【実施例】
【0094】
以下、本発明の実施例を、
図3〜
図9を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0095】
[第1実施例]
まず、本発明の第1実施例を、
図3〜
図6を参照して説明する。
【0096】
図3には、第1実施例に係る音響装置としてのナビゲーション100の概略的な構成が示されている。この上述した第1実施形態の音響装置700(
図1参照)の一態様となっている。
【0097】
ナビゲーション装置100は、電気エネルギを駆動エネルギの一部又は全部として利用する車両CRに搭載される。この車両CR内には、外部音出力部910としての外部音出力ユニット210が設置されている。この外部音出力ユニット210は、ナビゲーション装置100から送られた外部出力音信号に従って、外部出力音を車外へ向けて出力するスピーカSPを備えている。
【0098】
図3に示されるように、ナビゲーション装置100は、制御ユニット110Aと、記憶部710としての記憶ユニット120とを備えている。また、ナビゲーション装置100は、音出力ユニット130と、表示ユニット140と、入力部720としての入力ユニット150とを備えている。さらに、ナビゲーション装置100は、センサユニット160と、GPS(Global Positioning System)受信ユニット170とを備えている。
【0099】
上記の制御ユニット110Aは、ナビゲーション装置100の全体を統括制御する。この制御ユニット110Aについては、後述する。
【0100】
上記の記憶ユニット120は、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置を備えて構成される。この記憶ユニット120には、制御ユニット110Aがアクセスできるようになっている。なお、記憶ユニット120に記憶される情報データについては、後述する。
【0101】
上記の音出力ユニット130は、スピーカを備えて構成され、制御ユニット110Aから送られた音データに対応する音を出力する。この音出力ユニット130は、制御ユニット110Aによる制御のもとで、ナビゲーション処理に関する車両CRの進行方向、走行状況、交通状況等の案内音声を出力する。
【0102】
上記の表示ユニット140は、液晶パネル等の表示デバイスを備えて構成され、制御ユニット110Aから送られた表示データに対応する画像を表示する。この表示ユニット140は、制御ユニット110Aによる制御のもとで、ナビゲーション処理に際して、地図情報、経路情報等の画像、ガイダンス情報等を表示する。
【0103】
上記の入力ユニット150は、ナビゲーション装置100の本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット140の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、又は併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。
【0104】
この入力ユニット150を利用者が操作することにより、ナビゲーション装置100の動作内容の設定や動作指令が行われる。例えば、ナビゲーション処理におけるルート探索に関する目的地等の設定を、利用者が入力ユニット150を利用して行う。また、通常動作モードと音圧測定動作モードとの切換設定、及び、音圧測定動作モード時の測定条件の設定も、利用者が入力ユニット150を利用して行う。こうした入力内容は、入力データとして、入力ユニット150から制御ユニット110Aへ送られる。
【0105】
上記のセンサユニット160は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサ等を備えて構成されている。センサユニット160が備える各種センサによる検出結果は、センサデータとして制御ユニット110Aへ送られる。
【0106】
上記のGPS受信ユニット170は、複数のGPS衛星から送出された電波の受信結果に基づいて、車両CRの現在位置を算出する。また、GPS受信ユニット170は、GPS衛星から送出された日時情報に基づいて、現在時刻を計時する。これらの現在位置及び現在時刻に関する情報は、GPSデータとして制御ユニット110Aへ送られる。
【0107】
次に、上述した記憶ユニット120に記憶される情報データについて説明する。記憶ユニット120には、ナビゲーション装置100において利用される様々な情報データが記憶される。こうした情報データには、
