特許第5728072号(P5728072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5728072アルゴンおよび酸素を注入して製造される交換増強キャップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728072
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】アルゴンおよび酸素を注入して製造される交換増強キャップ
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/72 20060101AFI20150514BHJP
   G11B 5/84 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   G11B5/72
   G11B5/84 B
【請求項の数】19
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-260854(P2013-260854)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-123419(P2014-123419A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2013年12月18日
(31)【優先権主張番号】13/720,969
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503116280
【氏名又は名称】エイチジーエスティーネザーランドビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100101063
【弁理士】
【氏名又は名称】松丸 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100114546
【弁理士】
【氏名又は名称】頭師 教文
(72)【発明者】
【氏名】グン チョー
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭宏
【審査官】 臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−113604(JP,A)
【文献】 特開2012−109005(JP,A)
【文献】 特開2011−034665(JP,A)
【文献】 特開2009−238273(JP,A)
【文献】 特開2011−138586(JP,A)
【文献】 特開2012−069173(JP,A)
【文献】 特開2010−113763(JP,A)
【文献】 特開2012−169017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/72
G11B 5/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録層と、
前記磁気記録層の上に形成されるキャップ層であって、前記キャップ層の上部の部分に、非反応性原子がドーピングされているキャップ層と
を含む磁気媒体。
【請求項2】
前記キャップ層がAr、Kr、Xe、NeまたはHeによりドーピングされる請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項3】
前記キャップ層がArによりドーピングされる請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項4】
前記キャップ層がArおよび酸素によりドーピングされる請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項5】
前記キャップ層が5nm未満の厚さを有する請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項6】
前記キャップ層が0.1〜2nmの厚さを有するドーピング部分を含む請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項7】
前記キャップ層が交換結合磁性合金を含む請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項8】
前記キャップ層がCo、CrおよびPtを含む合金を含む請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項9】
前記キャップ層が50〜80原子百分率のCo、10〜20原子百分率のCrおよび10〜20原子百分率のPtを有するCo−Cr−Pt合金を含む請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項10】
前記キャップ層が50〜80原子百分率のCo、10〜20原子百分率のCrおよび10〜20原子百分率のPtを有するCo−Cr−Pt合金を含み、かつ、さらにB、Ta、Ru、WおよびTiの1つ以上の少量を含む請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項11】
前記キャップ層の上部が非反応性ガスによりドープされる請求項1に記載の磁気媒体。
【請求項12】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容される磁気媒体であって、磁気記録層および前記磁気記録層の上に形成されるキャップ層を含み、前記キャップ層の上部の部分に非反応性原子がドーピングされている、磁気媒体と、
