特許第5728230号(P5728230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5728230注文する眼鏡の特徴を取得するための非同期的方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5728230
(24)【登録日】2015年4月10日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】注文する眼鏡の特徴を取得するための非同期的方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 13/00 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   G02C13/00
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-540134(P2010-540134)
(86)(22)【出願日】2008年12月23日
(65)【公表番号】特表2011-508274(P2011-508274A)
(43)【公表日】2011年3月10日
(86)【国際出願番号】EP2008068273
(87)【国際公開番号】WO2009065964
(87)【国際公開日】20090528
【審査請求日】2011年11月28日
【審判番号】不服2013-24917(P2013-24917/J1)
【審判請求日】2013年12月18日
(31)【優先権主張番号】07301754.3
(32)【優先日】2007年12月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507229319
【氏名又は名称】エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラル ドプティック)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サワーフィア・サイ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・クララ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・セイエ
【合議体】
【審判長】 藤原 敬士
【審判官】 西村 仁志
【審判官】 清水 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−233937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡フレーム(F')の将来の着用者(w)に適合する前記眼鏡フレームを、離れた場所において注文するための眼鏡フレームの特徴を取得するために、コンピュータ手段によって実施される非同期的方法であって、
第1の識別子(ID1)に対応して、注文されるべき眼鏡フレームと同じモデルの眼鏡フレームを着用している前記着用者(w)に対し実行された測定(d、α)に関係する第1のデータセット(F1)と、
前記モデルの識別子と
をサーバ(SER)のメモリに格納するステップを含み、前記第1のデータセット、前記モデルの識別子、および前記第1の識別子が、第1の場所にある第1のコンピュータエンティティから前記サーバに送信され、
前記方法は、
第2の識別子(ID2)に対応して、前記眼鏡フレーム(F')に対し実行された測定(R1、R2)に関係する第2のデータセット(F2)を前記サーバ(SER)の前記メモリに格納するステップを含み、前記第2のデータセットと前記第2の識別子とが、第2の場所にある第2のコンピュータエンティティから前記サーバに送信され、
前記サーバ(SER)は、前記第1の識別子と前記第2の識別子との関連付けを示す情報(DOC2)を受け取った後、前記第1および第2のデータセットの少なくとも一部を含むコンピュータドキュメント(ORD(ID1〜ID2))をコンパイルするように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記サーバ(SER)は、遠隔コンピュータエンティティ(PC3)から要求(REQ)を受け取った後に、前記遠隔コンピュータエンティティ(PC3)に、前記コンピュータドキュメントの前記遠隔コンピュータエンティティ(PC3)による編集を可能にするデータ(EDIT-ORD(ID1〜ID2))を送信するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータエンティティ(PC3)は、眼鏡技師の施設内に配置され、前記コンピュータドキュメントの編集を可能にする前記データを前記サーバから受信した後、
一方で、着用者に対し実行された測定結果に関係するデータと、
