【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、ハイブリッド基板生成方法を提案しており:
少なくとも1つの層が第1の材料による単結晶性である第1の基板が準備され、
第1の基板は2つの基板部分に分離され、この分離は2つの表面部分の2つの表面を自由にし、この結晶軸は分離の際に完全に一致し、
仮基板が、これらの2つの表面部分の前記第1の表面上に、少なくとも1つの第2の材料の第1のエリアに形成され、かつアモルファスの第3の材料の第2のエリアに隣接する混合層を形成することによって準備され、異なる組成および/または結晶性を有するこれらの第2のエリアが第1のエリアに対して形成し、この仮基板の自由表面の少なくとも一部を形成し、
少なくともこれらのアモルファスエリアへの分子接合によって、むき出しにされた第1の基板の表面部分の前記第2の表面がこの仮基板に接合され、第1の表面部分と同じ結晶配向を有し、
2つの表面部分の共通の結晶配向にしたがって、アモルファスエリアの少なくとも一部の固相再結晶化を第1のエリアに対して選択的にもたらすように適合された熱処置が少なくとも混合層に適用される。
【0018】
表面部分は有利には、単結晶層内に平行な面を有する。
【0019】
有利には、剥離(fracture)を招く前に、有利には既に弱体化されたエリアに沿って、位置決めマークが、剥離層に対して付与された相対的構成にしたがって、剥離エリアのいずれかの側(したがって、この剥離時に有利なこの弱体エリアのいずれかの側)に位置付けされるように適合された第1の基板に生成され、第2の表面部分は、この第2の部分を位置付けした後に仮基板に接合されるため、位置決めマークは、前記混合層に対する前記所与の相対的構成である。実際この所与の相対的構成は、この剥離層(したがってこの混合層)に直交して面するこれらのマークの位置付けに対応する。このことは、2つの表面部分が、剥離前および接合後に同じ相対的配向であることを保証するのに寄与する。これらのマークは、単純なビジュアルマーカーまたは凹部、溝または他の局所的形状修正であってもよい。
【0020】
同様に有利には、第2の表面部分の接合後、表面部分の少なくとも1つ(または両方)が混合層から少なくとも部分的に除去され、これによって混合層は、この除去によるむき出しの表面に対して、所定の深度、場合によっては深度ゼロになることが可能である。この除去は、表面部分と、混合層の少なくとも部分的に再結晶化されたエリアとを分離させることによって、または機械的および/または化学的薄型化によって実行可能である。
【0021】
したがって本発明は、下地基板(混合層が形成された初期基板の部分)からだけではなく、(場合によっては一時的にのみ)分子接合によって取り付けられた基準層(初期基板のもう一方の部分)からもアモルファスエリアの再結晶化をもたらすことを教示することに留意されたい。この下地基板およびこの基準層が同一の出発基板から生成され、また第2の表面エリアを接合する際に、(もしあれば、分離前に生成された位置決めマークの位置合わせによって)分離前と同じ配向で混合層のいずれかの側に組み立てられた、分離によって生じた対向面であるとすると、本発明は、下地基板からと、被覆基準層から互いに遭遇するアモルファスエリアの選択的再結晶フロントにおける(組み立て平面の内外両方における)結晶のミスアライメントの危険性を最小化する。
【0022】
2つの表面部分は有利には、「Smart Cut(TM)」技術として知られている技術によって、単結晶層内の所与の深度で出発基板を壊れやすいものとすることによって、例えば水素イオンやヘリウムイオンなどのイオンを注入することによって、場合によっては、熱的および/または機械的エネルギを印加して注入エリアの分離をもたらす前に(有用である場合)キャリア基板に接合することによって得られる。この分離には任意に、このようにむき出しになった表面を研磨するステップが続くことが可能である。
【0023】
本発明は、アモルファスエリアをこの厚さ全体にわたって再結晶化する必要がなく、つまり、2つの再結晶化フロントがあるということは、再結晶化されていないアモルファス層が半分ほど残っているとしても、これらのエリアが混合層の両側の2つの表面部分付近で同様に再結晶化されることを保証する。再結晶化は、表面部分の一方の全部または一部の除去前または除去後に別のアニーリングによって継続可能である。
【0024】
ハイブリッド基板のシード層を形成する基準層が分離によって除去されるため、この基準層が、新たな分離/ハイブリッド基板形成サイクルに使用可能であることに留意することは興味深い。
