結態様で形成される、すなわち下部コンポーネント114に関して不動であるから、タワー140及びタワー140内に備えられるモーター134がY方向で移動することはない。固定ベアリング138は駆動シャフト136の回転によってタワー140内で回転する。駆動シャフト136の上部142は下部143と中心をずらして形成される。すなわち、上部142の軸線は下部143の軸線並びにモーター134及びタワー140の軸線からずらされている。このずれは、ノズルがY方向で調節される距離が比較的小さいから、比較的小さい。例えば、ずれはほぼ0.5μmから1000μmの範囲内とすることができる。
【0042】
偏心ベアリング139は能動第1方向マウント102の上部コンポーネントから突き出す突縁115と接している。ベアリング139及び突縁115は、例えばバネまたは撓み機構によって押されて、互に接触する。偏心ベアリング139は駆動シャフト136の下部143と中心をずらして回転するから、偏心ベアリング139と突縁115の接触点149は、図4B〜4Dに示されるように、Y方向で移動する。
【0043】
図4B〜4Dは固定ベアリング138及び偏心ベアリングの簡略な平断面図を示す。ベアリング138,139の回転中の様々な点における、偏心ベアリング139と突縁115の間の接触点149も示される。図は、偏心ベアリング139が固定ベアリング138と中心をずらして回転している間に接触点149がY方向でどのように移動するかを示す。偏心ベアリング139の1/2回転の間に接触点149は、固定ベアリング138の中心軸からの偏心ベアリング139の中心軸のずれdの2倍だけ、移動する。
【0044】
接触点149の移動は、能動第1方向マウント102の上部コンポーネント112に連結されている、突縁115の移動を生じさせ、したがって上部コンポーネント112を移動させる。したがって上部コンポーネントはY方向に駆動されるから、側部コンポーネント116,118は、コネクタ120a及び120bによって上部コンポーネントに連結されているので、これにしたがって、Y方向の移動が可能になる。タワー140及び下部コンポーネントはY方向で固定されたままである。
【0045】
能動第1方向マウント102に(この実施形態においては能動第2方向マウント106を介して間接的に)固定されている集成プリントヘッド108は、能動第1方向マウント102とともにY方向に移動させられる。このようにして、集成プリントヘッド108内のプリントヘッド133が有するノズルの位置をY方向で調節することができる。
【0046】
図4Aを参照すれば、駆動シャフト136の頂部に円板磁石151が配置されている。円板磁石151はホール効果センサ153への近接範囲内に配置される。ホール効果センサは磁場の強度を測定する。円板磁石151がホール効果センサ153に近づくにつれて磁場は強くなり、円板磁石151がホール効果センサ153から遠ざかるにつれて磁場は弱くなる。ホール効果センサ153は円板磁石151の位置を検知するために用いられ、円板磁石151の位置から、駆動シャフト136の位置を回転カウントに換算して推定することができる。
【0047】
一実施形態において、ホール効果センサ153は、ホームポジション、例えば磁場が最強または最弱になる駆動シャフト136の位置を決定するために用いられる。一実施形態において、ホール効果センサ153は回転位置を検知するためにモーター134上のエンコーダとともに用いることができる。一実施形態において、エンコーダは駆動シャフト136の一回転毎に1024パルスを発する。それぞれのパルスは4カウントに相当し、したがって駆動シャフト136の一回転は4096カウントと等価である。駆動シャフト136の位置はカウントレベルで制御することができ、よって、Y方向のノズルの高分解能調節に換言される駆動シャフト136の高分解能回転位置決めを提供することができる。
【0048】
図2Cを再び参照して、受動マウント104を説明する。受動マウント104は、上部コンポーネント146,下部コンポーネント148及び2つの側部コンポーネント150,152を有する。下部コンポーネント148は固定され、Y方向の移動はできない。上部、下部及び側部コンポーネント146〜152は、実質的に平行四辺形をなす。平行四辺形の上部コンポーネント146及び下部コンポーネント148は、下部コンポーネント148が固定されたままで上部コンポーネント146がY方向に移動する間、互いに実質的に平行を維持する。側部コンポーネント150,152も同様に、Y方向に移動する間、互いに実質的に平行を維持する。側部コンポーネント150,152は可撓コネクタ147a〜147dによって上部コンポーネント146及び下部コンポーネント148に連結する。例えば、図示される実施形態において、コネクタは一体蝶番のように構成される。別の実施形態において、Y方向の相対運動を可能にする別のコネクタ形状を用いることができる。
【0049】