アクチュエータと、
前記磁気媒体の表面付近において運動するために前記アクチュエータに接続されるスライダーと
を含む磁気データ記憶システム。
【請求項13】
前記キャップ層がAr、Kr、Xe、NeまたはHeによりドーピングされる請求項12に記載の磁気データ記憶システム。
【請求項14】
前記キャップ層がArによりドーピングされる請求項12に記載の磁気データ記憶システム。
【請求項15】
磁気記録層を形成するステップと、
前記磁気記録層の上にキャップ層を堆積するステップと、
前記キャップ層の上部の部分に非反応性原子をドーピングするステップと
を含む磁気媒体を製造する方法。
【請求項16】
前記非反応性原子がAr、Kr、Xe、NeまたはHeを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記非反応性原子がArを含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記キャップ層の上部の部分に前記非反応性原子をドーピングするステップが、
前記磁気記録層および前記キャップ層をチャンバ中に置くステップと、
非反応性ガスを前記チャンバの中に導くステップと、
無線周波数電力を印加するステップと
を含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記無線周波数電力が1keV未満の電力で印加される請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気データ記録に関し、より具体的にはアルゴンおよび酸素の注入により製造される新しい交換結合層を有する新しいキャッピング層を有する磁気媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの重要な構成要素の一つは、磁気ディスク・ドライブと呼ばれる組立部品である。磁気ディスク・ドライブは、回転磁気ディスク、サスペンション・アームにより回転磁気ディスクの表面近くに吊される読み書きヘッドおよびサスペンション・アームを移動させて読み書きヘッドを回転ディスク上の選択された円形トラック上に置くアクチュエータを含む。読み書きヘッドは、空気ベアリング表面(ABS)を有するスライダー上に直接配置されている。スライダーが空気ベアリング上に乗っているとき、読み書きヘッドを使用して回転ディスクとの間で磁気インプレッションを読み書きする。読み書きヘッドは、読み書き機能を実現するためのコンピュータ・プログラムに従って動作する処理回路に接続されている。
【0003】
垂直磁気記録が磁気データ記録の標準となっている。かかる記録システムは、強い磁気異方性粒子を有する磁気媒体を使用する。強い磁気異方性粒子上にキャッピング層を塗布し、その上に炭素などの保護膜を施すことが多い。このキャップ層は、磁気粒子間に強力なインライン磁気結合を与える。このキャップ層は、媒体の書き込み性および熱安定性を改善し、キャップ層の下の強い磁気異方性粒子に対する書き込みを可能にする。キャップ層は、表面粗度および腐食ロバスト性も改善する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし現在利用可能なキャップ層には、問題がある。キャップ層は、かなり離れている酸化物粒子の上に堆積されるので、2nm以下のキャップの最初の成長層もかなり離れており、粒子間に十分な交換結合を与えない。キャップ層の成長がこの領域で分離されるため、この最初の2nmのキャップ層は、不感層と呼ばれている。媒体の磁気保磁力Hcは、この不感領域で上昇し、次にキャップ層の厚さの増加につれて減少し始め、交換結合は増加に転ずる。この理由からキャップ層は、これまで、十分な交換結合を得るために厚さ4nm以上とする必要があった。厚いキャップは、ヘッドと強い磁気異方性粒子間の間隔およびヘッドと媒体の軟磁性下地層間の間隔を増大し、それによりディスク・ドライブ・システムの性能を低下させる。この間隔増大は、媒体の分解能を低減するものであり、将来の高密度磁気記録にとって適切でない。
【0005】
この問題を克服するために提案された一方法は、キャップ層のために高飽和磁化(Ms)合金を使用することである。かかる媒体は、合計キャップ厚さが薄いほど良好な交換結合を与え得るが、この種類のキャップ層は、キャップと、磁気粒子相互間に非磁気境界を形成する薄い酸化物層との間の結合も増大する。キャップと酸化物層間の強い結合は、キャッピング層の書き込み支援効果を低減し、したがって、かかるシステムはうまく働かない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、磁気記録層およびこの磁気記録層の上に形成されるキャップ層を含む磁気媒体を提供する。このキャップ層の少なくとも一部分に非反応性原子をドーピングする。
【0007】
このキャップ層のドーピングは、Ar、Kr、Xe、NeまたはHeにより可能であるが、好ましくはArによりドーピングする。これにより、ドーピングされるキャップ層の上部が形成される。
【0008】
キャップ層のドーピングは、有利にはキャップ層の交換結合を改善し、かつ、かかるキャップ層の不感層を低減または除去する。これによりキャップ層の厚さを他の場合における可能な厚さより相当薄くすることができ、その結果として磁気間隔を低減してデータ記録システムの性能を改善する。
【0009】