【0025】
明らかに、結晶シード層が分離による除去前に一時的にのみ固定される必要がない場合ア、接合界面での分離またはこの付近の剥離による再結晶後にこの層の混合層からの分離が行われることは有利であり、こういう理由で、有利には、界面の機械的強度が意図的に削減されるか、結晶シード層の機械的強度がこの接合界面付近で意図的に削減されるかのいずれかである。しかしながら、懸念されている事項とは反対に、このような弱体化または脆弱化は、界面全体の再結晶化に対してシード層の機能を効果的に達成する基準層を妨げないことは明らかである。
【0026】
再結晶化処置などの熱処置ゆえに通常生じる連結にかかわらず接合エネルギを削減する目的でこのように接合界面を劣化させることは、特に、分子接合によって接合されることになる面の一方および/または他方を粗化する処置によって実行可能であり、実際的理由としては、少なくとも基準層の自由表面を粗化することが有利であるからである。
【0027】
このようにして得られた粗さは有利には0.1nmから1nmのRMSであり、(例えば5ミクロン×5ミクロンの面積に対して原子間力測定(AFM)によって判断されるように)例えば0.2nm程度のRMSである。この粗化は有利には、水、水酸化アンモニウムおよび過酸化水素水の溶液(70℃15分間で1:1:5の比率のH2O、NH4+/OH−およびH2O2)において、例えば少なくとも単結晶シリコン層の場合にはエッチングによって得られる(当業者にとって、エッチングされる材料ごとに適切な溶液を選択する方法は明らかである)。
【0028】
接合される層の粗さを修正するのではなく、この表面が伝播される結晶情報を保有することによって、したがって結晶シード層の再結晶化を実行できれば、犠牲層はこれらの2つの表面間に提供可能である。例えば、この犠牲層は、結晶シード層上にエピタキシャル成長された合金、例えばSi
xGe
(1−x)であってもよく、この場合単結晶シリコン結晶シードを使用してシリコンのアモルファス部分を再結晶化する必要があり、この層は臨界厚さより薄くなければならない(SiGeが下地シリコンの格子パラメータに伴って増大し、したがってシリコンの結晶情報を保存することができる最大厚さであり、SiのSi
0.8Ge
0.2についての通常の厚さ限度は5nmである)。接合および再結晶化アニーリングの後、分離を得るためには、例えば機械的レベリングによってあるいは結晶シード基板に事前に生成された埋め込み型の脆弱エリアを剥離することによって、結晶シード基板の大部分を排除することで十分であり、この後には、当該技術分野で知られている任意の適切なタイプの1つ以上の選択的攻撃解決策が、もしあれば、残渣の結晶シード部分、次いでSiGeの犠牲層を排除するために用いられる(シリコンに対してSiGeを選択的にエッチングする当該技術分野で知られている解決策は、例えばHF/HNO3である)。
【0029】
分離を容易にするために、熱再結晶化バジェットもまた制限可能である(これは同時に接合界面を強化する傾向がある)。例えば、アモルファスエリアの小部分のみ、実際には接合界面から開始するこの厚さの一部のみが再結晶化可能であり、再結晶化処置の適用時間を制限し、次いで(接合界面が適度な強度を有する限り)分離によって継続し、次いで相補的な熱バジェットを適用することによってアモルファスエリアの再結晶化を継続および完了させる。このことは事前分離の熱バジェットを制限し(したがって構造が分離可能になることを保証し)、結晶情報を「他方の側から」接合界面を介して転送する。熱バジェットの概念は、処置の温度およびこの期間の両方を包含していることを想起されたい。
【0030】
第1の処置が、アモルファスエリアの一部のみ(実際は厚さの一部)の再結晶化をもたらすように適合されており、かつ分離後の第2の熱処置(または2つ以上の熱処置)の適用がこれらのアモルファスエリアの再結晶化を継続および完了させるように適合されている2つの処理ステップのこのような再結晶化はまた、分離が実行される場所にかかわらずエネルギ利点を有するが、それは、相補的な熱処置が結晶シード層に適用される必要がないからである。
【0031】
明らかに、有利ではあるが、再結晶化が、再結晶化されるエリアの厚さの同一部分全体すべてにおいて得られる必要はなく、結晶化されるこれらのエリアの部分が、分離後の熱処置中にエリアの残りの部分に対する結晶シードとして作用するのに十分大きいことが必要である。
【0032】