図4に示されるように、地図情報データMPD、音源データSSD、スピーカ特性情報SPD及び音圧調整テーブルTBLが含まれている。
【0108】
上記の地図情報データMPDには、道路ネットワーク情報等の道路情報が含まれている。また、上記の音源データSSDには、通常動作モード時の外部出力音に対応する音データと、音圧測定動作モード時の外部出力音であるテスト音に対応する音データとが含まれている。ここで、テスト音は、通常動作モード時における外部出力音における調整対象周波数の成分の音となっている。
【0109】
上記のスピーカ特性情報SPDには、外部音出力ユニット210のスピーカSPから出力された外部出力音の伝搬距離の増加に伴う音圧レベルの減衰特性の情報が含まれている。例えば、スピーカSPから出力された外部出力音が球面波である場合には、当該減衰特性は、1/(距離)
2に比例するものとして表されることになる。
【0110】
上記の音圧調整テーブルTBLには、個別テーブル#1,…が含まれている。なお、個別テーブル#1は、利用者が独自に利用する利用者テーブルとなっている。また、音圧調整テーブルTBLには、国、地域等が異なることにより、音圧調整の態様を変化させることが必要な場合には、音圧調整の態様を変化させるために必要な数の個別テーブル#2,…が含まれることになる。
【0111】
ここで、個別テーブル#j(j=1,…)には、調整対象周波数F
jk(k=1,…)ごとに、車両CRからの距離D
jk,s(s=1,…)と必要音圧レベルL
jk,sとの対が、少なくとも1つ登録される。また、個別テーブル#jには、調整対象周波数F
jkごとに、調整値G
jkが登録される。なお、調整値G
jkは、
通常動作モード時における外部出力音の調整対象周波数F
jkの成分の音圧を制御するためのパラメータ値となっている。
【0112】
次いで、上述した制御ユニット110Aについて説明する。この制御ユニット110Aは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。制御ユニット110Aが様々なプログラムを実行することにより、ナビゲーション装置100としての各種機能が実現されるようになっている。こうした機能の中には、上述した第1実施形態における取得部730、制御部740A及び音信号生成部760としての機能も含まれている。
【0113】
なお、制御ユニット110Aが実行するプログラムは、ハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該記録媒体からロードされて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【0114】
この制御ユニット110Aは、センサユニット160から受けたセンサデータ及びGPS受信ユニット170から受けたGPSデータに基づいて、記憶ユニット120中の地図情報データMPDを適宜参照し、利用者へのナビゲーション情報の提供処理を行う。こうしたナビゲーション情報の提供処理には、(a)利用者が指定する地域の地図を表示ユニット140の表示デバイスに表示するための地図表示、(b)車両CRが地図上のどこに位置するのか、また、どの方角に向かっているのかを算出するマップマッチング、(c)現在車両が存在する位置から、利用者が指定する任意の位置である目的地までの経路検索、(d)設定された経路に沿って目的地まで運転するときの、目的地への到着予測時刻の算出、(e)マップマッチング結果、算出された到着予測時刻、及び、進行すべき方向のアドバイスを提示するために行われる、表示ユニット140の表示デバイスへの案内表示のための制御、及び、音出力ユニット130のスピーカから音声案内を出力するための制御等の処理が含まれる。
【0115】
また、制御ユニット110Aは、音圧測定動作モード時には、マイクロフォンを備える収音ユニット610から送られた収音結果に基づいて、外部音出力ユニット210から出力される外部出力音であるテスト音の音圧レベルを制御する。また、制御ユニット110Aは、通常動作モード時には、参照すべきことが指定された個別テーブルの内容に従って、外部出力音の音圧レベルを制御する。
【0116】
なお、制御ユニット110Aが実行する外部出力音の音圧レベルの制御処理については、後述する。
【0117】
<動作>