他方で、眼鏡フレームに対し実行された測定結果に関係するデータの両方を含む注文書を生成することができることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記注文書に含まれる前記データは、提供する前記フレーム(F')上に装着されることを意図されている眼鏡レンズと、さらには前記眼鏡レンズを縁取りするための特性を定義することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記注文書は、前記眼鏡技師によって許可された後、前記サーバ(SER)によってレンズ供給者のコンピュータエンティティ(PC4)に送信されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のデータセット(F1)は、前記着用者(w)と選択されたフレーム(F)との組合せに関するデータを含み、
前記着用者の瞳孔と前記選択されたフレーム(F)の水平縁との間の高さ(d'1、d'2)、
前記着用者の瞳孔と前記選択されたフレーム(F)の垂直縁との間の距離(d1、d2)、
前記着用者の顔面と前記選択されたフレーム(F)とがなす広角度(α)、
のうちの少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のデータセット(F1)は、前記着用者(w)のみに関するデータをさらに含み、
着用者の瞳孔間距離(d)、
眼科医が出した前記着用者の処方、
頭部の大域的運動に関する眼球の運動の係数、
のうちの少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1および第2の眼鏡レンズは提供する前記眼鏡フレーム(F')の各第1のリム(R1)および第2のリム(R2)上に装着されることを意図されており、前記第2のデータセット(F2)は、
前記第1および第2のリムの内周測定結果、
前記リムの前記内周内に形成された内部溝の寸法測定結果、
前記溝の主軸とリムの主軸とがなす角度の測定結果、
のうちの少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のデータセット(F2)は、前記第1の識別子(ID1)および前記第2の識別子(ID2)とともに前記サーバ(SER)に送信されて(DOC2)、これにより、前記第1の識別子と前記第2の識別子との間の関連付けを示す前記情報を供給することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記着用者(w)に対し実行される前記測定(d、α)および前記眼鏡フレーム(F')に対し実行される前記測定(R1、R2)は、それぞれ前記第1のコンピュータエンティティ(PC1)と前記第2のコンピュータエンティティ(PC2)とを備える、2つの異なる、離れた場所でそれぞれ実行され、
前記第1および第2のコンピュータエンティティは、拡大ネットワークを介して前記サーバ(SER)にリンクされることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のコンピュータエンティティ(PC1)は、前記第1の識別子(ID1)および前記着用者によって試され、選択されたフレームの前記モデルの識別子(Mod F)とともに前記第1のデータセット(F1)をサーバ(SER)に送信し、
前記第2のコンピュータエンティティ(PC2)は、前記サーバから、前記選択されたフレームの識別子(Mod F)とともに前記第1の識別子(ID1)を回復し、
前記選択されたフレームの前記識別子(Mod F)に基づいて、前記コンピュータエンティティ(PC2)は、前記着用者(w)に提供されるべき前記フレーム(F')に関する測定を指令し、提供される前記フレーム(F')は、少なくとも、前記着用者によって試され、選択された前記フレーム(F)と同じモデルであり、
前記第2のコンピュータエンティティ(PC2)は、前記第2のデータセット(F2)を前記第1の識別子(ID1)および前記第2の識別子(ID2)とともに前記サーバ(SER)に送信し、これにより前記サーバに前記第1の識別子と前記第2の識別子との間の関連付けを示す情報を供給することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実施するためのサーバであって、
第1の識別子(ID1)に対応して、注文されるべき眼鏡フレームと同じモデルの眼鏡フレームを着用している前記着用者(w)に対し実行された測定(d、α)に関係する第1のデータセット(F1-ID1)と、
前記モデルの識別子と、
を格納するためのメモリを備え、前記第1のデータセット、前記モデルの識別子、および前記第1の識別子が、第1の場所にある第1のコンピュータエンティティから前記サーバに送信され、
前記メモリは、
第2の識別子(ID2)に対応して、前記眼鏡フレーム(F')に対し実行された測定(R1、R2)に関係する第2のデータセット(F2-ID2)を格納し、前記第2のデータセットと前記第2の識別子とが、第2の場所にある第2のコンピュータエンティティから前記サーバに送信され、