上部コンポーネント146及び側部コンポーネント150,152は、受動マウント104が集成プリントヘッド108を介して能動第1方向マウント102に間接的に連結されているから、Y方向に駆動されている能動第1方向マウント102に応答してY方向に移動する。受動マウント104は駆動機構を内蔵せず、したがって「能動」に対して「受動」である。
【0050】
別の実施形態において、受動マウント104は、上述した能動第1方向マウント102と同様の駆動機構を有する第2の能動第1方向マウントで置き換えることができる。
【0051】
別の実施形態において、受動マウントは、集成プリントヘッド108が確実に固定保持され、能動第1方向マウント102の移動に応答するY方向の移動が可能になる限り、異なる構成とすることができる。
【0052】
図示される実施形態において、集成取付部品はさらに能動第2方向マウント106を有する。能動第2方向マウント106は、この実施形態においてはZ軸の周りの角度θの回転である、第2方向での制御された移動を与えるように構成される。能動第2方向マウント106は集成プリントヘッド108に連結されるから、集成プリントヘッド108は、能動第2方向マウント106のθ方向の制御された移動に応答してθ方向に軸旋回する。このようにすれば、集成プリントヘッド108に備えられるノズルの位置をθ方向で調節することができる。
【0053】
図5Aを参照すれば、能動第2方向マウント106及び能動第1方向マウント102の斜視図が示されている。2つの能動マウントは、能動第1方向マウント102及び能動第2方向マウント106にボルト止めされた、薄い撓み部材159a及び159bを用いて連結される。能動第2方向マウント106に形成されている、集成プリントヘッド108に備えられた取付プレート122aを受け入れるように構成されたスロット126aが示される。
【0054】
図5Bを参照すれば、能動第2方向マウント106の内部作動部品を表に出すために能動第2方向マウント106のコーナーを破断した、図5Aの斜視図が示されている。能動第2方向マウント106は上部構造160及び下部構造161を有する。図5Cを参照すれば、下部構造161は能動第1方向マウント102に取り付けられている。図5A及び5Bを再び参照すれば、上部構造160は、集成プリントヘッド108から取付プレート122aを受け入れるように構成されたスロット126aを有する。上部構造160は薄い撓み部材159a及び159bに、この実施形態ではボルト162a〜162bで、連結する。上部構造160は、下部構造161に連結されている、能動第1方向マウント102にも連結されている薄い撓み部材159a〜159bにボルト止めされているが、上部構造160と下部構造161の間のある程度の相対運動は可能になっている。この相対運動は、薄い撓み部材159a〜159bが、θ方向のある程度の撓みが可能になり、よって上部構造160のθ方向の移動が可能になるように構成されているために可能になる。上部構造160は集成プリントヘッド108に(スロット126a,取付プレート122a及び取付プレートクランプネジ124aを介して)連結されているから、以下でさらに説明するように、上部構造160のθ方向の移動の結果、集成プリントヘッド108の同じ方向の移動が生じる。
【0055】
図5Bを参照すれば、能動第2方向マウント106は駆動シャフト165を回転させるように構成されたモーター163を有している。駆動シャフト165は上部ベアリング166及び下部ベアリング167に連結され、これらの2つのベアリング166,167を回転させる。下部ベアリング167は、駆動シャフト165の、中心が上部及びモーター163から外れている、下部に連結される。すなわち、駆動シャフト165の下部の中心にある軸線は、モーター163及び駆動シャフト165の上部の中心にある軸線からずれている。駆動シャフト165の上部の軸線と下部の軸線の間のずれにより上部ベアリング166と下部ベアリング167の間の相対偏心運動が生じる。しかし、下部ベアリング167は、能動第1方向マウント102に固定された、下部構造161内で回転するから、相対偏心運動は薄い撓み部材159a〜159bの間で上部構造160のX方向の移動を生じさせる。
【0056】
上で論じたように、上部構造160は集成プリントヘッド108の一端に連結されている。集成プリントヘッド108の反対側の一端は、X方向に自由に移動できない、受動マウント104に連結されている。したがって、集成プリントヘッドの能動第2方向マウント106に連結されている一端の移動は、集成プリントヘッド108のθ方向の軸旋回を生じさせ、この軸旋回点は受動マウント104に取り付けられた集成プリントヘッド108の反対側の一端であり、回転軸はZ軸である。したがって、プリントヘッド133に備えられたノズルの位置をθ方向で調節することができる。
【0057】