次に、上記のように構成されたナビゲーション装置100の動作について、制御ユニット110Aが実行する外部出力音の音圧レベルの制御処理に主に着目して説明する。
【0118】
《音圧測定動作モード時の動作》
まず、利用者による入力ユニット150に対する操作により、音圧測定動作モードが指定された場合の動作について説明する。なお、利用者の入力ユニット150に対する操作による測定条件の設定に先立って、収音ユニット610を構成するマイクロフォンが、車両CRの外部の位置に配置されるとともに、収音ユニット610は、ナビゲーション装置100の制御ユニット110Aと接続されるものとする。
【0119】
音圧測定動作モードが指定されると、
図5に示されるように、まず、ステップS11において、制御ユニット110Aが、新たに測定条件が設定されたか否かを判定する。ここで、測定条件には、収音ユニット610が備えるマイクロフォンと車両CRとの距離、及び、目標音圧指定が含まれる。
【0120】
なお、目標音圧指定としては、個別テーブル#1,…のいずれかの指定、又は、調整対象周波数、距離及び必要音圧レベルの組の一又は複数の明示的な指定が可能となっている。
【0121】
ステップS11における判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、ステップS11の処理が繰り返される。新たに測定条件が設定され、ステップS11における判定の結果が肯定的となると(ステップS11:Y)、処理はステップS12へ進む。なお、上述した明示的な指定がなされた場合には、制御ユニット110Aが、当該明示的な指定の内容を、記憶ユニット120内の利用者テーブル(個別テーブル#1)に登録する。
【0122】
ステップS12では、制御ユニット110Aが、設定された測定条件に含まれる調整対象周波数の中から最初の測定対象周波数を決定する。引き続き、ステップS13において、制御ユニット110Aが、記憶ユニット120内のスピーカ特性情報SPD及び測定条件に対応する個別テーブルを参照して、目標音圧レベルに決定する。
【0123】
かかる目標音圧レベルの決定に際して、制御ユニット110Aは、測定対象周波数に対して、複数の距離及び必要音圧レベルの対が指定されている場合(例えば、測定条件の目標音圧指定として個別テーブルの指定がなされ、当該個別テーブルにおいて、車両CRからの距離と必要音圧レベルとの対が複数登録されている場合)には、記憶ユニット120内のスピーカ特性情報SPDに基づいて、テスト音信号の信号レベルを最も高くすることが必要な対を特定する。そして、制御ユニット110Aは、スピーカ特性情報SPDに基づいて、特定された対における必要音圧レベルに対応する収音ユニット610の収音位置における音圧レベルを、測定対象周波数に対応する目標音圧レベルに決定する。
【0124】
次に、ステップS14において、測定対象周波数についての音圧レベルの測定処理が行われる。なお、当該音圧レベルの測定処理の詳細については、後述する。
【0125】
ステップS14の処理が終了すると、処理はステップS15へ進む。このステップS15では、制御ユニット110Aが、測定条件で指定された全ての調整対象周波数について、音圧レベルの測定処理が終了したか否かを判定する。
【0126】
ステップS15における判定の結果が否定的であった場合(ステップS15:N)には、処理はステップS16へ進む。このステップS16では、制御ユニット110Aが、次の測定対象周波数を決定した後、上述したステップS12の場合と同様にして、目標音圧レベルに決定する。そして、処理はステップS13へ戻る。
【0127】
以後、ステップS15における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS13〜S16の処理が繰り返される。そして、ステップS15における判定の結果が肯定的となると(ステップS15:Y)、処理はステップS11へ戻る。この後、ステップS11〜S16の処理が繰り返される。
【0128】
《音圧レベルの測定処理》
次に、ステップS14における音圧レベルの測定処理について説明する。
【0129】
音圧レベルの測定処理に際しては、
図6に示されるように、まず、ステップS21において、制御ユニット110Aが、既定値の利得値を初期利得に決定する。引き続き、ステップS22において、制御ユニット110Aが、測定周波数のテスト音に対応する音データを記憶ユニット120から読み取る。引き続き、制御ユニット110Aは、読み取られた音データ、及び、決定利得値に基づいて、テスト音信号を外部出力音信号として生成する。そして、制御ユニット110Aは、生成された外部出力音信号を外部音出力ユニット210へ送る。