前記サーバは、
前記第1の識別子と前記第2の識別子との関連付けを示す情報(DOC2)を受け取った後、少なくとも前記第1および第2のデータセットを含むコンピュータドキュメント(ORD(ID1〜ID2))をコンパイルするように適合された処理手段と、
を備えていることを特徴とするサーバ。
【請求項13】
請求項12に記載のサーバのプロセッサユニットのメモリ内に、または前記サーバの前記プロセッサユニットの読み取り装置と連携するように適合された取り外し可能メモリ媒体内に格納されるように適合されたソフトウェアであって、
請求項1から11のいずれか一項に記載の前記方法を実施するための命令を備えていることを特徴とするソフトウェア。
【請求項14】
記サーバ(SER)から、前記選択されたフレームの前記識別子(Mod F)とともに前記第1の識別子(ID1)を回復し、前記サーバ(SER)に、前記第1の識別子(ID1)とともに、前記第2のデータセット(F2)を含み、前記第2の識別子(ID2)に対応する名前を有するコンピュータファイルを送信し、それにより前記サーバに前記第1の識別子と前記第2の識別子との間の関連付けを示す前記情報を供給するように構成されている請求項11に記載の前記方法を実施するための手段を備えていることを特徴とする第2のコンピュータエンティティ(PC2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、将来の着用者に適合する眼鏡フレームを提供するための方法ならびにコンピュータシステムおよびそのコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、眼鏡を着用する必要があり、したがって眼科医または他の公認アイケア専門家に処方をしてもらった人は、将来の眼鏡のフレームを選択するために眼鏡技師の施設に行く。眼鏡の将来の着用者は、いくつかの眼鏡フレームを試してよく、それらの試したフレームのうちの1つを最終的に選択する。
【0003】
通常、眼鏡技師は、着用者が選択された眼鏡フレームを試している間に着用者の測定を実行する。これらの測定は、レンズを縁取りして納入する場合にレンズ発注を仕上げるために必要である。
【0004】
通常、選択されたフレームの開口(例えば、眼鏡レンズが装着されることを意図されているフレームの開口)の内周は、メカニカルセンサによって非常に正確に測定される。より具体的には、フレームの開口は、内側リムを備え、リムの特性(リムの3D形状、開口の傾斜角、リムの深さなど)は、測定室内の前記のメカニカルセンサによって測定される。選択されたフレームに対しメカニカルセンサによって実行される測定により、一方では選択されたフレームに、他方では着用者処方に、最もよく合う眼鏡レンズを発注することが可能になる。より具体的には、メカニカルセンサと測定室内の眼鏡技師によって実行される測定結果に応じて、眼鏡技師および/または眼鏡レンズ供給者は、
縁取り作業(形状、仕上げオプションなど)を指定すること、
選択されたフレームに対し実行される機械的測定に適するようにレンズの縁をカットすること、
着用者および選択されたフレームに適合する眼鏡レンズを提供することができる。
【0005】
レンズ供給者は、提供されるレンズが、着用者および選択されたフレームに適合することを確実にしなければならない。例えば、レンズ供給者は、将来のレンズが、特定の開口およびリムを有することができる選択されたフレーム上に効果的に装着されうることを確実にしなければならない。
【0006】
そこで、選択されたフレームの内周開口に対し実行される測定は、レンズ供給者について考慮すべき重要な一組の特徴であることは理解されるであろう。
【0007】
したがって、通常、機械的測定は、着用者によって選択されたフレーム、および正確にこのフレームに対し実行される。実際、機械的特徴のわずかな差異は、同じモデルおよび同じサイズの2つの異なるフレームについて測定されうる。しかし、レンズ選択およびその縁取りは、非常に正確でなければならず、それらのわずかな差異に対しても非常に敏感である。したがって、レンズとともに着用者に提供されるフレームに対し機械的測定を実行することは非常に好ましい。
【0008】
しかし、着用者に提供されることが意図されている正確なフレームは、着用者がフレームを選択した時点においては、眼鏡技師の施設に用意されていない場合がある。例えば、着用者は、フレームのモデルおよびサイズを選択して、試すことができるが、着用者が好む色は、用意されていない可能性がある。眼鏡技師は、着用者が試した利用可能なフレームで心取りパラメータを測定し、着用者の選択および眼鏡技師の施設で着用者が利用可能なフレームを試したときに実行した測定を手書きしておくことができる。2回目に、最終フレームが利用可能なときに(選択されたモデル、選択されたサイズ、選択された色)、眼鏡技師は、最終フレームを測定して、レンズ発注書に記入することができる。しかし、このような実施は、遅延(最終フレームが眼鏡技師の施設に到着するのを待つ)と誤り(手作業に結びついている)を生み出す源であり、したがって、着用者に対し悪いサービスを提供することになる。
