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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728179
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】シンクの排水口用蓋
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/262 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   E03C1/262 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-183941(P2010-183941)
(22)【出願日】2010年8月19日
(65)【公開番号】特開2012-41734(P2012-41734A)
(43)【公開日】2012年3月1日
【審査請求日】2013年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512160070
【氏名又は名称】ニッソーファイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100123168
【弁理士】
【氏名又は名称】大▲高▼ とし子
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 繁
(72)【発明者】
【氏名】高田 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】豊田 叔典
(72)【発明者】
【氏名】草野 尊法
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−035369(JP,U)
【文献】 特開2007−175644(JP,A)
【文献】 特開2006−342553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12 − 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクの底面に埋設された排水口に載置又は嵌合して用いられる排水口の蓋であって、
該蓋は、リング状蓋本体と、蓋中央に位置し、リング状蓋本体に連結部材を介して上下動自在に横架された目隠し部材を有し、
リング状蓋本体は、その内周の全部又は一部が内側に向かって下方に傾斜した構造を有し、連結部材は、目隠し部材及びリング状蓋本体とヒンジ構造により接合しており、目隠し部材が下方に移動したときに傾斜構造と目隠し部材の間隙が狭くなり、目隠し部材が上方に移動したときに傾斜構造と目隠し部材の間隙が広くなるようにしたことを特徴とする排水口用蓋。
【請求項2】
シンクの底面に埋設された排水口に載置又は嵌合して用いられる排水口の蓋であって、
該蓋は、リング状蓋本体と、蓋中央に位置し、リング状蓋本体に連結部材を介して上下動自在に横架された目隠し部材を有し、
リング状蓋本体は、その内周の全部又は一部が内側に向かって下方に傾斜した構造を有し、連結部材は一端が目隠し部材とヒンジ構造により接合し、他端がリング状蓋本体の内周部に設けられた係止ゲートに遊貫、保持されており、目隠し部材が下方に移動したときに傾斜構造と目隠し部材の間隙が狭くなり、目隠し部材が上方に移動したときに傾斜構造と目隠し部材の間隙が広くなるようにしたことを特徴とする排水口用蓋。
【請求項3】
係止ゲートがスリットであることを特徴とする請求項に記載の排水口用蓋。
【請求項4】
リング状蓋本体の上面又は下面に薬剤収納容器を取り付けたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の排水口用蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンクの底面に埋設された排水トラップの排水口に載置又は嵌合して用いられる蓋であって、排水流入路の大きさを調節しうる目隠し体を有する排水口用蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、台所流し台の排水口を大型化し、ゴミ取りカゴを設置し、排水とともに流入した料理材料クズ等の生ゴミをゴミ取りカゴで捕集し、一定量のゴミがたまった際に廃棄するタイプの流し台には、排水口に着脱自在に嵌合・載置することができる蓋が一般的に用いられている。
【0003】
このような蓋としては、ゴム製の菊割れ蓋や、プラスチック製の目隠し板を有する蓋などがよく知られている。
【0004】
これらの蓋を有する排水口では、野菜クズなどのゴミがゴミ取りカゴへ容易に流れ込むように排水流入口が大きく開いていることから、箸やスプーン等の小物食器類がゴミと共に落ち込み易いばかりでなく、ゴミ取りカゴに堆積した生ゴミ等が見えて不潔感を与えるなどの問題があった。