【0130】
この結果、外部音出力ユニット210のスピーカSPからは、テスト音が出力される。こうしたテスト音の出力中に、制御ユニット110Aは、収音ユニット610による収音結果を、予め定められた期間長の期間にわたって収集する。
【0131】
次いで、ステップS23において、制御ユニット110Aが、収集された収音結果に基づいて、テスト音の音圧レベルを算出する。そして、算出されたテスト音の音圧レベルと、目標音圧レベルとの誤差を算出する。
【0132】
次に、ステップS24において、制御ユニット110Aが、直前のステップS23における誤差算出が、今回の測定対象周波数の目標音圧レベルに関する最初の誤差算出であったか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS24:Y)には、処理はステップS25へ進む。
【0133】
ステップS25では、制御ユニット110Aが、算出された誤差に基づいて、誤差が小さくなると推定される利得値を導出する。そして、制御ユニット110Aは、導出された利得値に従った利得補正制御を、テスト音信号に施す。そして、処理はステップS22へ戻る。
【0134】
引き続き、ステップS22〜S24の処理の実行が2回目以降となり、ステップS24における判定の結果が否定的となると(ステップS24:N)、処理はステップS26へ進む。このステップS26では、制御ユニット110Aは、新たに算出された誤差が前回に算出された誤差未満であるか否かを判定することにより、テスト音声の音圧レベルが、前回の誤差算出時よりも目標音圧レベルに近付いたか否かを判定する。
【0135】
ステップS26における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS26:Y)には、処理はステップS25へ進む。ステップS25では、上述したように、算出された誤差に基づいて、誤差が小さくなると推定される利得値を導出する。そして、制御ユニット110Aは、導出された利得値に従った利得補正制御を、テスト音信号に施す。そして、処理はステップS22へ戻る。
【0136】
以後、ステップS26における判定の結果が否定的となるまで、ステップS22〜S26の処理が繰り返される。そして、ステップS26における判定の結果が否定的となると(ステップS26:N)、処理はステップS27へ進む。
【0137】
ステップS27では、制御ユニット110Aが、前回に算出された誤差が得られた利得値を、測定対象周波数に対応する最適な調整値に決定する。引き続き、制御ユニット110Aが、決定された調整値を、測定条件に対応する個別テーブルにおける現時点の測定対象周波数である調整対象周波数に関連付けて登録する。この後、処理は、上述した
図5のステップS15へ進む。
【0138】
以上のようにして、調整対象周波数の全てについて、測定条件で指定された目標音圧指定を満たす調整値が、記憶ユニット120内の音圧調整テーブルTBLにおける当該測定条件における個別テーブルに登録される。
【0139】
《通常動作モード時の動作》
次に、利用者による入力ユニット150に対する操作により、通常動作モードが指定された場合の動作について説明する。なお、通常動作モード時には、収音ユニット610は、制御ユニット110Aと接続されない。また、通常動作モード時であり、かつ、車両CRの走行時には、外部音出力ユニット210からは、車両CRの接近に対する注意を喚起するための外部出力音が出力されるものとする。
【0140】
通常動作モード時であり、かつ、車両CRが走行している場合には、制御ユニット110Aは、利用者による入力ユニット150への入力操作により最新に指定された参照すべき個別テーブルの設定に従い、設定された個別テーブルを参照する。そして、制御ユニット110Aは、参照した個別テーブルに登録されている調整対象周波数に対応する調整値を、当該調整対象周波数の成分の利得値とする制御を、外部出力信号に対して施す。この結果、利用者により指定された必要音圧レベルの条件を満たしつつ、出力音量が最小化された外部出力音が、外部音出力ユニット210から出力される。
【0141】