【0009】
さらに、眼鏡技師の施設および測定室(および眼鏡フレームの在庫)は、異なる離れた場所に配置されている可能性がある。眼鏡技師は、着用者によって選択された正確なモデルの最終フレームに対し測定を実行し、完全な発注書に記入するために、測定室に、着用者によって選択され、試されたフレームの特徴およびすべての注文データを送ることができる。しかし、このような実施は、注文データが眼鏡技師と測定室との間で手作業によりやり取りされるので、ここでも同様に、誤りと不便を生み出す源となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、そのような状況を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、コンピュータ手段によって実行される方法を提案し、より具体的には、サーバが、一方では、着用者によって選択されたフレームの特徴の保管、および他方では、着用者に提供されることを意図されているフレームに対し実行された測定の結果の保管を集中して行う。
【0012】
したがって、本発明による方法は、第1の識別子に対応して、着用者に対し実行された測定に関係する第1のデータセットをサーバのメモリに格納するステップと、第2の識別子に対応して、提供する眼鏡フレームに対し実行された測定に関係する第2のデータセットをサーバのメモリに格納するステップと、を含む。
【0013】
より具体的には、サーバは、第1の識別子と第2の識別子との関連付けを示す情報を受け取った後、第1および第2のデータセットの少なくとも一部を含むコンピュータドキュメントをコンパイルするように構成される。
【0014】
眼鏡を発注するための異なるステップは、測定ファイルストレージを管理するための第1および第2の識別子を使用することで、サーバによって集中処理され、制御されるので、本発明により、誤りを生み出す前記源を防ぐことが可能になる。眼鏡技師は、着用者に着用者の将来の眼鏡フレームを、例えば、カタログから単に選ばせ、その結果、同じモデルの(また選択されたサイズおよび色を有する)、そして最終的に着用者に提供されることを意図されている、フレームに対し測定が実行される離れた場所で選択されたフレームを発注することができる。
【0015】
着用者によって選択されたフレームと測定が実行されたフレームは、必ずしも同じではないが、少なくとも、同じモデル(および、場合によっては、同じサイズ)のものであってもよいことは理解されるであろう。
【0016】
したがって、第1のデータセットを格納することと第2のデータセットを格納することをそれぞれ目的とする本発明による方法の2つのステップは、非同期に、また時間的に任意の順序で実行することができる。
【0017】
有利な実施形態において、第1のデータセットは、サーバに、前記第1の識別子とともに送られるだけでなく、着用者によって選択されたフレームモデルとともにも送られる。例えば、着用者によって選択されたモデルの識別子は、前記第1のデータセットのデータであってもよい。
【0018】
有利な一実施形態では、提供されるフレームに対し測定が実行された後、第2のデータセットが、第1および第2の識別子とともにサーバに送られ、それにより、第1の識別子と第2の識別子との関連付けを示す前記情報を供給する。
【0019】
この有利な実施形態において、サーバは、これにより、着用者情報(選択されたフレームモデルを含む)とフレーム情報(着用者に提供するフレームに対し実行される測定を含む)のペアリングを知らされる。
【0020】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な明細を読み、付属の図面を調べると、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による方法に関わるコンピュータエンティティとサーバとのやり取りを示す図である。
図2A】特に前記の第1のデータセットを構成するために測定されるべきパラメータを示す、選択されたフレームFの正面図である。
図2B】特に前記の第1のデータセットを構成するために測定されるべきパラメータを示す、選択されたフレームFの側面図である。
図3A】特に前記の第2のデータセットを構成するために測定するパラメータを示す、提供するフレームF'(図3AのトリムマークIIによる)の正面図である。
図3B】特に前記の第2のデータセットを構成するために測定するパラメータを示す、提供するフレームF'(図3AのトリムマークIIによる)の断面図である。
図4A】有利な一実施形態における、本発明によるサーバによって実行される方法のステップを示す図である。
図4B】有利な一実施形態における、本発明によるサーバによって実行される方法のステップを示す図である。