そのため、蓋を開閉できるようにして、野菜クズなどのゴミをゴミ取りカゴへ取り込むことができるようにし、必要の無いときは閉じて、箸やスプーン等の小物食器類が落ち込むことがないようにすることもなされていた(例えば、特許文献1〜3)。
そのような工夫の中で、例えば、次のような提案もなされている。
排水口の内周壁面に嵌着される外周縁部の、一方の内側半分を外周縁部の内周縁から中央部に向かって上向き又は下向きに折り返し自在に傾斜する目隠し片とし、他方の内側半分を外周縁部の内周縁から中央部に向かって下向きに傾斜する水受け片として設け、目隠し片と水受け片との間に開口する水落とし口を設けるようにしている(特許文献4)。
しかしながら、半球形の目隠し片は柔軟性のゴム、プラスチックで成型しても、上下の逆方向に弾力性の半球片を変形させるため、材質に無理がかかり、大きな傾斜をつけることが困難であり、十分に小物の落下防止機能を得ることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭49−14514号公報
【特許文献2】実用新案登録第3081901号公報
【特許文献3】実用新案登録第3101544号公報
【特許文献4】特開平8−68090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、調理時には野菜クズ等を排水口に流入させることが可能であり、また、食器洗浄時には小物食器類の排水口への流入を防止することが可能な排水口用蓋であって、従来のものに較べてより機能的で、操作が簡便な排水口用蓋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、排水口用蓋の中央部に上下動しうる目隠し部材を設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)シンクの底面に埋設された排水口に載置又は嵌合して用いられる排水口の蓋であって、該蓋は、リング状蓋本体と、蓋中央に位置し、リング状蓋本体に連結部材を介して上下動自在に横架された目隠し部材を有し、リング状蓋本体は、その内周の全部又は一部が内側に向かって下方に傾斜した構造を有しており、目隠し部材が下方に移動したときに傾斜構造と目隠し部材の間隙が狭くなり、目隠し部材が上方に移動したときに傾斜構造と目隠し部材の間隙が広くなるようにしたことを特徴とする排水口用蓋、
(2)連結部材が、目隠し部材及びリング状蓋本体とヒンジ構造により接合していることを特徴とする上記(1)に記載の排水口用蓋、
(3)連結部材の一端が目隠し部材とヒンジ構造により接合し、連結部材の他端がリング状蓋本体の内周部に設けられた係止ゲートに遊貫、保持されていることを特徴とする上記(1)に記載の排水口用蓋、
(4)係止ゲートがスリットであることを特徴とする上記(3)に記載の排水口用蓋、及び、
(5)リング状蓋本体の上面又は下面に薬剤収納容器を取り付けたことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の排水口用蓋に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、中央に位置する目隠し部材を、ヒンジや係止ゲートなどにより上下動自在にリング状蓋本体に横架することにより、目隠し部材が下方に移動したときに、リング状蓋本体の内周部の下部に設けられた傾斜構造との間隙が狭くなり、目隠し部材が上方に移動したときに傾斜構造と目隠し部材の間隙が広くなるため、排水流入路の幅を適宜調節することができ、調理時には排水口に設置されたゴミ取りカゴへ容易に野菜クズ等を流入させることが可能になり、且つ、食器洗浄時には小物食器類の排水口への流入を防ぐことができる。
【0010】
また、本発明においては、蓋全体を硬質のプラスチックで成形することが可能となり、温水による蓋の変形や、たわし等による洗浄の際の蓋表面のキズが少なくなり、美観を保ったまま長期間の使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る排水口用蓋の傾視図であって、目隠し板が上方に位置するときの図である。
図2図1に示す排水口用蓋の、目隠し板が下方に位置するときの傾視図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る排水口用蓋の傾視図であって、目隠し板が上方に位置するときの図である。
図4図3に示す排水口用蓋の、目隠し板が下方に位置するときの傾視図である。
図5図3及び図4に示す排水口用蓋の底面図であり、連結部分の拡大図である。
図6図3及び図4に示す排水口用蓋の連結部分の係止ゲートを模式的に表した拡大図である。
図7図3及び図4に示す排水口用蓋の連結部分の他の態様からなる係止ゲートを模式的に表した拡大図である。