図5Bを再び参照すれば、円板磁石168が駆動シャフト165の下部に備えられている。円板磁石168の近接範囲内にホール効果センサ169(図4Aを見よ)がある。円板磁石168の回転運動は上部ベアリング166及び駆動シャフトの上部の回転に対して偏心しており、したがって、モーターが駆動シャフト165を回転させるにつれて円板磁石168は、ホール効果センサ169に近づき、ホール効果センサ169から遠ざかる。能動第1方向マウント102に関して上述したように、ホール効果センサ169は、ホームポジションを検出するため及び、駆動シャフト165の位置をモニターし、したがってθ方向のノズル位置を与えるために、用いることができる。
【0058】
図6Aを参照すれば、集成取付部品174内に取り付けられた集成プリントヘッド172のアレイ170が示されている。集成プリントヘッド172は、全体としてのアレイ170による印刷のためにそれぞれの集成プリントヘッド172に備えられるノズルが精確に位置合せされるように、互いに対して位置決めされる。図示される実施形態において、アレイ170の左側に備えられる集成取付部品174の位置はアレイの右側に備えられる集成取付部品174の位置に対向する。したがって、集成取付部品174の左側のセット及び集成取付部品174の右側のセットはアレイ170の中心線に向けて配置される。集成取付部品174をアレイ内にコンパクトに配置するため、集成取付部品174の左側及び右側のセットのいずれの受動マウント176も互いに位置合せされ、交互する。すなわち、アレイの中心線に沿って配置された受動マウント176を下から見ると、集成取付部品の右側のセットからの第1の受動マウント176aには集成取付部品の左側のセットからの第2の受動マウント176bが隣接し、第2の受動マウント176bには続いて集成取付部品の右側のセットからの第3の受動マウント176cが隣接し、以降同様に続く態様が示される。集成取付部品174の左側及び右側のセットからの集成取付部品174のスタガー配置により、アレイ170の全体のフットプリントを小さくし、対応する集成プリントヘッド172に備えられるノズルの間隔を狭めることが可能になる。
【0059】
図6Bを参照すれば、集成取付部品のアレイ170を取り付け得る取付構造体180の一例示実施形態が示されている。この実施形態において、集成取付部品は、例えばボルトを用いて、取付構造体180に固定取付され、それぞれの集成プリントヘッド108が有するプリントヘッド133上に備えられたノズルを、取付構造体180の下に配置され得る基板に向けて、表に出すためのアパーチャが下部プレート181に設けられる。
【0060】
一実施形態において、それぞれのプリントヘッドは128本のノズルを有する。ノズルから射出される液滴の大きさはほぼ1〜5ピコリットルの範囲にあり、これによりほぼ5〜15μmの範囲の印刷ドット寸法が得られる。したがって、50%のドット重なりが望まれる用途においては、ドット上ドット配置は2.5μm以内まで分解することができる。一実施形態において、X,Y及びθ方向のノズルの位置はほぼ0.5〜1000μmの範囲内及び1/2μmの精度範囲内で調節することができる。
【0061】
一実施形態において、集成取付部品は、ステンレス鋼または高剛性ポリマーのような、高剛性材料で作成することができる。高剛性ポリマーのいくつかの例には、ガラス充填液晶ポリマー及びカーボン充填液晶ポリマーがある。集成取付部品のいくつかまたは全てのコンポーネントは機械加工または射出成形で作成することができる。例えば、射出成形3次元コンポーネントを作成して、平可撓部分、例えば取付プレート122a〜122b及び/または撓み部材159a〜159bとともに用いることができる。
【0062】
一実施形態において、モーター134及び163はホームセンサをもつステップモーターとすることができる。備えられるモーターは、例えばギア比が1000:1の、高減速比ギアボックスを有することができる。別の実施形態において、モーター134.163の内のいずれかは、またはいずれも、高減速比ギアボックス及びエンコーダをもつDCモーターとすることができる。別の実施形態において、別の適するモーターが用いられ得る。
【0063】
図2A〜3Bを再び参照して、図示される実施形態に備えられる集成プリントヘッド108をさらに詳細に説明する。集成プリントヘッド108はハウジングを有する。ハウジングは、液体流入口182とプリントヘッド133に設けられる流入口183(図7を見よ)の間の液体流通を提供する液体コンジット180を有する。液体コンジット180は液体源110に連結するように構成される。
【0064】
図8を参照すれば、図示される実施形態において、必要に応じる集成フィルタ190が液体流入口182と液体源110の間に備えられている。集成フィルタ190は、対応する雄型液体流入口182に受け入れられるように構成された雌型部192を有する。集成フィルタ190はさらに液体源110に嵌合するように構成された上部194を有する。この実施形態においては、集成フィルタ190を液体源110及び液体流入口182に連結するためにルアーフィッティングが用いられる。上部194と雌型部192の間に形成される流体路内にフィルタ196が備えられる。フィルタ196は、織物、例えばステンレス鋼またはプラスチック(例えば、ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンまたはポリプロピレン)の織物で形成することができ、集成プリントヘッド108に流入する液体流内の液体源110内に含まれる不純物の通過を防止するように構成することができる。