図4C】有利な一実施形態における、本発明によるサーバによって実行される方法のステップを示す図である。
図4D】有利な一実施形態における、本発明によるサーバによって実行される方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、着用者wに対し実行される測定(図2B)は第1のコンピュータエンティティPC1を備える第1の場所で実行されるが、提供する眼鏡フレームF'に対し実行される測定(図3A〜3B)は第2のコンピュータエンティティPC2を備える第2の場所で実行される特定の実施形態について説明する。図1を参照すると、第1のコンピュータエンティティPC1、第2のコンピュータエンティティPC2、およびサーバSERは、インターネットなどの拡大ネットワークを介するリンクでつながれている。
【0023】
着用者wに対して実行された測定の結果は、これにより前記第1のデータセットを構成するコンピュータファイルF1に格納される。この目的のために、第1のコンピュータエンティティPC1は、この第1のコンピュータファイルF1を保存するためのメモリを備える。コンピュータエンティティPC1は、この第1のコンピュータファイルF1に前記第1の識別子ID1に対応する名前を割り当てるための処理手段も備える。したがって、第1のコンピュータエンティティPC1は、この第1のコンピュータファイルF1を第1の識別子ID1とともにサーバSERに送る(例えば、ファイルF1の名前として)。第1のコンピュータエンティティPC1は、第1のファイルF1とともに、着用者によって試され、選択されたフレームのモデルの識別子Mod Fも送る。
【0024】
したがって、エンティティPC1は、サーバに、第1のデータセットおよび着用者によって選択されたモデルの識別子Mod Fを含むファイルF1を含むドキュメントDOC1を送る(図4Aのステップ41)。図4Aのステップ42では、サーバは、メモリ(不揮発性メモリ)に、ファイルF1および識別子Mod Fを格納する。次いで、サーバは、ステップ43において、第2のエンティティPC2に、第1の識別子ID1と選択されたフレームの識別子Mod Fとを組み合わせた情報を送る。他の実施形態では、第2のコンピュータエンティティPC2は、待っている注文のリストをサーバに要求し、第2のコンピュータエンティティPC2のオペレータは、例えば、第2のエンティティPC2が配置されている施設内で利用可能な提供するフレームに対し測定を実行するために、このリスト内の1つの注文を選択することができる。
【0025】
そこで、第2のエンティティPC2は、サーバSERから、第1の識別子ID1を図4Aのステップ43の選択されたフレームの識別子Mod Fとともに回復する。選択されたフレームの識別子Mod Fに基づいて、第2のコンピュータエンティティPC2のオペレータは、メカニカルセンサMSを使用して、着用者wに提供するフレームF'に対し測定を実行するが、このフレームF'(図3A〜3B)は少なくとも着用者wによって試され、選択されたフレームF(図2A〜2B)と同じモデルである。提供するフレームF'に対し測定が実行された後、測定値が第2のコンピュータファイルF2内に格納される。この目的のために、第2のコンピュータエンティティPC2は、前記第2のデータセットを含むこの第2のコンピュータファイルF2を保存するためのメモリを備える。第2のコンピュータエンティティPC2は、第2のコンピュータファイルF2に、例えば前記第2の識別子ID2に対応する名前を割り当てるための処理手段も備える。
【0026】
次いで、第2のコンピュータエンティティPC2は、サーバSERに、図1のドキュメントDOC2内の第1の識別子ID1および第2の識別子ID2とともに第2のデータセットF2を送る(図4Bのステップ44)。サーバは、図4Bのステップ45で第2のコンピュータファイルF2を格納する。より具体的には、サーバは、この第2のドキュメントDOC2を受け取った後、第1の識別子ID1に対応する名前を有する第1のコンピュータファイルF1と第2の識別子ID2に対応する名前を有する第2のコンピュータファイルF2を関連付けることができ、これにより、第1のセットF1のデータおよび第2のセットF2のデータを含む注文書を作成することが可能である。
【0027】
特定の一実施形態では、ドキュメントDOC1およびDOC2は、前記識別子ID1、ID2、Mod Fに対応し、コンピュータファイルF1、F2を指しているタグを含むhtmlページ形式のものとすることができる。
【0028】
前記第1のデータセットF1は、着用者に関するデータ(例えば、着用者の瞳孔間距離d(図2A)、眼科医が出した処方、頭部の大域的運動に関する眼球の運動の係数など)、および/または着用者wと選択されたフレームFの組合せに関するデータ(例えば、それぞれの着用者瞳孔と選択されたフレームの開口の水平縁との間の高さd'1およびd'2(図2A)(ISO13666規格により「フィッティングポイント高さh」と称される)、それぞれの着用者瞳孔と選択されたフレームの開口の垂直縁との間の距離d1およびd2(図2A)、着用者wが眼鏡フレームを試したときの垂直平面と選択されたフレームFとがなす広角度α(図2B)、など)を含むことができる。