図8図3及び図4に示す排水口用蓋の係止ゲート部分の縦断面図である。
図9】両縁に細かい凹凸を設けた連結部材の模式図である。
図10】両縁の厚さを薄くした連結部材の模式図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る排水口用蓋の傾視図であって、目隠し部材が下方に位置するときの底面図である。
図12図11に示す排水口用蓋の、目隠し部材板が上方に位置するときの連結部分の拡大図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る排水口用蓋の裏面から見た傾視図であって、薬剤収納容器を取り外した図である。
【符号の説明】
【0012】
1、1’、1’’、1’’’ 排水口用蓋
2、2’、2’’、2’’’ リング状蓋本体
3、3’、3’’、3’’’ 目隠し部材
4、4’、4’’、4’’’ 連結部材
5 把持部
6、6’、6’’、6’’’ 傾斜部
7、7’、7’’ ヒンジ構造
8 係止ゲート
9、9’ 止め材
10 スリット
11 薬剤収納容器
12 薬剤
13 排水流入口
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のシンク用の排水口用蓋は、シンクの底面に埋設された排水口に載置又は嵌合して用いられる排水口の蓋であって、少なくとも、リング状蓋本体、連結部材及び目隠し部材を有する。
(リング状蓋本体)
本発明の排水口用蓋のリング状蓋本体は、排水口に載置又は嵌合する部分であり、排水口の円周に沿ったリング状の蓋をなしている。
当該リング状蓋本体は、内周と外周を有し、内周と外周の間には排水口周縁部を隠すためのカバー部を有する。カバー部の幅は適宜設定できる。リング状蓋本体の内周部には、後述する連結部材を接合するためのヒンジなどを取り付ける部分や傾斜構造が含まれる。
排水口に載置する場合は、リング状蓋本体の径は排水口の径よりも大きくし、他方、排水口に嵌合させる場合は、リング状蓋本体の径は排水口よりも小さくし、リング状蓋本体の上端外周部にフランジ等排水口の縁に掛止する手段を設けることができる。
リング状蓋本体の内周の全部又は一部は、内側に向かって下方に傾斜した構造を有しており、目隠し部材を下方に押し下げたときに、傾斜構造と目隠し部材の間隙が狭くなる構造をしている。
また、リング状蓋本体の内周部には、目隠し部材を上下動自在に横架するための連結部材を連結するためのヒンジ又は係止ゲートが設けられる。設ける箇所は、通常、向かい合った2箇所であるが、それ以上設けても良い。接合する位置の高さは、リング状蓋本体の内周の上端部や傾斜構造の途中に設けることができる。ただし、ヒンジにより接合する場合は、リング状蓋本体の内周の上端部に設けるのが好ましい。
【0014】
ヒンジは、リング状蓋本体と一体又は別体に設けることができる。素材がプラスチックの場合、ヒンジとなる箇所の部材に切れ込みを入れたり、薄くして折り曲げられるようにすればよい。
係止ゲートは、連結部材を遊貫させて、支持するためのゲートであり、リング状蓋本体の内周の上端部や、リング状蓋本体の内周下部に設けられた傾斜構造体の一部に設けられる。
係止ゲートをリング状蓋本体の内周の上端部に設ける場合は、リング状蓋本体の裏面に直接設ける他に、上端部を内側に突設した箇所を設け、その部分に、連結部材を遊貫させるための係止ゲート部材を取り付けることができる。係止ゲート部材の形状は、連結部材の先端部が遊貫できるための枠形状をしておればよいが、枠の一部を貫通方向に切り欠きを設けることにより弾力性を持たせ、連結部材の挿入や抜き取りを容易にすることができる。
係止ゲート部材の貫通方向の長さは適宜設定することができる。
係止ゲートをリング状蓋本体の内周下部に設けられた傾斜構造体の一部に設ける場合は、傾斜構造体の一部にスリット孔を形成すれば良い。
【0015】
本発明のリング状蓋本体には、その上面及び/又は下面に芳香剤、消臭剤、ヌメリ取り剤などの薬剤を塗布することができる。また、芳香剤、消臭剤、ヌメリ取り剤等が収容された容器を取り付けることができ、当該容器はリング状蓋本体と一体であってもよいし、取り外し可能であってもよい。
ヌメリ取り用固形薬剤が収納された容器を取り付ける場合には、リング状蓋本体の複数箇所に排水流入孔を設けることが好ましい。
ヌメリ取り用固形薬剤が収納された容器は、内部に排水を流入するための排水流入口と、ヌメリ防除固形薬剤が溶出した薬液を流出するための薬液流出口を有しているものであり、例えば、上面に排水流入口を有すると共に外周面に薬液流出口を有しているものであって、内部に収容された固形薬剤の消費量を確認できるように、全部又は一部が透明又は半透明であることが好ましい。