【0065】
図2Cを参照すれば、集成プリントヘッド108のハウジング内に形成された液体コンジット180の垂直部分が示されている。液体コンジット180はさらに、提供される特定の断面図には示されていない、水平部分を有する。次に図9を参照すれば、集成プリントヘッド108の拡大部分断面図が示されている。矢印201は液体流入口182から液体コンジット180を通って進む液体の経路を示す。流体コンジット180の水平部分の断面図が示されている。液体は矢印の方向に進み、プリントヘッド133に設けられたポンプチャンバへの流入口183に向けて垂直方向202に進み続けるためにはフィルタ200を通過しなければならない。図7を再び参照すれば、流入口183に到達した流体の、ノズルプレート132に形成された個々のノズル208において終端している、経路が矢印206に示されている。
【0066】
この実施形態において、ポンプチャンバ210内の液体は、1つ以上の圧電アクチュエータに電圧を与えることにより、対応するノズル208を通して選択的に吐出させることができる。圧電アクチュエータはそれぞれのポンプチャンバ210にかけて配置され、ポンプチャンバ210の射出端と液体流通可能な対応するノズル208から液体を射出するために撓んでポンプチャンバ210を加圧するように構成された圧電材料211を有する。
【0067】
圧電アクチュエータは圧電材料にかけて電圧差を印加することによって作動させることができる。この実施形態において、それぞれのポンプチャンバに対応する駆動コンタクトは圧電材料211の下側に配置される。駆動コンタクトはフレキシブル回路111の裏面上に配置されたパッドに接続している配線に電気的に接続される。図12を参照すれば、フレキシブル回路111の裏面242上の配線240の一例が示されている。配線240は、一端で圧電材料211上に配置された駆動コンタクトに、また他端でフレキシブル回路111の裏面242上に配置されたパッド246に、電気的に接続される。図示される実施形態において、プリントヘッド133に備えられた128本のノズルのそれぞれに対応する128個の駆動コンタクトのそれぞれに対して1つのパッドが設けられる。それぞれのパッドは、フレキシブル回路111の裏面242に取り付けられて示されているASIC(特定用途向けIC)回路248または250の内の1つに、例えばボンディングワイア249によって、電気的に接続される。それぞれのASICは128本のノズルのそれぞれを選択的に起動させるための駆動信号を提供するコントローラにフレキシブル回路111を介して電気的に接続される。図12においては、図面を簡潔にし、繁雑を避ける目的のため、配線240及びボンディングワイア249は1本しか示されていない。しかし、配線及びボンディングワイアは集成ノズルに備えられた128本のノズルのそれぞれに対して存在することができ、したがって、実際には、128本の配線及び128本のボンディングワイアが2つのASIC248及び250との間にあることになろう。
【0068】
図7を再び参照すれば、フレキシブル回路111の上面上に、接地電位を与える接地コンタクト209が設けられ、よって、接地と駆動コンタクトの間の電圧差を圧電材料に印加することができる。接地電位はシリコンチップ200を介して圧電材料211に印加される。図面に示されるように、シリコンチップ220の右側が圧電材料211の右側に接触している。シリコンチップは金属被膜が施され、導電性であるから、圧電材料の右側に接地電位を与える。接地された部分領域のすぐ左側で、下側に、圧電材料は駆動コンタクトを有する。したがって、駆動コンタクトに電流が印加されると、上面上の接地電位と下側の駆動コンタクトによって圧電材料211にかかる電圧差が存在する。
【0069】
シリコンチップ220はさらに、プリントヘッド133に熱を伝導するためにはたらくことができる。図10はチップ220を表に出している破断図を示す。チップ220の上面上に1つ以上のヒーター222を配置することができる。一実施形態において、ヒーター222は抵抗器であり、フレキシブル回路225上に形成されたコンタクト227によって、直列に配置された、ヒーター222に電流が印加される。コンタクト227はフレキシブル回路111の上面上に形成されたコンタクト229に電気的に接続される。サーミスタ223がフレキシブル回路111に電気的に接続され、チップ温度の読みをコントローラに与え、この読みにしたがってコントローラはヒーター222に印加する電流を制御する。フレキシブル回路111上に形成されたコンタクト229の図示を可能にする目的のため、フレキシブル回路225は引き延ばされた位置で示される。しかし、集成されるときに、フレキシブル回路225は、実際には、コンタクト227がフレキシブル回路111上のコンタクト229と嵌合されるように配置されるであろう。