以上説明したように、本第1実施例によれば、音圧測定動作モード時に、車両CRからの距離と必要音圧レベルとの対を含む測定条件が指定されると、制御ユニット110Aが、外部出力音信号としてテスト音信号を生成することにより、外部音出力ユニット210から、外部出力音としてテスト音を出力させる。こうして車外に出力されたテスト音の収音ユニット610のそれぞれによる収音結果に基づいてテスト音信号の信号レベルを制御することにより、制御ユニット110Aは、車外空間を伝搬する外部出力音が、必要音圧レベルの条件を満たしつつ、出力音量を最小化できるテスト音信号の信号レベルの調整値を求める。そして、制御ユニット110Aは、求められた調整値を記憶ユニット120内の音圧調整テーブルTBLに登録する。
【0142】
したがって、本第1実施例によれば、所望の必要音圧レベルの条件を満たしつつ、音量を最小化した外部出力音を出力させることができる。
【0143】
また、本第1実施例では、複数の調整対象周波数がある場合には、当該複数の調整対象周波数ごとに、テスト音信号の信号レベルの調整値を求める。このため、外部出力音の音圧レベルの適正化をきめ細かく行うことができる。
【0144】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例を、
図7〜
図9を参照して説明する。この第2実施例は、上述した第2実施形態(
図2参照)の一態様となっている。
【0145】
<構成>
図7には、第2実施例に係る端末装置300、及び、サーバ装置400の配置位置の関係が示されている。なお、端末装置300は、第2実施形態における端末装置810の一態様であり、サーバ装置400は、第2実施形態における出力音管理装置820の一態様である。
【0146】
図7に示されるように、端末装置300は、車両CR内に配置されようになっている。この車両CRには、上述した第1実施例の場合と同様に、外部音出力ユニット210が設置されている。
【0147】
サーバ装置400は、車両CRの外に配置される。そして、端末装置300とサーバ装置400とは、ネットワーク500を介して、通信可能となっている。
【0148】
なお、サーバ装置400は、端末装置300と同様に構成された他の端末装置とも通信可能となっているが、
図7においては、端末装置300のみが代表的に示されている。
【0149】
《端末装置300の構成》
図8には、端末装置300の概略的な構成が示されている。この
図8に示されるように、端末装置300は、上述した第1実施例のナビゲーション装置100と比べて、制御ユニット110Aに代えて制御ユニット110Bを備える点、記憶ユニット120に代えて、記憶部815としての記憶ユニット310を備える点が異なっている。また、端末装置300は、第1実施例のナビゲーション装置100と比べて、センサユニット160を備えていない点、送信部811及び受信部812としての無線通信ユニット320を更に備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
【0150】
上記の制御ユニット110Bは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成され、端末装置300の全体を統括制御する。この制御ユニット110Bが様々なプログラムを実行することにより、端末装置300としての各種機能が実現されるようになっている。こうした機能の中には、上述した第2実施形態における取得部730、制御部740B及び音信号生成部760としての機能も含まれている。なお、制御ユニット110Bは、GPS受信ユニット170から受けたGPSデータを取得し、取得されたGPSデータに基づいて、現在位置及び現在時刻を特定するようになっている。
【0151】
上記の制御ユニット110Bは、音圧測定動作モード時には、収音ユニット610から送られた収音結果を受ける。そして、制御ユニット110Bは、当該収音結果を、端末送信データとして無線通信ユニット320へ送る。また、制御ユニット110Bは、音圧測定動作モード時に、入力ユニット150に測定条件の設定入力が行われると、当該設定された測定条件を、端末送信データとして無線通信ユニット320へ送る。
【0152】
また、制御ユニット110Bは、音圧測定動作モード時に、サーバ装置400から送信された、外部音出力ユニット210が出力する外部出力音の音圧レベルの制御情報を、ネットワーク500及び無線通信ユニット320を介して受ける。そして、制御ユニット110Bは、当該制御情報に従って、テスト音信号の信号レベルを制御する。さらに、制御ユニット110Bは、上述した制御ユニット110Aと同様に、音圧測定動作モード時及び通常動作モード時において、外部出力信号の信号レベルの制御を行う。