本発明のこれらおよびその他の特徴と長所は、好ましい実施形態に関する以下の詳細記述を図面とともに参照することにより明らかとなるであろう。これらの図面では、同様な要素は一貫して同様な参照番号により示されている。
【0010】
本発明の性質と長所およびその好ましい使用形態を十分に理解するために、一定の縮尺ではない添付図面とともに以下の詳細説明を参照するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施により実現されるディスク・ドライブの略図である。
図2図2は、本発明の実施形態による磁気媒体の一部分の拡大断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態による磁気媒体を製造する方法を示すフローチャートである。
図4図4は、Arドーピング時間の関数としての2トラック信号雑音比のグラフである。
図5図5は、Arドーピングされたキャッピング層の使用により与えられる性能向上を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は、本発明を実行するために現在考えられている最善の実施形態の記述である。この記述は、本発明の一般原理を説明する目的で行われるのであり、本出願において請求される発明の概念を限定することを意図するものではない。
【0013】
ここで図1を参照する。本発明を実現するディスク・ドライブ100が示されている。図1に示されているように、少なくとも1つの回転磁気ディスク112がスピンドル114により支持され、ディスク・ドライブ・モーター118により回転される。各ディスク上の磁気記録は、回転磁気ディスク112上の同心円データ・トラック(示されていない)上の環状パターンの形式による。
【0014】
少なくとも1つのスライダー113が回転磁気ディスク112付近に配置され、各スライダー113は、1つ以上の磁気ヘッド・アセンブリ121を支持している。磁気ディスクが回転しているとき、スライダー113はディスク表面122上で半径方向に往復し、それにより磁気ヘッド・アセンブリ121は、所望データが書き込まれている磁気ディスクの種々のトラックにアクセスすることができる。各スライダー113は、サスペンション115によりアクチュエータ・アーム119に取り付けられている。サスペンション115は、スライダー113をディスク表面122に偏らせる非常に小さいスプリング力を与える。各アクチュエータ・アーム119は、アクチュエータ手段127に取り付けられている。図1に示したアクチュエータ手段127は、ボイス・コイル・モーター(VCM)とすることができる。VCMは固定磁界内で移動するコイルを含み、このコイルの運動の方向および速度は、コントローラ129により供給されるモーター電流信号により制御される。
【0015】
ディスク記憶システムの動作中、回転磁気ディスク112の回転によりスライダー113とディスク表面122の間に空気ベアリングが発生し、それによりスライダーに上方への力、すなわち持ち上げ力が働く。空気ベアリングは、したがって、サスペンション115の微小なスプリング力と釣り合い、スライダー113をディスク表面から正常動作中ほぼ一定の間隔だけわずかに上方に離れた状態に支持する。
【0016】
ディスク記憶システムの種々の構成要素は、動作中、アクセス制御信号および内部クロック信号など制御装置129により生成される制御信号により制御される。一般的に、制御装置129は、論理制御回路、記憶手段およびマイクロプロセッサを含んでいる。制御装置129は、ライン123上の駆動モーター制御信号およびライン128上のヘッド位置・シーク制御信号などシステム動作を制御する制御信号を生成する。ライン128上の制御信号は、所望の電流プロファイルを与えてスライダー113を回転磁気ディスク112上の所望データ・トラックに最適に移動させ、かつ、位置付ける。書き込み信号および読み取り信号は、書き込みおよび読み取りヘッド121との間で記録チャネル125経由で授受される。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態による磁気ディスクの一部分の拡大断面図である。回転磁気ディスク112は、基板202、軟磁性下地層204および当該軟磁性下地層204の上に形成された強い磁気異方性磁気記録層206を含んでいる。キャップ層214は磁気異方性磁気記録層206の上に形成されており、また、炭素216などの硬質保護被覆がキャップ層の上に形成されてその下の層を物理的接触または腐食などの損傷から保護している。
【0018】
磁気異方性磁気記録層206は複数の磁気粒子205として形成されるが、これらの粒子は非磁性酸化物境界207により相互に分離されることが望ましい。磁気粒子205は、媒体の表面に垂直な方向(たとえば、図2における垂直方向)に長く、かつ、回転磁気ディスク112の表面に平行な方向(たとえば、図2における水平方向)に狭いことが望ましい。この粒子形状は、記録粒子の磁気的安定性の維持に役立つ形状誘起磁気異方性を与える。磁気ビットが媒体に記録されたとき、磁気粒子205の磁化は、図2の矢印209により示される上方向または下方向に整列される。
【0019】
磁気異方性磁気記録層206の磁気粒子205は、強い磁気異方性および中程度に高いキュリー温度Tcのために選択される規則L10 Fe−Pなどの材料とすることができる。磁気粒子205は、その他の構造も含むことができる。たとえば、熱アシスト記録方式において、磁気異方性磁気記録層206の磁気粒子205は、正常動作温度における粒子の熱安定性の維持に役立つ一方、記録中の高温(上昇した温度)における磁気粒子205の磁化の切り換えを可能にする交換結合層を粒子(示されていない)内に含むことができる。