基準層を機械的に弱体化させる一方法は、界面付近で層の少なくとも一部を多孔質にすることである。事実、界面の極めて近くで剥離を可能にすることにこれは有利であるが、この多孔質エリアはこの界面に直接隣接している必要はない。明らかに、分離が界面からの一定距離で生じる場合、標準的な機械的および/または化学的および/または熱的研磨処置が、多孔質層の剥離後に基準層の残渣を排除可能である。
【0033】
基準層は、「Smart Cut(TM)」技術として知られている技術を使用して、イオン注入によって所与の深度で代わりに壊れやすくされてもよい。このような注入は有利には接合前に実行され、注入によって得られる弱体化は再結晶化熱処置中に成長可能である。分離はその後、この壊れやすい層で生じる。
【0034】
この基準層は好ましくは、数ナノメートルから数百ミクロンの厚さを有する。
【0035】
初期基板の第1の構成材料(したがって、下地基板およびこの基準層の第1の構成材料)は有利にはアモルファスエリア(第3の材料)と同じであり、この効果は、アモルファスエリアが、この材料について通常の格子パラメータにしたがって再結晶化するということである。それにもかかわらず、例えばストレス状態でこれらのアモルファスエリアを再結晶化する必要がある場合、アモルファスエリアとは異なる材料をこの初期基板に選択可能であり、例えば、基準層に対して緩和Si
0.8Ge
0.2を使用することは、ストレス状態のシリコンのアモルファスエリアを再結晶化することに寄与する。
【0036】
第1のエリアの第2の構成材料は有利には、酸化物、窒化物、アルミナ、炭素などのアモルファス材料、または(「高誘電」材料と称される)高誘電定数を有する他の材料であってもよく、この点に関しては、酸化物および窒化物はしばしば、(もしあれば)極めて高い再結晶化温度および結晶相変化温度を有するため、第2のエリアを再結晶化するための熱処置は、アモルファス状のこれらの酸化物や窒化物エリアの再結晶化をもたらすには、少なくとも場合によっては、これ自体では不十分な可能性があることに留意されたい。代替的に、第1のエリアの第2の構成材料は、シリコンなどの結晶性(単結晶性または多結晶性)材料や、ゲルマニウムやシリコンゲルマニウム合金、SiCなどのシリコン合金、元素周期表のIII族およびV族(例えば、GaAs)、またはII族およびVI族の元素の合金、ダイアモンド、石英、LiTaO3、LiNbO3などの任意の他の半導体材料であってもよい。当然、横方向再結晶化現象が縦方向再結晶化を妨害しないことに注目することは、この状況では特筆すべきである。これは、格子パラメータがかなり異なる場合には、当然生じ得るが、そうでない場合は、例えばアモルファス材料で任意に充填されたトレンチによって結晶コンタクトを防止するのが望ましい。しかしながら、この横方向再結晶化は、その範囲が事前に平面化されていれば、問題ではない(例えば、アモルファスエリアが厚さよりも幅広い場合、縦方向再結晶化は、横方向再結晶化がそれほど進行しないうちに完了する。2つの再結晶化フロントの接続は、必要ならば、任意に除去可能である)。
【0037】
第2のエリアの第3の構成材料は、シリコン、あるいはゲルマニウムやシリコンゲルマニウム合金、SiCなどのシリコン合金、元素周期表のIII族およびV族(例えば、GaAs)、II族およびVI族の元素の合金、またはダイアモンド、石英、LiTaO3、LiNbO3などの任意の他の半導体材料から選択可能である。
【0038】
したがって、混合層は特に、エリアに応じて、2つ(以上)の所定の結晶配向の一方または他方を有する単一材料で生成可能である。これは有利には、エリアに応じて、例えば<100>または<110>配向を有する混合シリコン層である。明らかに、この場合は、横方向再結晶化現象が縦方向再結晶化を妨害しないことに注目することが望ましい。例えば、アモルファス材料で任意に充填されたトレンチを生成することによって結晶コンタクトを防止し、少なくとも、この横方向再結晶化を考慮して、後者の場合にはこれらの基板の最終適用を妨害しないことが有用である。
【0039】
混合層が種々のエリアで同一材料で生成される場合、アモルファスの第2のエリアの形成は、基準層とは異なる(つまり、第1のエリアが混合層の生成終了時に有する)結晶配向を有する初期単結晶層内にアモルファスエリアを提供することによって実行可能である。
【0040】
しかしながら、アモルファスの第2の層はまた、(後の第1のエリアの結晶性を有する)単結晶層にキャビティを掘削してから、これらを新たな材料で充填することによって形成可能であり、これは、異なる結晶配向のみではなく異なる構成材料を有するエリアによって混合層が生成可能になるという具体的な利点を有することが明らかである。アモルファスエリアを堆積によって形成することは、混合層の残りの部分と同じ材料で生成されるとしても、隣接層から開始するアモルファス層の再結晶化の低下につながるという利点を有することができ、堆積によるアモルファスエリアの形成は、アモルファス化よりもかなり低い、これらの隣接エリアとの結晶適合性を引き起こす。