ヌメリ取り用固形薬剤が収納された容器は、例えば、蓋本体と嵌合状態で一体となって構成される縦断面が矩形のリング状の容器であって、ヌメリ防除固形薬剤が収容される薬剤収容部を周方向に複数有する構造とすることができる。当該収納容器は、ヌメリ取り用固形薬剤のほか芳香剤、消臭剤なども収容することができる。
【0016】
芳香剤/消臭剤容器としては、固体状又は液状の芳香剤及び/又は消臭剤を収容することができればその形状や材質等特に制限されるものではなく、内部に収容された芳香剤及び/又は消臭剤の消費量を確認できるように、全部又は一部が透明又は半透明であることが好ましい。芳香剤/消臭剤容器には、芳香成分を放出するための小孔が設けられていることが好ましい。
また、香剤/消臭剤容器は、上下に分割され、上部収容部に芳香剤が収容されると共に下部収容部に消臭剤が収容されていてもよく、この場合、上部収容部は頂面に内部に水が進入できない程度の小孔を有し、下部収容部は底面に小孔を有することが好ましい。これにより、芳香剤の芳香を効果的に得ることができると共に、消臭剤によってヌメリ防除機能付排水口蓋の下方に位置するカゴに収容された生ごみ等から発生する悪臭を抑制することができ、極めて効果的に排水口周辺から発生する悪臭を抑制することができる。
リング状蓋本体の素材としては、例えば、ゴム製、プラスチック製等が挙げられ、撥水性がよくヌメリが発生しにくいことから、プラスチック製が好ましい。
【0017】
(目隠し部材)
本発明の排水口用蓋の目隠し部材は、蓋の中央部に位置し、排水口を外から見えないようにすると共に、蓋としての役割をする。形状は、通常、排水口にあわせて略円形をしている。
目隠し部材は、多数の排水流入孔を有していても良い。また、目隠し部材の正面には、目隠し部材を手で引き上げるための把持部を設けることができる。
目隠し部材の端部には、目隠し部材を上下動自在に横架するための連結部材を接合するためのヒンジが設けられる。設ける箇所は、リング状蓋本体のヒンジ又は係止ゲートの位置に対応している。
ヒンジは、リング状蓋本体の場合と同様、目隠し部材と一体又は別体に設けることができる。素材がプラスチックの場合、ヒンジとなる箇所に切れ込みを入れたり薄くして折り曲げられるようにすればよい。
目隠し部材の素材としては、例えば、ゴム製、プラスチック製等が挙げられ、撥水性がよくヌメリが発生しにくいことから、プラスチック製が好ましい。
【0018】
(連結部材)
本発明の排水口用蓋の連結部材は、リング状蓋本体と目隠し部材とを連結し、目隠し部材が上下動自在に横架することができれば、形状は特に限定されないが、通常はベルト状である。連結部材の一方の端部は、目隠し部材にヒンジにより接合し、他端部は、リング状蓋本体にヒンジ又は係止ゲートにより連結している。
係止ゲートにより連結している場合、連結部材の先端部には、連結部材が抜けないようにするため、突起した止め部材を設けるのが好ましい。また、連結部材の縁は細かい凹凸を設けたり、薄くすることにより適度な抵抗を付すことができる。
連結部材の長さは、目隠し部材を上下動が可能な長さにする必要がある。
両端をヒンジにより接合する場合は、目隠し部材を押し下げた状態から、上方に引き上げるときに目隠し部材の中央部を持ち、目隠し部材を水平に引き上げると連結部材に大きな抵抗がかかるが、目隠し部材の片端を持ち引き上げると、ヒンジの作用により引き上げ部が抵抗なく斜めに引き上げられ、その後に残りの一端を引き上げると抵抗なく引き上げることが可能となる。目隠し部材に設ける把持部を目隠し部材の片端部に設け、この把持部によって目隠し部材の引き上げと押し下げを行うことにより、リング状蓋本体と連結部材がヒンジで連結している蓋はスムーズに目隠し部の上下動が可能となる。
リング状蓋本体側の一端を係止ゲートにより連結する場合は、係止ゲートの位置により態様が異なる。
係止ゲートをリング状蓋本体の内周の上部〜上端部に設ける場合は、目隠し部材を下方に押し下げたときに、係止ゲートのところから下方に折り曲がりやすくするため、連結部材に横線状に切れ込みをいれてヒンジ構造を作るのが好ましい。
他方、係止ゲートをリング状蓋本体の内周に設けられた傾斜構造体の下方に設ける場合は、目隠し部材を係止ゲートの高さより低くする必要がないため、連結部材にヒンジ構造を作る必要は無い。しかし、目隠し部材を上方に引き上げたときにその位置から滑り落ちないようにするため、たとえば、係止ゲートの枠の大きさを小さめに調整するか、連結部材の縁に凹凸を設けたり縁を薄くして抵抗を大きくすることができる。
また、リング状蓋本体側の一端を係止ゲートにより連結する場合は、目隠し部材を好きな高さに停止させることができる。
連結部材の素材としては、例えば、ゴム製、プラスチック製等が挙げられ、撥水性がよくヌメリが発生しにくいことから、プラスチック製が好ましい。
【0019】
(目隠し部材の操作)
排水口を広くしておくときは、目隠し部材を上に持ち上げ、排水口を狭くするときは、目隠し部材を下に押し下げる。
【0020】
(実施例)