【0020】
キャップ層214は、Co、CrおよびPtを含む合金とすることができる高度交換結合磁性合金から構築することができる。より具体的には、キャップ層214は、50〜80原子百分率のCo、10〜20原子百分率のCrおよび10〜20原子百分率のPtを有するCo−Cr−Pt合金とすることができる。キャップ層214は、B、Ta、Ru、WおよびTiの1つ以上も少量含むことができる。キャップ層214は、Ar、Kr、Xe、NeまたはHeなどの非反応性ガスの原子でドーピングされた上部層214aを有している。好ましくは、上部層214aは、Ar、または代替案としてArおよびOによりドーピングする。上部層214aのこのドーピングは交換結合を改善し、それにより、より薄いキャップ層の使用を可能にしながらも、回転磁気ディスク112の書き込み性および安定性を高めるために記録層206の粒子205相互間に望ましい面内磁気結合を与える。キャップ層214の上部のドーピングされた部分(上部層214a)は、0.1−2nmの厚さとすることができ、それにより磁気ヘッドと磁気異方性磁気記録層206および軟磁性下地層204との間に望ましい磁気間隔が得られる。
【0021】
ドーピングされるキャップ層214は、相当な量のキャップ層をエッチングにより失うことなく望ましい原子をキャップ層にドーピングする新しい方法により製造することができる。本発明の一実施形態による磁気媒体のキャップ層の製造方法を示す概略フローチャートの図3を参照しつつ、この方法について説明する。ステップ302において、その表面に軟磁性層を形成した基板を準備する。次にステップ304において、基板と軟磁性層の上に磁気記録層を形成する。磁気記録層は、薄い酸化物層により分離され得る複数の垂直成長磁気粒子として形成することが好ましい。次にステップ306において、マグネトロン・スパッタリング堆積によりキャッピング層を堆積することができ、そして、約35オングストローム(すなわち3.5nm)の厚さに堆積することができる。キャッピング層は5nm未満とすることができるが、より好ましいのは4nm未満である。ステップ308において、堆積されたキャップ層にAr、Kr、Xe、NeまたはHeなどの非反応性ガスの原子をドーピングする。望ましくは、真空を中断することなく、基板および堆積されたキャップ層をイオン・ビーム蒸着チャンバまたは化学気相蒸着チャンバ内に置く。非反応性ガス、好ましくは、ArガスまたはArガスと酸素ガスの組み合わせをチャンバに導入し、次に無線周波電力を低電力、好ましくは1keV未満で印加し、非反応性原子をキャップ層に注入する。この注入プロセスは、0.2秒間行うことができる。次にステップ310において、非反応性ガスをチャンバから抽き出し、アセチレン・ガスをチャンバに導き入れ、そして保護被覆(好ましくは炭素)をキャップ層の上に堆積させる。炭素被覆堆積は、非反応性ガス注入を行ったチャンバとは別のチャンバで行うこともできる。
【0022】
上記のプロセスは、他の追加製造器具を必要とせず、追加チャンバなしで実行することができる。ドーピングは、たとえば、炭素保護被膜の堆積のために使用される通常のチャンバを使用して行うことができる。
【0023】
本発明により実現される性能の向上は、信号対雑音比2TSNR(dB)の関係をドーピング時間の関数として示している図4を参照するとさらによく分かる。線402は47オングストロームの厚さのキャッピング層の信号対雑音比を示し、線404は35オングストロームの厚さのキャッピング層の信号対雑音比を示している。図から分かるように、適切な量のドーピング(たとえば、25ボルトのバイアスの下で約0.2秒)を行うことにより35オングストロームのキャッピング層の信号対雑音比は、47オングストロームのキャッピング層の比に匹敵することができ、それにより低減した厚さは、磁気間隔を減少させることにより分解能を増大させる。
【0024】
図5は、Arドーピングにより与えられる性能の向上をさらに詳しく示す表である。上の行はArドーピングなしのキャッピング層の性能を示し、下の行はArドーピングを行った場合の性能を示す。表から分かるように、Arドーピングは、かなり性能を改善する。たとえば、ビット誤り率BERafについては、マイナスの数値が大きいほど性能向上を示す。キャッピング層におけるArドーピングの実行は、BERafの−0.3の改善をもたらすが、これは、ビット誤り率の非常に大きな改善である。
【0025】
上記において種々の実施形態について記述したが、当然のことながら、これらは、限定のためではなく、例として示されている。本発明の範囲内に属する他の実施形態も当業者にとって明らかとなり得る。したがって、本発明の幅および範囲は、上述の例示実施形態により限定されるべきではなく、以下の請求項およびそれらの均等物のみによって定義されるべきである。
【符号の説明】
【0026】
100 ディスク・ドライブ
112 回転磁気ディスク
113 スライダー
114 スピンドル
115 サスペンション
118 ディスク・ドライブ・モーター
119 アクチュエータ・アーム
121 磁気ヘッド・アセンブリ
122 ディスク表面
123 ライン
125 記録チャネル
127 アクチュエータ手段
128 ライン
129 制御装置
202 基板
204 軟磁性下地層
205 磁気粒子
206 磁気異方性磁気記録層
207 非磁性酸化物境界
209 矢印
214 キャップ層
214a 上部層
216 炭素
図1
図2
図3
図4
図5