【0041】
アモルファス材料はオーブンにおいて(直径が数十センチメートル、例えば30cmのディスクであるため、ウェーハとも称される)複数の基板に堆積可能であることに留意されたい。これは、したがって、知られている収集処置であり、適度なコストで確実かつ高速な生成をもたらし、このことは、エピタキシャル技術と比較してかなりの利点を構成可能である。
【0042】
第2のエリアがアモルファス化によって生成されても、アモルファス材料の堆積によって生成されても、混合層のエリアは有利には、この層と等しい厚さを有するため、第1の基板の自由表面はそれ自体混合される。代替的に、混合層の第1のエリアは、この混合層の厚さの一部のみを介して連続電気的絶縁層から延びており、アモルファス材料は、これらの第1のエリアに隣接するだけではなく、これらの上方にもある、すなわち、したがってアモルファス材料は第1のエリアと、第2のエリアの対応部分の上方にあるため、第1の基板の自由表面の全体沿って連続して延びており、このような構成は、第1の基板が、第1のエリアの材料で形成された第1の層から形成され、キャビティが、この第1の層の全厚に掘削され、かつアモルファス材料がこれらのキャビティに第2のエリアを形成するように、第1および第2のエリアのすべての上部に所与の厚さに堆積されている状況に対応する。
【0043】
上記のように、第2の材料(混合層の第1のエリアの構成材料)は、特に「高誘電」材料の場合にそれ自体アモルファスであってもよく、アモルファスの第2のエリアの選択的再結晶化は、第2の材料のかなりの再結晶化をもたらすのには不十分な再結晶化温度および期間の選択、および/または、再結晶化について判断可能な任意の結晶シードから一定の距離にこのアモルファス材料を維持するように混合層のエリアを生成する場合に形成されたバリア層の有無によって生じ得る。
【0044】
有利には、分子接合は疎水性であり、接合表面間の界面における酸化物の形成を防止する(このような疎水性接合の条件は当業者には知られている)。それにもかかわらず、親水性、または親水性/疎水性であっても接合は可能である。
【0045】
再結晶化熱処置は有利には、使用される材料に応じて200℃から1300℃(両端値を含む)、好ましくは350℃から800℃の温度で実行され、これらの材料に応じて、処置の期間は通常、1秒の数分1秒の1から(特にアモルファスシリコンの場合)数時間である。
【0046】
少なくとも結晶化部分において、分離によって混合層から結晶シード基準層を除去することは、ツール(例えば、ブレード)や流体(特にガスや水)の機械的挿入によって、あるいは(少なくとも部分的に多孔質にされている場合、またはイオンが注入されている場合は)結晶シード層によって(またはこの中に)構成されている少なくとも壊れやすいエリア内で音波によって、あるいは(その接合エネルギが小さい場合)接合界面によって実行可能である。
【0047】
この除去は、機械的および/または化学的研磨による薄型化によって等しく得られることが可能である。
【0048】
もしあれば、結晶化部分における混合層および結晶シード層の分離後、熱アニーリングが有利にはこの混合層に適用されて、例えば再結晶化フロントに遭遇する場合、依然として存在する結晶欠陥をそこから排除する(このアニーリングは有利には、再結晶化が実行された温度より高い温度で実行される)。
【0049】
仕上げステップは、特に、例えば粗さに関して良好な表面状態を得るために、このように得られる構造に対して有用である。これらのテストは機械的化学的研磨、減圧アニーリング、真空アニーリングなどであってもよい。
【0050】
出発基板は均質であってもよく、この場合、表面部分は、基板の他の部分と同じ特性(組成および構造)を有する。しかしながら、この出発基板は、単結晶層が固定されるサポートから形成可能である。2つの表面部分に分離後、これらの一方は分子接合によってサポートに固定可能であり、例えば、均質なシリコンウェーハは、多数のサイクルによって、混合層が形成される基板を形成するためにサポートに固定されている薄膜(通常1ミクロン未満の厚さ)に分離可能であるのに対して、ウェーハの残りの部分は、分離されて、再度2つの部分に分離される前に、基準層として作用する。
【0051】
本発明の目的、特徴および利点は、非限定的例証として付与され、かつ添付の図面を参照した以下の説明から明らかになる。