【0153】
なお、制御ユニット110Bが実行する処理の詳細については、後述する。
【0154】
上記の記憶ユニット310は、上述した記憶ユニット120と同様に、不揮発性の記憶装置を備えて構成される。この記憶ユニット310には、制御ユニット110Bがアクセスできるようになっている。なお、記憶ユニット310は、上述したスピーカ特性情報SPDを記憶していない点が、記憶ユニット120とは異なっている。
【0155】
上記の無線通信ユニット320は、制御ユニット110Bから送られた端末送信データを受ける。そして、無線通信ユニット320は、当該端末送信データを、ネットワーク500を介して、サーバ装置400へ送信する。
【0156】
また、無線通信ユニット320は、サーバ装置400から、ネットワーク500を介して送られたテスト音の音圧レベルの制御情報等を受信する。そして、無線通信ユニット320は、当該制御情報等を制御ユニット110Bへ送る。
【0157】
《サーバ装置400の構成》
図9には、サーバ装置400の概略的な構成が示されている。この
図9に示されるように、サーバ装置400は、制御ユニット110Cと、第2実施形態における記憶部825としての記憶ユニット410と、受信部821及び送信部823としての外部通信ユニット420とを備えている。
【0158】
上記の制御ユニット110Cは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成され、サーバ装置400の全体を統括制御する。この制御ユニット110Cが様々なプログラムを実行することにより、サーバ装置400としての各種機能が実現されるようになっている。こうした機能の中には、上述した第2実施形態における生成部822としての機能も含まれている。
【0159】
なお、制御ユニット110Cが実行する処理の詳細については、後述する。
【0160】
上記の記憶ユニット410には、サーバ装置400において利用される様々な情報データが記憶される。この記憶ユニット410には、制御ユニット110Cがアクセスできるようになっている。なお、記憶ユニット410が記憶する情報データには、上述したスピーカ特性情報SPDが含まれている。
【0161】
上記の外部通信ユニット420は、端末装置300からネットワーク500を介して送信された端末送信データを受信する。そして、外部通信ユニット420は、当該端末送信データを制御ユニット110Cへ送る。
【0162】
また、外部通信ユニット420は、制御ユニット110Cから送られた制御情報等のサーバ送信データを受ける。そして、外部通信ユニット420は、当該サーバ送信データを、ネットワーク500を介して端末装置300へ送る。
【0163】
以上のような端末装置300の構成及びサーバ装置400の構成では、制御ユニット110Bから出力された端末送信データは、無線通信ユニット320、ネットワーク500及び外部通信ユニット420を介して、制御ユニット110Cへ送られることになる。また、制御ユニット110Cから出力されたサーバ送信データは、外部通信ユニット420、ネットワーク500及び無線通信ユニット320を介して、制御ユニット110Bへ送られることになる。
【0164】
<動作>
次に、上記のように構成された端末装置300とサーバ装置400とが協働して実行する外部出力音の指向性の制御処理について説明する。
【0165】
《音圧測定動作モード時の動作》
まず、利用者による端末装置300の入力ユニット150に対する操作により、音圧測定動作モードが指定された場合の動作について説明する。なお、利用者による入力ユニット150に対する操作による測定条件の設定に先立って、収音ユニット610のマイクロフォンのそれぞれは、当該目標指向性に対応する車両CRの外部の位置に配置されるとともに、収音ユニット610は、端末装置300の制御ユニット110Bと接続されるものとする。
【0166】
測定条件の設定が行われると、制御ユニット110Bは、設定された測定条件をサーバ装置400の制御ユニット110Cへ送る。当該測定条件を受けた制御ユニット110Cは、記憶ユニット410内のスピーカ特性情報SPDを参照しつつ、上述した第1実施形態の制御ユニット110Aと同様にして、当該測定条件に含まれる調整対象周波数のそれぞれに対する収音ユニット610における目標音圧レベルを決定する。そして、制御ユニット110Cは、最初の測定対象周波数及び既定値の利得値を指定した制御情報を、制御ユニット110Bへ送る。