【0029】
第1のデータセットF1は、例えば、図3Aに示されているように、フレームF'のそれぞれのリムの幅Aおよび高さBも含むことができる。しかし、提供するフレームF'に対し直接これらの測定を実行することが好ましく、またこれらの測定の値は、むしろ第2のデータセットF2に含めることができる。
【0030】
着用者wに対し測定された瞳孔間距離dにより、レンズ心取りを正確に決定するようにフレーム内の光心を位置決めすることが可能であることに留意されたい。頭部の大域的運動に関する眼球の運動の係数の測定により、他の方向を見るときに頭部または眼球を移動する着用者の性向に応じて着用者の様子を適応させるようにレンズ設計を決定することが可能である。
【0031】
最後に、ファイルF1に格納されている測定結果により、選択され、試されたものの同じモデルおよびサイズの眼鏡フレームとともに提供するレンズの心取りを決定することが可能である。
【0032】
前記第2のデータセットF2は、最終的に着用者に提供されることを意図されているフレームF'に関係する。これは、メカニカルセンサMSによって提供するフレームに対し実行される内周測定の値を特に含むことができる。
【0033】
一例として本明細書で説明されている一実施形態において、それぞれの眼鏡レンズL1は、提供するフレームF'の開口R1を画定するリムH1上に取り付けられることを意図されている(図3B)。したがって、前記第2のデータセットF2は、例えば、第1および第2の開口R1、R2の各リムの内周測定結果を含むことができる。より具体的には、第2のデータセットは、例えば、
リムH1の内周内に形成される内部溝G1の寸法測定結果(図3B)、
溝G1の主軸とリムH1の主軸とがなす角度の測定結果(つまり、図3B内のレンズL1を受け入れることを意図されている開口R1に関する溝G1の傾斜角β)を含むことができる。
傾斜角βは、図3Bの例に示されているような4つの点P1、P2、P3、およびP4の座標測定結果から決定することができる。
【0034】
第2のデータセットF2は、提供するフレームF'のリムの幅Aおよび高さBも含むことができるが、ただし、これらのデータが、上で説明されているように第1のデータセットF1内にすでに含まれていない場合である。
【0035】
もちろん、選択されたフレームのタイプ(例えば、完全リム付きフレーム、または半リム付きフレーム、またはリムなしフレーム)も、第1のセットF1または第2のセットF2に入れるデータとすることができる。
【0036】
ここでまた、図1を参照すると、サーバSERは、遠隔コンピュータエンティティPC3から要求REQを受け取った後、このコンピュータエンティティPC3に、第1および第2のセットのデータを含むコンピュータドキュメントのコンピュータエンティティPC3による編集(「EDIT-ORD(ID1〜ID2)」)を可能にするデータを送ることができることがわかる。このコンピュータエンティティPC3は、前の2つの場所と異なっていてもよい眼鏡技師の施設内に配置することができ、また前記の編集を可能にするデータをサーバSERから受け取った後、
一方で、着用者wに対し実行された測定結果に関係するデータと、
他方で、提供する眼鏡フレームF'に対し実行された測定結果に関係するデータの両方を含む注文書を生成することができる。
【0037】
したがって、このコンピュータエンティティPC3は、待機注文のリストの内容をオンラインで参照することができ、より具体的には、第1および第2のデータセット含む注文書を完成し、その妥当性を確認することができる。有利な一実施形態では、サーバSERは、着用者の測定結果(着用者の処方を含む)および提供するフレームに対し実行された測定結果に応じて、提供するレンズの最適な形状を計算するための処理手段を備える。したがって、注文書は、提供するフレームF'に装着することを意図されている眼鏡レンズの特性、さらにはこれらの眼鏡レンズの縁取りするための特性を記載することができ、これらのレンズは着用者の特徴およびフレームF'の特徴の両方に適合するものである。
【0038】
コンピュータエンティティPC3は、第1のコンピュータエンティティPC1と同じものであってもよい。したがって、眼鏡技師は、注文書の編集を要求するために自分のコンピュータエンティティPC1(またはPC3)を実行することができる(図4Cのステップ46)。図4Cのステップ47で、眼鏡技師は、自分のコンピュータ画面(PC1またはPC3)上でサーバによって提示された注文書特性を読み取ることができる。眼鏡技師が、注文書の妥当性確認を行う場合(図4Dのステップ48)、サーバSERは、着用者の特徴と提供するフレームF'の特徴の両方に適合するレンズL1およびL2の対を注文するためにレンズ供給者のコンピュータエンティティPC4に注文書を送信する(図4Dのステップ49)。