【0070】
集成プリントヘッド108のハウジングへの熱の入力は、印刷液の温度を所望の温度に高め、よって所望の粘度を得るために、いくつかの用途で必要とされ得る。例えば、印刷液がインクであれば、インクの凝塊形成を防止するため、室温をこえるある温度範囲内にインクを維持することが必要であり得る。
【0071】
別の用途において、集成プリントヘッド108のハウジングに冷却源を導入することが望ましいことであり得る。一例として、液滴射出を最適化するために、プリントヘッド133の温度が室温より低いことが必要であり得る。別の例において、プリントヘッド133をその温度設定点より高温に加熱し得る、加熱されたプラテンにかけて印刷する場合、温度を所望の設定点まで下げるために冷却が必要になり得る。別の例において、高デューティサイクルでの印刷はノズルプレート132の現在の設定点をこえるまでの自己加熱をおこさせ得るから、やはり、温度を所望の設定点まで下げるために冷却が必要になり得る。
【0072】
図7をまた参照すれば、図示される集成プリントヘッド108の実施形態において、プリントヘッド133の近傍の領域224に低温乾燥気体を送り込むことで冷却が達成され、次いで、プリントヘッドに内蔵された1つ以上のヒーター、例えばヒーター222を、プリントヘッドの能動部分近くに取り付けられたサーミスタ223とともに含む、温度サーボループが閉じられる。集成プリントヘッド108内でプリントヘッド133の近傍に冷却源及び加熱源を備えることによって、プリントヘッド133における印刷液の温度を制御し、所望の温度を維持することができる。一実施形態において、ヒーター222がノズルの温度を制御できる範囲まで領域224の温度を強制的に下げるために気体が用いられる。
【0073】
図2Cを再び参照すれば、集成プリントヘッド108を低温乾燥気体源に気体流通可能な態様で結合するために、集成プリントヘッド108のハウジング内に形成された気体流入口233を用いることができる。気体は気体流入口から気体コンジット235を通り、冷却されるべき領域224に向かって流れることができる。図2Cに示される気体コンジットの最下点226は、図7に示される、領域224と気体流通態様にある。気体は強制的に、実質的に水平方向に、領域224を通り、チップ220及びプリントヘッド133にかけて流れる。領域224を通って進んだ後の気体の集成プリントヘッド108のハウジングからの抜け出しを可能にするため、気体は、プリントヘッド108の、そこから領域224に入った場所と逆の側にベントを設けることができる。別の実施形態において、気体はガス流出口に向けて導き、再利用することができる。気体は、空気または純窒素を含む、適するいずれかの気体とすることができる。
【0074】
別の実施形態において、領域224,したがってプリントヘッドの温度を上げるため、領域224を通して暖気または高温気体を強制的に流すことができる。
【0075】
一実施形態において、集成プリントヘッド108は高剛性材料、例えばガラス充填液晶ポリマーを用いて形成することができる。少なくともいくつかのコンポーネント、例えば取付プレート122a〜122bは、ステンレス鋼のような、高張力/高耐力材料で形成することができる。フィルタ200は織物、例えばステンレス鋼または、ナイロン、「テフロン」、ポリエチレンまたはポリプロピレンのような、プラスチックの織物とすることができる。
【0076】
本明細書及び特許請求の範囲を通しての、「前」と「後」及び「上部」と「下部」のような術語の使用は、本明細書に説明されるプリントヘッドモジュールの様々なコンポーネント及びその他の要素を弁別するための、説明目的のために過ぎない。「前」と「後」及び「上部」と「下部」の使用はプリントヘッドモジュールの特定の向きを意味しない。同様に、本明細書を通して要素を説明するための水平及び垂直の使用は説明される実施形態に関わる。別の実施形態において、同じかまたは同様の要素が、場合に応じて、水平または垂直ではない向きをとることがあり得る。
【0077】
本発明の多くの実施形態を説明した。それにもかかわらず、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに様々な改変がなされ得ることは理解されるであろう。
【符号の説明】
【0078】
102 能動第1方向マウント
104 受動マウント
106 能動第2方向マウント
108 集成プリントヘッド
110 印刷液源
124a,124b 取付プレートクランプネジ
126a,126b スロット
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B-4D】
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12