【0167】
この制御情報を受けた制御ユニット110Bは、当該制御情報により指定された測定対象周波数及び利得値に対応したテスト音信号を、制御ユニット110Aの場合と同様にして生成する。そして、制御ユニット110Bは、生成されたテスト音信号を、外部出力音信号として外部音出力ユニット210へ送る。この結果、外部音出力ユニット210のスピーカSPからは、テスト音が出力される。
【0168】
こうしたテスト音の出力中に、制御ユニット110Bは、収音ユニット610から送られた収音結果を受ける。そして、制御ユニット110Bは、当該収音結果を制御ユニット110Cへ送る。
【0169】
収音結果を受けた制御ユニット110Cは、当該収音結果に基づいて、上述した制御ユニット110Aと同様にして、テスト音の収音位置における音圧レベルと、目標音圧レベルとの誤差を算出する。引き続き、制御ユニット110Cは、算出された誤差と現時点の利得値とに基づいて、誤差が小さくなると推定される利得値を導出する。そして、制御ユニット110Cは、導出された利得値への利得補正指定を、制御情報として制御ユニット110Bへ送る。
【0170】
利得補正指定を内容とする制御情報を受けた制御ユニット110Bは、利得補正指定に従ったテスト音の生成を開始した後、利得補正制御の開始の報告を制御ユニット110Cへ送る。
【0171】
以後、制御ユニット110Bは、収音ユニット610による収音結果の制御ユニット110Cへの送信と、制御ユニット110Cから送られた制御情報による利得補正制御と、利得補正制御の開始の制御ユニット110Cへの報告とを繰り返す。また、制御ユニット110Cは、制御ユニット110Bから送られた利得補正制御の開始の報告を受けた後に、制御ユニット110Bから送られた収音結果に基づいて新たに算出された誤差が、前回に算出された誤差以上となるまで、誤差算出を繰り返す。
【0172】
そして、新たに算出された誤差が、前回に算出された誤差以上となると、制御ユニット110Cは、当該前回に算出された誤差が得られた利得値を、現時点の測定対象周波数に対応する調整値に決定する。そして、制御ユニット110Cは、現時点の測定対象周波数と、決定された調整値との対を含む個別測定終了通知を制御ユニット110Bへ送る。この個別測定終了通知を受けた制御ユニット110Bは、当該現時点の測定対象周波数に対応する調整値として、当該決定された利得値を、上述した制御ユニット110Aの場合と同様にして、記憶ユニット310内の音圧調整テーブルTBL内に登録する。
【0173】
以後、測定条件で設定された調整対象周波数のそれぞれに対応する調整値が決定されるまで、制御ユニット110B及び制御ユニット110Cは、上記と同様の処理を繰り返す。そして、測定条件で設定された全ての調整対象周波数についての個別測定終了通知を送った後、制御ユニット110Cは、測定終了通知を制御ユニット110Bへ送る。
【0174】
以上のようにして、利用者により設定された測定条件に対応して、外部出力音信号の信号レベルの調整値が決定され、記憶ユニット310内の音圧調整テーブルTBL内に登録される。
【0175】
《通常動作モード時の動作》
次に、利用者による入力ユニット150に対する操作により、通常動作モードが指定された場合の動作について説明する。なお、通常動作モード時には、収音ユニット610は、端末装置300の制御ユニット110Bと接続されない。また、通常動作モード時であり、かつ、車両CRの走行時には、外部音出力ユニット210からは、車両CRの接近に対する注意を喚起するための外部出力音が出力されるものとする。
【0176】
通常動作モード時であり、かつ、車両CRが走行している場合には、制御ユニット110Bは、上述した制御ユニット110Aと同様にして、利用者により最新に指定された参照すべき個別テーブルの設定に従い、設定された個別テーブルを参照する。そして、制御ユニット110Bは、参照した個別テーブルに登録されている調整対象周波数に対応する調整値を、当該調整対象周波数の成分の利得値とする制御を、外部出力信号に対して施す。この結果、利用者により指定された必要音圧レベルの条件を満たしつつ、出力音量が最小化された外部出力音が、外部音出力ユニット210から出力される。
【0177】