【0039】
本発明によって得られる利点によれば、眼鏡発注(着用者が注文するフレーム、提供するフレームに対する測定結果、提供するレンズの選択)のすべての非同期ステップは、サーバによって編成され、集中処理される。サーバは、発注プロセス全体においてすべての測定結果およびデータ(コンピュータファイルF1およびF2)を格納することができることにも留意されたい。したがって、それぞれコンピュータエンティティPC1およびPC2によるコンピュータファイルF1およびF2の格納は、揮発性の格納とすることができることは理解されるであろう(例えば、揮発性メモリへの格納)。
【0040】
本発明は、こうして、
第1および第2のデータセットを格納するためのメモリと、
図4Cを参照しつつ上で説明されているように、要求REQを受けた後に、第1および第2のセットのデータを含むコンピュータドキュメントORD(ID1〜ID2)をコンパイルするための処理手段と、を備えるサーバも対象とする。
【0041】
本発明は、本発明によるサーバSERのプロセッサユニットのメモリ内に、またはサーバのプロセッサユニットの読み取り装置と連携するように適合された取り外し可能メモリ媒体内に格納されることを意図されているソフトウェア製品も対象とする。特に、ソフトウェアは、図4A〜4Dを参照しつつ上で説明されているように本発明を実施するための命令を備える。
【0042】
本発明は、図1のコンピュータエンティティPC1、PC2、PC3のうちの1つのコンピュータエンティティも対象とする。これは、遠隔サーバから、選択されたフレームMod Fの識別子とともに第1の識別子ID1を回復し、サーバに、第1の識別子ID1とともに、第2の識別子ID2に対応する名前を有するコンピュータファイルF2を送信することができるエンティティPC2を対象とする。本発明は、コンピュータエンティティPC1、PC2、またはPC3のプロセッサユニットのメモリ内に、またはコンピュータエンティティのプロセッサユニットの読み取り装置と連携するように適合された取り外し可能メモリ媒体内に格納されるように適合されたソフトウェア製品も対象とする。このソフトウェア製品は、図1を参照しつつ上で説明されている方法のステップを実施するための命令を備える。
【0043】
本発明は、図1のステップを実施するための、またしたがってサーバおよび少なくとも1つのコンピュータエンティティPC1、PC2、および/またはPC3を備えるシステムも対象とする。
【0044】
もちろん、本発明は、例を用いて上で説明されている実施形態に限定されず、他の変更形態にも拡大適用される。
【0045】
以下では、htmlページの形式を有するドキュメントDOC1およびDOC2として説明されている。一変更形態として、眼鏡注文の識別子に対応する名前を有するディレクトリには、第1および第2のデータセットにそれぞれ対応し、第1および第2の識別子にそれぞれ対応する名前を有する2つのファイルF1およびF2を格納することができる。このようなディレクトリは、htmlページDOC2の代わりに、例えばエンティティPC2からサーバに送信することができる。
【0046】
コンピュータエンティティPC1およびPC3は、上で説明されているように眼鏡技師の施設内の同じコンピュータエンティティとすることができる。さらに、コンピュータエンティティPC1およびPC2は、特に、眼鏡技師が提供するフレームに対する測定を実行するためにメカニカルセンサMSを備えている場合に、同じエンティティであってもよい。したがって、データ格納は、本発明により、遠隔サーバに任せることができることは理解されるであろう。
【0047】
選択されたフレームFおよび提供するフレームF'は、同じ、独自フレームとすることができることも理解されるであろう。本発明の実施は、ここでもまた、単純にデータ格納を遠隔サーバに任せるために有利な場合がある。
【0048】
さらに、第1および前記のデータセットの内容は、例えば上で述べたものであり、変更形態が許容される。
【符号の説明】
【0049】
α 広角度
β 傾斜角
A 幅
B 高さ
d 瞳孔間距離
d1およびd2 距離
d'1およびd'2 高さ
DOC1およびDOC2 ドキュメント
EDIT-ORD(ID1〜ID2) データ
F フレーム
F' 提供するフレーム
F1 第1のコンピュータファイル
F2 第2のコンピュータファイル
G1 内部溝
H1 リム
ID1 第1の識別子
ID2 第2の識別子
L1 眼鏡レンズ
MS メカニカルセンサ
PC1 第1のコンピュータエンティティ
PC2 第2のコンピュータエンティティ
PC3 遠隔コンピュータエンティティ
PC4 レンズ供給者のコンピュータ
R1 第1の開口
R2 第2の開口
SER サーバ
w 着用者
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D