以下、図面を参照しつつ、本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。図1は、本発明の第1実施形態に係る排水口用蓋の斜視図であり、目隠し部材が上方に位置する様子を示す。図2は、図1に示す排水口用蓋の、目隠し部材が下方に位置する際の斜視図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る排水口用蓋1は、目隠し部材3を、1対の連結部材4によってリング状蓋本体2に横架した構造を有する。
【0022】
本発明の第1実施形態においては、連結部材4とリング状蓋本体2の内周部との接合部、及び、連結部材4と目隠し部材3との接合部がヒンジ構造7を有し、当該2点の接合部が応動し、目隠し板を上下に移動できる。
【0023】
リング状蓋本体2は、プラスチックからなる中空の円盤状部材である。
【0024】
図3は、本発明の第2実施形態に係る排水口用蓋の斜視図であり、目隠し部材が上方に位置する様子を示す。図4は、図3に示す排水口用蓋の、目隠し部材が下方に位置する際の斜視図である。また、第2実施形態に係る排水口用蓋の、連結部分を底面から見た図を図5図7に示す。
【0025】
図3及び図4に示すように、本発明の第2実施形態に係る排水口用蓋1’は、前記第1実施形態に係る排水口用蓋1と比較して、目隠し部材3の上下動せしめる機構が異なるものである。
【0026】
図5図7に示すように、本発明の第2実施形態に係る排水口用蓋1’は、目隠し部材3’と接合する連結部材4’が、リング状蓋本体2’の上端部に設けられた係止ゲート8を通して固定されている。係止ゲート8には、連結部材4’が、係止ゲート8に対して垂直方向に移動できる程度のスリットを有し、且つ、連結部材4’の末端部分は、係止ゲート8のスリット幅より大きな高さを持つ止め材9を有する。
【0027】
連結部材4’は、第1実施形態における連結部材4と同様、2箇所ずつのヒンジ構造を設けることにより、目隠し部材3’の上下動を可能にする。
【0028】
また、第2実施形態に係る排水口蓋1’では、連結部材4’とリング状蓋本体2’が接合していないため、目隠し部材3’をリング状蓋本体2’の外周部と水平位置に保持することも可能となる。
【0029】
図7に示したように、係止ゲートの背面部分にスリットを設け、且つ、図8に示すように止め材9をプリズム様の形にすることによって、連結部材4’を係止ゲート8へ容易に挿嵌することができる。また、図8のように、係止ゲート8の内側に傾斜を設けることによって、目隠し部材3’の上下方向への運動をよりスムーズに行うことができる。
【0030】
また、図9図10に示すように、連結部材4’の両端に細かい凹凸を設けたり、また、連結部材4’の両縁をわずかに薄くすることによって、連結部材4’と係止ゲート8の間の抵抗を制御することができる。
【0031】
図11は、本発明の第3実施形態に係る排水口用蓋の斜視図であり、目隠し部材が下方に位置する際の、本発明品を底面から見たときの様子である。図12は、図11に示す目隠し部材が上方に位置する際の、連結部分を拡大した斜視図である。
【0032】
図11及び図12に示すように、本発明の第3実施形態に係る排水口用蓋1’’は、リング状蓋本体2’’の内周部の下部に設けられた傾斜部6’’の下部に、目隠し部材3’’と接合した1対の連結部材4’’が遊貫して設けられる程度のスリット10を有している。また、該連結部材4’’の末端は、スリットの幅より大きな止め材9’を有する。
【0033】
本発明の第3実施形態における連結部材4’’は、スリット10を通して上下に移動できる。当該連結部材4’’と目隠し部材3’’との接合部はヒンジ構造7’’を有し、本発明の第1実施形態及び第2実施形態と同様、ヒンジ部分で折り曲げることができる。この際、折り曲げられた連結部材4’’には、もとの直線状に戻ろうとする弾性力が働くため、連結部材4’’とスリット10の間により大きな抵抗が働き、目隠し部材3’’を上部に保持することができる。
【0034】
図13は、本発明の第4実施形態に係る排水口用蓋の裏側から見た斜視図であり、薬剤収納容器を取り外した図である。
【0035】
図13に示すように、本発明の第4実施形態に係る排水口用蓋1’’’は、リング状蓋本体2’’’の下面に薬剤12を収納する容器11を取り付けられるようになっており、リング状蓋本体2’’’には、排水流入口13が、周縁端部より内側に、周方向の長さが2cm程度、幅が1cm程度の開口が、周方向に所定間隔をあけて、6箇所設けられている。
排水流入口13から流入した排水は、薬剤収納容器11の排水流入口から流入し、熔解した薬剤は薬剤収納容器11の溶解液流出口から流出して、排水口の壁面などを流れ落ちるため、壁面に付着したヌメリや細菌などを防除することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13