以上説明したように、本第2実施例によれば、音圧測定動作モード時に、車両CRの外部に出力されたテスト音の収音ユニット610による収音結果に基づいて、端末装置300の制御ユニット110Bと、サーバ装置400の制御ユニット110Cとが協働して、テスト音信号の信号レベルを制御する。かかる制御を行うことにより、車外空間を伝搬する外部出力音が、必要音圧レベルの条件を満たしつつ、出力音量を最小化できるテスト音信号の信号レベルの調整値を求める。そして、求められた調整値が記憶ユニット310内の音圧調整テーブルに登録される。
【0178】
したがって、本第2実施例によれば、上述した第1実施例と同様に、所望の必要音圧レベルの条件を満たしつつ、音量を最小化した外部出力音を出力させることができる。
【0179】
また、本第2実施例では、上述した第1実施例と同様に、複数の調整対象周波数がある場合には、当該複数の調整対象周波数ごとに、テスト音信号の信号レベルの調整値を求める。このため、外部出力音の音圧レベルの適正化をきめ細かく行うことができる。
【0180】
[実施例の変形]
上記の第1及び第2実施例は、様々な変形が可能である。
【0181】
例えば、上記の第1及び第2実施例では、新たに算出された誤差が、前回に算出された誤差以上となった場合に、当該前回に算出された誤差が得られた利得値を、調整値として音圧調整テーブルTBLに登録するようにした。これに対し、算出された誤差が予め定められた許容値以下となった場合に、その時点における利得値を、調整値として音圧調整テーブルTBLに登録するようにしてもよい。
【0182】
また、上記の第1及び第2実施例では、調整値の決定に際して、調整対象周波数ごとにテスト音を出力し、調整対象周波数ごとに対応する調整値を決定するようにした。これに対し、調整値の決定に際して、通常動作モード時における外部出力音に対応する音データに基づく音をテスト音として出力し、収音結果の周波数解析を行いつつ、調整対象周波数ごとに対応する調整値を決定するようにしてもよい。
【0183】
また、上記の第1及び第2実施例では、1個の収音ユニット610を使用し、当該収音ユニット610の位置を変更せずに、音圧レベルの測定を行うようにした。これに対し、測定条件で指定された音圧レベルの測定を行うことが必要な車両からの距離が複数ある場合には、1つの距離における音圧レベルを測定するたびに、収音ユニット610のマイクロフォンの位置を、測定条件で指定された位置に変更するようにしてもよい。
【0184】
また、上記の第1及び第2実施例では、1個の収音ユニット610を使用することを想定した。これに対し、測定条件で指定された音圧レベルの測定を行うことが必要な車両からの距離の種類の数の収音ユニットを使用し、当該距離ごとの位置に収音ユニットのマイクロフォンを配置して、音圧レベルの測定を行うようにしてもよい。この場合には、目標音圧レベルの決定処理を省略することができる。
【0185】
また、上記の第1実施例では、ナビゲーション装置の記憶ユニットが、音源データを記憶するようにした。これに対し、音源データを記憶する記憶ユニットとして、他の装置が備える記憶ユニットを共用可能な場合には、当該共用可能な記憶ユニットを利用するようにしてもよい。この場合には、ナビゲーション装置の記憶ユニットが記憶する情報として、音源データを省略することができる。
【0186】
上記の第1実施例では、ナビゲーション装置の制御ユニットが外部出力音信号を生成するようにした。これに対し、例えば、外部音出力ユニットが、外部出力音信号を生成するようにしてもよい。
【0187】
また、上記の第2実施例では、端末装置の記憶ユニットが、音源データを記憶するようにした。これに対し、音源データを記憶する記憶ユニットとして、他の装置が備える記憶ユニットを共用可能な場合には、当該共用可能な記憶ユニットを利用するようにしてもよい。この場合には、端末装置の記憶ユニットが記憶する情報として、音源データを省略することができる。
【0188】
また、上記の第2実施例では、端末装置300が、音出力ユニット130、表示ユニット140及びGPS受信ユニット160を備える構成とした。これに対し、端末装置が外部出力音関連の処理のみを行うようにし、端末装置の構成要素として、音出力ユニット130、表示ユニット140及びGPS受信ユニット160を省略するようにしてもよい。
【0189】
また、上記の第2実施例では、サーバ装置がスピーカ特性情報を保持するようにした。これに対し、測定条件が生成されるたびに、端末装置からサーバ装置へ、スピーカ特性情報を送信するようにしてもよい。